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ALS iPS細胞 アルツハイマー病診断 パーキンソン病 直立2足歩行 髄膜リンパ管機能低下

2025年4月のニュース

新年度入りとあってか、活発な情報発信が行われています。関連学術ニュースで、岐阜大学医学部下畑先生からの最新医学情報、iPS細胞を使ったパーキンソン病治療の第I/II相試験に関するニュース、体幹と脚の相対位相の制御についての研究報告をお届けします。

1.2025年4月の活動状況
田村 芙美子さんの投稿
4/1 令和7年度初回定例会 予定では腰越の丹後が谷公園で恒例のお花見ポールウォーキングの会でしたが、冷たい雨と凍りそうな寒さで、初めて室内🌸🌸花見会となりました。20名のメンバーさんのうち15名出席。ポールで身体を暖めてからおやつに手を伸ばし、注文のお弁当が届くとお喋りの花🌸を咲かせながら賑やかにいただきました。10年目を迎えたこのサークルは広町里山と江の島を拠点にしてきましたが、皆さん歳を重ねて、たまには平らなところも歩きたいと言う希望が出ました。 義経・弁慶の満福寺辺りから始めましょうか。継続は力。

田村 芙美子さんの投稿
4/4 渋谷区健康すくすく事業ポールウォーキング教室2025新学期。 FBアップに3度失敗し(原因不明)これは力尽き4度目なので大幅に省略します。また明日にでも・・・  ※FB不調の原因は更新の為でした

片山昇さんの投稿
今日は良い天気の中東林包括支援センターのノルディック&ポールウォーク5日間教室の最終日 汗ばむようなお天気の中、桜も咲き乱れ、花桃も咲いていてgoodな最終日でした、皆さんとっても物覚えが早く、私が煽られてヒーヒー、来週から自主サークルグループも立ち上がり、皆で楽しくこれからも歩いていただけそうです。100歳まで楽しく歩き続けましょう。(歩かないと歩けなくなる)を合言葉に

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 2025年度PW歩き始め〜 3月の冬眠を経て集まった60名越えのポールウォーカー〜 〜待ってたよ❗️今年もよろしく〜の声をアチラコチラで聴き感激のスタートでした。 次回は来週桜満開?の〜さくラさく小径公園〜を闊歩です。

長谷川 弘道さんの投稿
昨日は、月に一回の津島市天王川公園の早朝ポールウォーキングデーでした❗️ 15名の皆さんにご参加いただきました😊 私の左にいらっしゃるのはこの津島市の日比市長。そのお隣は奥様のみどりさんです。 毎月第一土曜日の朝の7:30から、2本の専用ストックを使ってのウォーキングをみなさんで楽しんでいます❣️ 満開の桜の下、15名の皆さんとご機嫌な時間を過ごしました‼️ 初めての方でも、気軽に参加できるポールウォーキングです☺️ 来月はイレギュラーになりまして2週目の土曜日、5/10になります😊 ちょっとタイミングが遅いかもですが、藤の花が見れるかもです😅 新年度のスタート‼️ 新たなことにチャレンジしてみませんか‼️

NPO法人船橋ウォーキング・ソサイエティさんの投稿
2025/4/5 2本のポールを使うウォーキング 土曜日 | 船橋ウォーキング・ソサイエティ

新地 昌子さんの投稿
2022年から始めた茨城県笠間市でのポールウォーキング講座、今年もやりまーす。嬉しいことに段々仲間が増えてきましたよ。故郷いばらきの元気を応援します。

NPO法人船橋ウォーキング・ソサイエティさんの投稿
2025.4.7 シニアポールウォーキング | 船橋ウォーキング・ソサイエティ

田村 芙美子さんの投稿
4/8 花祭り 三浦ネットポールウォーキング定例会。空は晴れ穏やかなお花見日和の心地よい1日でした。大巧寺からスタートし光明寺まで幾つかお寺を訪ね、行く先々で花祭りに出会いました。ウォーミングアップは妙本寺の広い参道下で。今日はポールがあるので難なく歩けました。そして桜の種類の多さに圧倒されました。

田村 芙美子さんの投稿
4/9 北鎌倉も快晴。@北鎌倉テラススタジオ121。青空に山桜が映えています。ウグイスの美しい声を聴きながら久々のテラスでストレッチング。テラスから見上げる六国見山の頂上は一面淡いさくら色。檜花粉以外良い季節になりましたね。マットに寝転びながら撮りました。

杉浦 伸郎さんの投稿
筋トレより花見 桜色がきれいな爽やかな青空が続いています。こんな時はアウトドアで五感を澄ますのも良いですね。花を咲かせるには、良い土壌(健康体)でなければ育ちにくいですよね。風にあたったり日光を浴びたりする効果は想像以上です。 新年度からスタートした介護予防教室の皆さんもお連れしますのでお楽しみに!

株式会社シナノ(sinano)さんの投稿
佐久市のシナノ、リハビリ対応ポール「しっかり2本杖」を発売|信濃毎日新聞デジタル 信州・長野県のニュースサイト

遠藤 恵子さんの投稿
介護予防運動教室終えて 午後からはサロンワークの水曜日!! 加圧トレーニングセッション!! あたたかい!! 気温21.3℃

新地 昌子さんの投稿
コーチとして参加している佐久PW協会の新年度が始まりました。第一回の定例会に約60名の参加者が。待ってたよ〜、なんて声かけられて、毎回こっちが元気をもらってます。 去年から筋トレ担当にされたおかげで、班分けして私がつくとみんな筋トレさせられるんじゃないかとビクビクしてます😆今年もやりますよー。優しくね💕

田村 芙美子さんの投稿
4/10 上皇ご夫妻の結婚記念日は4月10日と話ながら今日の貯筋クラススタート。ウォーミングアップのあとはSTEPエクササイズに取り組みました。補助脚を増やして高くすると腿を90度位あげることになります。ポールの使用は自由。順番に色々な高さに挑戦して下肢強化。バランス能力向上。往復の鎌倉山は桜🌸ストリートで花吹雪のなかを走りました🚙

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【花見三昧】    4/6〜10 ほぼ毎日花見  嬉しい春です

中嶋  佳奈恵さんの投稿
『ストレッチポールと出会えてよかった!!』

田村 芙美子さんの投稿
4/11 毎週金曜日午前中は東京渋谷まで出前教室です。雨予報でしたが曇り空のまま夕方まで濡れずにすみました。渋谷PWはこのクラス初のウォーミングアップを1つ1つ説明しながら筋トレまで。そしてポールウォーキング、右手左足~イチニイチニ。肘も引けて皆さん綺麗に歩けました。来週は自己紹介もしなくちゃね。午後は三軒茶屋までまた野暮用でした。

中村 理さんの投稿
春ビタミン色/水仙〜  カタクリ〜 枝垂れ桜〜と春を見にブラブラPW〜❗️ ソメイヨシノはもう少し先に〜ww 菜園始めの玉葱の春植え作業〜 冬越し玉葱は育っています〜 この調子でじゃがいも種植えも来週には〜 このご時世空いてる土が無いくらい菜園中野菜だらけに〜 帰宅後やっと土弄りで 瓢箪型の「陶函」作陶〜 小学孫のクラス体験学習「陶芸」の教材試作作り〜 と忙しい1日でした❗️ 明日も🌸花見PW散策でお出掛けです。

校條 諭さんの投稿
www.tokyo-park.or.jp

Ruri Nissatoさんの投稿
本日は、杉ポ卒業生のきまポ(きままにポール歩きの会)に参加🌸 三鷹駅から小金井公園とその周辺を8㎞。 たくさんの桜🌸を楽しみました。

長谷川 弘道さんの投稿
長谷川 弘道さんの動画

スマイルチームさんの投稿
2025.4.7〜13 活動記録 ☺︎スマイルチーム光が丘 健康チェア体操 21名 ☺︎健康体操サークル 13名 ☺︎スマイルポールウォーキング 12名 ☺︎青空ポールウォーキング 7名 ☺︎青少年部部会 ☺︎上鶴間公民館利用団体総会 ☺︎上溝新サークル活動ライン打合せ ☺︎e.J.LEAGUE2025横浜F・マリノス クラブ代表決定戦

Masami Yamagataさんの投稿
サン・アビリテーズにてポールウォーキング教室行います。 4月20日(日)10:00~12:00 定員:20名 申し込み方法:サン・アビリテーズ 028-656-1458 13日現在5名ですのでお友達お誘いでご参加ください。

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 雨の🌸花見散策で、 小雨(は決行)でしたが花冷えの中雨も感じない参加等、寒い寒いと言いながらの約1時間のPW散策でした^_^ 皆さん〜お疲れ様でした〜 桜🌸は写メの通り、レンギョウや水仙のイエローが鮮やかな「さくラさく小径」〜 信濃毎日新聞社の記者さんも参加し、皆さんを取材して居ました。 今日収穫の飴は〜ハート❤️〜の梅味でした〜ww

田村 芙美子さんの投稿
4/15 雨天のためPW活動は室内に変更。ところが教室を始めると窓の外は青空に☀ そこで、ウォーミングアップのあと 先日も雨のため室内お弁当花見になって行けなかった桜を観に御所が丘丹後ガ谷公園迄歩きました。かなり強い花散らしの雨風でしたので花びらは道路をピンクに染めるほど落ちていましたが風情があって皆満喫。公園の桜の木のしたでポールじゃんけんなどで遊びました。ドウダンツツジが見事でした。

Yoko Haraさんの投稿
鎌倉SUGATA4月より 毎月第1、第3水曜日 10時から11時30分 ノルディックスローウォーキング となります 前回は雨天の影響で中止🥲 本日☀️初レッスン 初体験者の方も参加 レディースDAYとなりました! 今年の桜はまだ楽しめる👍 葉桜が目立つ様になってきましたが、 とても気持ちの良いウォーキングとなりました! 次回は5月7日です 皆様のご参加お待ちしております♪ #ノルディックウォーキング #ノルディックスローウォーキング #フィンランド #SUGATA #鎌倉

佐藤 ヒロ子さんの投稿
#船橋ウォーキングソサイエティ #握力計測 #1km計測 #土曜日海老川コース 毎年毎に計測して  体力の変化を知ったら   手立てが大切ね 計測の合間に #お口の筋肉はパタカでトレーニング #骨盤底筋トレーニング 2025/4/19

森川 まことさんの投稿
本日は、手賀沼遊歩道開通した為歩いてみました。 湖畔を歩くのは気持ちがいいです。 八重桜、菜の花、ネモフィラなどが咲き誇り、コブハクチョウもゆったりとくつろいでいました。 来月は水元公園です。

遠藤 恵子さんの投稿
ありがたき幸せ♡ 7年越し♡ 【ポールウォーキング体験会】を某市民センターの市民講座で2講座開催させていただきます!! 館長にラブコールをいただいて7年目にしてようやく開催です!(この間、館長の移動がありなかなか実現に至らず) 他のセンターのご依頼は1講座、室内のみ、外歩きは行うことができなかったのですが今回は2講座の外歩きができます! ちなみにですね! ・1講座目は室内でポールウォーキング体験、ポールの長さの合わせ方から準備運動、歩き方、ポール筋トレなどをおこないます。 ・2講座目は室内で外歩き前にボールを使ってセルフフットケアー足はからだを支える土を体感していただいてから⇒ウォーキングコース(15分程度)をポールで歩きます!(雨天/室内) 今回の講座がご参加された皆様にとって、少しでもお役に立つことができれば幸いです🫶 発見 気づき 自信 楽しさ 喜び etc. 私にとってとても楽しみな講座です! 館長に感謝です🙏✨️✨️✨️✨️ #ポールウォーキング体験会 #フットセラピスト #セルフフットケア #足はからだを支える土台 #ポールウォーキング #歩行動作 #歩行能力 #歩けるからだ #姿勢改善 #バランス力 #転倒予防 #歩幅 #全身運動 #ゲンキクリエイターケイコ #ポールウォーキングマスターコーチプロ #市民講座 #出張講座 ※ポールウォーキングの写真は参考までに

新井 恵さんの投稿
#ポールウォーキング #桜の散歩道

Ruri Nissatoさんの投稿
チューリップ🌷チューリップ🌷チューリップであふれたここは横浜公園🌷 金曜日みなとみらいのポールウォーキング教室に参加してきました。 指導頂くのは酒井尚美さんと原庸子さんの2名の先生。 きちんとフォーム きちんとストレッチ きついわぁ💦😆 しっかりコース 学び満載でした😃 海のそばは気持ちいいですね💕💕 毎月 第1金曜日は酒井さんのみなとみらいを歩く会10時桜木町駅集合 第3金曜日は酒井、原美女お二人のビシビシ厳しく楽しい会 10時関内横浜スタジアム集合 参加費1,000円 皆さまご参加下さい💕

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
🎉【日式健走 Basic Coach】培訓課程圓滿結束啦!👏🎌 4/19(六)我們在滿滿熱情與專業中, 完成了這場由 日本健走杖協會 NPWA 唯一授權的海外培訓課程✨ 📚 課程內容豐富實用, 每位學員都全力投入,不只學習到專業知識, 也體會到日式健走的獨特魅力 💪 👣 一步一腳印,大家都邁出了屬於自己的專業之路, 未來也將成為推廣健康生活的推手!👏 💡如果你也對日式健走有興趣, 想參與更多活動, 記得持續關注我們的最新消息唷!📣 【日式健走 Advance Coach 培訓課程】 ➡️https://forms.gle/5po6HgLUfUD4ZS4C6 ❗此課程限定取得「日本健走杖健走Basic Coach」認證資格者參加❗

日本ポールウォーキング協会 npwaさんの投稿
4月20日に今年度初となるスキルアップ研修会東京会場を開催しました。 参加者29名と多くのコーチが集まって下さいました。 今年度のテーマはマニュアルに沿った指導法と用語の統一ということで、BCマニュアルの補足説明を重点的に行いました。 皆さん熱心で非常に充実したスキルアップ研修会となりました。 次回開催は7月6日(日)長野県佐久市 となります。 多くのコーチの参加をおまちしております。

高橋 美保子さんの投稿
. . 【第39回宮古島トライアスロン大会】 2025.4.20 無事に2回目完走しました!  去年より1時間早くGOAL 🏁 自分自身の目標達成😭   スイムはバトルを避けて 1番左から🏊‍♀️ 潮の流れはほとんどなく ほどよい距離感で泳げてスイムアップ バイクは向かい風も強くなかったので 淡々と漕いでゆく 前半つま先と脛が痺れ始め… シューズのワイヤーを全開にしたら改善✨ 100km過ぎてからなぜか脚がよく動き出す んー、もっと早くからギアを入れたい🥲 ランも淡々と 自分のペースを崩さず 最後まで走る 辛すぎないペースを意識 序盤、寒さを感じヤバイなと… バナナ、餅、レモン🍋食べてたら落ち着く 25km過ぎ? 恵みの雨が降ってきた!気持ちー✨ 去年の11月から トライアスロンのプロに 練習メニューを組んでいただいたこと 結果に繋がったと思う 練習の量、質のあるメニュー 未熟の私にとって学ぶことばかり 真謝坂をあっという間に感じたのも コーチの練習のおかげ “ 絶対に欲張らない ” 常に胸におき、レースに挑む 練習してきたことは裏切らない 結果がついてきたので本当に嬉しい マキさんには感謝の気持ちでいっぱいです🙏 @nishiuchimaki 一緒に練習してきた、あや姉✨ 今年もありがとう😊😊 トライアスリートの大先輩方とも 一緒に練習させていただいたりアドバイスを沢山いただきました🙏 カラダメンテナンスも大変お世話になりました🙇‍♀️🙇‍♀️ @hiyori_sports_miyako @shinkyu_shin 設営•運営の皆様、ボランティアの皆様、 レスキュー関係者の方々、 沿道の応援して下さった皆様 たくさんの方々の力で大会を無事に完走することが出来ました🙇‍♀️ ありがとうございました!!! @miyakojima_triathlon また来年😆😆 #宮古島トライアスロン #トライ女子 #完走 #ちゅら風 #超える目標は自分自身 #神様は見ている #練習は嘘つかない #鬼コーチは女神 #また来年 #ゴミ拾いまでがトライアスロン

とちぎポールウォーキング会さんの投稿
20日宇都宮市サン・アビリティーズでのポールウォーキング教室グラウンド周りを歩きました。

田村 芙美子さんの投稿
4/24 教会の裏山に山藤!腰越なごやかセンターの貯筋クラスは貯筋棒を使って筋トレ。来月11日で41年続いたLESANGES西鎌倉店が閉店すると知って有志10人で運動後行ってきました。常連さんが間際に電話で席を確保できLUCKY💕

佐藤 ヒロ子さんの投稿
船橋ウォーキングソサイエティ 2本のポールを使うウォーキング 木曜日定例会 うっすら汗をかき1kmと握力の計測が終了 定例会後は第15回定期総会を開催 スタートがあれば   けじめのゴールがある。  3年後にむかい   一層の努力を重ねる   スタッフの想いが一致! よい話し合いが出来ました。

田村 芙美子さんの投稿
4/26 (訳あって深夜便) 茨城県小町の里ポールウォーキングで花山歩き。土浦に向かう常磐線が荒川沖でストップ!その先で人身事故とのアナウンス。復旧の見通し悪く 土浦待合せの友達が急遽荒川沖駅に🚙で駆けつけてくれ、30分遅刻で集合場所「小町の里」に行くことができました。ここはパラグライダーのスクールがあり、頭の上は鳶と見間違えるほどたくさんのパラグライダーが優雅に飛んでいます。1月以来の訪問ですがハイキングコースは初めて。スタート前に近くの農家の採れ採れ蕗をGET。花の写真は明日UPに。

田村 芙美子さんの投稿
4/27昨日アップできなかった写真集(これでも抜粋) コメ欄にいつものように一言ずつ入れました 顔はそのまま・・

スマイルチームさんの投稿
2025.4.21〜27 活動記録 ☺︎スマイルチーム光が丘 チェア体操19名 ☺︎青少年指導委員総会(欠席) ☺︎チームTシャツ配布 ☺︎スマイルチーム上溝 リズムダンス19名 ☺︎相模原市文化協会役員会議 ☺︎スマイル星が丘ポールウォーキング6名 ☺︎上溝シニアサポートCSWメール ☺︎青少年指導委員横山公園ウォーク(欠席) ☺︎スマイルチーム上溝 新年度活動に関する書類まとめ ☺︎ティンカーベル練習参加

田村 芙美子さんの投稿
4/27 逗子椿公園も藤の季節になりました。毎年見事な白・紫の、藤に心躍ります🎶 今日も爽やかな五月晴れでしたが少々気温が上がり 歩き続けるのを断念した方が一人。新米ACさんがウォーミングアップひとつ挑戦されました。今後を期待します。夏に向かって休憩する公園には影が必要です。COOLDOWNの代わりにリンパ体操をして今日はおしまい。駅前の春祭りをホームから観覧🎶

新地 昌子さんの投稿
桜はあきらめていたのに、八重桜が待っていてくれた〜🌸幸せ🩷 笠間は春の大イベント陶炎祭(ひまつり)が29日から開催されます。すでにテントが並んだ会場をちょっと覗きながら、ポールを使って体を整えたりウォーキングの約2時間でした。 来月はふるさと案内ガイドさんの説明付きで、笠間稲荷を散策します。

新地 昌子さんの投稿
笠間トモアのポールウォーキング講座 2025年の上期スタートしました🎉 今日の参加者13名。男性4名・女性9名。年齢は50歳から84歳。今日初めて参加された方が3名。その感想は、、、 「見るのと、やるのとでは、本当に大違いでした!メンバー全員の雰囲気も良く、楽しんで参加できました。」 嬉しい言葉です😊先頭を歩いた鈴木コーチが「ポールウォーキングは楽しくおしゃべりしながら歩いていいんですよ」と声をかけてくれたおかげで、いつにも増して賑やかな講座でした😊こういう声かけ大好きです👍 今日は肘の引き方をお話ししたら、それはお茶に通じますね🍵との声が。それが 面白くてまたみんなでひと盛り上がりしました😆5月が楽しみです。

新地 昌子さんの投稿
生徒さんの上達ぶりがすごくて、自慢したくなりました😆

中村 理さんの投稿
世の中大型連休の始まり〜ww 年金暮らしシニアには・・・ この不順天気で今朝の浅間山は冠雪に〜 この花分かる方は〜? 林檎🍎の花でした。 まじまじ見ると意外とチャーミングな色合いでかわいい花ですね。 今日はシードルさんのリンゴ園/小諸に伐採木材を頂きに〜❗️ 付近に有る高圧線鉄塔が珍しく真下より・・!

田村 芙美子さんの投稿
4/29 昭和100年、平成37年、令和7年、2025年の今日はお天気も良く爽やかな日射しだったので久々のフラセンに行ってきました。ここは鎌倉市大船の桃源郷。春の花・初夏の花が咲き狂って!いました。バラ園 ぼたん苑 芍薬苑 ミツバツツジの群れ 広場のネモフィラの大河 植物園のなかも蜜蜂の展示会、色鉛筆画展、エビネ展等々見回れない位。

来月以降の開催
中嶋  佳奈恵さんの投稿
私は月曜日の9時から 5月12.26日に担当します。 ストレッチとリズム体操で一日を スタートして行きましょう❣️ よろしくお願いします。

長岡智津子さんの投稿
写真1件

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
【日式健走 Advance Coach 培訓課程】 日式健走進階教練培訓課程來了~ 兩日的課程,帶你深入學習健走杖運動的進階技巧,在理論與實作中不斷突破增進能力~ 想要規劃與教導一般民眾學習日式健走的你,趕緊來參加進階班! ❗此課程限定取得「日本健走杖健走Basic Coach」認證資格者參加❗ 課程日期:2025/5/17(六)、5/18(日) 9am~17pm 課程地點:大同運動中心 ‧滿10人開班,上限20位‧ 詳細課程辦法及規範請見報名表 ➡️https://forms.gle/5po6HgLUfUD4ZS4C6 期待課程中與你相見,共同學習❤️

柳澤 光宏さんの投稿
今年もやります!5月17日(土)工場祭。 毎年5月に行っており、昨年は500名ちょっとのお客様にご来場いただきました。 ・ここでしか買えないアウトレット品 ・こどもも楽しめるアルミパイプを使ったクラフト体験 ・工場見学 ・佐久長聖高校 ダンス部と吹奏楽部 ・浅間中学校 吹奏楽部(今年初参加) などなど 昨年大人気のブースで行列ができてしまった部分のオペレーションを見直し、快適に楽しんでいただけるように工夫しています。 皆さんお待ちしております(^^)/

中嶋  佳奈恵さんの投稿
『ハッピーフェス対ポールウオーキング参加者募集!』

 

2.PW関連学術ニュース
2-1)体幹と脚の相対位相も厳密には制御されていない
大阪大学工学部青井教授他は、既に「歩行中の両脚の逆位相関係が厳密には制御されていない」ことを明らかにしています(『2024年10月のニュース』ご参照)が、同様の方法で、「体幹と脚の相対位相も厳密には制御されていない」ことを明らかにしました。

【論文】
Haruma Furukawa 、Takahiro Arai 、Tetsuro Funato 、Shinya Aoi 、Toshio Aoyagi、「Bayesian estimation of trunk-leg coordination during walking using phase oscillator models」
Neuroscience Research、Available online 22 October 2024
https://doi.org/10.1016/j.neures.2024.10.002
古川 春馬 、新井 貴浩 、船戸 哲郎 、青井 伸也 、青柳 敏夫、「位相振動子モデルを用いた歩行中の体幹と脚の協調のベイズ推定」

**以下、同論文からの抜粋(翻訳はChromeによる)**
ハイライト
•歩行時の体幹のリズムは脚と2:1で同期しています。
•移動方向に乱れが生じた場合、胴体は前方に傾くことで姿勢を維持しようとします。
•体幹と脚の相対位相は厳密に制御されるのではなく、断続的に制御されます。

要約
ヒトの歩行においては、脚と他の身体部位が協調して適切な位相関係を持つリズムを生み出しています。パーキンソン病などの歩行障害のリハビリテーションの観点からは、歩行リズムの制御機構を理解することが非常に重要です。先行研究では、歩行中の脚の動きを結合位相振動子に還元することで、歩行中の両脚の逆位相関係が厳密に制御されているわけではないことが示されました。しかし、脚以外の制御機構については未解明な点が多く残されています。特に、体幹は脚と連動して動き、脚の上部に位置し、人体の質量の半分以上を占めるため、歩行の安定化に重要な役割を果たしていると考えられます。本研究では、結合位相振動子モデルとベイズ推定を用いて、矢状面における脚と体幹の協調制御機構を明らかにすることを目的とします。その結果、脚と体幹の協調、そして脚間協調が厳密に制御されているわけではないことが明らかになりました。

1.はじめに
体幹の制御は、安定した歩行を実現するために極めて重要です。体幹は体重の50%以上を占め(Dempster, 1955、Plagenhoef et al., 1983)、わずかな体幹の傾きでも各関節に大きなモーメントが生じる可能性があります(Preece and Alghamdi, 2021)。さらに、ヒトは四足動物と比較して支持基底面(BoS)が狭いため、重心がBoSの周囲から突出する傾向があります(Winter et al., 1990)。さらに、歩行中の重心は脚よりも高い位置にあるため、歩行は機械的に不安定になります。

歩行中の脚の制御については、多くの研究者が研究を行ってきました ( Bauby and Kuo, 2000 , Collins and Kuo, 2013 , Arvin et al., 2016 )。これらの研究は、機械システムの安定性という観点から頻繁に議論されています。前額面における安定性は歩幅と強く関連していることが報告されています ( Bruijn and van Dieën, 2018 )。また、矢状面における脚の運動は、前額面における脚の運動よりも安定しています ( Bauby and Kuo, 2000 , McGeer, 1990 )。
本研究は、前述の機械的な安定性ではなく、歩行リズムの安定性に焦点を当てています。歩行においては、体の各部位がそれぞれ独自のリズムを持っています。これらのリズムは相互に作用し、適切な位相関係を作り出します。例えば、右足と左足は交互に動き(Alexander, 2002)、腕はそれに合わせて動きます。このリズム的な協調性は、健康な若者では通常安定していますが、高齢者やパーキンソン病患者では乱れることがあります(Plotnik et al., 2007 , 2008)。歩行障害のある患者を支援するためには、リズム的な協調性のメカニズムを解明することが有用である可能性があります。

歩行リズムの安定性に関する研究は、その重要性にもかかわらずほとんど行われていません。これまでの研究では、左右の脚の逆位相関係が歩行を安定させるために重要であるが、厳密ではないことが示唆されています(Arai et al., 2024)。つまり、脚間の協調は厳密に制御されていません。体幹も脚と連動して動いており、体幹と脚の協調は歩行の安定化に重要な役割を果たしているはずです。しかし、歩行中の体幹と脚の協調については、まだほとんど明らかにされていません。

本研究の目的は、歩行中の体幹と脚の矢状面における協調運動のメカニズムをリズム制御の観点から明らかにすることです。これを実現するために、非線形力学システムとベイズ推定法を使用します。位相縮減理論 ( Kuramoto, 1984、Winfree, 1980、Nakao, 2016 ) に基づいて、脚と体幹のリズム運動を結合位相振動子でモデル化します。次に、ベイズ推定法 ( Ota and Aoyagi, 2014 ) を使用して、時系列データからモデルパラメータを同定します。

図 1。(a) 本研究で提案する 2 つの位相振動子結合モデル。歩行中、脚と体幹は単一のリズムを持つものとし、それぞれに 1 つの振動子が割り当てられている。2 つの位相振動子は、外部摂動や確率的変動の影響を受ける。 (b)相対位相ψの自発的ダイナミクスを支配する関数f ( ψ ) の形状とその制御機構との対応関係。ψがψ = ψ cに固定されていると仮定する。f ( ψ ) が左側に示すようにψ c付近で平坦でない場合、 ψのわずかなシフトでも敏感に補正される。一方、f ( ψ ) が右側に示すようにψ = ψ c付近で平坦な区間を持つ場合、 ψがある値にシフトするまでは積極的に制御は行われない。

 

2-2)「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を⽤いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」において安全性と有効性が⽰唆
以下、4月17日付京都大学iPS細胞研究所(CiRA)のニュースリリースからの抜粋です。
***
京都大学iPS細胞研究所は、京都大学医学部附属病院と連携し、「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞注1)を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験(jRCT2090220384、UMIN000033564)」を実施しました。2018年6月4日付で独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に医師主導治験として治験計画届を提出し、2018年8月1日より治験を開始しました(CiRAニュース 2018年8月1日)。その研究成果がNature 誌2025年4月16日号に掲載されました。

7名のパーキンソン病患者さんを対象に、iPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞を脳内の被殻注2)に両側移植しました。主要評価項目は安全性および有害事象の発生で、副次評価項目として運動症状の変化およびドパミン産生を24カ月間にわたり観察しました。その結果、重篤な有害事象は発生しませんでした。iPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞は生着し、ドパミンを産生し、腫瘍形成を引き起こさなかったことが示されました。これにより、パーキンソン病に対する安全性と臨床的有益性が示唆されました。

1. 背景
パーキンソン病では、中脳黒質注2)のドパミン神経細胞が減少し、それによって動作緩慢、筋強剛、安静時振戦を特徴とする運動症候群を発症します。薬物療法は、初期の段階では運動症状を効果的に緩和しますが、長期に経過すると運動合併症や薬剤誘発性ジスキネジア(不随意運動)など対応が難しい問題が生じます。そのため、失われたドパミン神経細胞を補充する細胞治療が代替治療法として検討されてきました。欧米では、ヒト中絶胎児の脳を移植する治験が行われてきましたが、倫理的問題や安定した供給の困難さが指摘されてきました。CiRA髙橋淳教授らの研究グループはこれまでに、ヒトiPS細胞からドパミン神経細胞を誘導する方法を開発し(CiRAニュース 2014年3月7日)、サルのパーキンソン病モデルの脳内でドパミンを産生し、運動症状を改善することを確認してきました(CiRAニュース 2017年8月31日)。

2. 研究手法・成果
50~69歳の7名のパーキンソン病患者を対象に、iPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞を脳内の被殻に両側移植しました。主要評価項目は安全性および有害事象の発生で、副次評価項目として運動症状の変化およびドパミン産生を24カ月間にわたり観察しました。その結果、重篤な有害事象は発生しませんでした。MRI注3)による評価では、移植組織の異常増殖は認められませんでした。また、有効性評価の対象となった6名の患者のうち、4名が「国際パーキンソン病・運動障害学会統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)パートIII注4)」のOFFスコア注5)において改善を示しました。さらに、18F-DOPA PET注6)では、被殻のドパミン神経の活動が増加していました(下図:移植後に新たに観察されたドパミン神経の活動を矢印で示す)。以上から、iPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞が生着し、ドパミンを産生し、腫瘍形成を引き起こさなかったことが示されました。これにより、パーキンソン病に対する安全性と臨床的有益性が示唆されました。
3. 波及効果、今後の予定
この治療を一日も早く世界中の患者さんにお届けするために、実用化に向けて取り組んでいます。海外での実用化を目指した治験も並行して進行しています。⽇本国内では、国による承認申請に向けて製薬会社が準備を進めています。海外での実⽤化も⽬指し、⽶国カリフォルニア⼤学サンディエゴ校では2023年11⽉から医師主導治験が開始されています(CiRAニュース 2023年12月26日)。

5. 論文名と著者
・論文名:
Phase I/II trial of iPS-cell-derived dopaminergic cells for Parkinson’s disease
(パーキンソン病に対するiPS細胞由来ドパミン神経細胞治療の第I/II相試験)
doi: 10.1038/s41586-025-08700-0″>doi: 10.1038/s41586-025-08700-0
・ジャーナル名:Nature
・著者: 澤本 伸克ほか、

6. 用語説明
注1)ドパミン神経前駆細胞
ドパミンは神経伝達物質の一つで、ドパミン神経細胞の中で作られます。ドパミン神経前駆細胞は、ドパミン神経細胞に分化する前の細胞です。パーキンソン病モデル動物を用いた研究から、ドパミン神経前駆細胞を移植することによって脳内に成熟ドパミン神経細胞が効率的に生着することが明らかになっています。
注2)被殻・中脳黒質
いずれも脳の部位の名称です。パーキンソン病では、中脳黒質のドパミン神経細胞が減少し、被殻へのドパミン供給が不足することで、運動症状が引き起こされます。
注3)MRI(磁気共鳴画像法)
強い磁場と電波を利用して体内の詳細な画像を取得する医療画像技術です。脳や脊髄などを高精細に画像化することで、診断に役立てます。
注4)国際パーキンソン病・運動障害学会統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)パートIII
パーキンソン病の運動症状を客観的に評価する臨床スケールです。医師が動作を観察し、各項目をスコア化して症状の重症度や治療効果を評価します。
注5)OFFスコア
それぞれ、薬剤治療の効果がない時に実施した運動症状の評価です。パーキンソン病に対する細胞治療の治験で、一般的に行われている評価法です。
注6)18F-DOPA PET(ポジトロン断層法)
放射性薬剤を用いて、ドパミン神経の機能を評価する医療画像技術です。18F-DOPAの取り込み量を測定することでドパミン神経の活動を可視化できます。

関連情報
a) Nature誌2025年4月16日号には、本論文の他に、関連した次のようなニュース、論文、解説記事も掲載されています。
Smriti Mallapaty によるニュース記事
‘Big leap’ for Parkinson’s treatment: symptoms improve in stem-cell trials
Studies show the therapy is safe, but bigger trials are needed to prove its efficacy.
Tabar, V. et al.による論文
Phase I trial of hES cell-derived dopaminergic neurons for Parkinson’s disease
(https://doi.org/10.1038/s41586-025-08845-y (2025)).
Hideyuki Okanoによる解説記事
Clinical trials test the safety of stem-cell therapy for Parkinson’s disease
Transplanting dopamine-releasing neurons into the brain is a promising regenerative therapy for Parkinson’s disease. Two clinical trials show that it is safe, but more evidence is needed to prove its effectiveness.

b) また,このところiPS細胞を使った研究成果が続々と発表されています。例えば、
(1) 以下は、本件以外のCiRAからの本年4月中の発表です。
2025年4月15日:iPS細胞由来膵島細胞シート移植に関する治験 1例目移植実施について
2025年4月10日:翻訳開始因子EIF3Dはシグナル伝達経路のバランスを調整することで多能性幹細胞の自己複製を支える
2025年4月4日:日若年性認知症を来す前頭側頭葉変性症に対する治療薬候補と治療標的分子のiPS創薬による同定
2025年4月3日:慢性腎臓病(CKD)に対する細胞治療の効果をマウスで確認 ―数年以内の臨床試験開始を目指す―
(2) 大阪大学大学院医学系研究科・医学部からの発表です。
2025年1月27日:iPS細胞から作製した心筋細胞シートの医師主導治験の実施~重症心筋症の治療に向けて~
(注)関連ニュース:iPS細胞使った心臓病治療 大阪大学発ベンチャー企業が承認申請(2025年4月8日NHK NEWS WEB)

 

2-3)岐阜大学医学部下畑先生の最新医学情報(2025年4月)
・血液検査で将来のアルツハイマー病リスクがわかる時代へ:アミロイドβやタウと独立した新たなバイオマーカー「YWHAG:NPTX2比」の発見
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年4月3日のFB投稿です**
アルツハイマー病(AD)は,アミロイドβやタウタンパクの蓄積を特徴とする神経変性疾患ですが,認知機能の低下の進行速度には個人差が非常に大きいことが知られています.また脳内にアミロイドβやタウが蓄積していても,認知機能が保たれている人と,急速に悪化してしまう人が存在するのはなぜか・・・この問いは,これまでのバイオマーカー研究では十分に説明されてきませんでした.
その問いに正面から取り組んだ研究が,最新号のNature Medicine誌に掲載されています.米国マウントサイナイ医科大学やスタンフォード大学などの国際研究グループが,6つの大規模コホート(Stanford,Knight-ADRC,ADNI,DIAN,BioFINDER2,Kuopio)から集めた3397名分の脳脊髄液を対象に,網羅的なプロテオーム解析を行ったものです.その結果,「シナプスに関わるタンパク質群が,アミロイドβやタウとは独立して,認知機能障害の重症度と最も強く関連していること」を明らかにしました.特に注目されたのが,14-3-3タンパク質の一種であるYWHAGと,シナプス可塑性に関与するNPTX2との比率,すなわち「YWHAG:NPTX2比」です.この比率は,pTau181:Aβ42比に比べて,認知機能障害のばらつきをさらに27%多く説明し(図1左),タウPET画像では11%,またニューロフィラメントやGAP-43,ニューログラニンといったバイオマーカーでは28%多く説明できる能力を持っていました.
ちなみにYWHAGは14-3-3ファミリーのγアイソフォームであり,シナプス機能や細胞内シグナルの調節に重要な役割を果たしているようです.この14-3-3ファミリーは,プリオン病の診断に用いられる脳脊髄液中の「14-3-3タンパク」としても知られていますが,通常の臨床検査では複数のアイソフォームをまとめて(pan 14-3-3 antibodyで)検出するのに対し,本研究ではYWHAG(γ)を特異的かつ定量的に測定している点が大きく異なっています.つまり,プリオン病では14-3-3タンパク全体を調べているのに対し,より特定のタンパクに焦点を当てたバイオマーカーと言えます.
★訂正です:三條伸夫先生,佐藤克也先生より,プリオン病の14-3-3蛋白はγアイソフォームを測定していることをご教示いただきました.
図2では,このYWHAG:NPTX2比が,健常者,軽度認知障害(MCI),軽度認知症,中等~重度認知症とステージが進むにつれて段階的に上昇する様子が,異なるコホートでも一貫して示されています(図1右).また,この比率は,加齢に伴って徐々に上昇するだけでなく,常染色体優性ADの保因者においては,症状発現の約20年前からすでに上昇していることも示されており,発症前の予測指標としての有用性も期待されます(図2).健常者,孤発性AD,遺伝性ADのYWHAG:NPTX2比の経時変化を示したものが図3です.
さらに,この比率は,認知機能が正常なA+T1+(アミロイドβとタウ病理がすでに進行しているが,まだ認知機能が保たれているか初期段階)の人が軽度認知障害に進行するリスクや,MCIから認知症へ進行するリスクの予測にも有効でした.15年間にわたる追跡研究では,YWHAG:NPTX2が1標準偏差上昇するごとに,健常者がMCIへと進行するリスクが約3倍,MCIの人が認知症に進行するリスクが約2.2倍に上昇することが明らかとなりました.これらの予測力は,年齢やAPOE4遺伝子型,性別,および他のCSFバイオマーカーの影響を調整した上でも有意でした.
さらに注目すべきは,この研究が脳脊髄液にとどまらず,血液からでも同様の予測が可能であることを示した点です.著者らは13401検体の血漿プロテオーム解析を行い,「血漿シグネチャー(plasma signature)」と呼ばれるタンパク質群(図4左)のパターンを構築しました.機械学習を用いて開発されたタンパクの組み合わせによる指標です.この血漿シグネチャーは,脳脊髄液 YWHAG:NPTX2比の変化と部分的に一致し,脳脊髄液を用いなくても,ADによる認知機能障害のリスクの層別化が可能であるというものです.健常者がMCI,あるいは認知症に進行する予測に有用であり,特に高値群では将来の認知症発症リスクが最大で7倍以上に上ることも示しました(図4右).
本研究は,脳脊髄液バイオマーカーYWHAG:NPTX2比が,ADにおける認知機能の保たれやすさ(resilience)と進行リスクを高精度に区別できることを示しました.また,血液中のプロテオーム情報によって非侵襲的に同様の情報を得られる可能性も提示しており,将来の認知症予防や治療介入の選定に向けて大きな一歩となる研究です.一方で,近い未来,このようなバイオマーカーが日常臨床に実装されることを考えて,このような認知症の新技術にともなう臨床倫理的問題を考えていく必要性を感じます.
Oh HS, et al. A cerebrospinal fluid synaptic protein biomarker for prediction of cognitive resilience versus decline in Alzheimer’s disease. Nat Med. 2025 Mar 31.(https://www.nature.com/articles/s41591-025-03565-2)

・帯状疱疹ワクチンで認知症リスクが20%減少した!しかも効果には明らかな性差があった
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年4月4日のFB投稿です**
帯状疱疹の原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)をはじめとするヘルペスウイルスが,認知症の発症に関与している可能性が指摘されています(当科.森らの総説を参照;https://www.jstage.jst.go.jp/…/65_cn-002047/_pdf/-char/ja).これに関連して,ワクチンが認知症の発症リスクを抑えるのではないかという議論が活発になっています.そうした中,スタンフォード大学の研究チームは,Nature誌に注目すべき論文を発表しました.
この研究の特徴は,従来の観察研究と異なり,因果関係をより信頼性高く推定する「自然実験」正確には回帰不連続デザイン(regression discontinuity design)を用いている点です.これは,ある日時(今回の場合は生年月日)を境にして介入の有無が変わる制度上の仕組みを利用して,比較的似た人同士の間で介入の効果を見積もる手法です.具体的には,イギリスにおいて帯状疱疹ワクチンの公的接種制度(Zostavax)の導入が2013年に開始されました.その接種対象年齢が「1933年9月2日以降に生まれた人」と定められていたため,その前後に生まれた人たちは生活背景がほぼ同じであるにもかかわらず,ワクチン接種の有無だけが異なる集団として扱えるわけです.
最も注目すべき結果は図1に示されています.これは実際に帯状疱疹ワクチンを接種した人と接種していない人とを比較したものであり,ワクチン接種によって7年間の認知症新規診断率が,17.5%→14.0%と3.5%の減少,すなわち相対リスクでは3.5/17.5となり20.0%低下していました(95%信頼区間:6.5〜33.4,P=0.019).この効果は,インフルエンザなど他のワクチン接種や併存疾患,健康診断の頻度などの要因では説明できず,帯状疱疹ワクチン固有の影響と考えられます.
一方で図2は,単純に「ワクチンを接種する資格を得たこと」による影響(つまりintension to treat;ITT解析)を示しています.こちらでも認知症新規診断率は1.3%の減少,相対リスクでは8.5%低下し(P=0.022),かつ効果の持続性も確認されました.よって政策的に対象者に接種機会を提供するだけでも,認知症発症率に有意な影響があることが示されたということのようです.
さらに驚いたのは,性差による効果の違いが示されたことです.上述の図2を性別ごとに検討すると,図3左に示されるように,女性ではワクチン接種の対象になっただけで認知症リスクが有意に低下しており(−2.9%,P=0.0013),効果の持続性も確認されました.これに対して,図3右に示される男性では,効果はほとんど認めれませんでした(P=0.93).この性差は,ワクチンによる免疫反応が女性のほうが強い傾向にあること,あるいは非特異的免疫効果(trained immunity)と呼ばれるメカニズムの関与が推測されています.これは,ワクチンが特定の病原体に対する免疫だけでなく,自然免疫を長期的に強化し,さまざまな疾患に対して身体を守るような広い効果を持つ現象を指します.COVID-19の研究で,ウイルスやワクチンに対する反応の性別による違いが,免疫に対する性ホルモンの影響で説明できることがかなり分かってきましたが,ここでも同様に性差が大きな影響を及ぼしているようです.
注意点ですが,今回の研究の対象となったのは生ワクチン(Zostavax)です.現在イギリスでは,より新しい不活化ワクチン(Shingrix)に切り替えられているため,今後はこの新しいワクチンで同様の効果が確認されるかが注目されます.
帯状疱疹ワクチンは従来,神経痛や帯状疱疹後合併症の予防を目的として接種されてきましたが,この研究結果は,ワクチンが「認知症の予防」へと応用可能であることを強く示唆しています.女性は免疫が強く働くので副反応が出るリスクもあるのかと思いますが,やはりこの論文を読むと接種を検討したほうが良いと思います.あとは接種の年齢ですが,この試験では70歳〜79歳であったようです.もっと早く接種すると結果がより顕著になるのかも気になるところです.
Eyting M, et al. A natural experiment on the effect of herpes zoster vaccination on dementia. Nature. 2025 Apr 2. https://www.nature.com/articles/s41586-025-08800-x

・加齢による髄膜リンパ管の機能低下が,免疫細胞ミクログリアを介して認知機能障害をもたらすというパラダイムシフト
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年4月6日のFB投稿です**
髄膜に「髄膜リンパ管」があることが最近,明らかになりました.脳脊髄液に含まれる老廃物を排出する重要な通路として作用しますが,この機能が低下すると何が起こるのか?Cell誌に掲載されたワシントン大学セントルイス校等の研究グループは,髄膜リンパ管はミクログリアと協調しながら,神経の興奮と抑制のバランス(E/Iバランス)を保ち,記憶機能に大きな影響を与えていることを明らかにしました.言い換えると,髄膜リンパ管の機能障害は大脳皮質のE/Iバランスを崩し,記憶障害を引き起こすことをマウスモデルで示しました.この変化はミクログリア活性化を介して,IL-6が過剰に発現することで生じるようです.
研究では,まずマウスの深頸リンパ節への髄膜リンパ管の流入路を外科的に結紮し,その後の行動や脳の神経活動を詳細に調べました.具体的には,手術から4週後,マウスは新奇物体認識テストで記憶形成が困難になり,Y字型の水迷路テストでも空間記憶が低下していました.電気生理学的には前頭前野(mPFC)の錐体細胞の抑制性シナプス電流(mIPSC)と興奮性電流(mEPSC)を測定し,mIPSCの頻度が約20%低下しており,E/Iバランスが崩れていることを示しました.一方,mEPSCには変化を認めませんでした.模式図に示されているように以下の変化が生じるようです.
髄膜リンパ管機能障害→ミクログリア活性化→IL-6過剰発現→抑制性シナプスの減少→記憶障害などの行動異常
あとの実験は,上記が正しいことを確認するため,ミクログリアをCSF1R阻害薬PLX5622や遺伝子改変によって除去したところ,リンパ管機能障害に伴うシナプス異常や記憶障害は消失しました.またIL-6が抑制性シナプスの減少に関与していることを,遺伝子欠損マウスや薬理学的実験で確認しています.IL-6にはIL-6受容体の膜結合型(古典的シグナル伝達)と可溶性型(sIL-6R;トランスシグナル伝達)がありますが,どちらの経路も関与しているようです.
興味深いのは24か月齢の老化マウスの検討で,前頭前野のmIPSCとmEPSCの両方が低下していました.加齢によるリンパ管機能の低下が原因と考えられたため,リンパ管の新生や成長を促進する成長因子であるVEGF-CをAAVベクターに組み込み髄腔内投与で発現させたところ,抑制性シナプスの機能と記憶力が回復しました.IL-6過剰発現も抑制されました.
いままで「髄膜リンパ管がミクログリアを介して,神経回路のバランスを維持している」という視点はなく,認知症の病態の考え方にパラダイムシフトが生じる可能性があります.つまり老化に伴う認知機能低下の新たな原因として髄膜リンパ管の機能障害が注目され,これを標的とした治療が行われる可能性があります.
Kim K, et al. Meningeal lymphatics-microglia axis regulates synaptic physiology. Cell. 2025 Mar 14:S0092-8674(25)00210-7.(doi.org/10.1016/j.cell.2025.02.022)

・グリンパティックシステムを可視化する―血管周囲造影効果(PVE)パターンという新たな画像サイン
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年4月10日のFB投稿です**
図1はJ Neuroradiol誌にフランスから発表された総説からのものです.近年注目されている血管周囲造影効果(perivascular enhancement: PVE)パターンについて豊富な画像とともに詳細に解説しています.まず図の中央には,T1強調造影MRIにおける典型的なPVEがイラスト化されています.大脳白質に多数の点状および線状の造影効果が広がっていますが,これらはPVS(血管周囲腔;図2)に沿って描出されているものです.つまりこの「点と線の造影」に着目したものがPVEです.
この図の左側には,「Characteristic causal diseases」として,PVEが比較的一貫して認められる疾患群が並んでいます.1つ目がGFAPアストロサイトパチーであり,GFAPαに対する自己抗体が検出される自己免疫性脳炎で,血液脳関門が破綻するため,造影画像では線状(放射状),点状のPVEが描出されることが有名です.
2つ目はLevamisole leukoencephalopathyです.米国などで流通するコカインには動物用駆虫薬レバミゾールが混入しているそうで,その摂取によって脱髄と血管周囲炎が起こり,中毒性白質脳症をきたすのだそうです.点状から結節状のPVEが認められます.
3つ目のCD8脳炎は,HIV感染者に認めるまれな脳炎で,血管周囲へのCD8陽性T細胞の浸潤が特徴的です.PVEは広範かつ左右対称に出現するようです.
4つ目のCLIPPERS / SLIPPERSは,中枢神経の慢性リンパ球性炎症を示す疾患で,前者は橋・小脳領域,後者は大脳半球に限局します(Cはchronic,Sはsupratentorial).いずれもPVSに沿った点状・線状の造影が特徴的で,PVEの典型ともいえる疾患です.
図の右側には,「Potential causal diseases」として,PVEが時に出現する疾患群が配置されています.1段目には感染症や腫瘍が多く,たとえばウイルス性脳炎,転移性脳腫瘍,膠芽腫,リンパ腫,ICANS(CAR-T細胞療法後の神経毒性症候群:Immune effector cell-associated neurotoxicity syndrome)が並んでいます.2段目は自己免疫性・脱髄性疾患が並び,多発性硬化症,急性散在性脳脊髄炎,NMOSD,MOG抗体関連疾患が含まれます.また放射線治療後に生じるPVEは血管内皮障害が原因と考えられています.3段目以降は多様な病態が含まれ,PML-IRIS(免疫再構築症候群を伴う進行性多巣性白質脳症)や神経サルコイドーシス,神経ベーチェット病,脳血管炎などで,これらはいずれもPVSへの炎症性細胞浸潤が関与します.FUS(Focused Ultrasound)治療後やPRES(可逆性後部白質脳症)では,局所的な血液脳関門の破綻により,造影剤がPVSに漏出して PVEが観察されます.そのほか,脳脂肪塞栓症(CFE),Erdheim-Chester病(ECD),Susac症候群,SLEでもPVEが出現することが報告されています.最後に図3は画像所見のパターンと原因疾患のまとめです.
今後,神経放射線診断においてPVEを見逃さないことが重要だと述べています.この図は臨床現場においてとても役に立つものと考えられます.また今後,グリンパティックシステムが解明されるにつれて,これら疾患ごとの画像所見が意味することがより明らかになるのではないかと思います.とても楽しみです.論文はオープンアクセスですのでぜひご一読ください.
Babin M, et al. Perivascular enhancement pattern: Identification, diagnostic spectrum and practical approach – A pictorial review. Journal of Neuroradiology. 2025;52:101242. (doi.org/10.1016/j.neurad.2025.101242)

・驚愕の方法による「ヒト脳ミトコンドリア地図」の完成!―進化的に新しい領域はミトコンドリアが高性能―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年4月11日のFB投稿です**
私たちの脳は膨大なエネルギーを消費しながら活動しています.このエネルギーは主にミトコンドリアによる酸化的リン酸化(OXPHOS)によって供給されています.このためミトコンドリアの機能は神経活動や神経疾患にも深く関わっています.今回,コロンビア大学などの国際共同研究グループから,ヒト脳のミトコンドリア機能の分布を初めて可視化した研究がNature誌に報告されました.
著者らは,死後8時間以内に摘出された54歳男性の右大脳半球の約2cm厚の冠状断スライスを−80℃で保存し,これをコンピュータ制御の加工機械で3mm立方体のボクセル,計703個の脳領域に切り分けました!(図上).この方法で,人の手では不可能な均一・高精度・再現性のある切り出しが可能になったそうです.またこの空間分解能はMRIのボクセルサイズと一致しており,解剖学的構造とミトコンドリア機能を対応づけることが可能です.そして各ボクセルの試料から,クエン酸シンターゼ活性やミトコンドリアDNA量,およびOXPHOS酵素(複合体I,II,IV)活性が測定され,それらの結果から組織全体としての呼吸能力(TRC;Tissue Respiratory Capacity),ミトコンドリア密度(MitoD;Mitochondrial Density),ミトコンドリア1個あたりの効率(MRC;Mitochondrial Respiratory Capacity)を算出しました.最終的にMRI空間にマッピングして,脳全体の「ミトコンドリア地図」を完成させました.本当に力仕事です.
この結果,脳の部位によってミトコンドリアの密度と性能に顕著な違いがあることが示されました.まず,灰白質は白質よりも50%以上もミトコンドリア密度が高く(図下.MitoD),呼吸能力も高いことが分かりました(図下.TRC).さらに,TRCをMitoDで割ったMRCを算出すると,ミトコンドリア1個当たりの「性能」も評価できますが,灰白質の中でも前頭葉や側頭葉といった進化的に新しい領域では,とくに「性能」が高いことが分かりました.後頭葉は進化的にやや古い皮質領域であるためか,前頭葉皮質ほど高性能ではありませんでしたが,それでも比較的高い領域でした(MitoDやTRCは高いことが分かりました).一方,白質はミトコンドリア密度が低く,1個あたりの効率も低いことから,エネルギー代謝の面ではあまり活発ではないことが分かりました.被殻はMitoD,TRC,MRCとも高いのに対し,淡蒼球では低い(非代謝的)ことも分かりました.
また単一核のRNAシーケンス(snRNA-seq)を用いた解析では,ミトコンドリア関連遺伝子の発現が細胞種ごとに異なっており,血管内皮細胞ではOXPHOS遺伝子の発現が最も高く,抑制性ニューロンでは最も低いことが示されました.
上記の結果は,臨床的にも示唆に富んでいます.血管構造とは独立したこのエネルギー分布の特徴は,神経疾患で観察される脆弱性パターンと一致する可能性があります.たとえばミトコンドリア脳筋症は,後頭葉・頭頂葉・側頭葉などの皮質の脳卒中様エピソードを呈しますが(MELAS),これらの部位はミトコンドリア密度や性能が高く,その「代謝的脆弱性」がMELASの病変好発部位を説明しうると考えられます.今回の研究によって得られた「ミトコンドリア地図」は,このような疾患特異的病変の背景を理解するうえでも重要な基盤となるものと考えられます.
Mosharov EV, et al. A human brain map of mitochondrial respiratory capacity and diversity. Nature. 2025. https://doi.org/10.1038/s41586-025-08740-6

・医師介助自殺に対するイタリア神経学会の見解 ―我が国が参考にすべきこと―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年4月13日のFB投稿です**
Neurological Sciences誌に,神経疾患患者における医師介助(幇助)自殺(Physician-Assisted Suicide;PAS)について,イタリア神経学会が包括的に論じたポジションペーパーが発表されました.非常に重要な論文だと思いました.
まず背景ですが,イタリアでは2019年に以下の4条件を満たした場合,医師がPASによる刑罰を免れる(法的例外となる)という憲法裁判所判決がなされました.
1.患者は回復不能な疾患に苦しんでいること
2.身体的または精神的に耐え難い苦痛があること
3.生命維持治療によって生存していること
4.自律的かつ明確な意思決定能力を有すること
つまり対象は「回復不能な疾患に苦しみ,生命維持治療に依存して延命している,明確な意思決定能力を有する18歳以上の患者」に限定されます.ところが,この制度の運用は全国で一貫しておらず,倫理委員会や医師による判断に強く依存しているのだそうです.とくに神経疾患は4の自己決定能力の低下を呈しうるため判断が難しいわけです.
この状況下においてイタリア神経学会は以下の6項目の提言を行いました.日本でも将来PASを検討する場合,非常に参考になる内容が含まれています.
1.神経疾患患者に対する緩和ケアの提供を最優先課題とすること.
2.脳神経内科医に対し,緩和ケアおよび終末期ケアのトレーニングを推奨すること.
3.緩和ケアが適切に行われたにもかかわらず,なおPASを希望する患者に対しては,その意思を尊重し,適切な制度的対応を検討すべきであること.
4.PASが制度化された場合には濫用を防ぐために,明確な実施基準とモニタリング体制を整備すること.
5.神経疾患患者においては,認知機能障害や精神症状により意思決定能力が揺らぐ可能性があるため,標準化された能力評価ツールの開発と活用が必要であること.
6.将来的な法制度の議論においては,「すべり坂(slippery slope)*」の懸念に留意しつつも,過度な萎縮を避け,倫理的に妥当な運用を目指すべきであること.
つまりイタリア神経学会は,PASを単独で制度化するのではなく,緩和ケアが十分に提供されたうえで,なおかつ厳密な条件のもとでのみ,限定的に合法化されるべきだとする立場を示しています.さらに緩和ケアの普及と並行して,神経疾患患者さんが抱える「トータルペイン」に対して共感的に対応しつつ,医師個人の信念や社会的価値観も尊重する形で制度化を目指すべきだと述べています.非常に納得できる内容で,将来,日本でPASを議論する場合,議論の土台になりうる論文だと思います.今後,日本で求められることを以下の4点ではないかと思います.
① 神経疾患に対する緩和ケアの全国的な整備
② 神経疾患の緩和ケアや倫理に関する教育の充実
③ 認知機能の低下前の段階で,協働意思決定を開始する文化の醸成
④ 法的枠組みの整備と,市民を含めた社会全体での議論
とくに④は,日本ではPAS,尊厳死,安楽死,治療のwithdraw/withholdといった概念が混在しており,多くの人がそれぞれの定義を理解できていない状況だと思います.市民が共に議論できる環境を整えることが求められます.
Pucci E, et al. Neurology and physician-assisted suicide: position of the Italian society of neurology. Neurol Sci. 2025. https://doi.org/10.1007/s10072-025-08038-5
用語の解説:*「すべり坂」とはある行為を一度認めてしまうと,想定していた範囲を超えて,徐々により広い・極端なケースにまで拡大してしまうという懸念を示す倫理・法的な概念です.PASの場合は「特定の条件を満たす患者に限って認める」と制度化しても,やがて条件が緩和され,認知症・神経難病・精神疾患・高齢者などのケースにも拡大されるという懸念を指します.事実,オランダでは「すべり坂は起きた」と言われています.
図はこの問題を勉強するうえで有用な3冊です.
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・なぜALSで眼球運動は保たれるのか?変性にレジリエンスをもつ神経細胞に学ぶ治療のヒント
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年4月15日のFB投稿です**
ALSにおけるCharcotの陰性4徴候のひとつに,眼球運動障害が生じにくいという点があります.これは多くの医学生も知っている基本的な知識であり,私もALSでは,病状がかなり進行するまで眼球運動が保たれると教えています.しかし,なぜこのような現象が生じるのかと問われると説明ができませんでした.ところが最近,Brain誌のオピニオン欄にミラノ大学等から報告された一本の論文に,その謎を考える大きな示唆を与えられ,思わずハッとさせられました.
それは神経ごとに「抵抗性(内因性レジリエンス)」があるという仮説です.まず図1では,運動ニューロンの抵抗性が,細胞体の大きさ,軸索の長さ,分岐の多さ,活動頻度などの構造的・機能的特徴と関連している可能性を示しています.急速易疲労性運動ニューロン(ジャンプや短距離走など短時間・高出力の動作に関与する)は,太くて長い軸索を持ち,広範な筋肉群に分岐しており,エネルギー需要が高く,小胞体(ER)ストレスへの感受性も高いため,ALSにおいて最も早期に変性します.これに対し緩徐運動ニューロン(姿勢保持や長距離走など持続的運動に関与する)や動眼神経は,軸索が細く短く,分岐も少ないため,エネルギー負荷が低く,より高いレジリエンスを示します.つまり,神経ごとの構造的・機能的な違いが選択的な神経変性に反映されるという仮説です.
図2Aでは3種類の運動ニューロンについて,各種分子の発現レベルとERストレスの程度が示されており,ALSに対して強いか弱いかが一目でわかります.それ以降は過去の論文報告のまとめで,図2Bでは,動眼神経で高発現しているSYT13(Synaptotagmin 13)遺伝子を急速易疲労性運動ニューロンに導入することで,神経細胞の変性を防げることがマウスモデルで示されたことを表しています.図2Cは抵抗性のある動眼神経ニューロンにMMP(matrix metalloprotease)を加えてもなお抵抗性を示すことを表しています.また図2Dでは,培養運動ニューロンに対する興奮性毒性に対し,CYPIN(別名GDA)を培地に添加することで部分的に保護できることを示しています.さらに,図2Eでは培養運動ニューロンにおいてSYT13が片方のコピーしかないと,タンパク凝集やシナプス消失などALSに類似した表現型が再現されることを表しています.
ALSの病態にはグリア細胞や免疫細胞など複数の細胞種が関与しますが,そうは言っても神経細胞固有の性質が変性に大きく影響するという考えです.今後,単一細胞レベルや空間トランスクリプトーム解析などの技術を駆使して,各タイプごとの髄運動ニューロンの分子特性がさらに解明することが期待されます.そしてレジリエンスを持つ神経細胞の分子特性が解明されれば,その特徴をレジリエンスの弱い神経細胞に導入するという新しい治療につながると考えられます.
Corti S, Hedlund E. Intrinsic neuronal resilience as a tool for therapeutic discovery. Brain. 2025;148(4):1058–1061. https://doi.org/10.1093/brain/awaf010

・血液からタウ病理を正確に捉えるアルツハイマー病診断の新時代の到来 ― 準備はできているか?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年4月16日のFB投稿です**
アルツハイマー病(AD)の診断や治療方針の決定に,脳内におけるアミロイドβおよびタウ蛋白の蓄積の評価が有用です.しかしその評価にはこれまでPET検査や脳脊髄液検査が必要であるため,日常診療への応用には限界がありました.しかしNature Medicine誌に相次いで掲載された2本の国際共同研究は,血液検査によりタウ蛋白の蓄積を高精度に評価できるというもので,今後の診療に大きなインパクトを及ぼすと予想されます.
第一の研究は,米国ワシントン大学のグループによるものです.この研究では,脳内の不溶性タウ凝集体に特異的な血漿バイオマーカーとして,eMTBR-tau243(endogenously cleaved microtubule-binding region tau243)を開発しました.これはタウ蛋白の微小管結合領域のうち,243〜256番残基に相当する断片であり,神経原線維変化(神経細胞に蓄積するタウ)から遊離したフラグメントと考えられるそうです.検討はスウェーデンとアメリカのコホート(739名および55名)を含む複数の独立した集団で実施されました.この結果,eMTBR-tau243は,アミロイドβ陽性の軽度認知障害(MCI+)およびアルツハイマー型認知症(AD+)において有意に上昇し,非AD性タウオパチー(PSP,CBS,FTDなど)では上昇しないという高い特異性を示しました(図1).またeMTBR-tau243はMCI+およびAD+において顕著に上昇しているのに対し,アミロイド陽性ながら認知機能が正常なCU+(Cognitively Unimpaired / Aβ陽性)では上昇していないことが明確に示されています.さらにこのバイオマーカーは,タウPETと非常に強い線形相関を示し(最大r²=0.56),特にBraak III〜VIといった中〜後期のタウ蓄積との関連が際立っていました.また,eMTBR-tau243は脳萎縮や認知機能検査(MMSE,mPACC)との関連も強く,進行期病理の指標としての有用性が高いことが示されました.よってeMTBR-tau243は,認知機能障害が出現した段階での「タウ病理の有無を確実に判定する」ための血液バイオマーカーとして非常に価値が高いです.将来的には,PETに代わる「臨床で使える確定診断ツール」となる可能性を持っています.逆にCU+(アミロイド陽性かつ認知機能正常)段階では上昇しないため,「発症前の予測」や「スクリーニング」には不向きです.
もう一つの研究は,スウェーデン・ルンド大学からの報告です.この研究ではLumipulseプラットフォーム(完全自動化された臨床検査用の分析システム)により血漿中のp-tau217を測定し,ADの診断精度を一次医療(かかりつけ医)および二次医療(専門施設)で評価しました.対象は1767名の認知症が疑われる患者であり,このバイオマーカーの診断精度は,二次医療施設ではAUC 0.93〜0.96,一次医療でもAUC 0.87と非常に高いことが確認されました.特筆すべきは,図2に示されているように,単一カットオフ(0.27 pg/mL)でも高精度ながら,二重カットオフ(0.22 pg/mL未満を陰性,0.34 pg/mL超を陽性)を導入することで判定不能域を除外し,診断精度(Accuracy)が最大94%という高い値を達成した点です.さらに,中間域の症例にはp-tau217/Aβ42比を用いることで,不確実な判定を10%未満に抑えています.また年齢や腎機能といったバイアスの影響も最小限であり,ルーチン検査への導入可能性が高いことも確認されました.つまりp-tau217は早期診断,スクリーニングに使用できます.
この2つのバイオマーカーの違いを表にまとめました.eMTBR-tau243は,脳内のタウ病理の進行を直接反映するマーカーとして,臨床試験や病期分類において有用です.一方で,p-tau217は,診断の初期スクリーニングや一次医療における活用に最適です.近い将来,血液検査項目のなかに,ADスクリーニング(p-tau217)とAD確定・病期判定(eMTBR-tau243)という2つが並ぶことになりそうです.ADの個別化医療や新規治療法の評価がさらに前進することが期待されます.
まさに驚くべきスピードで研究が進んでいきます.しかし,新しい技術には新しい社会的・経済的・倫理的問題が伴いますので,その準備が必要です.これらの議論を急ぎ進める必要性を強く感じます.
Horie K, et al. Plasma MTBR-tau243 biomarker identifies tau tangle pathology in Alzheimer’s disease. Nature Medicine. 2025; https://doi.org/10.1038/s41591-025-03617-7
Salvadó G, et al. Plasma phospho-tau217 for Alzheimer’s disease diagnosis in primary and secondary care using a fully automated platform. Nature Medicine. 2025; https://doi.org/10.1038/s41591-025-03622-w

・脳卒中における半側空間無視の頻度はじつは高く,脳幹・小脳病変でも生じうる
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年4月20日のFB投稿です**
脳卒中後に生じる半側空間無視(hemispatial neglect もしくはvisuospatial neglect)は,日常生活への支障や予後不良と関連する重要な症候です.スイスの研究グループから,Stroke誌に半側空間無視の真の発生率を検討した前向きコホート研究が報告されました.この研究の特徴は,従来の紙ベースの検査(ベルテスト,線分二等分検査)に加え,より感度の高い評価法である自由視覚探索中のビデオ眼球運動計測(Free Visual Exploration with video oculography;FVE)というものを導入して,急性期脳卒中患者における半側空間無視の発生頻度を調べたことです.
対象は,2022年から1年間に脳卒中センターに入院した初発脳卒中患者626名のうち,条件を満たした221名に上述の3つの検査を行いました.この結果,全体で38.0%の患者に半側空間無視を認めました.この頻度は,これまで報告されていたものを上回っており,従来の評価では過小評価されていたものと考えられます.
特筆すべき点は脳卒中の部位ごとの無視の発生率を明確に示したことです.図のように右大脳半球に病変がある患者では約61%,右中大脳動脈(MCA)領域では64.2%,右後大脳動脈(PCA)領域は52.4%でした.一方,左大脳半球病変では22.2%で,MCA領域で20.6%,PCA領域で25%と,やや低めながら無視を認めています.さらに興味深いのは,橋や延髄,小脳でも14〜20%(!)で観察された点です.そして半側空間無視を呈した患者は認めない患者に比べて高齢で,年齢が1歳上がるごとに無視のオッズが4.1%増加しました.また,無視を認めた患者はNIHSSスコアが高く,血栓回収術を受けた割合が高く,心房細動の合併も多いという特徴がみられました.これらの所見は,半側空間無視がより重篤な脳卒中と関連しやすいことを示しています.
またFVEも有用性についても検討しています.96.5%の患者に実施可能であり,紙ベースのテストより実施率が高く,かつ検出感度も有意に高ことが示されました.今後,このような高感度・高実施率の手法を臨床に取り入れることで,半側空間無視の早期発見とリハビリ介入が可能となり,予後の改善にもつながると期待されます.
以上,①右半球病変に限らず,左半球・小脳・脳幹病変においても半側空間無視は一定の頻度で出現すると認識を改めること,②紙ベースの検査では見逃される可能性が高いため,FVEのような感度の高い方法を可能な限り導入すべきこと,が大切だと思いました.
Cazzoli D, et al. Incidence of Visuospatial Neglect in Acute Stroke: Assessment and Stroke Characteristics in an Unselected 1-Year Cohort. Stroke. 2025;56:00–00. (doi.org/10.1161/STROKEAHA.124.048907)

・『研修医の指導 ―問診,診察,EBMから倫理まで―』@滋賀医大 第6回地域医療支援講演
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年4月22日のFB投稿です**
滋賀医科大学 総合内科学講座の杉本俊郎教授より貴重な機会を賜り,「研修医の指導」に関する講演をさせていただきました.医学教育の専門家という立場ではありませんが,現場で日々感じていることを踏まえ,これまで先輩の先生方から学んだことや,日々の診療の中で私自身が心がけていることを中心に,自分なりの視点でお話しさせていただきました.講演後には多くのご質問を頂戴し,大変刺激的で学びの多い時間となりました.改めまして,このような貴重な機会をいただきました杉本教授に,心より感謝申し上げます.
以下に講演の概要を記載いたします.スライドは下記リンクよりご覧いただけます.
https://www.docswell.com/…/800…/K1R8MV-2025-04-22-042001″>https://www.docswell.com/…/800…/K1R8MV-2025-04-22-042001
【講演の概要】
1. はじめに
2.問診:本当の主訴を理解するために
2.1 問診のコツ
2.2 時系列に基づく病歴聴取
2.3 オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョン
2.4 家系図の活用と遺伝形式の理解
2.5 本当の主訴を捉える意義
2.6 オスラーの三原則と患者さんの理解
2.7 患者さんとの人間関係構築の技法
3.診察:Hyposkilliaに陥らないために
3.1 診察の基本原則と紹介状への対応
3.2 所見の記載の工夫と記録の意義
3.3 安易な検査依存の危険とその克服
3.4 教育的アプローチと視覚教材の活用
4.カルテの記載と臨床思考:正しくEBMを実践するために
4.1 Problem listの作成法
4.2 SOAPの意味とPOSの実践
4.3 CQ(Clinical Question)の立案
4.4 診断基準・ガイドラインとの向き合い方
4.5 文献検索とEBMの5ステップ
4.6 「不安」の記載と対応
5.臨床倫理と意思決定支援:治療の自己決定を協働して行うために
5.1 倫理的問題の多職種での対応
5.2 倫理4原則とJonsenの4分割表
5.3 患者の自己決定能力の評価
5.4 リバタリアンパターナリズム
5.4 Shared Decision Making(SDM)の実践
6.症例報告の指導と実践:研修医と指導医を指導するために
6.1 症例報告の意義と学術的価値
6.2 初めて書く人への具体的アドバイス
6.3 指導医の役目と責任
7.まとめ

・飲酒は小血管病変を引き起こすことで認知機能を低下させる・・・大規模な剖検例の検討
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年4月28日のFB投稿です**
愛酒家の私にとって見て見ぬふりをすればよい論文でしたが,飲酒による認知機能低下の機序が示され,衝撃的でしたのでじっくり読みました.ブラジルのサンパウロ大学からの,飲酒に伴う脳の病理学的変化を検討した研究で,Neurology誌に掲載されました.この研究はバイオバンクに登録された1,781名の剖検データを用いて行っています.対象の平均年齢は74.9歳,平均教育歴は4.8年,女性は49.6%,白人は64.1%でした.
対象を,飲酒歴に応じて,飲酒なし,適度な飲酒,大量飲酒,過去の大量飲酒に分類しました.ここで,適度な飲酒とは1週間に7ドーズ(98gのアルコール)以内,大量飲酒とは週に8ドーズ(112g以上)のアルコール摂取と定義されています.1ドーズはビール約350mL,ワイン約150mL,蒸留酒約45mLに相当しますので,適度な飲酒は1日缶ビール1本です.また病理学的検討では,アルツハイマー病関連病理(アミロイドβ沈着,神経原線維変化),レビー小体病理,TDP-43病理,ラクナ梗塞,硝子様小動脈硬化,脳アミロイドアンギオパチーについて評価しています.生前の認知機能はClinical Dementia Rating Scale Sum of Boxes(CDR-SB)で評価されました.
結果として,適度な飲酒,大量飲酒,過去の大量飲酒はいずれも「硝子様小動脈硬化」と有意に関連していました!(図上).これは硝子様(ガラスのように均質で透き通った)物質が血管壁に沈着して,動脈硬化が生じる変化で,硝子様物質には血漿タンパクやコラーゲンなどの基底膜成分が,血管内皮の障害を介して血管壁に染み出して沈着したものと考えられています.この硝子様小動脈硬化のリスクが,適度な飲酒ではオッズ比1.60,大量飲酒では2.33,過去の大量飲酒では1.89と,飲酒歴なし群に比べて明らかに上昇していました.また,大量飲酒と過去の大量飲酒では神経原線維変化(=タウ蛋白の凝集)との関連も認められ,大量飲酒ではオッズ比1.41,過去の大量飲酒では1.31となっていました.一方,アミロイドβ沈着,レビー小体病理,TDP-43病理については,飲酒との明確な関連は認めませんでした.さらに,過去の大量飲酒は脳重量比(体格補正するために,脳重を身長で割った値)の低下,すなわち脳萎縮(β=−4.45)および認知機能の悪化(CDR-SBスコア上昇,β=1.31)と相関していました.ちなみにβは回帰分析における回帰係数です.
図下では,飲酒が認知機能低下に及ぼす影響について,直接効果(direct effect)と間接効果(indirect effect)を分けて解析しています.この結果,飲酒と認知機能低下との間には直接的な影響は認められず,硝子様小動脈硬化を介した間接的な影響であることを示しています(間接効果:β 0.13,p = 0.012).
批判的に読むと横断研究であり,飲酒期間に関する情報が欠けているため,因果関係を断定することには慎重であるべきですが,それでも飲酒が脳の血管病変を通して認知機能に悪影響を与えることが強く示唆されました.注目すべき点は,適度な飲酒でも硝子様小動脈硬化のリスクが上昇することです.さらに日本人を含む東アジア系の人々では,アルコール代謝に関わるALDH2遺伝子の活性低下型を保有する割合が高く,アルコール摂取後にアセトアルデヒドが体内に蓄積しやすいことが知られています.アセトアルデヒドは血管内皮障害や神経細胞障害を引き起こす毒性を有しており,小動脈硬化をさらに促進する可能性があります.したがって,日本人では,飲酒による脳への影響がより高まる可能性があると考えられます.こうしてデータを前にすると,「適度な飲酒」という言葉の響きも,どこか心許なく感じられてきます.効果のほどはさておき,昨晩はノンアルコール・ビールで晩酌を済ませました.
Nogueira BV, et al. Association of Alcohol Consumption With Neuropathology in a Population-Based Study. Neurology. Published online 2024.(https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000213555)

・非定型パーキンソン症候群の認知・精神症状プロファイルを理解する
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年4月29日のFB投稿です**
進行性核上性麻痺(PSP),大脳皮質基底核症候群(CBS),多系統萎縮症(MSA),パーキンソン病(PD)における認知機能と精神症状の違いを,英国の研究グループが詳細に解析し,Brain誌に報告しました.この研究では,2つの大規模コホートの計1138名のデータを統合し,各疾患を比較しています.診断は臨床診断に基づいて行い,診断基準としては,PSPはNINDS-SPSP→MDS PSP criteria,CBSはArmstrong基準,MSAはGilman改訂基準,PDはQueen Square Brain Bank基準を使用しています.
認知機能の違いについては,左側のレーダーチャートに示されています.パーキンソン病では全体的に認知機能は保たれており,記憶(Mem),注意(Attn),言語(Lang),流暢性(Flu),視空間認知(Vis-spat)いずれの領域でも比較的良好な成績を示しました.一方,PSPでは,特に流暢性の低下が目立ち,前頭葉性の遂行機能障害が主体であることがわかります.CBSでは,視空間認知の著しい低下がみられ,注意や記憶にも広範な障害が及んでいました.MSAは比較的軽度で,PDと近いパターンを示しましたが,若干の遂行機能障害が認められました.
その他,精神症状等に関しては(右側のレーダーチャート),PDでは睡眠障害が最も目立ち,他の項目では大きな異常は認められませんでした.これに対し,PSPでは無気力が際立っており,さらに抑うつや不安も高いレベルで存在していました.CBSでは不安が特に強く,抑うつや無気力も目立ちました.MSAは精神症状全体としては比較的軽度でしたが,無気力傾向が一定程度認められました.
著者らは,これらの認知・精神症状プロファイルを用いて,疾患を鑑別するロジスティック回帰モデルを開発し,PSPとPDを76%の精度で区別できることを示しました.また,認知機能低下は運動障害とは独立してADLを悪化させる重要な因子であること,さらにPSPでは血中NFL濃度が認知機能と関連することも示しています.この研究は,非定型パーキンソン症候群において,単なる運動症状だけでなく,認知・精神症状の詳細な評価が診断精度向上に不可欠であることを示唆しています. 最後に各疾患ごとの特徴をまとめておきます.
【疾患別特徴まとめ】
• PSP
認知機能では言語流暢性の低下が著明
無気力が目立ち,衝動性も高頻度
抑うつや不安もみられるが,幻覚・妄想は少ない
血中NFL濃度が認知機能低下と関連
• CBS
視空間認知障害が顕著
注意・記憶・言語も広範囲に障害
不安が強く,無気力や抑うつも目立つ
認知機能低下が急速に進行
• MSA
認知機能障害は軽度で,PDと近い
無気力は一定の頻度でみられるが,衝動性は少ない
認知機能と運動機能の進行が独立している
睡眠障害が比較的多い
• PD
初期には認知機能は比較的良好
睡眠障害が最も多く,抑うつ・不安は軽度
認知機能低下と運動機能低下が連動する
認知機能の低下もADLに独立して影響する
Hu MT, et al. Cognitive and neuropsychiatric profiles distinguish atypical parkinsonian syndromes. Brain. 2025. (doi.org/10.1093/brain/awaf132)

(作成者)峯岸 瑛(みねぎし あきら)

カテゴリー
ALS Long COVID パーキンソン病 認知症予防

2024年8月のニュース

残暑時には、冷房の効いた室内で、最新の医学情報を入手しては如何でしょうか?種々の感染症が認知症の発症と関連するようですし、ALSに対するブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)技術も発展しています。今月も岐阜大学の下畑先生が発信された最新医学情報の数々をお届けします。

Ⅰ、2024年8月の活動状況
名古屋フィジカル・フィットネス・センターさんの投稿
昨日は、愛知県は大口町にお邪魔しまして、午前、午後で1講座ずつの講師を務めてまいりました。 大口町保健センターさんが主催しました「健康推進員研修会」でした。 各講座、20〜30名の皆さんに参加いただきました。 こちらの講座は昨年の12月にも開催しており、昨日は半年ぶりの再会となりました。 町民の皆さんで、健康推進員として、各地域で住民の皆さんを対象として各種の健康づくり事業活動を展開されている皆さんです。 この大口町は3万人ほどの町で、やはり高齢化が進んでいる町ですが、横のつながりが高い地域で、こうした住民の皆さんによるボランティア活動は積極的に行われています。 私はこの大口町さんとはぼちぼち20年近いおつきあいになります。 その中で、生活習慣病予防をはじめ、特定保健指導、ポールウォーキング講座などを担当させていただき、昨年度からは3年間に及ぶ健康づくり推進員の任命を受けたり、本年度は委託事業もやらせていただく予定です。 こうして、住民の皆さんの健康づくりの一端を担わせていただけることに大きなやりがいを感じております。 大切なことは、こちらからの一方通行的な情報提供にとどまることなく、住民の皆さんがインプットされた後に、アウトプットする時に支援させていただくこと! コロナの影響を長らく受けた自治体の事業ですが、ようやく本年度からほぼ正常に戻った感じがします。 まだ反応が鈍い印象を受けますが、1人でも多くの住民の皆さんが「参加したい!」と思っていただける講座を展開し、フィットネスの輪を広げていくことに燃えています❗️😊

田村 芙美子さんの投稿
おはようございます 東京渋谷です 珍しく誰もいないので8月のハチ公 を撮っていると 国籍不明の女性が肩をたたき ワン、ワンと話しかけてきました   U^q^U   WAN?   ん? ハチ公と一緒に写真を撮りましょうか、と言ってくれたようです take oneね 振り返るといつの間にか記念写真を撮るための行列ができていましたwww これから介護予防PW教室です 先週は定員15名全員出席でしたが、今日はどうでしょう 施設の階段をお借りして階段・坂道昇降練習の予定です

田村 芙美子さんの投稿
🪷かまくら ポールウォーキング体験会 8/27or 9/5  手にした2本のポール(杖・ストック)を身体の前におきながら歩きます 4本脚になり安定します ・最近足(膝)腰の調子がよくなくて気になる方 ・転ぶのが不安で外歩きを躊躇っていらっしゃる方 ・もっとよい姿勢で歩幅広く(お棺の中まで)自力で歩けるようになりたい方 ・人生の楽しみを叶えるにはまずは自立して歩けること これがはじめの一歩 そんな歩きに応えてくれるポールウォーキングの体験会です  鎌倉市民65才以上の方! 体験して続けたいと思われたら、市内サークルをご紹介します  お申し込みは包括支援センター聖テレジア(写真下部)

新井 恵さんの投稿
今年もスマイルチームで救急法講習会開催しました 毎年8月4日前後の日程で行っています #松田直樹を忘れない #あっぱくん #スマイルチーム #日本赤十字社

田村 芙美子さんの投稿
秋ですね。 今日はスマホ不携帯で渋谷教室。来週はお盆休みなので初7秒スクワットを宿題に。ポールではなくボールでも遊びました。 横浜新道が異常に渋滞🚗🚗🚗⚡したのは何かあったのでしょうか。こんな時地震が来たら怖い!と思いました。まだまだ暑いですが大巧寺は秋の気配です。

校條 諭さんの投稿
何十年ぶりかのボウリング 8月の気まポ(気ままにポール歩き)は、外歩きを避けてボウリング“体験会”としました。 みんな、何十年か前にはやったことがあるけど・・・という状態で、投げ始めは9人のうち5人がガーターを出しましたが、だんだん慣れてきて、ストライクもポツポツ出るようになり、おおいに盛り上がりました。 体の動かし方や筋肉の使い方がいつもと違うので、もしかしたら少々筋肉痛が出るかも・・・。 会場はJR中央線荻窪駅のすぐそばの「荻窪ボウル」。土日も含め、午前は1ゲーム550円と手頃です。貸靴代400円。 2ゲーム楽しんで、近所の台湾料理店でカンパイしました。 (メンバー撮影の写真もお借りしました。)

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
夏夜微風,揪團健走快閃活動✌️ 來到動物園,來給動物看🤣🤣 聽導覽介紹非洲象(長鼻象),大人小孩都覺得新奇有趣,好熱鬧! 祝動物園110週年快樂😁

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 台風一過/お盆休暇も最終日〜 〜PW散策/里山/虚空蔵山巡り〜‼️ 木々の木陰を選んでのいつものショートコース/3.5kmを48名の参加者無事完歩〜❗️ 佐久市広報10月号用取材でカメラマンも入りの緊張?した散策でした〜ww

とちぎポールウォーキング会さんと、Masami Yamagataさんの投稿の投稿
・ヤクルト御本丸体験定例会
・ポールウォーキングコーチの皆様・定例会参加の皆様 暑中お見舞い申し上げます。まだまだ暑い日が続きますがヤクルト御本丸カフェ&ギャラリーにてポールウォーキング体験定例会開催します。
室内ストレッチで体をほぐし終了後ヤクルトアイスで語らいましょう。お友達もお誘いください。

田村 芙美子さんの投稿
午前中は材木座の長勝寺へ 午後から腰越なごやかセンターでポールウォーキング貯筋クラス 暑さに負けない元気なシニアの皆さんと7秒スクワットのあとはポールゲームでリラックス🎶 大きな声で良く笑いました。これが元気パワーのもとかも。

杉浦 伸郎さんの投稿
東京都北区での ポールdeウォークセッション。 毎回、シニアの皆さんの「フレイルなんて言わせないわよ!」的意気込みを感じ手応えバッチリです。 隙間時間にかつての勤務地サンシャインシティ界隈を散策。随分様子が変わりましたね。相変わらず多くの若者で賑わっていて一安心しました。

長谷川 弘道さんの投稿
昨日、無事3回連続講座「いつでも、どこでも、誰でも、すぐにできる運動指導法」を終えることができました。 ご参加いただきました皆さん、ありがとうございました。 6月から毎月1回開催してまいりました。 これまでは、保健センターや生涯学習センター、子育て支援センターなどの自治体さんや、学校関係団体、福祉関連団体、一般企業などからお声をかけていただいて講師を務めてまいりましたが、今回は私としましては、初の主催講座でした。 募集から集金、当日の運営も全て自力ですよね。 今回はたとえ1人でも参加いただければ開催する思いで準備をしてきました。 今回は4名の皆さんのご参加いただきました。これまで関わらせていただきました自治体関係の皆さんや、トレーナー仲間や、その方からのご紹介いただいたりしてご参加いただいた皆さんでした。 自分1人の力ではできないことも、仲間の力があれば切り開けていけることを実感いたしました。 大事なことはこれを続けていくことです。 色々と改善するところもあります。 参加者の皆さんからのご意見も踏まえまして、後期に向けてまた企画してまいります。 開催の折には、ぜひみなさまご参加ください。 #運動指導法講座 #いつでもどこでも誰でもすぐにできる #保健師 #管理栄養士 #高齢者運動指導

田村 芙美子さんの投稿
~PW体験会その①~ 包括支援センターテレジア1、2 主催でポールウォーキング体験会の一回目を開催。早朝 滝のような雨音にあらあら今日は中止にするかな、とまたウトウト。次に目が覚めたときはなんとすっかり雨は上がり青空に。横の繋がりの濃い4サークル+北鎌倉紹介で お手伝いに各メンバーさんも駆けつけてくれ、さらに包括から4人もいらして会場設置やチラシも全て用意してくださいました。最初は澄まし顔だったみなさんは、顎の筋肉使いましょ!と声をだしてカウントを始めると、ぐっと活気が出て来ました。ポールの長さ合わせからストレッチ・筋トレ、インターバルウォーキングまで1時間半は楽しくあっという間。病気予防の歩き方 中之条研究の話まで。 健康の先にある楽しみ・幸せ💕のために運動を習慣化しましょう!に皆さん合点! 次回は9/5です。市民、初心者限定。

田村 芙美子さんの投稿
一昨日のPWの体験会の記事を見つけました! 前を見る!が浸透していなかった写真にショック😱 最初から完璧は求めません!楽しさが一番ですね。

 

来月以降の開催
台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
2024健走杖輕旅行 【2024健走杖健康活力輕旅行】即將開始🔥 第一站 ✅9/7(六) 13:30-16:00 地點:烏來內洞森林遊樂區🌲 站長:林柏樺站長 打卡活動:https://reurl.cc/ReOGRn 歡迎各地喜愛健走的好朋友們, 共同來參與活動~ 持續追蹤粉專跟line@公告, 今年結合健康科技的joiisport app, 加入📱打卡記錄、蒐集獎章🎖️等增加活動趣味性, 凡走過必留下痕跡! 📍「2024健走杖.健康活力輕旅行」報名表:https://reurl.cc/zDr9XQ #2024健走杖健康活力輕旅行 _________________________________ 🔥【2024健走杖健康活力輕旅行】預告🔥 目前每站健走時間 ✅9/7(六) 13:30-16:00 地點:烏來內洞 森林遊樂區。 站長:林柏樺站長。 ✅9/14(六) 1 or 2 D 地點:宜蘭頭城農場 。 站長:余秋月。 ✅10/13(日) 上午 地點:嘉義公園+樹木園健走,下午可以交流分享。 站長:龔鈴智。 ✅10/18(五) 地點:新北林口民視健走+參訪。 站長:林香蘭。 ✅10/27(日) 上午 地點:未定。 站長:陳秀玲。 ✅11/19(二) 上午 地點:新竹18尖山+下午 17公里海岸 。 站長:郭玟伶。 ✅11/29(五) 下午 地點:南化玉山樂活輕旅行。 住宿:台南市(晚間有有頌缽療癒) 11/30(六) 上午 府城月老桃花滿滿輕旅行。 站長:李端木(宗翰)。 ✅12/7(六) 上午 地點:桃園平鎮站輕旅行 站長:蘇雍賀。 ✅12/8(日) 上午 地點:台中潭雅神綠園道 站長:許秀貞站長。 ✅12/7(六) 上午 地點:彰化天空步道/八卦山/扇形車庫健走杖輕旅行 站長:鄭美金站長。 陸續更新中~ ✨持續追蹤粉專跟line@公告✨

みんなの元気学校さんの投稿
津田公民館 健康づくり講座 初めてでも楽しめるポールウォーキング|東京都小平市公式ホームページ

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 〜佐久ぴんころ ウォーク〜 コロナでの中止後満を時して開催〜 9/21(土)9kmと5kmのコースを用意し、協会コーチ等もお迎えしていますので〜❗️ 「プルーン生食食べ放題」 「ジャガイモのふるまい」 「甘酒ふるまい」 「無料健康相談」〜等 内容濃い佐久の 〜食べて歩いて健康長寿〜を楽しみに〜‼️

遠藤 恵子さんの投稿
資格取得セミナー

堀 和夫さんの投稿
2024 第3回中山道 馬籠宿夜明け前ウォーキングを11月10日に開催します。 今年も参加賞はTシャツだ。どっど〜ん❗️と太っ腹だね。

 

Ⅱ.関連学術ニュース
8月も、積極的に情報を発信されている岐阜大学下畑先生からの最新医学情報です。

1.認知症
1-1)「エビデンスに基づいた認知症予防2024」を学ぼう!広めよう!
**岐阜大学医学部下畑教授の2024年8月6日のFB投稿です**
Lancet認知症委員会は定期的にエビデンスに基づいた認知症予防についての情報を報告していますが,前回の2020年の報告に最近の4年間の系統的レビューやメタ解析論文を追加して改訂がなされました(認知症に対する聴力障害とうつ病のリスクに関するメタ解析が完了されています).以下,2024年報告の要点です.
◆ 2つの新しい修正可能なリスク因子が追加され,リスク因子は14個になった.
2020年版の12のリスク因子(教育の不足,頭部外傷,身体活動の欠如,喫煙,過度の飲酒,高血圧,肥満,糖尿病,聴覚喪失,うつ病,社会的接触の欠如,大気汚染)に,視力低下と高LDLコレステロール血症が追加されました.ちなみに図は年代別のリスク因子と,修正によるリスク減少の程度を示しています.中年期では難聴と高LDLコレステロール血症がともに7%と最大,高齢期では社会的接触の欠如が5%と最大です.
◆ 14のリスク因子の修正は認知症患者のほぼ半数を予防または遅延させる可能性がある.
このため積極的な認知症予防を行う必要があります.これには国家的・国際的なレベルでの政策変更と個人の介入が含まれます.認知症リスクを減少させる行動は早期から開始し,生涯を通じて続けるべきと考えられます.各人が抱えるリスク因子は単一とは限らないため,予防は複数の因子に対して行う必要があります.
◆ リスク因子の修正はApoE遺伝子型に関係なく有効である.
アルツハイマー病の遺伝的要因としてApoE遺伝子e4アレルが知られていますが,その遺伝子型に関係なく,上述の14のリスク因子の修正は認知症予防に有用と考えられます.
◆ 生涯を通じて認知症リスクを減少させるための具体的な14の行動.
①教育の不足:すべての人に質の高い教育を提供し,認知機能を刺激する活動を奨励する.
②難聴:聴力障害のある人に補聴器の利用を可能にし,また聴力障害を減少させるために有害な騒音曝露を減少させる(例:ヘッドフォン難聴).
③うつ病:うつ病を効果的に治療する.
④頭部外傷:スポーツや自転車でヘルメットや頭部保護具の着用を奨励する.
⑤身体活動の欠如:スポーツや運動を推奨する.
⑥喫煙:教育,価格管理,公共の場での喫煙防止を通じて喫煙を減少させる.
⑦高血圧:高血圧を予防または軽減し,40歳から収縮期血圧を130 mmHg以下に維持する.
⑧高LDLコレステロール血症:中年期から検診を行い治療する.
⑨⑩肥満,糖尿病:健康的な体重を維持し,肥満があれば早期に治療する(糖尿病の予防にも役立つ).
⑪過度の飲酒:価格管理と過剰消費のリスクの理解を通してアルコール消費を減少させる.
⑫社会的接触の欠如:高齢者に優しいサポート環境と住居の提供.他者との共同生活を促進することにより社会的孤立を減少させる.
⑬視力低下:すべての人に視力低下のスクリーニングと治療を利用可能にする.
⑭大気汚染:大気汚染への曝露を減少させる.
◆難聴については,2020年版より大きく改訂されているので要点をまとめます.
・世界的に20%の人に難聴を認め,職業や騒音,未治療の中耳炎等が原因である.うち62%は50歳以上であり,しばしば難聴は治療されていない.
・難聴を認める場合,認めない人に比べて認知症のリスクが約37%高い.
・聴力が10 dB悪化するごとに認知症リスクが16%増加する.
・メカニズムとしては,社会的孤立,抑うつ,聴覚からの刺激の減少,聴覚のために多くの認知資源を必要とすることが挙げられている.
・米国の多施設で行われたACHIEVE研究では,特に認知症リスクが高い集団(高齢,喫煙率,教育水準,一人暮らし,糖尿病,高血圧等)にて,補聴器の使用が認知機能の低下を大幅に減少させることが示された.
・補聴器を使用する人は認知機能の低下リスクが約19%低い(ハザード比0.81)ことがメタ解析で示されている.
※この問題に関して「日本医学会連合TEAM事業セミナー 多領域の専門家が挑む加齢性難聴とその社会的課題 ― Healthy aging と認知症対策における聴こえの役割 ―」(主催:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会,共催:日本神経学会,日本言語聴覚士協会)を9月2日に東京で開催します(マスメデア向けです).私も「加齢性難聴と認知症」というテーマで講演します.みんなで啓発活動を行ってまいります.プレスリリースはこちらです.
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000057512.html
まとめ:認知症はアルツハイマー病だけが原因ではありません.上述のリスク因子の修正はアルツハイマー病以外の認知症にも有効と考えられます.高額な予防薬も選択肢の1つですが,その効果の程度や安全性,費用対効果を考えると,まずは個人でも国家レベルでも14のリスク因子に対する取り組みを始めることが大切だと思います.あと今回は間に合いませんでしたが,睡眠障害とコロナ感染も将来追加されると思います.
Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission. Lancet. 2024 Jul 30:S0140-6736(24)01296-0.
https://www.thelancet.com/…/dementia-prevention…

1-2)感染症が認知症を引き起こすメカニズム
**岐阜大学医学部下畑教授の2024年8月18日のFB投稿です**
感染症がアルツハイマー病などの認知症の発症と関連することが注目されていますが,そのメカニズムは不明です.最新号のNature Aging誌に以下を示した研究が報告されています.
◆感染症ごとに特定の部位に脳体積の減少が生じること
◆その脳体積の減少は認知症リスクと関連すること
◆感染症ごとの免疫プロテオームの変化,遺伝的素因が認知症に関連すること
対象は主に英国UK Biobank(49万5896人)とフィンランドの複数のコホート(FPS,HeSSup,STW)(27万3132人)のデータが使用されました.脳画像データはボルチモア長寿研究(BLSA)から得られたもので,特定の感染症が脳体積に与える影響を平均5.3年追跡し,平均3.4回のMRIを施行しました.対象となる感染症は6種類で,インフルエンザ,ヘルペスウイルス,その他のウイルス感染症,上気道感染症(URTI),下気道感染症(LRTI),皮膚・皮下感染症です.COVID-19は含まれていません.
【脳の体積と認知機能への影響】
特に側頭葉の灰白質および白質領域において,脳体積の減少を加速させることが確認されました(図1).
①インフルエンザ:側頭葉および後頭葉の灰白質の体積減少
②ヘルペスウイルス(HHV):側頭葉の白質の体積の減少
③種々のウイルス感染症:側頭葉の灰白質の体積の減少
④上気道感染症(URTI):側頭葉全体の体積減少
⑤下気道感染症(LRTI):側頭葉の白質と後頭葉の灰白質および白質の体積減少
⑥皮膚・皮下感染症:側頭葉および後頭葉の灰白質の体積減少
またいずれの感染症も,認知症リスクを増加させました(図2).とくに血管性認知症との関連が強く,ついで認知症(全原因),アルツハイマー病のリスクが増加しました.これらの感染症が脳の血管系に対して影響を及ぼし,血管性病変(BBB破綻)を通じて認知症リスクを高める可能性を示唆しています.さらに全身性の感染症では認知症リスクが高いことが示唆されました.
【プロテオミクス分析による関連するタンパク質と遺伝学的素因】
プロテオミクス分析ではそれぞれの感染症に特徴的なプロテオームの変化が認められました.
①インフルエンザ:MME(ネプリライシン),DEFB4A,RAG1など
MMEはアミロイドβの分解酵素で,その発現低下はアミロイドβの蓄積を引き起こす.DEFB4AやRAG1は免疫応答に関連し,その活性化は神経炎症を促進する.
②ヘルペスウイルス(HHVs): TREM2,GFAP,NfLなど
TREM2はミクログリアにおける重要な受容体である.TREM2増加は過剰なミクログリア活性化を引き起こし,神経炎症を促進する.GFAPやNfLは神経損傷の指標である.
③下気道感染症(LRTIs):MASP1,ITGB6,PACSIN2など
MASP1は補体系の活性化に関与し,炎症反応を強化する.ITGB6は細胞接着に関連するタンパク質で,炎症応答の制御に関与する.PACSIN2は神経細胞におけるシグナル伝達に関与する.
④上気道感染症(URTIs):IFIT3,FOXP3など
IFIT3はウイルス感染に応答する抗ウイルスタンパク質で,強力な免疫応答が引き起こされる.FOXP3は免疫抑制に関与するタンパク質.
⑤複数の感染症に共通するタンパク質:260種類のタンパク質が少なくとも1つの感染症と関連し,うちの35種類が脳体積の変化と関連した.PIK3CG,PACSIN2,PRKCBなどが含まれており,これらは認知機能低下やアルツハイマー病の血漿バイオマーカー(Aβ42/40比,GFAP,NfL,pTau-181)とも関連した.
またITGB6とTLR5の遺伝子変異は,それぞれ側頭灰白質および全脳体積の減少と関連していました.
【病態機序モデル】
感染後に血漿中で発現が増加した病原性タンパク質(pathogenic proteins)と,減少した保護性タンパク質(protective proteins)が特定されました(図3).これらのタンパク質の変化が,免疫プロテオームの変化,血液脳関門の破壊,遺伝的要因,アルツハイマー病関連タンパクへの影響を介して,脳の萎縮や認知機能の低下に寄与する可能性が示されました.
この研究はおそらくUKバイオバンク研究で,COVID-19が脳萎縮をもたらし認知症を招くことがきっかけとなり,その他の感染症ではどうなるかを検討したものと思います.そして世界中の最善と考えられるデータ・サンプルを駆使して明確な結論を導いた点に研究の凄みを感じました.
Duggan MR, et al. Proteomics identifies potential immunological drivers of postinfection brain atrophy and cognitive decline. Nat Aging. 2024 Aug 14.(doi.org/10.1038/s43587-024-00682-4)

1-3)アミロイドβが認知症を来すメカニズム ―新たなアルツハイマー病の治療標的IDO1―
**岐阜大学医学部下畑教授の2024年8月30日のFB投稿です**
アルツハイマー病(AD)において脳内に蓄積するアミロイドβがなぜ最終的に認知症を来すのかいくつかの仮説はあるもののよく分かっていませんでした.非常に興味深い研究がスタンフォード大学からScience誌に報告されました.この研究では,記憶を司る海馬におけるグルコース代謝に注目しました.具体的には,インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)という酵素に着目しています.IDO1はトリプトファン(TRP)をキヌレニン(KYN)に変換する際の律速酵素です.このKYNはアリールハイドロカーボン受容体(AhR)との相互作用を通じて,炎症や腫瘍において免疫抑制を引き起こす代謝物だそうですが,同時に「アストロサイトにおける糖代謝を抑制する作用」があります.アストロサイトは通常,解糖系により,ニューロンにエネルギーを供給するための乳酸を生成し,ニューロンのシナプス活動を支えていますが,KYNがこれを抑制してしまうことを示しています.
研究ではまずマウスおよびヒトiPSC由来のアストロサイトを用いて,アミロイドβやタウオリゴマーがアストロサイトのIDO1を活性化し,KYNの生成を増加させることで解糖系と乳酸生成を抑制し,ニューロンへのエネルギー供給が妨げられることが示しています.
★アミロイドβ・タウ → アストロサイトのIDO1↑ → KYN↑ → 解糖系(乳酸)↓ → ニューロンへのエネルギー供給↓
つぎにこの系においてIDO1阻害剤がこれらのプロセスを回復することを示しています.さらにマウスモデルを用いて,IDO1を阻害することで,海馬のグルコース代謝が改善され,ニューロンへのエネルギー供給が増加し,その結果,長期増強(LTP)と呼ばれるシナプス可塑性が回復することを示しています.LTPは学習や記憶の基盤となる神経回路の強化を意味します.
図左は,健常な状態において,アストロサイトが解糖系を通じて乳酸を生成し,それをニューロンに供給することで,ニューロンのミトコンドリア呼吸とシナプス伝達がうまくいく様子を示しています.図中央はADで,アミロイドβやタウオリゴマーがアストロサイトのIDO1を活性化し,KYNの生成が増加し,AhRを介して解糖系を抑制し,乳酸が減少することを示しています.図右では,ADでもIDO1阻害剤によってKYNの生成が抑えられ,アストロサイトの解糖系が正常化し,ニューロンへの乳酸供給が回復する様子を示しています.
そうなると気になるのは臨床応用できるIDO1阻害剤があるかですが,現在がん治療薬として開発されている「PF06840003」という薬剤があるそうです.この薬剤がAD治療にrepositioningできる可能性があります.またAD以外の神経変性疾患でも栄養療法の有用性が報告されていますが,その背景にあるエネルギー障害に対してIDO1をターゲットとした治療戦略が有効であるかもしれません.今後,研究が拡大する可能性を感じました.
Minhas PS, et al. Restoring hippocampal glucose metabolism rescues cognition across Alzheimer’s disease pathologies. Science. 2024 Aug 23;385(6711):eabm6131.(doi.org/10.1126/science.abm6131)

2.新型コロナウイルス感染症COVID-19
2-1)新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(8月8日)
**岐阜大学医学部下畑教授の2024年8月8日のFB投稿です**
今回のキーワードは,3年間の追跡調査で死亡率と後遺症発症リスクは低下したが,入院した重症患者では依然高値である,感染後1年間のPASC発生率は経過的に減少しているが,オミクロン期のワクチン接種者においても依然として高い,long COVIDを発症しやすく,回復しにくい9つの要因,long COVIDでは持続感染により,腸管や脊髄におけるT細胞の活性化が生じている,long COVIDに伴う認知機能低下と関連する要因は,急性期重症,6ヵ月時の認知機能障害,高血圧である,COVID-19は若年成人の難聴および突発性感音難聴のリスク因子である,です.
long COVIDに関する長期的な疫学データが複数報告されました.オミクロン期のワクチン接種者においても依然として高く,またよりlong COVIDを呈しやすい9つの要因も総説にまとめられています(3つ目の項目です).また高齢者のCOVID-19入院患者における認知症の発生率は2.5年後の時点で20%弱(!)とありますので,感染予防・重症化予防を心がける必要があります.
FBで読みにくい方はブログ(https://tinyurl.com/2cptxkc2)をご覧ください.
◆3年間の追跡調査で死亡率と後遺症発症リスクは低下したが,入院した重症患者では依然高値である.
PASC(=long COVID)の感染後2年を超える追跡データは限られている.米国から退役軍人省の健康記録を用いて,感染者13万5161人と対照520万6835人を3年間追跡したコホート研究である(オリジナルの武漢株が優位で,抗ウイルス薬やワクチンが開発されていなかった期間の感染者が登録された).非入院感染者では,死亡リスクの増加は感染1年後以降認めなくなった.PASC発症リスクも3年間で減少したが,それでも3年目には1,000人あたり9.6障害調整生存年(DALY*)に寄与した(*DALYは特定の疾病によって失われた健康な人生の年数を表す).DALYのうち,神経学的後遺症が非常に高い割合を占めていた(図1).
一方,入院した患者では死亡リスクは低下したものの,3年目においても有意に高いままであった(罹患率比:1.29).PASC発症リスクは3年間で低下したものの依然高く,1,000人当たり90.0 DALYであった.以上より感染後3年間の追跡調査において,死亡率およびPASC発症リスクは低下したものの,入院を要した重症患者では依然有意なままであった.おそらく体内の様々な部位でウイルスの複製が生じ,その結果,炎症と免疫反応が繰り返し活性化され,PASCの原因となる可能性があると推測している.
Cai M, et al. Three-year outcomes of post-acute sequelae of COVID-19. Nat Med. 2024 Jun;30(6):1564-1573.(doi.org/10.1038/s41591-024-02987-8)
◆感染後1年間のPASC発生率は経過的に減少しているが,オミクロン期のワクチン接種者においても依然として高い.
PASCの発生率がパンデミックの過程で変化したかを検討した研究が米国から報告された.退役軍人省の健康記録を用いて,感染者44万1583人と非感染者474万8504人において,プレデルタ期,デルタ期,オミクロン期における感染1年後のPASC累積発生率を推定した.結果としてワクチン未接種の感染者の累積発生率は,プレデルタ期で100人当たり10.42イベント,デルタ期で9.51イベント,オミクロン期で7.76イベントであった.ワクチン接種者の累積発生率は,デルタ期で100人当たり5.34イベント,オミクロン期で3.50イベントであった.ワクチン接種者はワクチン未接種者よりも1年後のPASCの累積発生率が低かった(デルタ期の差,-4.18イベント,オミクロン期の差,-4.26イベント)(図2). PASC発生数は,プレデルタ期とデルタ期を合わせたものより,オミクロン期の方が5.23減少していたが,その28.11%は時期に関連し(ウイルスの変化やその他の時間的影響)に起因し,71.89%はワクチンに起因していた.以上より,感染後1年間のPASCの累積発生率は,パンデミックの経過とともに減少したが,オミクロン期のワクチン接種者においても依然として高いことが分かった.
Xie Y, et al. Postacute Sequelae of SARS-CoV-2 Infection in the Pre-Delta, Delta, and Omicron Eras. N Engl J Med. 2024 Jul 17.(doi.org/10.1056/NEJMoa2403211)
◆long COVIDを発症しやすく,回復しにくい9つの要因.
long COVIDの臨床に関する総説がLancet誌に報告された.疫学に関して興味深い2つのFigureを紹介したい.Figure 1は英国における自己申告によるlong COVIDの推定有病率を示したもので,全体の有病率は1.8%.最も罹患が多い年齢層は35〜65歳.女性に多く,貧困の場合,より有病率が高くなる(5段階で1が最も貧困).「非労働力人口」と自己分類した人における有病率は5.7%で,就業能力に大きな影響を与えていることが分かる(図3).症状の持続期間については少なくとも1年間が71%,少なくとも2年間が51%,少なくとも3年間が31%であった.
Figure 2はlong COVIDのリスク因子をまとめたもので,発症しやすく,回復しにくい要因としては以下の9項目が記載されている.
①既往症あり,②女性,③貧困,④初期に多くの症状を呈した,⑤COVID-19感染時に重症(入院した),⑥ワクチン未接種または接種が不十分,⑦初期の感染時に休息がとれなかった,⑧初期の感染時に抗ウイルス薬が未投与,⑨再感染
Greenhalgh T, et al. Long COVID: a clinical update. Lancet. 2024 Jul 31:S0140-6736(24)01136-X.(doi.org/10.1016/S0140-6736(24)01136-X)
◆long COVIDでは持続感染により,腸管や脊髄におけるT細胞の活性化が生じている.
米国UCSFより,急性感染の27日後から910日後までの24人の患者において,活性化T細胞を選択的に標識するトレーサー [18F]F-AraGを用いたPETを施行した研究が報告された.結果として,これらの患者では症状の持続の有無にかかわらず,脳幹,脊髄,骨髄,鼻咽頭および肺門リンパ組織,心肺組織,腸壁などの多くの部位で,対照群と比較してトレーサーの取り込みが高かった.脊髄と腸壁におけるT細胞の活性化は,long COVID症状と関連していた(図4).さらに肺組織におけるトレーサー取り込みは,特に呼吸器症状が持続する患者で高かった.これらの組織におけるT細胞活性化の亢進は,long COVID症状を認めない参加者にも観察された.5人のlong Covid患者の大腸組織を入手し,SARS-CoV-2 RNAのin situハイブリダイゼーションと免疫組織化学的検索を行った.5人全員の直腸S状結腸固有層組織で細胞内にSARS-CoV-2一本鎖スパイク蛋白コードRNAが同定され,3人では初回感染から676日後まで二本鎖スパイク蛋白コードRNAが同定された.以上よりウイルスの持続感染が長期にわたる免疫学的障害と関連している可能性が示唆された.
Peluso MJ, et al. Tissue-based T cell activation and viral RNA persist for up to 2 years after SARS-CoV-2 infection. Sci Transl Med. 2024 Jul 3;16(754):eadk3295.(doi.org/10.1126/scitranslmed.adk3295)
◆long COVIDに伴う認知機能低下と関連する要因は,急性期重症,6ヵ月時の認知機能障害,高血圧である.
中国武漢でSARS-CoV-2オリジナル株に感染して生存した60歳以上の1245人と,感染していない配偶者358人を対象に,2年半にわたる認知機能の変化を調査した.高齢のCOVID-19生存者における認知機能障害の全発生率は,感染・入院後2.5年の時点で19.1%であった(Telephone Interview for Cognitive Status-40を用いて評価)(図5).認知機能の低下は,主に重症患者の感染後1年間で出現し,その後,低下率は軽減した.長期的な認知機能低下と関連する要因は,重症COVID-19,6ヵ月時の認知機能障害,高血圧であった.以上より,COVID-19サバイバーに対する感染後の認知機能のケアの重要性が示唆された.
Liu YH, et al. Tracking cognitive trajectories in older survivors of COVID-19 up to 2.5 years post-infection. Nat Aging (2024).(doi.org/10.1038/s43587-024-00667-3)
◆COVID-19は若年成人の難聴および突発性感音難聴のリスク因子である.
韓国から若年成人におけるCOVID-19と難聴/突発性感音難聴との関連を検討した全国住民ベースのコホート研究が報告された.合計671万6879人の若年成人が対象となった.4026万757人・月の追跡期間中に,3万8269例の難聴と5908例の突発性感音難聴を認めた.難聴のリスク(発生率:11.9対3.4/10,000人・月;調整サブ分布ハザード比(aSHR),3.44;P<0.0001)および突発性感音難聴のリスク(発生率:1.8対0.5/10,000PM;aSHR,3.52;P<0.0001)は,COVID-19群でより高かった.以上より,若年成人におけるCOVID-19後の難聴および突発性感音難聴のリスク上昇が示唆された.
Kim HJ, et al. Incidence of hearing loss following COVID-19 among young adults in South Korea: a nationwide cohort study. eClin Med. July 29, 2024(doi.org/10.1016/j.eclinm.2024.102759)

関連情報
・前回の「新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(6月23日)」は2024年7月のニュースに掲載しています。

3.パーキンソン病
3-1)パーキンソン病患者の認知症移行率は既報よりだいぶ低い
**岐阜大学医学部下畑教授の2024年8月13日のFB投稿です**
パーキンソン病(PD)患者では最大80%で認知症が発症すると言われてきました.よく引用されるノルウェーの報告では8年間で78%,オーストラリアの報告では20年間で83%の発症率でした.しかしこれらは20年以上前に発表されたもので,かつ症例数も224人および136人と少ない報告でした.今回,Neurology誌に米国からPD患者の認知症リスクを検討した研究が報告されました.大規模前向き観察研究のPPMI(多施設共同国際研究)と,ペンシルバニア大学(Penn)のPD研究コホートのデータを用いています.
結果として,PPMIコホートでは,417人(平均年齢61.6歳,男性65%)が追跡され,罹病期間10年目の認知症推定確率は9%(治験担当医師の診断),15%(MoCA),12%(MDS-UPDRS Part I認知機能)と既報より低い確率でした.Pennコホートでは,389人(平均年齢69.3歳,男性67%)が追跡され,最終的に184人(コホートの47%)が認知症と診断されました.
図1は2つのコホートでPDの診断を受けてから認知症と診断されるまでの年数を示しています. PPMIコホートの認知症発症の累積確率は,観察期間全体を通じて50%を超えませんでした(よって認知症の診断の中央値不明).一方,Pennコホートでは,認知症の診断の中央値は15.2年で,認知症の推定確率は罹病期間10年で27%,15年で50%,20年で74%でした.
図2A-Cは認知症に影響を与える因子の検討です.56歳未満でPDと診断された者の中央値は19.4年,56〜70歳では14.6年,70歳以上では9.2年でした(p < 0.001).性別では女性で19.4年,男性で13.3年でした(p = 0.004).教育レベルでは,13年未満で11.6年,13年以上で15.2年でした(p = 0.006).よってPDの認知症発症リスクに影響を与える要因として,年齢が高いこと,男性であること,教育レベルが低いことが示されました.
以上より,PDにおける認知症の発生頻度は,既報よりも低く,かつ経過も遅いことが示唆されます.またPD患者における認知症予防に個別化された戦略が必要である可能性が示されました.
Gallagher J, et al. Long-Term Dementia Risk in Parkinson Disease. Neurology. 2024 Sep 10;103(5):e209699. (doi.org/10.1212/WNL.0000000000209699)

3-2)機能性運動障害に合併する疾患―頭痛とパーキンソン病に関する2つの論文―
**岐阜大学医学部下畑教授の2024年8月6日のFB投稿です**
近年,欧米において機能性神経障害(functional neurological disorder; FND)の疾患概念が確立し,適切な診断および治療について盛んに検討が行われています.本邦でも,徐々にその理解が進んでいるものの十分とは言えず,その啓発は今後の重要な課題と言えます.FNDのひとつ,機能性運動異常症(functional movement disorder; FMD)に関して興味深い論文が2報ありましたのでご紹介します.
【その1.FMDでは頭痛を高率に合併し,合併のタイミングで特徴が異なる可能性がある】
FNDでは主症状以外に,疲労>記憶障害>頭痛>排尿障害といった関連症状を合併することが知られています(Eur J Neurol. 2021;28:3591-3602).FMDでも頭痛が頻繁に見られますが,その特徴を評価した研究はほとんどありません.スペインからFMDにおける頭痛の発生率,特徴,合併のタイミングを調べた観察コホート研究が報告されました.
結果はFMD患者51名のうち,40人(78%)が反復性の頭痛を呈していました.頭痛の強さは中等度から重度が多く(83%),約2/3は9日/月以上の頭痛を認めました.頭痛による障害の程度は高く,HIT-6中央値(四分位範囲)は62(49–66)でした.頭痛に伴う症状としては悪心・嘔吐,光過敏・音過敏,運動麻痺・不安定性,視覚症状,言語障害を認めました(図1).ICHD-3による診断は片頭痛または片頭痛疑い(probable migraine)が23人(58%),緊張型頭痛が11人(27%),新規発症持続性連日性頭痛(NDPH)が2人(5%),一次性運動時頭痛が1人(3%),分類不能が3人(7%)でした.頭痛の合併タイミングは,FMDの発症前が28人(70%),FMDの発症後が5人(12%),同時が6人(15%)でした.最後の群では,6人中4人(67%)が発症から連日の頭痛を訴え,2人はNDPHの基準を満たしていました.
以上より,頭痛はFMDにしばしば合併すること,また片頭痛や緊張型頭痛に加えて,NDPHが認められる可能性が示唆されました.興味深いのは,頭痛の特徴がFMDの発症前後,もしくは同時に始まるかで異なる可能性がある点です.同時発症はより重要なのかもしれません.いずれにせよFMDでは頭痛に注意し,認める場合は積極的に治療を行うこと,ならびに多数例での前向き研究を行うことが必要と考えられます.
Riva E, Kurtis MM, Valls A, Franch O, Pareés I. Beyond movement: Headache in patients with functional movement disorders. Headache. 2024 Aug 1.(doi.org/10.1111/head.14804)
【その2.FMDをパーキンソン病の新たな前駆症状と考えて検討すべきである】
FMDは他の神経変性疾患にも合併することがあり,特にパーキンソン病(PD)は有名です(アルツハイマー病やPSPでは稀です).最近のコホート研究や症例集積研究から,FMDがPDの診断に先行して認められることが注目されています.つまりFMDがPDの前駆症状である可能性があります.この現象をどう考えるべきか,英国のKailash Bhatia先生らが検討した総説がMov Disord誌に発表されています.
まずFMDがPDに先行する機序について3つの可能性を提示しています.
1.初期のPDをFMDと誤診している可能性
2.不安,うつ病,疲労,痛みなどのPDの非運動症状が,FNDにおいても共通のリスク因子として作用する可能性
3.早期の神経変性(特にドーパミン神経伝達の欠乏)がFMDをきたす可能性
とくに著者は3の可能性を考えておられるようです.図2はFMDとPDが共通する脳のネットワークや機能障害に関連している可能性を議論したものです.難しいのですが,具体的には運動生成の変化,運動の自動性の喪失,フィードフォワード運動信号と最終的な運動出力の感覚信号との間の不一致として理解されるエージェンシーの喪失,感情処理の障害が提示されています.
臨床的に必要なのは,FMDとPDの誤診を避けるために,①それぞれの陽性徴候を積極的にチェックすること(とくにFMDの陽性徴候をマスターすること),②レム睡眠行動障害,自律神経障害,嗅覚低下など,PDのその他の非運動症状をチェックすること,③発症早期では感度が低いDATスキャンに診断を依存することをやめること(DAT陰性=FMDではなくPDでもあり得るということです),が大切になります.
Matar E, et al. Functional Movement Disorder as a Prodromal Symptom of Parkinson’s Disease-Clinical and Pathophysiological Insights. Mov Disord. 2024 Aug 9.(doi.org/10.1002/mds.29958)

関連情報
・「パーキンソン病の硬膜外脊髄電気刺激療法(改訂版)」については、2023年11月のニュースで取り上げています。

4.ALSに対するブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)技術の発展・多様化と大きな意義と限界
**岐阜大学医学部下畑教授の2024年8月20日のFB投稿です**
最新のNew Eng J Med誌にALSにおけるBCI技術に関する印象的な論文が3つ掲載されています.この治療は今後きわめて重要で,本邦でも脳外科,工学との連携を進め,極力早期に実現すべきと強く思いました.
【論文1.患者と家族へのインタビュー】
米国のALS患者さんとその家族がBCI技術を利用してコミュニケーションを回復する様子をインタビューとして聞くことができます.会話困難になった患者さんがBCI技術により取り戻した声を聞くことができます(むしろリスニングしやすいです).https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp2407613)
ご本人にとって言葉を失い,家族,とくに娘とのつながりを失うことが最も辛いことでした.孤立がストレスを増大させ,多くの問題を悪化させました.言語の喪失がALSの最も残酷な側面のひとつであると述べています.しかし再び自分の声でコミュニケーションを取れるようになり,日常生活が大きく改善しました.「自分らしさを取り戻し,家族や友人との深い会話ができるようになった.再び娘の父親になれたことに感謝している」と述べておられます.
Restoring Lost Speech: ITT Episode 36. N Engl J Med. 2024 Aug 15;391(7):e13.(doi.org/10.1056/NEJMp2407613)
【論文2.短期間に極めて高い精度で脳波から音声出力するBCI技術】
上記の患者さんが使用したBCI技術「音声ニューロプロステーシス(prosthesis:人工器官)」に関するカリフォルニア大学デービス校の研究です.患者の脳活動をリアルタイムで解読し,それをテキストに変換して音声出力する技術です.具体的には,患者の話そうとする意思を左中心前回に埋め込まれた256個の電極を介して脳波から解読し,これを使用して音声として出力します(図1, 2).以前,録音した患者の声を使ってかつての声のように発音することができます.移植のわずか25日後に99.6%の精度で音声に変換することができました.12万5000語の語彙を使用しても90.2%の精度を達成し,最終的には97.5%の精度で約8ヶ月間使用されました.この技術は,ALS患者のコミュニケーションを大きく改善し,日常生活での使用が可能であることが示されました.
Card NS, et al. An Accurate and Rapidly Calibrating Speech Neuroprosthesis. N Engl J Med. 2024 Aug 15;391(7):609-618.(doi.org/10.1056/NEJMoa2314132)
【論文3.6年間の長期使用が可能であったBCI技術】
研究に参加した時点で58歳のオランダのALS患者に対する埋め込み型BCIの長期経過を追跡した研究です.前述のBCI技術とは異なる方法で,脳の電気活動を利用してマウスクリックのようなコマンドを生成し,文字の選択や介護者の呼び出しなどを行う技術です.BCI技術の使用頻度は視線入力装置がうまく使えなくなったり,瞬目ができなくなってから増加し,日常生活で使用されました.導入の6年後から徐々に使用が減少しました(図3).最終的にBCIの制御の正確性が低下した7年目で使用は終了しました.その時点では大脳の神経信号の振幅が減少し,頭部CTでは進行性の萎縮を認めました.つまりBCI技術の使用には限界があることが明らかになりました.
Vansteensel MJ, et al. Longevity of a Brain-Computer Interface for Amyotrophic Lateral Sclerosis. N Engl J Med. 2024 Aug 15;391(7):619-626.(doi.org/10.1056/NEJMoa2314598)
【まとめ】
異なるタイプのBCI技術の使用事例が示されており,技術の多様性と進化が分かります.BCI技術が個々の患者さんのニーズや疾患の進行度に応じてさまざまな形で適応可能であることが示されたことになります.一方で,BCI技術には神経変性の大脳への波及という時間的な限界があることも示されました.しかし最初のインタビューが示すように,一定期間と言えども,患者さんが「自分らしさ」を取り戻し,家族や友人とコミュニケーションできる意義は極めて大きく,本邦でもBCI技術の実用化が進むことを強く期待したいと思います.

関連情報
・上記の論文2については、日経新聞が、2024年8月16日の朝刊で『米大学 ALS患者、家族と会話』と題する記事で紹介しています。

5.教育談義
5-1)脳神経内科医1年目の私のカルテに久しぶりに対面した話
**岐阜大学医学部下畑教授の2024年8月7日のFB投稿です**
3年ほど前に,小脳失調症の研究でご一緒させていただいている信州大学中村勝哉先生から,信州大学で診療している患者さんの学会発表の共同演者になってほしいというお話をいただきました.症例は家族性痙性対麻痺SPG26の原因遺伝子であるB4GALNT1に新規ミスセンス変異があることが判明した44歳女性です.なぜ私が共同演者になるのか思い当たることがありませんでしたが,お話を伺うと,20歳時に信州大学に入院歴があり,そのカルテを調べたところ,なんと私の書いた入院サマリーが出てきて,これまでの経過を理解するのに役に立ったということでした.患者さんが17歳のときに,脳神経内科医1年目の私が新潟の市中病院で主治医となり,その後,長野県に転居されたということです.
中村先生が私にそのカルテを送ってくださり,27年前に書いたカルテと対面したわけですが,感想は「分からないなりに全力で取り組んでいる」と思いました.恥ずかしくもありましたが,教室の若い先生がたにも1年目の私のカルテを見てもらいました.彼らに伝えたかったことは,診断が分からない難しい症例を経験したときに「分からないながらもしっかりと病歴や神経所見を記載し,可能な限り勉強してベストの考察を残しておけば,いつか誰かが見て役に立つかもしれない」ということです.これまでも遺伝性神経疾患において同様の事例がいくつもありますし,おそらくこれから発見される未知の抗神経抗体を有する自己免疫性神経疾患でも同様のことが起こるだろうと思います.自戒の念を込めてですが,できるだけしっかりとしたカルテを残す必要性を改めて感じました.以下は最近発表された論文です.1症例報告でもここまで詳細な検討ができるのだと非常に感心し勉強になりました.中村先生,どうもありがとうございました!
Inamori E, Nakamura K, et al. Functional evaluation of novel variants of B4GALNT1 in a patient with hereditary spastic paraplegia and the general population. Front Neurosci. 31 July 2024. Vol18(doi.org/10.3389/fnins.2024.1437668)オープンアクセス

5-2)脳神経内科はcommon diseaseを診ているか?@Brain Nerve誌8月号
**岐阜大学医学部下畑教授の2024年8月8日のFB投稿です**
標題の鼎談をさせていただいたBrain Nerve誌8月号が発刊されました.今月号の特集は「Common diseaseは神経学の主戦場である revisited」です.2013年9月号に「Common diseaseは神経学の主戦場である―現状と展望」という特集が組まれました.脳神経内科というと「難解で,治らない病気を診ている特殊な集団」というイメージを持たれている人もいるかもしれませんが,実は脳卒中,認知症,てんかん,頭痛,めまいといった,いわゆるcommon diseaseを最も多く診ている,あるいは診ることを期待されている診療科でもあります.この特集号ではこれらの多数の患者さんを実際にどの診療科が引き受けているのか,診療が不十分な原因は何か,脳神経内科が解決すべき課題は何かなどを議論しています.日本神経学会では西山和利代表理事が中心となり,common diseaseの診療レベルの向上を目指し,特別教育研修会(脳卒中・てんかん・頭痛・認知症コース)などの取り組みを行っていますが,前回の特集号から10年が経過してどのような状況になっているかを編集委員の3名が議論いたしました.
鼎談は興味深い内容になったと思います.内容は小見出しを並べると「脳神経内科への名称変更とその影響,Common disease の診療をめぐる現状,脳神経内科医が果たすべき役割と課題,脳神経内科のおもしろさを伝えていく,脳神経内科と他科との壁を壊して歩もう」となっています.また総説も下記のように力作ぞろいで,とても勉強になります.ぜひご一読いただければと思います.
◆【鼎談】脳神経内科はcommon diseaseを診ているか? 下畑享良×髙尾昌樹×神田 隆
◆認知症診療における脳神経内科医の役割(森 悦朗)
◆脳卒中の現場における脳神経内科医の存在意義(出口一郎,髙尾昌樹)
◆てんかん診療の進歩と課題(赤松直樹)
◆頭痛診療の進歩と今後の展望(永田栄一郎)
◆Common diseaseとしてのめまい──危険度で考える(福武敏夫)
◆末梢神経障害(しびれ)──神経・筋疾患の「総合診療科」としての役割(古賀道明)
Brain Nerve誌HP
https://www.igaku-shoin.co.jp/journal/detail/41128
第8回特別教育研修会(2024年10月6日(日))
https://8neurology-kensyu2024.org/index.html

5-3)河井継之助と山本五十六のことばと教育の大切さ
**岐阜大学医学部下畑教授の2024年8月11日のFB投稿です**
夏休みを自宅のある新潟で過ごしました.長岡市にある河井継之助記念館と山本五十六記念館を訪ねました.河井継之助(1827-1868)は幕末の越後長岡藩の家老で,戊辰戦争では長岡藩を率いました.山本五十六(1884-1943)は太平洋戦争時の連合艦隊司令長官で,真珠湾攻撃をはじめとする多くの作戦を指揮しました.長岡市が生んだふたりの共通点は,最後まで戦争に反対しながらも,戦争の旗頭に立たざるを得なかったことかと思います.
今回,記念館を訪問して,さらに共通点に気づきました.それは教育です.継之助は藩校に通い,江戸や西国,長崎にも遊学して新しい価値観を身に着けましたし,五十六は海軍兵学校を卒業,アメリカへの留学経験を持ち,多くの外国を巡って国際的な視野を身につけました.これらの基盤があるからこそ,時代の変化を理解し,新しい方法を取り入れる姿勢を持てたのだと思います.そしてともに現代にも通用する箴言を残しています.それぞれのことばをまとめた2冊の本を読みました.そのなかから印象に残ったことばをご紹介します.
【河井継之助のことば(https://amzn.to/4fGM88L)】
◆何でもよい,一つ上手であればよいものだ.上手だければ,名人と謂はれる.是からは何か一つ覚えて居(お)らなければならぬ.→ 教室で私がいつも言っていることと一緒です.
◆眼を開け,耳を開かなければ,何事も行はれぬ.
◆学問というものは実行しなければ何の役にも立たないものである.
◆使ふものも使はるるものも,互に愉快に仕事を為(す)る.
◆人間はどんなに偉くとも,人情に通ぜず,血と涙がなくては駄目だ.
【山本五十六のことば(https://amzn.to/3SKDoVj)】
◆やってみせ,言って聞かせて,させてみせ,ほめてやらねば,人は動かじ.話し合い,耳を傾け,承認し,任せてやらねば,人は育たず.やっている,姿を感謝で見守って,信頼せねば,人は実らず. → 教室のリーダーシップ講義で紹介してる言葉ですが,全文を知ってほしいです.
◆中才は肩書によって現はれ,大才は肩書を邪魔にし,小才は肩書を汚す.
◆人は誰でも負い目を持っている.それを克服しようとして進歩するものなのだ.
◆もらった恩は岩に刻め,与えた恩は水に流すべし.
ちなみに写真2枚目の「常在戦場(常に戦場に在り)」は長岡藩士にとっての精神規範で,ふたりとも「常在戦場」の書を残していました.この意味は,戦場の生活を予測し,平素から質素倹約をし,心身の鍛錬をして教養を向上させるというものです.幕末に長岡藩が苦難に陥った際,継之助とともに長岡維新三傑と呼ばれた小林虎三郎は,三根山藩から見舞いとして送られた米百俵を藩士らに分配せず,国漢学校設立資金の一部に充て,人材育成を呼びかけました(有名な「米百俵」の故事です).
数日前の朝日新聞の記事に「科学論文,日本は過去最低の13位」とありました.しかし日本人がダメになったのではなく,国家として教育が十分できていない結果なのだろうと思いました.パリオリンピックの日本人選手の大活躍を見ると,若いうちからしっかり教育をすれば世界に通用できることが示されているように思います.
河井継之助記念館(https://tsuginosuke.net/)
山本五十六記念館(http://yamamoto-isoroku.com/)

5-4)初めて知ることばかりで衝撃を受けた「原爆裁判―アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子」
**岐阜大学医学部下畑教授の2024年8月16日のFB投稿です**
久しぶりにNHK朝ドラを見ています.『虎に翼』です.今週,主人公の寅子が「原爆裁判」に関わる場面が描かれていますが,しばらく前に書店で標題の本(https://amzn.to/4fWyzT4)を見つけました.寅子のモデルである三淵嘉子さんは第1回の口頭弁論から結審に至るまでの8年間,審理を担当しました.本の最後に判決文全文がありますが,そのなかで「原爆投下は国際法違反」と明言,さらに「政治の貧困を嘆かずにはおられない」と日本政府を批判し,被爆者への支援策を強く促しました.いまだロシアがウクライナへの侵攻で核兵器の使用をちらつかせる状況ですので,核兵器の使用が国際法に違反すると明確に述べた判決が持つ意義は現代においても大きいと思います.
また右図は中国新聞(2024年5月1日)からの引用で,原爆裁判の争点を示していますが,国は被害者よりも米国に寄り添う主張を行ったことがよく分かり驚きました.
https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=141335
ただ本書は判決文を除くと裁判に関する記載は少なめで,むしろ卓越しているのは,原爆開発の経緯,原爆投下の判断,原爆投下後の米国の対応について関係者の発言を集めて記載した前半部分です.初めて知ることばかりでした.本書の記載がすべて正しいかは分かりませんが,下記の発言を読むと,本当に残念だという思いがこみ上げてきましたし,原爆投下後の政治による科学の蹂躙にいろいろ考えさせられました.核軍縮・核廃絶のために日本人の果たす役割は大きいと終戦記念日に改めて思いました.おすすめの本です.
◆アメリカ科学研究開発局長官ヴァネヴァー・ブッシュと米国防研究委員会科学・爆発物部門主任のジェームズ・コナントは「原爆の最初の使用は,敵国の領土ではなくわが国で行なうのがベストです.日本が降伏しなければ,原爆が日本の領土で使われることになると警告すればよい」と提案した.
◆第34代大統領となるドワイト・D・アイゼンハワー元帥は,「対日戦にはもはや原子爆弾は不要である」と(原爆投下の決断をした第33代大統領の)トルーマンに進言している.
◆アメリカのABCテレビは1995 年に「ヒロシマ・なぜ原爆は投下されたのか」という番組を放送し,以下のような見解を示した.「太平洋戦争末期の日本に原爆投下か本土上陸作戦しか選択肢がなかった,というのは歴史的事実ではない」
◆(第31代大統領の)ハーバート・フーバーは,「いかなる詭弁を用いようと,原爆投下の主目的が,戦闘員ではなく女性子供老人などの非戦闘員の殺傷であったことを否定することはできない.そもそもアメリカは日本を挑発しなければ決して真珠湾を攻撃されることはなかっただろう」といっている.
◆ダグラス・マッカーサーは,「日本がソ連に和平仲介を頼んだと知った1945年6月,私は参謀たちに,戦争は終わりだ,と告げた.ところがワシントンのトルーマン政権は突如日本に原爆を投下した.私は投下のニュースを聞いて激怒した」と語っている.
◆(第33代大統領の)トルーマン大統領とバーンズ国務長官が,無警告で大都市への原爆投下を強行した理由は,「主に日本に対する人種的偏見と,真珠湾攻撃に対する懲罰である」と社会学者で公文書研究者の有馬哲夫氏は指摘している.
◆原爆開発責任者だったオッペンハイマー博士は,「原爆は地上600メートルという高い地点で爆発したため,放射性物質は成層圏まで到達している.それが地上に落ちてくるまでには極めて少量になる」という見解を述べ,「だから広島,長崎では人体に悪影響を及ぼす残留放射線は発生しない」と説明した.
◆「君たちの任務は『ヒロシマとナガサキには放射能がない』と証明することだ」(調査団の団長のマンハッタン計画のNo.2トーマス・ファレル)准将は開口一番,全員にそう伝えた.
◆(東京裁判の)パール判事は「(アメリカの)原爆使用を決定した政策こそが,ホロコーストに唯一比例する行為である」と論じ,原爆投下こそが無差別的破壊として,ナチスによるホロコーストに比べられる唯一のものである,としたのである.
原爆裁判―アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子(毎日ワンズ)
https://amzn.to/4fWyzT4

5-5)YouTube動画:Don’t give up hope!希望を捨てないで!
**岐阜大学医学部下畑教授の2024年8月20日のFB投稿です**
研究をする理由 ―若い研究者,医師,そして医学生にぜひ見ていただきたい動画―
私は大学院生時代に脊髄小脳変性症のひとつ,歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)の研究を行っていました.その研究が新聞報道され,そのお蔭で何人ものDRPLA患者さんやご家族からご連絡や激励をいただきました.そのなかに塩沢淳子さんと娘さんのクリちゃんがいました.いまもSNSなどでやり取りをしておりますが,その塩沢さんから「先日,ハワイの医大生に話をしました.後半ドクターも話をしていて,下畑先生のリベラルアーツのに通じるものがあると感じました.是非後半だけでも見てください」というご連絡をいただきました.

YouTube動画:Don’t give up hope!希望を捨てないで!
https://www.youtube.com/watch?v=Phufk4O7uLc

塩沢さんと,脳神経内科医のKore Kai Liow先生(Hawaii Pacific Neuroscience)がとても大事なことを話しておられ,感動して目頭が熱くなりました.20分弱の動画で,前半はクリちゃんやご主人の病気のこと,そして後半が最新の治療研究についてになります.若い研究者,医師,そして医学生に見ていただきたいです.なぜ私たちが研究をするのか,その理由が分かります.そして最後に驚くような奇跡も起こります.

(作成者)峯岸 瑛(みねぎし あきら)