街角にpoleを持ってwalkingの世界を作ろう

~ 多田羅浩三先生のポールウォーキング~

MCプロ 田村芙美子(たむら・ふみこ)

2025年には超高齢社会を迎え、平均寿命延伸ではなく、健康で長生きしたいというのが国民の共通した願いです。近年、健康作りが盛んに行われる中で、「高齢者は受け身の立場ではなく、自らが健康作りの主役にならなければいけない。」と常に主張されていらっしゃるのが、大阪大学名誉教授の多田羅浩三先生です。先生は公衆衛生学がご専門で現在も一般財団法人日本公衆衛生協会の会長ですが、代表的な著書に「医学清書ー健康を支える知恵と制度の歩み」があります。今回は先生のお許しを得てこの中からポールウォーキング(以下PW)に関する部分を引用させていただきます。

       多田羅浩三先生

「ポールを持ったウォーキング」の特徴として、以下の4点を列挙されます。

第一の特徴は、何よりも楽しく歩くことができるということである。子どもたちは、ボールを持つと、楽しい気持ちになる。そして投げてみたくなる。蹴ってみたくなる。だから野球をしたくなる、サッカーをしたくなる。同じように、ポールを持つと、楽しい気持ちになる、そして歩いてみたくなる。そのため健康づくりの運動を自発的に長く続けることができる。

第二の特徴は、ポールを持ったウォーキングではポールを持って歩くということが仲間意識をつくってくれて、仲間のみんなと一緒に健康づくりに取り組むことができることである。

第三の特徴は、ポールを持ったウォーキングではポールを持って自分たちの町の通りを歩くことによって、高齢者の皆さんが、仲間と一緒に健康づくりに挑戦しているということを町の人たちにデモンストレーションすることができて、誇らしい気持ちで、健康づくりに取り組むことができることである。

そして第四の特徴は、ポールを持ったウォーキングは、ウォーカーの運動機能の向上、生活の活性化に優れた成果を有するということである。このことは、これまでの科学的な調査、研究によって、すでに詳細に報告されている。

以上の特徴を持つことから、先生は、
①ポールを持ったウォーキングは、我が国の高齢者や歩くことが難しい人たちの健康づくりの主役を担うという、大きな役を担うことができる。
②高齢者や歩くことが難しい人たちの楽しいウォーキングの場が生まれ、全国の全ての市町村の街角に、「自分の健康は自分で守る」、自ら進める健康づくりの場が生まれて、人々が自ら自発的に進める健康づくりの実践が育って欲しい。
③そして高齢者や歩くことが難しい人たちによるポールを持ったウォーキングが広く普及して、人々の健康づくりの舞台である保健指導や介護予防の世界が大きく育つよう、ポールを持ったウォーキングを愛する皆さんの尽力、連携を求めたい。
と仰っています。

先生とは、数年前千葉県鋸南町でのNW,PWの4団体合同キャンプ以来、介護予防地域ビジネス研究会での2025問題研修会などで講演を伺う機会が増えました。更にこの数年は私どもの杉ポ会(元気学校校條諭氏主催の『杉並ポール歩きの会』)の定例会にほぼ毎回ご参加頂くようになりました。

先生はどこに行かれるにもPWポールを日常使いに愛用されて、この春の石神井公園の杉ポ会ベーシックコースでの歩容チェック撮影の際には、背筋をピンと伸ばし肘をしっかり引いて歩幅を大きく歩かれる若々しい歩行姿勢に皆で感嘆の声を挙げました。「いつものとおりだよ」と先生は照れ笑い。ポールを愛し、継続は力なりを実践された成果です。(写真右が多田羅先生、左が筆者の私です)

心臓は動いても筋肉がなければ衰えます。寝たきりの道に進まないように筋肉を作る事は高齢者には特に不可欠な要素です。ポールを持って歩いて血流の滞りを防ぎ、筋肉をつけて自分の身体を守る意識が大切だと先生は説かれます。

出典:NPWA会報誌Vol.17(2018/12/25)

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