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スタンダード技術 ポールウオーキング

「パンチ&プル」動作について

ポールウオーキング・スタンダード技術の「パンチ&プル」の動作についての記事です。NPWA会報誌Vol.14(2017年12月25日)から転載しました(一部修正あり)。

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ポールウォーキング「パンチ&プル」メソッドは腕の振りを大きくする!?
“大きい腕振りは、歩幅を拡大してピッチを増やす”

峯岸 瑛(みねぎし・あきら)
日本ポールウォーキング協会 学術本部長
安藤 邦彦(あんどう・くにひこ)
日本ポールウォーキング協会 会長

なぜ、PWは、歩幅を拡大させ、ピッチをグ~ンと増やすのでしょうか。
考えはじめるとハマってしまい、長い秋の夜が眠れませんでした。
ポールウォーキング(PW)は、10年余前に整形外科専門医(当協会の会長)によって考案開発されました。

PWは、独特な腕振り(スイング)を提案していて、ノルディックウォーキング(フィンランド)、レースウォーク(競歩)、フィットネスウォーキング(日本ウォーキング協会)、自衛隊行進、集団行動(日本体育大学)等とはまったく異なります。集団行動などで採用されている肘関節を曲げないスタイルのスイングで、腕を大きく振れば歩行スピードが上がると言われていますが、力学的な説明は見当たりません。

ヒトの上肢は、肩甲骨―胸郭―脊柱―骨盤を介して下肢へ連動します。お互いが影響しながら連動するので、上肢の運動レベルが歩幅やピッチを決定する要素になっていると感じます。

今回は、上肢(肩関節と肘関節の動き)にフォーカスして「パンチ&プル」メソッドの運動モデルを作ってみました。上肢の前後方向への力配分は、パンチ&プルによって大きく変化すると推測できるので、このモデルを用いて作図上で腕を大きく振ってみました。

1)肘関節を伸展したままの通常の腕の振り
肩関節を起点とする振子で腕を表現すると、腕を上方に挙げる力aで、点(1-0)は、点(1-1)へと移動します。

2)肘関節を屈曲したパンチ&プルの腕の振り
パンチ動作(右腕):力b(力の大きさとしてはaと同じとする)で肘部を水平方向に押し出すように振ると、腕は肩関節を起点としているので、肘関節は上方にも移動します(点(2-0)から点(2-1)へ)が、水平方向への力は、肘関節を曲げない通常の腕の振りより大きくなると思われます(力bの水平方向の成分は、力aの水平方向の成分より大きい)。
プル動作(左腕):力B(力の大きさとしてはAと同じとする)で肘部を水平方向に引くように振ると、腕は肩関節を起点としているので、肘関節は上方にも移動する(点(2-0)から点(2-2)へ)が、水平方向への力は、肘関節を曲げない通常の左腕の振りより大きくなると思われます(力Bの水平方向の成分は、力Aの水平方向の成分より大きい)。

図―1のように肘関節を屈曲してスイングしたほうがより大きなパワーが生まれます。
このパワーが、体幹―骨盤―下肢へ伝達され歩幅の拡大やピッチ増加を誘導していると考えられます。

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(追記)上体が前傾せず立っていて、腕を振る力が同じ時、肘関節を屈曲させたパンチ&プルのスイングの方が、肘関節を伸ばした振り子のような腕の振りよりも、水平方向の成分が大きくなるとの推論には、平面ベクトルの大きさの公式を使っています。

平面ベクトルの大きさの公式から、平面ベクトルGの水平成分をE、垂直成分をF とすると、「ベクトルGの大きさの2乗は、(水平成分Eの2乗+垂直成分Fの2乗)に等しい。」ので、平面ベクトルの大きさが同じであれば、垂直成分が小さい時は、必ず水平成分は大きくなります。

作成者:峯岸 瑛(みねぎし あきら)
作成日:2022年11月27日

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