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IgLON5抗体関連疾患 Jacoby線 PSP診断基準整理支援ツール しびれ パーキンソン病 ヘッドアップ・ティルト(HUT)試験 マイクロプラスチック ミクログリアとアルツハイマー病 切り替えスイッチ 多系統萎縮症(MSA) 大脳皮質基底核症候群 帯状疱疹ワクチンと認知症リスク 片頭痛治療 脳内リンパ系システム 脳神経内科医 舌の異常運動 足底書字覚消失 長期にレボドパが効くかどうか 難病医療ハンドブック 頭痛

2026年6月のニュース

近頃は、ポールを持って歩く方を街中でも、時々見かけるようになってきました。嬉しいことです。
今月の関連学術ニュースは、「アルツハイマー病(AD)は、病理学的な変化がもたらす必然的な結果ではなく、アミロイドβ(Aβ)やタウに対して脳細胞がどのように応答するかによって形成される動的なプロセスである」ことを明らかにした論文の紹介と、岐阜大学医学部下畑先生からの最新医学情報です。特別企画:AIに訊くは、「連載シリーズ:切り替えの物語」のNo.4とNo.5です。

1.2026年6月の活動状況
佐藤 ヒロ子さんの投稿
【習志野市民カレッジ  ウォーキング講座2回目】 2026/6/4  今回は「中之条研究」にふれ  やや速い歩きの実践です。  体力・歩行力に合わせ  体の声を聞きながら  インターバルで体感です。     広〜い体育館で、 思いきり歩いて頂きました。

スマイルチームさんの投稿
20260604スマイルチーム 6月のポールウォーキング。 近場の公園から公園。 公園内でウォーキング練習。 今日も楽しい活動でした😃 #相模原市南区 #ポールウォーキング #スマイルチーム #リハビリウォーキング #健康普及活動

長谷川 弘道さんの投稿
本日は月に一回の津島ポールウォーキングデーでした😄 途中少し雨が降ってきましたが、でもいつもの通り、1時間ほどみなさんでポールエクササイズ、天王川公園を20分ほどみなさんとご一緒に歩きました❗️ 前半のポールエクササイズでは、今私がInstagramでもご案内しています敏捷性のトレーニングをみなさんにチャレンジしていただきました♪ また、まだInstagramではご紹介していませんが、床からの起居動作エクササイズをご紹介しました。 ちょっと生活を振り返った時に、床に座る、寝るということがどのくらいありますか? ちなみに我が家には和室がないので、座るのは椅子を用いることになります。 トイレはもちろん洋式。寝る時はベッドです。 シニア世代のご家庭であれば、ほぼ床に座る、寝る時間はほとんどないのではないでしょうか。 日本人の生活スタイルは、“座”が基本でした。床から立つ、座るは生活の中で普通のことでした。 ところが30年台の高度経済成長期から一気に西洋式の生活スタイルに変わり、“座”の場面が激減。 日本人の足腰の力はかなり衰えてしまったのではないでしょうか。 是非みなさんにやってもらいたいことがあります。 床に正座してください。そこから手を床につけずに、脚の力のみで立ってみてください。 かなり、関節、筋肉に負担を感じるのではないでしょうか。 正座は膝に良くないと言いますが、以前に理学療法士の方から聞いた話ですが、日本人が正座をしなくなったから膝を悪くする人が増えたのではないかと。 正座するということは、太ももの前面の筋肉(大腿四頭筋)をしっかりストレッチします。 しかし正座をしなくなってからは、この太もものストレッチをする機会が減ったわけですね。 また、膝を深く曲げたところからの立ち上がりは、太ももの筋力がなければ立てませんね。 今、特に膝や股関節などに問題がなければ、是非床からの起居動作を生活の中に取り入れることをおすすめします。 床から腕の支持を使って、立ったりしゃがんだりするエクササイズが欧米のフィットネストレーナーたちがYouTubeなどで紹介してます。 柔道や柔術などの武術の動きを利用しているものもあるようですが、我々日本人なら普通に生活の中でやっていた床からの立ちしゃがみという動きが、今や欧米の人たちがその動き方を利用してエクササイズにしているという時代です😳 確かに、膝、腰が悪くなってからでは、和式スタイルは何かと厳しい部分があるのも事実ですので、今、特に下肢に問題がなければ、床からの起居動作を生活の中で少しずつ取り入れていってほしいです。 Instagramの方でもまたご紹介していきますので、是非ご覧ください。 https://www.instagram.com/hasegawa_iki_sara?igsh=ZTZ4eGNrZmludmox&utm_source=qr #津島ポールウォーキングデ #天王川公園 #アジリティ #和式スタイル #起居動作

田村 芙美子さんの投稿
一年前のこの日とぴったり重なる1日。渋谷PWクラス2026-1期は最終日、大半の方が片足立ちkeep成功! のんべえ横丁も通りました。去年と違うのは  今朝はadidasの店がFIFA熱気に溢れていたこと。

スマイルチームさんの投稿
2026.6.4.〜6 活動記録 ☺︎ポールウォーキング 14名 ☺︎スマイルチーム上溝 15名 ☺︎相模原市文化協会役員会議 ☺︎スマイルチーム上鶴間 18名 ☺︎活き活き中屋敷PW 14名 ☺︎活動チラシ作成 上鶴間、上溝、光が丘 #俊さん誕生日月間毎日俊さん

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 6月PW定例会/駒場公園〜 参加者75名を迎えてのポールウォーキング❗️ 佐久大学/看護師のたまご達の授業参加や、お馴染みの会員さん、PWを始めたい一般参加の体験者の皆さん等多勢の皆さんの集まりにビックリの事務局でした。

遠藤 恵子さんの投稿
介護予防運動→加圧トレーニングセッションへ☺️ ごちゃごちゃしているように見えますが…… 自分で言うのもなんですが、そうでもないw 今日もこの空間で、たくさんの笑顔と元気をサポートしています😊 ☔️梅雨の季節こそ加圧トレーニング☔️ 雨の日が続くと、なんとなく身体が重い… やる気が出ない… むくみが気になる… そんな方も多いのではないでしょうか? 加圧トレーニングは、短時間・低負荷でも効率よく運動できるため、梅雨時期の運動不足対策にもおすすめです✨ ✅ 血流促進によるスッキリ感 ✅ むくみ対策のサポート ✅ 筋力維持・体力低下予防 ✅ 気分転換やストレス発散 ✅ 雨の日でも室内で快適に運動できる 運動すると「気持ちまで軽くなった♪」というお声もよくいただきます😊 じめじめした季節だからこそ、身体を動かして心も身体もリフレッシュしませんか?🍀

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【ポールがあると       楽なんです】  坂道・階段の上り下り 2026/6/11 #船橋ウォーキングソサイエティ #木曜日定例会 #2本のポールを使うウォーキング グルーラインにうれしいコメントが 入ってきました。 「今日の階段と坂道はいつも苦労しているので助かりました。日常的に実行したいと思います」

校條 諭さんの投稿
穴八幡→早稲田の紫陽花寺→戸山公園 6月の気まポ(気ままにポール歩き)は、暑さを考えて戸山公園緑陰コースとしました。 その前に穴八幡に寄って、記念写真を撮ろうとしていたら、とおりがかった女性が「撮りましょうか?」と声をかけてくれました。 この女性、わざわざ西船橋から法輪寺というところの紫陽花を見に来たとか。ただし、場所がわからなくて穴八幡に寄り道・・・。 当方、法輪寺というお寺さんは知らなかったし、紫陽花で有名ということも初耳。スマホで場所を調べて教えてあげて、我々も行こう!ということに。 法輪寺は、すみずみまで花で演出。さまざまな工夫をこらした楽しい寺でした。 そのあと、もともとの目的地、都立戸山公園へ。広くて緑の多い公園です。目玉は、江戸時代の尾張徳川家の下屋敷時代からの「箱根山」。標高45メートルの「丘」です。 登頂証明書を、かなり離れたところにある公園サービスセンターでもらって、高田馬場駅近くのタイ料理店へ。最高気温28度だったようですが快適に歩いたあとのビールのうまかったこと。 ※写真は私より田村和史君撮影分が多いです。一部YTさんからもいただきました。

Masako Shinchiさんの投稿
〜ウォーキングポールを相棒に仲間と巡る小さな旅〜ぽる旅👣 6月は茨城県石岡市❗️ 昭和4年石岡の町は大火に見舞われ600件が焼失。商人達の気落ちした心を励ました復興の看板建築をガイドさんと共に歩きました 石岡駅→金丸寿通り→中町通り→平松理容店→常陸國総社宮→キッチンさくら→石岡駅(約4キロ) みんな車で通っている道だけに、まさに石岡再発見といった気持ちになりました ボランティアガイドさんの依頼は 石岡市歴史ボランティアの会0299-23-2398に連絡を 違うコースも歩いてみたくなりました😊

中村 理さんの投稿
佐久市ポールウォーキング協会より 本日はPW散策/臼田・田口藩史跡巡りでした。 古刹の蕃松院に70名越えの参加者が集合〜 佐久歴史の道案内人の会のガイドにて 蕃松院〜新海三社神社〜上宮寺〜五稜郭〜リニューアルした「出会いの館」と蘊蓄いっぱいのポールウォーキングでした。 五稜郭一周が出来ず、日を改め歩くグループも生まれ楽しいポールウォーク散策でした。

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【シニアポールウォーキング  階段・坂道の上り下りの練習】   2026/6/15    花粉飛散せずに   暑くもなく寒くもない   この時期ね 全員で屋外へは実に10年振り    かもしれません    本日の平均年齢は79.5歳  高齢者2名がお休みで  少しお若くなりました。

田村 芙美子さんの投稿
トンボロ(続) 今朝の腰越グループはセンターを出発して1時間ほど歩いて(PW)江ノ島トンボロPWに挑戦!  トンボロとは、 春から夏(4月〜9月頃)の大潮の時期に発生しやすく、年間に約60日ほどしか見られない貴重な現象です。条件: 干潮の時刻と、その前後の1〜2時間が最も道が現れやすくなるタイミングです。 干潮時刻になると急に潮が満ちてくるのでお昼前に東浜にたどり着き大急ぎで渡りました。地元に住みながらも初めての方々は大喜び。 いつからか島側に上り階段ができて、上陸記念証まで発行! 江ノ島は観光客でいっぱい。解散後は弁天橋を歩いて帰る方、バスやモノレールで帰る方各々。

堀 和夫さんの投稿
河川環境楽園オアシスパーク定期講習会  本日、満員御礼 30名参加頂きました。 このところ、会員が増えてます。 みんな楽しくポールウォーキング楽しんでます。

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
🎋 端午安康,步步向前 端午節不只是團聚的日子, 也是陪伴家人、照顧健康的好時光。 放下忙碌, 一起走進戶外, 感受微風、陽光與節日的美好。 願這個端午, 平安相伴、健康同行, 每一步都走得穩健自在。 🥢 端午安康 👣 雙杖在手,健康跟著走

水間 孝之さんの投稿
地元佐久市常和地区のいきいきサロンでポールウォーキング体験会開催しました♪♪ 雨☂️が心配でしたが、曇りでとても歩きやすく、楽しかった、気持ち良かったのお言葉いただきました。区総代、公民館役員の皆さんお疲れ様でした。新地MCPROご指導ありがとうございました😊😊!!

遠藤 恵子さんの投稿
今日は5週目担当の介護予防運動教室へ。 昨年9月以来、約10か月ぶりに伺います✨ 久しぶりの再会を楽しみに、元気をお届けしてきます😊 #介護予防運動 #ディスタントドラムス #梅雨の晴れ間

田村 芙美子さんの投稿
雨上がりの今日は腰越PWクラスのチョイ遠出。夏越の祓神事の鶴岡八幡宮の源平の池の蓮🪷を観に行きました。 お昼のお蕎麦を挟んで大巧寺、本覚寺の鉢の蓮🪷を鑑賞して、生涯学習センターきららであじさいJazz Sessionを鑑賞しました。いつどこを歩いてもお喋りが止まりません。深夜のサーッカーの時窓の外にストロベリームーンが明るく見えました。

 

来月以降の開催
一般社団法人ソーシャルフィットネス協会さんの投稿
7/4 全国地域おこし名人達人サミットin掛川にてポールウォークを活用した社会的処方を提案します。お近くの方是非ご一緒くださいませ。

 

2.PW関連学術ニュース
2-1)Aβ–タウ変曲点におけるヒト・ミクログリアの状態転換は、認知症とレジリエンスへ向かう異なる経路に関連している。
***以下は、大阪大学宮坂昌之先生の2026年6月10日のFB投稿です***
アルツハイマー病に関する少し難しい話です。たとえ脳にアミロイドβ(Aβ)やタウ蛋白質の蓄積がかなりあってもアルツハイマー病を発症しない人たちが居ることが報告されています。つまり、脳に一定の病的変化があってもアルツハイマー病の発症には必ずしもつながらないのです。しかし、これがどうしてそうなるのか、よくわかっていません。
この問題にアプローチするために、デンマークの研究グループが他のヨーロッパの研究グループと共同で、80歳以上の高齢者と、この人たちと同程度のAβ蓄積を持つ100歳以上の高齢者からすでに採取してあった脳の上方前頭皮質(脳の前頭葉上部の領域で、高度な思考、記憶、意思決定などに関わる領域)サンプルを用いて、空間プロテオミクス解析(組織の中で特定の蛋白質がどこに存在し、どのように機能しているかを調べる方法)と単一核シークエンス解析(組織から取り出した核を1つずつ解析する方法;脳の特定の領域でどのような細胞がどのような影響を受けているかを調べることができる)という方法を一緒に行い、両高齢者群における脳の違いについて詳細に解析しました。
その結果、脳でのAβ蓄積に伴って炎症が始まり、その後にタウ蛋白質の蓄積につながる変化が起きるのですが、この移行に伴い、ミクログリア(脳に存在する免疫細胞でマクロファージの一種)においても遺伝子発現の状態がはっきりと変化していました。具体的には、Aβ蓄積の初期にはミクログリアでは初期プラーク誘導遺伝子プログラムとよばれる一連の炎症性の遺伝子変化が起きていましたが、Aβ蓄積の後期にはミクログリアでは後期プラーク誘導遺伝子プログラムと呼ばれる、免疫系の抗原提示細胞で見られるような変化が起きていました。この点、興味深いのは、認知症のない80歳代の高齢者では、前期プログラムは見られていたものの後期プログラムは動いていず、認知症のない100歳以上の高齢者では、後期プログラムまで動いていたものの、タウ蛋白質蓄積には進んでいなかった、ということです。一方、認知症が出ている100歳以上の高齢者では両方の遺伝子プラグラムが動いていただけでなく、タウ蛋白質の蓄積とそれによる病的変化も出現していました。
つまり、Aβ蓄積が起きていても、ミクログリアにおいてその後のタウ蓄積につながるプログラムが動かなければ、あるいはタウ蓄積による病理的変化が起きなければ、認知能力障害にはつながらないという可能性が見えてきました。もしかすると、脳の免疫細胞であるミクログリアがどのような状態であるかによって、タウ蓄積による病理的変化が出たり出なかったりして、その結果として、認知症が顕在化したり、あるいは現れてこなかったりするのかもしれません。そうであれば、ミクログリアが認知症発現に関する抵抗性において重要な鍵を握っている可能性があり、アルツハイマー病治療の新たな標的として注目されることになりそうです。
これまでアルツハイマー病は脳のニューロンやその周囲のアストロサイトの病気と考えられてきましたが、アルツハイマー病が出るかでないかの決定に、もしミクログリアのような免疫細胞が関与しているとなると、これはアルツハイマー病の理解、治療に関しては新たなフェーズに入ることとなります。医学は日進月歩の世界です。

関連情報
原論文
掲載誌:Nature Medicine
公開日:04 June 2026(Open access)
表題:Human microglial transitions at the Aβ–tau inflection point associate with divergent pathways to dementia and resilience
(和訳:Aβ–タウ変曲点におけるヒト・ミクログリアの状態転換は、認知症とレジリエンスへ向かう異なる経路に関連している)
著者:Lu A, et al.

要旨
アルツハイマー病(AD)は、病理学的な変化がもたらす必然的な結果ではなく、アミロイドβ(Aβ)やタウに対して脳細胞がどのように応答するかによって形成される動的なプロセスである。これらの応答を解き明かすため、私たちは、認知症を患う、あるいは患わずに生涯を終えた80代の高齢者、および同程度のアβ蓄積を伴いながらも認知機能が正常に保たれていた100歳以上の高齢者(百寿者)の、上(じょう)前頭回(じょうぜんとうかい)を対象に、空間トランスクリプトミクスと単一核RNAシーケンシング(single-nucleus RNA sequencing)を組み合わせて解析を行った。

その結果、アルツハイマー病の空間的な病理学的連続体(コンティニュアム)を表す6つの明確な組織ドメインを同定した。その中で、アミロイドβに関連する炎症性変化から、タウに関連する細胞プログラムへのシフトを特徴とする、重要な「変曲点(インフレクション・ポイント)」が存在することが明らかになった。この転換(トランジション)には、ミクログリアの状態が「初期の炎症性フェノタイプ(表現型)」から「後期の抗原提示フェノタイプ」へと変化することが伴っており、これらはそれぞれ「初期」および「後期」のプラーク誘導性遺伝子(PIG)プログラムと定義された。

認知機能の弾力性(レジリエンス)を持つ個人は、明確に異なる病理学的パターンを示した。認知症のない80代の高齢者では後期のPIGプログラムを欠いていたのに対し、100歳以上の百寿者では、後期のPIGプログラムが活性化しているものの、それがタウの蓄積とは結びついていない(非連動である)という特徴が見られた。

総じて、これらの知見は、人間の老化におけるレジリエンスに関連した多様なメカニズムを浮き彫りにするものであり、アミロイドβとタウのインターフェース(境界領域)におけるミクログリアの状態転換が、治療への応用可能性を秘めたレジリエンスの候補点であることを位置づけるものである。

💡 専門用語の補足(読みやすさのために)
空間トランスクリプトミクス (Spatial transcriptomics): 組織の「どこで」遺伝子が働いているかという位置情報を保ったまま、遺伝子発現を網羅的に解析する技術です。

上前頭回 (Superior frontal cortex): 大脳の前頭葉の上部にある領域で、思考や認知機能に深く関わっています。

レジリエンス (Resilience): ここでは「脳内にアルツハイマー病の原因物質(アミロイドβなど)が溜まっているにもかかわらず、認知症を発症せずに正常な機能を保ち続ける能力」を指しています。

寸評(Gemini3)
Q:この論文の寸評をお願いします。
A:この論文は、アルツハイマー病(AD)研究における「最大の謎の一つ」に新しい光を当てた、非常にエキサイティングで質が高い研究だと感じます。

専門的な観点から、この論文のどこが優れているのか、なぜ重要なのかを3つのポイントで寸評します。

1. 「なぜゴミが溜まってもボケない人がいるのか」への挑戦
従来のアルツハイマー病研究は「アミロイドβ(Aβ)やタウというゴミ(病理)が溜まる=脳細胞が死んで認知症になる」という直線的なモデルで語られがちでした。しかし、臨床現場では「脳内はゴミだらけなのに、亡くなる直前まで信じられないほど頭が冴えていたお年寄り(特に百寿者)」が一定数存在し、大きな謎でした。
この論文は、その謎を「脳細胞(特にミクログリア)の応答力(レジリエンス)」の差として見事に描き出しています。

2. Aβからタウへの「最悪のバトンタッチ」の瞬間を捉えた
アルツハイマー病は、まずAβが溜まり、その後タウが溜まることで発症が加速します。この論文は、その「Aβからタウへ悪化する境界線(変曲点)」を、最新の遺伝子解析技術(空間トランスクリプトミクス)を使って、脳の組織内でピンポイントに特定した点が極めて先進的です。
単に「細胞が変化している」ではなく、「脳のこの場所で、このタイミングで、炎症から次の段階へシフトしている」という空間的な連続性を証明した価値は非常に高いです。

3. 「レジリエンス(耐性)」には、複数のルートがあるという発見
最も面白いのは、認知症にならなかった人たちの脳内で起きていた現象です。

認知症のない80代: そもそも次の悪化段階(後期PIG)に進まないことで脳を守っていた。

元気な100歳(百寿者): 次の段階(後期PIG)に進んでしまっているのに、なぜかそれをタウの蓄積(実害)と切り離す(非連動にする)ことで脳を守っていた。

つまり、「病気にならない方法(ルート)は一つではない」ということを示しています。これは、これからのアルツハイマー病治療薬の開発において、「Aβを取り除く」だけでなく、「百寿者の真似をして、ミクログリアの状態をコントロールして脳を守る」という、新しい治療アプローチ(創薬ターゲット)の可能性を開くものです。

一言でまとめるなら
「病理の奴隷」としてアルツハイマー病を捉えるのではなく、脳の免疫細胞(ミクログリア)の「応答のダイナミズム」に焦点を当て、人類が持つ老化への抵抗力(レジリエンス)の多様性を見事に証明した、一級のブレイクスルー論文と言えます。

②岐阜大学医学部の下畑先生も、この論文について、6月10日に詳細な解説をFB投稿されています。

 

2-2)岐阜大学医学部下畑先生からの最新医学情報(2026年6月)
IgLON5抗体はなぜタウ病理を起こすのか?―神経細胞の過活動がタウ局在異常をもたらす!
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月3日のFB投稿です***
IgLON5抗体関連疾患は,私が岐阜大学に異動してぜひ取り組んでみたいと思った疾患(自己免疫性タウオパチー)です.その理由は臨床的にも病態的にも,自己免疫性脳炎と神経変性疾患の両方の性格をもつためです.そして何と言っても,神経細胞表面に存在するIgLON5に対する自己抗体が,なぜタウ病理を引き起こすのかを知りたいと思いました.この難問に対して,ドイツの多施設チームがその病態機序を明らかにしました.
著者らは患者4名の血漿からIgLON5抗体を精製しました.それらはIgLON5に特異的に結合しましたが,その結合能には患者間で差があり,#1,#2,#4 は結合が強く,#3 は弱い抗体でした.
次に,IgLON5抗体のタウへの影響を検討しました.抗体を培養海馬神経細胞に添加すると,タウが神経細胞の軸索から細胞体へ蓄積しました(図1).これはタウの総量が増えたためではなく,局在が変化したためでした.一方,凝集しやすい変異タウを発現させた神経細胞では,抗体によるタウ凝集が増強しました.つまり抗体が単独でタウ凝集を作るというより,タウが病的変化を起こしやすい条件下で,抗体はその凝集過程を後押しする可能性があります.
さらに著者らは,野生型マウスの側脳室にIgLON5抗体を14日間持続注入しました.その結果,海馬,とくに歯状回からCA3へ向かう苔状線維投射や交連線維で,タウのリン酸化(pS396/pS404)が増加しました.加えて神経炎症の誘導が認められました.具体的には海馬のアストロサイトとミクログリアが増加し(図2),RNA-seq解析でも,IL-6応答,TNFα応答,免疫応答に関連する遺伝子発現が上昇していました.以上よりIgLON5抗体はタウリン酸化に加え,神経炎症を引き起こすことが示されました.一方,明らかな神経細胞死,CA1錐体細胞層の萎縮,血清NfL上昇は認められなかったことから,完成した神経変性ではなく,タウ病理に先行する早期の変化と考えられました.
本論文の最も重要な発見は,抗体が神経細胞を過活動状態にすることです.著者らはカルシウムイメージングにより神経活動を観察しました.図3では,IgLON5抗体を神経細胞に加えると,わずか60分でCa²⁺スパイク頻度が増加することが示されています.この変化は#1,#2,#4 で明瞭でしたが,IgLON5への結合が弱い#3では認められませんでした.つまり,抗体のIgLON5への結合能と神経過活動の誘導能が対応していたのです.さらに細胞内Ca²⁺上昇を抑えるEGTA-AMを用いるとタウの細胞体蓄積が抑制されることが示されています.これは,タウの局在異常が,Ca²⁺上昇を伴う神経過活動を介して起こることを示しています.さらに,ナトリウムチャネル遮断薬TTXを用いると,抗体によるCa²⁺スパイクの増加も消失しました.したがって抗体はナトリウムチャネル依存性の神経活動上昇を引き起こし,その結果として細胞内Ca²⁺が上昇し,タウの局在異常(Tau missorting)が誘導されると考えられます.
つぎに抗体が神経過活動を引き起こす機序の検討がなされました.著者らは,抗体がIgLON5を細胞表面でクラスター化することに注目しました.これは複数のIgLON5分子が架橋され,細胞表面に大きなクラスターを形成することです.このクラスターに含まれる蛋白を質量分析で調べたところ,NCAM,NRCAM,カドヘリン,コンタクチン,インテグリンなどの細胞接着分子,さらに電位依存性ナトリウムチャネル補助サブユニット,電位依存性カルシウムチャネル補助サブユニット,カリウムチャネル関連蛋白,カイニン酸受容体サブユニットなど,神経興奮性に関わる分子が含まれていました.つまりIgLON5抗体はIgLON5のみならず,接着分子とイオンチャネル関連分子を含む複合体を再編成していると考えられます.この再編成が神経過活動を起こし,タウ異常へつながると考えたわけです.
以上をまとめると以下になります.
神経細胞表面のIgLON5にIgLON5抗体が結合→架橋によるIgLON5のクラスター化→細胞接着分子やイオンチャネル関連分子の巻き込み→神経細胞の過活動状態化→細胞内Ca²⁺上昇→タウの軸索から細胞体や樹状突起への再分布(Tau missorting)→タウリン酸化→神経炎症→タウ凝集→神経毒性
この研究は臨床的にも重要な示唆があります.上記機序を考えると,早期診断と早期免疫療法の重要性が改めて強調されます.また免疫療法だけでなく,もしかしたら神経過活動,ナトリウムチャネルやカルシウムシグナル,IgLON5クラスター形成を標的とする治療が,タウ病理の進展を抑える可能性も考えられます.もちろん今回の実験モデルがヒトのIgLON5抗体関連疾患を完全に再現したものではないですし,マウスモデルでも神経細胞死や完成したタウ凝集までは再現されていませんので限界があります.しかしそれでも,本論文は大きな意義をもつと思います.今回示された「神経過活動」という機序は,他の自己免疫性神経疾患やタウオパチーにも関与する可能性があります.本疾患は稀な疾患ですが,この疾患から得られる知見は非常に大きなインパクトをもたらす可能性があります.
Askin B,et al.IgLON5 autoimmune antibodies activate Tau via neuronal hyperactivity.Science Advances.2026;12(20):eaec2042.doi:10.1126/sciadv.aec2042.PMID:42127169.

食事のときだけ顎が動いて食べられない多系統萎縮症-苦労の末見出した治療法はなんと・・・!
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月3日のFB投稿です***
専攻医の安藤知秀先生が執筆した症例報告が,Movement Disorders Clinical Practice誌に掲載されました.昨年のMDSJのビデオディナーでも提示した症例です.
症例は多系統萎縮症(MSA-C)の65歳女性です.食事中にのみ顎の異常運動が出現し(図左上),そのために食塊形成や口腔内移送が障害され,食事摂取が困難となりました.一方で,安静時や飲水時にはこの異常運動は認められませんでした.表面筋電図では,咬筋と顎二腹筋に相反性の律動的放電が約4–5 Hzで確認されました(図右上).本誌にアクセスできる方はぜひ動画をご覧ください.
Clinical Practice欄は4択の出題形式となっています(図右下).自力で回答されたい方は,ここから先は読まないでいただきたいのですが,選択肢に挙げた口顎ジストニア,geniospasm,口蓋振戦の顎への波及はいずれも,臨床像および筋電図所見から否定的であり,最終的に task-specific masticatory tremor と診断しました.これは,咀嚼など特定の行為においてのみ顎の律動的振戦が出現する稀な病態です.既報の多くは明らかな基礎疾患を伴わない症例ですが,本例ではMSAを背景として発症している点が特徴的であり,私たちが渉猟した範囲ではMSAに合併した初めての報告です.
大きな課題は治療でした.この振戦は薬物治療に抵抗性であることが知られていますが,本例でも同様でした.私は安藤先生と國枝顕二郎先生に,「食事ができるように,諦めずになんとか振戦を抑えてほしい」と,いつものように(!?)無理難題をお願いしました.その結果,最終的に,下顎を手で支持するという極めてシンプルな方法が有効であることに気づきました(図左下).この介入により,1回の嚥下に至るまでの口腔内処理時間は40秒から15秒へと大きく短縮しました.薬物では改善が難しい症状に対して,患者さんの動作を丁寧に観察し,生活に直結する解決策を見つけ出したことは,本当に素晴らしいと思いました.
このメカニズムは明らかではありませんが,顎を外から支えることで,開口筋と閉口筋の拮抗関係の乱れが補われ,食事動作が改善した可能性を考えています.本症例は,MSAの運動異常の一つとして,食事動作に伴って出現する顎の振戦が存在しうることを示すとともに,薬物治療が困難な場合でも,患者さんの生活動作を丁寧に観察することで,非薬物的介入の糸口が見つかることを教えてくれる,大変示唆に富む経験でした.
Ando T, Kunieda K, Shimohata T. Involuntary Jaw Movements During Eating. Mov Disord Clin Pract. 2026 Mar 31. doi: 10.1002/mdc3.70620. Epub ahead of print. PMID: 41916774.

脳の老廃物はどこを,どの速さで流れて除去されるのか?―グリンファティック系は部位によって速度が大きく異なる!
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月5日のFB投稿です***
脳の中には,脳脊髄液と間質液が絶えず存在し,代謝老廃物の除去に関わっています.この仕組みはグリンファティック系として注目され,アルツハイマー病,脳卒中,外傷,老化,睡眠障害などとの関連が議論されています.しかし,脳全体,とくに深部脳で液体がどの方向へ,どの速さで流れているのかを直接測定することは,これまで極めて困難でした.表層の血管周囲腔であれば二光子顕微鏡などで観察できますが,侵襲的であり,深部脳やヒトへの応用には限界があります.一方,動的造影MRI(dynamic contrast-enhanced MRI;DCE-MRI)は,造影剤が脳内をどのように広がるかを,時間を追って観察できる方法です.ただし直接見えているのは「造影剤の広がり」であって,「脳内の水の流れ」そのものではありません.そのため,「造影剤がこのように広がったのなら,その背景では脳内の水がどの方向に,どの速さで流れていたはずか」を逆向きに推定する必要があります.これは,たとえば川に流したインクの広がり方から,川の流れの向きや速さを推定するような作業です.この難しい推定に,物理法則とAIを組み合わせて挑んだのが米国のBrown Universityなどによるチームです.
著者らは,magnetic resonance artificial intelligence velocimetry(MR-AIV)という新しい解析法を開発しました.これは,DCE-MRIで得られる造影剤濃度の時間変化をもとに,脳内の3次元流速,圧力,組織透過性を推定する方法です.AIに画像パターンを学習させることに加え,Darcyの法則などの物理法則を組み込んでいます.Darcyの法則とは,スポンジや砂地のような多孔質の中を流れる水の動きを説明する法則です.液体は,組織のすき間が多く通りやすいほど速く流れ,圧力の高い場所から低い場所へ向かって流れます.本研究では,脳実質をこのような「すき間をもつ組織」とみなし,脳内の液体流速を,組織の通りやすさ,すなわち透過性と,圧力の差から推定しています.脳実質を多孔質媒体として扱うことで,間質液や血管周囲腔の流れを推定しようとしたわけです.
図1Aは実験方法を示しており,5匹のマウスの大槽にガドブトロールというMRI造影剤を注入し,その造影剤が脳内に広がる様子をDCE-MRIで時間を追って撮像しています.図1B,1Cでは,MR-AIVによって推定された流速マップが5匹のマウスで比較されています.色は流れの速さを表しており,青から暗い色は遅い流れ,黄色から赤色は速い流れを示します.横断面ではWillis動脈輪付近,正中矢状断では嗅球付近などが示され,5匹に共通してWillis動脈輪周囲や嗅球周囲で流れが速いことが分かります. 図2はその立体画像です.
結果として,推定された流速分布は二峰性を示しました.ひとつは約0.1 μm/秒の遅い流れで,主に脳実質内の間質液流に対応すると考えられます.もうひとつは約3 μm/秒の速い流れで,血管周囲腔やくも膜下腔などの比較的開いた空間に対応します.海馬,尾状核,視床,中脳などの深部脳実質では流れが遅く,Willis動脈輪,中大脳動脈,前大脳動脈,脳底動脈周囲の血管周囲腔や,嗅球近傍のくも膜下腔では流れが速いことが示されました.このことは,脳内クリアランスが単純な拡散だけでなく,遅い実質内輸送と速い血管周囲輸送の組み合わせで成り立っていることを示唆します.
さらに重要なのが局所Péclet数です.これは物質輸送において,液体の流れによる移流が優位か,濃度差による拡散が優位かを表す指標です.ちなみに移流(advection)とは,物質が液体の流れに乗って運ばれることです.脳の大部分ではPéclet数が低く,拡散が主体である一方,嗅球,大槽,Willis動脈輪,血管周囲腔などではPéclet数が高く,移流が主体であることが示されています.つまり,グリンファティック系は脳全体に均一に働く単純な流れではなく,拡散優位の領域と,移流優位の高速経路が組み合わさった輸送ネットワークであることが分かります.
MR-AIVは,速度だけでなく,透過性と圧力も推定できます.透過性は,流速の速い領域で高く,流速の遅い領域で低い傾向を示しました.つまり嗅球周囲,脳室近傍,大槽,Willis動脈輪周囲では透過性が高く,脳実質深部では低い傾向でした.この結果から,脳内の液体流速の違いは,圧力の違いだけではなく,組織や空間の「通りやすさ」によって大きく規定されている可能性があります.
本研究は,「脳の老廃物は,どこを,どの速さで流れて除去されているのか?」という問いに対し,脳実質では約0.1 μm/秒の遅い拡散優位の輸送が,血管周囲腔やくも膜下腔では約3 μm/秒の速い移流優位の輸送が存在することを示しました.グリンファティック系は,脳全体に均一に流れる単純な水路ではなく,解剖学的構造に沿って形成された,速い道と遅い場が共存する複雑なクリアランスネットワークということになります.おそらく将来的には,神経変性疾患,脳小血管病,特発性正常圧水頭症,睡眠障害などで,これらの脳内クリアランスがどのように障害されているかを評価する画像バイオマーカーになる可能性があります.脳アミロイドアンギオパチーのAβ蓄積パターンや,パーキンソン病の運動前症状としての嗅覚障害にも関わっていそうな気がします.
Toscano JD,et al.MR-AIV reveals in vivo brain-wide fluid flow with physics-informed AI.Science Advances.2026;12:eaeb0404.doi:10.1126/sciadv.aeb0404.PMID:42202031.

岐阜大学脳内抄読会 第105,106回 6年生ふたりが挑む「ALSの呼気筋トレーニング」と「HAMの病態研究」
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月5日のFB投稿です***
今週のオンライン抄読会です.当科で選択実習中を行った6年生のふたりが挑戦してくださいました.いずれも本当に素晴らしい発表でした.
まず山田義敬君は,実習中にALS患者さんを担当し,喀痰による呼吸苦についてお話を伺ったことをきっかけに,診療ガイドラインを確認し,呼気筋トレーニングに関心を持って関連論文を読んでくれました.さらに言語聴覚士の先生にも意見を伺い,当院ではどのように対応すべきかというところまで検討してくださいました.私たち医師にとっても大変勉強になる内容でした.まさに抄読会としても,学生実習のトレーニングとしても,大変理想的に思える発表でした.発表は9分,質疑応答は5分でした.
一方,中川正惟君は,「HTLV-1関連脊髄症におけるTax依存的RGMa誘導と神経障害の分子機構」というタイトルで,聖マリアンナ医科大学の山野嘉久先生のチームによる重要な研究を紹介してくださいました.本格的な病態研究でありながら,内容をしっかり理解したうえで,分かりやすく伝えようとする姿勢が大変素晴らしかったです.スライドにも多くの工夫が凝らされており,非常に立派な発表でした.発表は16分,質疑応答は12分でした.ご指導くださっている教室の先生方にも,心より感謝いたします.
Mendes Araújo L, Chianca T, Persaud C, Hartung P, Soares Y, Almirón G, João R. Respiratory strength training for patients with amyotrophic lateral sclerosis: A meta-analysis of randomized controlled trials. Respir Med. 2026 Jan;251:108560. doi: 10.1016/j.rmed.2025.108560. Epub 2025 Dec 5. PMID: 41354105.
Araya N, Yamagishi M, Nakashima M, Asahara N, Kiyohara K, Aratani S, Yagishita N, Horibe E, Ishizaki I, Watanabe T, Sato T, Uchimaru K, Yamano Y. Virus-induced RGMa expression drives neurodegeneration in HTLV-1-associated myelopathy. JCI Insight. 2025 Apr 24;10(11):e184530. doi: 10.1172/jci.insight.184530. PMID: 40305434

待望の「PSP診断基準整理支援ツール」を公開しました!!
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月6日のFB投稿です***
進行性核上性麻痺(PSP)の診断基準であるMDS-PSP criteria(Mov Disord 2017;32:853-864)は,多様な病型分類を可能にした点で非常に有用です.一方で,病期が進行するにつれて複数の病型基準を満たすことが多く,その場合にはMAX ruleを用いて優先順位を判断する必要があります.2019年には有志とともに日本語版を作成し公開しましたが,それでも実際の臨床で用いるには非常に複雑な診断基準です.
このため当科では以前,診断を補助するツールとして「PSP Dx Assist」を作成し,公開していました.しかし,その後バグがあることが判明し,作成者も教室を離れたため,残念ながら公開を中止していました.その後も,多くの先生方から「もう一度,このようなツールを作ってほしい」というお声をいただいておりました.
そのような声は,私以外の教室メンバーにも届いていたようで,教室メンバーの下郷雅也先生が,「PSP診断基準整理支援ツール」を開発してくださいました.みんなに役に立つと考えて,自発的に取り組んでくださったことは本当に嬉しく思いました.その後,下郷先生と私でいろいろとテストを行いましたが,現時点では問題は見つかっていません.以前のツールよりも洗練され,より分かりやすく,使用しやすいものになっていると思います.
ぜひご活用いただき,もし不具合やお気づきの点がありましたら,ご教示いただけますと幸いです.注意事項はツール内に記載しておりますので,よくご確認のうえ,最終的な診断は総合的にご判断ください.当科ホームページ左側のバナーからお入りいただけます.PCでもスマートフォンでも使用できます.
また,下郷雅也先生は,筋力検査(MMT)の所見から,障害されている神経局在を推論するアプリ「MMT Calculator」も作成されました.私も使用していますが,非常によくできたアプリです.MMT初学者の学習をサポートしてくれるアプリとして,こちらもお勧めです.宜しければ教育や臨床にご使用ください.
★いずれもリンクはコメント欄にあります.

足底書字覚消失(plantar agraphesthesia)は下肢発症CBSの診断に有用である
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月6日のFB投稿です***
米国ペンシルベニア大学から,大脳皮質基底核症候群(corticobasal syndrome;CBS)におけるplantar agraphesthesia(足底書字覚消失)の重要性を示した症例報告が,Neurology誌に掲載されています.足底書字覚消失とは,目を閉じた状態で足底に文字や数字を書いても認識できない状態を指します.通常,書字覚は手掌で調べますが,足底での左右差も,下肢の皮質性感覚障害を示す有用な手がかりになるということです.
症例は70歳男性です.左足のしびれ感と歩行障害で発症し,その後,転倒,立ち上がり困難,左脚が勝手に動く感じ,自分の脚ではないような感覚が出現しました.さらに「左足が床に貼り付いたように感じる」すくみ足も認めました.当初は腰椎疾患が疑われましたが,腰椎MRIの所見は症候を説明できませんでした.詳細な神経診察では,左下肢優位の運動緩慢,ジストニア,痙縮に加え,「自転車をこぐ」「ボールを蹴る」といった動作を模倣できない下肢の観念運動失行を認めました.触覚,温度覚,位置覚は保たれていましたが,振動覚は一部低下していました.特徴的だったのは,左足底の書字覚消失です(図).またEMG/NCSでは末梢神経障害や腰仙髄根障害は否定的で,頭部MRIでは右頭頂葉優位の非対称性萎縮を認めました.以上の所見は,左下肢の症候が末梢性ではなく,大脳皮質に由来することを示唆します.本例は,非対称性運動障害に加え,失行,皮質性感覚障害,alien limbを認め,clinically probable CBSと診断されました.CBSは上肢発症で,上肢の失行,筋強剛の印象が強い疾患ですが,本例のように下肢から始まる症例も存在します.治療はcarbidopa/levodopa 900 mgまで増量されましたが,反応しませんでした.
本論文は,「片足のしびれ」「転倒」「すくみ足」をみたとき,脊椎疾患や末梢神経障害だけでなく,皮質性感覚障害を鑑別診断に加える必要があることを教えてくれます.足底書字覚消失というシンプルなベッドサイド所見が,下肢発症CBSの診断に大きく貢献しうることを示した,神経診察の重要性を再認識させる症例報告と言えます.
Perkins JA, et al. Pearls & Oy-Sters: Plantar Agraphesthesia in Corticobasal Syndrome. Neurology. 2026;106:e218062. PMID: 40487237.

日本神経学会制作「未来を紡ぐ脳神経内科医の挑戦 ~患者と共に歩む,知と情熱のフロンティア~」をぜひご覧ください!
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月8日のFB投稿です***
すでに西山和利前代表理事をはじめ,複数の先生方が紹介されていますが,日本神経学会が制作した動画がYouTubeで公開されました.岐阜大学からも,私と,当科の元気印である森泰子先生が参加させていただきました.この動画を通じて,多くの方々に脳神経内科という診療科をより深く知っていただきたいと思います.また,医学生や研修医のみなさんには,脳神経内科がこれからの医療においてますます重要になること,そして大きなやりがいと多様なキャリアパスを持つ診療科であることを感じていただければ嬉しく思います.動画のキーメッセージは,次のようにまとめられます.
1.脳神経内科は,「治せない病気を診断するだけの科」ではなくなった!
かつて治療困難とされていた神経疾患にも,新しい治療法が次々と登場しています.脳神経内科の役割は,診断にとどまらず,治療,リハビリテーション,生活支援へと大きく広がっています.
2.脳神経内科は,「神経の総合診療科」である!
頭痛,めまい,しびれ,認知症,脳卒中といった身近な症状・疾患から,神経難病,自己免疫性疾患,遺伝性疾患まで,神経に関わる幅広い問題に最初に向き合う診療科です.
3.脳神経内科の本質は,患者さんの人生に寄り添うことにある!
神経疾患には,長く付き合っていく病気が少なくありません.だからこそ,診断や治療だけでなく,患者さんらしい生活を支え続けることが,脳神経内科医の大切な使命です.
4.未解明の病が多いからこそ,研究の可能性が大きい!
病因がまだ十分に解明されていない疾患,根本治療のない疾患は数多く残されています.しかしそれは同時に,若い世代が新しい診断法や治療法を生み出し,未来の医療を切り開く余地が大きいことを意味しています.
5.脳神経内科には,多様なキャリアがある!
臨床,研究,教育に加え,企業,行政,AIや新技術との連携など,活躍の場は大きく広がっています.ライフステージに応じた柔軟な働き方が可能であることも,この領域の魅力です.
脳神経内科は,患者さんの失われた日常を取り戻し,その人らしい人生を支え,さらに研究を通じて未来の医療を創造していく診療科です.ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思います.YouTubeへのリンクはコメント欄にあります.動画をご作成くださった勝野雅央広報委員長,杉江和馬先生ら関係者の先生方に感謝申し上げます.

アルツハイマー病になるかならないかは,アミロイドβの量だけでなく,脳の免疫細胞ミクログリアがどのように反応するかで決まる!!
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月10日のFB投稿です***
アルツハイマー病(AD)では,アミロイドβ(Aβ)の蓄積が重視されてきましたが,高度の蓄積を認めても,認知機能が保たれる高齢者が存在します.この事実は,ADの発症が「どれだけAβ病理があるか」だけでは説明できないことを示しています.今回,Nature Medicine誌に掲載されたMuna Therapeutics 社等による研究は,脳の免疫細胞であるミクログリアが発症の鍵を握ることを示したものです.この企業は,ミクログリアに関連する重要な分子TREM2を標的とする低分子薬MNA-001の開発を行っています.
対象は,80歳代剖検脳24例と,100歳以上の剖検脳20例です.80歳代群は,Aβ病理が乏しい健常対照群,Aβ病理はあるが認知症のない群,Aβ病理と認知症を有する群に分けられました.100歳以上群は,全例がAβ蓄積を有していましたが,認知機能やタウ病理にはばらつきがありました.著者らは上前頭回を対象とし,広域空間トランスクリプトーム解析,単核RNA-seq,高解像度空間RNA解析(Xenium),免疫染色を組み合わせ,Aβ,リン酸化タウ,細胞変性と遺伝子発現の関係を詳細に解析しました.まさに最先端の神経病理研究だと感嘆しました.
まず明らかになったのは,認知症の有無を最もよく説明したのはAβ量ではなく,リン酸化タウ病理でした.80歳代の認知症群では,リン酸化タウは大脳皮質II〜V層に強く蓄積し,記憶や認知を支える神経回路を構成する神経細胞が広範に障害されていました.一方,Aβ量は,認知症群と非認知症群で大きく異なりませんでした.つまり,Aβがあるだけでは認知症になるとは限らず,タウ病理に接続するかどうかが重要であることが示されました.
次に,空間トランスクリプトーム解析を行いました.図dは見たことがない図形ですが,実際の脳の場所ではなく,「病態進行の段階」を表す仮想空間のようです.つまりAD脳の局所環境を,多数の測定点を並べ直してつくった6つのTrajectory Domainとして示しています.TD0とTD1は恒常性が保たれた領域,TD2はAβプラーク形成に対する初期反応が始まる領域,TD3はAβプラークに関連したグリア炎症が目立つ領域,TD4はリン酸化タウに関連した障害領域,TD5はAβプラーク周囲の神経細胞代謝変化が目立つ領域と分類しました.知りたいのはTD3からTD4への移行,すなわちAβ関連の炎症反応から,タウ関連の神経変性プログラムへ切り替わるときに何が起きているかです.著者らはこの局面をAβ–tau inflection point,すなわちAβからタウ病理へ進む転換点として捉えています.よって注目すべきはTD3(緑)とTD4(黄)の領域です.
この転換点で中心的な役割を果たしていたのはミクログリアでした.著者らは,Aβプラークに反応して誘導される遺伝子群をplaque-induced genes(PIGs)と呼び,これをearly PIGsとlate PIGsに分けました.early PIGsはタウ病理がまだ強くない段階で誘導される遺伝子群で,補体,TREM2–TYROBPシグナル,貪食,脂質応答などに関わり,Aβに対する自然免疫応答,あるいは防御反応を反映していると考えられます.一方,late PIGsは,Aβに加えてリン酸化タウが存在する局面で誘導される遺伝子群で, HLA-DRA,HLA-DPA1,HLA-DPB1,CD74,SPP1など,MHC class IIを介した抗原提示や炎症増幅に関わる遺伝子が中心でした.図gでは,late PIGsからearly PIGsを差し引いたスコアが示され,赤い領域ほどlate PIGs優位,青い領域ほどearly PIGs優位を意味します.つまりTD4で赤色が強くなり,Aβに対する初期ミクログリア応答が,タウ病理と結びついた抗原提示型ミクログリア応答へ転換していることが示されています.
さらに図hは,単核RNA-seqによって分類されたミクログリアの遺伝子発現状態を示す仮想空間です.近くに配置されたクラスターほど遺伝子発現パターンが類似しており,Mic_0〜Mic_5は病態に応じた異なるミクログリアの状態を表しています.図kでは,Mic_5がearly PIGs優位(青),Mic_2がlate PIGs優位(赤)であることが示されています.つまりADの初期には,ミクログリアはAβの蓄積に反応して病変部に集まります(Mic_5).その後,病態が進行してタウ病理が広がると,ミクログリアはより炎症性の強い状態へ変化し,免疫応答を活発に行うようになります(Mic_2).この図から,ADの進行は,単にAβが増えるだけの現象ではなく,ミクログリアが「Aβ処理型」から「タウ病理と結びつく抗原提示型」へ状態遷移する過程として理解できます.また右図の写真は,Aβプラーク(青)とリン酸化タウ(灰色)を伴う病変の周囲に集積したミクログリア(緑)が,免疫活性化の指標であるMHC-II(赤)を発現していることが示しています.これは,病態の進行に伴い,ミクログリアが単なるAβ応答状態から,抗原提示能を備えた炎症性状態へ移行していることを示唆する所見です.
さらに興味深いのは,認知機能を保つ仕組み(レジリエンス)が,80歳代と100歳以上で異なっていた点です.80歳代でAβ病理がありながら認知症のない人では,early PIGsは誘導されていましたが,late PIGsへの移行が乏しいことが分かりました.これは,Aβに対する初期のミクログリア反応は起こるものの,抗原提示型の後期炎症状態やタウ病理へ進みにくいことが,認知機能保持と関係する可能性を示しています.一方,100歳以上の人では,late PIGsが活性化していても,タウ蓄積が比較的少ない例がありました.つまり,late PIGsそのものが必ずしも悪いのではなく,それがタウ病理や神経変性に接続するかどうかが重要であることになります.
以上の結果は,Aβ抗体療法の意義を考えるうえでも示唆的です.Aβ抗体療法は,Aβによって誘導されるミクログリア反応が,late PIGsを介してタウ病理へ接続する前に介入すべき治療と考えることができます.すでにタウ病理が広がり,TD4のようなタウ関連障害環境が成立した後では,Aβを除去しても効果は限定的と考えられます.一方,TREM2を標的としてミクログリア機能を調節する治療はより本質的かもしれません.いずれにせよ,近年,Christchurch変異研究を含む多くの研究でADにおけるミクログリアの重要性が指摘されてきましたが,いよいよその本態が明らかになってきた感じがします.
Lu A, et al.Human microglial transitions at the Aβ–tau inflection point associate with divergent pathways to dementia and resilience.Nat Med. 2026 Jun 4. doi: 10.1038/s41591-026-04393-8. PMID: 42243549.

帯状疱疹ウイルス感染と認知症に関する最新知識@第125回日本皮膚科学会総会
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月12日のFB投稿です***
第125回日本皮膚科学会総会にて,「水痘・帯状疱疹ウイルスと認知症」という演題で招待講演をさせていただきました.講演後の質疑応答では,スタンフォード大学留学中に家族ぐるみで親しくさせていただいた,富山大学皮膚科の牧野輝彦教授からご質問をいただきました.帰国後に新潟の自宅へ遊びに来てくださって以来,実に17年ぶりの再会でした.壇上から先生のお姿を拝見した瞬間,思わず笑顔になってしまいました.さらに,当時まだ小学生だったご子息が立派な皮膚科医となられ,今回ご挨拶いただけたことも大変感慨深い出来事でした.時の流れを感じるとともに,人と人とのご縁の大切さを改めて実感しました.
以下に,講演内容の概要をご紹介します.スライドはコメント欄のリンクからご覧いただけます.
■ ウイルス感染と認知症
• COVID-19罹患がアルツハイマー病(AD)発症リスクを約3倍高めることが端緒となり,ウイルス感染と神経変性疾患の関連が広く注目されるようになった
• VZVを含むヒトヘルペスウイルス科は神経に生涯にわたり潜伏感染し,軽症でも神経炎症を引き起こす可能性がある
• 英国UK Biobankの49万人超のデータでも,複数のウイルス感染症が認知症リスクを高めることが示されている
■ VZVと認知症:当科によるスコーピングレビュー(2025)
• 21編を対象に検討.無作為化比較試験はなく,後方視コホート研究が主体
• メタ解析ではVZV罹患が認知症リスクを高めるとする報告(HR 1.11)と否定する報告が混在
• 眼部・中枢神経感染では認知症リスクが著しく高い(眼部HR 6.26)
• ワクチン接種歴・抗ウイルス薬使用は認知症リスクを低下させる傾向
• 国によって結果が異なる背景には,公費補助の有無によるワクチン接種率の差が影響している可能性がある
• 基礎研究では,VZV感染がHSV-1を再活性化させAβ・タウ蓄積を引き起こすことがin vitroで示された
■ 2025〜2026年の最新トピックス
• ウェールズ・オーストラリア・カナダの自然実験研究で,生ワクチン接種により認知症リスクが絶対値で1.8〜3.5ポイント有意に減少
• 米国カリフォルニア州の33万人コホートでは,組換えワクチン(Shingrix)2回接種により認知症発症リスクが約51%低下
• RSVワクチンでも認知症予防効果が確認される一方,インフルエンザワクチンには効果なし.帯状疱疹・RSVワクチンに共通するAS01アジュバントが関与している可能性が示唆された
• バラシクロビルの早期AD患者への介入RCTでは,むしろ認知機能低下が強まる結果となり,抗ウイルス薬は発症後ではなく発症前の予防的介入が重要であることが示唆された
■ 総括
• 帯状疱疹は「皮膚に現れた神経感染症」と捉える視点が重要であり,神経症候を認める場合は脳神経内科との速やかな連携が望まれる
• 複数の大規模研究が,帯状疱疹ワクチン接種が認知症予防につながる可能性を示しており,低コスト・高リターンの公衆衛生介入として今後のエビデンスの蓄積が期待される

油ものを電子レンジで温めるとナノプラスチックは著増・小型化し,油膜をまとって細胞膜を破壊する!
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月13日のFB投稿です***
テイクアウト食品などに使用されるプラスチックのトレイを電子レンジで加熱するとマイクロ・ナノプラスチック(MNPs)の放出が増加する可能性は指摘されていましたが,今回,中国,米国などの共同研究で,油脂と接触することで量だけでなく性質まで変化し,強い毒性を獲得する可能性が報告されました.本研究は,日常生活に近い条件でナノプラスチックの放出から生体影響までを評価しています.
これまでのMNPs研究では,均一なポリスチレンビーズを用いた実験が主流でした.しかし私たちが日常生活で曝露するのは,食品容器から実際に剥離したポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)由来の粒子です.著者らは,現実の曝露状況に近い毒性評価を行うため,食品包装で広く使われるPP容器とPEコーティング容器を用い,そこから放出されたMNPsを解析しました.具体的には,電子レンジ加熱,食品輸送,保存という実際の利用状況を再現し,放出されるMNPsを詳細に解析しました.とくに著者らが注目したのは食品由来の油の影響でした.
まず驚くべきことに,油はナノプラスチックの放出を劇的に増加させました.図1に示されるように,PE容器では油を入れて電子レンジ加熱するとナノプラスチック放出量が急増し,5分後には最大1.52×10¹⁴個/Lに達しました.これは水の場合の約125倍に相当します.さらに放出された粒子はより小型化し,多くが200 nm未満に変化しました.また,鉛,銅,亜鉛などの重金属や可塑剤などの添加剤の溶出も大幅に増加しており,さまざまな有害物質が同時に放出されることが明らかになりました.
電子顕微鏡観察では,ナノプラスチックの表面が油膜で覆われていることが判明しました(図2).大豆油由来のPPナノプラスチックは正の表面電荷を帯びており,水由来粒子とは異なる性質を示しました.著者らは,この油膜と表面電荷の変化が毒性増強に重要な役割を果たしていると考えました.
実際に細胞毒性を調べました.ヒト腎由来HEK293T細胞に放出されたナノプラスチックを曝露したところ,油由来PPナノプラスチックは水の場合の約4倍強い細胞毒性を示しました.図3aでは,蛍光標識した油由来PPナノプラスチック(赤色)が細胞表面に速やかに集積し,60分後には細胞の膨化や変形を来すことを示しています.図3cの電子顕微鏡観察では,ナノプラスチックが細胞膜だけでなく細胞質内にも認められ,細胞内への取り込みが示されました.同時に細胞膜の破綻や細胞内小胞形成も観察されており,著者らは油膜をまとったナノプラスチックが急速な細胞障害を引き起こすと考察しています.従来,ナノプラスチックの毒性は酸化ストレスや炎症反応を介すると考えられてきましたが,本研究は,油膜をまとったナノプラスチック自体が細胞膜へ直接付着し,物理的に膜を破壊するという新たな機序を明らかにしました.さらにRNAシークエンス解析では,NF-κB経路,TNF経路,MAPK経路,IL-17経路など炎症関連経路の活性化とともに,ミトコンドリア機能や酸化的リン酸化の抑制が認められました.急性期には細胞膜障害と炎症反応が生じ,その後に代謝異常やミトコンドリア障害へ進展することが示唆されました.
著者らはさらに,油由来PPナノプラスチックをマウスへ2週間経口投与しました.その結果,大腸短縮,体重減少,肝重量増加が認められ,組織学的には小腸絨毛の萎縮,上皮剥離,杯細胞減少,アポトーシス増加が確認されました.また,腸管の免疫関連遺伝子群は広範に抑制されており,慢性的な曝露によって粘膜免疫機能が低下する可能性が示されました.今回の研究は消化管への直接毒性の評価が目的で,残念ながら脳への影響については調べられておりません.
本研究の重要な点は,「どのような状態のナノプラスチックに曝露されるか」が毒性を大きく左右することを示した点です.油脂と接触したナノプラスチックは油膜をまとい,細胞膜への付着性や取り込みやすさが変化することで,急速な細胞障害を引き起こしました.またマウス実験でも,腸管バリアの破綻や粘膜免疫の異常も確認されました.本研究は,油分を含む食品をプラスチック容器のまま加熱することのリスクを示すものであり,日常生活において注意喚起が必要と言えます.
Xie R, et al. Oil-Coated Nanoplastics Induce Rapid Membrane Disruption and Severe Intestinal Injury. Advanced Science. 2026;13:e202520935. doi:10.1002/advs.202520935. PMID: 40653458.

これ一冊でわかる!『難病医療ハンドブック』発刊 ― 制度・倫理・リハビリから遠隔医療まで
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月15日のFB投稿です***
Brain & Nerve誌2026年6月号で「難病医療ハンドブ(https://amzn.to/4vsA033)」を企画しました.難病というと,診断や治療薬の話が中心になりがちですが,実際の現場では,患者さんやご家族が直面する課題はそれだけではありません.
社会保障制度をどう利用するか?
治療と仕事や学業をどう両立するか?
遺伝の問題にどう向き合うか?
人工呼吸器や栄養管理をどう考えるか?
災害時にどう命を守るか?
地域でどのような支援体制をつくるか?
難病医療とは,疾患を診る医療であると同時に,「患者さんの人生を支える医療」でもあります.そこで本特集では,難病政策,難病医療の国際比較,新規治療と倫理,遺伝医療,リハビリテーション,呼吸管理,摂食嚥下,コミュニケーション支援,就労・就学支援,難病コーディネーター,多職種連携,移行医療,災害対策,遠隔医療,病理解剖まで,難病医療を支える幅広いテーマを取り上げました.各分野を牽引する第一人者の先生方にご執筆いただき,医師だけでなく,看護師,リハビリテーションスタッフ,医療ソーシャルワーカー,ケアマネジャーなど,多職種の方々にも役立つ内容となっています.難病医療は,治療だけでは完結しません.本特集が,多職種で患者さんを支えるための共通言語となれば幸いです.
ご多忙のなかご執筆をお引き受けくださった先生方に,心より感謝申し上げます!
【目次】
わが国の難病対策と課題 (小森哲夫)
日本のALS医療・ケアの再評価:日本・欧州・米国・カナダの国際比較──人工呼吸,社会参加支援,終末期選択,承認薬,精密医療からの考察 (伊藤道哉)
神経難病に対する治療の発展と社会的・倫理的問題 (漆谷 真)
神経難病診療における倫理的問題の特徴と協働意思決定 (杉浦 真)
難病における新たな遺伝医療の現状と課題──PGT-Mを中心に (佐々木愛子)
難病における遺伝カウンセリングと多職種連携 (関屋智子)
難病リハビリテーションの最前線 (中馬孝容)
神経難病における呼吸リハビリテーション──肺容量リクルートメントと機械的咳嗽を中心に (寄本恵輔)
神経難病における摂食嚥下・栄養障害の対応 (國枝顕二郎)
神経難病とコミュニケーション支援 (井村 保)
難病とともに生きる人の治療と仕事・学びを両立するための支援 (中井三智子)
難病診療連携コーディネーターの役割 (岩木三保)
[コラム]患者会って何ですか? (伊藤建雄)
大学病院・難病診療連携拠点病院の病診多職種連携 (太田康之)
小児期発症慢性疾患患者の成人移行支援──難病医療の中で (望月葉子,大迫美穂)
神経難病の災害対策 (宮地隆史)
神経難病診療における遠隔医療とデジタル技術の利活用 (大山彦光)
病理解剖の現状と課題 (髙尾昌樹)
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「長期にレボドパが効くかどうか」は単なる薬効ではなく,予後を予測し,背景病理を示唆し,さらに診断を助ける―PD,MSA,PSPを病理から見直した大規模研究―
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月16日のFB投稿です***
パーキンソン病(PD)の診療において,「レボドパが効くかどうか」は最も重要な臨床情報の一つです.私たちはレボドパに反応する患者さんを見るとPDらしいと考え,反応が乏しい場合には多系統萎縮症(MSA)や進行性核上性麻痺(PSP)などのパーキンソン病類縁疾患を疑います.しかし,レボドパ反応性は単なる診断の手がかりなのでしょうか?今回,英国Queen Squareのチームは,PD,MSA,PSP症例を対象に,レボドパ反応性の予後との関連,病理学的背景,さらに診断における意義を検討した大規模研究をAnnals of Neurology誌に報告しました.
研究対象は,2010年から2022年までにBrain Bankへ登録された病理確定例で,PD 132例,MSA 115例,PSP 191例でした.研究では,「50%を超える運動症状の改善が2年以上持続した場合」を「確実なレボドパ反応」と定義し,診療録を用いて後方視的に評価しました.
その結果,PDでは86.4%が「確実なレボドパ反応」を示しましたが,14%は病理学的にPDであるにもかかわらず明らかな反応を示しませんでした.この反応不良群は高齢発症で,姿勢保持障害・歩行障害優位型が多く,MSAやPSPと誤診される頻度も高いことが分かりました.一方,MSAでは7.8%,PSPでは2.1%が「確実なレボドパ反応」を示しました.つまり,「レボドパが効けばPD,効かなければ非典型パーキンソニズム」という単純な図式では説明できないわけです.
最も重要な発見は,レボドパ反応性が予後と強く関連していたことです.図1では,PD患者における転倒,認知症,死亡の累積リスクがKaplan-Meier曲線で示されています.レボドパ反応不良群(青)では発症早期から転倒リスクが増加し,認知症も早く出現し,生存率も低下していました.多変量Cox回帰解析では,レボドパ反応良好例(赤)は反応不良例と比較して,転倒リスクが55%低く(HR 0.45),認知症リスクが69%低く(HR 0.31),死亡リスクも69%低い(HR 0.31)ことが示されました.つまり,レボドパ反応性は単なる薬効の指標ではなく,将来の病気の進行速度を反映する予後マーカーとして機能している可能性があります.診療録から算出した平均値でも同様の傾向が認められました.転倒出現までの平均期間はレボドパ反応良好群(赤)で13.2年であったのに対し,反応不良群では3.5年でした.認知症出現までの平均期間は15.3年対7.0年であり,平均生存期間も19.1年対10.3年でした.
つぎに病理学的検討です.興味深いことに,PDにおいてレボドパ反応性の有無は,Lewy小体病理の広がりや重症度,黒質神経細胞脱落の程度,さらにはアルツハイマー病理の合併とは明確な関連を示しませんでした.つまり,レボドパ反応不良の理由を単純に病理の重症度だけで説明することはできず,神経回路の機能的な違いや神経伝達系の予備能など,より複雑な要因が関与している可能性があります.
一方,PSPでレボドパ反応を示した少数例では,Lewy小体病理の合併頻度が高いことが示されました!PSP反応例の75%にLewy病理が認められ,非反応例の10.8%を大きく上回っていました.この結果は,PSPにLewy病理が加わることで,PDに近いドパミン作動系障害が生じ,レボドパ反応性が出現する可能性を示唆しています.とても納得できる結果です.
またMSAでレボドパ反応を示した症例では,特徴的な合併病理は認められませんでした.この結果は,MSAにおけるレボドパ反応性が,病理の種類の違いというより,線条体ドパミン受容体機能の残存程度や病変分布の個人差を反映している可能性を示唆しています.
さらにレボドパ反応性の診断的価値も検討しました(図2).その結果,「50%以上の改善が2年以上持続する」という「確実な長期レボドパ反応性」は,PDとMSA・PSPを鑑別する際に,感度86.4%,特異度95.8%,AUC 0.91という非常に高い診断精度を示しました.一方,臨床でしばしば行われる急性レボドパ負荷試験の診断精度はこれより低く,感度78.9%,特異度75.0%,AUC 0.77にとどまりました.この結果は,1回の負荷試験による短期反応よりも,長期間にわたり「レボドパが効き続けるか」を観察することの方が,PD診断において重要な情報をもたらすことを示しています.
近年はαシヌクレインシード増幅法や画像バイオマーカー,さらにはAIを用いた診断技術が急速に発展しています.しかし本研究は,脳神経内科診療の原点ともいえる「患者さんを長く診ること」の重要性を改めて示すものだと思います.レボドパへの反応は単なる薬効ではなく,予後を予測し,背景病理を示唆し,さらに診断を助ける,極めて価値の高い臨床バイオマーカーと言えます.
Arca VM, et al. Diagnostic, Prognostic Value, and Pathological Associations of Levodopa Responsiveness in Parkinson’s Disease, Multiple System Atrophy, and Progressive Supranuclear Palsy. Ann Neurol. 2026 May 14. doi: 10.1002/ana.78257. PMID: 42135922.

しびれの出方でわかる.危険な病気の見分け方@日経ヘルス2026夏号
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月16日のFB投稿です***
本日発売の『日経ヘルス 夏号』(https://amzn.to/4wbQTyX)にて,標題の特集について,尊敬する亀田第一病院・新潟脊椎外科センターの長谷川和宏先生とともに取材を受け,記事にしていただきました.
5ページにわたる充実した内容で,しびれの原因や受診の目安について,医学的にも大変しっかりまとめていただいた特集になっています.冒頭のページでは,「しびれは神経のSOS.受診するなら脳神経内科へ」として,しびれを軽く見ず,必要な場合には脳神経内科を受診していただくことの大切さもお伝えしました.よろしければ,ぜひご覧ください.

抗CGRP治療の次を担うか? PAR2阻害抗体が示した新たな片頭痛治療戦略
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月18日のFB投稿です***
片頭痛治療は近年,CGRP関連抗体やgepantの登場によって大きく進歩しました.しかし,すべての患者さんに十分な効果が得られるわけではありません.このような背景のもと,米国アリゾナ大学や英国AstraZenecaなどの研究グループは,新たな治療標的としてprotease-activated receptor 2(PAR2)に注目し,これを阻害するモノクローナル抗体MEDI0618の有効性を動物モデルで検討しました.
PAR2は肥満細胞,血管内皮細胞,硬膜由来線維芽細胞,三叉神経終末などに発現する受容体で,肥満細胞から放出されるトリプターゼによって活性化されます.とくに硬膜では,肥満細胞と三叉神経終末が近接して存在するため,トリプターゼが周囲のPAR2を刺激して神経原性炎症や疼痛感作を増強すると考えられています.つまり以下のようなカスケードです(図1*).
肥満細胞 → トリプターゼ放出 → PAR2活性化 → 三叉神経感作・神経原性炎症 → CGRP依存性/非依存性経路 → 片頭痛
本研究で開発されたMEDI0618は,PAR2に高親和性で結合する完全ヒト化モノクローナル抗体です.血液中ではPAR2に強く結合する一方,細胞内の酸性環境ではPAR2から解離するよう設計されています.そのため,受容体とともに分解されることなく再利用され,通常の抗体より長時間作用することが期待されます(いわゆるリサイクリング抗体).細胞実験では,PAR2活性化による細胞内カルシウム上昇を強力に抑制し,関連受容体であるPAR1にはほとんど作用しませんでした.また,ヒト硬膜由来線維芽細胞や血管内皮細胞,マウス脳血管内皮細胞,三叉神経節ニューロンにおいても,PAR2シグナルを強力に抑制しました.
続いて複数の片頭痛モデルを用いてMEDI0618の効果を検討しました.まず,肥満細胞脱顆粒誘発モデルでは,脱顆粒を誘発するcompound 48/80の投与によって顔面および後肢のアロディニアが生じましたが,MEDI0618はこれをほぼ完全に抑制しました.つぎにニトログリセリンモデルでも,MEDI0618は同アロディニアを強力に抑制しました.また,ヒスタミン,ブラジキニン,セロトニン,PGE2などからなる炎症メディエーターカクテルを硬膜に投与するモデルや,ストレス負荷後にTRPA1作動薬を吸入させる環境刺激モデルでも,同様に強い予防効果が認められました.
つぎに著者らはCGRPを硬膜に投与するモデルを用いて,CGRP受容体拮抗薬olcegepantがアロディニアを完全に抑制できることを確認しました(図5A,B).一方,炎症メディエーターカクテルによるアロディニアに対しては,olcegepantは有意な抑制効果を示しませんでした(図5C,D).これはCGRP以外の経路が関与していることを意味します.ところがolcegepant投与下においても,MEDI0618は炎症メディエーターによるアロディニアを著明に抑制しました(図5E,F).この結果は,PAR2阻害がCGRP非依存性の機序による疼痛にも作用する可能性を示しています.つまりPAR2はCGRPより上流,あるいはCGRP経路とは別の炎症性・神経原性疼痛経路にも関与する分子である可能性があり,非常に興味深い結果と言えます.
以上より著者らは,PAR2が肥満細胞,硬膜血管系,三叉神経系を結びつける重要な分子であり,その阻害によって多様な片頭痛誘発機序を抑制できる可能性があると結論しています.実際,本研究でMEDI0618は驚くべきことに検討されたすべての片頭痛モデルで有効性を示しました.このMEDI0618はすでに健康成人を対象とした第I相試験で良好な安全性と忍容性が確認されており,今後,片頭痛患者を対象とした臨床試験でその真価が検証されることになります.今後の臨床試験をフォローしたいと思います.
Kopruszinski CM, et al. Efficacy of MEDI0618, a pH-dependent monoclonal antibody targeting PAR2, in preclinical models of migraine. Brain. 2025;148:1345-1359. PMID: 40075982.
*図1は片頭痛で良いものが見つからなかったので,以下より引用.Vincent L, et al. Mast cell activation contributes to sickle cell pathobiology and pain in mice. Blood. 2013;122:1853-62. PMID: 23775718.

Fly catcher tongue,Bonbon sign,舌ミオリズミア,舌ポリミニミオクローヌス・・・舌の異常運動から診断する神経疾患
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月20日のFB投稿です***
舌の異常運動は,日常診療でしばしば目にするものの,「舌ジスキネジア」と一括りにされることが一般的です.舌は関節を持たない筋肉で,自由に形を変えながら運動するため,四肢の運動異常症とは異なり,その分類が難しいためです.しかし,舌の異常運動を症候学に基づいて正しく分類できると,原因疾患の診断に直結する重要な手がかりになります.今回ご紹介する総説は,カナダ・トロント大学のNathaniel Bendahan先生や,運動異常症の世界的権威Anthony Lang先生らによって執筆されたものです.教育的なレビューで,かつopen accessですのでご一読と動画の閲覧をお薦めします.
著者らは,舌の異常運動を振戦,ミオクローヌス,ミオリズミア,舞踏運動,ジストニアなどに分類し,それぞれの原因疾患を整理しています.9つの動画をひとつひとつ見ていくと,なるほどと違いが理解できます.見るべきポイントは,異常運動が安静時に出現するのか,舌突出時に出現するのか,発話や摂食で誘発されるのか,さらに舌萎縮,線維束性収縮,舌偏位の有無を評価し,口唇,顎,口蓋,咽頭,喉頭など周辺構造の異常運動も観察します.全身のパーキンソニズム,舞踏運動,ジストニア,ミオクローヌスなどを評価することも重要です.大まかに症候と疾患の対応を記載すると以下のような感じになります.
◆安静時舌振戦 → Parkinson病,PSP
◆動作時舌振戦 → 本態性振戦,Wilson病,FXTAS,SCA12
◆舌ミオクローヌス(短く不規則なjerk) → epilepsia partialis continua,脳幹病変,SLE,ウイルス性脳炎,アマンタジン中毒,PRRT2関連疾患
◆Polyminimyoclonus(小振幅で不規則なjerkyな舌の震え) → MSA
◆舌ミオリズミア(1~4Hz程度のゆっくりした律動運動) → 抗IgLON5病,Whipple病
◆Entrainment,distractibility → 機能性神経障害
その他,口を閉じた状態で頬の内側を舌が押し,アメ玉を転がしているように見えるbonbon sign(図1)や,舌が繰り返し口外へ飛び出すfly catcher tongueは遅発性ジスキネジアの代表的な所見です.舌突出を保持できないmotor impersistenceはHuntington病などの舞踏運動を示唆します.このように,舌の異常運動そのものが診断に利用できることが,本論文の最大のメッセージです.
Bendahan N, et al. The Spectrum of Abnormal Tongue Movements: Review of Phenomenology, Etiology, and Differential Diagnosis. Mov Disord Clin Pract. 2025 Dec 20. doi: 10.1002/mdc3.70473. PMID: 41420446.

機能性神経障害に併発する頭痛の診療@日本頭痛学会HMSJ2026岐阜
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月22日のFB投稿です***
昨日,岐阜にて開催された日本頭痛学会HMSJ 2026において,標題のテーマで講演をさせていただきました.機能性神経障害(functional neurological disorder;FND)の基本的な考え方から,頭痛との関連,診断・治療までをお話ししました.スライドは下記からご覧いただけます. https://www.docswell.com/…/800…/58NW4Y-2026-06-22-050226
FNDは,運動障害,感覚障害,けいれん発作など非常に多彩な症候を呈する疾患です.まず強調したかったのは,FNDは大きな苦痛と生活上の障害をもたらす疾患であり,その症状は決して「偽り」ではないということです.また,器質的疾患をすべて除外して初めて診断するのではなく,診察で確認できる「陽性徴候」に基づいて積極的に診断することが重要です.
私の外来には,パンデミック以降,ストレスやとくにワクチン接種などに伴うFNDの患者さんをご紹介いただくことが多いのですが,片頭痛を併存症として認める方が多いという印象を持っていました.このため,FNDに併存する頭痛についてスコーピングレビューを行ったところ,片頭痛の頻度は5.8~53%と研究によって幅があるものの,やはりまれではないことが分かりました.さらに,FNDに伴う片頭痛は,発作頻度が高く,持続時間が長く,生活への支障も大きい傾向があり,感覚・運動・言語症状などの非視覚的前兆を呈しやすいという特徴も示されました.
診療では,FND患者さんの頭痛を安易に「心因性」や「緊張型頭痛」と片付け,片頭痛の治療機会を逃さないことが大切です.一方,単一の陽性徴候だけからFNDと決めつけるのは危険で,脳静脈洞血栓症などの器質的疾患を見逃すことも避けなければなりません.つまり,FNDの過小診断と過剰診断の両方に注意する必要があります.
FNDと片頭痛は,共通するアロスタルシス負荷や感覚処理障害,拡延性脱分極といった病態機序を介して相互に影響し合う可能性があります.実際に,片頭痛の予防治療によって,頭痛だけでなく機能性発作も改善したという報告があります.片頭痛をICHD-3に基づいて適切に診断・治療するとともに,感覚刺激を調整する「感覚ダイエット」,認知行動療法,リハビリテーションなどを組み合わせた統合的な診療が重要と考えられます.
「頭痛診療の側からFNDを,FND診療の側から頭痛を見直す」ことの大切さをお伝えできればと思いました.貴重な講演の機会をいただきました竹島多賀夫理事長、寺山靖夫委員長をはじめ学会関係者の皆様,ご聴講いただきました皆様に,心より御礼申し上げます.

知っておくべきGBA1関連パーキンソン病(GBA1-PD)の臨床と病態
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月23日のFB投稿です***
GBA1遺伝子はパーキンソン病において最も重要な遺伝的リスク因子のひとつです.今回,英国Queen SquareのSchapira先生らは,GBA1関連パーキンソン病(GBA1-PD)の臨床像,病態機序,バイオマーカー,治療開発について総説にまとめ,Lancet Neurology誌に発表しています.GBA1遺伝子は知っていましたが,GBA1-PD症例の特徴について理解していなかったので読んでみました(同誌のpodcastでも解説を聴けます).
GBA1はリソソーム酵素であるグルコセレブロシダーゼ(GCase)をコードする遺伝子です.この酵素はグルコシルセラミドを分解します.GBA1遺伝子変異はゴーシェ病の原因として知られていましたが,その後,パーキンソン病やレビー小体型認知症の重要な危険因子であることが明らかになりました.欧州系パーキンソン病患者の10~15%にGBA1変異が認められます.ちなみに日本人を含むアジア人集団ではやや低い頻度(5~10%程度)ですが,家族性パーキンソン病では約19%と高頻度です.
図1Aでは,GBA1遺伝子の構造と変異の分布が示されています.GBA1遺伝子は染色体1q22に位置し,11個のエクソンから構成されています.興味深いのは,GBA1遺伝子のすぐ近くに非常によく似た偽遺伝子GBAP1が存在することです.このためGBA1の遺伝子解析は技術的に難しく,正確な変異判定には注意が必要とのことです.図1CではGBA1変異が重症変異,軽症変異,リスク変異,意義不明変異に分類され,代表的な変異としてL483P,N409S,T408M,E365Kなどが示されています.この図から分かる重要な点は,GBA1変異は一様ではなく,変異の種類によってパーキンソン病発症リスクや臨床像が異なるということです.とくにL483Pのような重症変異は,より高い発症リスクや重い臨床像と関連します.
さてGBA1-PDの臨床像ですが,孤発性パーキンソン病と比べて発症年齢が若く,進行が速い傾向があります.特に認知機能障害や自律神経障害が目立つことが特徴です.REM睡眠行動障害,便秘,起立性低血圧などの非運動症状も高頻度にみられます.また重症型変異を有する患者では,認知機能低下や精神症状がより早期から出現することが示されています.いわゆる「body-first型パーキンソン病」の概念との関連も指摘されており,病変が腸管や自律神経系から始まる病態との関係が注目されています.
病態については図2にまとめられます.従来は「GCase活性低下によりαシヌクレインが蓄積する」という単純なモデルが考えられていましたが,現在ではそう簡単なものではないことが明らかになっています.GBA1変異によって生じるGCase機能低下は,まずオートファジー・リソソーム系の障害を引き起こします.その結果,αシヌクレイン分解が低下し,凝集が促進されます.さらに脂質代謝異常が加わり,スフィンゴ脂質組成の変化がαシヌクレインの凝集をさらに促進します.加えてミトコンドリア機能障害や酸化ストレスが生じ,これらもαシヌクレイン病理を悪化させます.そして蓄積したαシヌクレインは細胞間を伝播しながら病変を脳全体へ広げていきます.すなわち,GBA1関連パーキンソン病は単なる酵素欠損症ではなく,「リソソーム障害」「脂質代謝異常」「ミトコンドリア障害」「αシヌクレイン伝播」が相互に増幅し合う疾患として理解されるようになっています.
バイオマーカーについて注目は,やはりαシヌクレインのseed amplification assay(SAA)です.GBA1-PDでは,孤発性パーキンソン病よりもαシヌクレインの播種活性が高く,凝集速度も速いことが示されています.さらにこの播種活性は認知機能低下とも関連する可能性が示唆されています.
GBA1を標的とした疾患修飾療法の開発も進められています.グルコシルセラミド合成酵素阻害薬として開発されたvenglustatは,第2相試験で脳内標的への作用は確認されたものの,臨床的効果を示すことはできませんでした.一方,薬理学的シャペロンであるアンブロキソールは,GCaseの折りたたみやリソソーム輸送を改善する薬剤として期待されており,第2相試験および第3相試験が進行中だそうです.また,GCase活性化薬BIA 28-6156や,GBA1遺伝子そのものを補充する遺伝子治療も臨床試験段階に入っています.さらに最近では,プロサポシン,プログラニュリン,カテプシンB,カテプシンD,TMEM175など,リソソーム機能を改善する新規標的も次世代治療候補として注目されています.
個人的に興味深いと思ったのは,GBA1遺伝子変異を持つ人の多くは生涯パーキンソン病を発症しないということです.なぜ一部の保因者だけが発症するのかという問題は依然として未解決です.遺伝的背景,多遺伝子リスク,環境要因,腸内細菌叢,炎症,αシヌクレイン播種活性などが複雑に関与していると考えられており,これが解明されると治療につながる可能性があります.GBA1-PDに対する疾患修飾療法の開発は,パーキンソン病全体の治療戦略にも大きな影響を与える可能性があり,極めて重要な研究領域と言えるのではないかと思います.
Menozzi E, et al. New evidence on the clinical, genetic, and biochemical bases of GBA1-Parkinson’s disease: prospects for treatment. Lancet Neurol. 2026;25:602-614. PMID: 40373581.

「天は人の上に人を造らず」の“続き”をご存じですか?―#日経メディカル 連載『医師こそリベラルアーツ!』第21回
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月24日のFB投稿です***
日経メディカル連載「#医師こそリベラルアーツ!」第21回が公開されました.今回取り上げたのは,福澤諭吉の『学問のすすめ』です.「天は人の上に人を造らず,人の下に人を造らず」は,平等を説いた言葉として有名です.しかし福澤はその直後に,現実には賢い人とそうでない人,豊かな人と貧しい人がいると述べ,その違いは「学ぶか,学ばないか」によって生まれると説きます.なかなか厳しく,刺激的な主張です.
福澤にとって学問とは,知識を増やすことではなく,他人や権威に流されず,自分で考え,判断し,行動できる「独立した人間」になるためのものでした.これは生成AI時代の私たちにも,そのまま当てはまります.答えを得ることは簡単になりましたが,その答えを信じてよいのか,目の前の患者さんにどう生かすのか,結果に誰が責任を持つのかは,自分で考えなければなりません.医学における「実学」とは,教科書や論文の知識を,患者さんの人生に役立つ形へ変換する力なのだと思います.
さらに福澤は,学んだことを自分の中にとどめず,言葉にして社会へ発信することの大切さも説いています.医師も診療室の中だけでなく,現場で見えている課題や,患者さんの声を社会に伝える役割を担っています.学び,考え,行動し,そして伝える.『学問のすすめ』は,150年以上前の本でありながら,現代を生きる私たちにその重要性を改めて問いかける一冊です.
医師・医学生の方は,会員登録で無料でお読みいただけます.ぜひご覧いただければ幸いです.連載第22回は,立花隆氏と利根川進氏の『精神と物質』を取り上げ,「研究とは何か?」について考えます.また第37回リベラルアーツ研究会は6月29日(月)に課題図書『イシューからはじめよ』を取り上げ,「何を研究するか?」について考えます.この2冊はいずれも私の研究に対する考え方に大きな影響を及ぼした本です.課題図書のリンクはコメント欄にあります.

なぜ日本だけ「Jacoby線」と呼ぶのか?―腰椎穿刺のランドマークに隠された医学史
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月25日のFB投稿です***
当科恒例の『神経診察道場』を行い,医学生・研修医が神経診察のトレーニングを行いました.今回は腰椎穿刺のシミュレータも使って練習をしていただきました.腰椎穿刺を行う際,左右の腸骨稜の最も高い点を結ぶ線を目安にします.医師ならおなじみの「Jacoby線」です.じつは「Jacoby線」は海外ではほとんど用いられず,論文検索してもほぼ見つからないことをご存知でしょうか? 海外では,同じ線は「Tuffier線」と呼ばれています.なぜ日本では「Jacoby線」になったのでしょうか?そもそもJacobyとは誰なのでしょうか?
この謎を解いたのが,1992年に『Anesthesia & Analgesia』へ掲載された麻酔科医のYukio Kubota先生らのレターです.Kubota先生らは,Tuffier線は標準的な麻酔科教科書には掲載されている一方,脳神経内科,脳神経外科,整形外科の教科書には掲載されていないことに気づきます.一方,日本ではこの線は数十年前からJacoby線として知られていましたが,当時,欧米の著名な麻酔科医や日本の麻酔科医・外科医に尋ねても,Jacobyが誰であるかを知る人はほとんどいませんでした.そこで著者らは1983年,医師からの疑問に専門家が答える『日本医事新報』の質疑応答欄に質問を寄せました.これを受けて弘前大学麻酔科学の松木明知教授が調査し,それがGeorge Washington Jacobyに由来することを明らかにしました.
George Washington Jacoby(1856–1940)は米国の脳神経内科医・精神科医です.米国人でありながらドイツへ留学して神経学・精神医学を学んだ経歴を持ち,1895年から1900年までWomen’s Medical College of New Yorkの教授を務めました.1895年(明治28年;シャルコー没後2年)の論文「Lumbar puncture of the subarachnoid space」では,左右の腸骨稜最高点を結ぶ線を腰椎穿刺の指標として記載しました.これは,フランスの外科医Théodore Tuffierが同じ線を脊髄くも膜下麻酔の指標として報告した1900年より5年早いものでした.
つまり,Jacobyは神経学の立場から,Tuffierは外科・麻酔科学の立場から,同じランドマークを広めたことになります.そのため,神経学ではJacoby線,麻酔科学ではTuffier線という名称が残った可能性があります.さらに,日本の医学教育は長くドイツ医学の影響を受けていたため,ドイツ語圏で用いられた「Jacoby-Linie」という名称が日本に伝わり,定着したのかもしれません.
この経緯を知ると,Jacoby線は単なる腰椎穿刺の目印ではなく,医学知識がたどった旅の道しるべに見えてきます.米国の脳神経内科医が記載した線がドイツ医学を経て日本に伝わる一方,フランスの外科医の名は麻酔科学を通じて世界に広まりました.同じ一本の線に,米国,ドイツ,フランス,日本という近代医学の交流史が重なっているところが,このeponym(人名に由来する医学用語)の面白い点だと思います.
Kubota Y, Toyoda Y, Kubota H. Jacoby’s line rather than Tuffier’s line as a guide to lumbar puncture. Anesth Analg. 1992;74:939.
Jacoby GW. Lumbar puncture of the subarachnoid space. New York Medical Journal. 1895;62:813–818.

生体脳からも検出されたマイクロ・ナノプラスチック―手術時の外部混入だけでは説明できない
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月26日のFB投稿です***
マイクロ・ナノプラスチック(MNPs)は体内に取り込まれ,さまざまな臓器に到達することが分かっています.これまで血液,肺,肝臓,胎盤,動脈硬化性プラークに加え,ヒトの脳からも検出されています.さらに昨年,認知症患者の死後脳では,認知症のない人と比べてMNPs濃度が著しく高いことが報告されました.ただし,これはMNPsが認知症を引き起こすことを証明したものではありません.認知症に伴う血液脳関門の障害や脳内からの排出機能の低下によって,MNPsが二次的に蓄積した可能性も考えられます.今回,前向きに登録された脳腫瘍患者の手術検体と,脳疾患のない死後提供者の脳組織を比較した研究が,中国の複数の研究機関と米国ピッツバーグ大学などからなる共同研究チームにより,Nature Health誌に報告されました.
対象は,神経膠腫56名と髄膜腫57名の計113名です.手術中に得られた腫瘍組織と腫瘍周囲組織156検体(生体脳)に加え,脳疾患のない死後提供者5名から得られた脳実質,頸髄,硬膜,脳脊髄液など35検体が解析されました.複数の赤外分光法,質量分析法,ラマン分光法,電子顕微鏡を組み合わせ,粒子数,重量,粒径,形状,プラスチックの種類を調べています.
その結果,MNPsは,脳腫瘍関連組織156検体中155検体と,正常対照35検体のすべてから検出されました.さらに,手術中に採取された生体脳組織からも検出されたことから,死後脳で報告されてきたMNPsが,採取や保存の過程で外部から混入したものだけではなく,生前から脳内に存在していたことが裏づけられました.レーザー直接赤外分光法(LDIR)で測定された20 µm以上のマイクロプラスチック粒子数の中央値は,神経膠腫で11.9個/g,神経膠腫周囲脳で24.2個/g,髄膜腫で16.3個/g,髄膜腫周囲硬膜で26.3個/gでした.同一患者の神経膠腫とその周囲脳を比較した解析でも,腫瘍周囲脳では粒子数と重量濃度のいずれも高値でした.著者らは,腫瘍周囲における血液脳関門の障害によって,血液中を循環するMNPsが脳内へ侵入しやすくなった可能性を指摘しています.
また,組織中に含まれるプラスチックの重量の半分以上を,粒径1 µm未満のナノプラスチックが占めると推定されました.検出された材質には,ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレン,ポリアミド,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニルなどが含まれていました.さらに,腫瘍組織内のマイクロプラスチックの総表面積が大きいほど,腫瘍細胞の増殖性を示すKi-67指数が高い傾向が認められました.ただし,この結果は両者の相関を示すにとどまり,マイクロプラスチックが腫瘍の増殖を促進したことを証明するものではありません.
図1bでは,正常対照脳において,前頭葉,側頭葉,頭頂葉,後頭葉,小脳,頸髄,硬膜,脳脊髄液のすべてからMNPsが検出されたことを示しています.赤字はLDIRで測定したマイクロプラスチックの粒子数,青字はPy-GC/MSで測定したナノプラスチックを含むMNPsの重量濃度を示します.図1cとdでは,脳実質+頸髄,脳脊髄液,硬膜の間で,プラスチックの種類と構成比が異なることを示しています.図1cは20 µm以上の粒子を個数で,図1dはナノプラスチックを含むMNPsを重量で評価しており,粒子数の多いプラスチックと重量への寄与が大きいプラスチックは必ずしも一致しませんでした.図1eでは,神経膠腫周囲脳のマイクロプラスチック粒子数中央値は24.2個/gで,正常脳実質+頸髄のは7.7個/gより有意に多いことを示しています.一方,図fでは,MNPsの重量濃度は神経膠腫周囲脳で数値では高かったものの,正常脳とのあいだに有意差はありませんでした.図1gでは,予想に反して,LDIRで測定した20 µm以上のマイクロプラスチック粒子数が,髄膜腫周囲硬膜より正常硬膜で有意に多いことが示されました.脳実質,脳脊髄液,硬膜で粒子数やプラスチックの種類が異なっていたことから,MNPsは血液を介して脳に入るだけでなく,脳脊髄液や髄膜リンパ系を通じて移動・排出されている可能性があります.
図2では,手術室で脳検体が外部から汚染された可能性が検討されています.図中の赤字はPy-GC/MSで測定したMNPsの重量濃度を,青字はLDIRで検出した主として20 µm以上のマイクロプラスチックの粒子数と材質を示しています.実際に,注射器,輸液セット,ゼラチンスポンジ,手術用パティなどからもプラスチック粒子が検出され,医療材料が患者への曝露源,あるいは検体への混入源となり得ることが示されました.一方,手術時間や輸液量と脳組織内の粒子数には明らかな関連が認められず,組織から検出された粒子のすべてを手術中の混入だけで説明することは困難であると著者らは述べています.
本研究の限界は,正常対照が5名と少なく,高齢の死後提供者であったことです.脳腫瘍群とは,年齢,採取方法,死後経過などの条件が一致していません.また,粒子がどの脳細胞内に存在し,炎症や神経障害を引き起こしていたのかについての情報がありません.
この研究は,MNPsが脳腫瘍患者の生体脳と脳疾患のない死後脳の双方から高率に検出され,とくに神経膠腫周囲脳で粒子数が多いことを示しました.しかし脳腫瘍の原因となることや,患者の予後を悪化させることは示すものではありません.現段階では,発がん性を証明した研究ではなく,ヒト脳におけるMNPsの存在と組織分布を示した重要な曝露研究と評価するのが適切ではないかと思います.
Li R, et al.Microplastics and nanoplastics in brain tumours and the healthy human brain.Nat Health.2026;1:633–646.doi:10.1038/s44360-026-00091-4.

グリンファティック流の全脳イメージング―脳梗塞,加齢,麻酔で脳脊髄液の流れはどう変わるのか?
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月27日のFB投稿です***
グリンファティック系は,脳脊髄液が血管周囲腔を通って脳内を循環し,アミロイドβ,タウ,αシヌクレインなどの老廃物の排出に関わる仕組みです.しかし,頭蓋骨を開けずに,脳底部や脳深部を含む全脳の流れを連続して観察することは困難でした.米国Duke大学を中心とする米中の共同研究チームは,脳血管とグリンファティック流を同時に画像化する新技術「3D-PAULM」を開発し,Sci Adv誌に報告しています.3D-PAULMは,三次元光音響トモグラフィーと超音波局在顕微鏡を組み合わせた技術だそうで,血管内に投与したマイクロバブルから脳血管を描出し,大槽内に投与した近赤外色素BIBDAHから脳脊髄液トレーサーの動きを検出します(図1).
この技術の新規性を最もよく示しているのが図2です.細い線状の構造が脳血管,赤色から黄色の信号が脳脊髄液トレーサーです.両者を重ねることで,脳脊髄液がどの血管の周囲を移動するのかを,全脳レベルで三次元的に把握できます.これまで観察が難しかった脳底部を含めて可視化できます.健康な若齢マウスでは,トレーサーはまず脳底部のウィリス動脈輪周囲に入り,動脈周囲腔に沿って速やかに広がりました.初期には,動脈拍動や圧較差によって脳脊髄液そのものが一定方向へ流れ,トレーサーを運ぶ「移流(advection)」が主体となります.その後は,分子が濃度差に従って広がる「拡散(diffusion)」の影響が強くなり,静脈周囲や嗅球方向へ移動しました(図1).
さてつぎは,脳梗塞,加齢,麻酔という動物モデルでどうなるかです.研究チームはきっとワクワクして実験したと思います.まず脳梗塞は,一過性中大脳動脈閉塞から48時間後のマウスを調べました.対照のマウスでは脳血管と脳脊髄液トレーサーが左右ほぼ対称に分布していますが(図3G),脳梗塞マウスでは梗塞側の血管網が疎になり,同じ側へのトレーサー流入も低下して,明瞭な左右差が生じました(図3H).虚血によって血管灌流と動脈拍動が低下し,動脈周囲腔へ脳脊髄液を送り込む移流性の駆動力が弱くなったためと考えられます.かつ健側の流れも低下しており,脳梗塞が局所だけでなく,全脳のグリンファティック機能にも影響する可能性が示されました.
加齢と麻酔の影響は,図4で比較できます.若齢マウスのケタミン/キシラジン(K/X)麻酔(左)では,トレーサーが脳内を広く循環し,流入から排出までの経路が比較的よく保たれていました.一方,同じ麻酔で18か月齢を超える老齢マウスでは,ウィリス動脈輪周囲への流入が遅れ,髄膜リンパ管や嗅球方向への排出も低下しました(右).加齢では「脳脊髄液が入るのも遅く,出るのも遅い」状態が生じていたと考えられます.若齢マウスでも,イソフルラン(Iso)麻酔ではグリンファティック流が低下しました(中央).トレーサーは脳底部までは到達するものの,その後の全脳への広がりが乏しく,静脈洞周囲に停滞しました.イソフルランによる血管拡張,動脈拍動の減弱,静脈うっ滞などが関与した可能性があります.したがって,麻酔薬の種類が重要である可能性があります.
以上より,脳梗塞では「梗塞側を中心に脳脊髄液が入りにくくなる」,加齢では「入るのも出るのも遅くなる」,イソフルラン麻酔では「脳底部までは入るものの,その先へ流れにくくなる」という違いが明らかになりました.ただし,各群の解析数はN=3程度と少なく,本研究は病態を確定する研究というより,3D-PAULMの有用性を検証する論文として位置づけたほうが良さそうです.
Wang N,et al.Noninvasive whole-brain imaging of glymphatic dynamics.Sci Adv.2026;12:eaee4926.doi:10.1126/sciadv.aee4926.PMID:42308292.

ヘッドアップ・ティルト試験をどう読むか.神経調節性失神,POTS,神経原性起立性低血圧の見分け方
***岐阜大学医学部下畑先生の2026年6月30日のFB投稿です***
ヘッドアップ・ティルト(HUT)試験は,起立時のめまい,動悸,失神前症状,失神などを評価するうえで重要な検査です.今回ご紹介するNeurology Education誌の論文は,この検査をどのように標準化して行い,どのように結果を読み解くかを,きわめて分かりやすく図解した教育的な論文です.
著者らはまず,検査の信頼性を高めるための基本条件を整理しています.検査前には,カフェイン,ニコチン,食事を少なくとも3時間避けます.また,可能であればβ遮断薬や血管作動薬など,循環動態に影響する薬剤を休薬します.仰臥位で5~10分間安静にして心拍数と血圧の基準値を確認した後,ティルト台を70度まで傾け,心電図と一拍ごとの連続血圧を記録します.
論文の中心は,HUT試験で認められる3つの主要な血行動態パターンの整理です.すなわち,神経調節性失神(neurally mediated syncope;NMS),体位性頻脈症候群(postural orthostatic tachycardia syndrome;POTS),神経原性起立性低血圧(neurogenic orthostatic hypotension;nOH)です.NMSでは,傾斜後しばらく経過してから血圧が急激に低下し,心抑制型では心拍数も低下します.一方,血管抑制型では,血圧が低下しても心拍数はあまり変化しません.POTSでは,傾斜後10分以内に持続的な心拍数増加がみられ,成人では30拍/分以上,12~19歳では40拍/分以上の増加が目安になりますが,明らかな起立性低血圧は伴いません.nOHでは,傾斜後3分以内に収縮期血圧が20 mmHg以上,または拡張期血圧が10 mmHg以上低下し,血圧低下に対する心拍数の代償性増加が乏しいことが特徴です.その目安として,ΔHR/ΔSBP<0.5拍/分/mmHgが重要です.
図は,上段に3つの病態の診断ポイントを表で整理し,下段にそれぞれの代表的な心拍数と血圧の波形を並べて示しています.NMSでは,赤い心拍数曲線と青い血圧波形が比較的安定していた状態から,失神の直前に急激に崩れる様子が示されています.一方,POTSでは,血圧は保たれたまま,心拍数が時間とともに持続的に上昇していきます.これに対してnOHでは,傾斜後早期から血圧が大きく低下するにもかかわらず,心拍数はあまり増加しません.つまりこの図を見ると,3病態の違いが一目で理解できます.
もう1点,本論文が強調しているのは,症状と生理学的変化が時間的に一致しているかどうかです.患者さんがめまいや失神前症状を訴えた時点で,実際に血圧低下や頻脈が起きていれば上述した診断を支持します.反対に,症状が再現されても対応する血行動態異常がなければ,別の原因を考える必要があります.HUT試験は,波形だけを機械的に読む検査ではなく,症状,血圧,心拍数の3つを同じ時間軸上で重ねて理解する検査であるという点が,本論文の最も重要なメッセージだと思います.
Shekhawat P, et al. How to Interpret the Head-Up Tilt Table Test: Teaching the 3 Core Orthostatic Hemodynamic Patterns. Neurol Educ. 2026 Apr 22;5(2):e200315. doi: 10.1212/NE9.0000000000200315. PMID: 42038333.

 

3.特別企画:AIに訊く
・「連載シリーズ:切り替えの物語 — AIとの対話から生まれた統合理論」No.4, No.5

📰 連載シリーズ第4回
3D 最小モデル:アトラクタ・変動性・切り替え軌道

1. なぜ「3D 最小モデル」が必要なのか
前回までの連載では、
• SCAN が示す「境界領域(Liminal)」
• VSM が示す「階層的再編成」
• 制約幾何学が示す「最適面」 という三つの視点から、歩行→走行切り替えの“構造”を見てきた。

しかし、読者としてはこう思うかもしれない。
「理論は分かった。でも、実際の動きとしてはどう見えるのか。」

その疑問に答えるために、本稿では 3D 最小モデル(3D Minimal Model) を導入する。
これは、
• 必要最小限の変数
• 必要最小限の力学
• 必要最小限の制約 だけで構成された、切り替え現象の“本質だけを抽出したモデル” である。

2. 3D 最小モデルの構造:3つの軸で動きを捉える
3D 最小モデルは、動きを次の3つの軸で表現する。
1. タスク関連軸(Task-relevant axis)
2. タスク非関連軸(Task-irrelevant axis)
3. 速度軸(Speed axis)
この3軸が交差する空間の中で、 歩行と走行は 異なる attractor(安定状態) として現れる。
図8:3D 最小モデルにおける歩行アトラクタと走行アトラクタ (歩行は低速域の青い谷、走行は高速域の赤い谷として表現される)

3. アトラクタ:歩行と走行は“別々の谷”に落ち着く
3D 最小モデルでは、歩行と走行は 別々のアトラクタ(安定点) として表現される。
• 歩行アトラクタ:低速域で安定
• 走行アトラクタ:高速域で安定

これは、前回扱った 「歩行と走行は多面体の異なる面に対応する」 という制約幾何学の議論と一致する。

アトラクタは、 「その速度で最も自然に落ち着く動き」 を表している。

4. 変動性の増大:アトラクタから離れると“揺れ”が増える
速度が上がると、 歩行アトラクタの安定性が低下し、 タスク非関連軸(Var⊥)の変動性が増大する。

これは、SCAN の
• looseness(ゆるみ)
• liminal(境界領域) と完全に対応する。
図9:速度上昇に伴う Var⊥ の増大と歩行アトラクタの不安定化 (歩行アトラクタの周囲に揺れが広がり、変動性が増大する様子)

つまり、 変動性の増大は「切り替えが近い」というサイン である。

5. 切り替え軌道:アトラクタからアトラクタへ“最短経路”で移動する
速度が臨界値に達すると、 歩行アトラクタはもはや安定を保てなくなり、 身体は 走行アトラクタへ移動する。

この移動は、
• 直感的には「歩きから走りへ切り替わる」
• 幾何学的には「最適面の移動」
• 力学的には「アトラクタ間の遷移」 として理解できる。

3D 最小モデルでは、この遷移が 多面体内部の geodesic(最短経路) として現れる。
図10:歩行アトラクタから走行アトラクタへの切り替え軌道(geodesic) (2つの谷をつなぐ滑らかな曲線として描かれる)

つまり、 切り替えは“最短で最も自然な道”を通って起こる。
これは、前回の 「切り替えは最適面間の最短経路である」 という命題を、モデルとして裏付ける結果である。

6. 3D 最小モデルが示す“切り替えの全体像”
ここまでの議論をまとめると、 3D 最小モデルは次のような“切り替えの物語”を描く。

1. 低速では歩行アトラクタが安定
2. 速度上昇に伴い、Var⊥ が増大
3. アトラクタの安定性が低下し、liminal 領域へ
4. 最短経路(geodesic)を通って走行アトラクタへ移動
5. 高速域では走行アトラクタが安定

これは、
• SCAN(境界領域)
• VSM(階層的再編成)
• 制約幾何学(最適面)
の三者が示した構造を、 動くモデルとして統合した姿 である。

7. 次回予告:切り替え現象の“統合的な構造”へ
3D 最小モデルによって、 歩行→走行切り替えの
• アトラクタ構造
• 変動性(Var⊥)の増大
• geodesic 的な遷移軌道
が、実際の“動き”としてどのように現れるかが明らかになった。

次回(第5回)では、ここで得られた知見をさらに一歩進め、
• SCAN(境界領域)
• VSM(階層的再編成)
• 制約幾何学(最適面)
• 3D 最小モデル(動的検証)
の 4つの視点がどのように統合されるのか を解説する。

特に、
• Var⊥ の増大と「最適面の自由度」の対応
• 動的モデルと静的モデルの橋渡し
• 切り替えが“普遍的な構造”として現れる理由
を、図と具体例を用いて分かりやすく紹介する。

いよいよ、 「切り替え現象の統合理論」 の全体像が見えてくる。

📰 連載シリーズ第5回
**切り替え現象の“統合構造”を見通す:
SCAN × VSM × 制約幾何学 × 3Dモデルの接続**

1. 前回までのおさらい:切り替えは“ひとつの物語”だった
前回(第4回)では、 3D 最小モデルを使って、歩行→走行切り替えが
1. アトラクタの変化
2. 変動性(Var⊥)の増大
3. geodesic(最短経路)による遷移
という 動的なプロセス として現れることを見た。

ここまでで、読者は次のように感じているはずだ。
「SCAN、VSM、制約幾何学、3Dモデル…… いろいろ出てきたけれど、全部つながっているの?」
その疑問に答えるのが、今回のテーマである。

2. 4つの理論は“別々のもの”ではなかった
まず最初に強調したいのは、 SCAN・VSM・制約幾何学・3Dモデルは、 同じ現象を別の角度から見ているだけ ということだ。

視点をまとめるとこうなる:
これらは、 “切り替えとは何か”を立体的に理解するための4つの窓 と言える。

3. 変動性 Var⊥ は「自由度の増大」を意味する
3Dモデルで重要だったのは、 速度が上がると Var⊥(タスク非関連軸の揺らぎ)が増える という点だった。

これは単なるノイズではない。

Var⊥ の増大は、 身体が「別の動き方」を試し始める余地が広がる ということを意味する。

この“余地”は、制約幾何学では 最適面の自由度 として表現される。
• Var⊥ が小さい → 最適面が狭い(動きの選択肢が少ない)
• Var⊥ が大きい → 最適面が広い(動きの選択肢が増える)

つまり、 変動性の増大=自由度の増大=切り替え準備の進行 というわけだ。

4. 静的モデル(LP)と動的モデル(3D)の対応が美しい
付録Dで扱った静的な線形計画(LP)の例では、
• 最適解が線分として広がる
• 端点は BFS(基底解)
• 内部点は非BFSだが最適
• 線分全体が“同じ価値”を持つ
という構造があった。

これが、3Dモデルの次の構造と完全に対応する:
つまり、 静的な最適面の広がりが、動的な変動性の増大として現れる ということ。

この対応は、切り替え現象の理解を一気に深めてくれる。

5. 切り替えは“最短で最も自然な道”を通る
制約幾何学では、 最適面の中を移動する最短経路は geodesic(最短経路) になる。

3Dモデルでも、 歩行アトラクタ → 鞍部 → 走行アトラクタ という遷移軌道は geodesic を近似する。

つまり、身体は
• 無駄をせず
• 最も自然で
• 最も効率的な
“最短の道”を通って切り替える。

これは、SCAN の「liminal → re-stabilization」や VSM の「再編成」とも完全に一致する。

6. 4つの理論が示す“切り替えの統合構造”
ここまでの議論をまとめると、 切り替え現象は次のような 統合的な構造 を持つ。

1. 安定(歩行アトラクタ)
2. 不安定化(Var⊥ の増大)
3. 境界領域(liminal)
4. 最短経路(geodesic)による遷移
5. 再安定化(走行アトラクタ)

これは、SCAN・VSM・制約幾何学・3Dモデルの すべてが一致して描く“普遍的な切り替えの物語” である。

7. 次回予告:統合理論(Unified Switching Theory)へ
次回(第6回)では、 これまでの4つの視点を統合し、
• 切り替え現象の“普遍構造”
• どの領域にも共通する“切り替えの法則”
• SCAN × VSM × Constraint Geometry × 3D Model の統合命題
を提示する。

いよいよ、 「切り替えとは何か?」の最終回答 に迫る。

関連情報&リンク
・今回までの連載シリーズ記事へは、こちらから

・本連載シリーズに関連する学術資料(論文)は、シリーズの進展に合わせ順次掲載しています。
論文1:SCAN × モード切り替え ・・・・ 掲載済み
論文2:VSM × 階層的再編成   ・・・・ 掲載済み
論文3:制約幾何学 × 最適面    ・・・・ 掲載済み
論文4:3D 最小モデル      ・・・・ 掲載済み
論文5:統合論文(今回の完成稿)  ・・・・ 未掲載

・その他の連載記事へは、こちらから

(作成者)峯岸 瑛(みねぎし あきら)

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2026年1月のニュース

今年もホットな情報をお届けします。
今月は、NPWA会員の活動報告、「急性運動はヒト免疫細胞のプロテオーム構造を再構築する」と「グリアからニューロンへのミトコンドリアの移動は末梢神経障害を予防する」の論文紹介、岐阜大学医学部の下畑先生からの最新医学情報に加え、特別企画として、CES2026での「ヘルスケア分野」「PW関連」の発表をAIに訊く、をお届けします。

1. 2026年1月の活動状況
柳澤 光宏さんの投稿
明けましておめでとうございます!初日の出は曇っていてダメだったので、テレビで見たゴールデン富士(笑) 仕事は昨年からの取組みを引き続き行う一年になりますが、工場の一部建て替えが控えているので、この1、2年の設備投資額は社長になってから過去1になるかと。 身体のメンテやトレーニングは引続きしっかり行い健康第一。ゴルフやスキーなどの趣味は継続で! なんといっても次女の高校受験が控えているので、本人が納得できる結果がでるといいなと。 写真の記事は元旦に発行された地元の週刊さくだいらに掲載されたものです。 本年も挑戦をモットーに走るので、宜しくお願い致します‼️

佐藤 ヒロ子さんの投稿
明けまして  おめでとうございます    2026年1月5日 #船橋ウォーキングソサイエティ   歩き初めは #シニアポールウォーキング   からです。 #寒い時期は基礎体力をつけよう   唄を歌いながら 筋トレとポールウォーキング  いい汗をかきました〜〜

田村 芙美子さんの投稿
えっ!雪!?❄❄❄? これは4年前の今日の写真。遠方からの友人と雪のなか七福神巡りをした時。 今年の1/6は仕事始め。行政センターの中庭で初春チェアエクササイズをしていたら 島根で地震の速報。震度5ってかなり大きいですね。おトキちゃんのお里は大丈夫だったかしら。 11時スギの送迎バスで今日のお昼は皆さんと新年会(その1)に行きました。笑顔でお喋りのランチでお腹が膨れました。今年も元気で楽しく健康づくりしましょうか。

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【心を合わせて      ジャンケンポン】 2026/1/6 #船橋ウォーキングソサイエティ #火曜美姿勢ウォーキング  新年の挨拶からスタートして ちょっとハードな #サーキットトレーニング  本日の締めは 豪華景品付(?)   恒例のジャンケンゲームです  勝ち抜いたチーム    今年は幸先宜しいようで  他のTeamsも 今年もうま〜く回りますようにね

遠藤 恵子さんの投稿
日常の生活が戻って4日目!! ⁡ 午前は外部指導【介護予防運動】 午後はサロンで【加圧トレーニング】 そして今夜は外部指導【やさしい健康運動教室】 ⁡ 動いて、支えて、また動く一日! ⁡ さっ、介護予防運動を終えたので これからサロンワーク!! 加圧トレーニングセッションです💪✨ #加圧トレーニング #加圧 #ゲンキクリエイターケイコ #フィットネスインストラクター #エアロビクスインストラクター #フィットネストレーナー #介護予防運動指導者 #フットセラピスト #プロボディデザイナー #フェイスデザイナー #ボニャックインストラクター #セラピスト #35周年 #運動指導

スマイルチームさんの投稿
2026年初ポールウォーキング。 今年も楽しく元気に冒険へ出かけよう❣️ #健康普及活動 #ポールウォーキング #607080代メインサークル #相模原市

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【大きなコースを使って   サーキットトレーニング】  2026/1/8 #船橋ウォーキングソサイエティ #木曜行田公園  #2本のポールを使うウォーキング 正月も明けて 療養から会員が帰って来ました 青い空と皆がお出迎えです   筋トレの唄に合わせて  慌てず力まずのびのびと  脂肪燃焼を期待しての サーキットトレーニングの実践 その後のじゃんけんゲーム チャンピオンチームには 復帰会員が入り 新年と3重の喜びです

長谷川 弘道さんの投稿
オンライン健康講座「いつでも、どこでも、誰でも楽しめる!ファミリーフィットネス!!」

校條 諭さんの投稿
新春の「気まポ(気ままにポール歩き)」は快晴のもと初詣を兼ねて 本当にきれいな青空でした。行きの電車からは、遠くに富士山が見えました。(写真撮れず) JR・京王井の頭線吉祥寺駅(武蔵野市)に集合して、善福寺公園と井草八幡宮を主たる目的地としてノルディックウォーキングしました。 冬の善福寺公園もなかなかよい風情でした。ゴイサギが木の枝に何羽も止まっていたり、池の水面では、たくさんのカモが休んでいました。 公園では「おやつタイム」をとって、お菓子を交換し合ったりして、たのしいおしゃべり休憩でした。 井草八幡宮は、松の内も過ぎているので混んでませんでした。おみくじを買った人もいました。 以前、NPOとしてやっていた「杉ポ(杉並ポール歩きの会)」は、広く参加者を募集して、ポール歩き(ノルディックウォーキング・ポールウォーキング)の普及促進を目的としていました。多いときには40人くらい参加がありました。 それに対して気まポは、杉並区や近辺の杉ポ経験者の個人的なお楽しみ会です。したがって、指導無し、下見無し、参加費無しです。また、杉ポはあくまでもポールを持ったウォーキング本位でしたが、気まポは文字通り気ままに街探訪を楽しみながら歩いています。ほぼ決まった顔ぶれで、メンバーの拡大も目指しません。 ※写真の半分は田村和史君からいただきました。

田村 芙美子さんの投稿
銭洗弁財天の近く、佐助ギャラリーで開催中の友人の色鉛筆2人展🖼️に行きました。女子3人組の路地歩き「静」🚶🚶‍♂️🚶‍♀️のメンバーの一人です。色鉛筆で写真かとみまがう精細な描写! 私には出来ない技です。力作の数々鑑賞のあとはお向かいの佐助カフェでもう一人の仲間とお喋り。「静」のグループ名由来は・・・ 10才と20才の歳の差の3人で 気持ちが若返るエキスを貰えます。東日本大震災をきっかけに知り合った繋がりは老婆の宝物です。

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【恒例 船橋大神宮初詣】 2026/1/10 正月の賑わいを残す  船橋大神宮へ向い初歩き #船橋ウォーキングソサイエティ #土曜日海老川コース #2本のポールをつかうウォーキング   今年は街歩き案内でデビューした 会員が常盤神社と燈明台の説明を してくれました。歴史のみならず 建物の魅力にも聴き入りました。 帰路 西福寺へも寄り 古き良き船橋の魅力にふれた 初歩きとなりました。

新地 昌子さんの投稿
ウォーキングポールを相棒に仲間と巡る小さな旅 名づけて"ぽる旅"なんてどうでしょう。 子供の頃から大通りより裏の路地、新しい施設より古い建物を見るのが好きでした。あっ!と思ったら立ち止まってゆっくり風景を楽しめるポールウォーキングは、そんな私にとってまさに旅の相棒です。 今年は自分が行ってみたい!見てみたい!と思う茨城の景色をポールウォーキングの仲間と歩いてみようと思います。 だから、題して「ぽる旅」😊 第一弾は「🦊笠間稲荷神社に健康祈願!」 コース概要/約4.1キロ/歩行時間80分 笠間芸術の森公園北駐車場→ 洋画家山下りんゆかりの白凛居→ 笹目惣兵衛商店→ 笠間稲荷神社→ 笠間歴史交流館井筒屋→ 笠間芸術の森公園北駐車場 今日のお土産 二つ木 胡桃入り稲荷寿司 適度にアップダウンがあり、城下町笠間を感じられました。私にとっては懐かしい通学路も入れた地元を知る人ならではのルートです。ポールウォーカーの皆様、笠間に来られたときはぜひ歩いてみてください😊

大内 克泰さんの投稿
居酒屋からの帰り道。 街一番のスナックの集まるビルの近くに多くの人だかり。 「大内コーチ!」 10年前と同じ様に声を掛けてくれて、集まってくる「20歳の集い」を終えた見覚えのある元子ども達😆 「伊達市すこやか事業」と称して、放射能物質の除染が進められる中、外遊びを自粛せざろうえなかった期間を体力作りと肥満予防の為、約6年にわたり市内小学校全校全学年の体育授業を外部講師として委託を受け、巡回していた頃の子ども達。 1校あたり年6回で、大規模校は1学年1回だったにもかかわらず、皆んなが覚えてくれていたのが、見た目のインパクトだけではなく、実施したアクティビティが「楽しかった」と。 数人の新成人達と「飲もう」となり、移動した先にも「教え子」達が。スマホに保存していた約10年前の写真を観ながら当時の思い出話と、今これからの夢や目標を深夜まで語ってくれました。

田村 芙美子さんの投稿
山手線停電でストップ🚃大混乱の1日 湘南ラインで渋谷に向かっていた途中、横浜~武蔵小杉手前でアナウンス。恵比寿、渋谷、新宿など山手線駅に向かうかたは東急線に乗り換えるなど検討下さい📢 えっ、スムーズに動かないの?・・・? 良く理解できないまま 武蔵小杉で降りて東急線和光行きに乗り換えました。大の苦手の武蔵小杉乗り換えでしたが20分オーバーで渋谷駅にたどり着きました。下車したものの渋谷駅で右往左往💦万が一のために1時間近く早めに出ているので遅刻の心配はありません。 夕方のニュースによると30分位電車が停まってしまったり、線路を歩いたり、大混乱だったようです。 再開したのは午後1時過ぎとのこと。ポールウォーキング教室は区民の方ばかりなので私以外は影響なし。ナンバ歩きの数名(3/15)の皆さんとの格闘で大汗流しました。     写真は@妙本寺

森川 まことさんの投稿
本日は成田山新勝寺をお参りし、成田山公園を歩きました。途中、水琴窟で聴力テスト(笑笑)を行い、解散。今年も皆んなで元気に歩けます様に。。。。。

長谷川 弘道さんの投稿
「今日はまだ5,000歩しか歩いてない…」 と落ち込んでいませんか? 長谷川弘道です。 その罪悪感、今日でサラリと捨てましょう🦁 実は「1日1万歩」という数字には、 明確な医学的根拠はないと言われています。 レポートでも紹介していますが、 2019年の米国の研究データでは、 高齢女性において「1日4,400歩」で死亡率が低下し、 「7,500歩」を超えると効果は横ばいになることが分かっています。 つまり、無理して1万歩を目指す必要はないのです。 むしろ、疲れているのにダラダラ歩くのは、 関節を痛めるだけで逆効果になりかねません。 私が40年の指導で大切にしているのは、 「量」よりも「質」です。 ✅ 歩幅をあと5cm広くしてみる ✅ 信号が点滅する前に渡り切れる速度(秒速1m)で歩く これを意識するだけで、脳への刺激も運動効果も段違いです。 「たくさん」ではなく「颯爽(さっそう)」と。 それが、粋な大人の歩き方です。 皆さんは普段、何歩くらい歩いていますか? 「歩きすぎだったかも!」という方はコメントで教えてください👇 ────────────── 長谷川弘道|イキ・サラ健幸ライフ @hasegawa_iki_sara 運動指導歴40年。 頑張らない「ライオン流」健康法を発信中。 ────────────── #ウォーキング #1日1万歩 #健康法 #長谷川弘道 #イキサラ 50代からの健康 シニアフィットネス 散歩 ウォーキングダイエット 肩甲骨 SKA運動

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 「室内ポールウォーク」でした。 冬季間のポールウォーキングは体育館での室内歩きに〜 外は雪や凍結路の環境下の時が有り、寒さ・転倒の危険性を回避してのPW〜 2時間の中で前半/PWを〜 歩くだけでなく「スクエアステップ」を取り入れての足踏みも取り入れ〜 後半は「レクリエーション/ボッチャ・ラダーゲッター・布ボール」で脳トレも取り入れ内容でした。

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【うまれる一体感】 2026/1/20  程よく仲間が見渡せる  藤棚は強風の影響もなく  ベンチ、椅子 柱が  サーキットトレーニングに    ピッタリです  「梅の花が咲いてるよ〜」  寒波でも春を感じます #船橋ウォーキングソサイエティ #美姿勢ウォーキング #県立行田公園 #サーキットトレーニング

田村 芙美子さんの投稿
今日はPWグループ3個目の新年会でした。パークホテルにバスで送迎は楽です。(要介護の方が3人在籍なので) 往復の湘南海岸路はお日様キラキラ、富士山も真っ白に雪化粧。一番寒いこの時期を越せば嬉しい花の季節が待っています。 右は鎌倉市腰越のマサキの実です。弾けてますね。 夕焼けも綺麗な1日でした。 12年後📆⏳👣

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【寒波襲来】   2026/1/22 行田公園広場枯草に小さな白い 物体があたり一面に点々と…   「何〜 これ?」   「ひょうよ!!」  「ヒェ〜!寒い訳よ!」 手強い寒気団にも2本のポールを 持って歩けば立ち向かう元気 が出てきます! ステップエクササイズ  どんぐりコロコロの唄に  合わせて慌てずにね〜   身体も温まるのが早いよね♥  歩くだけではない  【ストレッチ・筋トレ】 しっかり時間をかけてる効果が 厳しい環境の中で現れますね〜 ポールって凄いね〜

田村 芙美子さんの投稿
北風が少し収まり陽射しの暖かい朝、鎌倉駅西口集合で2月のイベントの下見会に参加しました。ノルディック&ポールウォーキングコーディネーター養成講座をはるばる鎌倉で開催とのことで地理案内役で参加。3時間余かけていらしたシナノさん、JNWAさんら男性5コーチと婆コーチ計6名の古都歩きでした。本番は来月2日間に渡り開催です。 写真は源氏山公園頼朝像の前で。

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【余力のある内に】 2026/1/30 今年は立ち上げたNPO法人団体の活動縮小と解散をします。 主要スタッフの高齢化と後継者不在で定例会の安全運営を維持するのが困難と判断しました。 大切なのは「志の継承」で形ではないと思ってます。 年内で「シニアポールウォーキング」のみを残し活動も終了する予定です。 7カ月かけてスタッフ全員で「会員の不利益にならない活動縮小体制」の準備をしてこの1月の定例会で発表しました。 そして1年かけて解散へ進みます。 《安全・安心で楽しい定例会》 その為の決断です。 会員へは運動継続への意識づけと仲間づくりを推し進めて来ました。 それが結実するのを願ってやみません 新たなウォーキング指導員の任意団体の立ち上げ準備も同時にスタートします。  ○地域で今の自分にできる事 ○しなければならない事 今後も追い続けて行く所存です。 引き続きご指導とご鞭撻を宜しくお願いいたします。

 

来月以降の開催
長岡智津子さんの投稿
写真1件

 

2.PW関連学術ニュース
2-1)急性運動はヒト免疫細胞のプロテオーム構造を再構築する
**以下は、大阪大学の宮坂昌之先生の2026年1月7日のFB投稿です**
運動が健康に良いことがいろいろな研究から示されています。たとえば、運動により健康寿命が延びたり、アルツハイマー病やがんのリスクが下がったりすることなど、さまざまな運動による効能が報告されています。しかし、それが実際にどのような機序によって起きているのかについてはあまり良くわかっていません。
この点、ドイツの研究グループが、果たして運動がどの程度、免疫機能に影響を与えうるのかについて詳細に調べ、その結果をNature Communicationsの最新号に発表しています(https://www.nature.com/articles/s41467-025-68101-9)。
具体的には、健康人23名(男11名、女12名;年齢30±4歳)に対して約1時間の高強度のインターバル練習あるいは約1時間の中強度の持続的運動をしてもらい、1時間後に末梢血を得て、末梢血白血球のフローサイトメトリー解析と血漿のプロテオーム解析(LC-MS/MSを用いた解析;1検体あたり約6千種類の蛋白質について解析)を行いました。
わかったことをまとめると次のようです。
・約1時間の強度の高いインターバル運動は、すぐにからだの免疫応答能力を高める。
・1時間の運動により、細胞傷害、白血球の活性化、防御能促進に関わるタンパク質が増加してくる。
・調べた範囲では、運動強度の高いインターバル運動のほうが中強度の持続的運動よりも効率的に免疫応答能力を高めていた。
・このような免疫応答能力の亢進の程度は、運動者の心肺フィットネスの程度とほぼ比例していた。
つまり、強度の高い運動は、約1時間程度のものでも、からだの免疫応答能力に関わる種々のタンパク質の産生を高めていて、この効果は、若い健康人で見る限り、運動強度の高いインターバル運動のほうが中強度の持続的運動よりも強かった、ということです。また、心肺能力の高い人でこのような効果が見られやすい傾向があったことから、普段からの運動で心肺の予備力を鍛えておくほうが、運動の効果が見られやすくなるようです。
ただし、この研究は若い健康人だけが対象となっていて、高齢者に対してそのままこのような結果があてはまるかは注意して考えないといけません(特に高齢者においては高強度のインターバル運動を1時間も続けることはできないので)。しかし、『運動によって免疫力が良い方向に向かう』とか『心肺能力の高い人では免疫応答能が高い傾向がある』ということは、間違いなく高齢者にも当てはまることだと思います。今後、このような研究が高齢者も対象として行われていくことになるでしょう。

関連情報
1)原論文
公開日:Published: 02 January 2026 (Open access)
表題:Acute exercise rewires the proteomic landscape of human immune cells
(和訳:急性運動はヒト免疫細胞のプロテオーム構造を再構築する)
著者:David Walzik, Niklas Joisten, Alan J. Metcalfe, Sebastian Proschinger, Alexander Schenk, Charlotte Wenzel, Alessa L. Henneberg, Martin Schneider, Silvia Calderazzo, Andreas Groll, Carsten Watzl, Christiane A. Opitz, Dominic Helm & Philipp Zimmer
掲載誌:Nature Communications volume 17, Article number: 130 (2026)

要旨
運動が免疫系に良い影響を与えることは広く認められているが、運動に対する免疫細胞の分子的応答については未解明な点が多い。本研究では、末梢血単核細胞(PBMC)を6000タンパク質を超える深さまで質量分析法を用いてプロテオーム解析した。運動時間と運動負荷を合わせた高強度インターバル運動(HIIE)と中強度持続運動(MICE)を比較することで、PBMCのプロテオーム構成における多様な変化を特定し、運動後1時間以内にエフェクター機能と免疫細胞活性化経路に関連する大きな変化を明らかにした。これらの変化は、MICEと比較してHIIE後の方が顕著であり、2つの運動条件間で免疫細胞動員パターンが同一であるにもかかわらず発生した。さらに、心肺機能のフィットネスを効果的に予測する免疫プロテオームシグネチャーを特定し、運動によって引き起こされる潜在的な適応や、運動によって媒介される免疫学的健康効果についての知見を得た。この研究は、運動が免疫系を調節する仕組みについての知識を広げる信頼できるデータリソースを提供し、健康維持に関連する要因として運動の強度を強調するWHO 2020ガイドラインを裏付ける生物学的証拠をもたらします。

図1:研究デザイン、分析計画、運動誘発性免疫細胞動員。
A 時間と運動負荷を合わせた高強度インターバル運動 (HIIE) と中強度持続運動 (MICE) を含む研究デザインの概要。 B 末梢血単核細胞 (PBMC) を分析するために使用したバイオ分析およびバイオインフォマティクス手法の概要。C自己組織化マップ (SOM) を使用した教師なしクラスタリングによって識別された免疫細胞クラスターの均一多様体近似および投影 (UMAP)。免疫細胞クラスターは色分けされ、運動条件と測定時点別に表示されます。各 UMAP は 22 のサンプルからの 3000 個の生きたリンパ球に対応し、合計 66,000 件のイベントが発生します。MICE 後 1 時間を表す UMAP の場合、21 のサンプルしか利用できなかったため、63,000 件のイベントが発生します。D識別されたクラスターにおける運動誘発性シフトの比較。E HIIE および MICE に応答したリンパ球サブセットの割合。補足図 S1および補足データ S2、S3、S4も参照。BioRenderで作成。Walzik, D. (2025) https://BioRender.com/y85v219。

2)2026年1月10日(土)日本経済新聞記事『ゆるHIITで筋トレ』
【この記事でわかること】
・「ゆるHIIT」のトレーニング内容
・通常の筋トレや有酸素運動との違いは
・健康効果を最大化する無理ない強度とは
**以下、同記事の書き出し部分です**
新年を迎え「今年こそ運動しよう」と決意した人も多いだろう。忙しい現代人にお勧めなのが、わずか数分で筋トレと有酸素運動ができるHIITだ。強度を落とした”ゆるHIIT”ならハードルはさらに低い。
(注)「ゆるHIIT」紹介動画や、実践用のLINEチャットポット等もネットで検索できます。

2-2)グリアからニューロンへのミトコンドリアの移動は末梢神経障害を予防する
**以下、大阪大学の宮坂先生の2026年1月15日のFB投稿です**
一般に、神経細胞(ニューロン)の周囲にはグリア細胞が存在していて、ニューロンに対する保護、栄養補給や代謝調節を行う、と考えられています。脳のニューロンの周りにはアストロサイト(星状膠細胞)、末梢神経系(特に神経節)のニューロンの周りにはサテライトグリア細胞が存在します。
最近、ニューロン間や、免疫細胞とがん細胞間でミトコンドリアの移動現象が観察され、機能的に意味があることではないかとして話題になっています。また、最新号のNatureに出た論文では、グリア細胞とニューロンの間ではミトコンドリア輸送が重要であり、これが乱されると神経障害や痛みが生じる、と報告されています。アメリカの研究グループによる仕事です(https://www.nature.com/articles/s41586-025-09896-x)。
この研究では、後根神経節(脊髄のすぐ外側にある膨らみで、末梢からの触覚、痛覚、温度覚などを脊髄へ伝える感覚神経が集まっている場所)のニューロンを包むサテライトグリア細胞からニューロンに対して、トンネルナノチューブという構造を介して、ミトコンドリアが輸送されるとのことです。正常状態ではサテライトグリア細胞からニューロンへのミトコンドリア補給によって神経が保護されているのですが、糖尿病や化学療法剤投与によってこの経路が破綻することがあり,そのために神経障害と疼痛が生じることがあるとのことです(実際、糖尿病の際やパクリタキセルという抗がん剤投与後には難治性の神経障害や強い不快な痛みが生じることがあります)。これに対して、この経路を修復するためにミトコンドリアを補給すると神経障害や痛みが抑えられる可能性がある、とのことです。
これまでは、われわれのニューロンは既に出来上がってしまった細胞であり、いったん傷つくと修復が不能であるかのように考えられていました。一方、もし、ニューロンの恒常状態(ホメオスタシス)維持に周囲の細胞からのミトコンドリア供給が大事だとすると、ミトコンドリアの再補給によって痛んだニューロンを修復出来る可能性があり、これによって、神経障害や痛みに対する治療法が新たに開発される可能性があります。もしかすると、すごいことかもしれません。医学は日進月歩の世界です。

関連情報①原論文
掲載誌:Nature (2026) Open access
公開日:Published: 07 January 2026
表題:Mitochondrial transfer from glia to neurons protects against peripheral neuropathy
(和訳:グリアからニューロンへのミトコンドリアの移動は末梢神経障害を予防する)
著者:Jing Xu, Yize Li, Charles Novak, Min Lee, Zihan Yan, Sangsu Bang, Aidan McGinnis, Sharat Chandra, Vivian Zhang, Wei He, Terry Lechler, Maria Pia Rodriguez Salazar, Cagla Eroglu, Matthew L. Becker, Dmitry Velmeshev, Richard E. Cheney & Ru-Rong Ji

要旨
脊髄後根神経節(DRG)の一次感覚ニューロンは軸索が長く、ミトコンドリアを多く必要とするため、ミトコンドリア機能不全は糖尿病や化学療法後の末梢神経障害に関係しているといわれている1 , 2。しかし、一次感覚ニューロンがミトコンドリアの供給を維持するメカニズムは依然として不明である。DRGの衛星グリア細胞(SGC)は感覚ニューロンを取り囲み、ニューロン活動と疼痛を制御している3。本研究では、SGCがSGC由来ミオシン10(MYO10)とトンネルナノチューブを形成することで、in vitro、ex vivo、in vivoでミトコンドリアをDRG感覚ニューロンに輸送できることを示す。走査型および透過型電子顕微鏡法によって、マウスとヒトのDRGのSGCと感覚ニューロンの間にトンネルナノチューブのような超微細構造が存在することが明らかになった。未処置マウスにおけるミトコンドリア輸送の阻害は、神経変性と神経障害性疼痛を引き起こす。単核RNAシークエンシングとin situハイブリダイゼーションにより、MYO10がヒトSGCで高発現していることが明らかになりました。さらに、糖尿病患者のDRG由来SGCでは、MYO10の発現が低下しており、ミトコンドリアからニューロンへの移行も見られます。ヒトSGCをマウスDRGに移植することで、MYO10依存的な末梢神経障害の予防効果が認められます。本研究は、これまで認識されていなかった末梢グリアの役割を明らかにし、糖尿病における小線維ニューロパチーに関する知見を提供し、神経障害性疼痛の管理のための新たな治療戦略を示唆しています。

図 1: 共培養における SGC からニューロンへのミトコンドリアの移動とマウス DRG の TNT 様構造。
a , マウス DRG 由来の SGC-ニューロン共培養の模式図。SGC は MitoTracker 色素で標識されており、DRG ニューロンはTrpv1 :Ai9 マウス由来です。b ,左、SGC と相互作用するTrpv1 +ニューロンを示す SGC-ニューロン共培養の画像 (スケールバー、20 μm)。右、四角で囲まれた領域の拡大図。TNT (白矢印) と TNT 内のミトコンドリア (Mito、赤矢印) を示しています (スケールバー、5 μm)。c , MitoTracker 陽性 (Mito + ) および TNT 陽性ニューロンの割合。6 回の独立した実験から合計109個のニューロンが定量化のために含められました。d ,切片を作成せずに DRG 全体を観察した SEM の模式図。e , 隆起した TNT 様構造 (TNT-LS) を示す、マウス DRG 全体の高倍率 SEM 画像。n =  4 生物学的反復。スケールバー: 5 μm (左)、1 μm (右)。f , 切片化したマウス DRG の SEM の模式図。g , 切片化したマウス DRG の代表的な SEM 画像。SGCからニューロンへの隆起を伴う TNT-LS を示す。n  = 4 生物学的反復。スケールバー: 5 μm (左)、1 μm (右)。h , マウス DRG の TEM の模式図。i , DRG ニューロンと SGC を示す代表的な低倍率 TEM 画像。n =  4 生物学的反復。緑のアスタリスクはニューロンの核を示します。スケールバー、5 μm。j – l , SGC とニューロンの間にある TNT-LS を示す代表的な高倍率 TEM 画像。黒色の「Mito」は細胞内のミトコンドリア(j – l)を示します。赤色の「Mito」はTNT-LS内のミトコンドリア(k)を示します。「Vesicle」はTNT-LS内の小胞(k、l)を示します。黒いアスタリスクはSGCの核を示します。l 、 kからの拡大図で、滑らかなTNT-LS内のミトコンドリア(赤矢印)と小胞を示しています。ER、小胞体。n =  3生物学的反復。スケールバー:2 μm(j、k); 800 nm(l)。

関連情報②岐阜大学医学部下畑先生も2026年1月15日のFB投稿(後掲)でこの論文を紹介されています。

2-3)岐阜大学医学部下畑先生からの最新医学情報(2026年1月)
・家族性ALSはここまで治療できる:トフェルセンと「早期診断し,早期治療する」時代の到来
**岐阜大学医学部下畑先生の2026年1月5日のFB投稿です**
明けましておめでとうございます.
さて新年最初に取り上げる論文として,SOD1遺伝子変異を有する筋萎縮性側索硬化症(SOD1-ALS)に対するアンチセンス核酸製剤トフェルセンの長期効果を検討した研究を選びました.その理由は最後に示しますが,本研究は米国を中心とする国際共同研究グループによって実施されたVALOR試験と,そのオープンラベル延長試験(OLE)の統合解析です.108例がトフェルセンまたは偽薬に割り付けられ,28週後に全例がトフェルセンへ移行しました.解析では,最初からトフェルセンを開始した早期開始群と,28週後に開始した遅延開始群が比較されています.したがって,図を読む際には28週までの期間とそれ以降の期間を分けて見る必要があります.
図Aでは神経変性のバイオマーカーである血漿NfLは治療開始後早期に大きく低下し,148週時点で約65%低下していました.その結果,図BではALSFRS-Rによる機能低下が148週で,早期開始群で9.9点,遅延開始群で13.5点といずれも自然経過より緩やか,かつ早期開始群で低下が抑制されていました.図Cでは呼吸機能(緩徐肺活量;SVC)の低下が早期開始群で−13.8%,遅延開始群で−18.1%と差があり,図Dでは筋力(HHDスコア)の低下も早期開始群でより小さいことが示されています.以上より,トフェルセンは約3年後の評価で有効で,かつ早期に治療開始すべきことが分かります.加えて死亡または人工呼吸器装着に至るまでの期間の検討では,進行が速い高NfL群において,早期開始群の方が,イベントフリー期間が明らかに長いことが示されています.これはトフェルセンが症状の進行だけでなく生命予後にも影響を及ぼし得ることを示唆しています.
本研究では進行抑制が主な効果ですが,一部の患者では改善も認められました.148週時点で筋力が改善した例は早期開始群の約27%に達し,生活機能や呼吸機能でも約2割で改善または安定が見られました.つまり改善の頻度は高いわけではありませんが,それでも改善しうる症例が存在する事実は重要です.なお本研究では遺伝子変異の種類ごとの詳細な効果比較は行われてはいません.また遺伝子診断に伴う倫理的問題についても議論していません.
本研究はALS治療の歴史における大きな転換点であり,「早期診断し,早期治療する」時代への移行を示しています.この論文を読みながら,1993年にSOD1遺伝子変異がALSの原因として発見されたときのことを思い出しました.私は当時,研修医1年目で,ALS研究をしていたOben(指導医)の中野亮一先生が「これでALSはついに治療できる!」と熱く語ってくださったことが,今も強く印象に残っています.あらためて当時の論文を読み直してみると,最後の段落に“Perhaps the most important implication of our finding… is that various SOD1 mutations in FALS patients are its potential therapeutic benefit.”と,治療可能性についてすでに言及されていることに気づかされます.しかし現実はそう簡単には行かなかったわけですが,30年を経て,SOD1 mRNAを分解し蛋白産生を低下させる髄注薬トフェルセンが登場し,その長期成績まで示される時代になったわけです.現代は創薬や臨床試験の知識が大きく発展し,難攻不落と言われた神経難病に対する治療薬の確立は今後,加速度的に進むのだと思います.この変化の只中にある脳神経内科という分野に,意欲ある若いドクターがより多くチャレンジしてくれることを期待したいと思います.新年最初にこの論文を取り上げた理由も,まさにそこにあります.
Miller TM, et al. Long-Term Tofersen in SOD1 Amyotrophic Lateral Sclerosis. JAMA Neurology. Published online December 22, 2025. (リンクはコメント欄)

・専門分化の時代に重要な脳神経内科医の「中核的アイデンティティ」とはなにか?
**岐阜大学医学部下畑先生の2026年1月7日のFB投稿です**
Neurology誌に,この数年私自身も気になっていた問題を正面から取り上げたOpinion論文が掲載されました.米国Weill Cornell MedicineのJoseph E. Safdieh先生らによる「The Core Identity of the Neurologist」です.この論文は,脳神経内科領域におけるサブスペシャリティ化(専門分化)の進展によって,「自分は脳神経内科医である」という感覚が薄れつつあることに警鐘を鳴らしています.つまり著者らは,てんかん専門医,頭痛専門医,脳卒中専門医,パーキンソン病専門医などといった専門分化が進むなかで,「脳神経内科医であること」よりも先に「○○専門医であること」で自らを規定するようになりつつある現状を問題視しています.これは医学の進歩の自然な帰結である一方,その結果として診療,教育,社会への発信のすべてにおいて分断が生じ,脳神経内科という分野の一体性が失われつつあると論じています.
では著者らが考える「脳神経内科医の中核的アイデンティティ」とは何でしょうか?それは特定の疾患や手技によって定義されるものではなく,『病歴聴取,神経診察,局在診断,病態生理に基づく臨床推論という,共通の方法論によって定義されるものだ』と述べています.つまり脳神経内科は疾患の集合体ではなく,「どう考えるか」という思考様式によって統一された専門領域だと述べています.「なるほど,確かにその通りだ!」と思いました.そしてこの共通基盤が弱まると,患者さんは複数の専門外来を巡りながら断片化された医療を受けることになってしまいます.実際に,めまいや視覚症状,歩行障害といった非特異的症状の患者さんが,耳鼻咽喉科,眼科,頭痛クリニック,脳卒中科とたらい回しになり,診断が遅れるという事例が起きていることが指摘されています.
この問題に対して著者らは,「専門性を廃してgeneralistに戻れ」と言っているのではなく,専門性を維持したまま,その根底に「脳神経内科医としての思考」を再び据えるべきだと提案しています.教育の場においては,局在診断と鑑別診断をすべての脳神経内科医の共通言語としてしっかり教育し,朝のカンファレンスやベッドサイド教育では疾患知識よりも臨床推論のプロセスを可視化すること,レジデントが早期から特定の専門領域に過度に取り組まないよう多様な指導医との接点を設けることが提案されています.臨床の場では,サブスペシャリティ外の比較的単純な神経疾患にも対応できる診療の幅を保ち,診断名ではなく「ふるえ」「めまい」といった症状ベースで患者さんを受け入れる診療体制を構築することが推奨されています.さらに,職名や病院のウェブサイト,名簿などではまず「脳神経内科医」という肩書きを前面に出し,専門はその下位概念として位置づけること,社会やメディアへの発信でも「脳神経内科医」という統一した専門職像を強調することが重要だと言っています.
つまりメッセージは,サブスペシャリティは脳神経内科医としてのアイデンティティを失わせるものではなく,それを深化させるものであるべきだという点です.専門分化が進む時代だからこそ,共通の思考様式や言語を意識的に守らなければ,脳神経内科という分野そのものが分断されてしまうという著者らの警告は,日本の医療現場にとっても決して他人事ではありません.この論文はまずしっかり脳神経内科医としての基礎・土台を作ることが,分野の一体性と専門性の高度化を両立させるために不可欠であることを教えてくれているように思います.
Safdieh JE, Robbins MS. The Core Identity of the Neurologist. Neurology. 2025;105:e214265. PMID: 41066722.

・医学のあゆみ誌「全身疾患の新たな危険因子としてのマイクロ・ナノプラスチック」が発刊されます!
**岐阜大学医学部下畑先生の2026年1月9日のFB投稿です**
近年,マイクロ・ナノプラスチック(micro- and nanoplastics:MNPs)による環境汚染が,世界的に大きな関心を集めています.これまでプラスチック問題は,主に海洋汚染や生態系への影響として語られることが多かったわけですが,最近では「人の健康への影響」という観点からも注目されるようになってきました.
MNPsは単なる環境汚染物質にとどまらず,空気や水,食物を介して生体内に侵入し,体内に蓄積する可能性があることが分かってきています.実験研究や疫学研究からは,MNPsが炎症反応,酸化ストレス,免疫調節異常といった生体反応を惹起し得ることが示唆されています.実際に,MNPsが体内で検出された人では,心筋梗塞や脳卒中などによる死亡リスクが上昇すること,認知症患者の脳内に高濃度のMNPsが蓄積していること,さらに肺胞レベルでのMNPs曝露が慢性炎症や肺線維化を増悪させる可能性があることなどが報告されています.
こうした知見を踏まえ,医学のあゆみ誌で特集を企画させていただきました.本特集では,MNPsの免疫毒性,生体への侵入経路,細胞障害のメカニズムといった基礎的な話題から,曝露低減に向けた社会的・行政的な取り組みまでを含め,多角的な視点からMNPsに関する最新情報を紹介しています.おそらく本邦で初めて人体の影響を特集した医学誌になるのではないかと思います.環境問題としてだけでなく,私たち自身の健康に直結する課題として,MNPsを捉え直すきっかけになれば幸いです.
リンクはコメント欄にあります.
【目次】
◆はじめに(下畑享良)
◆総論─MNPsの基礎知識と問題点(芳賀優弥・他)
◆MNPsに含まれる化学物質と毒性(小川久美子・他)
◆MNPsの人体への侵入とその機序(金子昌平・酒井康行)
◆MNPsの表面性状と細胞障害性(辻野博文)
◆MNPsの心血管系への影響(曾和裕之)
◆MNPsの脳梗塞,認知症への影響(下畑享良)
◆大気中MNPsの呼吸器系への影響(和田百合花・石原康宏)
◆環境省のMNPsへの取り組み(環境省水・大気環境局環境管理課,環境省水・大気環境局海洋環境課プラスチック汚染対策室)
#医学のあゆみ #医歯薬出版

・片頭痛の原因分子CGRPの作用部位は「脳」ではなく「硬膜」である――早く治療すべき根拠も判明
**岐阜大学医学部下畑先生の2026年1月11日のFB投稿です**
片頭痛においてカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が重要な役割を果たしていることは広く知られています.CGRPは強力な血管拡張作用を持ち,投与すると片頭痛様の頭痛を誘発することが知られています.例えばCGRPを点滴投与すると,健常者には軽度の頭痛を,片頭痛患者には典型的な片頭痛発作を高率に誘発します.このためCGRPは,片頭痛発作を引き起こす原因分子のひとつと考えられるようになりました.一方で,同じCGRPを動物に投与しても,「痛みのセンサー」として働く末梢侵害受容器(神経),すなわち硬膜を支配する三叉神経のAδ線維とC線維の興奮がほとんど観察されなかったため,「なぜCGRPが頭痛を起こすのか」という機序は長らく不明のままでした.
この問題に取り組んだのが,米国ハーバード大学等の研究チームです.彼らはラットを用い,CGRPを内頸動脈から選択的に投与するという新しい方法によって,硬膜に高濃度のCGRPを届ける実験系を構築しました.従来の腹腔内投与や静脈内投与では,CGRPは全身循環に希釈され,肝臓などで代謝されるため,硬膜の神経終末に十分な濃度で届かなかったと考えられます.今回の研究は,この投与経路の問題を解決することで,これまで否定的とされてきた「CGRPによる末梢侵害受容器の活性化」が実際に起こることを神経生理学的に示すことに成功しました.
研究の結果,内頸動脈からCGRPを投与すると,硬膜を支配する一次ニューロンが活性化し,さらにその入力を受ける上位頸髄背角の二次ニューロンの活動も持続的に増加することが示されました.上位頸髄背角とは,頸髄C1~C2レベルの後角に相当する部位で,三叉神経脊髄路核尾側亜核と連続する構造です.顔面や硬膜からの痛覚入力が最初に中枢で統合される場所であり,ここで感作が成立すると,痛みは末梢入力がなくても中枢で維持される状態へと移行すると考えられています.
重要なのは,CGRPの作用部位が「脳」ではなく「硬膜」であることが実験的に示された点です.図1では,硬膜に局所麻酔薬(リドカイン)をあらかじめ投与しておくと,CGRPを投与しても三叉神経一次ニューロンおよび上位頸髄背角の二次ニューロンのいずれにおいても,神経活動の増加や機械刺激に対する感作がまったく起こらないことが示されています.これは,CGRPがまず硬膜に分布する三叉神経侵害受容線維の末梢終末に作用し,そこから中枢へ向かう痛みのカスケードが開始されることを意味しています.
一方で,図2は時間の要素の重要性を示しています.Aでは,CGRP投与後30分で三叉神経節を局所麻酔で遮断すると神経活動が低下し,この段階では末梢入力が痛みの維持に必須であることが示されています.一方,B,C, Dでは,CGRP投与後1時間,2時間,3時間で同様の遮断を行っても神経活動は低下せず,痛みの駆動が末梢から中枢へと移行していることが示されています.すなわち,痛みは最初は硬膜からの入力に依存して始まりますが,時間の経過とともに中枢回路内で自己維持的に駆動される状態へと移行します.
この知見は,リメゲパントなどのCGRP受容体拮抗薬も発作急性期に使用する場合,トリプタンと同様に,「できるだけ早く治療すべきである」可能性を示唆します.つまり発作初期の末梢依存期に投与することで中枢性感作への移行を防ぎやすい一方,感作が成立した後では効果が限定的になるものと推測されます(リメゲパントの実臨床で,このようなことが言われているのでしょうか?).
いずれにせよ本研究は,片頭痛の開始点が脳内ではなく硬膜であること,そしてその後に中枢性感作へと移行するtime windowが存在することを示した点で,片頭痛の理解を一段階進めたといえます.
Melo-Carrillo A, Strassman A, Burstein R. Elucidating the nociceptive role of CGRP in migraine headache. Brain. 2026 Jan 8:awag008. PMID: 41503630.

・全身疾患としてのパーキンソン病―睡眠と便秘,そして神経炎症に着目し,発症・進行を抑える―
**岐阜大学医学部下畑先生の2026年1月12日のFB投稿です**
パーキンソン病(PD)では,発症よりもはるか以前から全身レベルの異常が生じていると言われています.最近発表された2つの論文は,この見方を強く支持し,PDを全身性・ネットワーク疾患として捉える重要性を浮き彫りにしています.1つは米国の大規模データを用いて睡眠時無呼吸とPD発症の関係を検討した研究であり,もう1つは発症早期PD患者において便秘と神経炎症の関連をPETで可視化した研究です.両者に共通するのは,末梢臓器の機能異常が神経炎症等を介してPDの発症,進行に関与しうるという点です.
最初の論文は米国からの研究で,1100万人以上の退役軍人の電子カルテを用いて閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)とPD発症リスクを解析しています.その結果,OSAを有する人は有さない人に比べてPDを発症しやすく,しかもこのリスクは治療によって修正可能であることが示されました.論文の図1Aでは,OSAのある群はない群に比べて追跡2年後からPDの累積発症率が高くなり,6年後には1000人あたり約1.6人多く発症していることが示されています.図1Bでは,OSAを軽症と重症に分けて比較すると,軽症でもPDリスクは有意に上昇し,重症ではさらに早期からリスクが高まるという重症度依存性が示されています.そして図1Cでは,OSAのある人の中でもCPAPを診断後2年以内に導入した群では,導入しなかった群に比べてPDの累積発症率が明らかに低く,5年後の発症率はCPAPなし群で9.10/1000人,CPAP早期導入群で6.81/1000人であり,約2.3/1000人の絶対リスク低下とハザード比0.69という有意な低下が示されています.つまりOSAがPDの危険因子であるだけでなく,その影響は重症度に依存し,さらに治療によって修正可能であることを示しています.著者らは,OSAは間欠的低酸素,酸化ストレス,炎症反応,ミトコンドリア機能障害といった連鎖が神経炎症を介して神経変性を促進する可能性を考察しています.
もう1つの論文は英国からの研究で,発症早期PD患者27名を対象に,便秘の重症度と神経炎症の関係を,ミクログリア活性化を画像化する11C-PK11195 PETで評価しています.この結果,便秘が強い人ほど前頭葉,側頭葉,頭頂葉,後頭葉を含む広範な脳領域で神経炎症が強いことが示されました.図2では,便秘スコアと脳内炎症の相関が脳表マップとして可視化されています.図で赤い部位ほど「便秘が強い人ほどその部位の炎症が強い」ことを意味しています.とくに眼窩前頭皮質や後頭葉の一部が赤く示され,便秘の重症度とこれらの脳領域の神経炎症が強く結びついていることが示されています.さらに,便秘の重症度は血中のTh1細胞やTh17様Th1細胞の増加,および脳脊髄液リンパ球数の増加とも相関しており,腸管の異常が末梢免疫を活性化し,それが中枢神経系の神経炎症を増悪させている可能性が示唆されています.著者らは,便秘を単なる自律神経症状ではなく,炎症を介して疾患進行に関与する病態因子として捉えるべきであると論じています.私はこの論文を読んでから,PDの便秘治療を意識して強化するようにしました.
つまりPDは脳だけの病気ではなく,睡眠,呼吸,腸管,免疫といった全身のネットワークの破綻として進行する疾患であり,その中心的な媒介として神経炎症が位置づけられる可能性が高いということです.つまり,睡眠時無呼吸や排便といった症状に対して介入することの重要性を示しています.PDの発症や進行を抑えるために,無呼吸はCPAPで治療し,便秘にも今まで以上にコントロールをすることを検討するということだと思います.PD診療はより全身を診ることを意識する時代になるものと思われます.
Neilson LE, et al.Obstructive Sleep Apnea, Positive Airway Pressure, and Implications of Early Treatment in Parkinson Disease.JAMA Neurol.2025.PMID: 41284280
Camacho M, et al.Constipation Is Linked to Neuroinflammation in Early Parkinson’s Disease.Mov Disord.2025.PMID: 41231011.

・すくみ足(freezing of gait)の国際的コンセンサス声明―すり足や小刻み歩行で前に進めない状態もすくみ足である
**岐阜大学医学部下畑先生の2026年1月13日のFB投稿です**
パーキンソン病や進行性核上性麻痺(PSP)におけるすくみ足(freezing of gait;FOG)は,転倒やADL低下の主要な原因でありながら,その定義が曖昧で,研究や臨床で一貫した評価が困難でした.当科でもPSPに対する抗コリン薬のすくみ足に対する効果を検証する医師主導治験を行っていますが,すくみ足の判断に迷う場面が少なからずあり,最近も回診で議論したところでした.今回,Nature Reviews Neurology誌に掲載されたコンセンサス声明は,International Consortium for Freezing of Gait(ICFOG)による国際的合意として,すくみ足の定義と評価法を整理したものです.
重要なポイントは,すくみ足を「有効な一歩を踏み出そうと試みているにもかかわらず,それができない発作性エピソード」と再定義した点にあります.従来の「歩こうとする意図があるにもかかわらず前進が消失する」という定義から,「意図」という主観的概念を排し,観察可能な「試み」に基づいて評価する枠組みに変更しました.また,すくみ足は完全停止に限らず,短く無効なステップや,前進がほとんど得られない歩行も含むと明確化しました.
図1は,すくみ足が単なる「足が止まる現象」ではなく,「無効な歩行が発作的に持続する期間」であることを時間軸で示しています.4つの仮想的なすくみ足エピソードが描かれており,第1エピソードは足の完全停止(core)を伴わず,短く無効なステップのみが連続する型を示しています.第2エピソードは途中に1回のcoreを含みますが,core終了後も無効な歩行が続くため,すくみ足全体は継続します.第3エピソードは1回のcoreでエピソード全体が終了する型を示しており,coreとすくみ足が一致する典型例です.第4エピソードは複数のcoreが1つのすくみ足の中に出現する型を示しており,停止と無効な歩行が交互に現れる型を表しています.つまり,すくみ足には完全に停止するcoreが含まれる場合と含まれない場合があり,coreが複数回出現することもあります.持続時間の点では,coreが終了しても無効な歩行が続く場合には,すくみ足全体は継続すると整理されました(第2エピソード).
図2は,実際の動画解析においてすくみ足がどのように区切られ,分類されるかを示した例です.横軸は時間を表し,その上にすくみ足エピソードがいつ始まり,いつ終わるかが示されています.さらに各エピソードの中で,「足が全く動かない時間(akinetic;A)」と,「足は動くが前に進まない時間(kinetic)」が区別されて表示されています.kineticの中でも,速く小刻みに震えるような動きがある場合はkinetic-trembling(KT),それ以外のすり足様の動きや小さな踏み替えはkinetic-no-trembling(KNT)と分類されます.図では2段目にいつすくみ足があるか,3段目にその特徴,4段目に足の完全停止(core)が示されています.3段目の特徴としては,1回目はKTのみが出現し,2回目はKNTとAが入れ替わりながら持続していることが示されています.また,akinetic型のすくみ足は必ずcoreとして現れますが,逆にcoreが観察されても,それが必ずしもakinetic型とは限らず,coreの前後にすり足様の無効な歩行が続くこともあります.
またfestination(突進現象)についても整理され,歩くテンポがだんだん速くなり,一歩の長さが短くなる型のfestinationはすくみ足に含める一方,バランス異常により前に倒れそうになるのを支えるために足を速く出しているだけの加速は,すくみ足とは区別すべきとされました.
さらに,患者さんのすくみ足の有無を分類する方法も整理されました.自己申告だけに頼るのではなく,薬が効いている状態と切れている状態の両方で実際に歩いてもらい,その様子を評価することで判定の確実性を高めます.その際,診察や動画で一度でもすくみ足が確認されれば「すくみ足あり(definite FOG)」と分類し,どちらの状態でも確認されなければ「すくみ足なし(definite non-FOG)」と判断してよいとされました.
本コンセンサスは,すくみ足を「止まる現象」から「発作性の無効歩行現象」へと概念転換させ,研究,臨床,治験の共通言語を提供しました.つまりすくみ足を「足が止まる現象」と捉えるのではなく,「歩こうとしているのに,有効な歩行ができなくなる状態が発作的に起こる現象」と捉え直したことを意味します.足が完全に止まらなくても,すり足や小刻み歩行で前に進めない状態もすくみ足に含まれる,という考え方への転換になります.
Gilat M,et al.An updated definition of freezing of gait. Nat Rev Neurol. 2026 Jan 9. PMID: 41513745.

・グリアからニューロンへのミトコンドリア移送という驚きの末梢神経保護の仕組み―神経障害性疼痛の機序に迫る―
**岐阜大学医学部下畑先生の2026年1月15日のFB投稿です**
Nature誌に掲載された米国デューク大学からの論文は,後根神経節に存在する衛星グリア細胞(satellite glial cell)が,隣接する感覚ニューロンにミトコンドリアを供給するという,これまで知られていなかった神経保護機構を明らかにしました.
一次感覚ニューロンは非常に長い軸索を持ち,活動電位の発生や維持のために多量のエネルギーを必要とします.そのためミトコンドリアの機能は生命線とも言えますが,細胞体で作られたミトコンドリアを末梢軸索末端まで運ぶことには限界があります.本研究は,この制約を補う仕組みとして,衛星グリア細胞がミトコンドリアをニューロンへ供給している可能性を検証したものです.
著者らはマウスおよびヒトの後根神経節を用いた培養実験,生体内イメージング,電子顕微鏡解析を組み合わせ,衛星グリア細胞とニューロンの間にトンネル状の細い構造,いわゆる tunnelling nanotube が形成され,その内部をミトコンドリアが移動していることを直接示しました.図1bでは,ミトコンドリアを赤色蛍光で標識した衛星グリア細胞と,緑色蛍光で標識された感覚ニューロンを共培養すると,赤いミトコンドリアが細い管状構造を通ってニューロン側に移動していく様子が観察されています.
さらに図1eのマウス後根神経節の走査電子顕微鏡像では,衛星グリア細胞とニューロンを結ぶ極めて細い管状構造が組織内に実在することが示され,その内部に膨隆が存在することから,ミトコンドリアが輸送されていることが形態学的にも裏づけられています.
このミトコンドリア移送は神経損傷モデルにおいて増加することが示されており,著者らはこれを神経障害に対する内因性の代償的・保護的応答の一部と解釈しています.このトンネル構造の形成には MYO10 というモータータンパクが必須であり,衛星グリア細胞に特異的に高発現しています.MYO10を低下させるとトンネル構造が形成されず,ミトコンドリア移送が障害され,その結果として神経は過興奮状態となり,痛覚過敏が生じることが示されました.すなわち【神経障害 → ミトコンドリア供給低下 → 神経過興奮 → 痛み】という病態機序が想定されます.
臨床に当てはめると,糖尿病モデルや抗がん剤パクリタキセルによる末梢神経障害モデルにおいて,衛星グリア細胞とニューロンの間の距離が広がり,トンネル構造が乱れ,MYO10の発現が低下し,ミトコンドリア移送が著しく障害されていました.ヒトの糖尿病患者由来の後根神経節でも同様の変化が確認され,この仕組みの破綻が臨床的な末梢神経障害と深く関係していることが示唆されました.
さらに著者らは,健常なヒト由来衛星グリア細胞,あるいはそれらから単離したミトコンドリアをマウスの後根神経節に直接微量注入することで,糖尿病性神経障害モデルおよび化学療法誘発性神経障害モデルの疼痛行動が有意に改善することを示しました.一方,糖尿病由来の衛星グリア細胞や機能不全のミトコンドリアではこの効果が弱く,MYO10を低下させた衛星グリア細胞では治療効果が消失しました.
図2の模式図は,正常では衛星グリア細胞からニューロンへ MYO10 依存性にミトコンドリアが供給され神経が保護されているのに対し,糖尿病や化学療法ではこの経路が破綻し,その結果として神経障害と疼痛が生じること,そしてこの経路を補うことで治療が可能になることを示しています.
この研究は,末梢神経障害と神経障害性疼痛を,グリアとニューロンの間の協力関係の破綻として再定義するものです.さらに,細胞移植やミトコンドリア移植という新しい治療概念を提示しています.こういう論文を読むと本当にワクワクしますし,神経学の未来を感じます.
Xu J, et al.Mitochondrial transfer from glia to neurons protects against peripheral neuropathy.Nature.2025;PMID: 41501451.

・エビデンス情報が強化された『今日の治療指針2026』の発刊とオススメの使い方
**岐阜大学医学部下畑先生の2026年1月17日のFB投稿です**
このたび『#今日の治療指針 2026(#医学書院)』が発刊され,私は神経・筋疾患領域の責任編集を担当しました.本書の内容と,日常診療でのオススメの使い方をご紹介します.
まず「神経・筋疾患領域」は,大きく4つのパートから構成されています.①最近の動向,②同種薬の特徴と使い分け(認知症治療薬,てんかん治療薬,頭痛治療・予防薬),③治療法(血漿浄化療法,IVIG,ボツリヌス治療,脳神経血管内治療,慢性疼痛のペインコントロール),④疾患各論75項目です.
本書は,日々の臨床で辞書のように必要な項目を引いて使うのが基本ですが,とくに「同種薬の特徴と使い分け」は,処方に迷ったときに非常に有用です.認知症治療薬,てんかん治療薬,頭痛治療薬が一覧表として整理されており,薬剤間の違いを容易に比較できます.また,疾患各論の各項目冒頭にある「ニュートピックス」と「治療のポイント」に目を通すだけでも,最新治療の知識を効率よくアップデートできます.さらに今回,エビデンス情報強化の一環として,主な処方薬について「推奨・エビデンス」を新たに明示しました.
私が執筆を担当した「最近の動向」では,「治療」として多発性硬化症,パーキンソン病,ALS,脳出血,CIDPなど13疾患を取り上げています.加えて「注目の臨床試験」では,片頭痛におけるPACAP抗体,認知症に対する水痘・帯状疱疹ウイルスワクチンの効果を紹介しました.キーワード2026としては「核酸医薬」を解説し,この1年間に発表された主要なガイドラインもまとめています.ぜひ日常診療にご活用ください.
最後になりますが,本書にご執筆くださった多くの先生方に,心より感謝申し上げます!!
★リンクはコメント欄に記載しました.

・NHK「あしたが変わるトリセツショー」に出演します!(1月22日(木)19:30~20:15)
**岐阜大学医学部下畑先生の2026年1月18日のFB投稿です**
標題の番組の「あなたの『しびれ』はどれ? 解消&予防SP」に出演させていただきます.番組では,腱反射やデルマトームを用いた診察の考え方,診断に至るまでのプロセス,「しびれ」を引き起こす代表的な病気とその対応についてお話ししました.さらに,私の「マイハンマー・コレクション」もご覧いただけます(笑).
番組のために制作された「しびれ図鑑(写真)」は,一般の方にとってはもちろん,医療者にとっても参考になる内容かもしれません.収録では,ゲストのいとうあさこさん,ダチョウ倶楽部の肥後克広さんとも楽しくやり取りさせていただきました.
私自身も今回の出演を通して,「しびれ」やデルマトームの歴史について改めて学ぶ機会を得ることができ,大変有意義な経験となりました.
ぜひご覧ください.
放送は1月22日(木)19:30~20:15です.
番組案内へのリンクはコメント欄をご覧ください.

・NHK『#あしたが変わるトリセツショー』で「しびれ」の原因と対策をご紹介しました!
**岐阜大学医学部下畑先生の2026年1月23日のFB投稿です**
1月22日に放送された「あしたが変わるトリセツショー」に出演いたしました.今回のテーマは「あなたの『しびれ』はどれ?解消&予防SP」でしたが,ご覧いただけましたでしょうか.
「しびれ」という症状は,「年のせいだから」「よくあることだから」と見過ごされがちですが,番組でもお伝えしたように,「神経のSOS」であり,その背景で神経のダメージが静かに進行している場合があります.放置せずに原因を考えることが大切です.
番組では,診察方法としびれの成り立ち,予防や対策として,注意すべきポイントや体幹を意識的に使う「ドローイン」の方法についても紹介されています.診察のなかでは私のハンマーコレクションもご覧いただきました.ちなみに斧型のハンマーはあまり見かけない形状ですが,ドイツのシャリテ病院で購入したベルリナー型というものです.
そして,ぜひご活用いただきたいのが,番組内で作成した「#しびれ図鑑」です.しびれの原因や考え方,対策が分かりやすく整理されており,ご自身の症状を理解する手がかりとして有用です.一般のかたはもちろん,医療者にとっても役に立つのではないかと思います.この「しびれ図鑑」は,番組ホームページ下部の「よくあるご質問」コーナーからダウンロードできます(リンクはコメント欄にあります).
日々の健康管理の一助として,ぜひお役立ていただければ幸いです.

・なぜがん患者さんではアルツハイマー病が少ないのか?―腫瘍由来シスタチンCとTREM2が示した新しい道筋―
**岐阜大学医学部下畑先生の2026年1月24日のFB投稿です**
長年にわたり,がんとアルツハイマー病(AD)が同一人物に併存することは稀であるとされており,一方の疾患が他方に対して何らかの防御的効果をもつのではないかという仮説が議論されてきました.疫学的にも,がん既往がAD発症リスク低下と関連する可能性が示唆されてきましたが,その背景にある生物学的機序は不明でした.今回,中国の研究チームは,腫瘍が分泌するシスタチンCが血液脳関門(BBB)を越えてミクログリアを活性化し,アミロイドβ(Aβ)プラークを減らしうる,という機序をマウスで提示しています.
著者らはADモデルマウスに,ヒト由来の腫瘍(肺がん,前立腺がん,結腸がん)を移植してがん状態にすると,脳内のプラーク形成が抑えられ,認知機能も改善する,という現象をまず確認しました.次に,腫瘍細胞が分泌する多様なタンパク質のうち,BBBを越えて脳内に到達しうる候補を絞り込んだ結果,シスタチンC(Cyst-C)を同定しました.そして腫瘍由来Cyst-CがAβ凝集体,とくに毒性が高いとされるAβオリゴマーに結合し,ミクログリア表面受容体TREM2を介してミクログリアを活性化させ,プラークを取り込み,細胞内で分解へ導くという一連の流れが示されました.著者らは,この効果がTREM2依存性であることを検証しています.具体的には,ミクログリア特異的なTREM2欠損(Cx3cr1による細胞型特異的欠損)では効果が消失し,ヒトでADリスク上昇と関連するTREM2のR47H変異を導入した場合も,TREM2の応答性が低下するため,ミクログリア活性化が十分に起こらず,プラーク減少などの効果は同様に認められません.さらに,Cyst-CにL68Q変異を導入して機能を低下させると,Aβオリゴマーへの結合やTREM2活性化が十分に起こらず,プラーク分解促進などの効果は消失しました.
図は,この機序を3段階で視覚化しています.まず腫瘍細胞(紫)からCyst-C(緑)が分泌され,BBBを通過して脳へ到達します.次にCyst-CがAβオリゴマー(赤紫)に結合し,その複合体がミクログリア表面のTREM2(青)に関与してミクログリアを「Inactive」から「Active」へ切り替えます.最後に活性化したミクログリアがAβを取り込み,細胞内(図ではエンドソーム)で断片化して分解へ導き,結果としてAβプラークが減少する,という流れです.つまり,少なくともこのモデルでは,がんはAβの産生を抑制するのではなく,「すでに存在するプラークを分解する」ということです.
この研究の最も大きな臨床的意義は,末梢臓器のがんが,分泌因子を介して脳内免疫に影響を与えるというcancer neuroscience的な視点が,ADの治療可能性につながるかもしれないという点です.ただしTREM2経路はすでに創薬標的として注目され,活性化分子の臨床試験も進んでいる一方で,現時点では結果が一様ではありません.これは病期などを考慮したより精密な臨床試験デザインの必要性を示しているのかも知れません.
もちろん,本研究は主としてマウスモデルでの検証であり,ヒトにおいて同等の現象がどの条件で再現されるかは未確定です.疫学的検討も,がんで先に亡くなること,抗がん治療に伴う認知障害がAD診断を複雑にすることなど交絡が多く,単純には結論できません.それでもなお,「腫瘍が分泌するCyst-Cという末梢因子が,脳内でAβ凝集体とミクログリアTREM2をつなぎ,既存プラーク分解を促進する」という仮説は,AD治療を発展させるかもしれないという期待をもたらすものだと思いました.
Li X,et al.Peripheral cancer attenuates amyloid pathology in Alzheimer’s disease via cystatin-c activation of TREM2.Cell.2026年1月22日(リンクはコメント欄).

・自己免疫性小脳失調症の新規抗体TMEM132A抗体を同定しました!
**岐阜大学医学部下畑先生の2026年1月26日のFB投稿です**
最近,抗体関連神経疾患(自己免疫性脳炎および傍腫瘍性神経症候群)1,140例を検討したオランダの後ろ向き観察研究で,運動異常症は全体の42%に認められ,最も多いものは小脳性運動失調(51%)であったと報告されています(PMID: 41270249).よって孤発性の小脳性運動失調症では抗体関連神経疾患は重要な鑑別診断の一つと考えられます.このような抗小脳抗体は少なくとも31種類同定されていますが,当科の検討ではこれら既知の抗小脳抗体が検出されないものの,免疫組織化学(ラット脳切片)では未知の抗小脳抗体の存在が示唆され,かつ免疫療法が有効な小脳性運動失調症患者が少なからず存在します.その診断の鍵のひとつとなるのが抗小脳抗体の同定です.
今回,当科の木村暁夫先生を中心とする研究グループは,自己免疫性小脳失調症に関連する新たな自己抗体として,TMEM132A(transmembrane protein family 132A)に対するIgG抗体を同定し,その臨床的特徴を報告しました.本研究は,生理学研究所,名古屋大学,秋田大学,山梨大学,北海道大学といった複数の施設との共同研究として行いました.当科では新たな抗小脳抗体を発見し,治療可能な症例を見出すことを重要な達成目標として取り組んできましたが,その最初の報告となります.
研究の出発点となったのは,原因不明の小脳性運動失調患者1例の血清が,ラット脳組織に対して特徴的な免疫染色パターンを示したことでした.この患者血清IgGは,小脳分子層のニューロピルや顆粒細胞層の顆粒(図1A,C),さらに海馬の顆粒細胞および錐体細胞と強く反応しました(図1B).つまり,「小脳優位だが,小脳に限局しない神経細胞表面抗原」が標的となっている可能性を強く示唆します.さらに,培養ラット海馬神経細胞を用いた解析では,生細胞の細胞表面に患者IgGが結合することが確認され(図1D),抗体が細胞内抗原ではなく,病原性を持ち得る細胞表面抗原を認識している点が重要です.図1Eの後半には,約150 kDaの蛋白バンドが患者血清によって特異的に免疫沈降されている様子が示されており,本抗体が偶発的な反応ではなく,分子レベルで同定された新規自己抗体であることを視覚的に裏付けています.
さらに,cell-based assayシステムを構築し,TMEM132A抗体の特異性を検討しました.その結果,436例の小脳性運動失調症患者のうち2例でTMEM132A-IgGが検出され,自己免疫性脳炎,多系統萎縮症,多発性硬化症,NMOSD,パーキンソン病,MOG抗体関連疾患,健常対照では一切検出されませんでした.このことから,TMEM132A-IgGは小脳性運動失調症に比較的特異的な自己抗体である可能性が示されました.
抗体陽性の2例はいずれも,進行性の小脳性運動失調を主徴とし,錐体路徴候を合併していました.脳脊髄液検査では蛋白上昇(細胞数正常)が認められ,1例ではオリゴクローナルバンド陽性でした.画像所見として注目されるのが図2です.1例では小脳萎縮が認められ,もう1例では両側下オリーブ核のT2高信号および仮性肥大を認めました.これは歯状核―赤核―下オリーブ核を結ぶMollaret三角の二次性変化(trans-synaptic degeneration)を反映する所見であり,小脳変性だけでは説明しにくい病態が存在することを示唆しています.
免疫学的には,TMEM132A-IgGのサブクラスに多様性が認められ,1例はIgG4優位,もう1例はIgG3優位でした.IgG4関連自己免疫疾患では,病気の初期には炎症を起こしやすいIgG1やIgG3が主体で,病気が長引くにつれてIgG4が増えてくることが知られています.この現象は「サブクラススイッチ」と呼ばれ,免疫反応の性質が時間とともに変化していることを意味します.本研究で,TMEM132A抗体がIgG3優位の症例とIgG4優位の症例に分かれていたことは,患者ごとに病気の時期や免疫反応の段階が異なっていた可能性を示唆しています.つまり,同じTMEM132A抗体でも,発症早期か慢性期かによって抗体の性質が変わっているのかもしれない,という解釈になります.ただし,TMEM132A-IgGが直接的に神経障害を引き起こす病原性抗体であるかどうかについては,現時点では結論づけられていません.
ちなみにTMEM132Aは,小脳を含む中枢神経系に強く発現する膜タンパク質で,小胞体・ゴルジ体から形質細胞膜表面へ移行します.細胞外には免疫グロブリン様ドメインを持ち,細胞接着因子として機能する可能性があります.機能的には,Wnt/β-cateninシグナルをはじめとする細胞内シグナル調節に関与し,細胞の増殖・分化・生存に影響を与えます.遺伝子改変マウスでは,二分脊椎や尾部欠損などの発生異常が報告されており,TMEM132Aが神経発生と維持に重要な役割を担う分子であることが示唆されています.
本研究は症例数が2例と少なく,免疫療法の有効性を前向きに検証できていないという限界はあります.しかし論文投稿後,さらに4例の追加症例を確認しています.今後,さらに多数例での検討が必要ですが,本抗体は自己免疫性小脳失調症の重要な抗体のひとつになる可能性があります.
★論文は50日間(3月11日まで),下記のリンクより無料でダウンロード可能です.
Kimura A, Takekoshi A, Miyazaki Y, Oh-Hashi K, Kamada S, Taguchi Y, Sugawara M, Watanabe T, Ueno Y, Yaguchi H, Yabe I, Fukata Y, Fukata M, Shimohata T. TMEM132A autoimmunity in patients with suspected autoimmune cerebellar ataxia. J Neuroimmunol. 2026 Jan 14;413:578867. PMID: 41564469.
論文へのリンク
https://authors.elsevier.com/c/1mTlJbfPjUciV

・IgLON5抗体関連疾患は,なんと「核」から始まる!! ― 抗体の神経細胞への結合が核内タウ異常を引き起こす
**岐阜大学医学部下畑先生の2026年1月28日のFB投稿です**
IgLON5抗体関連疾患は,自己免疫性脳炎と神経変性疾患の境界に位置づけられる,稀ながらきわめて重要な神経疾患です.IgLON5抗体が存在し,臨床的には球麻痺,REMおよびnon-REMパラソムニア,進行性核上性麻痺(PSP)や多系統萎縮症(MSA)様の運動障害,自律神経障害,認知機能障害など多彩な症状を呈します.診断が遅れやすく,治療開始が遅延すると予後不良となることが知られており,さらに本症がタウオパチーでもあることから,その病態解明は神経学における重要な課題の一つです.
今回紹介する論文は,オーストリア・ウィーン医科大学を中心とする欧州多施設共同研究であり,IgLON5抗体関連疾患におけるタウ病理がどのように始まり,どのような順序で進行するのかを,剖検脳と培養細胞の両面から詳細に解析したものです.
著者らは,罹病期間6~180か月の剖検例14例を対象に,延髄を中心とした免疫組織化学解析を行い,PSP様症例および対照例を比較しました.本研究の特徴は,従来のAT8抗体に依存した評価にとどまらず,表に示される13種類の抗タウ抗体を用いて,タウ蛋白の翻訳後修飾を包括的かつ徹底的に解析した点にあります.これにより,タウ病理の「存在」だけでなく,「どの分子変化が,どの順序で出現するのか」という時間軸が初めて明確に描き出されました.
その結果,IgLON5抗体関連疾患において最も早期に出現するタウ異常は,従来広く用いられてきたAT8抗体で検出される細胞質タウではなく,Ser422リン酸化タウ(pTauS422)であることが明らかになりました.しかもこのpTauS422は,神経細胞の細胞質ではなく,核内に局在する!という予想外の特徴を示していました.従来,タウ病理は細胞質や神経突起に蓄積するものと考えられてきましたが,本症では神経変性の最初の舞台が「核」である可能性が示されたのです.
この点を最も分かりやすく示しているのが,Brain誌のX(旧Twitter)で紹介された図です.延髄の神経細胞では,核の輪郭が滑らかさを失い,波状に歪んだ形態を呈していました.これはLamin B1染色により可視化された核膜の陥入やcrenellation(城壁の胸壁のようなギザギザを意味する)と呼ばれる変形であり,AT8ではほとんどタウ沈着が認められない,病理学的に最も早期の段階から出現していました.
さらに,IgLON5抗体を添加したラット海馬神経細胞培養でも,同様の核膜異常が再現されており,自己抗体そのものが神経細胞核に直接的な障害を与え得ることが示されています.加えて重要なのは,神経細胞表面にIgG4,すなわちIgLON5抗体が結合している細胞に限って,その核内に最初のタウ異常であるpTauS422が出現していた点です.これは,抗体が神経細胞に結合すること自体が,核内タウ異常を引き起こす引き金となっている可能性を強く示唆します.
一方,病期が進行すると,AT8,AT180,PHF-1などで検出される細胞質タウや神経突起内タウが増加し,さらに後期には4Rタウに加えて一部3Rタウやタウのアセチル化も認められるようになります.これらの変化は,表に示す抗体を用いた解析によって一貫した時間依存的進行として示されており,本症が免疫機序を起点として進行するタウオパチーであることを分子レベルで裏付けています.
また,本研究ではCD8陽性T細胞の浸潤についても検討されていますが,本症とPSPとの間に大きな差は認められませんでした.この結果は,IgLON5抗体関連疾患の病態形成において,細胞性免疫よりも液性免疫が中心的役割を果たしている可能性を支持するものです.
本研究は,IgLON5抗体関連疾患が,自己免疫を起点として神経細胞核の障害が生じ,その後に不可逆的なタウ蓄積と神経変性へと進展する疾患であることを明確に示しました.とくに重要なのは,AT8陰性であっても核内pTauS422や核膜異常がすでに存在するという点です.これは,「AT8陰性=タウ病理なし」という従来の前提では,治療可能な初期病変を見逃してしまう可能性があることを意味します.本研究の知見は,IgLON5抗体関連疾患にとどまらず,アルツハイマー病を含む他のタウオパチーの初期病態を考えるうえでも,大きな示唆を与えるのではないかと思いました.
Reinecke R, et al. Brainstem pathology in anti-IgLON5 disease: new insights into early events and tau progression. Brain. 2026 Jan 17: awag015. PMID: 41544664.

 

3. 特別企画:AIに訊く
(第1回)CES2026での「ヘルスケア分野」「PW関連」発表についてAIに訊く。
**AIの回答は全てが正しいとは限りません。が、AIは大いに便利です。回答の真偽判定は、必要とあれば、読者ご自身で検証下さい**

3-1)「ヘルスケア分野」の発表についてのCopilotとの会話(2026年1月8日実施)
Q1;ラスベガスで開催されているCES2026で発表されたヘルスケア分野での注目すべき発表を教えてください。
A1;CES 2026 のヘルスケア分野では、AI・非接触センシング・女性の健康・メンタルケアといったテーマが特に大きく進化しており、医療の未来を示す革新的な発表が多数登場しています。以下に、信頼できる情報源に基づき、注目ポイントをわかりやすく整理して紹介します。

🌐 CES 2026 ヘルスケア分野の注目発表まとめ
(1)AI × バーチャルツインによる認知症・アルツハイマーケア革命
ダッソー・システムズ(Dassault Systèmes)が、 AI・バーチャルツイン・リアルタイムセンシングを融合した次世代の「ヘルスケア・オペレーティング・システム」を発表。
主なポイント
• 患者のバーチャルツインを作成し、診断・治療・研究を仮想空間で実行
• 認知症・アルツハイマー病の進行予測や個別化医療を強化
• 没入型展示「Step Inside Alzheimer’s」で体験可能
→ 医療機関中心から“患者中心”の医療へと大きくシフトする象徴的発表。

(2)非接触・非侵襲の健康モニタリング技術が進化
韓国 DolbomDream の Carearly が注目。
特徴
• ベッドに設置するだけで心拍・呼吸・動き・転倒を常時モニタリング
• 独自の Pneumatic Ballistocardiography(P-BCG) 技術で 最大98%の精度
• 皮膚接触不要で高齢者ケアや在宅医療に最適
→ 高齢化社会に向けた“見守りテクノロジー”の新基準。

(3)女性の健康(FemTech)が大きく存在感を発揮
Euronews が紹介した注目製品:
代表例
• スマート月経パッド
o 体調データをリアルタイムで取得し、周期管理や健康分析に活用
• アレルギー対策デバイス
• LED 美容マスク(肌状態に応じて光を最適化)
→ 女性の健康を可視化し、セルフケアを高度化する製品が多数登場。

(4)メンタルヘルス × テクノロジーの新潮流
Euronews が紹介した “メンタルヘルスポッド” が話題。
特徴
• ゼログラビティ姿勢でリラクゼーション
• マッサージ+自然音で深いリラックスを誘導
• ストレス軽減やメンタルケアを目的とした新しい体験型デバイス
→ メンタルヘルスを“体験型テクノロジー”で支援する新しいアプローチ。

(5)ウェアラブル & パーソナルヘルスの進化
ZDNET の現地レポートでは、以下のような新型ウェアラブルが多数紹介:
トレンド
• より精度の高いバイタル測定
• ランニング・睡眠・ストレス管理の高度化
• 生活習慣病予防を目的とした AI コーチング機能
→ “健康の自己管理”を支えるウェアラブルがさらに進化。

(6)デジタルヘルスサミットの拡大(AI・女性の健康・ウェアラブル)
CES 公式サイトによると、2026年はデジタルヘルスプログラムが大幅に拡大。
注目テーマ
• AI による精密医療
• 女性の健康
• 次世代ウェアラブル
• テレヘルスの進化
必要であれば、分野別の深掘り解説や、日本市場への影響予測もまとめます。どの分野に興味がありますか?

Q2;日本市場への影響予測を教えてください。
A2;日本市場への影響を考えると、CES 2026 のヘルスケア系トレンドは「日本の課題(超高齢社会・医療人材不足・女性の健康ニーズ・医療費抑制)」にかなり直結しています。ここから数年の日本のデジタルヘルスの方向性をかなり左右する内容です。

全体像:日本で起こりそうな大きな変化
• 在宅・遠隔モニタリングが一気に“当たり前の選択肢”になる
• AI を前提にした医療・介護サービス設計が加速
• FemTech(女性の健康)とメンタルケアが明確な成長市場として位置づけられる
• 「機器を売る」から「データ+サービスを継続課金で売る」ビジネスへシフト

日本のデジタルヘルス市場は、すでに 2024–2029 年で年平均成長率約 8.8% と予測されており、2029 年には約 126.5 億ドル規模になる見込みです。 CES で出てきた技術は、この成長を単に「加速」させるだけでなく、どの分野にお金と人が集まるかを方向づけるイメージに近いです。

(1)非接触・在宅モニタリング:高齢者ケアの“新標準”候補
影響が一番強いのはここです。
• 在宅介護・施設介護向けの見守りソリューション需要が急拡大
o 日本は世界一の高齢化国家で、80歳以上が人口の 1/10 超と言われる状況です。
o ベッド下に敷くだけ・センサーを置くだけで心拍・呼吸・転倒を検知するような技術は、 「人手不足を技術で埋める」現場ニーズに直撃します。
• 介護施設・病院での人員配置の見直し
o 夜勤帯の見回り回数を減らしつつ、異常はむしろ早く検知できるようになる。
o これにより「人がやる仕事」と「センサーに任せる仕事」の線引きが明確になっていく。
• 在宅医療・訪問看護との連携
o センサーからのデータがクラウドに集約され、訪問前に状態を把握して効率的な訪問計画が可能に。
o 日本で進んでいる遠隔モニタリングやデジタル療法の流れとも相性が良いです。
日本では、デジタルヘルスは「高齢社会の打開策」として位置づけられつつあり、リモートモニタリングは特に有望分野と分析されています。

(2)AI・バーチャルツイン医療:病院経営と製薬・研究側に大きなインパクト
• 病院向け:AI を活用した診断支援・治療計画のシステム導入が進む
o 日本は患者数増加と医師不足が並行して進んでおり、「医師の負担軽減+アウトカム向上」のために AI 支援は避けられない流れ。
o バーチャルツイン的な「患者デジタルモデル」による治療シミュレーションは、がん・循環器・脳神経領域などで特に関心を集めそうです。
• 製薬・医療機器メーカー:治験や製品設計プロセスのデジタル化
o シミュレーションやデジタルツインを活用した試験は、コスト削減・開発期間短縮に直結。
• 規制との距離はまだあるが、“方向性”としては既に折り込み済み
o 日本では Software as a Medical Device(SaMD)など、ソフトウェア医療機器の活用が今まさに拡大段階。
o CES 発の AI ソリューションは、そのまま入ってくるというより、 「日本ローカルの規制や医療慣行に合わせた再設計」が必要になります。

(3)FemTech:日本の「見えていなかった巨大市場」を掘り起こす
• 市場としてのポテンシャルはかなり大きい
o 日本の FemTech 市場は、2026–2033 年にかけて中長期で成長が見込まれており、 AI を活用したパーソナライズ健康管理が重要テーマになると分析されています。
• 具体的な変化の方向性
o スマート月経パッド、周期・PMS 管理アプリ、妊活・更年期サポートなどの連携が進む。
o 「月経=体調データ」として扱う文化が浸透すると、産業側もデータ連携を前提にしたサービス設計を進めざるを得ない。
• 日本特有のポイント
o 職場での健康経営・女性活躍の文脈(生理・更年期のオープンな取り扱い)が FemTech 導入を後押しする可能性が高い。
o 一方で、デリケート情報であるため、プライバシー・データ管理に対する不信感をどう解くかが鍵。

(4)メンタルヘルステック:企業・学校・自宅向けに静かに浸透
• ストレス社会の日本と親和性が高い領域
o 日本ではメンタルヘルス不調が大きな社会問題になっており、デジタルヘルスの重点領域の一つです。
• どこから広がりそうか
o 企業の福利厚生:リラクゼーションポッド、バイタル連動ストレスモニタリング、セルフケアアプリなど。
o 学校・大学:集中力向上やストレス軽減を目的としたデバイス・アプリ。
o 高齢者:孤立感・不安感を減らすためのインタラクティブなメンタルケアデバイス。
• ポイント
o 医療行為ではなく「ウェルネス」寄りの領域から浸透しやすい。
o ただし、メンタルヘルスは効果検証や安全性の担保が重要で、 真面目にやる企業ほど医療機関との連携やエビデンスづくりが必要になる段階に入ります。

(5)ビジネスモデルとプレイヤー構図の変化
• ハード単体販売から「サブスク+データサービス」へ
o センサーやウェアラブルは単体よりも、「月額でアプリ・解析・リモート相談がセット」の形が主流になりやすい。
• 日本企業にとってのチャンス
o 高齢者・介護・地域包括ケアなど、日本特有の文脈に最適化した 「ローカル仕様のソフトウェア・サービス」で差別化しやすい。
• 海外スタートアップとの関係
o そのまま日本に持ち込むというより「共同開発・ローカライズ」が現実的。
o 日本側は規制対応・医療機関ネットワーク・販売チャネルを提供し、 海外側はコア技術を提供する形が増えそうです。

(6)日本市場で“本当に起こりそうなこと”をざっくり予測
・2026–2028年ごろ
o 介護施設・病院での非接触見守りシステム導入が加速
o FemTech・メンタルヘルス系 B2C サービスがアプリストア・家電量販店を通じて拡大
o 一部の先進病院が AI 診断支援・バーチャルツイン的ソリューションを試験導入
・2028–2030年ごろ
o 在宅モニタリング+遠隔診療が高齢者向け標準オプションの一つに
o FemTech が「ヘルスケアの一分野」として当たり前に語られる
o 保険会社・自治体がデジタルヘルスデータを活用した予防施策を本格展開

もしあなたが日本でこの領域に関わっている(or 関わろうとしている)なら、
• 高齢者向け在宅モニタリング
• 女性の健康データ活用(FemTech)
• メンタルウェルネス × デジタル
このあたりは、ここ数年で「必ず波が来る」ゾーンです。 興味があるのは、医療機関寄り・介護寄り・B2C アプリ寄り・企業向け福利厚生など、どのあたりですか? そこに絞って、もう少し具体的なビジネスやキャリアの話にも落とし込めます。

3-2)「PW関連」発表についてのCopilotとの会話(2026年1月10日実施)
Q1;一昨日に続けて、CES2026について訊きたい。高齢者の健康増進や歩行のリハビリに取り入れられているポールウォーキングを実践する際に役立ちそうな内容の発表と、ポールウォーキングを指導する際に役立ちそうな内容の発表があれば教えてください。
A1;以下は CES 2026 の公式発表・現地レポート(検索結果)に基づき、 ①ポールウォーキングを実践する高齢者に役立つ発表 と ②ポールウォーキングを指導する専門家に役立つ発表 を “実際に CES2026 で報じられた技術” に限定して整理した内容です。

結論(要点)
CES 2026 では「歩行アシスト」「歩行解析」「高齢者のモビリティ支援」に関する発表が非常に多く、ポールウォーキングの実践・指導の両方に応用できる技術が複数登場しました。特に、歩行を補助するウェアラブルロボット(WIM S、Dephy Sidekick、Sumbu Exo-S3)や、AI による歩行データ解析技術は、ポールウォーキングの効果測定や安全性向上に直結します。

🧓① ポールウォーキングを実践する高齢者に役立つ CES2026 技術
(1)歩行アシストウェアラブル(WIM S / WIM KIDS)
• WIRobotics の歩行アシストロボット「WIM S」 が CES2026 で実機デモを実施
• 足腰の弱い高齢者の歩行を補助し、歩幅・安定性を改善
• ポールウォーキングの「姿勢を保つ」「歩幅を広げる」効果と相性が良い
→ ポールウォーキングの“補助具”として活用可能。
(2)Dephy「Sidekick」:歩行を軽くするロボティックアシスト
• PCMag が紹介した Dephy Sidekick は、 歩くたびにかかとを持ち上げてくれる“歩行アシスト外骨格”
• 高齢者の疲労軽減、歩行距離の延伸に効果
• ポールウォーキングの「長く歩く」「坂道を歩く」際に負担を軽減
→ 下肢筋力が弱い高齢者の歩行継続をサポート。
(3)Sumbu Exo-S3:日常生活向けの軽量エクソスケルトン
• Sumbu の Exo-S3 シリーズ は「日常生活で使える軽量 AI エクソスケルトン」
• 不整地(砂利道・坂道)でも歩行を安定化
• ポールウォーキングの屋外活動に最適
→ 転倒リスクの高い高齢者の安全性向上に寄与。

🧑‍🏫② ポールウォーキングを指導する際に役立つ CES2026 技術
(1)AI × 歩行解析(Exoskeleton 各社のデータ機能)
CES2026 の歩行アシストロボットは、 歩行データ(歩幅・速度・左右差・荷重)をリアルタイムで取得できる機能 を搭載しているものが多い。
例:
• WIM S:歩行パターンの補助とデータ取得
• Dephy Sidekick:歩行の力学データを取得可能
→ ポールウォーキングのフォーム指導に科学的根拠を追加できる。
(2)Xtand:AI によるリハビリ・スポーツ向け動作解析
• Xtand の AI エクソスケルトンは リハビリ・スポーツ向けの動作解析 を強調
• 関節負荷・姿勢・動作効率を可視化
→ ポールウォーキングの「正しい姿勢」「腕振り」「荷重移動」をデータで指導可能。
(3)Assistive Technology(Mobility Management レポート)
Mobility Management の CES2026 レポートでは、 高齢者のモビリティ支援技術が多数紹介
内容例:
• 歩行補助デバイス
• バランス支援
• リハビリ向けウェアラブル
• 高齢者の安全歩行を支援する IoT
→ ポールウォーキング教室での安全管理・リスク評価に応用可能。
🔍 まとめ
CES2026 の歩行アシスト・エクソスケルトン技術は、 ポールウォーキングの「実践」と「指導」の両方に直接応用できる内容が非常に多い ことがわかりました。
特に:
• 歩行を補助するロボット(WIM S / Sidekick)
• AI による歩行解析(Xtand など)
• 高齢者モビリティ支援技術(Assistive Tech)
これらは、ポールウォーキングの効果を高め、 安全性・継続性・指導の質を向上させる強力なツールになります。

必要であれば、 「ポールウォーキング教室で実際にどう活用できるか」 「高齢者の歩行能力別にどの技術が適しているか」 など、さらに具体的な提案もできます。

関連情報
「ロボティクスに ChatGPT の時代が到来しつつある」とは、NVIDIA の創業者/CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) が昨年のCES2025で語った言葉ですが、CES2026
は正に『フィジカルAI』時代の到来を告げるものとなっています。ロボット工学分野における「ゲームチェンジャー」と呼ばれるプラットフォーム『NVIDIA Cosmos™ 』のニュースは、「2025年1月のニュース」で取り上げています。

(作成者)峯岸 瑛(みねぎし あきら)

カテゴリー
AI活用法 APOEε4 COVID-19 IgLON5抗体関連疾患 Long COVID アルツハイマー病 アルツハイマー病診断 医療AI 棘状アストロサイト 歩数 臓器の老化 髄膜の機能

2025年8月のニュース

「健康長寿を目指すのであれば、歩数(+中強度活動15~20分)の確保に加え、脳や免疫系の若さを保つこと!」
今月の関連学術ニュースは、歩数と健康リスク、臓器の老化と健康リスクについての最新の研究成果の紹介と岐阜大学医学部下畑先生からの最新医学情報です。

1.2025年8月の活動状況
田村 芙美子さんの投稿
8/1 今日から8月「葉月」。「葉落月(はおちづき)」が転じて「葉月」といわれるそう。 今朝はまさに葉が散る秋のように涼しく(朝だけ)、ネッククーラーは不要かとoffにしたまま首にかけて出掛けました(事件はコメ欄)。渋谷教室では、夕べのzoomのポールを持った場合、持たない場合の歩幅をチェックしてみました。皆さんに前回練習したローリング歩行(!)で歩いて貰いました。ポール有の方が全員歩幅広くなりました。平均4cmも!膝が人工関節の方もポールがあると安心して踏み出せるとの感想でした。ヨシ!

スマイルチームさんの投稿
スマイルチーム8月恒例 日本赤十字社 救急法短期講習  胸骨圧迫➕AEDセミナー 今年も多くの学びを得ることができました。 セミナーの目的 #人命を助ける #自分にできることは何か?を知ることができる #家族を守るためにできること #遭遇してしまった時にできるようにしておく 等々 訓練は本当に大事。 毎年受講してても毎年学びがある。 講師の先生ありがとうございました。 受講された皆さん *教科書を見直しておきましょう *AEDが家の近所のどこにあるか知っておきましょう *今いる場所を説明できる目印があることを常に気にしておきましょう(電信柱 目印になる建物等) *外出の際は身分がわかるものを必ず持ち歩きましょう お疲れ様でした。 また来年ね。 動画は改めて投稿します。 #スマイルチーム #健康普及活動 #日本赤十字社 #救急法短期講習 #胸骨圧迫 #AED #松田直樹を忘れない 松田直樹は2011サッカー練習中に倒れ8/4にその若い命は空へ。そこにはAEDがありませんでした。もしそこに AEDがあったなら、マツは今でもピッチの上を走り回っていたかもしれません。 #記録 #20250801

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 8/3PW駒場例会〜 8/1長野県の男女健康寿命No,1の発表も有り、暑さに負けず集まったP-Walkerの皆さん❗️ 公園〜牧場といつもの木陰や並木道の闊歩集団でした。 隣は熱を逃れての水浴び集団〜ww

田村 芙美子さんの投稿
8/6 朝8時15分 広島からの中継を観ました。小学生と県知事さんのお話は胸を打ちました。それにしても現地は暑かったでしょう。午前中の北鎌倉町内会公会堂はクラーで涼しく快適な運動空間でした。が、1歩外に出るとサウナ状態。異常なくらいの陽射しと気温にメンバー皆さんの往復道中が心配になりました。来週はお盆休み。

杉浦 伸郎さんの投稿
鶴岡八幡宮ぼんぼり祭り。 鎌倉にゆかりのある著名人の書画がぼんぼりに仕立てられ、参道に並びます。夕刻になると明かりが灯され幻想的な空間が広がります。 それにしても年々暑くなっていますね。この先が思いやられます。 皆さん、Stay cool!

田村 芙美子さんの投稿
8/8 立秋翌朝の秋の風に吹かれて湘南ライン(小金井行き)で渋谷まで。渋谷も思ったより爽やかな風で、スタジオの冷房は寒く感じるほどでした。 今日はフレイル予防の運動を中心にお盆休みにトレーニングして頂きたい2種のテーマを練習して解散。お昼から所用で三軒茶屋へ移動し夕方帰鎌しました。ネッククーラーのお陰かアマゾン熱を感じない1日でした。 数年手をつけなかったブロック塀をいよいよ解体の見積り2ヵ所依頼しました。塀は透け透けで中が見える方が安全?!地震等で倒壊すると通行人に危険ということで鎌倉市では以前から取り壊すようにとのお触れが出ています。

スマイルチームさんの投稿
スマイルリズムエクササイズ上鶴間 20250808 この日の最高齢は88歳🤩

校條 諭さんの投稿
真夏の気まポ(気ままにポール歩き) 午後6時に集合して、主に住宅地のコース(いつもより短い約4km)を2本のポールで歩きました。 集合時点の気温29度(たぶん)。もう少し風があってほしかったですが、快適に歩けました。 JR荻窪駅西口→すずらん通り→天祖神社・神明中学→杉並公会堂→衛生病院(東京衛生アドベンチスト病院)→教会通り→ダナン町 大半の人は後方押し出しスタイル(4点駆動)のノルディックウォーキング、足を痛めて“リハビリ”中の人は4点支持のポールウォーキング。 ベトナム中部料理の「ダナン町」でカンパイしました。

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
🎉 台灣健走杖運動推廣協會 🤝 志工服務隊 📅 2025年3月 正式成立! 我們熱愛健走杖 👣 我們相信健康與公益可以一起走 💪 現在,誠摯邀請你加入我們的行列, 一起用行動支持協會活動、推廣健走杖運動, 服務社區、幫助更多需要的人!🌿 📌 歡迎大家 一起來!

柳澤 光宏さんの投稿
昨日は佐久市の花火大会。雨降らずに良かった!この花火大会は真上に上がるので、河原に寝そべって見るぐらいです。間近に花火を体感できる田舎ならではの花火大会でお勧めです(⁠^⁠^⁠) 今日は送り盆を済ませ会社で一仕事。なかなか進まない。言語化って難しい(⁠T⁠T⁠) 長女も帰省してきて賑やかな夏休みでした。今年はゴルフに行かず、家族で一泊二日エクシブ蓼科へ!ホテルから誕生月とのことでサプライズ。お休みも終了ですね〜。

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 「虚空蔵山PW散策」 お盆休みの最終日は道の駅「ヘルシーテラス佐久南」駐車場をお借りし、見晴らし展望台を目指しての里山巡り❗️ 50名越えの参加者(遠くは飯綱町より参加)で熊🐻注意⚠️⚠️⚠️の看板横目にの闊歩でした‼️

佐藤珠美さんの投稿
8月19日一本柳ウォーキング倶楽部 今回から活動日が火曜日になりました。 佐久市の予想最高気温35℃🥵 そんな日は迷わず、県立武道館へ移動です🚗 会員さんと共に Japanese Walkingの言葉の意味を噛み締めました。

田村 芙美子さんの投稿
8/20 朝の鎌倉駅ホームは風が涼しく気持ち良く外出できました。北鎌倉まで1駅を歩かず熱中症を避け シニアは電車に乗ります。北鎌沿線の尾根岩盤前をポールウォーキングで市場公会堂へ。万博に行ってきたメンバーサンからお土産話!

遠藤 恵子さんの投稿
介護予防運動教室⇒今から加圧トレーニングセッション✨ 50代からの体づくりは “美しく・しなやかに”がテーマ!! 短時間・低負荷で効率的に、 筋力アップ・代謝UP・美姿勢へ!! 年齢を理由に諦めない! 今がいちばん輝く自分をつくりましょう🌸

田村 芙美子さんの投稿
8/22 明日は24節季の処暑、暑さの峠を越した頃といいますが まだまだ暫く峠の上に滞在しているようです。お盆休みを挟んで2週間ぶりに渋谷の皆さんと室内ポールウォーキング。今日は会館の非常階段を利用して 階段昇降とステップエクササイズを2種。階段室は冷房がないので南国🌴トレーニング状態でした☀️😵💦毎日続けると良い筋トレになりますね。いつまでも自分の脚で歩けるように。

遠藤 恵子さんの投稿
本日‼️ 【ポールウォーキングベーシックコーチ資格取得講座】開催です! #ポールウォーキング #ポールウォーキングベーシックコーチ #資格取得講座 #福岡県

佐藤珠美さんの投稿
8月23日午前中はインターバル速歩倶楽部の活動日。 写真を撮る余裕無し😢 以前、信州大学の能勢先生は書籍の中で 「インターバル速歩は長野県民だから成功した活動」と記しています。「長野県が長寿県になったのは1945年に佐久市の佐久病院に赴任した若月俊一医師が 予防は治療に勝る として農村医療を始めた事。減塩運動・集団検診などを推奨した結果、健康意識の高い県民性になった」 倶楽部の皆で、気持ちを新たに歩きました。 午後からは研修会。 講師 NPO法人CRファクトリー代表理事 呉 哲煥様 良い出会いがありました😊

田村 芙美子さんの投稿
8/26 北鎌倉の六国見山の里山再生の活動の記録。スタートは2011年。私達テラススタジオの初期メンバーはそれより5年位前から六国見山往復をポールウォーキングのコースにして来ました。初心者でも無理のないコースなので外部の方ともこれまでに数えきれないほど歩きました。一方でヤマアジサイやヤマザクラの植栽や手入れをしてくださる湧水ネットワークの方々の存在を知り感謝です。猛暑日が収まりましたらこの本を道しるべにして又ゆっくり春夏秋冬を楽しんで歩きます。

柳澤 光宏さんの投稿
昨日は県議会産業観光企業委員会の皆様が来社。1時間で説明&工場見学を。議会の正式活動とのことで、県職員の方々も随行で来られていて、ちょっと仰々しい感じでした(⁠^⁠^⁠) ご来社ありがとうございました!!

田村 芙美子さんの投稿
8/27 今日第4週はレッスンのあとはお楽しみ会。 椅子トレ~ふくらはぎストレッチ、7秒スクワット、マットで一連のコアエクササイズのあとは🔪🍴恒例のお楽しみランチ会。今日の主役は素麺!大鍋にお湯を沸かし素麺を茹でるまで時間がかかってお腹ペコペコ。冷たく冷やした素麺を熱い具だくさん汁につけて頂きました。初めて知った現地の茶道ならぬ「コーヒー道」の話!

田村 芙美子さんの投稿
8/28 お盆休み明け久しぶりの貯筋クラス。予報通り昨日より2~3℃低く気持ち涼しさを感じました。センター入り口のひまわりは皆東の方向を向いていました。まだ蕾もあり 夏は暫く続きそう。包括支援センターから毎月恒例の計測に来てくださり筋肉量や握力を測りました。先月と大きな違いはなくお宅筋トレ継続の成果かと思います。今日はPATROLベルトを使ってエクササイズ。効きましたね。

長谷川 弘道さんの投稿
皆さんはAIをどのくらい活用していますか? その活用の仕方が今社会問題にもなってきていますが、まずは相手(AI)が何者なのかを理解することが大事かと思います。 2年ほど前から私もちょこちょこと勉強していますが、とにかく触ってみることですね。 ほんと、習うより慣れろしかないです。 ということで、早速につい先日発表があったNotebookLMというAIに新しい機能がつきましたので、それを使ってみました。 それが貼り付けてあるものです。 私が今いちばん力を入れている運動プログラムをAIでまとめてみました。 一般の方にとってわかりやすい動画説明なんですが、とにかくすごい!資料や動画などの元データをこのAIに送れば、あとは自動的にというかAIが見事に生成してくれます。 少し言葉がおかしいところがありますがほぼ100点に近い出来栄えです! ぜひご覧ください。 そしてこの内容についてご質問があればいつでもコメントください。

Ruri Nissatoさんの投稿
体操ボランティアを3年以上続けている人20名が表彰されました。 定年後に始めて5年。 楽しみながら続けていこうと思います。

 

来月以降の開催
長岡智津子さんの投稿
写真1件

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
日本健走杖健走教練培訓報名表

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿(その①)
📣【2025健走杖 健康活力輕旅行】🌿 ✨第三屆・9月即將登場!✨ 準備好迎接一場結合 健走 × 旅行 × 健康活力 的精彩活動了嗎?🎒 Andy教練、媛玲教練、均萍教練、淑芬教練、淑鳳理事長 (依🎦影片出場順序)邀請大家👣 拿起你的健走杖,跟我們一起出發, 走進自然、呼吸新鮮空氣、動起來! ✔️ 健走路線精心規劃 ✔️ 教練全程帶領陪走 ✔️ 適合各年齡層的輕旅行行程 ✔️ 不只有健走,還有美景、美食與好心情🎑🍱 📅 活動預定於 9月展開,名額有限, 👉 歡迎大家踴躍報名,一起走出健康好生活!

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿(その②)
2025健走杖.健康活力輕旅行 – 腳ㄚ聚樂部

 

2.PW関連学術ニュース
2-1)健康リスクを抑えるためには一日何歩歩けば良いのか?歩数と健康リスクについての最新情報
**以下は、大阪大学の宮坂昌之先生の2025年8月2日のFB投稿です**
定期的な運動により全死亡率、がんによる死亡率などが低下することが分かっています。この点、ウオーキングがもっともやりやすい運動ですが、ではどのぐらい歩いたらいいのか、これまで諸説がありました。
この点に関して、オーストラリアの研究グループが過去10年間に発表された論文のメタ解析をして、最新号の専門誌Lancet Public Healthに論文を発表しています。
(https://www.thelancet.com/…/PIIS2468-2667(25…/fulltext)
それによると、全死亡率、心血管疾患発症率、認知症や転倒に関しては、1日あたり2,000歩を歩くと、リスクが低下し始め、約5,000~7,000歩あたりで変曲点を示す非線形の逆相関が認められるとのことです(言い換えると、1日2,000歩以上歩くのがよく、5,000~7,000歩以上歩けば、さらに上記リスクが下がる傾向がある、ということです)。
具体的なデータは次のようです。1日7,000歩では、1日2,000歩の場合と比較して、全死亡リスクは47%低下、心血管疾患発症リスクは25%低下、心血管疾患死亡リスクは47%低下、癌発症リスクは6%低下、癌死亡リスクは37%低下、2型糖尿病のリスクは14%低下、認知症のリスクは38%低下、うつ症状のリスクは22%低下、転倒リスクは28%低下していました。
つまり、高齢者は、まずは1日2,000歩を歩くこと、できれば1日7,000歩を目標にするとかなり良い結果が得られる可能性があるということです。1日2,000歩はそれほど難しくありませんよね。
論文
掲載誌;The Lancet Public Health、ArticlesVolume 10, Issue 8e668-e681August 2025
表題;Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis
著者;Prof Ding Ding, PhDa,b melody.ding@sydney.edu.au ∙ Binh Nguyen, PhDa,b ∙ Tracy Nau, BComLaw BNutScia,b ∙ Mengyun Luo, PhDa,b ∙ Borja del Pozo Cruz, PhDc ∙ Paddy C Dempsey, PhDd,e,f,g ∙ et al. Show more

📝 論文要約(Summary)の日本語訳(Copilotによる)
背景;この10年間で日常の歩数と健康との関連を示す証拠が急速に増加したが、既存のシステマティックレビューでは主に全死因死亡率のような限られたアウトカムに焦点が当てられている。本研究では、日々の歩数と、全死因死亡率、心血管疾患、がん、2型糖尿病、認知機能、メンタルヘルス、身体機能、転倒などの健康アウトカムとの前向きな用量反応関係を統合的に検討した。
方法;2014年1月1日から2025年2月14日までに発表された文献を対象に、PubMedとEBSCO CINAHLを用いて検索した。対象研究は、成人を対象にした、デバイスで測定された日々の歩数と健康アウトカムの関連を検討した前向き研究。二人一組で研究選定、データ抽出、バイアス評価を実施し、統計解析にはランダム効果モデルを使用した。エビデンスの確信度はGRADEシステムに基づいて評価された。
結果;35コホートから57件の研究がレビューに含まれ、うち31件がメタ解析に用いられた。全死因死亡率、心血管疾患の発症、認知症、転倒については、非線形の逆相関関係が見られ、5000〜7000歩/日付近に屈曲点があった。心血管疾患による死亡率、がんの罹患率・死亡率、2型糖尿病の発症、抑うつ症状については、線形の逆相関が見られた。例えば、7000歩/日は2000歩/日と比べて以下のようなリスク低下が見られた:
全死因死亡率:47%低下
心血管疾患の発症:25%低下
心血管疾患による死亡率:47%低下
がん死亡率:37%低下
認知症:38%低下
抑うつ症状:22%低下
転倒:28%低下 物理的機能に関する研究(メタ解析外)でも、同様の逆相関が見られた。
解釈;1日1万歩という目標も有効だが、7000歩/日は健康改善において臨床的に意味のある効果があり、より現実的かつ達成可能な目標かもしれない。ただし、研究数の少なさや年齢ごとの分析不足、個々の研究におけるバイアスなどの制限も踏まえて解釈すべきである。

関連情報;青柳先生の中之条研究との比較
**以下、Copilotとの問答です**
Q:この研究結果と青柳博士の中之条町の調査結果とを比較検討してください。
A:もちろんです、瑛さん。以下に、Lancet Public Health誌の国際メタ解析と、青栁幸利博士による中之条研究の主要な知見を比較検討した表をまとめました:
🔍 歩数と健康アウトカムに関する比較
(上段)Lancetメタ解析 (下段) 中之条研究
対象者;
世界各国の成人(35コホート)
群馬県中之条町の高齢者(約5,000人)
研究期間;
2014〜2025年の文献レビュー
2000年〜継続中(20年以上)
方法;
デバイス測定歩数+健康アウトカムの前向き研究
活動量計+詳細な生活習慣・疾患調査
推奨歩数;
約7,000歩/日で健康効果が顕著
8,000歩/日+中強度歩行20分が最適
中強度歩行の扱い;
一部研究で考慮されるが明示的ではない
明確に「速歩き20分」が必要とされる
予防できる疾患;
全死因死亡率、心疾患、がん、認知症、うつ病、転倒など
認知症、糖尿病、うつ病、高血圧、骨粗鬆症、脳卒中、がんなど
歩数と疾患予防の関係;
非線形または線形の逆相関(例:7,000歩で死亡率47%低下)
明確なカットオフ値(例:8,000歩で糖尿病・高血圧予防)
年齢層の分析;
年齢別の詳細分析は限定的
高齢者中心に詳細な生活習慣分析あり
研究の強み;
多国籍・多疾患にわたる包括的メタ解析
長期・地域密着型で生活実態に即した知見

🧠 考察ポイント
• 共通点:どちらも「歩数の増加が健康に良い」という点で一致。ただし、量だけでなく質(速歩き)が重要という点では中之条研究がより具体的。
• 違い:Lancetの研究はグローバルな傾向を示す一方、中之条研究は日本の高齢者の生活実態に即した「実践的な指標」を提供。
• 実用性:中之条研究の「8,000歩+速歩き20分」は、自治体や健康保険組合でも活用されており、政策的応用が進んでいる。
どちらの研究も補完的で、国際的なエビデンスと地域密着型の知見を組み合わせることで、より効果的な健康戦略が立てられると言えます。
もし、疾患別の予防効果や年齢層ごとの違いなど、さらに深掘りしたい項目があれば教えてください。データの裏側まで一緒に探ってみましょう。

(注)青柳先生の最近の論文です。
論文名;健康長寿を実現するための至適な身体活動: 中之条研究
著者;青栁 幸利
掲載誌;日本腎臓リハビリテーション学会誌2025 年 4 巻 1 号 p. 15-21
DOI; https://doi.org/10.60371/jjrr.4.1_15
抄録;現下の中之条研究データによると,高齢者の健康全般と寿命・死亡率は,日常身体活動の量(1 日の歩数の年平均)と質(1 日の中強度[一般的に安静時代謝量の3 倍以上6 倍未満]活動時間 の年平均)の両方と関係がある。男性では,健康の度合いには1 日の中強度活動時間のほうが1 日の歩数よりも密接に関連するが,対照的に女性では,歩数のほうが中強度活動時間よりも関係 は緊密である。腎臓病の原因となる糖尿病,高血圧症,脂質異常症などの生活習慣病がないこと など,より良好な健康状態に関連する身体活動閾値(歩数・中強度活動時間)は,男性では8,000 歩・20 分/日,女性では7,000 歩・15 分/日である。生活習慣病全般を予防し,ひいては健康長 寿を実現するためには,1 日の合計で少なくとも15~20 分の適度な(時速約5 km 相当での)活 動と,少なくとも45~60 分の軽度な活動が有効である。

 

2-2)臓器の老化と健康リスク;プロテオミクス(プロテオーム解析)による最新情報
1)脳や免疫系が(実年齢より)若い人は長寿である。
**大阪大学の宮坂昌之先生の2025年7月17日のFB投稿です**
図 1: UKB における血漿タンパク質由来の臓器年齢の推定。
最近、プロテオミクスという方法で、血液中に出現するさまざまな臓器由来のタンパク質を網羅的に調べることにより、それぞれの臓器の年令を個別に知ることができようになってきました。一方で、果たしてそれが病気になりやすさや将来の死亡率にどのぐらい影響するのかについてはよくわかっていませんでした。
今回、アメリカの研究グループが、英国バイオバンクに寄託された44,498人の血液検体から得られた血漿プロテオミクスデータ(2,916種類のタンパク質について調査)を用いて、11の臓器の生物学的年齢を推定しています。Nature Medicineに掲載された論文です。
それぞれの臓器の推定年齢は、生活習慣因子や薬剤の影響を強く受けていて、心不全、慢性閉塞性肺疾患、2型糖尿病、アルツハイマー病など、様々な疾患の将来の発症(17年間の追跡期間内)と関連していました。
特に興味深いのは、まず、脳の年令が特に高い人では、アルツハイマー病の最も強い遺伝的危険因子であるAPOE4遺伝子の特定のアレル(対立遺伝子)を1つ持つ場合と同等の高いアルツハイマー病リスクがあった、ということです(ハザード比(HR)=3.1;すなわち、APOE4の特定のアレルを持たない人に比べて3.1倍リスクが高い)。これに対して、脳の年令が特に若い人では、APOE遺伝子型に関わらず、APOE2のコピーを2つ持つ場合と同等の保護効果を示していました(HR=0.26;リスクが0.26倍と低くなっていた)。また、これは予想どおりですが、老化した臓器の数が増えるほど、死亡リスクが高くなっていました(老化臓器2~4個の場合、HR=2.3、老化臓器5~7個の場合、HR=4.5、老化臓器が8個以上の場合、HR=8.3)。
一方、若い脳と免疫系は明らかに長寿と関連していました(若い脳を持つ人の死亡リスク;HR=0.60、若い免疫系を持つ人の死亡リスク;HR=0.58、両方とも若い人の死亡リスク、HR=0.44)。以上まとめると、脳と免疫系を早く老化させないことが大事であり、脳と免疫系を若く保つことが長寿につながる、ということになります。
さあ、ではどうやったら脳と免疫系を若く保つことができるのでしょうか?私がかねてから「信州上田みらい塾」で受講生の方々に言っているのは、食生活に気を付けて体重を一定範囲内に維持すること、高血糖、高血圧、高脂血症などがあったら早いうちに対処すること、もう一つは定期的にそしてこまめに運動をすることです。以上のことは発作的に試みても効果は少なく、毎日毎日の積み重ねが大事です。

**大阪大学の宮坂昌之先生の2025年7月28日のFB投稿です**
約10日前のことですが、フェイスブックに「脳や免疫系が若い人は長寿である」という論文を紹介しました(https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid035jighbNuWPKzKbq6zcG7D59SLqoyQBmRCK8bUEmZQCfFEFikKeRjhugPhA4k3BwKl)。
この論文に対して世界中から大きな反響があったためだと思いますが、この論文の著者たちが、改めてこの論文のまとめを同じNature Medicineに書いています。その骨子を説明しましょう。
彼らは、まず、イギリスのバイオバンクに寄託されている数万人の血液サンプルを調べました。特に、血液中の多数のタンパク質を調べる方法であるプロテオミクスを用いて、実際のからだの年令がわかっている人たちについて、各臓器由来のタンパク質(数千個)を詳細に調べ、それぞれの臓器の年令を割り出しました。そして、実際年齢よりも各臓器の年令が著しく高い人たち(=老化が非常に進んでいる人たち)と各臓器年齢が著しく若い人たち(=老化の程度がきわめて軽い人たち)に分けて、時間経過を追って彼らの死亡リスクを割り出しました(最大観察期間は17年)。
結果は、1枚目の図に示すように、
1. 脳の老化が進んだ人は将来の死亡リスクが高く、アルツハイマー病を発症するリスクも3倍ぐらい高いこと。
2. いくつもの臓器で老化が進んでいる人は将来の死亡リスクが高いこと。
3. 脳や免疫系が若い人は死亡リスクが低いこと(脳が若い人はアルツハイマー病になるリスクが約75%低い)こと。
4. いくつもの臓器が若い人は死亡リスクが低めにはなるが、若い臓器数が増えても死亡リスクは必ずしも低くならないこと(理由は不明だが、若さの過信はかえっていけないということか?)
さらに、2枚目の図では、将来の生存リスクが一番高いのは、脳あるいは免疫系が若い人、二番目が普通に老化している人、三番目以降は老化臓器の数が多い人、という順番となっています。
以上、前に紹介したように、脳と免疫系の若さを保つことが大事です。そのためには、飲み過ぎ、食べすぎを避け、よく運動し、生活リズムを大事にして、よく休み、そして、よく寝ることが肝要です。

関連情報
(1)原論文
Article、Open access、Published: 09 July 2025
Plasma proteomics links brain and immune system aging with healthspan and longevity
Hamilton Se-Hwee Oh, Yann Le Guen, Nimrod Rappoport, Deniz Yagmur Urey, Amelia Farinas, Jarod Rutledge, Divya Channappa, Anthony D. Wagner, Elizabeth Mormino, Anne Brunet, Michael D. Greicius & Tony Wyss-Coray
記事、オープンアクセス、公開日:2025年7月9日
血漿プロテオミクスは脳と免疫系の老化と健康寿命および長寿を関連付けている
ハミルトン・セフイ・オヤン・ル・グエンニムロッド・ラポポートデニス・ヤグムール・ユーリーアメリア・ファリナスジャロッド・ラトレッジディヴィヤ・チャンナッパアンソニー・D・ワグナーエリザベス・モルミノアンヌ・ブルネット、マイケル・D・グレイシアス&トニー・ウィス・コレイ
(2)論文の要約
特定の臓器由来の血漿タンパク質は臓器年齢と死亡率を推定できるが、環境因子に対する感度や、臓器疾患および死亡率の発症予測における堅牢性については依然として不明である。このギャップを埋めるため、英国バイオバンクの44,498人から得られた血漿プロテオミクスデータ(2,916種類のタンパク質)を用いて、11の臓器の生物学的年齢を推定した。臓器年齢の推定値は、生活習慣因子や薬剤投与に敏感であり、心不全、慢性閉塞性肺疾患、2型糖尿病、アルツハイマー病など、様々な疾患の将来の発症(17年間の追跡期間内)と関連していた。注目すべきことに、特に老化した脳は、散発性アルツハイマー病の最も強い遺伝的危険因子であるAPOE4のコピーを 1 つ持つ場合と同等のアルツハイマー病のリスク (ハザード比 (HR) = 3.1) を及ぼしたのに対し、若い脳 (HR = 0.26) は、APOE遺伝子型とは無関係に、APOE2のコピーを 2 つ持つ場合と同等の保護を提供した。老化臓器の蓄積は次第に死亡リスクを増加させた (2~4 個の老化臓器、HR = 2.3、5~7 個の老化臓器、HR = 4.5、8 個以上の老化臓器、HR = 8.3)。一方、若い脳と免疫系は長寿と独自に関連していた (若い脳、死亡リスクの HR = 0.60、若い免疫系の HR = 0.58、両方が若い、HR = 0.44)。総合的に、これらの研究結果は、臓器の健康状態をモニタリングするために血漿タンパク質を使用することを支持するものであり、脳と免疫系が長寿介入の重要なターゲットであることを示しています。
(3)「血漿プロテオミクスデータ(2,916種類のタンパク質)を用いた、11の臓器の生物学的年齢の推定」について、Copilotに訊いてみた。
**以下、その解答です**
🧠 血漿タンパク質から臓器の生物学的年齢を推定する機械学習モデルの仕組み
この研究では、血漿中のタンパク質の発現パターンを使って、脳や免疫系など11の臓器の「生物学的年齢」を推定するために、機械学習モデルが用いられました。以下にその解析方法をわかりやすく説明します:
🧪 ステップ①:臓器特異的タンパク質の選定
• まず、Gene Tissue Expression Atlas(GTEx)などのデータベースを使って、各臓器に特異的に発現するタンパク質(organ-enriched proteins)を特定。
• 例えば、脳で特異的に発現するタンパク質は、他の臓器よりも4倍以上高い発現を示すものとして選定。
🤖 ステップ②:機械学習モデルの構築
• 各臓器ごとに、選定されたタンパク質を入力とし、年齢予測モデルを構築。
• 使用された手法は、10×10のネストされたクロスバリデーション(モデルの汎化性能を高めるための手法)。
• モデルには、性別などの共変量も含めて調整。
📊 ステップ③:生物学的年齢の推定
• モデルは、ある人の血漿タンパク質のプロファイルをもとに、各臓器の「予測年齢」を算出。
• その人の実年齢との差(Age Gap)を計算し、臓器が「若い」か「老化している」かを評価。
🧬 ステップ④:臨床的関連性の検証
• 推定された臓器年齢と、疾患リスク(心不全、糖尿病、アルツハイマー病など)や死亡率との関連を統計解析。
• 特に、脳と免疫系の若さが健康寿命や長寿と強く関連していることが判明。
💡 まとめ
この解析は、以下のような特徴を持ちます:
• 臓器ごとの老化速度を個別に評価できる。
• 非侵襲的(血液のみ)で、広範な健康状態をモニタリング可能。
• 予防医療や個別化医療への応用が期待される。
さらに詳しい技術的な図やモデル構造が見たい場合は、Nature Medicineの論文本文をご覧いただくと、図1や補足資料に詳細が記載されています。

2)50歳前後で老化の変曲点が見られ、血管は早期に老化が起こる。
**大阪大学の宮坂昌之先生の2025年7月28日のFB投稿です**
先に血液中に出現するさまざまな組織由来の蛋白質のプロテオーム解析によって、それぞれの臓器の年齢が推定できるということを2回にわたって紹介しましたが、中国の研究グループはさまざまな年齢(14-68歳)の人から種々の臓器サンプルを得て、プロテオーム解析を行い、ひとによってそれぞれの臓器の老化のスピードが実際に違うことを示しています。最近の専門誌Cellに出た論文です。
それによると、ひとでは一般に50歳前後で老化の変曲点が見られ、特に血管の老化が年齢とともに早く進行し、血管が老化の影響をもっとも受けやすい組織であることが分かりました。また、老化に伴って血液中に新たに出現する蛋白質を網羅的に調べたところ、血管や全身の老化を促進するいくつかの候補蛋白質が見つかってきました。
そうなると、このような「老化促進蛋白質」というものがどのようにして出来てくるのか、そしてどのようにして老化を促進するのか、さらには、これらの蛋白質の機能を人為的に制御できないだろうか、など、知りたいことが次々と出てきます。そのようなことを順番に明らかにしていくことによって、老化の人工的制御に必要なことが次第に分かってくる可能性があります。
最近はいわゆるアンチエイジング研究が大はやりですが、実際に論文を読んでみると、怪しげなものが多いのが実情です。一方で、老化に関する基礎的な研究は非常に大事であり、そのような研究がやがては老化のメカニズムの解明や老化の人工的制御につながる大事な情報を提供していくのかもしれません。期待しましょう。

関連情報
(1)論文
ArticleOnline nowJuly 25, 2025
Comprehensive human proteome profiles across a 50-year lifespan reveal aging trajectories and signatures
Yingjie Ding1,6,15 ∙ Yuesheng Zuo1,6,15 ∙ Bin Zhang2,6,15 ∙ … ∙ Jing Qu2,3,6,9,13,14 qujing@ioz.ac.cn ∙ Weiqi Zhang1,3,6,13,14 zhangwq@big.ac.cn ∙ Guang-Hui Liu2,3,6,10,13,14,17 ghliu@ioz.ac.cn … Show more
記事は2025年7月25日にオンライン公開されました
50年間の人生にわたる包括的なヒトプロテオームプロファイルは老化の軌跡と特徴を明らかにする
丁英傑1、 6、 15∙岳生 左1、 6、 15∙張斌 2、 6、 15∙ … ∙景 区2、 3、 6、 9、 13、 14 qujing@ioz.ac.cn∙張偉奇 1 , 3 , 6 , 13 , 14 zhangwq@big.ac.cn∙劉光輝 2 , 3 , 6 , 10 , 13 , 14 , 17 ghliu@ioz.ac.cn…もっと見る
(2)論文要旨
タンパク質は生命の礎です。しかし、ヒト組織全体における老化のプロテオーム的青写真は未解明のままです。本稿では、50年にわたる13のヒト組織から516のサンプルを解析した包括的なプロテオーム解析および組織学的解析を紹介します。この動的なアトラスは、アミロイド蓄積を特徴とする、広範なトランスクリプトーム-プロテオーム分離とタンパク質恒常性の低下を明らかにしています。老化に伴うタンパク質の変化に基づき、組織特異的なプロテオーム年齢時計を開発し、臓器レベルの老化の軌跡を特徴づけました。経時的な解析により、50歳前後で老化の変曲点が見られ、血管は早期に老化が起こり、老化の影響を著しく受けやすい組織であることが明らかになりました。さらに、組織の起源に一致する血漿プロテオームにおける老化のシグネチャーを定義し、血管および全身の老化を促進する候補となるGAS6などの老化タンパク質を同定しました。これらの知見を合わせると、タンパク質というレンズを通してヒトの老化をシステムレベルで理解するための基礎が築かれます。
(3)血管の老化予防対策については、2025年8月2日の日本経済新聞に「血管の若さ保つには 酸化・糖化を食い止めて」が掲載されています(オンライン記事は8月1日)。

2-3)岐阜大学医学部下畑先生からの最新医学情報(2025年8月)
・「非定型パーキンソニズム」という用語は使われなくなる!?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月2日のFB投稿です**
「非定型パーキンソニズム(atypical Parkinsonism)」という用語は,私たち脳神経内科医にとってお馴染みのもので,私も2019年に「非定型パーキンソニズム―基礎と臨床―(https://amzn.to/4lsqkjf)」という専門書を編集したことがあります.Parkinsonism Relat Disord誌に,この用語の見直しを強く提案する小論文が掲載されています.
著者らはまず,「パーキンソニズム」という言葉そのものが疾患名ではなく,動作緩慢や筋強剛,振戦といった臨床的な症候群を指す用語であることを強調しています.つまり,これは表現型(phenotype)であって病名(disease entity)ではないということです.にもかかわらず,私たちはこの用語を病名のように使っていることを問題視しています.さらに英語のatypical(非定型)という言葉には,「変わっている」「厄介だ」「治療が難しい」といったニュアンスが含まれているそうで,患者さんや家族に不安や絶望を与えかねないということもあるようです.日本語の「非定型」も若干,その傾向があるかもしれません.
このような背景を踏まえて,著者らは図のような新しい分類を提案しています.まずParkinsonismという用語は,あくまで症候群として使用し,複数形の“Parkinsonisms”や病名的な使い方は避けるべきだとしています.その代わりParkinsonian disordersという病名を使います.その上で,疾患分類としては以下の3群に整理しています.
①Primary Parkinsonian disorders:神経変性疾患で,パーキンソニズムを主要症候とする疾患(例:PD,MSA,PSPなど).
②Secondary Parkinsonian disorders:原因が明確な非神経変性疾患で,パーキンソニズムを呈するもの(例:脳血管性・薬剤性パーキンソニズム,iNPHなど).
さらに①はParkinson’s diseaseとそれ以外のParkinson-like disordersに分けられます.
つまり最も重要な提案が,atypical Parkinsonismという用語をParkinson-like disordersに置き換えることになります.「-like」という表現は,「ハンチントン病様(Huntington-like)」「ポリオ様(polio-like)」など神経学で使われてきた前例があります.またatypicalよりも中立的で,予後や治療可能性に関する先入観を与えない点が大きな利点とされています.
この提案の目的は患者さんとのコミュニケーションを改善し,診療や研究の効率を高めることだと思います.たしかにそういう視点は大切だと思いました.若干の問題は,Parkinson-like disordersをどう日本語訳するかです.直訳すると,「パーキンソン病様疾患(障害)」でしょうか.もしくは従来本邦で使われてきた「パーキンソン病類縁疾患」でも良いかもしれません.日本でも病名をこれに倣うかは分かりませんが,Golbe先生のような影響力の大きな先生の提案なので,少なくとも海外の論文ではParkinsonian disordersとかParkinson-like disordersが今後頻出することを知っておく必要があると思います.
Siddiqui JH, Golbe LI. Time to retire the term “atypical Parkinsonism”. Parkinsonism Relat Disord. 2025;137:107927.(doi.org/10.1016/j.parkreldis.2025.107927)

・APOE ε4はアルツハイマー病だけでなく多くの神経変性疾患と関連する
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月4日のFB投稿です**
APOE ε4は,アルツハイマー病の最大の遺伝的リスク因子として知られています.しかしNature Medicine誌に掲載された米国・カナダからの研究は,この遺伝子がアルツハイマー病にとどまらず,前頭側頭型認知症,パーキンソン病,パーキンソン病認知症,筋萎縮性側索硬化症といった他の神経変性疾患にも共通する「炎症的な体内環境」をもたらすことを明らかにしました.
研究では1万件以上の血漿および脳脊髄液サンプルのプロテオーム解析を実施し,SomaScanという高精度なタンパク質測定法と機械学習を用いて,APOE ε4キャリアに共通する分子署名(共通のタンパク質の増減パターン)を同定しました.図1では,APOE ε4の有無によって脳脊髄液中の229種類のタンパク質の発現パターンが明確に異なることが示されています.赤は発現上昇,青は低下を示しており,疾患の種類にかかわらず,ε4キャリアというだけでこのようなタンパク発現の偏りが起こることが分かります.この分子署名は血液でも再現されており,図2の血漿中でも同様に58種類のタンパク質がAPOE ε4の有無によって有意に変動していました.つまりAPOE ε4は,脳内だけでなく「全身にわたって慢性的な炎症状態を生み出している」可能性があります.
さらに死後脳サンプルを用いた質量分析でも同様の結果が得られました.図3では,ウイルス応答,アポトーシスの抑制,タンパク質フォールディングといった生物学的プロセスが,脳脊髄液・血漿・脳のすべてで共通して活性化していることを示しています.加えて EBウイルス感染,B型肝炎,病原性大腸菌感染,そしてNF-κBやIL-17,TNFといった炎症性経路が,すべての検体においてAPOE ε4キャリアで活性化していることが明らかにされています.つまり APOE ε4による炎症性分子署名は,神経変性疾患の発症前から存在し,疾患の種類を問わず共通して観察されることが分かります.そしてこの慢性的な炎症環境は,免疫細胞の動員とも関係していると考えられます.重要なのは,こうした変化が認知症やパーキンソン病を発症していない健常なAPOE ε4キャリアにもすでに存在している点であり,これはAPOE ε4が単なる疾患リスク遺伝子ではなく,神経変性疾患が成立しやすい「炎症的脆弱性」をもたらす免疫調節因子であることを示しています.
結論として,APOE ε4はアルツハイマー病だけに特異的な遺伝子ではなく,全身性かつ疾患非依存的な炎症状態をもたらす「免疫的背景因子」であると捉える必要があるようです.
Shvetcov A, et al. APOE ε4 carriers share immune-related proteomic changes across neurodegenerative diseases. Nature Medicine, 2025. https://doi.org/10.1038/s41591-025-03835-z

・髄膜は単なる保護膜ではなく,脳梗塞後の神経炎症の司令塔として機能する!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月5日のFB投稿です**
私は留学中より脳梗塞の基礎研究を行っていましたが,この領域からCell誌に論文が掲載されることはなかなかありませんでした.今回,米国ジョンズ・ホプキンス大学からそのCell誌に論文が掲載されましたが,たしかに従来全く考えもしなかった驚きの内容でした.まず著者らは脳卒中後に生じる過剰な免疫反応において,硬膜に存在する肥満細胞が重要な役割を果たしているという仮説を立てました.特に,この肥満細胞の活性化を誘導する受容体Mrgprb2(ヒトではMRGPRX2)が,免疫細胞の脳内への移行を制御する「ゲートキーパー」として機能している可能性に着目しました.この仮説は,髄膜が中枢神経系の免疫監視の最前線に位置し,そこに存在する肥満細胞が,神経由来のストレス信号(たとえば神経ペプチドsubstance P)をMrgprb2で感知して脱顆粒し,免疫応答(神経炎症)を開始するというアイデアに基づいています.
実験では,マウスの一過性中大脳動脈閉塞モデル(tMCAO)を用いて,Mrgprb2を欠損したマウス(Mrgprb2−/−)を評価しました.その結果,Mrgprb2欠損マウスでは,脳梗塞体積が顕著に減少し,神経学的スコアや運動機能も改善していました.また30日後の生存率も向上していました.つまり,この保護効果がMrgprb2の発現の有無に依存していることが示されました(図1).
つぎにそのメカニズムを検討しました.Mrgprb2を欠損したマウスでは,野生型(WT)マウスと比べて,梗塞側硬膜における肥満細胞の脱顆粒が顕著に抑制されており,その結果,炎症性サイトカイン(CCL2,CXCL2,TNF-α,IL-1βなど)の発現も減少し,好中球や単球の脳内浸潤も抑えられていました.特に注目されるのは,頭蓋骨骨髄からの好中球が,硬膜を経由して脳実質に移動する新たな経路が存在することを明らかにした点です.この経路では,化学反発因子セマフォリン3a(Sema3a)が通常,免疫細胞の脳内移動を阻止するバリアとして働いていますが,Mrgprb2を介した肥満細胞プロテアーゼの作用によってSema3aが分解され,バリア機能が解除されることで,好中球の脳内移動が促進されていました.この経路は,Sema3a阻害薬(Sema3a-I)を用いることで再現され,Mrgprb2欠損マウスでも脳炎症が誘導されることが確認されました
さらに,ヒトでも同様のメカニズムが存在することが分かりました.ヒトの硬膜にもMRGPRX2陽性の肥満細胞が存在し,脳卒中患者の硬膜では,健常者と比較して肥満細胞の脱顆粒が有意に亢進していました.この活性化にはsubstance Pが関与しており,これがMrgprb2/MRGPRX2のリガンドとして機能し,肥満細胞の活性化を誘導することが明らかとなりました.
こうしたメカニズムが治療標的になりうるかを検討するため,研究チームはMrgprb2を阻害する天然化合物Ostholeを用いた治療実験も行いました.Ostholeを投与したマウスでは,神経炎症が抑制され,梗塞体積の縮小と神経機能と生存率の改善が認められました(図2).この効果はMrgprb2を有するマウスに限られ,Mrgprb2欠損マウスには無効だったことから,Ostholeの作用はMrgprb2依存的であることが示されました.
この研究は,脳卒中後の神経炎症が「神経→硬膜肥満細胞→骨髄免疫細胞→脳実質」という新たな経路によって生じてるという,全く新しい視点を提示しました.そしてこの経路の起点にあるMrgprb2/MRGPRX2を標的とすることで,脳卒中後の神経炎症による障害を抑制する新たな治療戦略が開かれる可能性があります.血液脳関門の外に存在する硬膜肥満細胞を標的とすることで,薬物送達のハードルも低く,今後の臨床応用が期待されます.
なお図3は,この研究のサマリーですが,脳卒中により活性化された神経細胞からsubstance Pが放出され,それを感知した硬膜肥満細胞がMrgprb2を介して脱顆粒し,炎症性メディエーターを放出する様子が描かれています.その結果,好中球が頭蓋骨骨髄から硬膜へ移動し,さらにSema3aの阻害によって脳実質内へと侵入するという一連の流れが示されています.髄膜が単なる保護膜ではなく,神経炎症の司令塔として機能していることを象徴的に表現しています.
Kothari R, et al. A mast cell receptor mediates post-stroke brain inflammation via a dural-brain axis. Cell. 2025;188(17):1–17. https://doi.org/10.1016/j.cell.2025.06.045

・自己免疫性タウオパチーとしてのIgLON5抗体関連疾患:脳幹優位の萎縮パターンとその意義
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月7日のFB投稿です**
希少疾患であるため12か国が結集して取り組んだ国際共同研究で,日本からは私ども岐阜大学が参加し,Brain誌に掲載された論文です.IgLON5抗体関連疾患は,自己免疫性脳炎の一種であり,睡眠障害,運動異常症,球麻痺,認知機能障害などを呈する多彩な臨床像を特徴としています.免疫療法がある程度有効で,進行性核上性麻痺(PSP)や多系統萎縮症(MSA)などと類似する表現型をとることがあるため,神経内科専門医が知っておくべき重要な疾患です.また,病理学的には脳幹優位のタウ蓄積を伴う点で,自己免疫と神経変性の両側面を併せ持つユニークな疾患であり,自己免疫性タウオパチーと呼ばれることもあります.
本論文では127名の患者を対象に,頭部MRIと臨床情報を組み合わせて解析が行われました.その結果,本疾患では視床下部,脳幹,側坐核,基底核(被殻・尾状核・淡蒼球),海馬,視床といった特定の部位に限局した脳萎縮が認められました.なかでも脳幹は萎縮の中心であり,疾患の進行とともに「延髄→橋→中脳」の順で萎縮が進行する,すなわち尾側から頭側への萎縮勾配が確認されました.これは剖検例におけるタウ蓄積の分布と一致しており,MRI画像上でも病態の空間的進行が可視化された点が注目されます.
また,運動障害を呈する患者では基底核の萎縮が顕著であり,認知機能障害を呈する患者では視床や海馬の萎縮が強いという,臨床症状と脳萎縮パターンの一致も確認されました.このことは,将来的に頭部MRIによる局所萎縮の評価が,症状の予測や治療反応性の指標となる可能性を示唆しています.
患者群と対照群の脳体積を比較した解析では,視床下部で平均26.8%,側坐核で13.4%,脳幹全体で12.1%の体積減少が認められました.さらに延髄単独では20.9%という著明な萎縮が確認されており,この部位が最も病理学的に侵されやすいことが明らかとなりました.一方,全脳体積には有意な減少は見られず,あくまで局所的な萎縮である点が本疾患の特徴です.また,免疫療法が脳萎縮に与える影響についても検討されましたが,症例数の制限などから明確な結論には至りませんでした.
まとめの図が示しているように,IgLON5タンパクの発現部位,自己抗体の沈着部位,そしてタウ病理の分布が,驚くほど高い一致性をもって重なっている点が印象的です.IgLON5は延髄,橋,中脳などの脳幹部をはじめ,視床下部,視床,側坐核や基底核に豊富に発現しており,それと同じ部位に自己抗体の沈着が集中していることが剖検研究で示されています.さらに,タウの沈着もこれらの部位に重なっており,抗体の標的,神経変性の進行,タウの蓄積という3つの層が,空間的に一致していることが確認されました.
以上から,本疾患は「抗体出現 → IgLON5機能障害 → 神経機能障害・変性 → タウのリン酸化と蓄積 → タウによる二次的神経変性の進行」という一連の病態プロセスを来す疾患であることが裏づけられました.これは他の自己免疫性脳炎とは一線を画する特徴であり,免疫学的プロセスがタウのリン酸化という神経変性の引き金となりうることを示す,きわめて興味深い知見だと思います.
Yogeshwar SM, et al. Brain atrophy patterns in anti-IgLON5 disease. Brain. 2025. https://doi.org/10.1093/brain/awaf256

・CAR T細胞療法の神経毒性:病型と遅発性パーキンソニズムの機序を理解する必要がある
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月9日のFB投稿です**
日本神経免疫学会学術集会(村井弘之会長@千葉)に参加し,キメラ抗原受容体T細胞療法(Chimeric Antigen Receptor T cell therapy:CAR T細胞療法)の教育セミナーを拝聴しました.とくに大学病院では今後,その有害事象を診療する機会が増えるだろうと思います.CAR T細胞療法は,B細胞悪性腫瘍を中心に画期的な治療効果を示し,中枢神経腫瘍(膠芽腫など)や自己免疫疾患(SLE,強皮症,筋炎,血管炎,MG,NMOSD,MSなど)にも応用が拡大しています.しかし,この強力な免疫反応はしばしば全身性および神経系の有害事象を引き起こします.講演に刺激を受けたので,Nature Reviews Neurology誌8月号の総説を読んでみました.
【有害事象の時間経過】
以下に述べるCRS → TIAN → ICANS → MNTsという時間経過で出現することが多く,その発症タイミングと病態を把握することは早期発見・迅速対応に不可欠です.
①サイトカイン放出症候群(Cytokine Release Syndrome:CRS)
CAR T細胞投与後,最も早期に出現する.CRSは通常,投与後数日以内に発熱,低血圧,頻脈,呼吸不全,臓器障害などの全身性炎症症状として発症する.重症例では集中管理が必要となり,多くの場合その後に神経毒性が続発する.これは主にIL6により生じる.
②腫瘍炎症関連神経毒性(Tumor Inflammation-Associated Neurotoxicity:TIAN)
CRSとほぼ同時期か,やや後に出現する.これは中枢神経腫瘍に対するCAR T治療に特有で,腫瘍局所の炎症性浮腫によるmass effect(脳ヘルニア,水頭症)や局所神経機能障害がみられる.
③免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(Immune Effector Cell-Associated Neurotoxicity Syndrome:ICANS)
投与後おおむね10日以内に発症する.ICANSでは注意力低下,見当識障害,行動変化,発語障害から,重症例では意識障害や脳浮腫まで幅広い症状が出現する.血液脳関門の障害と全身性サイトカイン反応(IL1,GM-CSF)が主な病態と考えられている.治療はデキサメサゾンなどステロイドになる.
④運動・認知機能の治療関連有害事象(Movement and Neurocognitive Treatment-Emergent Adverse Events:MNTs)
最も遅れて投与後1〜2か月の時期に出現する.特にB細胞成熟抗原(B Cell Maturation Antigen:BCMA)標的CAR T細胞療法後にみられる遅発性パーキンソニズムが代表的であり,この時期の副作用は不可逆的となる可能性が高い.
【遅発性パーキンソニズムの特徴】
遅発性パーキンソニズムは,多発性骨髄腫に対するBCMA標的CAR T細胞療法の後に報告例が増加しています.発症は典型的にCAR T細胞投与後1〜2か月で,急性期のICANSが落ち着いた後に新たに出現するため,診療現場では見落とされやすい点が注意を要するそうです.症状は,動作緩慢,四肢の筋固縮,姿勢保持障害による転倒,静止時振戦といった典型的パーキンソニズムが主体であり,さらに注意力低下,思考の遅延といった認知機能低下を伴うことも少なくありません.
画像所見としては,頭部MRIで尾状核,被殻,淡蒼球といった線条体領域にT2-FLAIR高信号が認められます.さらにFDG-PETでは,これら基底核領域の低代謝を認めます.これらの所見は,BCMAが成人脳の線条体で発現しており,腫瘍細胞のみならず正常ニューロンやグリア細胞もCAR T細胞の標的となってしまう,いわゆる「on-target, off-tumor effect」によって障害される可能性を示唆します.症状が数週間から数か月の潜伏期間を経て出現する理由としては,免疫反応による初期の軽度障害が徐々に蓄積し,神経ネットワークの代償機構が限界を迎えた時点で臨床症状が顕在化する,あるいは持続的な免疫活性や慢性炎症によって遅発性の神経変性が進行する可能性が考えられます.
治療としては,ドパミン補充療法がまず行われますが,既報では明確な有効性は限定的です.免疫療法として,高用量ステロイド,IL-1受容体拮抗薬(アナキンラ),髄腔内メトトレキサート,シクロフォスファミドなどが報告されており,高用量シクロフォスファミドで循環CAR T細胞を減少させ,症状が可逆性に改善した症例も存在します.しかし,多くの患者では症状が持続・進行し,改善例はごく一部にとどまります.遅発性パーキンソニズムは急性期毒性とは異なり不可逆的である可能性が高く,早期の診断と介入が極めて重要です.今後はリスク予測モデルの確立が,予防と治療の鍵になると考えられます.
Karschnia P, Dietrich J. Neurological complications of CAR T cell therapy for cancers. Nat Rev Neurol. 2025;21:422-431. doi.org/10.1038/s41582-025-01112-8

関連情報
CAR T細胞療法に係る最新情報は、前号ニュース(2025年7月のニュース)に掲載しています。

・コンタクト・スポーツによる反復的な頭部衝撃はアストロサイトのタウ沈着をもたらす ―棘状アストロサイトという新しいキーワード―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月11日のFB投稿です**
「頭部外傷」の予防は,認知症の14の予防因子の一つです.外傷性脳損傷や,ラグビーやサッカーなどのコンタクト・スポーツによる反復的な頭部衝撃が,慢性外傷性脳症(CTE)やアルツハイマー病のリスクを高めるという数多くの報告があります.今回,Brain誌にこの原因として「アストロサイトにおけるタウ病理」,具体的には棘状アストロサイト(thorn-shaped astrocytes;TSA)に焦点を当てた大規模病理研究が報告されました.聞き慣れない用語ですが,これは高齢者の脳にも見られる加齢関連タウアストログリオパチー(aging-related tau astrogliopathy;ARTAG)で認める構造物です.アストロサイトにリン酸化タウが沈着し,細胞突起が棘(とげ)のように見える特徴的な形態をとります.もともと加齢に伴って出現することが知られていましたが,CTEの病変部や外傷後脳にも認められることが知られていました.著者らはTSAを詳細に評価することで,「加齢や他の神経変性疾患に伴うTSA」と「外傷やスポーツ歴に関連するTSA」を区別できるか,またその分布や特徴が異なるかを明らかにしようとしました.
対象はなんと556人の剖検脳で,外傷性脳損傷歴あり群(中等度~重度;TBI),コンタクト・スポーツ歴あり群(Sports),神経変性疾患対照群(NDD),および非神経変性対照群(Control)の4群を比較しました.リン酸化タウを検出するPHF-1抗体を用いて,脳内複数部位におけるTSAの出現頻度を評価しました.
さて結果ですが,TSAはコンタクト・スポーツ歴群で75.6%,外傷性脳損傷群で32.5%に認められ,これは神経変性疾患対照群(32.5%)や非神経変性群(8.1%)と比較して有意に高い頻度でした.とくにコンタクト・スポーツ群では,皮質溝の深部(sulcal depths)にあるsubpial TSAの出現率が42.2%と極めて高く,他群ではきわめて稀でした.図Aでは,このsubpial TSAの頻度がコンタクト・スポーツ群で有意に高いことが示されています.また図BとCは,前頭葉皮質溝の底部において,CTEの神経病理学的所見がなくても,subpial TSAが単独で存在している様子を示しており,TSAがCTEとは独立に生じる可能性を示唆しています.
本研究の意義は,TSAという病理学的所見が,加齢に伴う変化とされてきた従来の理解を超えて,外傷性脳損傷や反復的な頭部衝撃によって誘導される可能性を明確に示した点にあります.これは,グリア細胞のタウ病理が,単なる老化の産物ではなく,外傷性イベントの病的なマーカーとなることを意味します.また,従来のCTE診断基準には含まれないTSAの広範な分布や局在パターンが,独自の外傷関連病態を構成している可能性も示されています.ちなみに本研究ではアミロイドβ(Aβ)についての評価は行われておらず,TSAとの関係や,Aβ沈着との連関については今後の課題とされています.
まとめると,この研究は外傷が神経細胞ではなくアストロサイトにおけるタウ病理を誘導するという新たな知見を提示し,タウ病理の原因に外傷が加えられたということになります.今後,TSAの臨床的意義がさらに議論され,外傷に伴う認知機能障害に,タウがバイオマーカーとして応用されるものと思われます.
Arena JD, et al. Traumatic brain injury or head impacts from contact sports are associated with tau astrogliopathy. Brain. 2025;148(8):2671–2683. https://doi.org/10.1093/brain/awaf073

・医療AIで医師に「デスキリング(deskilling)」が起きる!:AIツール導入後わずか数か月で熟練内視鏡医の技能が低下する
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月16日のFB投稿です**
近年,AIを用いた医療用ツールはさまざまな分野に導入されています.先駆的な例として大腸内視鏡検査があり,AI支援によって腺腫検出率(adenoma detection rate:ADR)が向上することが多くのランダム化比較試験で示されています.一方,AIの使用が医師自身の技能にどのような影響を及ぼすのかは不明でした.消化器領域の報告ですが,今後,他の領域にも同様のことが生じる可能性があるためご紹介したいと思います.
ポーランドの4つの大腸内視鏡センターで行われた観察研究です.調査期間は2021年9月から2022年3月までで,2021年末にAI支援システムが導入されました.AI導入後は,大腸内視鏡検査をAI支援ありとAI支援なしのいずれかでランダムに実施しました.対象は熟練内視鏡医19名が行った検査です.AI支援なしで行われた検査は1443件であり,うちAI導入前が795件,AI導入後が648件でした.またAI支援ありで行われた検査は734件でした.主要評価項目は腺腫検出率(adenoma detection rate, ADR)で,AI導入前後におけるAI支援なしのADRを比較しました.
さて結果ですが,なんとADR は「AI導入前の28.4%から導入後は22.4%へ」と有意に低下しました(絶対差–6.0%,p=0.0089)(図1).相対的に約20%も低下してしまいました.図2は,各内視鏡医ごとのADRの変化量を示していますが,わずかに改善した医師もいますが,大多数で低下が見られ,なかには20〜30%以上の大幅な減少例も存在します(図2).一方,AI支援下で実施された734件の腺腫検出率は25.3%でした.
本研究は,AI支援の常用化が,熟練内視鏡医のAI非支援下での腺腫検出能力を低下させる可能性を初めて示したものです.著者らはこの現象を「デスキリング(deskilling)」と呼んでいます.この用語は,もともとは技術革新や業務の自動化により,労働者が持っていた熟練技能(スキル)が失われる現象を指します.医療では,AIの導入により,医療者が従来自ら行っていた判断や操作を機械に依存することで,「技能」が衰えることを意味します.ナビに頼りすぎて地図が読めなくなる「Googleマップ効果」に似ています.
脳神経内科領域では,今後,MRI読影,脳波解析,神経診察動画解析などにAI導入が進むと予想されます.検査だけでなく,脳神経内科特有の問診・診察から病変部位を考え,文献を確認しながら鑑別診断から診断にたどり着き,最適な治療を選択するというプロセスの一部もAIが肩代わりする可能性があります.それに慣れてしまうと異常所見を自ら見抜く力や,個々の所見を総合して診断を組み立てる能力が弱まるリスクがあります.恐ろしいのは,文献を批判的に読めなくなり,AIの出した答えが正しいのか誤っているのかも判断がつかないということが起きるように思います.とくに基本的な能力がまだ身についていない若い先生がたへの影響が懸念されます.意識してAIを使用せずに症例を評価するトレーニングや,技能維持を目的とした教育プログラムの整備が必要になるのかもしれません.いずれにせよ,AIが一部の医療技術を向上させる一方で,「デスキリング」によって基本的技能が静かに侵食される危険性を認識する必要があると思いました.
Budzyn K, et al. Continuous exposure to artificial intelligence in colonoscopy and its impact on non-AI-assisted adenoma detection rate: a multicentre observational study. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2025 Aug 12. https://www.thelancet.com/…/PIIS2468-1253(25…/abstract

・脳内のリチウム欠乏がアルツハイマー病を引き起こす!?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月18日のFB投稿です**
アルツハイマー病(AD)の病態において,リチウム(Li)が重要な役割を果たしている可能性が報告され話題になっています.これまでLiは気分安定薬として双極性障害の治療に用いられてきましたが,今回紹介するハーバード大学からの研究では,AD脳におけるLiの局在と濃度が詳細に解析されました.
まず軽度認知障害(MCI)およびAD患者の前頭前皮質において27種類の金属を解析した結果,MCIおよびADで有意に低下していたのはLiのみでした(図1左).驚いたことに,アミロイドβ(Aβ)斑にLiが濃縮して存在することが明らかになりました.図1右では,白い円が老人斑(Aβ斑),黄色の円が非Aβ斑領域を示しています.Li(赤)は老人斑に捕捉(sequestration)され,非Aβ斑領域では低下して利用困難な状態になっていることが示されています.
つぎにマウスモデルの検討で,食餌からLiを除去すると,脳内Liが約50%低下しました.その結果,Aβ沈着とタウリン酸化の増加,ミクログリアの炎症性活性化,シナプス・軸索・髄鞘の喪失,そして記憶障害が進行しました.シングルセルRNA解析では,Li欠乏によるトランスクリプトーム変化がADの患者脳と重なることが示されました
さらに注目すべきは,Liの欠乏がGSK3β(glycogen synthase kinase 3β)の活性化を引き起こし,その結果としてタウリン酸化を促進する可能性が示唆された点です.GSK3βは神経変性疾患の治療標的として以前から有名で,タウの異常リン酸化に直接関与することが知られています.つまり「Li欠乏 → GSK3β活性化 → タウリン酸化」という一連の流れがADで生じている可能性が浮上したということです.
となると補充療法ができる可能性がありますが,従来の炭酸Li(LiC)ではなく,アミロイドに捕捉されにくいLiオロチン酸(LiO)が有効であることが示されました.LiOを投与したADモデルマウスでは,アミロイド沈着やリン酸化タウの形成がほぼ完全に抑制され,既存の病理も改善されました.さらに,ミクログリアの炎症反応が抑制され,アミロイドのクリアランス能が改善し,シナプスと髄鞘の保持も確認されました.特筆すべきは,老化マウスにおいてLiOが記憶機能を若齢マウス並みに回復させた点であり,Liが加齢性認知機能低下に対しても保護的に作用することが示されたことです.
図2はLiがアミロイド斑にどのように関与しているかを示しています.図2aでは,脳内のAβ斑(青色の塊)が負に帯電し,周囲に存在する正に帯電したLiイオン(黄色)が引き寄せられて斑の中に捕捉されてしまう様子が描かれています.その結果,本来はニューロン,アストロサイト,ミクログリアなどの細胞に広く分布して機能しているはずのLiが奪われ,非Aβ斑領域での機能が低下し,神経変性につながります.
一方,図2bはLiO(赤)を投与した場合を示しています.これはAβ斑に捕捉されにくく,神経細胞に効果的に取り込まれます.GSK3β活性化はミクログリアの異常炎症応答による神経炎症を起こしますが,LiOにより機能回復したミクログリアはAβを効率的に除去できるようになり,シナプスや軸索,髄鞘の喪失を防ぎます.動物モデルでは,LiO投与によりアミロイド沈着やタウリン酸化の増加が抑えられ,認知機能の低下も改善されました.
Eric Topol先生がブログで指摘しているように,過去の小規模ランダム化試験,双極性障害患者コホート,さらには飲料水中Li曝露研究からも,Liの認知症予防効果は示唆されてきました.しかし,高用量炭酸Liの副作用が臨床応用を制限してきたことも事実です.今回の研究は,低用量Liオロチン酸という新しい選択肢を提示し,安全性への懸念を最小化しつつ予防的効果を期待できる可能性を示しました.
★ただし,ここで提示された結果はあくまで動物モデルに基づく研究であり,ヒトにそのまま適用できるものではありません.特にリチウムは治療域と中毒域が非常に近い薬剤であり,血中濃度の厳密な管理が不可欠です.そのため,サプリメントや市販薬として安易にリチウムを摂取することは極めて危険であり,厳に慎むべきであることを強調したいと思います.
Aron L, et al. Lithium deficiency and the onset of Alzheimer’s disease. Nature. 2025. https://doi.org/10.1038/s41586-025-09335-x
Topol E. Lithium and Its Potential Protection from Alzheimer’s Disease. Ground Truths, Aug 10, 2025.

・COVID-19は女性の血管を老化させる ―国際共同大規模研究CARTESIAN研究
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月20日のFB投稿です**
COVID-19の後遺症は心血管系の障害によっても生じます.その背景として血管内皮障害や炎症に伴う血管老化が推測されてきました.CARTESIAN研究は,COVID-19に伴うこの血管老化を検証しました.
18か国,38施設の2390人を対象とした国際共同前向きコホート研究で,COVID-19陰性対照群391人,陽性非入院群828人,入院群729人,ICU群146人の4群に分類されます.主要評価項目は,感染から平均6か月後の頸動脈―大腿動脈脈波伝播速度(Pulse Wave Velocity;PWV)としました.これは動脈硬化や血管老化を反映する確立された指標です.
さて結果ですが,COVID-19既往の3群はいずれも対照群に比べて有意にPWVが高値を示し,0.37〜0.41 m/sの上昇を認めました.ただし重症度が高いほどPWVが高いという直線的な関係は認めませんでした.しかし注目すべきは性差で,女性では全てのCOVID-19群でPWVが上昇し,特にICU群では1.09 m/sと最大の上昇を示しました.一方,男性ではCOVID-19の有無による差が認められませんでした.図1が分かりやすいですが,通常,男性は女性よりPWVが高い傾向があり,対照群(COVID-)では男性の方が女性よりPWVが速いことが分かりますが,興味深いのは,男性ではCOVID-19既往群では対照群と大差がないのに対し,女性では対照群との差が明確に大きいという点です(図1).そしてICU群では早期血管老化(early vascular aging)が顕著で,10年の血管加齢に相当します!また女性で持続症状を有した群ではPWVがさらに高値であり,症状の長期化と血管老化の関連を認めました.ただし12か月後の追跡では,COVID-19群のPWVは低下傾向を示し,血管老化が部分的に可逆的である可能性も示されました.
この論文に対するeditorialを読むと,PWV上昇の程度は比較的軽度であり,その臨床的意義についてはさらなる研究が必要と指摘しています.また図2にて,COVID-19による血管老化の仕組みを解説しています.感染により,IL-1やIL-6などのサイトカインが増加します.加えて凝固異常や好中球細胞外トラップが生じ,動脈のリモデリングを来たし,血管が硬くなります(stiff artery). この血管老化が女性に強く現れる理由として,性ホルモンや社会的要因,あるいは急性期に重症となった男性が死亡してしまい,生存者には影響が残りにくいというサバイバーバイアスなどを推測しています.
この血管老化は,ブレインフォグや頭痛,認知障害などlong COVIDに特徴的な神経症状にも関与している可能性があります.今後は血管老化を防止する治療や,リスクの高い群を早期に見極めるためのバイオマーカー探索が重要となるとなると思われます.
Bruno RM, et al. Accelerated vascular ageing after COVID-19 infection: the CARTESIAN study. Eur Heart J. 2025;00:1–14. (doi.org/10.1093/eurheartj/ehaf430)
Bukhari S, et al. COVID-19 and vascular ageing: an accelerated yet partially reversible clock? Eur Heart J. 2025;00:1–3. (doi.org/10.1093/eurheartj/ehaf590)

・患者と目を合わせない医者たち(新潮新書)
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月23日のFB投稿です**
昨日のカンファレンスで教室のみんなに紹介した里見清一先生(本名,國頭英夫先生)の新刊です(https://amzn.to/462rblW).里見先生は呼吸器内科とくに肺癌の診療を専門とするドクターです.10年ほど前ですが,日本臨床倫理学会で,会場大爆笑,でも一番考えさせられるご講演をされておられたのが里見先生でした.その時は「自己決定」といって,なんでも患者さんに決めてもらう風潮について問題提起をされていました.すっかりファンになった私は,お願いして前任地の新潟までお越しいただき,『 終末期の医者の仕事 』というご講演をしていただきました.先生は『偽善の医療(https://amzn.to/4fPOMJO)』や『衆愚の病理(https://amzn.to/3JtWwp1)』(いずれも新潮新書)など多くの本を執筆されておられます.今回の本も,下記にメモしましたが,印象に残る文章がいくつもありました.読んでいろいろなご意見は出てくるかと思いますが,若いドクターには医療や人の命について深く考えるきっかけになるのではないかと思います. オススメです.
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◆現在の医学教育は,人は必ず死ぬこと,そしてその前に治療を諦める時が必ず来ることを教えていない.
◆私の周りの誰に聞いても,寝たきりで生かされた状態で延命治療などしてほしくないと答える.おそらく読者もそうだろう.
◆クーパー先生らは,AIによって医学生が教育されるようになると,そこから質的に違う医者が出てくるのではないかと懸念している.そもそもChatGPTによって最初からすぐに正解が提示されるのなら,医者が勉強する意味はあるのか.また,倫理的なジレンマに悩む代わりに,ブラックボックスから出てくるAIの決定を医者はそのまま受け入れるようになるのだろうか.
◆エビデンスやガイドラインは大切だが,そればかりを墨守する人間は「エビデンス屋」と呼ばれ,軽蔑される.我々はその重要性も限界も認識すべきである.
◆(不必要な検査について)この無駄は必ずしも医者の問題だけではなく,患者側も「何も検査してくれない」と不平を鳴らすのである.医者にとって最も知識や経験を必要とするのは,病歴と身体診察から「大丈夫,何ともない」と結論することである.
◆ミシガン大学のシュナイダー教授も,「良い人になるのは無理でも,良い人だと思わせるようにせよ」と学生に教えているそうだ.
◆チーム医療だの働き方改革だのは,必ずしも患者側のメリットを考えて出たものではないことは忘れない方がよい.
◆そう,俺たちの頃は辛かった.近頃の若い者がそれを追体験する必要なんかないのだろう.だが,だからといって別に俺たちはやり直したいなどとは思わない.それはどうしてだろうか.
◆喜び(ジョイ)は快楽(プレジャー)と同じではない.喜びには困難や無念や試練も含まれる.喜びを定義することはできない.ただ,我々がそれを経験したときに初めて「これがそうなのか」とわかるのだ.

・p-tau217r:アルツハイマー病の進行を血液検査で知る時代に突入 ― 真の利益のために何が必要か?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月27日のFB投稿です**
アルツハイマー病(AD)において,脳内の病理変化の進行を正確に把握することは治療方針の決定や予後の予測に重要と考えられています.アミロイドPETやタウPETがその役割を担うと考えられてきましたが,これらは高額,かつ専門的な施設を必要とするため,広く普及させることは容易ではありません.またADの患者数の多さと日本の医療経済の状況を考えても現実的ではありません.このような背景のもと,実際に認知機能障害の出現と密接な関係がある種々のタウ蛋白を血液で測定し,ADの病期(ステージ)を分類できるかどうかが大きな研究テーマとなってきました(ちなみにアミロイドβは発症約20年前から生じる引き金で,タウ蛋白は認知症発症前に急激に変化が生じる実行蛋白と考えられつつあります).
今回,Nature Aging に発表されたスウェーデンとカナダの共同研究は,まさにこの課題に取り組んだものです.スウェーデンの549例とカナダの140例,合計689例が対象です.研究では,リン酸化タウ(p-tau181, 199, 202, 205, 217, 231)と非リン酸化タウ(tau195-209, tau212-221, 0N-tauなど)の12種類のタウペプチドを,血液を用いて質量分析で同時に測定しました.特に重要となったのは p-tau217r(p-tau217 ÷ tau212-221),p-tau205r(p-tau205 ÷ tau195-209),そして0N-tauです.ここで「r」は ratio(比)を意味し,リン酸化ペプチドを対応する非リン酸化ペプチドで割ることで,腎機能などによる総タウ量の変動を補正し,病気特異的な変化をとらえやすくしています.
さて結果ですが,3つの指標(p-tau217r,p-tau205r,0N-tau)を組み合わせることで,患者を血液ステージ0〜3の4段階に分類できることが分かりました.
ステージ0:3つの指標すべてが正常. AβやタウPETも陰性が多く,認知機能も保たれる段階.
ステージ1:p-tau217rが異常となる. AβPETが陽性化するが,臨床的には無症候が多い段階.
ステージ2:p-tau205rが異常となる.タウPETが陽性化して,軽度認知障害が目立ち始める.
ステージ3:0N-tauが異常となる.タウの広範な蓄積と脳萎縮が進んだ,認知症を呈する段階.
つまりこの血液ステージは,PET所見や認知機能低下の進行とよく対応しています.ステージ0から1でAβ蓄積が進み,ステージ1から2でタウ沈着と軽度認知障害が出現し,ステージ2から3で急速に進行して認知症に至るという流れが明確に示されました.図1では,血液ステージが進むにつれて,まずアミロイドPETでAβ蓄積が検出され,次にタウPETで内側側頭葉や新皮質におけるタウ沈着が明らかになり,その後皮質厚の減少が認められ,最終的に認知機能指標(MMSEやmPACCなど)が低下することが示されています. 図2は血液ステージごとの主要なバイオマーカー・認知機能の変化を示しています.
本研究の臨床への貢献は,第1に,血液検査のみでADの病期を推定できることで,PETが利用できない施設でも診療に活用できる可能性を示したことです.第2に,アミロイドβ抗体や将来のタウ療法など,新規治療薬の効果は病期に依存するため,血液ステージを用いることでより適切な患者選択が可能となることです.治験においてもPET検査数を大幅に減らし,効率的に対象者を絞り込むことができると思われます.さらに,最新のJAMA Neurology誌に掲載された研究では,血漿p-tau217が前臨床期のアルツハイマー病において将来の認知機能低下を予測する有力な指標であることも示されています(文献2).
素晴らしい医学の進歩で,ここまできたかと感嘆しますが,個人的には複雑な気分です.これが臨床で使用されるようになると,ADの診断が気軽にできてしまいます.今までであれば十分な問診,診察,認知機能や周辺機能の評価,日常生活の状況,家族関係など多面的に調べられたものが,血液診断ひとつで済まされてしまう恐れがあります.果たしてそれでよいのかなと思います.早期診断が患者さんや家族に過度の心理的負担を与えたり,就労や保険加入に影響を及ぼす可能性,あるいは告知のタイミングや方法をめぐる新たな課題を生じさせることも考えられます.「できること」と「すべきこと」は必ずしもイコールではありません.「できるからやってしまう」という姿勢は,医療においては慎重であるべきです.
一方で,こうした血液バイオマーカーは,上述したように,PETが利用できない現場で診断や治療方針決定を助け,また新しい治療法を必要とする患者に早くつなげる可能性を秘めています.重要なのは,技術をそのまま導入するのではなく,臨床現場での使い方や倫理的配慮を含めて慎重に議論し,患者に真に利益をもたらす形で活用していくことだと思います.
1. Montoliu-Gaya L, Salvadó G, Therriault J, et al. Plasma tau biomarkers for biological staging of Alzheimer’s disease. Nature Aging. 2025. (doi.org/10.1038/s43587-025-00951-w)
2. Insel PS, Mattsson-Carlgren N, Sperling RA, et al. p-Tau217, Tau PET, and Cognition in Preclinical Alzheimer Disease. JAMA Neurol. Published online August 25, 2025. (doi.org/10.1001/jamaneurol.2025.2974)

・NHK「知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?(びっくりはてな)」に出演します!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月28日のFB投稿です**
標題の新番組の第2回放送「認知症 克服のカギ」に出演させていただきます.昨年からチーフディレクターの方々にレクチャーする機会をいただき,番組制作のお手伝いに関わってきましたが,正直どのような番組になるのか分からないまま進めていました.まさか自分が出演しタモリさんに直接お目にかかれるとは,まったく想像していなかったので,大変驚きました.
番組の内容は「認知症 克服のカギ」をテーマに,認知症に関する国内外の研究成果が次々と紹介される,まさに最先端の情報のオンパレードです.私自身も知らなかった新しい知見にも触れることができました.専門医でさえも驚かされる話題もあるように思います.また,さすがNHKという感じで,VTRによる研究紹介の迫力には圧倒されました.世界の第一線で活躍する研究者や,実際に病と向き合う患者さん・ご家族への直接取材から得られた言葉には,深い重みがありました.
認知症は確かに大変な病気ですが,その研究は確実に前進していることが伝わると思います.番組の終盤では「認知症を克服するとはどういうことなのか?」というところまで議論は深まります.私たちがこれから認知症にどのように向き合い,支え合っていくべきかを考えるきっかけになる番組だと思います.ぜひご覧ください.放送は9月6日(土)19:30~20:48(78分)です.
出演者インタビューをこちらからご覧いただけます:
認知症は克服できる!?タモリ、山中伸弥らが研究の最前線を深掘り&認知症関連番組も
https://www.nhk.jp/…/blog/bl/pB4Egql2A5/bp/pDERAG6rZp/

・ChatGPT時代の医師教育 :学びを支えるか,奪うかの境目は?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月31日のFB投稿です**
ChatGPTのような大規模言語モデル(AI)が,医療の現場にどんどん入ってきています.とても便利ですが,いいことばかりではありません.私自身,「若い先生の方がAIの影響を強く受けるのではないか」と漠然とした懸念を持っていましたが,先日読んだ New England Journal of Medicine の総説で,その疑問が整理されました.
まずAIのデメリットとして,教育の現場では次の3つが特に問題になります.
• Never-skilling:必要な力を身につけられない
• Mis-skilling:AIの誤りをそのまま覚えてしまう
• Deskilling:せっかく身につけた技能が失われる
医師はトレーニングを重ねることで,ある時点で「自動的なルーティンの実践」から「柔軟で創造的な実践」へと成長することができます(図1の①).このあとAIをうまく批判的に活用すれば,さらに成長が加速していきます(図の②).ただベテラン医師でも「自動的なルーティンの実践」のままの人もいますし(③),AIを安易に使うとDeskillingやMis-skillingが起きてしまいます(④).
注意すべきは,学習曲線のスタート地点が3本あることです.これは学習者の経験の違いを表しています.
• ベテラン医師(A)は,すでに高い技能を持っているため,AIを参考にしても「どこが正しく,どこが間違っているか」を判断しやすく,補助手段として有効に使えます.
• 中堅医師(B)は,AIをうまく使えば大きく成長できますが,依存すると逆に自分の推論力を磨く機会を失ってしまいます(⑤).
• 医学生や研修医などの初学者(C)は,AIの答えをみな「正解」と思い込んでしまう危険があり,成長が伴わず,低いレベルでとどまってしまう恐れがあります(⑥).ただし教育者が「なぜこの診断が出たのか,自分の言葉で説明してみよう」と検証的・批判的に問いかければ,AIを学びの出発点に変えることができます(⑦).
つまり,同じAIでも,誰がどう使うかによって,学びの行方は大きく変わるということです.また基盤を伴わない初学者ではAIへの対処の影響が大きいということです.教育者は,学習者の段階に応じてAIの「検証的・批判的な使い方」を指導していく必要があります.
具体的には著者らは「DEFT-AI」という指導法を提案しています(図2).診断の振り返り(Diagnosis),証拠の吟味(Evidence),フィードバック(Feedback),教育的な指導(Teaching),そしてAI活用の推奨(AI recommendation)の5つを柱に,AIを使う場面を教育の機会に変えようというものです.
さらに,人とAIの協働には二つのスタイルを提示しています.「ケンタウロス型」では役割を分担し,危険度の高い判断は人間が担います.一方「サイボーグ型」では人とAIが一体化し,出力を一緒に練り上げていきます.診断のような場面ではケンタウロス型,メール文案のような低リスクの作業ではサイボーグ型が向いていると書かれています.
著者の結論はシンプルです.著者らは「verify and trust(検証してから信頼する)」を強調しています.AIの答えを鵜呑みにせず,自分の知識や証拠と照らし合わせた上で活用することが大切なのです.これからの医学教育は,AIを避けるのでも過信するのでもなく,賢く付き合うことが求められる時代に入ったのだと思います.ただし,この議論は現時点のAIが「不完全であること」を前提にしています.もし将来,AIの精度が飛躍的に高まり,人間の判断に匹敵する水準に達した場合,教育や臨床現場での位置づけそのものが変わる可能性があります.
Abdulnour R-E, Gin B, Boscardin CK. Educational Strategies for Clinical Supervision of Artificial Intelligence Use. N Engl J Med. 2025;393:786-97. (doi.org/10.1056/NEJMra2503232)

(作成者)峯岸 瑛(みねぎし あきら)