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ニュース 活動事例 熱中症対策 認知症薬

2023年7月のニュース

暑い季節の運動には『熱中症』対策が必須です。さまざまな取り組みは参考になります。
NPWA会員の暑い季節の取り組みと、米国食品医薬品局(FDA)でのフル承認を取得した世界初かつ唯一の認知症治療薬『レカネマブ』についての関連記事をお届けします。

1. 暑い季節のポールウォーキング活動
(1)さまざまな取り組み
海岸線ウォークは最高!!佐藤 恵さんの投稿

7/1(土)は、第1回ポールdeウォークin気仙沼へ! 会場に着いて、度肝を抜きました!大きな窓の外は、すぐ海!外に出ても、広さがハンパない! 貸切状態の海岸線ウォークは、最高過ぎました! おかえりモネのロケ地「浮見堂」や、港町ブルースの石碑、漁船などの観光スポットも盛り沢山! ワーカーズコープ事務局の皆様、素晴らしいロケーションをありがとうございました!

友達と一緒なら楽しい!鈴木 ゆみ江さんの投稿

[ポールウォーキング🎵]  豊島区の友人から「ポールウォーキングに参加を申し込んだ」と。 ならば一緒に(=´∀`)人(´∀`=) と、参加してきました。  山手線渋谷駅からの「副都心線ホーム」に迷わずに歩けたのは 一月前迷った学びが身について(笑)集合場所の氷川台に無事到着。 初めての地に行くのは脳トレよね(笑)  豊島区スポーツ推進委員会運営での教室?体験会?懐かしいお顔に会えて嬉しかったです。城北公園に移動して約1時間半を楽しませていただきました。 (熱中症予防)塩分補給のタブレットや冷たいゼリーのお菓子等等気配りもありがとうございました。 解散後は池袋で友人と昼食…野菜たっぷりの冷やしうどんが美味しかった〜 ご褒美もちょっと付けて(笑)何のご褒美だ(笑)

暑い室外より涼しい室内で!平岡 裕美子さんの投稿

「笑顔のポールウォーキング」、夏の暑い間は室内のみでレッスンを行なうということで皆さんの了承を得て、その会場となる川崎市内の公共施設をメンバーさんに抑えていただきました。 7月初めのレッスン会場は「プラザ大師」。「川崎大師」から程近い所にある施設です。 ここで「ローリング歩行」の練習をしっかり行いました。 そしてレッスン終了後、私が「せっかく川崎大師に近い所に来たのだから大師様にお参りをしてから帰ります」と言ったところ「コーチが行かれるのなら」と皆さんも同行してくださって皆で大師様にお参りに行くことになりました。 参拝をすませた後近くのお蕎麦屋さんで皆で昼食。その後は仲見世通りを歩きお土産物屋さん巡り。あるメンバーさんがごま専門店の唐揚げをご馳走してくれて、皆で揚げたての唐揚げをその場でほおばりました。やっぱり揚げたての唐揚げは美味しいですよねぇ😋しかもごまがたっぷりかかっているので栄養的にもとっても良さげ💕 まるで遠足気分でとても楽しい時間を過ごすことができました🎶 あまりにそんな時間が楽しかったので、最後に「コーチ料なんかいらないので秋になって涼しくなったらポール持って皆でどこかへ遠足に出かけませんか?」と提案してしまったぐらいです😅皆さんもその提案に大いに乗り気だったようなので、秋になるのが今からもうスゴク楽しみです⤴

ゴミ拾いウォーキングは如何?スマイルチームさんの投稿

スマイルチーム ポールウォーキング部。7月は海の日にちなんで【ブルーシップ】の活動としてごみ拾いウォーキング。今までの中で1番少ないゴミの量でした。良し良し👍一人一人の意識が更に高くなることを期待します‼️ゴミは各自責任持ってきちんと始末しましょう‼️#スマイルチーム#sagamihara_pic#ブルーシップ#環境保護#海と日本#ごみ拾い#ウォーキング#ポールウォーキング#ブルーシップのホームページもぜひご覧下さい#ゴミは各自で責任持ってね

暑い時には無理をせず新地昌子さんの投稿

今年一番暑い日に、笠間市地域交流センターともべ愛称「トモア」でのポールウォーキング講座やりました🌞🌞 暑いなか、午前中は定員いっぱいの参加者が来てくれました(写真撮り忘れ💦) 潔く外歩きはやめにして、ストレッチと館内歩き。 左右分解して歩いたり、歩幅を広げて前の人を追い抜いたり、ちょっと普段と違うことも混ぜながらの90分でした。 午後はわざわざ日立市から来てくださった方が。せっかくなので曇ったタイミングで、友部駅の連絡通路を歩きました。笠間の観光地のパネルがあるので、行ったことある場所、無い場所、逆に日立の情報も教えてもらいました。 秋になったらまた歩きましょう!それを合言葉に夜信州に戻ってくると、、、、やっぱり長野は涼しいーーー笑

ナイトウォークを満喫!校條 諭さんの投稿

初のナイトウォークを満喫しました。 コロコロ変わる天気予報を連日見てきて、きっとはずれると予想したら(^^)、そのとおりまったく雨にはやられませんでした。 いつもは午前に開催するのですが、今回午後6時集合のナイトウォークに。参加者のおひとりからは「夜の川沿いの遊歩道、神社など童心に帰った様でワクワクしました」という感想をいただきました。 確かに、提灯のたくさん灯された夜の神社など、夜間ならではの雰囲気がいたるところにあって、暑さよけというだけではない価値あるポール歩きでした。 夜にしか咲かないカラスウリの花も見つけて、みんな牧野富太郎気分でした。 「気ままにポール歩き」、今回のコースは、高井戸地域区民センターを起点に、神田川沿いの遊歩道を軸に、三井の森公園、パークシティ浜田山、柏の宮公園、塚山公園、下高井戸八幡神社を巡り、浜田山駅まで。駅前のインド・ネパール料理店「まいた」でカンパイしました。

シニアは安心の拠り所が大切!!佐藤 ヒロ子さんの投稿

【元気はどこから〜】     #身体もお口も運動すると元気になるの 2023/7/10 #船橋ウォーキングソサイエティ  #シニアポールウォーキング 暑いです。 熱中症対策で「おやすみ」を促したり  予め暑さ対策呼びかけしての開催になりました。 講堂は涼しいので、会場迄の往復に配慮し日傘をさして安心して集えるよう ポールはFWSが用意しました。 シニアは安心の拠り所が大切だと思います。 安心から楽しさが生まれます。

〆はいつも「笑いヨガ」佐藤 ヒロ子さんの投稿

【工夫と元気があふれるUR幸いポールウォーキング】 2023/7/11   URサークル自走化して3年目になります。 本日は、日本ポールウォーキングアドバンスコーチSの指導日。 厳しい暑さが想定されていたので予め集会所を確保して頂いていました。 楽しそうな写真と報告がありましたのでご紹介です。 ラダーはなんと役員さんの手作りです。    この暑さでもSコーチが感心する元気さだそうです。〆はいつもリーダーの掛け声に合せての「笑いヨガ」 実にそれが気持良いのです。 お腹の底から思い切り笑います。今回もその様子が良くわかります。 UR初の自走化サークルは本日も明るく元気で楽しそうです。

早めに切り上げ、すし屋で乾杯!森川 まことさんの投稿

本日は熱中症に気をつけながら、木陰で体操して、短めで終わりました。 風があって気持ちが良かった。 終わりまして、村松誠さん、コーチ合格祝いで、寿司屋で乾杯!!

今日は、小学校で「ラジオ体操指導」です中嶋  佳奈恵さんの投稿

【ラジオ体操指導】 小松市芦城小学校こども会からの依頼にて、ラジオ体操第一、ニを指導してきました。 ラジオ体操一級指導士としては初。 夏休みにはぜひ肘を伸ばして、背を高くしてラジオ体操を頑張ってみせてあげてね。 ラジオ体操を詳しく教えてほしい団体様はぜひ連絡下さいね。 #ラジオ体操 #小松市 #石川県 #体操

今日は生涯大学の講義です長岡智津子さんの投稿

最近、健康体操などの依頼がとても多くなりました。 コロナが落ち着き、人々が健康にさらに 意識を持ってきたのでしょう。 今日は生涯大学の講義をしてきました。 生きがいづくりのために ソシアルダンス ポールウォーキング ラジオ体操など 色々なジャンルの運動を学習します。 仲間づくりのために レクリエーション チームゲーム うなづき体操など 楽しく体を動かします。 そして 体を動かすことの大切さ 継続の方法 熱中症や誤嚥性肺炎やエコノミー症候群など 日常に役立つ知識を学びます。 千葉県が開校している素晴らしい大学だと思います。 来月は柏パレットで サルサです💃 是非体験してみてください。 暑い夏を乗り越えるハッピーな気持ちになりますよ💕 申込みは柏パレット

8月の予定
台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿

【日本健走杖健走教練 Basic 基礎班培訓課程】 📅 日期:08/19 (六) 📍 地點:台北市中山區吉林路 24 號 12 樓(萬泰商業大樓) 🕘 時間:09:00am~16:00pm 提升專業能力,成為健走杖教練 夢想成為一位健走杖教練嗎? 我們的基礎班培訓課程正是你實現夢想的第一步! 報名提升你的專業能力, 成為一名優秀的健走杖教練! ▲課程費用:(含培訓、講義及健走杖租借、不包含餐飲) 全球首次,日本健走杖運動協會 NPWA 授權海外開課,日本健走杖健走 (簡稱: 日式健走) Basic Coach 課程,定價 5,000 元、首發優惠價 3,000 元,敬請把握! ▲報名時間:即日起至 2023 年 8 月 12 日止 (課程人數上限 20 位,額滿即關閉表單) ▲報名方式及匯款帳號 1.一律採網路報名,報名表網址:https://reurl.cc/01aA2k 2.匯款帳號:0945-940-029307 銀行:玉山銀行 二重分行 (808) 戶名:台灣健走杖運動推廣協會

一般社団法人ソーシャルフィットネス協会さんの投稿
8/19、21いづれも14:00-16:00 東京北区にてポールウォーク講演会が連続開催されます。東京都健康長寿医療センター副所長藤原佳典先生の講演をうけての体験会を提供します。お近くの皆様、暑い中恐縮ですが是非お出かけください。

関連記事
事例に学ぶ:4.クラブ活動で地域貢献

(2)熱中症に気を付けて
田村芙美子さんから貴重な(?)経験談の投稿がありましたので、紹介します。

(その①):熱中症になる
油断大敵 (長いのでスルーして頂いてOK) 私は熱中症にならない!なるはずがない!と信じてきた。ところが きょうの広町緑地PWでいつものようにポール体操をしていて 給水タイムをとったとき リュックに水筒がない!ことに気づいた。 今朝は家をでたとたんに表通りに出る家の前の路地が通行止め!聞いてないよ。3台もダンプが道を塞いでいた。冷や汗をカキながら 仕方なく初めて通る狭い道を迂回。途中生徒さん一人を拾ってテレジア包括C.に駐車。💦 水分休憩の時 緑地には自販機がないのでトイレに走り(ここはきれい)、水道水を二口含んで 口の中を湿らせた。木陰のない芝生広場は暑いからと、世話人さんが少し先の林の中に移動を提案。多少影がありそこで体操の続きを始めた。筋トレの時はなんでもなかったが、ポール2本を束ねて前に~上に上げるとき腕の異変に気づいた。 いつもと様子が違う。 力が入らない。 回旋運動に至ってはカウントができなくなった。 吐き気もしてきて口を押さえちょっと待ってね、と休ませて貰いベンチへ。 どうやら軽い熱中症のようだ。顔が真っ青です!と心配され立場なし。 そんなこともあり後半は自由PWに切り替えて頂いた。 そういえば昨日もやや不調で母の面会に行ったものの母のbedに横になりこのまま泊まる?等と言われていた。 田村コーチもお年ですから!と口の悪い世話人さんの一言がグサッと刺さる。 でも優しく駐車場までついてきてくださった。 自販機でいのちの水を買い復帰。途中のしらすやさんで 釜あげGET。お昼に早速食べました。 下の写真は5~6月マレーシアの奥様の里帰りに行かれた生徒さんのお土産。飴とインスタントドリンクだそうです。 マレーシアは空気が淀んでいてこの広町緑地は森林浴のように気持ちがいいと仰っていました。 熱中症も自力で水が飲めなくなった時は点滴をしてもらわなければ危険だそうです。 恥ずかしいことでしたが メンバーさんじゃなく私でよかった思うばかり。

(その②):すっかり回復しました
暑い夏に涼しげな白花 熱中症以来 回復はしたもののスッキリ体調が整わないままでしたが 遂に昨日から絶好調に💪 今日は知人のトレーナーさんからもすっかり元気取り戻したね、とお墨付きを貰いました。 盆踊りでさらにパワーアップ、明朝は逗子で時間繰り上げPWです。そして明後日は・・・⛵

(その③):本日はクルージングです

本日はクルージングクラブ活動の日。  といっても毎年乗せて貰うだけ。 葉山マリーナから普段行き来している逗子~材木座海岸~由比ヶ浜~坂ノ下~稲村ヶ崎~腰越-江ノ島を海側から眺めながら。 遠くは伊豆半島、大島も次第にはっきり見えてきました。 波に揺られ波の音を聴きながら。 葉山のアボカドファームは湘南国際村の山の向こうで海からは見えませんでした🥑

関連情報源
環境省熱中症予防情報サイト

2.米FDAに正式承認されたエーザイ認知症薬『レカネマブ』について
今般、エーザイ株式会社&バイオジェン・インクが共同開発した認知症薬『レカネマブLEQEMBI』が、アルツハイマー病(AD)の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを示して、米国食品医薬品局(FDA)でのフル承認を取得した世界初かつ唯一の治療薬になりました。関連する3つの記事をご紹介します。

No.1:『レカネマブ』はアルツハイマー病(AD)の進行を抑制する初の治療薬
**以下、エーザイ株式会社&バイオジェン・インクの2023年7月7日新聞発表より抜粋**
「LEQEMBI」は、アルツハイマー病(AD)の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを示し、フル承認を取得した世界初かつ唯一の治療薬となります。「LEQEMBI」は、多様な人種・民族、併存疾患や併用治療薬、ADによる軽度認知障害(MCI)と軽度ADなど米国メディケア受給者に一般化可能な集団において、臨床的に意義のある認知・機能低下の抑制を実証しました。「LEQEMBI」による治療は、臨床試験と同様、ADによる軽度認知障害または軽度AD(総称して早期AD)の当事者様において開始する必要があります。

「LEQEMBI」のフル承認は、エーザイの大規模グローバル臨床第Ⅲ相検証試験であるClarity AD試験のデータに基づいており、「LEQEMBI」は主要評価項目ならびに全ての重要な副次評価項目を統計学的に有意な結果をもって達成しました。主要評価項目は、全般臨床症状の評価指標であるCDR-SB(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes)であり、「LEQEMBI」はCDR-SBにおける18カ月時点の臨床症状の悪化をプラセボと比較して27%抑制しました。また、副次評価項目の一つである、衣服の着脱、食事、地域活動への参加など当事者様が自立して生活する能力を介護者が評価する、AD Cooperative Study-Activities of Daily Living Scale for Mild Cognitive Impairment(ADCS MCI-ADL)においては、統計学的に有意かつ37%のベネフィットが認められました。本試験の結果は、2022年11月29日に、アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)にて発表され、同時に査読学術専門誌the New England Journal of Medicineに掲載されました。

(中略)

「LEQEMBI」は、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル*)および不溶性凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体です。「LEQEMBI」は、この進行性の慢性疾患を治療するために、継続的に蓄積される最も神経毒性の高いAβ(Aβプロトフィブリル)をターゲットとして除去し、既存のプラークを除去します。2023年6月、FDAの 末梢・中枢神経系薬物諮問委員会(PCNS)は、臨床第Ⅲ相Clarity AD検証試験の結果が、本剤の臨床上のベネフィットを示すエビデンスであることを全会一致で支持しました。また、本諮問委員会は「LEQEMBI」のベネフィット・リスクを総合的に確認しました。2023年1月6日にFDAより迅速承認を取得しています。

エーザイは、実臨床におけるARIAの管理とモニタリングを推進する目的で、ADヘルスケアコミュニティに対する多面的な教育イニシアチブとして、「Understanding ARIA ™」を開発し、展開しています。このイニシアチブは、医療用画像分野の専門家や主要な専門学会との協力のもと、受講者同士によるトレーニング、個人およびグループトレーニング、専門家による症例検討などの教材とプログラムを提供しています。

エーザイは、「LEQEMBI」の適用となる当事者様が本剤の治療を受けられるように尽力しており、経済的な必要性とその他のプログラム基準を満たす、メディケア受給者を含む保険未加入あるいは低額保険者補償の当事者様に「LEQEMBI」を無償で提供するPatient Assistance Programを設けています。さらに、エーザイは、LEQEMBI Patient Navigatorsを通じて、アクセス向上のための当事者様サポートを提供しています。同ナビゲーターは、「LEQEMBI」へのアクセスに関する情報の提供、当事者様とそのご家族の保険適用と選択肢に関する理解の支援、適格な当事者様のための財政支援プログラムの特定を行います。米国の方は、詳しくはLEQEMBI.comをご覧いただくか、電話:1-833-453-7362(月~金、東部時間午前8時~午後8時)またはファックス(1-833-770-7017)にてお問い合わせください。

レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

No.2:『レカネマブ』とはどんな薬?
**以下は、下畑享良(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野教授)の2023年7月10日のブログの転載です**

FDAでのフル承認を受け,日本でもレカネマブの使用がより現実味を帯びてきました.図はAlberto J Espay教授(シンシナチ大学)がTwitter(@AlbertoEspay)で発信されたレカネマブ治療に関する説明です.一般の方々に必ずしもその効果と副作用について伝わっていないように思われますのでこの図を用いて解説したいと思います.

レカネマブの効果を示したClarity AD試験の対象は,PETまたは脳脊髄液検査でアミロイドが検出された50〜90歳の早期アルツハイマー病患者で,レカネマブ群898人,偽薬群897人です(①).2週間ごとにレカネマブを静脈内投与します.主要評価項目は,CDR-SB(Clinical Dementia Rating-Sum of Boxes,範囲0〜18点で高いほど障害が強い)の18カ月間における開始前からの変化です.通常,18点中1点以上の変化がある場合,改善ないし悪化と定義されます(②).

さてレカネマブのCDR-SBに対する効果は,開始前のスコアは両群とも約3.2点で,18ヵ月間でレカネマブ群1.21点,偽薬群1.66点で「ともに悪化」しました.またその差は0.45点,つまりレカネマブは0.45/1.66(27.1%)悪化を抑制したということになります(P<0.001)(③).つまりごく早期の患者において,18ヶ月で悪化はするものの,18点中0.45点という抑制があることをどう解釈するかが求められるわけです.

また「27%進行を抑制する」ばかり強調されますが,この表現は誤解を招くとも言われています.重要なのは変化でなく,実際の点数であり,その効果を実感できるかどうかです.つまり開始前の3.2点と,18ヵ月後の点数(レカネマブ群4.41点と偽薬群4.86点.その差0.45点)を比較することになります.現実の世界では偽薬群と比べて18ヶ月間で0.45/4.86(9.3%)の違いしかなく(④),患者・家族がその効果を実感することはまずないだろうと言われています.年間約350万円という価格ですので,どのような人に使用すべきかという議論があります.私は共同通信社からの依頼で,今年1月に「指標」欄に意見を執筆しました.私の考えは治療効果に応じて薬の価格が変動する「償還払い方式を導入すべき」というものですが,じつは18ヶ月間で18点中0.45点の差と軽微であるため厳密な効果判定は難しいのかもしれません.

さらに治療による効果や有害事象の程度を評価する必要があります.その指標となる治療必要数(NNT)は,ある治療を行った場合,1人に効果が現れるまでに何人に治療する必要があるのかを表します.しかしレカネマブでは認知機能が改善することはないのでNNTを計算することはできません(⑤).一方,有害事象は害必要数(NHH)を計算します.有害事象45%,アミロイド関連画像異常(ARIA)が26%で,計算すると3,すなわち3人に投与すると1人に害が及ぶということになります.よって⑥に100人治療した時の結果の内訳を示しますが,改善(緑)なし,悪化(オレンジ)2/3,有害(紫)1/3となります. レカネマブの特徴が一目瞭然の図です.

ちなみにレカネマブ群対偽薬群で,死亡0.7%対0.8%(6例対7例),重大合併症14.0%対11.3%,ARIA-E(アミロイド関連画像異常-浮腫/浸出)12.6%対1.7%,ARIA-H(同-出血性変化)17.3%対9.0%,症候性ARIA-H 0.7%対0.2%でした.ARIA-Eは開始3ヶ月以内に生じたものの,いずれも軽症ないし無症候で治験の中断には至りませんでした.ただしARIA-EはApoE ε4ホモでは高率でした(ARIA-E 32.6%対3.8%).J Prev Alzheimers Dis誌に発表されたレカネマブの適正使用ガイドラインでは,安全性確保のためにAPOE遺伝子検査を推奨しています.

最後(⑦)に「レカネマブ用量依存性脳萎縮」が書かれています.18ヶ月間で偽薬群17500 mm3の萎縮が生じますが,レカネマブ群ではより高度の22000 mm3という脳萎縮が生じます.この差は4500 mm3ですので,偽薬群より4500/17500=26%(ティースプーン1杯程度の体積)萎縮が高度です.なぜ萎縮が促進されるのか,この萎縮がどういう意義を持つのかはまだ不明です.

そのほかにも知っておくべき重要な事項があります.
◆脳アミロイドアンギオパチー(脳血管にアミロイドβが沈着する疾患)を合併する場合,レカネマブで脳出血を合併しやすく,これまで3症例の死亡例の報告(2例目,3例目)があること.よって脳アミロイドアンギオパチーをきちんと除外する必要があるが,その診断は必ずしも容易ではないこと.
◆死亡例の中に,レカネマブ使用中に脳梗塞を発症し,その際に血栓溶解療法を行ったところ大出血→死亡した症例が含まれていること.
◆ARIAの長期的な影響は不明であること
◆APOE遺伝子検査は推奨されるが,遺伝子診断の体制づくりと,診断後の適切な説明・カウンセリングは容易ではないこと.

以上を参考にしてレカネマブへの理解を深めていただければと思います.

No.3:日本経済新聞2023年7月9日(朝刊)社説(電子版は7月8日)
[社説]認知症薬いかし治療を前に

レカネマブは米国で正式承認された
認知症は早期に対応すれば治療が可能な時代に入った。世界で推計5000万人の患者がいる「現代の病」だけに、日本の製薬会社エーザイが米バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」への期待と影響力は計り知れない。
米食品医薬品局(FDA)が6日、レカネマブを正式承認した。「メディケア」と呼ぶ高齢者向けの公的医療保険の対象となり、米国での治療が今後、拡大していくだろう。
これで国内でも9月をメドに厚生労働省が医薬品として承認する公算が大きくなった。国が薬価を算定した後、年内には医療現場で使えるようになる見通しだ。
レカネマブは対症療法ではなく、脳内の原因物質とされるアミロイドベータを除去する世界初の治療薬だ。発症すると医療の選択肢が極めて限られていたアルツハイマー病の患者や家族にとって希望の光に違いない。
ただ、治療対象となるのは早期段階かその前の軽度認知障害(MCI)の患者だけだ。しかも症状の進行を遅らせることはできても「治る」わけではない。この点をきちんと理解しておくことがとても大切といえる。
米国ではレカネマブの値段は年間2万6500ドル(約380万円)になった。日本の薬価はこれより低くなるとみられるが、適用人数が増えると医療財政の問題に発展するかもしれない。
医療として定着させるにはほかにも課題がある。治療の対象かどうかの見極めに脳内のアミロイドベータの蓄積を調べるが、検査できる施設は限られる。専門医の数も少ない。治療を受けたくても受けられない患者が出ないよう、医療機関の連携など体制整備が急務といえる。
この20年余り、アルツハイマー病治療薬の開発に欧米の巨大製薬企業が挑んだが、失敗してきた。エーザイの快挙をいかし、日本が率先して認知症の克服モデル構築に取り組んでもらいたい。

関連情報
資料①:知っておきたい認知症の基本(政府広報オンライン)
資料②:アルツハイマー病の予防は運動と睡眠で(オムロンヘルスケア)
資料③:下畑享良教授のスライドショー『睡眠による認知症予防』

関連動画
筑波大学人間系・山田実教授の研究室のweb版集いの広場から、
配信第53号「認知機能低下予防について」
配信第78~90号「軽度認知障害について」

(作成者)峯岸 瑛(みねぎし あきら)