事例:佐々木尚美さん

リハビリから指導者へ〜ポールウォーキングの可能性〜

台東ポール歩きの会 佐々木尚美(ささき・なおみ)

ポールウォーキングを始めて 5 年になります。私は現在、線維筋痛症(せんいきんつうしょう)という病気で、全身に常に痛みが走り、筋肉が過緊張になり、身体の可動域に制限がかかります。それでも指導者になったのは、ポールウォーキングで一度は失いかけた「歩行能力」を復活できたからです。

2012年健康番組で「ノルディックウォーキング」を見て、当時500m歩くのに身体がふらつき、休み休みで 20 分かかっていた私には「姿勢良く軽く歩ける」見た事ないこのグッズがとても魅力的でした。早速ノルディックポール体験会に参加しようとした時、事前勉強で動画を見ると、テレビで見た動きと違う事に気づき「あのポールはなんて言うのかな?」と調べ始め、2013 年、動画でポールウォーキングを発見。それは「日本ポールウォーキング協会の動画集」でした。「ウォーキング用ポール」はネット販売店で「あんしん 2 本杖」を購入。動きは全て動画で独学し、ポールが届いて、すぐに近所の路地で一人で練習しました。30 分後には、ふらつかずに歩けるようになってました。嬉しくて町内を 1 周歩いたのを今でも忘れません。歩けた嬉しさのあまり、ポール販売店にお礼メールを送った所、私の事情に感動してくださった店長さんが、あまり動けない私の為にMCコーチと一緒に我が家に来てくださり、近くの公園でプチ講習会を開いてくださいました。これが後に指導者になるきっかけとなります。

「ポールウォーキングにたどり着くまでに1年かかった」事から、ポールの購入から使い方までコーチが対応し、かつ毎日対応できればと感じ、自宅1階にウォーキング用ポールの展示スペースを作り、「台東ポール歩きの会」を発足、ポールウォーキング教室を始めました。もちろん一人では体力的にできないので健康運動指導士の友人が協力してくれます。自宅は近所の運動よろず相談所となっています。

ポールウォーキング教室では、教室の前半45分はポールと椅子を使っての室内でのストレッチや筋トレ、後半45分は不忍池でポールウォーキングと、筋トレと有酸素運動を両方指導しています。これなら教室や体験会が当日雨でも休止する必要もなく、参加される皆さんは、ポールは歩く以外にもトレーニング器具として利用できる事を学習してくれます。

私にとってのポールウォーキングの効能は「ふらつかずに歩ける事」に現れました。500mの歩行時間が20分から7分まで縮まり、途中で休む事もなくなりました。すると歩ける事に自信がついて行動範囲が広がります。常に出歩く時はポールウォーキング。歩けば体力もつく、有酸素運動が簡単に続けられる。これほど簡単な方法でしっかりした運動ができる事は素晴らしい効能です。

ポールウォーキングを継続して実践するには、「歩く先に目的がある」と効果的です。
・毎日通う場所にポールウォーキングで通えば毎日継続できます。
・散歩好き以外でポールウォーキングを継続するには、歩いた先に「見たいものがある」「食べたい物がある」など、目的が具体的にあると継続します。

これからポールウォーキングを始める方に、コーチの皆様は「楽に歩ける嬉しさ」を伝えて欲しいです。縁なのか私の所には歩行が苦手になった方々が多くいらっしゃいますが、ポールウォーキングで歩いた時の嬉しそうな顔を毎回見ています。「歩ける」と言う事はそれだけ素晴らしい事なのです。これから指導される皆様には、単にポールウォーキングを教えるだけでなく、その先にある「歩ける事は素晴らしい」事を忘れないでください。

出典:NPWA会報誌Vol.17(2018/12/25)

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もう一つの記事:「事例:江藤達也さん

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