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2025年12月のニュース

ポールウォーキングは、上肢・体幹・下肢を連動させる全身運動なので脳の運動中枢にとっても良い刺激となり、リハビリにも取り入れられますが、脳のトポロジーは変化させるのでしょうか?
脳のトポロジーにおける4つの重要な転換点(9歳:子ども期から思春期への移行、32歳:成人期の始まり、66歳:初期老化期の始まり、83歳:後期老化期の始まり)を明らかにした論文、定期的な運動のがん抑制メカニズムを明らかにした論文、岐阜大学医学部の下畑先生からの最新医学情報等を、お届けします。

1.2025年12月の活動状況
長谷川 弘道さんの投稿
ohana ポールウォーキング in モリコロパーク

遠藤 恵子さんの投稿
真冬の冷たい空気❄️ 本日の運動教室では手が冷たい方が多く霜焼けできている方もおられたので運動に加えてハンドケアも実施しました✨ セラピストとしての学びが活かせています🍀🫶 日頃から指の動きが悪かった男性から「おや?指が動くようになったばい!これは家でも続けた方がいいね」と嬉しい声もいただきました❤︎ お役に立てれて嬉しかったです♡

スマイルチームさんの投稿
ポールウォーキング

田村 芙美子さんの投稿
午前中 渋谷区元気すこやか事業 のポールウォーキング教室 今日は計測日。 午後から 近くの代々木公園でノルディックウォーキングプライベートレッスン。 2種のポール持参でした。

中村 理さんの投稿
一年振りのメンバーと一年振りの中山道PW〜 佐久/岩村田〜望月宿迄 二日に掛け約14kmのPWで。 久々のロングで充実の日々❗️ 来年は残り 望月宿〜茂田井宿〜立科/芦田宿PWを約束ww

校條 諭さんの投稿
屋上農園でカブを収穫 神田錦町の5階建てビルの屋上でカブの種を植えたのは9月18日でした。ちよだプラットフォームスクウェアの「ちよぷらアグリ」の活動です。 本日(12月6日)無事収穫。プランターによっては虫に食われたところもありましたが、私のは幸運にも無事でした。 ミニトマト、春菊、トウモロコシ、バジルなどを植えてきましたが、春菊、バジルと同様うまくいきました。

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【春待月定例会2】   2025/12/6 #船橋ウォーキングソサイエティ #2本のポールを使うウォーキング   #海老川土曜コース     定着した   #インターバルウォーキング   2分を5セット 20分  初冬にいい汗をかきます♬ #ノルディックウォーキング #ノルディックウオーク #ポールウォーク #ポールウォーキング #インターバル速歩

スマイルチームさんの投稿
2025.12.2〜7 活動記録 ☺︎中屋敷CH体操 19名 ☺︎公民館抽選確認 ☺︎HP活動日更新 ☺︎舞台小道具作成 ☺︎スマイルPW 14名 ☺︎スマイルチーム上溝自主練 16名 ☺︎スマイルリズムエクササイズ 19名 ☺︎活き活き中屋敷PW 14名 ☺︎上鶴間公民館年末大掃除 ☺︎上鶴間公民館まつり実行委員会① ☺︎上鶴間公民館まつり発表部門調整会議①

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 今年度の外歩き仕舞いの 駒場例会でした。 前回の皆勤賞授与の欠席者表彰から始まり〜 先日の初雪も無くなった公園と牧場を、ゴミ拾いしながらの無事歩けた感謝を込めたポールwalk〜❗️ 残るは1月2月の「室内ポールウォーク」/フレイル予防の体育館迄お出掛けしての有酸素運動です‼️ お待ちしています。

田村 芙美子さんの投稿
神奈川健生クラブの活動イベントの1つ 地域グループ三浦ネットが企画担当のハイキングコースを今日はPWの例会と兼ねて歩きました。寿福寺スタート~源氏山~葛原岡神社~銭洗弁財天宇賀福神社~佐助稲荷神社~鎌倉歴史文化交流館(今日は休み) ポールがあれば山道も階段も楽々ですが本番は一般の参加者で少々しんどいかしら。 交流館手前で皆と別れ、人生初の甘味茶房雲母(キララ)

北陸ポールウオーキング倶楽部の中嶋  佳奈恵さんの投稿
今日から始める未病予防教室 | ポールウォーキング石川

長岡智津子さんの投稿
どっ鯉ポールウォーキング

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
新北林口站|活動花絮回顧 林口今天好熱鬧! 大家一早精神滿滿集合,先練習暖身, 接著一路健走、一路聊天,步伐越走越一致。😄✨ 走進民視大樓後,更是全場驚呼連連, 大家第一次站上主播台、第一次走進攝影棚、 第一次看到密密麻麻的燈架與場景, 每個人都像回到學生時代的郊遊般興奮。📸🎬 有的人拍照拍到捨不得離開、 有的人默默觀察機器設備、 也有人邊走邊說「原來平常節目是這樣錄的喔!」 今天的健走不只是運動, 更像是一場「走進電視世界的冒險」。 謝謝大家一路的笑聲, 下一站我們繼續一起走得更開心、更自在。 #2025健走杖輕旅行 #雙杖在手健康跟著走 #台灣健走杖運動推廣協會

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【春待月の定例会3】 2025/12/11 #2本のポールを使うウォーキング #船橋ウォーキングソサイエティ #行田公園 今日もしっかり頑張りました〜  #ストレッチと筋トレ #インターバルウォーキング  会員考案「ポールホルダー」を  スタッフが仕上げました。 日常生活で是非活用して欲しい です。

田村 芙美子さんの投稿
【紅葉狩り】 北鎌倉のメンバー有志と行ってきました。朝10時に鎌倉駅を出発して・・・下山したのは16時前。ゆっくりさんに歩調をあわせてのんびり歩きました。横浜方面からの50名のグループ始め大勢のハイカーとすれ違いました。去年より一週間遅かったけれど山の中の自然の織り成す紅葉や楓は美しく、思わず見とれてしまいました。マスクをしていたのは寒さ防止。

校條 諭さんの投稿
紅葉残る初冬の光が丘公園をポール歩き 2本のポールで歩くと、歩きなのに全身運動になり、負担感少なく有酸素運動効果が得られます。 12月の気まポ(気ままにポール歩き)は、練馬区にある都立光が丘公園の、広々としていろんな顔を持つコースを楽しみました。 曇りの予報だったのに、むしろ快晴で、暖かい日差しが心地よい感じでした。 今回、いつものメンバー以外に、3年近く前までやっていた杉並ポール歩きの会(杉ポ)の講師陣のひとりだった長井さんが片道2時間かけて来てくださいました。 都営大江戸線光が丘駅のすぐ近くにあるショッピングビルIMA(イマ)の中にあるイタリアンで乾杯、ピザやパスタをいただきながら歓談しました。 ※写真は、メンバーの田村君(高校同期)、石井さんからもいただきました。

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【春待月定例会④】 2025/12/15 #船橋ウォーキングソサイエティ  #シニアポールウォーキング  「楽しかった〜 ♬  この日は外せないわ」 そんな言葉を帰り際に頂けます #コグニサイズで頭ぐしゃぐしゃ #ハードルで転倒予防 #すべらないインソール型マットで #バランス力と脚力アップ 椅子があるから  疲れたら自由にひと休み 「頑張らないけど頑張る」   シニア長続きの秘訣は     ここでしょうか〜

田村 芙美子さんの投稿
鎌倉腰越ポールウォーキング火曜サークル 今年最終活動日。センターで計測を済ませ広町緑地までPW移動 。 ストレッチ・筋トレ・ポールゲームを楽しんで来春は新年会から始まります。

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
台中水湳站|活動花絮回顧 水湳今天的風景,美得讓人忍不住放慢腳步。 🌤️✨ 走入水湳生態公園時, 寬闊的滯洪池、水光反射、綠意成片, 大家的步伐也自然變得輕盈。 接著我們一路走進二分埔公園, 綠色廊道開得很美,大家並肩而行的畫面好溫柔。 活動最後的收操伸展, 大家圍著棚架下慢慢放鬆, 看得出來,每一位都走得剛剛好、舒服到位。 台中水湳,用最自然的方式, 陪我們完成今天美好又平靜的健走旅程。💚 #2025健走杖輕旅行 #雙杖在手健康跟著走 #台灣健走杖運動推廣協會

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【春待月定例会6】  2025/12/20 #船橋ウォーキングソサイエティ #土曜海老川定例会  #2本のボールを使うウォーキング  1年振りの #サーキットトレーニング 中盤で予報よりも早い雨降りになりました。ポールを傘に持ちかえたり フードをかぶり予定の3クールを 実施。年納めをしっかり運動で締めくくりました。

田村 芙美子さんの投稿
きのこ頭の愉快な集まり

片山昇さんの投稿
大野と鹿沼公園2つのクラブ、今日はクリスマスウォーク 1年間皆さん頑張りました。

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 先日イブの日 コラボ先の佐久大学看護学部実習報告会へ参加して来ました。 一年生実習内容/〜ウォーキングイベントを通じて「地域住民の疾病予防・健康づくりについて考える〜 4年生は/〜健康教室「ポールを使った体操と筋トレ」の企画・実践〜 の結果の素晴らしい報告でした。 お疲れ様でした。

大内 克泰さんの投稿
クリスマスイヴは藤沢市の介護予防事業の講師を拝命いただき、長距離ドライブを楽しみつつレッスンを実施して来ました。 地方や関東圏隔てなく、こうした行政が実施する「運動教室」は、やはり圧倒的に女性の参加が多く、高齢男性の参加率向上の難しさは同じなんだと実感しました。 拠点を福島に移しても、最も長く住んだ地域にご縁をいただける事は有り難いですね😌

田村 芙美子さんの投稿
鎌倉市地域包括支援センターテレジア1・2   この圏内には、ポールウォーキングによる介護予防ストレッチ&筋トレクラスが4か所あります。 今年の活動は今日の貯筋クラスで終了しました。来年は6日腰越同好会からスタートです。クラスは月イチ体組成計測で始まります。ご自宅では毎日2分×4種のお好きな中強度運動をして専用カレンダーに✅☑️✅☑️を入れることを生活習慣にしています。鎌倉市民でしたらどなたも参加できます。介護認定2のかたもいらっしゃいます。が、どのサークルも明るく楽しいかたばかり。無理はせず、運動とコミュニケーションの通いの場として長く続けられれれば良いと思います。来年も宜しくお願い申し上げます。

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【春待月 定例会7】 2025/12/25 #船橋ウォーキングソサイエティ の2025年の締めくくりは #2本のポールを使うウォーキング #行田公園木曜日コース です。 今年も一年間お世話になりました。 有難うございました。 イベント広場の円形を利用して #サーキットトレーニング 暑い夏も越え、寒い冬にも備え 皆で元気にやり切りました。    最幸な一年でした。

 

来月以降の開催
みんなの元気学校さんの投稿
志木いろはウォークフェスタ 第10回ノルディックウォーキング・ポールウォーキング全国大会を開催します! – ずっと住み続けたいまち 志木

みんなの元気学校さんの投稿
2026年のLINKくにたち「ポールdeウォーク」 5月10日(日曜日)に開催決定 ※歩行者天国を使用できる時間:14時15分~15時45分 国立駅前から一橋大学方面に伸びる大学通り約600メートルが歩行者天国となってノルディックウォーキング・ポールウォーキング専用に 「各団体・サークルが垣根を越えて一緒に集まれる場となればと願っています」(企画者の芝田竜文さん) ※写真は2023年

 

2.PW関連学術ニュース
2-1)脳は0歳から90歳までの間に4つの劇的な変化期を経験する
ヒトの脳内ネットワークの発達・変化についての大変興味深い論文がNature誌に掲載されたので、紹介します。

原論文:Nature Article (Open access)
公開日:Published: 25 November 2025
表題:Topological turning points across the human lifespan
(和訳:人間の生涯にわたる位相的転換点)
著者:Alexa Mousley, Richard A. I. Bethlehem, Fang-Cheng Yeh & Duncan E. Astle
掲載誌:Nature Communications volume 16, Article number: 10055 (2025)

要旨
構造的トポロジーは生涯を通じて非線形に発達し、認知軌跡と強く関連している。我々は、0歳から90歳までの集合的な年齢範囲のデータ・セット(N  = 4,216)から拡散イメージングを収集した。我々は、組織化の12のグラフ理論メトリクスが加齢とともにどのように変化するかを分析し、均一多様体射影および近似を用いてこれらのデータを多様体空間に射影した。これらの多様体を用いて、我々は生涯を通じて4つの主要なトポロジー転換点(9歳、32歳、66歳、83歳頃)を特定した。これらの年齢は、それぞれが明確に加齢に伴うトポロジーの変化を伴った、トポロジー発達の5つの主要なエポックを定義した。これらの生涯エポックはそれぞれ、明確に異なる位相発達の方向と、年齢とトポロジーの関係を推進する組織特性の特定の変化を伴っている。本研究は、多変量、生涯、集団レベルの視点でのみ明らかにすることができる、トポロジー成熟の独特な段階を伴う、人間の発達の複雑で非線形な性質を強調している。

図 1: データセットの人口統計、方法の概略、およびネットワーク接続。
a各データセットの年齢の分布(dHCP = 開発中のヒトコネクトームプロジェクト、BCP = 乳児コネクトームプロジェクト、CALM = 注意学習記憶センター、RED = 教育と発達におけるレジリエンス、ACE = 教育における注意と認知、HCPd = ヒトコネクトームプロジェクト開発、HCPya = ヒトコネクトームプロジェクト若年成人、camCAN = ケンブリッジ老化・神経科学センター、HCPa = ヒトコネクトームプロジェクト老化)。bサンプル全体の年齢にわたる性別の分布のヒストグラムと密度プロット。c方法の概略図では、年齢相応の AAL90 アトラスに登録されたすべての参加者に対して繊維追跡が実行され、その後、アトラスとデータセット全体で ComBat アルゴリズム37を使用して調和が図られました。次に、可変密度と密度制御の 2 つのしきい値分析が行われました。密度制御分析では、総接続性の違いによる偏りのない直接的なトポロジ比較を可能にするために、すべてのネットワークが正確に 10% の密度91に閾値設定されました。

関連情報
1)同論文の紹介記事(Nature誌)です。
表題:Your brain undergoes four dramatic periods of change from age 0 to 90
Our brain wiring seems to undergo four major turning points at ages 9, 32, 66 and 83, which could influence our capacity to learn and our risk of certain conditions
(和訳:脳は0歳から90歳までの間に4つの劇的な変化期を経験する
私たちの脳の配線は、9歳、32歳、66歳、83歳で4つの大きな転換期を迎えるようで、それが学習能力や特定の病気のリスクに影響を与える可能性がある。)
著者:Carissa Won
掲載日:25 November 2025私たちのニューロンの配線は、数十年を経て変化する
アレクサ・マウズリー、ケンブリッジ大学

**以下は、解説記事の冒頭部分の和訳です**
私たちの脳機能は生涯を通じて決して静止した状態ではありません。学習能力や認知機能低下のリスクは、新生児から90代まで変化することが既に知られています。そして今、科学者たちは、なぜこのような変化が起こるのか、その潜在的な理由を明らかにしたかもしれません。それは、脳の神経回路が9歳、32歳、66歳、そして83歳という4つの大きな転換期を迎えるからなのです。

2)同論文について、Copilotと会話してみました(2025年12月3日)。
Q1:次の論文の要旨を教えてください。
A1:この論文「Topological turning points across the human lifespan」は、人間の脳の構造的トポロジー(神経接続のパターン)が人生を通じてどのように変化するかを調べた研究です[1]。
研究チームは0歳から90歳までの4,000人以上の拡散MRIデータを用いて、脳ネットワークの12のグラフ理論指標を分析しました。その結果、脳のトポロジーにおける4つの重要な転換点が明らかになりました:
• 9歳:子ども期から思春期への移行
• 32歳:成人期の始まり
• 66歳:初期老化期の始まり
• 83歳:後期老化期の始まり
これらの転換点により、人生を5つの「トポロジー的時代」に分けることができ、それぞれの時代で脳のネットワーク構造が異なる方向に変化していることが示されました[2]。
この研究は、脳の発達と老化が単純な直線的変化ではなく、非線形で段階的な再構成を伴うことを示しており、認知機能や精神的健康との関連性を理解するうえで重要な知見を提供しています[3]。
もしご希望であれば、各時代の特徴や使われた指標の詳細もお伝えできますよ。

Q2:お願いします。
A2:お待たせしました!この研究では、人生を通じて脳のネットワーク構造がどのように変化するかを、12のグラフ理論指標(例:効率性、モジュラリティ、ハブ中心性など)を用いて解析しています[1]。その結果、脳のトポロジー的発達は5つの「時代(エポック)」に分かれることが明らかになりました。それぞれの時代には、特徴的な構造変化と機能的意味があるんです。
🧠 脳の5つのトポロジー的時代と特徴
この研究の面白いところは、脳の発達や老化が直線的ではなく、段階的な「再構成」を伴うという点です。特に、32歳まで脳の再編が続くという発見は、教育やキャリア形成、さらには精神疾患や認知症の予防にも新しい視点を与えてくれます[2][3]。もっと深く掘り下げて、各指標がどのように変化していたかも見てみますか?それとも、応用的な視点(教育、医療、資産設計など)での活用に興味がありますか?

Q3:各指標がどのように変化しているのですか?教えてください。
A3:お待たせしました!この研究では、12種類のグラフ理論指標を用いて、脳のネットワーク構造が年齢とともにどのように変化するかを詳細に解析しています[1][2]。以下に、各指標の分類とその変化の傾向をまとめてみました:
🧠 使用されたグラフ理論指標とその変化
これらの指標の変化は、非線形かつ段階的であり、特に9歳・32歳・66歳・83歳の4つの転換点で大きな構造的変化が観察されました[1]。たとえば、グローバル効率性が29歳でピークを迎えるというのは、脳の情報処理能力がこの時期に最も高まることを示唆しています。
このような知見は、発達障害や認知症の早期発見、教育・介入の最適化、さらには高齢期の資産設計や生活支援のタイミングを考えるうえでも非常に有用です。
もっと深掘りして、特定の指標と認知機能や精神疾患との関連を見てみますか?それとも、これらの知見をどう応用できるかを一緒に考えてみましょうか?🍄
[1]: Nature Communications 論文PDF [2]: News-Medical.net 解説記事

Q4:まずは、認知機能との関連、次に、教育・介入の最適化との関連について解説して下さい。
A4:ではまず、認知機能との関連から見ていきましょう。
🧠 脳のトポロジーと認知機能の関連
この研究では、脳のネットワーク構造(トポロジー)と認知機能・行動・精神的健康との関連が明確に示されています[1][2]。特に以下のような関係が注目されています:
• 幼少期(〜9歳):この時期は「ネットワーク統合性」が急速に高まる時期で、言語、注意、記憶の基盤が形成されます。トポロジーの変化が学習能力や発達障害のリスクと密接に関係しています。
• 思春期〜若年成人期(9〜32歳):脳の効率性と統合性がピークに達する時期で、抽象的思考、自己制御、社会的判断力が発達します。精神疾患(例:統合失調症、うつ病)の発症リスクもこの時期に集中するため、トポロジーの変化が予測因子となる可能性があります[3]。
• 成人期(32〜66歳):脳の構造が最も安定し、認知的柔軟性や意思決定能力が成熟します。個人差が大きく、トポロジーの違いが知的能力や創造性の個人差と関連していると考えられています。
• 高齢期(66歳以降):ネットワークの統合性が低下し、記憶力や処理速度の低下が見られます。特に83歳以降は、認知症や軽度認知障害(MCI)との関連が強まるとされています。

🎓 教育・介入の最適化との関連
この研究のもう一つの大きな意義は、教育や医療的介入のタイミングを科学的に導く手がかりになることです:
• 9歳前後の転換点:この時期は学習支援や発達支援の「ゴールデンタイム」。ネットワークの再構成が始まるため、読み書きや社会性の介入が最も効果的とされます。
• 思春期(10代後半〜20代):精神的ストレスや社会的プレッシャーが増す時期。メンタルヘルス教育やレジリエンス強化の介入が、脳のトポロジー的安定性を高める可能性があります。
• 30代前半(32歳):脳の効率性がピークを迎える時期。成人教育やキャリア形成支援が、脳の構造的成熟と一致するため、学び直しやスキル習得に適した時期といえます。
• 66歳以降の高齢期:ネットワークの統合性が低下し始めるため、認知トレーニングや社会的活動の維持が、老化の進行を緩やかにする可能性があります。
このように、脳のトポロジー的転換点を軸にしたライフステージ別の介入設計は、教育政策や医療戦略に新たな視点を提供してくれます。
次は、これらの知見をどう資産設計や家族戦略に応用できるか、一緒に考えてみましょうか?それとも、特定の時期に焦点を当ててさらに深掘りしてみますか?🍄
[1]: Nature Communications 論文PDF [2]: Cambridge University 解説記事 [3]: News-Medical.net 解説記事

 

2-2)がんの予防と治療に関する最新の話題2つ:大阪大学宮坂先生のFB投稿より
2-2-1)定期的な運動が、がん細胞の増殖を抑制し、がんの予後を改善するメカニズム
**以下は、大阪大学の宮坂昌之先生の2025年12月4日のFB投稿です**
われわれの身体では、たとえがんが存在していても、定期的に運動をすることによりがん細胞の増殖が抑えられ、がんの予後が改善すると言われています。しかし、どのようなメカニズムでそうなるのか、はっきりとはわかっていませんでした。アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループが、マウスの実験モデルを用いて、この点について明らかにし、その論文が専門誌PNASの12月1日号に掲載されています(https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2508707122)。
この研究では、マウスを回転するホイールの上を自発的に走らせるという「ホイールランニング」をさせています。すると、自発的な運動によって、からだの組織でグルコースの取り込みと酸化(=グルコースをエネルギーとして利用するのに必要な過程)が高まる一方、がん組織ではグルコースの取り込みと酸化が逆に減っていて、これとともにがん細胞の増え方が抑えられていました。そして、運動をしたマウスのがんでは、mTORという特定のシグナル経路(=細胞の増殖、成長、代謝を制御する経路)の働きが抑えられていました。
面白いのは、肥満マウスに運動をさせると、からだでのグルコース代謝が高まり、脂肪組織以外の体重はあまり変わらないものの脂肪は減少し、その後に腫瘍を移植した時には、非運動マウスに比べて、腫瘍細胞増殖が明らかに抑えられていて、たとえまだがんが出来ていない状態であっても運動をすれば、がん細胞が増えにくくなる状態が生まれてくることが観察されています、つまり、運動をがん治療後のリハビリテーションとして使うだけでなく、がん治療前のプレハビリテーション(=手術前や化学療法前に、前もって運動や栄養サポート、精神的ケアを行い、心身のコンディションを整えること;貯金ならぬ貯筋というプロセスがこれに相当)としても使える可能性が示されています。
以上、少なくともマウスにおいては、有酸素運動によって正常組織とがん細胞の間でグルコースの一種の代謝拮抗が見られ、そのためにがん細胞のエネルギー消費が抑えられ、増殖が抑えられる、というシナリオがはっきりとしてきました。しかも、運動ががんのリハビリテーションとしてだけでなく、プレハビリテーション(上記参照)としても有効である可能性が示されています。
ヒトでも「運動ががんの予後を改善する」と言われてきましたが、今回の話はなるほど、と思います。「ヒトでも実験によって確認しないと…」という(正論を)言う人が居るかもしれませんが、我こそは実験に参加したいという奇特なボランティアが出てこない限り、それはちょっと難しいでしょうね。

関連情報
原論文
表題:Precancer exercise capacity and metabolism during tumor development coordinate the skeletal muscle–tumor metabolic competition
(和訳:腫瘍発達中の前癌運動能力と代謝は骨格筋と腫瘍の代謝競合を調整する)
著者:Brooks P. Leitner, Andin E. Fosam, Won D. Lee, +7 , and Rachel J. Perry
掲載誌:PNAS December 1, 2025
doi:https://doi.org/10.1073/pnas.2508707122

要旨
運動能力の向上と定期的な運動トレーニングは、がんのあらゆるステージにおいて予後を改善する。しかし、腫瘍と宿主の相互作用を媒介する有酸素運動トレーニングに対する代謝適応については十分に解明されていない。本研究では、マウスにおいて、自発的なホイールランニングが腫瘍の成長を抑制し、ブドウ糖の取り込みと酸化を骨格筋と心筋に再分配し、乳がんおよび悪性黒色腫の腫瘍から遠ざけることを実証する。さらに、プレハビリテーションは肥満マウスにおいてブドウ糖代謝の再分配を誘導する。骨格筋と心筋におけるブドウ糖の取り込みと酸化は促進され、腫瘍におけるブドウ糖代謝は減少する。これらの筋肉におけるブドウ糖代謝の増加と腫瘍におけるブドウ糖代謝の減少は、腫瘍の進行遅延と相関している。[U- 13 C 6 ]ブドウ糖注入を用いて、運動は筋肉における酸化代謝へのブドウ糖の寄与を増加させる一方で、腫瘍における寄与を減少させることを示した。これは、有酸素運動が全身のブドウ糖代謝を腫瘍微小環境から代謝活性組織へと移行させることを示唆している。転写解析により、運動マウスの腫瘍におけるmTORシグナル伝達のダウンレギュレーションが明らかになった。これらの知見を総合すると、自発的な運動は宿主組織のグルコース酸化を促進し、腫瘍におけるグルコースの利用可能性を制限することで腫瘍の進行を抑制する可能性が示唆され、運動誘発性の代謝競合が腫瘍のエネルギー動態を抑制するというモデルを支持するものとなった。

2-2-2)大腸がんに対する新しい治療法開発の試み
**大阪大学の宮坂先生の2025年12月2日のFB投稿です**
大腸がんに対する新しい治療法開発の試みに関するお話です。ちょっと複雑な話です。DNAとか、遺伝子変異とか、がんのネオ抗原とかについてある程度の知識をお持ちの方々向けに書いています。
大腸がんには、最近はやりの免疫チェックポイント療法(免疫細胞のブレーキを外してがんを攻撃させる治療法)が良く効くものと、そうでないものがあります。良く効くものは、最初の図に示すように、マイクロサテライト不安定性の腫瘍、あまり効かないのはマイクロサテライト安定性の腫瘍、ということがわかっています。
マイクロサテライト不安定性のものでは、変異によって出来た異常DNAを修復する機構に欠損があるために、マイクロサテライトと呼ばれる配列の繰り返し部分でミスの蓄積が見られます(このためにマイクロサテライト不安定性という名前が付いています)。この場合には、異常DNAの修復機構が欠けているために遺伝子変異が高い頻度で起こります。その結果できたがん細胞では、(正常組織には無くて)がん細胞だけに存在するいわゆるネオ抗原が多種類作られることになります。すると、がん細胞に対する免疫反応が起こりやすくなり、がんを攻撃するキラーT細胞がうまく作られる傾向があります。この細胞がうまくがん組織の中に入ると、いわゆるホットな腫瘍(免疫細胞を多く含む腫瘍)となり、がん細胞を攻撃して、がん細胞が死滅しやすくなります。この時にさらに免疫細胞のブレーキを外すチェックポイント療法を使うと、がん細胞がさらに効率よく殺されるようになります。つまり、大腸がんの中で免疫チェックポイント療法が一番良く効くのは、このタイプのものです。
一方、免疫チェックポイント療法が効かないのは、いわゆるコールドな腫瘍で、がん組織の中に免疫細胞が非常に少ないタイプのものです。

最近、大腸がんの分類法として国際的コンセンサス分類(CMS分類)が用いられています。それを示したのが2枚目の図です。CMS分類の中でも、CMS1サブタイプが上記のマイクロサテライト不安定でホットな腫瘍を作るタイプのものに相当し、免疫チェックポイント療法が非常に良く効きます。一方、CMS2はコールドな腫瘍ですが、標準的な化学療法や分子標的薬が良く効き、幸い、予後が良いがんです。CMS3, 4はいずれもコールドな腫瘍で、特にCMS4は免疫細胞排除型ともよばれ、がん組織の中に免疫細胞を入れないようにしているように見えるタイプのもので、予後が悪く、免疫チェックポイント療法があまり効きません。
前置きが長くなりましたが、京大消化器内科の研究グループが、マウスの実験モデルを用いて、新しい大腸がんの治療法の開発を試み、CMS4タイプのがんに対する新しい治療法を見つけました。専門誌Nature Communicationsの最新号にその論文が掲載されています(https://www.nature.com/articles/s41467-025-66485-2#citeas)(非常に良く書けた論文で、私としては感心して読みました)。

彼らは、CMS4タイプの大腸がんでは、がん組織のすぐ外側までキラーT細胞が来ているものの組織の中に入れないためにがん細胞が攻撃できないのかもしれないと考えました。そこで、このタイプのがんでは免疫細胞をがん組織の中に入れないようにしている仕組みがあると考え、がん組織に存在する線維芽細胞に注目して調べたところ、トロンボスポンジン-2(THBS2)という分子が沢山発現していることを見つけました。
THBS2は以前から発現が高いと予後が悪いことがわかっている分子で、彼らはこの分子が免疫細胞のがん組織への侵入を妨げていると考えました。そこで、マウスの実験モデルでTHBS2の発現を止めると、免疫チェックポイント療法が途端に良く効くようになり、キラーT細胞ががんの組織内に浸潤して、がん細胞の破壊が始まり、さらに、キラーT細胞を惹きつけるケモカインであるCXCL9/10ががん組織の中で強く発現するようになり、そのためにキラーT細胞がさらにがん組織に入りやすくなり、がんの治療効果が高まるようになりました。
すなわち、大腸がんの組織でTHBS2の働きを止めると、難治性であるはずのコールドな腫瘍がホットな腫瘍に変わり、がん組織への免疫細胞の浸潤が高まり、がんの免疫療法の効果が大いに高まるということがわかったのです。まだマウスの実験モデルの段階ですので、今後はヒトでの応用の可能性が探られることとなります。
出来てしまったがん細胞を免疫の力で排除するというのが、がん免疫療法です。その際にTHBS2という分子の働きをうまく止められると、特定のタイプのがんでは、免疫療法の効果がぐんと高まるのかもしれません。医学は日進月歩の世界です。さらなる研究の発展が期待されます。

関連情報
原論文
掲載誌:Nature Communications Article(Open access)
公開日:Published: 23 November 2025
表題:Targeting fibroblast derived thrombospondin 2 disrupts an immune-exclusionary environment at the tumor front in colorectal cancer
(和訳:線維芽細胞由来トロンボスポンジン2を標的とすることで、大腸癌の腫瘍前線における免疫排除環境を破壊する)
著者:Kosuke Iwane, Yuki Nakanishi, Yu Muta, Jiayu Chen, Kento Yasumura, Mayuki Omatsu, Naoki Aoyama, Munehiro Ikeda, Yoko Masui, Liyang Cai, Go Yamakawa, Kensuke Hamada, Kenta Mizukoshi, Munenori Kawai, Kei Iimori, Shinnosuke Nakayama, Nobukazu Agatsuma, Takahiro Utsumi, Munemasa Nagao, Takahisa Maruno, Yukiko Hiramatsu, Nobuyuki Kakiuchi, Masahiro M. Nakagawa, Yasuhiro Fukui, …Hiroshi Seno Show authors

要約
線維性大腸癌(CRC)は、マイクロサテライト安定性が大部分を占め、免疫浸潤が乏しい線維形成性間質を呈する。本研究では、線維性CRCにおける免疫排除性表現型の重要な制御因子としてトロンボスポンジン2(THBS2)を同定した。THBS2は、腫瘍先端部のマトリックス癌関連線維芽細胞で高度に発現している。線維形成性腫瘍オルガノイドを用いた同所性モデルにおいて、Thbs2の全体的または線維芽細胞特異的な欠失は、排除バリアを破壊し、腫瘍内CD8 T細胞を増加させる。機構的には、THBS2は樹状細胞およびマクロファージ由来のCXCL9/10を抑制することでCXCR3 + CD8 T細胞の動員を制限する。これらの骨髄細胞の枯渇、またはCXCL9/10-CXCR3シグナル伝達の阻害は、増強されたCD8 T細胞流入と抗腫瘍効果を無効にする。空間プロファイリングにより、THBS2の欠損はCD8 T細胞と骨髄細胞の近接を誘導し、ケモカインの発現を上昇させることが示された。浸潤が増加するにもかかわらず、CD8 T細胞は疲弊状態を示し、腫瘍は免疫チェックポイント阻害に対する感受性が非常に高くなる。したがって、THBS2は線維性大腸癌における免疫排除を克服するための、CAF特異的な標的として扱いやすいと考えられる。

 

2-3)岐阜大学医学部の下畑先生からの最新医学情報(2025年12月)
・患者数 倍増のパーキンソン病を予防する25の提案!―話題の書『The Parkinson’s Plan』より―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月3日のFB投稿です**
2018年のJAMA Neurology誌にパーキンソン病(PD)患者が世界的に急増し,パンデミック状態にあることが報告されました(JAMA Neurol.2018;75:9-10.).メタ解析の結果から,全世界の患者数が2015年の690万人から,2040年では2倍以上の1420万人に急増するという推定に基づくものです.PDは加齢と遺伝が主因と思われがちですが,近年,「環境毒による神経障害」が原因かもしれないという疫学研究や基礎研究が相次いで報告されています.例えば,大気汚染のPM2.5はαシヌクレインの構造を変化させて,凝集が速く,分解されにくく,かつ強い神経毒性を示すフィブリルに変えてしまいます(Science. 2025;389(6716):eadu4132).このため「生活や環境の調整が予防や進行抑制につながるのではないか」という見方が広がっています.これを詳しく解説した本が,米国の脳神経内科医 Ray Dorsey 教授と Michael Okun 教授が執筆した『The Parkinson’s Plan(https://amzn.to/4iyOBnF)』 です.PLANの意味は,「予防 (Prevent)」「学習 (Learn)」「増幅 (Amplify)」「ナビゲート (Navigate)」の頭文字で,この4つのセクションで構成されています.
この本では,PDを増加させる「環境毒」として以下のものを紹介しています.これらは急性中毒ではなく,微量の長期蓄積がドパミン神経に負担を与えます.
◆農薬:パラコート,クロルピリホス,有機塩素系,ピレスロイド
◆工業用溶剤:TCE(トリクロロエチレン),PCE(パークロロエチレン)
◆大気汚染:PM2.5・交通・工場由来排気ガス
◆地下水や食品を介する化学物質
◆除草剤が散布される校庭・公園・ゴルフ場 など
本書は「完璧ではなくていいから,できることを少しずつ行っていこう」という姿勢で,生活の中で実践できる25の行動(Parkinson’s 25) を紹介しています.25項目を領域ごとに並び替えたものを以下に示します.
【食事・食材・農薬】
1.野菜・果物は有機でも必ずよく洗う(残留農薬を洗い流す)
2.和食ベース+野菜・魚中心の食生活(動物性脂肪は控えめに)
3.においが強いクリーニング工場が近いスーパーは避ける(ドライクリーニングでパークロロエチレンが使用されるため)
4.お酒は飲むなら少量,可能なら農薬の少ないものを選ぶ(ワインのぶどうの農薬残留が少ないもの)
5.糖尿病をつくらない・悪化させない(食事・体重管理・運動)
【生活習慣・からだの健康】
6.コーヒーやお茶を適量楽しむ(カフェインを摂取できる人)
21.週に150分以上の有酸素運動(散歩・自転車・体操など)
22.睡眠の質を高める(睡眠リズム・いびき・レム睡眠行動障害にも注意)
23.頭部外傷を防ぐ(シートベルト・ヘルメット・転倒予防)
【農作業・園芸】
7.農薬を使うときは防護具(手袋・マスク・ゴーグル)を使用する
17.園芸では素手で薬剤に触れず,必要最小限の散布にする
18.ゴルフ場では散布直後のプレーを避ける
19.学校・運動場での除草剤・農薬について確認してみる
【水と空気の安全】
8.井戸水を飲む地域では定期検査を行う
9.浄水器を使う場合はフィルター交換を守る
10.空気清浄機(HEPA+活性炭)を寝室・居間に設置する
16.渋滞・トンネルでは窓を閉じて「内気循環」(車の外気を取り込まず,車内の空気を循環させる設定にすることで,大気汚染物質の吸入を減らす)
【室内環境】
11.家庭用殺虫剤は必要最小限・換気を徹底する
12.住む地域の土壌・工場跡地情報も参考にする(過去に化学物質で汚染されていないか調べる)
13.クリーニング品はビニールを外して風通しの良い場所で保管する
14.集合住宅の1階がクリーニング店の場合は注意する
15.保育園・学童の近くにドライクリーニング工場がないか確認する
【職業と化学物質】
20.農業・造園・清掃・工場作業などでは防護具を使用する
25.軍務経験者・化学物質曝露歴がある方は相談先を確認(社会として支援する)
【コミュニティ】
24.公園・道路・学校などで農薬使用量を減らす活動に参加する
大変な時代になってきました.環境毒はPDのみならず,アルツハイマー病などの認知症,神経変性疾患にも関わる可能性があります.この本では取り上げられていませんが,ヒトの疫学研究はまだであるものの,基礎研究で報告され始めたものがマイクロ・ナノプラスチックです(Sci Adv. 2023 Nov 15;9(46):eadi8716. doi.org/10.1126/sciadv.adi8716). これもαシヌクレインを凝集させ,伝播を促進し,かつリソソーム機能を抑制します.マイクロ・ナノプラスチックと神経疾患については,明日の日本臨床麻酔学会第45回大会の招請講演で発表いたしますし,1月10日発売の「医学のあゆみ」誌でも特集「全身疾患の新たな危険因子としてのマイクロ・ナノプラスチック」を企画させていただきました.このような環境に対する取り組みや政策が疾患予防に重要となることを多くの人に啓発していく必要があります.
Dorsey R, Okun MS. The Parkinson’s Plan: A New Path to Prevention and Treatment. New York: PublicAffairs; 2025. https://amzn.to/4iyOBnF

・アルツハイマー病「ApoE4でも救える」可能性が見えてきた:酸化リン脂質とフェロトーシスを標的とした次世代治療戦略
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月4日のFB投稿です**
アルツハイマー病の発症リスクを大きく左右するアポリポタンパクE(ApoE)は,脳における脂質輸送と神経活動の維持に中心的な役割を担っています.ApoE4はアルツハイマー病の最大の遺伝的リスク因子として知られていますが,ApoE2およびApoE3Christchurch(ApoE3Ch)は一転して神経を強力に保護することが明らかになっています.このメカニズムの一端を解明したのが,今回紹介するNeuron誌に掲載された国際共同研究です.
本研究で重要となるのが,脂質過酸化(lipid peroxidation;LPO)と酸化リン脂質の蓄積です.LPOとは,細胞膜の多価不飽和脂肪酸が酸化される現象で,その結果生じる酸化リン脂質は強い毒性を持ちます.ApoE2とApoE3Chは,ABCA7トランスポーターを介して酸化リン脂質をニューロン外へ排出することができ,排出された酸化リン脂質はグリア細胞内で脂肪滴として蓄えられ無害化されます(図上).こうして酸化リン脂質の蓄積とLPOの連鎖が抑えられることで,リソソーム機能が維持され,膜脂質のさらなる過酸化を防ぎ,フェロトーシスを回避できます.ちなみにフェロトーシスとは,細胞膜の脂質が過剰に酸化されることで起こる特殊な細胞死です.鉄(フェロ=Fe)が関与するためこの名前がついています.
対照的にApoE4では,酸化リン脂質排出が阻害されることでLPOが継続的に進行し,ニューロン内に酸化リン脂質が蓄積します.これによりリソソームが障害され,膜脂質の過酸化がさらに進み,最終的にフェロトーシスに至ります(図下).この模式図の対比は,ApoEの違いが神経保護的か神経毒性的かを分ける根幹に脂質代謝があることを示しており,非常に印象的です.
さらに研究チームは,ApoE4を発現させたヒトiPSC由来ニューロンを用いたin vitro実験で,グルタミン酸刺激により興奮毒性ストレスを与えて神経活動を低下させた後に,ApoE2またはApoE3Chタンパク質をリン脂質と組み合わせて人工的にHDLのような粒子にしたものを培地に加えると,ニューロンに蓄積していた酸化リン脂質は有意に減少し,リソソームのpHと分解活性は回復し,カルシウムイメージングおよび多電極アレイによって評価された神経活動も改善しました.すなわち,ApoE2/ApoE3Chはダメージ前の予防因子にとどまらず,ダメージ後の介入によっても神経機能を救済できる可能性を持つということが示されました.言い換えるとこの結果は,ApoE4による神経毒性が不可逆的,決定的なものではなく,脂質排出の経路を操作することで回復可能であることを意味しており,ApoE4キャリアに対する新たな治療戦略の可能性を示しています.
アミロイドβやタウが長らく研究の中心を占めてきましたが,そう単純なものではないのだと思います.「酸化リン脂質を外に出せるニューロンは生き残り,出せないニューロンは死に向かう」という明確な結論は,従来のアルツハイマー病観に,脂質代謝とフェロトーシスという新たな視点を加えるものと言えます.
Ralhan I, et al.Protective ApoE variants support neuronal function by effluxing oxidized phospholipids.Neuron.Article Online now December 02,2025.doi.org/10.1016/j.neuron.2025.10.040.

・見えない毒性因子―マイクロ・ナノプラスチックがもたらす脳・血管への脅威―@日本臨床麻酔学会第45回大会
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月5日のFB投稿です**
昨日,標題の学会で招請講演の機会をいただきました.日本ではまだ議論が本格化していませんが,個人的には今年もっともインパクトのあったトピックスの一つでした.
マイクロ・ナノプラスチック(MNPs)は,飲料水や食品包装だけでなく医療機器を介しても体内に侵入し,血液脳関門を通過して脳に蓄積します.臓器別では脳に最も多く蓄積することが示されており,なんとクレヨン1本分の重さ(10 g)になります.さらに頸動脈プラークや脳梗塞の血栓からも検出され,心血管イベントや脳卒中の重症度と関連することが報告されています.認知症患者の脳や脳脊髄液でも濃度上昇が確認され,神経炎症や神経変性を助長する可能性が指摘されています.加えて,αシヌクレインやアミロイドβがMNPsの存在下で凝集しやすくなり,毒性が増し,パーキンソン病や認知症の病態につながるという報告も今年相次いでいます.
麻酔科領域でも,手術室という特異な環境にも目を向ける必要があります.手術室は最もプラスチック密度の高い空間の一つであり,輸液ラインや麻酔回路などから発生したMNPsが血中に直接入り得ます.POCD(術後認知機能障害)は多因子的な病態ですが,プラスチック曝露がその一因となり得る可能性があり,今後の検証が必要です.
欧州や米国では対策が先行している一方,日本ではまだ認識が十分とは言えません.生活から完全にプラスチックを排除することは困難ですが,プラスチックが神経機能に影響しうるという知識を共有し,できるところから減らす意識を持つことは,個人レベルでも社会レベルでも意味があると感じています.以下よりスライドをダウンロードいただけます.
https://www.docswell.com/…/800…/5DW1JG-2025-12-05-104421
【内容】
1.マイクロ・ナノプラスチック総論(定義・発生源・検出技術)
2.曝露経路と体内動態・臓器蓄積(とくに脳への高蓄積と細胞毒性)
3.脳血管・心血管系への影響(頸動脈プラーク,血栓,脳卒中リスク)
4.認知機能障害と神経変性疾患への関与
― 認知症・アルツハイマー病・パーキンソン病・プラスタミネーション
5.大気汚染PM2.5と神経変性:MNPsとの共通機序と相乗効果の可能性
6.手術室環境と術後認知機能障害(POCD)におけるマイクロ・ナノプラスチック曝露
7.欧州と日本の対策状況の比較と,個人・社会レベルでの曝露低減策
8.今後の研究課題と海外で始まりつつある治療的アプローチ

関連情報
マイクロプラスチックについては、2025年6月のニュース2025年3月のニュース2025年2月のニュース2024年4月のニュースでも取り上げています。

・特発性正常圧水頭症は「脳が硬いスポンジ」のようになり流れが滞るが,治療で再び動き出す
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月8日のFB投稿です**
特発性正常圧水頭症(iNPH)は,歩行障害,尿失禁,認知機能低下を三徴とする疾患(図左)で,高齢者における治療可能な認知症の代表とされています.NEJM誌に素晴らしい総説が掲載されています.著者らはまず,iNPHが単なる脳室拡大による機械的圧迫の結果ではないと述べています.従来,拡大した側脳室が周囲の白質を圧迫し,歩行や注意機能を司る前頭葉深部の線維路や脳梁が障害されることが本症の病態と考えられてきました.しかし,脳脊髄液を除去すると症状は速やかに改善する一方で,脳室そのものはほとんど縮小しないという臨床的事実から,単なる圧迫だけでは症状を説明できないと現在は考えられています.
本論文が強調しているのは,脳血流・脳脊髄液・代謝老廃物のクリアランスを含む循環ネットワークが破綻しているということです.頭蓋内圧の波形解析では,1拍ごとの脈動に伴う圧変動が増大しており,脳のコンプライアンス(容積変化に対する柔らかさ)が低下していることが示唆されます.すなわちスポンジが固くなったような状況です.このため,心拍に同期した微小な圧力波が脳実質内に伝わりにくくなり,血管周囲の流体運動が滞ることを意味します.さらに,大脳白質では微小虚血を思わせるT2高信号がみられ,慢性的な血流低下や血管反応性の障害が報告されています.血管の拍動が脳脊髄液の流れを駆動していることを考えると,この血管反応性の低下は,脳脊髄液循環の低下と密接に関係しています.
また,神経活動のネットワークレベルでの異常も指摘されています.iNPH患者では,前頭葉と皮質下構造の機能的結合が低下し,これが歩行障害や注意機能の低下に関係していることが,fMRIや脳波研究から示されています.脳脊髄液除去後に一部のネットワーク結合が回復することから,脳内圧・流体環境の変化が神経活動に可逆的な影響を及ぼしていると考えられます.
さらに注目されるのが,グリンファティック経路の障害です.この経路は,脳脊髄液が動脈周囲から脳実質に入り,老廃物を洗い流しながら静脈周囲へと流れる排出システムであり,脳のリンパ系に相当します.iNPHではこの流れが遅延し,老廃物が除去されにくくなっていることが動物モデルやMRI研究で報告されています.血管周囲やくも膜下腔での脳脊髄液循環の停滞は,アミロイドβやリン酸化タウなどの蓄積を促進する可能性があり,iNPHが加齢性変化と神経変性疾患をつなぐ病態であるという仮説も浮上しています.しばしば併存が認められるPSPとの関連も関心があるところです.
図右では,iNPH患者のMRI画像として,Evans比の上昇と側脳室拡大に加えて,脳梁角の減少,頂部脳溝の圧排,Sylvian裂の拡大といった典型的なDESH(disproportionately enlarged subarachnoid-space hydrocephalus)所見が描かれています.これらの画像は,脳脊髄液が頭頂部のくも膜下腔から排出されにくくなり,側頭部に再分布することで局所的な圧勾配と流体停滞が生じていることを示唆しています.すなわち,脳全体の「流れの不均衡」が,歩行や認知に関わる領域の機能障害を引き起こしているものと考えられます.
著者らは,このような流体循環異常の背景に遺伝的素因も存在すると指摘しています.線毛の運動に関与するCFAP43遺伝子や,GPIアンカー型タンパク質の修飾に関わるCWH43遺伝子の変異が,家族性iNPHの原因として報告されており,線毛の異常が脳脊髄液流動障害をもたらすことが動物モデルで確認されています.これらの発見は,iNPHが単なる「老化の結果」ではなく,分子レベルの機能異常を基盤とする疾患であることを裏付けています.
では,なぜ脳脊髄液をシャントすると症状が改善するのでしょうか.iNPHでは,脳のコンプライアンス(柔らかさ)が低下して圧力波が広がりにくくなり,血流や髄液の循環,老廃物の排出が滞っています.シャントで脳脊髄液を逃がすと,コンプライアンスが回復し,血管の脈動に合わせて脳脊髄液が再びスムーズに流れるようになり,グリンファティック系による老廃物排出も改善します.その結果,歩行や認知機能が回復するため,脳室が縮まらなくても症状が改善すると考えれば良いようです.
つまりiNPHは脳循環ネットワークの可逆的破綻によって発症する疾患であり,その病態の解明がより早期の精度の高い診断と最適な治療法開発につながるものと期待されます.
Johnson MD, Williams MA. Idiopathic Normal-Pressure Hydrocephalus. N Engl J Med. 2025;393:2243–2253. doi.org/10.1056/NEJMra2306506.

・ロバート・ワルテンベルグ ──医の倫理の岐路に立ったセミオロジストの光と影@Brain Nerve誌12月号
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月9日のFB投稿です**
Brain Nerve誌12月号はクリスマス企画号ですが,今年は「神経学の巨人──先駆者たちの遺したもの」がテーマになりました(https://amzn.to/4s1PPwj).若い頃の私は医学史に関心がありませんでしたが,私たちが日々あたり前に行っている神経学の診療・研究の根幹は,過去の偉大な先駆者の思索と努力の積み重ねの上に成り立っていることをだんだん認識できるようになり,「もっと早く神経学の歴史を学んでおくべきだった」と思うようになりました.この1冊をお読みいただけば,神経学がさらに面白くなるという特集号を作りたいと思いました.
さて本書では以下に示すように「神経学の巨人」と呼ぶにふさわしい人物が,錚々たる執筆者により幅広く紹介されています.私はロバート・ワルテンベルグ(1887–1956)について執筆しました(図2).彼の名を冠した反射は神経症候学を学んだことのある方なら知らない人はいないと思います(https://www.med.gifu-u.ac.jp/…/observation/20220310.html).私も彼の執筆した本をいまもときどき参照します(図3).彼は神経診察を精緻化し,多数の徴候を体系化したセミオロジストであり,鋭い観察力と教育への情熱によって神経学の発展に大きな足跡を残しました.ドイツからの亡命後はUCSFで神経症候学を確立し,米国神経学会(AAN)の設立や『Neurology』誌の創刊にも助言するなど,中核的役割を果たしました.
一方で,1953年の国際学会においてナチス協力者であったユリウス・ハラーフォルデン(現在のPKAN;パントテン酸キナーゼ関連神経変性症の発見者)の登壇を擁護したことで強い倫理的批判を受けました.「科学的功績と政治的行為を切り離すべき」とする彼の判断は,冷戦期の政治背景も絡んで現在まで議論の対象となっています(いわゆるハラーフォルデン事件).AAN年次総会で最も権威あるセッションである「ロバート・ワルテンベルグ記念講演」も,2024年に発表されたこの倫理的問題を再検証するZeidmanの論文を契機として名称変更が発表されました.科学と倫理のあり方を深く考えさせられる事件でした.歴史を知ることは,過去を追体験するだけでなく,未来の神経学を形づくるための羅針盤になる──そのことを改めて感じさせてくれる特集号だと思います.
追伸:佐伯千寿先生による素晴らしい表紙のイラストは今回が最終回になりました.毎号とても楽しみにしておりましたが,毎号の制作は大変だったと思います.お疲れさまでした!
Amazonで予約が始まりました(https://amzn.to/4s1PPwj).
【目次と著者】
◆神経学の先駆け デュシェンヌ・ド・ブローニュ 小長谷正明
◆ポール・ブローカ ──言語脳科学の源流 酒井邦嘉
◆ジョン・ヒューリングス・ジャクソン ──局在論と全体論を超えて 虫明 元
◆ローマの神経学者 エットーレ・マルキアファーヴァとマルキアファーヴァ・ビニャミ病(MBD) 河村 満
◆サンチアゴ・ラモニ・カハール ──神経解剖学の礎を描く 神田 隆
◆臨床神経学とジョセフ・ババンスキー 廣瀬源二郎
◆日本神経学の祖 川原 汎 ──名古屋神経学の源流 亀山 隆
◆ヘンリー・ヘッドと「母指探し試験」の系譜 福武敏夫
◆神経病理学の父 ジョセフ・ゴッドウィン・グリーンフィールド 髙尾昌樹
◆ロバート・ワルテンベルグ ──医の倫理の岐路に立ったセミオロジストの光と影 下畑享良
◆ワイルダー・ペンフィールド ──ホムンクルスの構築とモントリオール手術法の開発 渡辺英寿
◆アレクサンドル・ルリヤの失語分類 ──その理論的背景 鹿島晴雄
◆オリヴァー・サックス ──神経学と文学の融合 山脇健盛

・フランス医学史学会誌に三浦・シャルコー研究論文が紹介されました!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月10日のFB投稿です**
フランス医学史学会(SFHM)が,ジャン=マルタン・シャルコー生誕200周年を記念した特別号を公開しました.2025年にパリ・サルペトリエールで開催された国際シンポジウムの講演内容をまとめたもので,内容としては
4–19頁 シャルコーの生涯と業績の総説(Olivier Walusinski)
20–42頁 「シャルコーの現代的意義と遺産」41演題の総括
43–46頁 生誕200周年記念イベントの写真アーカイブ
という構成になっています.
このなかで,私が発表した「Kinnosuke Miura and Jean-Martin Charcot: A Master-Disciple Legacy in Modern Japanese Neurology」についても以下のように紹介していただきました.
三浦謹之助(1864–1950)はシャルコーの弟子であり,日本近代神経学の草創期を支えた人物です.わずか8ヶ月という短いサルペトリエール滞在であったにもかかわらず,三浦は生涯にわたりシャルコーを精神的師として敬愛し,回想録には「患者を細部まで観察し,観察を非常に重視するが,まったく尊大ではない人物であった」という証言が残されています.また,三浦はシャルコーに2通の手紙を送り,2通目(1893年初頭)では「東京大学に神経疾患の専門部門を作りたい」という志を記していました.この構想が実現するのは,実に70年後の1964年であったことが指摘されています.
下図のように三浦謹之助先生の肖像がに加え,三浦の弟子の佐藤恒丸先生の訳された「火曜講義」に掲載されたヒステリー発作の図版も収録されています.さらに拙著Shimohata T & Iwata M : Kinnosuke Miura and Jean-Martin Charcot: A master–disciple legacy in modern Japanese neurology, Journal of the History of the Neurosciences, 2025(doi.org/10.1080/0964704X.2025.2581565)も引用して紹介していただきました.
この歴史的イベントの記録に加えていただけたことは大変光栄なことでした.PDFはフランス語になりますが,無料公開されていますので,ご興味のある方はぜひご覧ください.
https://walusinski.com/data/charcot_esfhm.pdf

・COVID-19は他の呼吸器感染症よりも「機能性神経障害」を新たに発症させる強い誘因となる!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月14日のFB投稿です**
機能性神経障害(FND)は歴史的にヒステリー,心因性疾患,解離性障害,転換性障害,身体表現性障害,心気症,詐病などと呼ばれてきた疾患です.私がこの疾患に取り組んだきっかけはCOVID-19後遺症やワクチン副反応として紹介されてきた患者のなかに多くのFNDが含まれていたことでした.また私がシャルコー先生について勉強したのも,COVID-19と同様に大きな精神的ストレスとなった普仏戦争後に増加したヒステリー患者への彼の取り組みが参考になると考えたためです.つまりCOVID-19後のFND増加は実感としては理解していたのですが,客観的データがありませんでした.
今回,国際的大規模電子カルテデータベースを用いて,COVID-19後のFND発症リスクを体系的に検討した研究が報告されました.この研究ではTriNetXという国際電子カルテネットワークを用い,約274万人のCOVID-19患者を解析対象としています.COVID-19罹患後2週から6か月の間に新たにFNDと診断された症例は1846例であり,その頻度を他の呼吸器感染症後のFND発症と比較しました.その結果,COVID-19後のFND発症率は,他の呼吸器感染症後より一貫して高いことが示されました(図). COVID-19患者全体では,他の呼吸器感染症と比べてFND発症のオッズ比は1.3〜1.6と有意に高く,COVID-19がFNDの誘因となりやすいことが示されています.
さらにCOVID-19の重症度との関係も示されています.入院を要したCOVID-19患者では,外来患者と比べてFND発症のオッズ比が約2.2と高く,救急外来(Accident & Emergency;A&E)を受診した外来患者でもオッズ比は約1.4に上昇していました.つまり,COVID-19の重症度が高いほどFNDを発症しやすい傾向があり,単なる偶然ではなく量反応関係を示唆する結果といえます.一方で,入院を要さない比較的軽症のCOVID-19症例に限定しても,他の呼吸器感染症よりFNDリスクが高いことが示されており,重症度だけでは説明できないおそらく個人の背景要因の存在も示唆されました.
また,パンデミック初期(2020–2021年)と後期(2022–2023年)を比較した解析も行われています.社会的混乱や不安が強かった初期にのみFNDが増えたのであれば,社会心理的要因が主因と考えられますが,図が示すように,時期を分けて厳密に調整した解析ではFND発症リスクに大きな差はありませんでした.この結果は,COVID-19後のFND増加が,一過性の社会不安だけでは説明できず,感染症そのものと個人の背景要因が重要であることを示しています.
さらに著者らは,COVID-19後に新たにFNDと診断された患者と,新たに片頭痛と診断された患者を比較しています.その結果,FND患者では,てんかんや運動障害などの神経疾患,気分障害や不安障害などの精神疾患,さらには心血管疾患や代謝疾患といった身体合併症が有意に多いことが明らかになりました.このことから,FNDは「誰にでも突然起こる」わけではなく,もともと神経学的・精神医学的・身体的な脆弱性を抱えた人に,COVID-19という強い身体的・心理的ストレスが加わることで発症しやすいと考えられました.個人の経験からも非常に納得のいく解釈です.
以上より,COVID-19は他の呼吸器感染症と比べて,FNDを新たに発症させる「強い誘因」となりうることが初めて明確に示されました.COVID-19は今後も続く感染症ですので,罹患後に出現する多彩な神経症状の原因の1つとしてFNDを想起し,早期に診断の説明と介入につなげることが重要と思われます.
★図がすぐに理解しにくいので,私のサマリーとともにGeminiに読み込ませたらあっという間に下図になりました.驚きですね!
Berlot R, et al. Functional Neurological Disorder Following COVID-19: Results From a Large International Electronic Health Record Database. Eur J Neurol. 2025 Dec;32(12):e70459. doi.org/10.1111/ene.70459.

・アルツハイマー病はひとつの疾患ではなく,少なくとも「タウ主導型」と「血管主導型」に分かれる!!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月16日のFB投稿です**
アルツハイマー病(AD)はこれまで,アミロイドβ沈着に始まり,タウ病理を介して神経変性に至る疾患と考えられてきました.しかし近年,微小血管病変の存在が,この理解を大きく揺さぶりつつあります.今回,韓国からNeurology誌に,脳微小出血(CMB)がその病態に大きな影響を与えていることを示す研究が報告されました.
対象は軽度認知障害およびAD患者116例と健常者85例の計201例で,アミロイドPET,タウPET,MRIを組み合わせ,約2年間の縦断的追跡を行いました.さて結果ですが,脳微小出血を認めない群では,ベースラインのタウPET蓄積が,その後の認知機能低下および皮質萎縮の進行と強く関連していました.これはタウ蓄積がADの認知機能に重要であるという近年の考え方に合致します.一方,脳微小出血を有する群では,認知機能低下や皮質萎縮自体は,脳微小出血なし群よりより,広範かつ顕著に進行しているにもかかわらず,それらがタウPETの蓄積量とはほとんど相関しませんでした(図).
図の見方ですが,緑色の部分はタウ蓄積と脳萎縮の関連が強い部位です.脳微小出血を認めない群では,タウ蓄積が高いほど側頭葉,前頭葉,頭頂葉に広範な皮質菲薄化が進行し緑色の部分が多いですが,脳微小出血を認める群では,皮質萎縮は進行しているにもかかわらず,タウ蓄積との関連は限定的で,ほとんど緑色の部分がありません.すなわち,脳微小出血が存在すると,認知症の進行は「タウ主導」では説明できなくなることが明確に示されたわけです.
この結果は,アミロイドβの役割を再考させます.脳実質に沈着するアミロイドβは,長い時間を要しますが恐らくタウ病理を誘導し,典型的なADの進行に関与します.一方,脳血管壁に沈着するアミロイドβ,すなわち脳アミロイド血管症では,血管の脆弱化,慢性虚血,微小出血や微小梗塞を介して,タウとは独立した経路で認知機能低下を進行させます.脳微小出血は,この血管型アミロイドβ病理が前景化していることを示すサインと考えられます.
では,アミロイドβ抗体療法をどのように考えるべきでしょうか.アミロイドβ抗体は,主に脳実質に沈着したアミロイドβを除去し,その結果としてタウ病理の進行を抑制することを目的とした治療です.したがって,脳微小出血を伴わず,タウ病理が病態の中心にある症例では,理論的にも臨床的にも一定の妥当性があります.しかし,脳微小出血や脳アミロイド血管症が前景に立つ症例では,認知機能低下の主因は血管障害であり,タウ病理の寄与は相対的に小さくなります.このような症例では,アミロイドβ抗体による臨床効果は限定的である可能性が高く,むしろ血圧管理のような血管性認知症の対策が有効と考えられます.つまりアミロイドβ抗体療法の是非は「アミロイドβがあるかどうか」ではなく,「どこに沈着し,どの病態経路が主導しているか」で判断すべきだということです.
以上のようにADは一つの疾患ではなく,少なくとも「タウ主導型」と「血管主導型」という異なる進行様式を含んでいそうです.ADの脳血管病としての側面を意識する必要があります.
★先日,ご紹介したこちらの記事もご参照ください(アルツハイマー病は「脳血管病」の性質をもつ:血液脳関門破綻,低灌流,血小板から見える新しい姿)https://pkcdelta.hatenablog.com/entry/2025/11/22/065353
Jung YH, et al. Impact of Cerebral Microbleeds on Tau-Associated Cognitive and Structural Decline. Neurology. 2026 Jan 13;106(1):e214453. doi.org/10.1212/WNL.0000000000214453.

・整形外科医が知っておくべき脳神経内科疾患(整形・災害外科 12月号)
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月17日のFB投稿です**
腰痛,歩行障害,姿勢異常,しびれ,筋力低下など,整形外科の日常診療で遭遇する症候の多くは,脳神経内科疾患でも生じます.このたび,『整形・災害外科』(金原出版)12月号(https://amzn.to/3MK8mgc)において,特集「整形外科医が知っておくべき脳神経内科疾患」を企画させていただきました.本特集では,「どのようなときに脳神経内科疾患を疑うべきか」「どの時点で脳神経内科医につなぐべきか」という診療の分岐点を整理することを主眼としています.
具体的な疾患としては,パーキンソン病,ALS,多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害(MS・NMOSD),慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)に加え,近年,注目の疾患として特発性正常圧水頭症,アミロイドーシス,免疫チェックポイント阻害薬による神経系免疫関連有害事象(irAE)や機能性神経障害など,整形外科との境界で問題となりやすい疾患を取り上げています.第一線で活躍するエキスパートが,最新の知見を踏まえて実践的に解説してくださいました.整形外科と脳神経内科の連携を深め,日常診療に役立つ現場志向の特集だと思います.最後に素晴らしい原稿をご執筆くださった先生方に感謝申し上げます.
Amazonページ https://amzn.to/3MK8mgc
ホームページ  https://www.kanehara-shuppan.co.jp/magazines/detail.html…
【項目】
整形外科医のためのパーキンソン病診療ガイド;梶山 裕太,三原 雅史
多発性硬化症と視神経脊髄炎スペクトラム障害;松下 拓也
筋萎縮性側索硬化症;熱田 直樹
慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー;国分 則人
特発性正常圧水頭症;山原 直紀,下畑 享良
脊髄サルコイドーシス;古賀 道明
アミロイドーシス;植田 光晴
免疫チェックポイント阻害薬における免疫関連有害事象(irAE);角南 陽子,鈴木 重明
Sjogren症候群の神経系合併症;桑原 宏哉
機能性神経障害―概念から診断・治療まで;関口 兼司

・血液タウで診断したアルツハイマー病は加齢で激増するが,症状の程度はタウだけでは決まらない――tau-clinical mismatchという新しい考え方
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月20日のFB投稿です**
アルツハイマー病(AD)の診療は,血液バイオマーカーの登場によって大きな転換点を迎えています.とくにリン酸化タウ217(pTau217)は,採血で済むという侵襲性の低さと高い診断精度から,AD病理を反映する指標として急速に普及するものと思われます.では①実際にpTau217陽性の患者(?)の有病率はどの程度なのか?,また②タウが高ければ重症と考えてよいのか?が分かりません.今回紹介する2つの研究はきわめて示唆に富んでいます.
まず,Nature誌に掲載されたノルウェーの大規模地域住民研究であるHUNT研究を基盤とした論文では,血液中リン酸化タウ217(pTau217)を用いて,アルツハイマー病(AD)病理が地域社会にどの程度存在するのかが検討されています.本研究は,58歳以上の一般住民11,486人を対象とした大規模研究です.重要なのは図1です.年齢階級ごとにAD病理陽性(pTau217 ≥0.63 pg/mL)と推定される割合が示されています.その結果,58~69歳ではAD病理陽性者は8%未満にとどまる一方,70~74歳では約18%,75~79歳では約28%,80~84歳では約44%,85~89歳では約58%と,年齢とともに段階的に増加し,90歳以上では65.2%に達していました.すなわち,AD病理は高齢になるほど急速に頻度が増し,超高齢期には「例外的な病態」ではなく,「一般的な現象」に近づくことが,人口レベルで明確に示されたわけです.
さらに重要なのは,このAD病理の広がりが,必ずしも臨床症状と一致しない点です.70歳以上の集団を対象とした解析では,AD病理は認知症患者の60.0%に認められましたが,軽度認知障害(MCI)でも32.6%,認知機能が保たれている集団においても23.5%に存在していました.言い換えれば,70歳以上では,認知症でなくても約4人に1人がAD病理を有していることになります.これらの結果が示しているのは,タウを中心とするAD病理は「症状出現前に,すでに相当数の人に存在し得るもの」であるという事実です.
しかし,ここで次の疑問が生じます.もしタウ病理がすでに存在している場合,症状の出方や進行速度に個人差がないのだろうかということです.この問いに取り組んだのが,米国ペンシルベニア大学等からのJAMA Neurology誌に掲載された研究です.ADNIなどの縦断データを用い,アミロイドβ陽性例におけるタウ病理と臨床症状の関係を詳細に解析しました.図2では,タウPETあるいは血漿pTau217と,CDR-SBの関係が散布図として示されています.全体としてはタウ量と症状重症度に正の相関が認められるものの,同じタウ量であっても症状が軽い例と重い例が明確に存在しています.著者らはこの乖離を「tau-clinical mismatch」と名付けました.そして回帰モデルからの残差として定量化し,タウ量と症状が概ね一致するcanonical群,タウ量の割に症状が軽いresilient群,タウ量の割に症状が重いvulnerable群という3群に分類しました.そしてvulnerable群ではCDR-SBの上昇やMMSE低下が有意に速く,次の臨床ステージへの移行リスクも高いことが示されました.一方,resilient群ではその逆で,同じタウ病理を持ちながら全く異なる臨床経過をたどることも明らかになりました.
では,このtau-clinical mismatchは何によって生じるのでしょうか.本研究で最も説得力をもって示されたのは,vulnerable群ではTDP-43関連MRI指標の異常やαシヌクレインseed amplification assay陽性率が高く,共存病理の存在が臨床的脆弱性を規定しているという点です.一方,resilient群では共存病理が少ないだけでは説明しきれず,認知予備能やレジリエンスといった防御的要因の関与が考えられます.教育歴や知的活動,遺伝因子,免疫反応,血管因子などが,症状発現を抑制している可能性があります.
この2つの研究を合わせて考えると,AD病理を有する人は加齢で激増するが,タウ単独では決まらず,共存病理による加速と,レジリエンスによる防御という2方向の力のバランスによって規定されているということのようです.防御には恐らくグリンファティックシステムなどが関わるものと考えられます.結論として血液バイオマーカー時代のADは,「タウの有無」を問う段階から,「タウ × 共存病理× レジリエンス要因 × クリアランス(グリンファティック)」というものになっていきそうです.アミロイドβを脳脊髄液やPETで評価している現在とはかなり違ったものになりそうです.
Aarsland D, Sunde AL, Tovar-Rios DA, et al. Prevalence of Alzheimer’s disease pathology in the community. Nature. 2025. doi.org/10.1038/s41586-025-09841-y
Brown CA, Mundada NS, Cousins KAQ, et al. Copathology and clinical trajectories in individuals with tau-clinical mismatch. JAMA Neurology. 2025. doi.org/10.1001/jamaneurol.2025.4974

・知っていただきたい「機能性神経障害」 ―診療に潜む倫理的課題と私たちができること―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月25日のFB投稿です**
機能性神経障害(functional neurological disorder,FND)をめぐる臨床倫理的問題について総説としてまとめました.FNDは筋力低下,けいれん発作,不随意運動,感覚障害など多彩な症候を呈する頻度の高いコモンディジーズです.かつては「ヒステリー」「心因性」「転換性」「詐病」などと呼ばれてきましたが,近年は神経学的に診断可能で,治療可能な疾患単位として再構築されつつあります.しかし診療の現場には,いまなお誤解や偏見,制度的な不備が残されており,患者さんが不必要な苦痛を被っている現実を実感しています.状況を改善する必要性を強く感じ,この総説を執筆しました.
本総説では,2015年以降の文献を検討し,FNDをめぐる臨床倫理的問題を四つの領域に整理しました.それは「スティグマ」「誤診と医原性の害」「患者と医療者の病態理解の乖離と患者体験の軽視」,そして「ジェンダーと歴史的偏見」です.とくにスティグマは,患者さんが「症状を作っている」「怠けている」と疑われ,信じてもらえない経験を重ねることから生じます.このような経験は患者さんの尊厳を損ない,生活の質を低下させ,医療への信頼を失わせます.また,一度FNDと診断されるとその後に生じた新たな器質疾患が見逃されやすくなる「診断の影の効果」もあり,誤診や過剰治療,不必要な侵襲的処置が医原性の害として患者さんを苦しめる場合があります.
さらに,医療者と患者さんの間には,症状の随意性や意味づけに関する理解の乖離があります.医療者は「随意とも不随意とも解釈できる」と捉えがちですが,患者さんは「自分の意思ではどうにもならない」と感じています.このずれが診断の受容を妨げ,信頼関係の構築を困難にします.またFNDは歴史的に「ヒステリー」として女性に帰属されてきた経緯があり,ジェンダーバイアスや社会的偏見が現在の診療にも影を落としています.虐待や暴力といったライフイベントが発症や持続に関与する場合も少なくありませんが,これらへの配慮は十分とは言えません.
本総説の提案は,これらの問題を「臨床倫理の四原則」という枠組みで整理し,日常診療の具体的な行動に結びつけることでした.表(英語)では,自律尊重,善行,無危害,公正の四原則ごとに,現状の課題と望ましい対応を対比的に示しています.①自律尊重の観点からは,陽性徴候を示して疾患の実在性を保証し,患者さんの語りに耳を傾けることの重要性を示しました.②善行の観点からは,スティグマを軽減する医療者教育と心理社会的支援の充実を挙げました.③無危害の観点からは,除外診断ではなく陽性診断を行い,不必要な検査や治療を避ける姿勢の必要性を示しました.④公正の観点からは,ジェンダーや社会的弱者に対する不公平を是正し,公平な医療アクセスと資源配分を確保する必要性を示しました.
FNDでは,患者さんをどう理解し,どう関わるかという姿勢そのものが治療の一部になります.患者さんを信じて尊重し,害を最小化し,公平性を確保するという原則を意識的に実践し教育していくことが重要であると考えます.
下畑享良.機能性神経障害における臨床倫理的問題―患者尊重と医療者教育の必要性―.臨床神経(早期公開)https://doi.org/10.5692/clinicalneurol.cn-002182
無料でダウンロードできます.またスライドを以下からご覧いただけます.
https://www.docswell.com/…/800…/KG2PW4-2025-11-09-070636

・予防神経学がひらくこれからの健康社会 ― 脳神経内科医の新しい役割―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月28日のFB投稿です**
Neurology誌の総説「An Ounce of Prevention: The Growing Need for Preventive Neurologists」を興味深く読みました.米国神経学会ポッドキャストでも取り上げられた注目の論文です.脳神経内科医の役割を「発症後の治療」から「発症前の予防」へと転換する必要性を論じています.医療の進歩によってがんなどによる死亡が減少し,多くの人が脳卒中や認知症などの神経疾患とともに長く生きる時代になり,その結果,神経疾患は世界最大の障害負荷の原因となっています.2021年には世界人口の約43%にあたる34億人が何らかの神経疾患を有していたとされ,神経疾患は障害調整生命年の最大の原因であり,死亡原因としても第2位を占めています.とくに認知症は2050年までに3倍に増加すると予測され,医療費と介護負担の爆発的増加が懸念されています.
この論文のメッセージは,神経疾患の多くは「避けられない運命」ではなく,相当部分が予防可能であるという点です. INTERSTROKE研究では,高血圧,喫煙,腹部肥満,運動不足,不適切な食事,糖尿病,過剰飲酒,心理社会的ストレスやうつ,心疾患,脂質異常症という10の修正可能な危険因子で,脳卒中リスクの約90%が説明可能であることが示されています.そして生活習慣と危険因子管理により最大80%の脳卒中が予防可能とされています.
またLancet委員会は,教育歴,難聴,高血圧,喫煙,肥満,うつ,運動不足,糖尿病,社会的孤立,過剰飲酒,頭部外傷,大気汚染,視力障害,高LDLコレステロールという14因子を通じて,認知症の40%以上が予防または発症遅延可能であると報告しています.さらにFINGER試験やSPRINT-MIND試験といった前向き介入研究により,実際に介入することで認知機能低下を抑えうることも示されています.具体的にはFINGER試験は,認知症リスクを有する高齢者を対象に,食事指導,運動療法,認知トレーニング,血管危険因子管理を組み合わせた多領域介入を2年間行い,介入群では記憶や実行機能などの認知機能が有意に改善しました.SPRINT-MIND試験は,高血圧患者を対象に,収縮期血圧120mmHg未満を目標とする厳格な降圧治療が,軽度認知障害の発症および軽度認知障害または認知症の複合エンドポイントを有意に減少させることを示しました.これらの研究は,認知症は不可避な老化現象ではなく,危険因子への介入によってその進行を遅らせたり,発症を防いだりできる可能性があることを実証するものです.
論文の中で最も印象的なのが下図で,脳神経内科医の役割をピラミッドで示しています.最下層には個々の患者の診療があり,その上に家族への教育,医療チーム内での専門的助言,研修医・学生への教育が積み重なり,さらに上層では地域への啓発活動や社会・政策への提言が位置づけられています.これは,脳神経内科医は診療室の中だけで完結する存在ではなく,個人,家族,医療システム,社会という複数のレベルで脳の健康を支える「脳の健康推進者(brain health advocate)」として機能すべきであるという著者のビジョンを視覚的に表現したものです.予防神経学とは,個人医療と公衆衛生を橋渡しする新しい専門性であるとも言えます.この考え方は非常に納得できるものです.
論文タイトルに使われている「An Ounce of Prevention」は,英語の格言「An ounce of prevention is worth a pound of cure(わずかな予防は大きな治療にまさる)」に由来しています.つまり「ほんの少しの予防的努力が,将来の膨大な治療や苦痛を防ぐ」という意味が込められています.脳神経内科医は,病気を治す専門家であると同時に,病気を生まない社会をつくる専門家であるべきだというメッセージがこの一語に凝縮されています.
Sabayan B, Boden-Albala B, Rost NS. An Ounce of Prevention: The Growing Need for Preventive Neurologists. Neurology. 2025;105:e213785. https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000213785

・抗ウイルス薬はアルツハイマー病に効くのか?VALAD試験が示した予想外の結論
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月29日のFB投稿です**
近年,単純ヘルペスウイルス1型や2型(HSV1,2)がアルツハイマー病(AD)の病態に関与している可能性が指摘されています.HSVは三叉神経節などに生涯潜伏感染し,免疫状態の変化により繰り返し再活性化する性質を持つため,この慢性的な炎症刺激が神経変性の引き金になるのではないかという可能性が提唱されてきました.このため『抗ウイルス薬であるバラシクロビル(バルトレックス®)がその進行を抑制できるのではないか』という仮説が考えられるようになりました.この仮説を検証するために,米国で行われた多施設共同第2相二重盲検プラセボ対照試験(VALAD試験)がJAMA誌に掲載されました.なお,本研究でHSVが対象とされたのは,剖検脳でHSV DNAがアミロイド斑内に検出されていることや,実験モデルでHSV感染がアミロイド産生やタウリン酸化を誘導すること,疫学的にもHSV抗体陽性者でADリスクが高いと報告されてきたことなど,病理学的,実験的,疫学的根拠がこのウイルスに最も多く蓄積していたためです.
対象は,早期症候性ADまたはADバイオマーカー陽性の軽度認知障害(MCI)で,かつ血清HSV抗体陽性の成人120名で,平均年齢は71.4歳,女性66名でした.被験者は無作為にバラシクロビル群60名とプラセボ群60名に割り付けられ,バラシクロビルは2 g/日から開始して4週間で4 g/日まで漸増され,その後78週間まで維持されました.主要評価項目はADAS-Cog 11項目版の変化量でした.
結果はなんと仮説と逆でした.78週時点でのADAS-Cogの変化量は,バラシクロビル群で10.86点悪化し,プラセボ群では6.92点の悪化にとどまり,群間差は3.93点で統計学的にも有意でした.この差は臨床的に意味のある最小差である3点を上回っており,認知機能の低下はバラシクロビル群の方がむしろ強いことが示されました!!(図1)経時的にも,時間とともに両群の曲線が離れ,バラシクロビル群が一貫してより大きな悪化を示していく様子が分かります.
一方で,副次評価項目である日常生活動作スケール,アミロイドPET,タウPET,MRIによる海馬萎縮や皮質菲薄化などの指標では,いずれも群間差は認められませんでした.すなわち,バラシクロビルは認知機能のみならず,AD病理や神経変性にも影響を与えなかったことになります.安全性の面では,重篤な有害事象は両群で大きな差はありませんでしたが,バラシクロビル群では血清クレアチニン上昇や下痢,悪心,混乱などの軽度副作用がやや多く認められました.著者らは,高用量かつ長期のバラシクロビル投与が,軽微な神経毒性を通じて認知機能悪化として検出された可能性も否定できないと議論しています.
本研究の結論は明確であり,バラシクロビルは早期症候性ADに対して有効ではなく,むしろ認知機能悪化と関連した可能性があるため,治療として推奨されないということです.ただし,この結果は感染症仮説そのものや発症前予防の可能性を否定するものではありません.ADの病理は臨床症状の10年以上前から始まることが知られており,もしウイルス感染やその再活性化が初期トリガーとして関与しているのであれば,発症後の治療ではなく,発症前の段階での介入こそが意味を持つ可能性があります.実際に,帯状疱疹ワクチン接種と認知症リスク低下との関連を示す疫学研究も報告されており,免疫環境の長期的修飾という観点からは,抗ウイルス薬よりもワクチンや予防的介入の方が理論的に適している可能性も考えられます.本試験は,発症後治療の限界を示すと同時に,予防という視点の重要性をあらためて浮き彫りにした研究であるともいえます.
Devanand DP, et al.Valacyclovir Treatment of Early Symptomatic Alzheimer Disease.The VALAD Randomized Clinical Trial.JAMA.Published online December 17, 2025. PMID: 41405855
★FBの規則改訂で,1ヶ月のリンク付き投稿数が制限されるようになってしまいました(2個まで).このためMeta認証に有料加入したのですが,それでも月4個までなので,リンクを貼らず,PMIDを記載することにしました.

・アルツハイマー病病理はウイルスに対する2段階の防御反応?タウはリン酸化されて初めて抗ウイルス蛋白として機能し,伝播は感染防御のための準備反応である
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月30日のFB投稿です**
近年,アルツハイマー病(AD)とウイルス感染との関連が注目されており,とくに単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が病態に関与する可能性が議論されています.2024年末にCell Reports誌に掲載されたHydeらの研究は,この関係を分子レベルで明確に示した重要な報告でした(ブログ;2025年1月15日).この研究では,HSV-1感染によりcGAS-STING-TBK1経路が活性化され,その下流でタウがリン酸化されること,そしてリン酸化タウがHSV-1タンパク質の発現を抑制し,神経細胞の生存を保護することが示されています.すなわちタウのリン酸化は病的変化ではなく,HSV-1感染に対する自然免疫応答として神経保護的に機能している可能性が示されたわけです.
ADの代表的な病理所見である神経原線維変化は,リン酸化されたタウ蛋白の凝集によって形成されます.このリン酸化タウは長らく神経細胞にとって有害な異常産物とみなされてきましたが,今回,Nature Neuroscience誌に掲載されたマサチューセッツ総合病院のWilliam A. Eimer博士らの論文は,この常識に根本的な再考を迫る内容です.この研究の最大の発見は,リン酸化タウがヒト神経細胞においてHSV-1に対して抗ウイルス活性を示したという点です.培養神経細胞にリン酸化タウを前処理すると,ウイルスに感染する細胞の数が減少し,形成されるウイルスプラークの数や大きさも有意に低下しました.一方で,リン酸化されていない通常のタウではこの効果は認められませんでした.すなわちタウはリン酸化されて初めて抗ウイルス蛋白として機能することが示されました.
とくに印象的なのが電子顕微鏡で示された所見です(図1).精製したHSV-1カプシドとリン酸化タウを共培養すると,リン酸化タウがウイルス粒子の表面に直接結合し,そこを足場として自己凝集し,線維状構造を形成していく様子が観察されました.aおよびbでは,ウイルスカプシド(矢印)の表面からリン酸化タウの線維が伸び,不定形の凝集体(矢頭)や線維状構造(★)が形成され,複数のウイルス粒子を絡め取っている様子が示されています.これはウイルス粒子がタウ凝集の核となり,防御構造としての線維形成が誘導されていることを意味します.さらにcおよびdでは,HSV-1に感染した三次元培養神経細胞の超薄切片において,抗リン酸化タウ抗体に金ナノ粒子を結合させた標識により,神経細胞核内のウイルスカプシド表面にリン酸化タウが実際に結合している様子が確認されています.すなわちこの現象は試験管内だけでなく,感染した神経細胞内でも実際に起きていることが示されたのです.
またウイルス感染により神経細胞内でリン酸化タウが増加し,それが細胞外にも放出されて周囲の未感染細胞に影響を及ぼすことが示されました.図2では,感染細胞と未感染細胞を細い通路でのみ連結した特殊な培養装置を用いることで,ウイルスそのものは移動できないが,タンパク質などの情報は伝わる状況が作られています.その条件下で,感染していない細胞の中にもリン酸化タウが増えている様子が観察されました.これはリン酸化タウが感染した細胞だけでなく,周囲の細胞を事前に守る役割も担っていることを示唆しています.いわゆるタウの伝播は,感染防御のための準備反応であるということになります.
さらにリン酸化タウとウイルスの複合体はミクログリアに貪食されることも示され,免疫細胞による病原体除去にも関与している可能性が示唆されました.これらの結果を総合すると,アミロイドβが細胞外でウイルスを捕捉するという既存の防御仮説(これはNHKタモリさんの番組でもご紹介しました)に加えて,本研究はリン酸化タウが細胞内でウイルスの輸送や増殖を妨げる役割を担う可能性を示し,脳内に2段階の自然免疫機構が存在するという新しい統合モデルを提示しています.
つまり,ADの主要な病理とされるアミロイドβ沈着,リン酸化タウ沈着,神経炎症はいずれも,感染防御と深く関係する生体反応であり,それらが慢性的に持続あるいは過剰化することで病理として現れている可能性を示しています.神経変性はこの防御機構が過剰化あるいは慢性化した結果であるかもしれません.アミロイドβに加え,タウも単なる「悪者」として排除するのではなく,なぜそれが生じたのかという進化的,免疫学的文脈の中で再評価する必要があることを,本研究は強く示唆しているように思われます.
Eimer WA, et al.Phosphorylated tau exhibits antimicrobial activity capable of neutralizing herpes simplex virus 1 infectivity in human neurons. Nature Neuroscience.2025. PMID: 41408481.

・アリと人間のパズル対決から学ぶ大切なこと ― チームの質は「対話の質」で決まる―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月31日のFB投稿です**
1年の締めくくりに,示唆に富む論文をご紹介します.たまたまウェブ上の動画で知った研究ですが,そのオリジナルは今年1月に PNAS に掲載された論文です.この研究では,アリと人間にまったく同じ幾何学パズルを解かせています.T字型の物体を,2つの狭いスリットを通して出口へ運ぶという課題です.アリ用の物体には餌の匂いをつけ,巣に持ち帰る対象としています.サイズだけをアリと人間に合わせてスケールし,1人(1匹),小集団,大集団での成績を比較しました.さらに人間では,「話してよいグループ」と「話してはいけないグループ」に分けています.
結果は意外でした.アリは集団になるほど成績が良くなりました.壁に沿って動き続けるなどの行動が自然に生じ,結果として効率よく正解に到達します.個体にはない「集合的な記憶」が生まれていると解釈されています.逆に人間は,1人のときが最も効率的でした.話せるグループは1人と同程度の成績でしたが,話せないグループは,なんと1人よりも成績が悪くなりました.出口に対して遠回りすべき場面でも,直感的で誤った方向を選びやすい傾向が見られました.これは心理学でいう groupthink(集団浅慮)に近い現象です.「みんなと同じでいること」が目的になりすぎて,「正しく考えること」をやめてしまう集団心理です.つまり,アリは単純な個体ですが,集まると賢くなる.それに対して人間は,賢い個体であっても,話し合えない集団では賢さを失う・・・その対照的な特徴が浮かび上がりました.
この論文の教訓は極めてシンプルです.人間のチームの質は,個々のメンバーの賢さではなく,ひとえに「対話の質」によって決まる.バラバラな考えをつなぎ合わせ,一つの方向へと導くための最も大切な手段こそが対話なのだと,この研究は教えてくれます.当たり前のようでいて,これほど重要なことはありません.来年も教室やカンファレンスで,よく話し合っていきたいと思います.そして,この対話の力を社会や世界があらためて認識し,争いのない平和な未来へとつながることを,心から願っています.
本年も1年,ありがとうございました.どうぞ良いお年をお迎えください.
Dreyer T, et al. Comparing cooperative geometric puzzle solving in ants versus humans. Proc Natl Acad Sci U S A. 2025 Jan 7;122(1):e2414274121. PMID: 39715438(動画はフリーでDL可)

 

(作成者)峯岸 瑛(みねぎし あきら)

カテゴリー
COVID-19 Long COVID nirVasculitis アミロイドβ仮説 アミロイドβ抗菌仮説 がん免疫療法 免疫チェックポイント阻害剤 進行性核上性麻痺(PSP)

2025年7月のニュース

コロナ禍で高齢者の社会活動は未だにコロナ前の水準には戻ってはおらず、新たな価値の創造が求められています(筑波大学山田先生)。
今月の学術ニュースは、「がん免疫療法」に関する最新の話題と、岐阜大学医学部下畑先生からの最新医学情報をお届けします。

1.2025年7月の活動状況
NPWA会員は、暑さの中でも、様々な社会活動の機会・場を設けています。
田村 芙美子さんの投稿
7/1 いよいよ文月です。午後の強烈な雷雨のあとは、涼しくなったように感じました。今朝の火曜サークルは外歩きを変更して室内でポールストレッチ、筋トレのあとは、ステップエクササイズに励みました。少しずつ高さを上げて太股をしっかり上げて1-2、1-2! 徐々に回数も増やし夏休み中の自宅で出来る中強度運動に。 酷暑のため9月まで休暇に皆さん異議なし! 我が家は笹に襲われ中🎋 七夕飾りの枝 たくさんあります。

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
台灣健走杖運動推廣協會邀請指導員、教練們一起線上交流~ 【線上團練教室】 主持人及主講人:姜智兼 主題:日本健走杖協會參訪暨佐久市健走分享 教練分享: ⏰日期:2025/07/01(二) ⏰時間:20:00~21:00 🟩線上團練連結: https://meet.google.com/vuq-mujc-zyk (7:55pm開放入場) 非常歡迎教練們在發展健走杖推廣或教學上有任何想要更了解或交流的主題,請填寫表單,讓交流會安排更符合大家的需要。 https://forms.gle/FQoEDw2muJbjU2W28

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【暑さ薄れるウォーキング法】 2025/7/1 『#呼吸筋ストレッチ』と  『#呼吸筋活性化ウォーク』 この時期に意識を呼吸に移すと 体幹も心も整います #船橋ウォーキングソサイエティ #県立行田公園 #美姿勢ウォーキング

遠藤 恵子さんの投稿
介護予防運動教室からの(╭☞•́⍛•̀)╭☞からの~ 午後はサロンワーク!! 加圧トレーニングセッション!! ひまわり🌻いい感じに成長中‪🫶‬‬‬

田村 芙美子さんの投稿
7/2 北鎌倉赤の洞門。 今日は介護予防教室を親子サークル(ネイルサロンも併設)の皆さんとスペース共有して 多世代交流会状態で 賑やかに楽しくエアーポールエクササイズ・チェア🪑筋トレ・脳トレゲームなど楽しめました。

柳澤 光宏さんの投稿
新幹線佐久平駅下りホームの看板を新しくしました。創業100年の看板を5年間も変えずに張っておりまして・・・。既に創業106年目、伝えたいことはいろいろありましたが、一点突破、思い切ってポールウォーキングに振り切りました。 ポールウォーキングをはじめよう!”健康と美” いかがでしょうか(^.^)?

佐藤 恵さんの投稿
毎年この時期に担当させてもらっているヨガ教室ですが、今年が一番暑かった‥。どんなに暑くても参加率が高く、逆に元気をもらいました😌

田村 芙美子さんの投稿
7/4 今日は渋谷区介護予防 PW教室2025年度2期初日。15名定員ですがお二人を除いて私より若いかたばかり。(私が高齢過ぎる?!)今日は計測日。教室休み明けの渋谷駅前のハチ公広場はハチ公の銅像を残して後ろの和風庭園などすっかりなくなっていました。34年度には新「ハチ公広場」となるそうです。

水間 孝之さんの投稿
スキルアップ研修会IN佐久開催しました‼️ 安藤名誉会長にも参加いただきました。 坪井MCPRO,新地MCPROの正確な指導と参加者の真面目な受講姿勢に良好ですのお言葉いただきました‼️ 暑い中、皆さんお疲れ様でした‼️

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 本日7月駒場PW例会でした。 佐久も朝から熱中症予防情報が出ている中、集まってくれた60名の参加者で公園〜牧場の木陰を選んでのポールウォーキングでした。 午後はNPWAコーチスキルアップセミナー(佐久会場)で 佐久の地元勿論、埼玉や千葉から#のコーチも集まってのお勉強会でした。 名誉会長/安藤先生も終始同席されPW考案者の立場より的確・明快な返答や指導を頂きました❗️

佐藤 ヒロ子さんの投稿
令和7年7月7日 シニアポールウォーキング   「この夏も元気に乗り切る」 そんな気迫みなぎる定例会      になりました #呼吸活性化ウォーキング #インターバルウォーク  #ラダーとマットでコグニサイズ エアコンの効いた室内は   身体もしっかり動きます  #船橋ウォーキングソサイエティ #シニアポールウォーキング

田村 芙美子さんの投稿
7/8 今日の三浦ネットPWの活動は中止といたします。 ・・・・・・☀️・・・・・ 神奈川県に熱中症警戒アラートが発表されています。 本日は厳しい暑さが予想されます。 運動は原則中止し、外出はできるだけ控え、こまめに水分補給を行い、エアコン等を活用し、熱中症予防対策の徹底をお願いします。 また、炎天下の車内は大変危険です。わずかな時間であっても子どもを残したまま車から離れないようお願いします。 (市民健康課)

長岡智津子さんの投稿
写真1件

柳澤 光宏さんの投稿
柳澤 光宏さんの動画

山下 和彦さんの投稿
今日から志木市の健康ポイント事業の計測会🦶多くの方がご参加されます! フットフレイル対策に加えて、オーラルフレイル対策がスタートします👄

スマイルチームさんの投稿
ポケゴミスマイルの日。 #スマイルチーム #ポケゴミスマイル #ポールウォーキングしながらごみ拾い #日本財団海と日本プロジェクト #blueship #ブルーサンタ #記録 #20250710

田村 芙美子さんの投稿
7/10 猛暑日対策 「涼める場所あります」←市内に何ヵ所かありますね。今日のPW教室の会場のなごやかセンターには電動運動器具も沢山あり自由に利用できます。今日は欠席者が多くいつもの部屋が広々した感じ。他サークルのラダーをお借りしました。

スマイルチームさんの投稿
2025.7.7〜11 活動記録 ☺︎スマイルチーム光が丘 19名 チェア体操 ☺︎令和7年度シニアサポートスタッフ養成研修(相模原市 高齢・障害者支援課) ☺︎親子ふれあい体操 15組 (10ヶ月〜32ヶ月.双子1組) ☺︎青少年指導委員ブロック研修 欠席 ☺︎上鶴間公民館青少年部部会 ☺︎8月日赤救急法短期講習会チラシ作成、申込受付開始 ☺︎ポケごみスマイルチーム 10名 ポールウォーキングdeゴミ拾い #BLUESANTA ☺︎ブルーシップ活動報告レポート提出 (SNSにてアップ) ☺︎相模原市文化協会会議 (9/14の文化協会祭について) ☺︎青空ポールウォーキング 11名 ☺︎スマイルチーム文化協会祭打合せ ☺︎文化協会祭ゲストチーム・ダブルダッチ Millennitm Collection 打合せ

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【やるのは今でしょ!    私の番がきたのね】  町内では段々とご年配の方々が旅立ち、或は施設入居やデイサービスへ 在宅でも身体も思うようでは無さそう… 若い家族は赤ちゃんのお世話! 共働きと忙しいのがわかります ごみステーションのカラスよけネットもボロボロ 道路の草も時としてぼうぼうに! 町はちょっとの事を手出ししただけで気持良くすごせる! できる人ができる事をしなくては 【今が私の番】  2025/7/11

校條 諭さんの投稿
2本のポールで西荻街歩き 夏場の気ままにポール歩き(気まポ)は、猛暑を考慮して「夕暮れウォーク」にしています。はじめはナイトウォークと呼んでいたのですが、7時頃まで明るいので呼び名を変更しました。 先日の雨のあと気温が下がって、当初の予想よりもずっと快適なウォーキングとなりました。合計12000歩。5km強のつもりだったけど、6kmくらいになったと思われます。 JR西荻窪駅南口に集合、まず仲通街を南下して駅方面にもどって、駅の北側の骨董屋などが並ぶ通りを経て、東京女子大、善福寺公園へ。池のまわりは人気少なく、暗くもなってきていたので、1人では怖そうだなんて言いながら。 帰りは、「はだしのオアシス公園」や「トトロの樹」と呼ぶ大ケヤキのある公園を通って駅近くのレストラン「バルタザール」へ。1階が有機野菜の八百屋で、その2階。3階は書店まで同じ経営です。 バルタザールでは、話題の映画「国宝」の話などで盛り上がりました。見た人3人から、ぜひとお勧め。月内に見るつもりです。 今回、会の常連北村さんが西荻に詳しいので、立ち寄りスポットや打ち上げの店の紹介などでお世話になりました。

佐藤 ヒロ子さんの投稿
雨天に悩まされた 1期の火曜日定例会でした 2025/7/15   本日も不安定な天気です  「しっかり運動したい」 声に応えて屋内ならではのメニュー  #サーキットトレーニング  #片足立ちバランスウォーキング  #継足ウォーク  #バックウォーキング  #呼吸筋活性化ウォーキング  #ペットボトルで体幹ウォーク  #脳トレ  足の先から頭の中まで    動かしてみました #船橋ウォーキングソサイエティ #美姿勢ウォーキング

みんなの元気学校さんの投稿
「ポールウォーキング 1日体験会」開催のお知らせ | 研究・産学連携推進本部

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 梅雨明け〜 本日パラダPW散策でした。30℃越えの中、 参議院選挙投票を済ませた?60名越えの参加頂きました。 南パラダ/アスレチックコース〜セラピーロードと暑さを逃れての?癒しのPW〜❗️ マイナスイオンいっぱい〜 パラダ様より温泉券とキッズランド1日パス券の提供も有り皆さん堪能出来た散策となりました。

田村 芙美子さんの投稿
7/23 北鎌倉介護予防クラス 昨日楽動教室にも参加されたメンバーは連日出席!熱いのに偉いです。仲間と顔を合わせお喋りするのが楽しみかな。会場まで往復歩いて、認知症予防に有効ですね。チェア🪑オーラルエクササイズは嚥下予防です。70代2名のほかは80代の方々ですが皆さん回を重ねるごとに明るく笑顔で元気を増してタフです。毎週計測を続けていますが、暑い☀️連休明けにもかかわらず全員筋肉量アップしていて感心しました。

株式会社シナノ(sinano)さんの投稿
【令和7年度 佐久市1日有償仕事体験事業】参加学生を募集します!

田村 芙美子さんの投稿
7/24 東京に比べると鎌倉は2~3℃低いようです。それでも暑いです。挨拶は皆共通「暑いね✨☀️✨」 腰越貯筋サークルでは包括さんの月イチ体測日。皆さん筋肉量upで素晴らしい🙌けれど握力が全体的に低いのはなぜでしょう。今日は1メンバーさんの発案 <行司スクワット>と7秒スクワットで汗を流しました。ローリング歩行はもうしっかりマスターです。次回はお盆休みなのでかき氷で暑気払いをしました。皆お元気で!

佐藤 ヒロ子さんの投稿
本日も覚悟の暑さです! 思い切ってお家を飛び出したメンバーでひとしきりの運動です #船橋ウォーキングソサイエティ 1期最後の定例会は #2本のポールを使うウォーキング ポールは今日は自宅でお留守番 クーラーの中で頭の中から爪先まで しっかり運動です!   2025/8/24 チェアエクササイズは #ふなばしシルバーリハビリ体操  その場でできる #サーキットトレーニング 狭い場所でも歩ける #バラエティウォーキング 認知症予防に #脳トレエクササイズ お口の体操は #夏休みの過ごし方 8月は夏休みです☀ 9月に元気に会うことを誓って 暑さと上手に付き合いながら お家トレーニングに励みましょう  💪🏝️🔥✨

田村 芙美子さんの投稿
7/25 連日熱中症警戒アラーム💥 消防署ではいつもの梯子の点検が行われていました。渋谷教室の会場 かんなみの杜はこのお隣です。包括支援センターや老人施設と同居なので共用部分はマスク着用😷です。室内はキンキンに冷えて寒いくらい。少し温度を上げて、今日はウォーキングの足の運び方!かかと接地(着地)↔ 後ろ足の踏み込み練習をびっしり練習しましたら全員歩幅が広くなり姿勢もきれいになって大喜び🎵😍🎵 ポールがあればみんな大股🚶‍♂️🚶‍♀️🚶 鎌倉から通ってる、っていうと皆びっくりですが湘南ライン1本で55分で楽勝です。車と違って眠れるし、何より楽しい🎶

スマイルチームさんの投稿
20250725. スマイル星ヶ丘。 ポールウォーキング。リハビリポールウォーキング。ウォーキングポールでエクササイズ。 熱中症警戒アラート🥵発令中につき、外歩きはせずに室内でじっくりたっぷりエクササイズしました。 #ポールウォーキング #リハビリポールウォーキング #ウォーキングポールでエクササイズ #

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
#2025健走杖輕旅行

スマイルチームさんの投稿
福祉✖️スマイルチーム。 居宅介護支援事業所様からのご依頼を受け リズムダンス等,元気いっぱい体を動かす目的の活動がスタートしました。 ダウン症、自閉症,知的障害,発達障害、既往症、、、 若い世代の皆さん約30名とスタッフさんとで 約1時間半。 歌って踊って喋って、、、汗だく💦 そしてみなさんからたくさんの刺激をもらいました❣️ 次回も楽しみです😊 #福祉 #スマイルチーム #要介護1〜5 #居宅介護支援事業所 #相模原市 #sagamihara #20250725

田村 芙美子さんの投稿
7/27 時が経つのは本当に速い!  もう7月最後の日曜日です。夕べ 7、8月の逗子PWは猛暑のため中止にすると連絡がありました。開始時間を繰り上げる予定でしたが連日の熱中症警戒アラームへの対処です。事故の心配なくなりひと安心です。時間が出来たので出掛けたいのですが こう暑くては・・・家でみちのくを味わいます。

田村 芙美子さんの投稿
7/31 おはようございます。今朝も心地よい風が吹いています。昨日は激動!?の1日でした。夏空の下、体操の後の月イチお楽しみ会を餌にうきうき🎵北鎌倉へ。カムチャッカの地震の影響で太平洋側へ押し寄せてくる津波注意報(→警報に変わったのを知らず)のサイレンを耳にしながら気にもせず、いつもと変わらずコアトレなど済ますと、お待ちかね!『食』の会をすっかり楽しんで帰宅路へ / <ここが境界> / 海岸方面を走る電車もバスもストップしていたのです(投稿済) 「健康のため」と自ら言い聞かせ炎天下を切通を抜けてPWで帰宅しました。前に進めば家🏚️に帰れる!と言い聞かせ、熱中症が怖くて最近は歩いてないなぁ~!と思いながら。 海の街に住むということ、今回は津波が来たときの対策を真剣に考える機会になりました。 必要なのはタフな心と身体。 今朝の団欒時の「あなたの刺激は何?」→ 「 ! 」

 

来月以降の開催
柳澤 光宏さんの投稿
今年も開催します。生プルーン食べ放題の佐久ぴんころウォーク(⁠^⁠^⁠)皆さんのご参加お待ちしています!

関連情報
1)筑波大学山田実先生は、「ポストコロナ時代のフレイル対策」理学療法の歩み35巻1号 (2024年3月)で、「ポストコロナの今、これまでの介護予防・フレイル対策を踏襲しながら、新しい価値を創造していくことが求められており、介護予防・フレイル対策領域におけるセラピストの需要および期待度は高まり続けている。」と述べられています。
また、ご自身が主催されている『Web版集いのひろば』でも、「コロナ禍の影響」と題して、ポストコロナ時代のフレイル対策について配信されています(同①:2025年7月7日配信同②:2025年7月14日配信)。下図は配信①で示された「コロナ禍の活動の変化」です。
・コロナ禍1年目で両活動は大きく制限され、
・2年目以降穏やかに回復した。
・身体活動は完全回復したが、社会活動は制限が残存したままである。
2)英国からの研究では、「パンデミックにより感染しなくても脳の老化は進み、しかも、この脳の老化の加速は,男性や高齢者,あるいは教育レベルや収入,健康状態が低いとされる社会的に不利な立場の人々でより強く現れており,認知機能の低下は感染によりさらに深刻になる。」と報告されている(後掲の下畑先生のCOVID-19:最新エビデンスの紹介(7月26日)をご参照下さい)。

 

2.PW関連学術ニュース
2-1)がんおよび自己免疫疾患の治療のための生体内CAR T細胞生成
手術、放射線、抗がん剤に次ぐがんの「第四の治療法」と呼ばれる「がん免疫療法」は近年目覚ましい発展を遂げているようです。その最新の話題をお届けします。

(1)CAR-T細胞療法とは?
**宮坂昌之大阪大学免疫学フロンティア研究センター招聘教授の2025年5月28日のFB投稿です**
CAR-T細胞療法とは、がん細胞を攻撃するT細胞を遺伝子導入によって新たに作り、それを増やして、がんを攻撃させるという新しい治療法です。CARというのはchimeric antigen receptor、すなわち、遺伝子導入によってT細胞に導入するキメラ抗原レセプター(人工的抗原レセプター)のことです。この治療法は、難治性の血液系の悪性腫瘍に対して大きな治療効果を示します。ただし、患者自身のT細胞を集めて、がんを攻撃するように体外で遺伝子改変を施して同じ患者の体内に戻すという、非常に高度な個別化医療であるために、治療の実施には厳格な施設要件があり、日本では60ぐらいの施設でしか使えません。しかし、アメリカではすでにかなり広く使われるようになっていて、多くの医療機関や製薬会社が参画して、現時点でも1兆円以上の市場規模があるようです。
最近のNatureのNews Featureという欄に、いかにして治療効果と安全性が高いCAR-T細胞を作るか、特に、いかにして安く、そして早く作るかなどについて、わかりやすくまとめられています(https://www.nature.com/articles/d41586-025-01570-6)。導入細胞をT細胞だけでなくて、マクロファージやNK細胞などを標的にする治療も試験的に始まっています。医学は日進月歩の世界です。
(対象記事)
NATURE NEWS FEATURE
27 May 2025,Correction 04 June 2025
Cancer-fighting immune cells could soon be engineered inside our bodies
Manufacturing CAR T cells in the laboratory is expensive and time-consuming. An in vivo approach could get the powerful therapy to more people.
By Cassandra Willyard
がんと闘う免疫細胞が近い将来、体内で作られるようになるかもしれない
CAR-T細胞を研究室で製造するには費用と時間がかかります。生体内でのアプローチにより、より多くの人々に強力な治療を提供できる可能性があります。
著者:カサンドラ・ウィラード

(2)mRNA封入脂質ナノ粒子を利用して生体内でCAR-T細胞を作り、自己免疫疾患を治療する。
**宮坂昌之大阪大学免疫学フロンティア研究センター招聘教授の2025年6月21日FB投稿です**
CAR-T細胞療法とは、がん細胞を攻撃するT細胞を遺伝子導入によって新たに作り、それを増やして、がんを攻撃させるという新しい治療法です。CARというのはchimeric antigen receptor、すなわち、遺伝子導入によってT細胞に導入するキメラ抗原レセプター(人工的抗原レセプター)のことです。この治療法は、難治性の血液系の悪性腫瘍に対して大きな治療効果を示します。
(https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid02DGDGvMcKVcYKoZpbNKG9TnfcSqyvNgLCWn3fDR86qM8DmLvDjuavTYbNmdsFtEGgl)。
最近は、この方法が自己免疫疾患の治療にも応用されて、自己抗体を作るB細胞を殺すことができるようになり、まだ試験的段階ではありますが、かなり良い結果が得られつつあります。
ところがこの治療法の一番の問題は、患者のT細胞を集めてきて体外で特定の遺伝子を導入してさらにそれを増やして患者に戻すということをするので、非常に複雑で高価であるということです。
そこで、アメリカの研究グループが、なんとか患者の体内で遺伝子導入ができないかと考え、新しい技術を開発しました。具体的には、mRNAワクチンで開発された脂質ナノ粒子を利用して、その中にB細胞を殺すのに必要なCAR遺伝子をmRNAの形で封入し、さらにこの粒子が患者のCD8 T細胞(いずれキラーT細胞になる細胞)だけに導入されるようないくつかの工夫をして、生体内でCD8 T細胞だけにCAR遺伝子が発現されるような技術を開発したのです。
つまり、これは体外ではなくて体内で選択的にCD8 T細胞に遺伝子導入を行い(=外来遺伝子を発現させ)、そのT細胞を使って、悪い自己抗体を作るB細胞(=自己免疫疾患を起こすB細胞)を殺そうとする試みです。
その結果が最新号のScience誌に論文として発表され(https://www.science.org/doi/10.1126/science.ads8473)、さらに、その論文に対するコメント記事が同じ号に出ています(https://www.science.org/doi/10.1126/science.ady7928)。
その方法は、①まず、B細胞を破壊するためのCD19-CAR遺伝子(mRNA)を封入した脂質ナノ粒子を作るのですが、それだけではなく、さらに②その粒子表面にヒトのCD8 T細胞(いずれキラーT細胞となる細胞)だけに結合する抗体を結合させ、また、この粒子が血流に注射された際に肝臓にたくさんと取り込まれる可能性があるので(肝臓は血中の不要物を捕捉する役割がある)、③粒子表面の脂質の構造を改変して肝臓に捕捉されないようにする、などのいくつかの工夫がこらされています。
現在はまだ動物実験の段階ですが、①ヒトB細胞を持つマウスにこの粒子を血液内に投与するとヒトB細胞だけが数時間内にほぼ消滅すること、②カニクイザルで同様の方法を用いると、やはりB細胞だけが選択的に約1ヶ月間大きく減っていた、ことが示されています。
ただし、ナノ粒子内に封入されたCAR遺伝子は、mRNAなので、体内では数日間で壊れてしまい、この方法によるB細胞破壊効果は2,3週間ぐらいしか続かず、ふたたびB細胞が元のレベルにまで増えてきます。しかし、この方法は繰り返し用いることができるので、反復投与によってB細胞レベルを低い状態に保つことができるはずです。困るのは、自己抗体を作る悪いB細胞だけでなく、すべてのB細胞が破壊されてしまうのですが、これに対しては、免疫グロブリン(抗体を含む血中蛋白質)を投与することにより患者の液性免疫(=B細胞による免疫)レベルを保つことが可能です。
以上、「ナノ脂質粒子を使って体内で遺伝子導入を行い、できたCAR-T細胞を使って目的の細胞を選択的に殺す」という試みが始まっています。現在のデータを見る限り、これはかなり有望な方法かもしれません(ただしmRNAワクチンがお嫌いな方々には「とんでもない方法だ」と思われるかもしれませんが…)。
いずれにせよ、医学は日進月歩の世界です。

(対象論文)
表題:がんおよび自己免疫疾患の治療のための生体内CAR T細胞生成
In vivo CAR T cell generation to treat cancer and autoimmune disease
著者:Theresa L. Hunter https://orcid.org/0000-0002-6494-1294, Yanjie Bao https://orcid.org/0000-0002-8194-6230, Yan Zhang, Daiki Matsuda, Romina Riener https://orcid.org/0000-0001-5005-112X, Annabel Wang https://orcid.org/0009-0009-6250-1226, John J. Li, Ferran Soldevila https://orcid.org/0000-0001-9472-623X, David S. H. Chu, […] , and Haig Aghajanian https://orcid.org/0000-0002-8317-0157+30 authors Authors Info & Affiliations
掲載誌:Science 19 Jun 2025 Vol 388, Issue 6753 pp. 1311-1317

編集者の要約
キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法は、B細胞悪性腫瘍の治療において大きな成功を収めており、自己免疫疾患の治療にも可能性を秘めています。しかしながら、複雑な製造および前処置レジメンが、その利用しやすさと拡張性に限界をもたらしています。Hunterらは、抗CD19 CAR mRNAを担持したCD8標的脂質ナノ粒子を投与することで、体内でCAR-T細胞を生成する遺伝子送達システムを報告しています(PecheとGottschalkによる展望記事参照)。げっ歯類および非ヒト霊長類(NHP)モデルのデータは、腫瘍制御を実証しました。自己免疫モデルでは、NHPの血液および組織においてB細胞の深刻な一過性枯渇が観察され、「免疫リセット」が起こりました。このような戦略は、体外CAR-T細胞免疫療法に代わる、既製品で非ウイルス性かつ拡張可能な代替手段となる可能性があります。—Priscilla N. Kelly

要約
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法は、B細胞悪性腫瘍の治療を変革しました。しかし、複雑な製造プロセスとリンパ球除去化学療法の必要性により、その幅広い適用が制限され、患者へのアクセスが制限されています。本研究では、標的脂質ナノ粒子(tLNP)を用いて特定のT細胞サブセットにメッセンジャーRNAを送達するin vivoエンジニアリング戦略を紹介します。これらのtLNPは、健常ドナーと自己免疫疾患患者の両方のサンプルでCD8 + T細胞を再プログラム化し、in vivo投与によりヒト化マウスの腫瘍制御とカニクイザルのB細胞枯渇をもたらしました。カニクイザルでは、枯渇後に再構成されたB細胞は主にナイーブであり、免疫系のリセットを示唆しています。複雑なex vivo製造の必要性を排除することで、このtLNPプラットフォームは、CAR T細胞療法をよりアクセスしやすく、より多くの臨床適応症に適用できるようにする可能性を秘めています。

(コメント記事)
表題:Engineering immunotherapy from within
Lipid nanoparticles are designed to generate therapeutic T cells inside living animal models
内側から免疫療法をエンジニアリングする
脂質ナノ粒子は、生きた動物モデル内で治療用T細胞を生成するように設計されている。
著者:Vivek Peche and Stephen GottschalkAuthors Info & Affiliations
掲載誌:Science 19 Jun 2025 Vol 388, Issue 6753 pp. 1273-1274
要約
患者自身の免疫細胞を利用して病気と戦い、健康な細胞には影響を与えない治療法は、養子免疫療法と呼ばれ、強力な治療選択肢と考えられている。確かに、体内で疾患原因細胞に誘導するタンパク質(キメラ抗原受容体(CAR))を発現するようにT細胞を操作するタイプの免疫療法は、20年以上研究されてきた(1、2 )。しかし、CAR T細胞は体外で生成されるため、これらの療法には相当規模のインフラが必要となり、費用がかさむ。今月号の1311ページで、Hunterら(3 )は、標的のB細胞を効果的に枯渇させるナノ粒子を使用し、体内(動物モデル)でCAR T細胞を設計したことを報告している。この成果は、B細胞悪性腫瘍や自己免疫疾患の治療に影響を与え、体内での免疫エフェクター生成の探究を前進させ、CAR T細胞を用いた免疫療法をより広範な臨床用途へと前進させるものである。

関連情報
宮坂先生は2025年7月8日のFB投稿で、Cell誌に載った論文『CAR-NK細胞が自己免疫疾患の実験的治療に使用され始めた』を紹介されていらっしゃいます。

(3)Copilotに聞いてみました。
Q1:「がんおよび自己免疫疾患の治療のための生体内CAR T細胞生成」について解説して下さい。
A1:「生体内CAR T細胞生成(in vivo CAR-T cell generation)」は、がんや自己免疫疾患の治療において注目されている次世代の免疫療法アプローチです。従来のCAR-T細胞療法と比較して、より簡便かつ低コストでの治療が期待されています。

🔬 CAR-T細胞とは?
CAR-T細胞(Chimeric Antigen Receptor T cells)は、T細胞にがん細胞などの特定の抗原を認識する人工受容体(CAR)を導入したもので、がん細胞を強力に攻撃する能力を持ちます。

🧬 生体内CAR-T細胞生成とは?
従来のCAR-T療法では、患者からT細胞を採取し、体外で遺伝子改変・増殖させてから再び体内に戻す必要がありました。これには高額な費用と時間がかかります。
一方、生体内CAR-T細胞生成では、遺伝子導入用のベクター(例:ウイルスやナノ粒子)を直接体内に投与し、体内のT細胞をその場でCAR-T細胞へと変換します。これにより、製造工程を大幅に簡略化でき、より迅速な治療が可能になります。

🧠 自己免疫疾患への応用
自己免疫疾患では、免疫細胞が誤って自己組織を攻撃します。生体内CAR-T技術を応用することで、自己反応性T細胞を標的にして除去するCAR-T細胞を体内で生成し、病態の改善を図る研究が進んでいます。

⚠️ 課題と展望
・標的の選定:がんや自己免疫疾患において、適切な抗原を選ぶ必要があります。
・安全性:体内での制御が難しいため、過剰な免疫反応(例:サイトカイン放出症候群)への対策が不可欠です。
・技術の進展:人工サイトカイン受容体の導入などにより、治療効果と安全性の両立が模索されています。
この技術は、CAR-T細胞療法の「個別化医療」から「普遍的な治療」への転換を可能にするポテンシャルを秘めています。もしご興味があれば、具体的な疾患や最新の臨床試験についても掘り下げてご紹介できますよ。

Q2:最新の研究成果について教えてください。
A2:最新の研究では、CAR-T細胞療法の効果と安全性を同時に高める革新的なアプローチがいくつか報告されています。以下に注目すべき成果をまとめました:

🧪 1. 人工サイトカイン受容体の開発(慶應義塾大学)
慶應大学の研究チームは、IL-6とIL-7の機能を融合した人工サイトカイン受容体を開発しました。
IL-6受容体:副作用の原因となるIL-6を吸着・分解し、サイトカイン放出症候群(CRS)を抑制。
IL-7受容体:T細胞の長期生存を促進し、治療効果を持続。 この人工受容体をCAR-T細胞に導入することで、副作用を抑えつつ高い抗腫瘍効果を示すことが、白血病や膵臓がんモデルで確認されました。
(関連情報)
表題:CAR-T細胞療法の効果と安全性を高める人工サイトカイン受容体
発表日:2024年10月01日 記事公開日:2024年10月01日
執筆者:籠谷勇紀(先端医科学研究所がん免疫研究部門)
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/science/202410/

🧬 2. CCR4標的CAR-T細胞療法(国立がん研究センター × ペンシルバニア大学)
成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)などのT細胞性がんに対して、CCR4を標的とするCAR-T細胞療法の開発が進行中です。
日本で多いATLLに対する新たな治療選択肢として期待されており、固形がんへの応用も視野に入れた臨床開発が始動しました。
(関連情報)
表題:細胞白血病リンパ腫(ATLL)などへの細胞療法開発が始動―国立がん研究センターとペンシルバニア大学が共同保有する「CCR4標的キメラ抗原受容体T細胞療法」特許を国がん発ベンチャー企業へ実施許諾
発表日:年7月11日
発信者:開発法人国立がん研究センター
ARC Therapies株式会社
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/0711/index.html

🧠 3. 神経毒性を予測する新規バイオマーカー(九州大学)
CAR-T療法の重大な副作用であるICANS(神経毒性)を、治療前の髄液検査で予測可能にするバイオマーカー「C1RL/FUCA2」を発見。
予測精度はAUC 0.95と非常に高く、個別化医療の実現に貢献する可能性があります。
(関連情報)
表題:CAR-T細胞療法の神経毒性を予測する新規バイオマーカーを発見!~九州大学病院の質量分析プラットフォームによる革新的解析~
著者:医学研究院 﨑 祐哉 教授
発表日:2025.03.11
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1221

これらの成果は、CAR-T細胞療法をより安全かつ効果的に進化させる大きな一歩です。もし特定の疾患や技術にフォーカスしたい場合は、さらに深掘りしてご紹介できますよ。どの方向に興味がありますか?

Q3:新規バイオマーカーがどのように個別化医療に貢献するのか?
A3:バイオマーカーは、患者ごとの治療反応や副作用リスクを事前に予測する手がかりとなるため、個別化医療(Precision Medicine)の中核を担います。特にCAR-T細胞療法のような強力だが副作用の大きい治療では、その意義が非常に大きいです。

🧠 九州大学の研究:ICANS予測バイオマーカー「C1RL/FUCA2」
CAR-T療法の重大な副作用である免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は、発症すると命に関わることもあります。九州大学の研究チームは、治療前の髄液中タンパク質の比率(C1RL/FUCA2)を測定することで、ICANSの発症リスクをAUC 0.95という高精度で予測できることを発見しました。

🧬 個別化医療への貢献ポイント
・リスク層別化(Stratification):高リスク患者を事前に特定し、治療計画を調整(例:用量調整、予防的ステロイド投与)できます。
・治療選択の最適化:バイオマーカーに基づいて、CAR-T療法が適さない患者には他の治療法を選択する判断材料になります。
・モニタリングと早期介入:バイオマーカーを用いたモニタリングにより、副作用の兆候を早期に察知し、迅速な対応が可能になります。
・新規治療標的の発見:バイオマーカーの機能解析を通じて、ICANSや他の副作用のメカニズム解明や新薬開発にもつながります。

このように、バイオマーカーは「誰に、いつ、どのような治療を行うべきか」を科学的に導く羅針盤のような存在です。もしご希望であれば、他の疾患領域におけるバイオマーカーの活用事例もご紹介できますよ。

(4)腸内細菌は樹状細胞を介して腸から離れたがんの免疫環境に影響する~免疫チェックポイント阻害薬の作用に関与する新たな腸内細菌を同定~

国立がん研究センター等からの2025年7月15日付プレスリリースです。

プレスリリースの「発表のポイント」
・現在、さまざまながんで免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療が実施されていますが、長期間にわたり治療効果が得られる患者さんは20%程度に限られており、治療成績のさらなる改善が求められています。
・免疫チェックポイント阻害薬の治療効果には、腸の細菌(腸内細菌)が関係することが報告されていますが、腸に存在する細菌がなぜ腸ではない臓器 (肺など) に発生したがんに影響を及ぼすのか等の詳細な機序は分かっていませんでした。
・本研究チームは、免疫チェックポイント阻害薬の作用に関与する新たな腸内細菌としてルミノコッカス科に属するYB328株を同定、さらにその培養に成功し、作用メカニズムを解明しました。
・YB328株が腸内で免疫応答の司令塔である樹状細胞を活性化し、その樹状細胞ががん組織まで移動することで免疫効果を発揮するとともに、腸内細菌叢の多様化を通じた樹状細胞のさらなる活性化により、免疫チェックポイント阻害薬の効果を高める可能性が示されました。
・本研究成果により、YB328株が、免疫チェックポイント阻害薬だけでなく免疫細胞療法などでもがん免疫療法の作用を高める可能性が示唆され、次世代のがん免疫療法への応用が期待されます。

論文
Nina Yi-Tzu Lin、et al.「Microbiota-driven antitumour immunity mediated by dendritic cell migration」Nature 14 July 2025
DOI;10.1038/s41586-025-09249-8
URL;https://www.nature.com/articles/s41586-025-09249-8
ニーナ・イーツー・リン他、「樹状細胞の移動を介して媒介される微生物叢主導の抗腫瘍免疫」Nature 2025年7月14日

Copilotとの質疑応答(一部改変)
Q1;以下の表題の論文の要旨を教えてください。Microbiota-driven antitumour immunity mediated by dendritic cell migration

A1;🧬この論文「Microbiota-driven antitumour immunity mediated by dendritic cell migration」は、腸内細菌ががん免疫に与える影響を新たな視点から解明した画期的な研究です。以下に要旨をまとめます:

🧠研究の背景と目的
・免疫チェックポイント阻害薬(ICI)はがん治療に用いられていますが、長期的に効果があるのは約20%の患者に限られています。
・腸内細菌がICIの効果に関与することは知られていましたが、腸に存在する細菌が肺など腸以外の臓器に発生したがんにどう影響するかは不明でした。

🔍主な発見
・YB328株(ルミノコッカス科)という新たな腸内細菌を同定し、培養に成功。
・YB328株は腸内で樹状細胞(DC)を活性化し、これらのDCが腫瘍組織に移動することで抗腫瘍免疫を誘導。
・活性化されたDCはPD-1陽性CD8陽性T細胞の誘導を促進し、ICIの効果を高める。
・YB328株はTLR(Toll様受容体)シグナルを介してCD103陽性樹状細胞の分化と活性化を促進。
・マウスモデルでは、YB328株の投与により腫瘍縮小効果が確認され、ヒト腫瘍組織でも同様の免疫細胞浸潤が見られた。

🌍臨床的意義と展望
・YB328株は、ICIが効きにくい患者に対しても腸内環境を改善し、治療効果を高める可能性がある。
・日本人の約20%が自然に保菌していることが示されており、安全性も期待される。
・次世代の経口アジュバント(免疫賦活化剤)として、がん免疫療法への応用が期待される。

この研究は、腸内細菌が腸から離れたがん組織にまで影響を及ぼす仕組みを世界で初めて可視化し、がん免疫療法の新たな可能性を切り拓くものです。

Q2;この論文の発見と、CAR-T細胞療法との関係を教えてください。
A2;🧩この論文の発見は、CAR-T細胞療法の限界を補完する新たな戦略として非常に注目されています。以下に、両者の関係を整理してご説明します:

🔬この論文の主な発見
・腸内細菌YB328株が樹状細胞(DC)を腸内で活性化し、これらのDCが腫瘍局所に移動してPD-1陽性CD8⁺T細胞を誘導。
・このプロセスにより、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果が増強される。
・YB328はTLRシグナルを介してCD103⁺DCの分化と活性化を促進し、抗原提示能力とT細胞応答の質・量を向上させる。

🧠CAR-T細胞療法との関係性
CAR-T細胞療法には非常に革新的な面がある一方で、いくつかの重要な課題があります。それぞれについて、今回のYB328株の研究成果がどう関係するかも織り交ぜて整理しますね。

・固形がんへの効果が限定的(CAR-Tは主に血液がんに効果的だが、固形腫瘍では腫瘍局所への浸潤が困難):YB328株は樹状細胞(DC)を活性化して腫瘍組織へ移動させ、免疫環境を改善
・T細胞の疲弊(exhaustion)(CAR-T細胞が過剰な抗原刺激で機能低下):YB328株はPD-1陽性CD8⁺T細胞を適度に誘導し、T細胞応答をバランスよく活性化
・抗原提示の非効率性(腫瘍細胞が標的抗原を十分に提示しないケースがある):YB328はCD103⁺樹状細胞の誘導により、クロスプレゼンテーション能力を高める
・腸内細菌叢による治療効果のばらつき(個人の腸内環境がCAR-Tの有効性に影響):YB328は腸内細菌叢の多様性向上・均質化に寄与し、反応性を高める可能性

🔄補完的役割の可能性
• YB328の投与により、T細胞応答の質と量が増強されることで、CAR-T細胞の標的攻撃効率が向上する。
• YB328が誘導するDC移動・活性の可視化は、CAR-T投与後の免疫環境の変化をモニタリングする手法にも応用可能。
• 今後、CAR-T細胞の腫瘍内浸潤を促す前処理としてYB328株を使う戦略も臨床的に検討されるかもしれません。

このように、YB328株はCAR-T療法の“弱点”を突いて免疫システム全体の調整役として機能しうる存在です。もし、CAR-Tの副作用(CRSやICANS)との関係や、YB328との併用モデルが気になるなら、さらに掘り下げてご案内できますよ🧪✨
どの方面で続けましょうか?臨床応用?免疫ネットワーク解析?それとも細胞動態追跡の話など。

関連情報
当該論文については、大阪大学の宮坂昌之先生が2025年7月16日のFBに解説記事を投稿されています。

 

2-2)岐阜大学医学部下畑先生からの最新医学情報(2025年7月)
・アウシュビッツで考えた科学と倫理
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年7月1日のFB投稿です**
パリでの学会(https://charcot2025.fr/)に参加する前に,週末を利用してアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所を訪れました.リベラルアーツ研究会で「夜と霧(https://amzn.to/46lteC8)」を取り上げた際に関連資料を読み漁ったため,知識としては理解していたつもりでしたが,実際にその場に立つと,まったく異なる感情がこみ上げてきました.毒ガス・チクロンBが投げ込まれたガス室,そして通路一面に貼られた被収容者の顔写真を前にしたとき,胸が押しつぶされるような苦しさを覚えました.戦争は人間をここまで残虐にするのかという思いが改めて浮かびました.
科学者の狂気についても深く考えさせられました.チクロンBを開発したドイツ出身の物理化学者フリッツ・ハーバーはノーベル賞受賞者です.最近読んだ『天才の光と影』(https://amzn.to/4kjFKWj)という書籍では,ノーベル賞受賞者23人の人物像が紹介されています.ノーベル賞を受賞するほどの科学者と聞くと,優れた人格者であると考えがちですが,実際にはそうとは限らないことがわかります.冒頭で紹介されるフリッツ・ハーバーは,化学肥料の原料となるアンモニアの合成に成功し,1918年にノーベル化学賞を受賞しました.しかしそのアンモニアは,第一次世界大戦中には硝酸へと化学変化させることで火薬の原料として用いられました.さらに晩年のハーバーは毒ガスの開発に没頭し,ドイツ軍においてチクロンBを含む化学兵器の開発指揮を執るようになります.彼の行動を「科学的才能を大量殺戮兵器に費やしている」と批判したアインシュタインに対し,ハーバーは「毒ガスで戦争を早く終わらせることができれば,結果的に無数の人命を救える」と反論したといいます.
この本のあとがきに次のような一文があります.「実は,社会的地位が高ければ高いほど,あるいは高学歴であればあるほど,いったんオカルトを信じ込むと,自分の知性や権力を総動員して『妄信』を弁護しようとするため,さらに自分が間違っていることを自覚できなくなる.彼らは社会的影響力を持っているため,結果的にさまざまな分野で,恐ろしいほどの害悪を社会にもたらしてしまうわけである.ここで私たちはもう一度,『いつでも最も大事なことは,自分の頭で“考える”ことです』というポーリングの“教訓”を胸に刻む必要があるだろう」
本書には量子力学と核兵器開発についても詳しく述べられています.科学が社会に与える影響の大きさと,その危うさを実感しました.現代ではバイオ技術やAIでしょうか.科学者には専門性だけでなく,人間性を育む教育が不可欠であると感じました.そして,私達もまた権威ある他者の意見であっても盲信することなく,自分の頭で『考える』ことが大切であると改めて思いました.

・シャルコー生誕200年記念式典に参加しています
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年7月3日のFB投稿です**
ジャン・マルタン・シャルコー(Jean-Martin Charcot;1825–1893年)は,フランスの神経病学者であり,その名は多くの疾患や症候に残されています.彼の業績は医学にとどまらず,芸術や文学など広範な文化領域にまで影響を与えました.本年は,シャルコー生誕200年の節目に当たるため,第29回国際神経科学史学会(ISHN)は「シャルコー生誕200年記念式典」を兼ねて,パリのサルペトリエール病院内にあるICM Institute for Brain and Spinal Cordにて開催されています.
これまでに2日間の講演が行われ,シャルコーの研究やその後の神経学への影響について多くを学びました.なかでも本領域の碩学であるWalusinski先生,Christopher Goetz先生による講演は特に印象深いものでした.Goetz先生は,シャルコーの現代神経学への貢献を次の3点に整理されました.すなわち,①臨床症状と解剖学的病変を結びつけるという診断学的アプローチの確立,②病理学・写真術・生理学・歩行分析などの新しい技術を神経学に導入した革新性,③神経疾患の理解における遺伝学的説明の重要性を高めた点です.
本日3日目は,Charcot libraryの見学と,シャルコーゆかりの地をめぐるバスツアーが予定されています.私は最終日4日目に講演をしますが,シャルコーの晩年の弟子のひとり三浦謹之助先生を通して,その師弟関係が日本の神経学の発展にどのような影響を与えたのか,フランスをはじめ世界のシャルコー研究者の先生方にお伝えしたいと思います.なお,この学会で得られた知見については,第19回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス(MDSJ)の2日目の「シャルコー生誕200年記念シンポジウム」において,今回の講演をご指導くださった岩田誠先生のご発表(シャルコーのパーキンソン病)のあとにご報告させていただく予定です.

・講演,無事に終わりました!@シャルコー生誕200年記念式典
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年7月5日のFB投稿です**
お蔭さまで,無事に講演を終了しました.終了後,多くの先生が集まって来られて,Congraturations!と言っていただき大変驚きました.これまで経験のないことで感激しました.三浦謹之助先生とシャルコー先生の師弟関係に心を動かされた先生が多かったのかなと思いました.
今回の講演「Kinnosuke Miura and Jean-Martin Charcot: A Master-Disciple Legacy in Modern Japanese Neurology」の一部の動画とスライドを以下にアップロードいたします.
スライド
https://www.docswell.com/…/800…/K12VD2-2025-07-05-163527
ほかにCharcot libraryや,院内外のシャルコー先生ゆかりの場所も訪ねました.写真の1枚目はあの「火曜講義」の手書きの初版本!,2枚目はシャルコー先生の生家,3枚目は大会長でシャルコー研究の権威のWalusinski先生との写真です.
関連情報
下畑先生は、第19回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス(大会長:都立神経病院 高橋一司先生)にて,「シャルコー生誕200年記念シンポジウムに参加して」と題した講演をされています(7月25日のFB投稿より)。

・COVID-19により引き起こされる網膜のアルツハイマー病様アミロイド蓄積 ―アミロイドβ抗菌仮説の証左?―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年7月12日のFB投稿です**
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染がアルツハイマー病発症のリスクを増加させるという複数の研究が報告されていますが,最新のScience Advances誌に報告された研究は,網膜においてアルツハイマー病様のアミロイドβ(Aβ)病理がCOVID-19によって誘導されることを示したもので注目されます.米国イェール大学眼科などの共同研究です.
著者らは,死後短時間内に採取されたヒト網膜組織およびヒトiPS細胞から作成した網膜オルガノイドを用いて,SARS-CoV-2感染がAβの沈着を促進するかどうかを調べました.図Aでは,CRANAD-28という蛍光プローブを用いた染色により,COVID-19患者およびアルツハイマー病患者の網膜において,健常者と比較してAβ沈着が増加していることが示されています.図BではAβ沈着面積の定量解析により有意な差が確認されています.さらに図Cでは,SARS-CoV-2のスパイクタンパクとAβの二重免疫染色が行われ,一部のAβ沈着がスパイクタンパク質と共局在していることが示されています.この結果は,COVID-19がアルツハイマー病様の神経変性変化を網膜レベルで誘導しうることを示唆します.また,スパイクタンパクの受容体の一つであるneuropilin-1(NRP1)を薬理学的に阻害することで,網膜におけるAβ蓄積が有意に抑制されることも明らかになりました.これは,今後の治療的介入の標的となりうることを意味しており,Long COVIDの神経症状の病態理解や治療戦略にもつながる可能性があります.
以上の知見は,Aβが感染防御の一環として微生物を取り囲むように沈着するという「アミロイドβ抗菌仮説(amyloid-β antimicrobial hypothesis)」に整合するものです(Alzheimers Dement. 2018;14:1602–1614).この仮説は,Aβは単なる老廃物や神経毒性物質ではなく,体内に侵入した細菌やウイルスなどの微生物に対する免疫反応として働いているという仮説です.Aβは微生物の表面に結合し,それを取り囲んで凝集させることで感染拡大を防ぐとされており,いわば「天然の抗菌ペプチド」としての役割が想定されています(PLoS ONE. 2010;5(3):e9505).この仮説に基づけば,感染に反応してAβが過剰に生成されることがアルツハイマー病の初期病理に関与する可能性もあり,SARS-CoV-2によるAβ産生の誘導はまさにこの仮説の臨床的な証左と考えられます.
もしこの仮説が正しければ,Aβを標的とする抗体療法には慎重な姿勢も求められます.Aβが脳内の感染防御に関わっている可能性がある以上,過剰な除去はかえってウイルスや病原体への脆弱性(例えばHSV1やVZVの再活性化に伴う神経障害)を高めるおそれがあるためです.病的Aβを特異的に除去することが求められるように思います.
Miller SJ, et al. SARS-CoV-2 induces Alzheimer’s disease–related amyloid-β pathology in ex vivo human retinal explants and retinal organoids. Sci Adv. 2025 Jul 4;11(27):eads5006.(doi.org/10.1126/sciadv.ads5006)

・血漿リン酸化タウが最も高値なのは新生児であり,高濃度リン酸化タウが凝集や神経障害を来さない防御機構が存在する!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年7月15日のFB投稿です**
非常に驚いた報告です.スウェーデンを初めとするなど多数の研究機関が参加した国際共同研究です.チームは,「タウ蛋白のリン酸化が脳の発達と神経変性の両方に重要な役割を果たす」という仮説のもと,新生児を含む健常者とアルツハイマー病(AD)患者における血漿リン酸化タウ217(p-tau217)濃度を比較しました.
対象は,健康な新生児(n=161),早産児(n=14),健常成人,およびAD患者(軽度認知障害を含む,n=163)でした.結果として,新生児の血漿p-tau217の濃度は,思春期・若年成人・高齢者いずれの年齢群よりも有意に高く,さらにAD患者よりも高値を示しました.具体的には,コホート1の新生児の平均値は10.19 pg/mL,コホート2では9.14 pg/mLであり,AD群(3.68 pg/mL)の約2.5〜3倍とかなり高値です(図1).一方,思春期・若年成人・高齢者の間ではp-tau217濃度に有意差はありませんでした.
また早産児14名に対し,出生後140日間にわたり血漿p-tau217を測定したところ,出生直後には,より高値を示し,時間の経過とともに減少し,生後3〜4か月で若年成人レベルに達しました(図2).これはp-tau217の高値が生理的な現象であり,神経発達の過程において重要な役割を果たしている可能性を示唆しています.またこのような変化は非リン酸化タウやNfLでは観察されず,タウリン酸化特有の生理的調節機構が存在することが示唆されます.
興味深い点は,新生児においてアミロイドβの蓄積が全く認められないにもかかわらず,p-tau217が極めて高いレベルで存在しているという事実です.つまりリン酸化タウの上昇がアミロイドβ非依存的に生じうることを示しています.有名な「アミロイドβの蓄積がタウの異常リン酸化を引き起こす」というアミロイド仮説では説明できず,本文でも「リン酸化タウはアミロイド非依存的なマーカーである可能性がある」と明記されています.
この論文は,①p-tau217が神経発達と神経変性の両方に関与する「二面性」を持つことを明確に示した点,②アミロイドβ→タウリン酸化以外の経路があることを示した点,③新生児期のように高濃度のリン酸化タウが存在しても凝集や神経障害が起こらない未知の防御機構が存在することを示した点において重要と思います.とくに③はタウオパチーに対する新たな治療戦略へとつながるかもしれません.
Gonzalez-Ortiz F, et al. The potential dual role of tau phosphorylation: plasma phosphorylated-tau217 in newborns and Alzheimer’s disease. Brain Communications. 2025;7(3):fcaf221. https://doi.org/10.1093/braincomms/fcaf221

・ミクログリアとシナプス:進行性核上性麻痺の病態理解を深める2つの研究
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年7月20日のFB投稿です**
進行性核上性麻痺(PSP)は,中脳や大脳皮質にタウが蓄積し,運動障害や認知機能障害を引き起こすタウオパチーの代表的疾患です.これまで,神経炎症とタウの脳内伝播が病態進行に関与すると考えられてきましたが,その直接的証拠は限られていました.今回紹介する2つの研究は,TSPO PET画像と死後脳との対応づけ,およびタウのシナプス伝播機構の可視化というアプローチで,PSPの病態理解を大きく進めるものです.
1つ目の研究(Wijesingheら,Brain 2025)は,生前にTSPO PET(¹¹C-PK11195)を受けたPSP患者8名の死後脳を用いて,PETシグナルの細胞学的起源を追究しています.TSPOは近年,神経炎症の指標としてPETで広く使用されていますが,実際にどの細胞に由来するのかは議論の余地がありました.この研究では,TSPOは血管および血管外に存在するものの,病的増加に関してはミクログリアに由来することを示しています.つまりミクログリアマーカー(IBA1)とTSPOの共局在が顕著であり,アストロサイト(GFAP)との共局在はわずかでした(図1左).さらに,生前のTSPO PETシグナルは,死後のCD68陽性の貪食型ミクログリアの量と有意に相関していました(図1右).以上より,PSPにおけるTSPO PETシグナルは主にミクログリア由来の神経炎症を反映していることが明らかとなり,TSPO PETがタウオパチーにおける信頼できるバイオマーカーとなり得ることが示されました.
2つ目の研究(McGeachanら,Nature Neuroscience 2025)は,PSPにおけるタウのシナプス伝播と,それに伴うシナプス消失のメカニズムに迫ったものです.PSP患者の死後脳の中脳黒質および前頭葉を用いたアレイ・トモグラフィー(超薄切片を連続的に撮影し,それらを立体的に再構成する顕微鏡技術)により,リン酸化タウ(AT8)やオリゴマー性タウ(T22)が,シナプス前・後終末の両方に蓄積する様子が可視化されました(図2).特に,前終末にタウを含むシナプス対では,後終末にもタウが存在する割合が,前終末に含まない場合と比べ86倍高く(図2iの0.33%と28.4%の比),タウがシナプスを介して伝播していることが示されました.さらに,アストロサイトがタウを含むシナプスを貪食している様子が電子顕微鏡でも確認され,ミクログリアよりもアストロサイトがシナプス消失に寄与していることが示されました.また,PSP脳抽出物を生体ヒト脳スライスに添加すると,オリゴマー性タウがシナプス後終末に取り込まれ,アストロサイトが活性化し,シナプスを貪食する現象が再現されました.つまりタウオパチーに対するタウ抗体療法が「シナプス内タウ」に焦点を当てるべきであることが示唆されます.加えて,著者らはプロテオーム解析を行い,シナプス内でclusterinが増加しており,オリゴマー性タウと10nm以内の距離で共局在していることを示し,clusterinがタウのシナプス伝播を媒介している可能性を指摘しています(治療標的になるかもしれないということです).
これら2つの研究は,一方はPSPではミクログリアによる神経炎症が生じていることを示し,もう一方はタウの伝播とアストロサイトによるシナプス喪失を示しました.ミクログリアとアストロサイトも病態に関わっているということです.またいずれの研究にも共通する点として,明確な仮説を持ち,それを示すために古典的な病理学的手法と最新技術(PETやプロテオーム解析)を併用していることが挙げられます.非常に参考になると思いました.
1. Wijesinghe SS, et al. Post-mortem validation of in vivo TSPO PET as a microglial biomarker. Brain. 2025;148(6):1904–1910. doi:10.1093/brain/awaf078
2. McGeachan RI, et al. Evidence for trans-synaptic propagation of oligomeric tau in human progressive supranuclear palsy. Nature Neuroscience. 2025. doi:10.1038/s41593-025-01992-5

・新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(7月26日) 
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年7月26日のFB投稿です**
今回のキーワードは,long COVIDに対する抗ウイルス薬の単独使用では短期間での症状改善は見込めない,パーキンソン病患者ではCOVID-19罹患により長期的予後が悪化する,COVID-19後に現れる新たな片頭痛様頭痛―2年後も続く後遺症としての頭痛,Long COVIDと筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群では共通する病態として「酸化ストレス」があり女性に顕著である,パンデミックにより感染しなくても脳の老化は進むが認知機能の低下は感染によってさらに深刻になる,です.
コロナ後遺症と臨床像が似ていると言われてきた筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)ですが,いずれの疾患でも女性の末梢血単核球において酸化ストレスが顕著で,免疫細胞のエネルギー消費を増加させ,ATP枯渇を招くことで慢性的な疲労につながることが示されました.ME/CFSは医療者側の理解不足・偏見もあって診断や支援に困難がある現実が存在しますが,いよいよ病態が明らかになってきました.つぎは診断バイオマーカーの実用化を期待したいと思います.あと注目すべき研究はUKバイオバンクの研究で,パンデミックは感染しなくても脳の老化を加速させ,とくに高齢者,教育レベルや収入,健康状態が低い社会的に不利な立場の人々で顕著であったことが示されたことです.感染すればなおさらです.いずれにせよパンデミックは脳に大きな影響を与えたことがよく分かりました.
FBで読みにくい方はブログ(https://pkcdelta.hatenablog.com/entry/2025/07/26/090204)をご覧ください.
◆long COVIDに対する抗ウイルス薬の単独使用では短期間での症状改善は見込めない.
Long COVIDの病態仮説としてウイルス持続感染があり,抗ウイルス療法は有望なアプローチとなる可能性がある.このため経口抗ウイルス薬ニルマトレルビル・リトナビル(パクスロビド)の有効性を検討した二重盲検無作為化プラセボ対照試験(PAX LC trial)が米国イェール大学を中心に行われた.対象は18歳以上の患者100名で,米国本土28州から参加者を募集し,完全遠隔型試験として実施された.ニルマトレルビル・リトナビル(300 mg/100 mg)を15日間投与する群と,偽薬・リトナビル群に1対1で割り付けた.主要評価項目はPROMIS-29という患者報告アウトカム指標による身体的健康サマリースコア(PHSS)の28日目までの変化とした.試験の結果,PHSSの平均スコアの変化は,ニルマトレルビル・リトナビル群で0.45(95%CI −0.93〜1.83),偽薬・リトナビル群で1.01(−0.30〜2.31)であり,調整後平均差は−0.55(−2.32〜1.21)で有意差は認めなかった(p=0.54).図1のバイオリンプロットにより,各時点(Day 15,Day 28,Week 6)でのスコア変化の分布が示され,Day 28では両群に明確な差は見られないことが分かる.副次評価項目のメンタルヘルス,疲労,睡眠障害,認知機能,痛みなども有意差なし.著者らは,ニルマトレルビル・リトナビルの有効性を否定するものではなく,今後はより長期間の投与が必要と述べている.
Sawano M, et al. Nirmatrelvir–ritonavir versus placebo–ritonavir in individuals with long COVID in the USA (PAX LC): a double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 2, decentralised trial. Lancet Infect Dis. Published online April 3, 2025.(doi.org/10.1016/S1473-3099(25)00073-8)
◆パーキンソン病患者ではCOVID-19罹患により長期的予後が悪化する.
パーキンソン病(PD)では対照群と比較して,COVID-19急性期の予後が不良であることが知られているが,感染後の長期的な予後についてはほとんど明らかになっていない.ニューヨーク・ブロンクスのPD患者3,512名における,COVID-19感染後最大3.5年間の臨床転帰を検討した後方視的研究が報告された.この地域はパンデミック初期およびその後の感染流行の中央地であった.結果として,COVID-19罹患群は,非罹患群と比較して,死亡(aHR=1.58[95%CI: 1.03–2.41]),認知機能検査であるMACEの低下(aHR=1.57[1.19–2.07]),呼吸困難,倦怠感,転倒のリスクが有意に高かった(図2).感染後には,レボドパの用量調整がより頻繁に行われていたことから,PD自体が感染のより悪化した可能性がある.以上より,PD患者における感染予防と,感染後のケアの改善の必要性が示唆された.
Hadidchi R, et al. Impact of COVID-19 on long-term outcomes in Parkinson’s disease. Eur J Neurol. 2025 May;32(5):e70013. doi: 10.1111/ene.70013. PMID: 40329907; PMCID: PMC12056498.
◆COVID-19後に現れる新たな片頭痛様頭痛――2年後も続く後遺症としての頭痛
COVID-19感染後に新たに出現するde novo頭痛については不明な点が多い.ポルトガルから,パンデミック初期にCOVID-19と診断された732名を対象とした,新規発症頭痛の特徴を明らかにするための前向きコホート研究が報告された.24か月の調査を完了したのは448名で,感染時年齢は51.6歳,女性は272名(60.7%)であった.頭痛の既往歴ありは115名(25.7%)であった.新規の持続性頭痛を認めた患者は,頭痛の既往の有無にかかわらず,若年で女性が多く,COVID-19急性期に嗅覚障害・味覚障害・頭痛を呈する割合が高かった.図3はCOVID-19感染後,それまで頭痛を有さなかった者が,どの程度の割合で新規発症持続性頭痛を有するようになったかを示している.頭痛の既往がなかった患者のうち,24か月時点で評価できた240名の22.5%が新規持続性頭痛を呈した.その多くは,国際頭痛分類第3版(ICHD-3)の片頭痛あるいはprobable migraineの診断基準を満たしており,migraine-like headache(MLH)と分類された.また頭痛既往のなかった333名のうち,新たに持続性頭痛を発症したのは54名(16.2%)で,うち35名(64.8%)がMLHと診断された.このMLHの年間累積発症率は,1000人あたり42人であった.以上より,COVID-19感染から2年を経ても新規の持続性頭痛の発症は一定数存在し,多くがMLHの診断基準を満たしていた.COVID-19の罹患数の多さと,片頭痛がQOLや疾病負荷に与える影響を踏まえると,本研究は重要な意義を持つ.
Silva L, et al. Long-Term Persistent Headache After SARS-CoV-2 Infection: A Follow-Up Population-Based Study. Eur J Neurol. 2025 May;32(5):e70130.(doi.org/10.1111/ene.70130)
◆Long COVIDと筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群では共通する病態として「酸化ストレス」があり,女性に顕著である.
Long COVIDと筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は共に疲労感や労作後の増悪を呈することから,共通する病態機序として酸化ストレスの関与を検討した米国スタンフォード大学からの報告である.ME/CFS患者27名,Long COVID患者20名,健常者25名の末梢血単核球を用い,フローサイトメトリー,RNA-seq,質量分析などを行い,免疫細胞の代謝特性と酸化ストレスの程度を比較した.その結果,ME/CFSおよびLong COVID患者では,女性において,CD4T細胞,CD8T細胞,B細胞において活性酸素(ROS)の上昇がみられた(図4).加えてT細胞の過増殖傾向が認められ,この免疫細胞の活性化が慢性疲労の一因である可能性が示唆された.
図5にはROSの生成と除去に関わる代謝経路が示されている.女性のME/CFSおよびLong COVID患者では,ミトコンドリア内のカルシウム濃度が上昇しており,これが電子伝達系の活性化を介してROSの産生を促進していると考えられた.一方,ROSの除去に関与する酵素であるスーパーオキシドジスムターゼ2(SOD2)の発現は,Long COVID患者において男女ともに低下しており,抗酸化防御機構が不十分であることが示唆される.また,ME/CFSおよびLong COVIDの両患者群においてグルタチオン(GSH)濃度の上昇が認められたが,女性患者ではROSの増加がGSHによる中和能を上回っており,酸化ストレス制御の破綻がより深刻であることが明らかとなった.
このような女性患者における酸化ストレスの過剰は免疫細胞のエネルギー消費を増加させ,宿主のATP枯渇を招くことで慢性的な疲労感につながると考えられた.特に女性患者においては,ROSによるT細胞の異常増殖が顕著であり,この過剰な免疫活性化が疲労の重要なドライバーとなっている可能性がある.論文ではこの過増殖を糖尿病治療薬であるメトホルミンにより抑制できることも示されており,今後の治療標的となる可能性がある.メトホルミンは過去にもLong COVIDに対する有用性が報告されていた.
Shankar R, et al. Oxidative stress is a shared characteristic of ME/CFS and Long COVID. PNAS, 2024;121(25):e2308697121.(doi.org/10.1073/pnas.2308697121)
◆パンデミックにより感染しなくても脳の老化は進むが,認知機能の低下は感染によりさらに深刻になる.
パンデミックが脳に及ぼした影響を検討した研究が英国から報告された.UKバイオバンクを活用し,パンデミック前後にMRI検査を受けた996名の健康な中高年者を対象に「脳年齢」の変化を追跡した.脳年齢とは,MRI画像から推定される「脳の見た目の年齢」で,実年齢との差(Brain Age Gap;BAG)が大きいほど,脳がより老化していると判断される.結果として,パンデミック期間をまたいだ群では,年1回あたり平均5.5か月分の脳の加齢が加速していた.驚くべきことにこの加速は,コロナ感染の有無にかかわらず起きていた.特に興味深いのは,この脳の老化の加速が,男性や高齢者,あるいは教育レベルや収入,健康状態が低いとされる社会的に不利な立場の人々でより強く現れていたという点である.
認知機能への影響に関しては,感染した人に限って,遂行機能を測る「トレイルメイキングテスト(TMT);紙に書かれた数字や文字を順番につないでいく課題」の成績が有意に低下していた.図6の右下のTMT-B ×白質モデルで最も顕著であるが,感染した人では白質BAGがある程度以上高くなると, TMT-Bの成績が急激に悪化する非線形的な変化を呈する.つまり白質の老化がある程度まで進行すると,遂行機能が急激に損なわれる可能性を示す.すなわち,「感染しなくても脳の老化は進むが,感染によってさらに深刻になる」ということが分かる.この研究の最大の意義は,パンデミックという社会的イベントは,感染がなくても脳の構造的変化を引き起こしうること,そしてその影響が社会的な脆弱性により増幅される可能性を示した点にある.社会的ストレスや孤立,経済的困窮といった要素が,脳の健康に直結することを裏づけるものである.
Mohammadi-Nejad AR, et al. Accelerated brain ageing during the COVID-19 pandemic. Nature Communications. 2025;16:6411.(doi.org/10.1038/s41467-025-61033-4)

・妊娠初期の薬剤と先天奇形リスク ―移行医療でも重要な知識―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年7月28日のFB投稿です**
抗てんかん薬(Antiseizure Medication;ASM)は,妊娠中の使用に際して胎児への影響を十分に考慮する必要があります.2025年に発表された北米抗てんかん薬妊娠レジストリ(North American Antiepileptic Drug Pregnancy Registry)のデータから,妊娠初期に使用された薬剤ごとの主要な先天奇形のリスクが報告されました.図左に示されているように,主要奇形のリスクは以下の通りです:
バルプロ酸(Valproate):9.2%
フェノバルビタール(Phenobarbital):6.0%
トピラマート(Topiramate):5.1%
ラモトリギン(Lamotrigine):2.1%(比較基準)
レベチラセタム(Levetiracetam):2.0%
オクスカルバゼピン,ガバペンチン,ゾニサミド:1.3〜1.5%
ラコサミド:0%(ただし症例数が少なく評価困難)
この研究では,ラモトリギンが比較基準として用いられました.これは,ラモトリギンが妊娠中によく使用され,かつ比較的安全性が高いとされているためです.他の薬剤と比較してどの程度リスクが高いかを,相対リスク(Relative Risk)として評価しています.たとえばバルプロ酸は,ラモトリギンの約4.4倍(RR=4.35)の奇形リスクがあるとされました.またトピラマートは口唇裂のリスクが高く,この研究でも妊娠初期に単剤で使用した510例中7例(1.4%)で口唇裂が報告されました.一方,ラモトリギンやレベチラセタム,ゾニサミドなどは,リスクがラモトリギンと同等あるいはそれ以下であり,妊娠中にも比較的安全に使用できる薬剤と考えられます.
さらに,図右では,各薬剤の平均1日投与量と奇形リスクの関係が示されています.バルプロ酸やトピラマートでは,投与量が増えるとリスクも上昇しており,明確な用量依存性が認められましたが,ラモトリギンやレベチラセタムでは投与量にかかわらずリスクは比較的一定でした.
このような安全な抗てんかん薬についての情報は広く認識されてきたと思います.ただ個人的に小児科から移行してきた妊娠可能な女性患者さん(およそ15歳以上)の中に,バルプロ酸を継続使用している例を複数経験したことがあります.小児科領域では,妊娠に関する教育機会が少ない可能性や,移行医療(トランジション)がうまく機能していないと,思春期や若年成人女性に対して,妊娠を見越した薬剤選択がなされないまま成人となる可能性もあるのかもしれません.妊娠可能年齢になった場合,薬剤の再評価と適切な情報提供を行い,必要に応じて薬剤の切り替えを検討することが必要だと思います.
Hernandez-Diaz S, et al. Use of Antiseizure Medications Early in Pregnancy and the Risk of Major Malformations in the Newborn. Neurology. 2025;105:e213786.(doi.org/10.1212/WNL.0000000000213786)

・nirVasculitisとは何か? ー免疫チェックポイント阻害薬と中枢神経血管炎ー
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年7月31日のFB投稿です**
がん免疫療法に用いられる免疫チェックポイント阻害薬(Immune Checkpoint Inhibitor: ICI)は,進行がんの予後を大きく改善させる一方で,免疫関連有害事象(irAE)を引き起こすことが知られています.その中に中枢神経系に影響を及ぼす神経学的有害事象(nirAE)がありますが,とくに「免疫関連中枢神経血管炎(nirVasculitis)」は診断が難しく,重篤な転帰を取ることもあります.このnirVasculitisに関する最大規模のsystematic reviewが発表されています.自験例6例を含む計20症例が検討されています.
まず原発がんとして最も多かったのは非小細胞肺がん(NSCLC)で55%を占めていました.ICIとしては,PD-1阻害薬が95%に使用されており,多いものとしてはペムブロリズマブ(60%)とニボルマブ(25%)でした.
症状としては,錯乱(40%),意識消失(35%),失語(25%),片側の運動・感覚障害(25%)など多彩で,発熱や頭痛(45%)も認められました.頭部MRIでは95%で異常がみられ,58%で白質病変を認めました.脳脊髄液検査は17例で実施され,うち65%に細胞増多(リンパ球),53%に蛋白上昇がみられました.蛋白上昇の程度は多様でした.
注目すべきは,「Black Blood MRI(BB-MRI)」の活用です.これは,血管内の血流信号を抑制することで血管壁の構造を鮮明に描き出す特殊なMRI技術です.通常のMRIでは血流が強調され,血管壁の炎症や肥厚を評価するのは困難ですが,BB-MRIを用いることで,血管壁の同心円状の造影効果(concentric enhancement)を観察でき,vasculitisの診断に非常に有用です.
図2A-Dは症例2のMRIです.最初の2枚がBB-MRIで,2Aで脳底動脈の,2Bで中大脳動脈末梢の血管壁に同心円状の造影効果(矢印)が認められます.2C–Dは拡散強調の病変です.
図2E-Hは症例3のMRIです.最初の2枚が拡散強調で多発性急性期脳梗塞を認め,2G-HがBB-MRIで,右後大脳動脈および左椎骨動脈V3領域における均一な同心円状の造影効果と血管腔の狭窄を認めます.
治療については,19例(95%)がステロイド治療を受け,2例がIVIGまたはインフリキシマブを併用されました.治療反応としては,8例(40%)で完全または部分的な回復がみられた一方で,8例がnirVasculitisにより死亡,3例ががんの進行で死亡しており,重篤な転帰を取ることも少なくありませんでした.
脳生検による確定診断がなされたのは1例のみでした.多くは画像所見や脳脊髄液所見から「可能性が高い」「可能性あり」と分類されていました.「Grausらによる自己免疫性脳炎の診断基準では,中枢神経系の血管炎を除外することが自己免疫性脳炎の確定診断の前提とされている.一方,GuidonらによるnirAEの診断基準では,血管炎が大血管または小血管に関与することや,血管造影や生検による評価の重要性が十分に考慮されていない.」と記載されており,適切な診断基準がないことも指摘されています.著者は,BB-MRIやCTアンギオグラフィにおける血管壁の同心性増強や数珠状狭窄をもって確定診断とみなす新たな基準の必要性を提案しています.
ICI治療が広く普及する中で,nirVasculitisのようなまれなものの重篤な合併症への理解と早期対応が求められています.今後重要になる論文だと思いました.
Erritzøe-Jervild M, et al. Immune checkpoint inhibitor-related CNS vasculitis – A systematic review and report of 6 cases. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2025;34:108265. https://doi.org/10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2025.108265

関連情報
1)前回の「新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(3月20日)」は、2025年3月のニュースに掲載しています。
2)岐阜大学医学部下畑先生は最新の医学情報を活発に発信されています。前月中のFB投稿については2025年6月のニュースをご覧下さい。

(作成者)峯岸 瑛(みねぎし あきら)