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AIの危険性 AI活用法 ALS アデュカヌマブ アミロイドβ蓄積 パーキンソン病 ハダカデバネズミ レビー小体型認知症 創造性と脳の健康 抗てんかん薬 機能性神経障害(FND) 熱波と老化 睡眠医学 自己免疫性精神病 良い睡眠 進行性核上性麻痺(PSP) 頭痛

2025年10月のニュース

今年のノーベル賞では、坂口志文氏が生理学・医学賞、北川進氏が化学賞を受賞と朗報がもたらされましたが、受賞後にお二人が基礎研究支援への注文を出されたように、我が国にとって科学技術大国再興は喫緊の課題と思っています。
今月の学術ニュースは、健康長寿であるための新たな知見、AIの活用事例と潜むリスク、下畑先生からの最新医学情報、等です。

1.2025年10月の活動状況
佐藤 ヒロ子さんの投稿
【ヨガストレッチ   &靴のはきかた】 2025/9/30 猛暑でできなかった振替分を実施   特別プログラムは     「ヨガストレッチ」 今の時期に    とっても気持ちがいいです 自然の中で手足を    伸ばして〜 最幸 その後の靴の履き方復習です  知っていても疎かになりやすい!  もう一度初心に戻りましょう〜   靴も足にピッタリついて  ウォーキングは軽いかる〜い    足どり颯爽     いい感じです #船橋ウォーキングソサイエティ #美姿勢ウォーキング #ヨガストレッチ #靴の選び方 #靴の履き方 #靴紐の結び方 #速歩

田村 芙美子さんの投稿
秋晴れ☀️ 秋色を楽しみながらP.ウォーキング まだまだ昼間は暑いくらいです 明日から渋谷教室3学期が始まります ガンバロー👊✨

佐藤珠美さんの投稿
認知症に限らず、高齢者が望む場所で住み続けられるようにするためには、地域の総力戦が必要です。 位置情報がわかる機器、行方不明者を探せる警察犬。 人間だけではない、色々なモノのチカラを結集しよう!という取り組みの下準備を進めています。 #認知症エコシステム #アプリ #ササエル ※当倶楽部の活動において利益相反関連事項はありません。

田村 芙美子さんの投稿
㊗️北鎌倉テラススタジオ16周年  昨日10/1 記念日を迎えました。長いようで短い年月を杉浦コーチの変わらぬオヤジギャグとPRESS📰、CoreNoodleで鍛えられました。私の人生の○分の一です。

スマイルチームさんの投稿
スマイルチーム ポールウォーキング。10月の遠征は生田緑地。岡本太郎美術館を堪能しました! #ポールウォーキング #岡本太郎美術館

山下 和彦さんの投稿
今日は小学生に足の成長の授業🦶とっても楽しくエネルギッシュにできました!しっかり前向きに聞いてくれる子どもが多くやりがいがあります👍

水間 孝之さんの投稿
日本転倒予防学会in群馬開催されました。 群馬ポールウォーキング協会が出展、セミナーを開催し、ポールウォーキングを紹介しました‼️ 皆さんお疲れ様でした‼️

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【課題は上半身】  2025/10/4  フォームを動画で確認! 「腕を振っているつもり」 「はい、そうですね。  つもりと事実は違うね〜」  上腕は体側でストップ  毎回お馴染みの感想が出てきます(笑) 気づきが改善の第1歩 これも動画撮影毎に話してます(笑) #船橋ウォーキングソサイエティ #2本のポールを使うウォーキング #ノルディックウォーキング #ノルディックウォーク #ポールウォーキング #土曜日海老川ロード定例会

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 無事終わりました。 10/4〜5ぞっこんさく市〜 /5(日)PW駒場例会〜 佐久駒場公園で会場同じくしWイベントでした。 「ぞっこんさく市」ではPWの案内と体験会をと〜  協会員の憩いと立寄り休憩場も兼ねての出店でした。団体会員の(株)シナノさんの特価品販売もございました。 午後は☔️もあった2日間。 二日間で4万人の参加者をお迎えした様でした(主催者発表) 駒場PW#例会は50名の参加者を迎え、混み合った公園を逃れお隣の牧場をポールウォークでした。 10名の看護師目指す大学生も参加しシニアとの交流を図って居ました。いつもと違い若返った様な協会員の皆さんでした。 今日のご褒美は〜立科スパイシーチーズバーガー🍔〜‼️ 相変わらずの旨さ〜ww

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【ポールを束ねてホイ】  お買い物の時に困るポール    これならさっと結べて   身体に沿うので安心です。  設計図と使い方を披露して    頂きました    材料費約150円   2025/10/6 #船橋ウォーキングソサイエティ  #月曜日シニアポールウォーキング #姿勢チェック #コグニサイズ #チェアエクササイズ #ステップエクササイズ #ポール持ち運びロープ

田村 芙美子さんの投稿
清々しい秋空 秋桜 爽やかな里山の風 稲刈りした稲架掛け 昔遊んだ数珠玉 割れて綿がもりもり現れたガマ 今風の服を着た案山子 気持ち良いポールウォーキングを楽しみました

佐藤 ヒロ子さんの投稿
しっかり歩きに向けての  #フォームチェック  #美姿勢ウォーキング で #船橋ウォーキングソサイエティ  屋外全てのコースが動画撮影を   完了しました  意識づけはコーチの役割   活かすのは本人ですよ〜  少しの進歩でも継続が大事です #パワーウォーキング #インターバル速歩 #中之条研究 #筋トレ #7秒スクワット

スマイルチームさんの投稿
2025.9.2〜9.7 活動記録 ☺︎ポールウォーキング 10名 生田緑地・岡本太郎美術館 ☺︎相模原市文化協会会議 ☺︎スマイルリズムエクササイズ 16名 ☺︎上鶴間公民館子どもまつり実行委員会 ☺︎上鶴間公民館利用団体懇談会・交流会 AED講習 ☺︎上鶴間公民館利用団体懇談会役員会 ☺︎スマイルチーム光が丘 21名 チェア体操 ☺︎中屋敷チェアエクササイズ 21名

遠藤 恵子さんの投稿
📣午後はイレギュラー講座! 【長者研修大学校 穴生学舎】 健康づくりサポーターコース48名の皆さんと、 2時間たっぷり身体を動かしました💪✨ 昨年度から毎年3~4講座のご依頼をいただいており担当の方とはもう8年のお付き合いになります。 昨年は創立30周年記念イベントでも2講座 講師を務めさせていただきました! 担当者の方はおととしまで社協にお勤めで、 その頃から介護予防運動の講師として継続的にお声かけいただいています。 「この先生に任せれば大丈夫!」 そんな言葉に支えられ、信頼関係を築いてこられたことに心から感謝です🙏✨ 長年積み重ねてきた経験と信頼を大切に、 これからも現場でお役に立てる講師であり続けたいと思います🌸 そして明日も穴生学舎で講師のお仕事です✋ 地域リーダーコースの皆さん18名に、ポールウォーキングを体験していただきます🚶‍♀️✨ あっ😵 そういえば今日の参加者のみなさんに【島崎和歌子】に似ていると言われた😱 人生初🤣

佐藤珠美さんの投稿
八ヶ岳北麓  山桜の葉が色付く

柳澤 光宏さんの投稿
今日から3日間国際福祉機器展に出展しています!皆さんお待ちしております。

大内 克泰さんの投稿
桑折町マルベリーの「脳の若返り教室」。 ラケット🏸持った途端に若返る元18歳の皆様😊 今月から広い体育館に移ったので、バドミントンで左右打ちラリーやバードゴルフをフォアハンドとバックハンドで脳トレしました😃 来週もお楽しみに♫

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【何故、速歩きがいいの?】 道理がわかれば  心が動く  心が動けば行動が伴う 見てわかるようにパネルで説明  2025/10/9 #船橋ウォーキングソサイエティ #2本のポールを使うウォーキング #ノルディックウォーク #ノルディックウォーキング #ポールウォーキング #ポールウォーク #インターバル速歩 #中之条研究 #しっかり歩き  #中強度の運動

遠藤 恵子さんの投稿
午前は介護予防運動👟 ⇒会場を移動して午後は、2022年4月から引き継いで約2年半になります 健康体操教室(1時間半)✨ 引き継いだ当初は前期高齢者の方が多かった記憶が…‎🤔 気づけば今では後期高齢者の方がどんどん増え、元気に参加中🙌‼️ ご夫婦でご参加の方が2組💓 めっちゃ貴重!というか理想的です☺️ そしてなんと今では毎回30名超えの大所帯に✨ 安全第一!事故がおきないように お一人おひとりとアイコンタクトをとりながら 動きをキョロキョロ確認👀 その様子を見て「先生、表情がコロコロ変わって可愛い・面白い」 なんて声をかけてくださることも😆💕 どなたでも無理なくできてしっかり効果が期待できる運動💪 そして“笑顔で楽しめる時間”をお届けできるよう心がけています🌿 みなさんの笑顔と前向きな姿に 毎回こちらがたくさんの元気をもらっています✨ そして、こちらの教室でも お友達に誘われて3ヶ月前からご参加くださっている90代の方がおられます💐 もともと以前から身体を動かすことを続けてこられた方でその積み重ねが今の元気につながっているのだと思います🌿 ちなみに本日の筋トレメニュー💪 (からだを整えた後におこなっています筋トレメニュー) ✅ カーフレイズ 10回×3セット ✅ 椅子からの立ち上がり 10回×3セット 90代の方もしっかりclearされました👏✨ 年齢を重ねても“動ける”って本当に素晴らしい!! 筋トレあり有酸素運動あり 1時間半の運動の〆は365歩のマーチを歌いながらChairAero•*¨*•.¸¸♬︎ 継続は力なり💫 私自身も学ばせていただくことばかりです🫡

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 快晴の〜女神湖PW散策〜 紅葉🍁はまだまだの蓼科/女神湖へ秋🍂を求め50名大集合〜❗️ 別荘地と池の周りの約4kmのポールウォークでした。 ランチはカフェレストラン/女神湖駅で採れたて「きのこ🍄/5種入り🍄鍋定食」で舌鼓〜 きのこ汁がばか旨の鍋でした。 帰りに浅科/五郎衛米の田んぼ道を下見に〜ww

田村 芙美子さんの投稿
三浦ネットPWは欠席者(超高齢化の為)が多く、男子(元気なゴルファージム通い)3人🚶‍♂️🚶‍♂️🚶‍♂️と私🚶だけ。近場を歩きましよう~と寿福寺から英勝寺、海蔵寺まで。鎌倉検定1級のメンバーさんの解説が重厚! 海蔵寺の萩には間に合いましたが英勝寺の曼珠沙華はほぼ枯れてしまっていました。祠堂は英勝院の位牌を安置してあり、徳川光圀によって建てられたもの。 こちらでも100年元気の日課ドリルは好評です。

日本ポールウォーキング協会 npwaさんの投稿
10月12日、スキルアップ研修会東京2回目を実施しました。 今年度最後の研修ということもあり、40名を超える多くの参加者となりました。 マニュアルベースの実技確認、意見交換など非常に有意義な研修会となりました。 次年度も多くの方の受講をお待ちしております。

スマイルチームさんの投稿
2025.9.8〜9.14 活動記録 ☺︎健康体操 9名 ☺︎コグニサイズの会 新磯地域包括支援センター出張介護予防教室 チェアエクササイズ®︎ 14名 ☺︎スマイルチーム上溝 19名 ☺︎シニアサポータースタッフ研修申し込み 10名 ☺︎HP活動予定更新 ☺︎青空PW 11名 ☺︎ほかほかふれあいフェスタ 青少年指導委員連絡協議会 (欠席) ☺︎スマイルフレンズ 21名 ☺︎相模原スポーツフェスティバル 青少年指導委員連絡協議会 (欠席) ☺︎EEOAオンラインセミナー受講 サーキットチェア®︎エクササイズで指導スキルに磨きをかける!

佐藤珠美さんの投稿
一本柳ポールウォーキング倶楽部は毎週火曜日 佐久インターバル速歩倶楽部は月に3回。 佐久平ウォーキング倶楽部の会員さんは、max月に7回の外出の機会がある、という事になります。 製薬メーカーさんから頂いたパンフレット。当倶楽部の想いが具現化されていて嬉しくなりました😊 #認知症エコシステム #40代からの生活習慣病予防#地域の総力戦#身体活動#中強度#地域介護の担い手 #健康教育#コメディカル達の本気!

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【習志野台6丁目町会で    ウォーキング教室】 2025/10/15 船橋市の中で最も       閑静な住宅街です。  健康意識が高く楽しい方々が       集いました。  ウォーキング教室への参加が   初めての方ばかりでしたが 素早い反応で   返事も身体もよく動きます。  あるき方で心も変わる  ★本日も楽しい出会いに感謝です     HAPPY♥  #船橋ウォーキングソサイエティ #ウォーキング教室 #習志野台6丁目町会   #良い歩きは良い姿勢から #若々しい身体は背筋ピン #量より質のウォーキング

佐藤 ヒロ子さんの投稿
秋だ〜  体全部使って歩くよ 2025/10/18 #船橋ウォーキングソサイエテ #2本のボールを使うウォーキング #土曜日海老川定例会 #インターバル速歩 #中之条研究 #ミトコンドリア #フレイル

新地 昌子さんの投稿
今日は私も茨城です(何人か友達が茨城に向かっているとの投稿があったので😊) 笠間市の北山公園をポールウォーキングしました。ちょうど花がない季節でしたが、この公園を庭のように歩いているKさんのおかげで通しか知らない上級コースを楽しみました♪桜で有名ですが、これからは紅葉🍁も楽しみ。アップダウンありの約3キロのウォーキングでした。

長谷川 弘道さんの投稿
本日は、津島のウォーキングイベント「いきいきウォーキングin神守」に参加してまいりました♪ 23年続いたロングイベント❗️ コロナで途中3年間お休みしましたが、今回で実質20回目を迎え一区切りとすることになりました。 私は多分7〜8回目くらいから参加させていただきまして、準備体操や整理体操を担当したり、健康ミニレクチャーや、歩くことが難しい方を対象として椅子に腰掛けての体操などをやらせてきただきました。 そして、こんな私に本日、最後の回で功労賞までいただきまして、本当に感謝でございます。ありがとうございます。 毎年大勢の市民の方が参加され、本日も800名ほどの皆さんがご参加でした。 このイベントの素晴らしいことは、津島市の神守地区とその周りの地域の住民の皆さん、また地元の高校生たちのボランティアのご協力あっての開催であるということなんですね❗️ それと、地元企業のスポンサーシップによって運営がなされてきたわけです。# 事前のコースの下見、安全の確保、人員の配置、受付の手配、救急の対応、ゴールされた皆さんにカレーを提供するわけですが、その準備など、全て市民の皆さんのボランティアによって賄われてきたんですね‼️ そして、その運営の核となってきたのが、私が長らくこの津島の地でポールウォーキングの活動を一緒に続けていただいております日比ファミリー(ご主人様は津島市長)でいらっしゃいます。 一年に一回ではありますが、先のような事前の準備、人の手配、後片付けなどなど、並々ならないご苦労があったことでしょう。 でも日比ファミリーや一緒にこの活動を続けてこられたボランティアの皆さんは、毎回笑顔で参加者の皆さんを迎えられ、毎年参加を楽しみにしておられる皆さんの笑顔、あるいは励ましの言葉や、ゴール後の大抽選会で大いに盛り上がる皆さんの喜ばれる姿にも支えられ、20回のこの大事業を全うされたのだ思います😊 このイベントはこれで一区切りとはなりますが、ここに参加した子供たちやボランティアで参加いただいた高校生の皆さんが、今後なんらかの形で繋いで行って、自分たちでもこうした地域住民のつながりを大切にするイベントを主催してくれることを願っています‼️ 日比ファミリー、そしてボランティアの皆さん、お疲れ様でございました。そして、参加いただいた市民の皆さん、ありがとうございました😊 #津島市 #ウォーキング #ボランティア #市民主催 #繋がり #感謝

森川 まことさんの投稿
2025.10.19 湖北台中央公園 我孫子ポールウォーキング倶楽部

中嶋  佳奈恵さんの投稿
第15回秋の犀川ポールウォーキング大会を開催しました。20名の参加の方たちと一緒に犀川河川敷を歩きました。 時折小雨が降りましたがしっかりコースとのんびりコースに分かれてポールウォーキングの良さを満喫いただいたかと思います。ありがとうございました。 担当コーチ 澤田MCpro,中嶋MCpro,高島BC

佐藤 恵さんの投稿
10月19日、一関市弥栄市民センター主催「いやさか祭り」にてプチ健康体操教室を開催。 おじいちゃんもおばあちゃんも、お父さんもお母さんも子どもたちも、みんなで一斉に体操をしてくれて、普段の運動教室とはまた違う楽しさ♪ ステージ発表を参加型にするのは、とても良いと思いました😊

新地 昌子さんの投稿
月に一度の笠間市でのポールウォーキング講座。ポールウォーキングは決して難しくはないけれど、ポールの使い方をちょっと意識するだけで、体に現れる効果はかなり違ってくる。なかなか奥が深くてそこも面白い。 今日は重心が定まらずフワフワ歩いていた方が、足の指に体重が乗るのを実感できた、と話していた。ふふふ😁いくつになっても何かができるようになるって嬉しいね。

杉浦 伸郎さんの投稿
地元町内会での介護予防運動サークル。自走化に向けさまざまな動機づけ支援ツールを開発してきました。 最近では、コーチ不在でも自主的な声掛けによるマルチコ運動メニューを楽しく消化できる様になっています。 嬉しくもあり、ちょっと寂しい瞬間でもあります。 生計就労と生きがい就労のギャップ、指導者のワークライフバランスの実現など越えるべきハードルは多いですが、なるべくスムーズかつスマートに対処していきたいと痛感する今日この頃です。

田村 芙美子さんの投稿
昨日は週一の渋谷PW教室の帰りに古巣駒澤大学駅に寄りました。駅が明るくリニューアルしてびっくり!来月11日には商業施設オープンで未来の都市・街の予感。田園都市線沿線はこれからなんですね。自由が丘に回るつもりが予報外れの雨で断念しまして渋谷回りで帰鎌☔ 週末も雨予報に変わりました😭

長谷川 弘道さんの投稿
今日は、午前中に三重県は津市内の小学校で120名ほどの子どもたちと一緒に運動遊びプログラム〜遊びットネスを指導してきました❗️ コロナ禍以前には数年続けてお邪魔しておりましたが、の多分6年ぶりにお邪魔しました。 やっぱり子どもたちとのプログラムは楽しいですね😀 あっという間の90分でした❣️ そして、その足で鳥羽に向かいました。 長らくお付き合いいただいています北名古屋市で陶器のギャラリーを主宰されていらっしゃる山田ご夫婦のお誘いをいただきました。 ここは、真珠ジュエリーのクリエイターでいらっしゃる上村さんのアトリエ。 お子様がお隣で美容院を営んでいらっしゃいまして、またそこが素敵な建物と内装で❣️ そして、さらにさらに、クルーザーを所有されておられて、英虞湾をクルージング❣️ なんと贅沢な時間でしょう❣️ 内海というのでしょうか、波がほとんど立たず、湖のような感じで、錨を下すとほとんど船は揺れないんですね。 船のデッキにマットを敷いて、そこに寝そべって、青空を覗き見しつつ、しばらく瞑想タイム。。。 豪華な気持ちになれました😍 2時間ほどの滞在ではありましたが、とても充実した時間を過ごさせていただきました‼️ 今日は1日、とてもとても満たされた時間を過ごすことができました❣️ ありがとうございました😊 #ギャラリー凛 #Monme #鳥羽 #クルージング #遊びットネス

 

来月以降の開催
杉浦 伸郎さんの投稿
11/2東五反田での地域づくりイベント「ファームエイド」にてポールウォークを担当させて頂きます(会場:東京医療保健大学)。マルシェ、フォーラム、メッセの3部構成で楽しそうですよ。是非お立ち寄り下さいませ。 「ファームエイド東五反田」とは: 東五反田地区は、大型の病院、個人病院、看護大学、小学校、薬局、高齢者施設があるのが特徴で、住民は昔から住んでいる方(高齢化が顕著)よりも、近年急速に増えたマンション等で暮らす人が多い地域となり、町会の機能低下に伴い、催し物等の機会もほとんどなくなってしまい、地域住民の繋がりも希薄となり大きな課題に。 そこで、点として存在した専門職やあらゆる機関を面としてつなげるために、様々な職種が気軽に、楽しくコミュニケーションをとり、同じベクトルを歩むために「ファーム・エイド東五反田」が立ち上がりました。 ファーム・エイド東五反田には認知症本人の行っている様々な活動もつながる場として、全国の地域行政からも注目され期待されています。

新地 昌子さんの投稿
佐久の米どころ浅科地区でポールウォーキングしますよー。稲刈りの終わった田んぼがから遠くに望む浅間山。この地域ならではの秋の風景を、寒くなる前に楽しみましょう🍂 地区を担当する地域包括支援センターからのお声がけに、私も講師で参加させていただきます。センターの存在を若いうちから知っていてほしい、という言葉に大きくうなずく私でした。 地域を支えて頑張っている方に会うと元気をもらえますね。

長谷川 弘道さんの投稿
🍁秋色さんぽ🍁ポールウォーキングDay✨

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
wellness.suntory.com.tw

 

2.PW関連学術ニュース
2-1)健康長寿になるための新たな知見4つ
良い睡眠を取ること、手指機能も重要、創造的な経験の効果、熱波の長期的な負の影響の4つです。
(1)われわれの健康にとって睡眠はもっとも大事なものの一つです。良い眠りは良い健康のもとであり、健康寿命を延ばすためにもとても重要なことです。
**大阪大学宮坂先生の2025年10月3日のFB投稿です**
Natureのオンライン版に「良い睡眠を得るにはどうしたらよいか?科学者の意見は」という記事が載っています。さまざまな科学者がエビデンスに基づいた意見を述べています。
それをまとめると、一番大事なことは生体リズム(概日リズムともいう)を崩さないことです。
そのためには、
・明暗のコントラストをつけること
明るい時に動き、暗くなったら休む。寝る前の長時間スマホは禁物。普段から、寝る時は暗くし、起きる時は明るくすること。
・食事時間の調整をすること、
普段から、食事時間と就寝時間を一定に(近くしたり離したりし過ぎないこと)バランスがとれた腸内細菌叢の維持にも重要。
・睡眠時間を一定にすること
普段から、睡眠不足や、寝だめしたり、寝過ぎたりしないこと(長すぎる昼寝は禁物です)。
・日中に適度な運動をすること
疲れすぎも運動不足も良くない。
などが挙げられています。
これに加えて、私個人の経験からすると、体温管理も大事で、暖めすぎ(熱いお風呂やサウナに入りすぎ)も冷たすぎ(エアコンの使いすぎ)も良くありません。普段からあまり良く眠れないと言っておられる方々は参考にしてください。

関連情報
① ネイチャー誌の当該記事
掲載誌;NATURE NEWS FEATURE(ニュース特集)
掲載日;30 September 2025
題名;How to get the best night’s sleep: what the science says ~
Chuck the gadgets, the fads and the alarm. Circadian research reveals how important your body’s internal clock is to blissful slumber.
最高の睡眠を得る方法:科学が教えること ~
ガジェット、流行りの物、目覚まし時計は捨てましょう。概日リズム研究は、至福の眠りに体内時計がいかに重要であるかを明らかにしています。
著者;Lynne Peeples
**以下、同記事冒頭部分からの抜粋です**
口テープや加重ブランケットを宣伝するTikTok動画から、不眠症対策枕をランキング形式で紹介する雑誌まで、睡眠に関するアドバイスは至る所で見かけます。それもそのはず、世界中で不眠症や睡眠不足に悩む人々がおり、睡眠補助剤の市場規模は年間1,000億ドル以上にも達しているのです。

しかし、科学者たちは、オンラインハッキングや高価なツールが必ずしも効果的ではないと警告している。また、状況を改善しようとする試みが失敗すれば、悪影響が出る可能性があると、ポートランドにあるオレゴン健康科学大学の概日リズム科学者アンドリュー・マクヒル氏は指摘する。「人々が助けを求めることを躊躇し、事態が悪化する可能性がある」と彼は言う。

研究者たちは、過去50年間にわたり体内時計のネットワークを明らかにしてきた概日リズム科学から得られた教訓を指摘しています。この科学は、病原体からの防御、食物の消化、睡眠など、生理学的システムが適切なタイミングで適切な行動をとるよう準備を整えています。しかし、概日リズムはそれ自体で正確に周期を刻むわけではありません。同期を保ち、最適に機能するためには、日光、日々の習慣、その他の刺激による定期的な調整が必要です。

②『睡眠ガイド2023』については、2024年6月のニュースをご覧ください。

(2)足腰の機能に加え、手指を巧みに動かす機能も健康寿命のカギとなる
**以下、大阪大学宮坂先生の2025年10月3日のFB投稿です**
これはとても大事なことです。筑波大研究グループの仕事です。
以下、抜粋です。本研究チームは、茨城県笠間市で実施した体力測定会に参加した約1000人の高齢者を対象に、最長14年間にわたる追跡調査を行い、手指機能と要介護化リスクとの関連を検証した。その結果、手指機能が低い人は、高い人に比べて要介護化リスクが高いことが分かった。さらに、手指機能は要介護化に対し、曲線的な量反応関係を示すことを世界で初めて明らかにした。手指機能が一定水準(例:15秒間に〇印を21個付けられる)を下回ると要介護化リスクが高まる一方で、それよりも良好であっても、統計学的なリスクの減少は認められなかった。
本研究から、健康寿命の延伸には、これまで注目されてきた下肢機能だけでなく、細かな日常生活動作に必要な手指機能も重要であることが示唆された。
高齢者が手指を使うこととしては、手紙や日記を書くこと、スマホやパソコンを使うこと、書道をすること、ピアノなどの楽器に触れること、刺繍や編み物をすることなど、いろいろあります。自分ができることは続けることが大事、勿論、新たな習い事などを始めるのも良い刺激となります。

関連情報
①掲載論文
【題名】 Dose-response Association between Hand Dexterity and Functional Disability: A Longitudinal Study from the Kasama Study
(手指機能と要介護化との量反応関係:笠間スタディに基づく縦断研究)
【掲載誌・日】 Annals of Geriatric Medicine and Research . 2025 Sep 8.
【DOI】 10.4235/agmr.25.0075
**以下、論文の要旨**
背景: 手の器用さの低下は機能障害のリスクを高める可能性があるが、手の器用さと機能障害の発症との関連を検討した研究はほとんどない。本研究の目的は、地域在住高齢者における手の器用さと機能障害の発症との用量反応関係を前向きに検討することであった。

方法: 本研究は、笠間市在住の65歳以上の高齢者1,069名を対象とした。ペグ移動課題と円描画課題を用いて、手先の器用さを評価した。機能障害は、介護保険制度データベースを用いて同定した。制限付き3次スプライン解析を用いて、手先の器用さと機能障害の発症との間の用量反応関係を検証した。

結果: 平均8.5年間(最長14.0年間)の追跡調査期間中、248名(23.2%)が機能障害を発症した。各手指器用さ検査において、最も成績の低い群は、最も成績の高い群と比較して機能障害のリスクが有意に高かった(ペグ移動:HR = 1.92、95%信頼区間 = 1.29-2.87、円描画:HR = 1.66、95%信頼区間 = 1.15-2.41)。スプライン解析により、手指器用さと機能障害発症との間には、曲線的な用量反応関係が確認された。参加者の成績がカットポイント(ペグ移動:37.9/38.0秒、円描画:21/20点)を下回った場合、リスクの上昇が認められた。一方、カットポイントを上回る成績を収めた参加者では、リスクの減少は認められなかった。

結論: 高齢者の機能障害を予測するために、容易に評価できる手の器用さの検査は有用である可能性がある。用量反応曲線の関連は、適切な手の器用さを維持することが機能的自立を支援するための重要な戦略となる可能性を示唆している。

②筑波ジャーナルの当該記事(2025年9月29日付)はこちら

(3)創造的な経験と脳時計
公開日;Published: 03 October 2025
題名;Creative experiences and brain clocks(和訳:創造的な経験と脳時計)
著者;Carlos Coronel-Oliveros, Joaquin Migeot, Fernando Lehue, Lucia Amoruso, Natalia Kowalczyk-Grębska, Natalia Jakubowska, Kanad N. Mandke, Joana Pereira Seabra, Patricio Orio, Dominic Campbell, Raul Gonzalez-Gomez, Pavel Prado, Jhosmary Cuadros, Enzo Tagliazucchi, Josephine Cruzat, Agustina Legaz, Vicente Medel, Hernan Hernandez, Sol Fittipaldi, Florencia Altschuler, Sebastian Moguilner, Sandra Baez, Hernando Santamaria-Garcia, Alfredis González-Hernández, Agustin Ibanez,他
掲載誌;Nature Communications volume 16, Article number: 8336 (2025)

論文要旨
創造的な経験は脳の健康を高める可能性があるが、その指標とメカニズムは依然として不明である。我々は、脳時計を用いて脳の健康を特徴づけた。脳時計は、実年齢からの逸脱(すなわち、脳老化の加速または遅延)を捉えるものである。M/EEGの機能的連結性(N  = 1,240)を、機械学習サポートベクターマシン、全脳モデリング、Neurosynthメタ分析と組み合わせた。この枠組みから、ダンス、音楽、視覚芸術、ビデオゲームの専門家とマッチさせた非専門家の参加者の以前に公開されたデータセット、および学習前後の研究(N  = 232)を再分析した。その結果、すべての領域で脳年齢の遅延とスケーラブルな効果(専門知識>学習)が明らかになった。専門知識とパフォーマンスのレベルが高いほど、脳年齢の遅延が大きい。加齢に脆弱な脳ハブは、特に専門知識と創造的な経験に関連する領域で、創造性に関連する連結性の増加を示した。Neurosynthによる解析と計算モデル化により、創造性に特異的な脳老化の遅延において、可塑性によって引き起こされる脳の効率性と生物物理学的結合の向上が明らかになりました。この結果は、創造性と脳の健康の間に領域非依存的な関連性があることを示唆しています。

図 1: データの特性評価、前処理パイプライン、およびデータ分析。
a カナダ、チリ、アルゼンチン、キューバ、コロンビア、ブラジル、イギリス、アイルランド、イタリア、ギリシャ、トルコ、ポーランド、ドイツの 13 か国の多様な集団 ( N = 1472) からの M/EEG データを含めました。b  EEG を使用してサポート ベクター マシン (SVM) をトレーニングするために、N = 1240 人の参加者のサブサンプルを使用しました。これらの SVM は、すべての領域にわたって参加者の脳年齢を予測するために使用されました。c残りのデータ ( N  = 232) はサンプル外検証に使用され、さまざまな種類の創造的専門知識と学習に関連する M/EEG データセットで構成されていました。これらのグループのうち 4 つは、ダンス (タンゴ)、音楽 (楽器奏者と歌手)、視覚芸術 (描画)、およびビデオ ゲーム (StarCraft 2) (専門知識についての研究 1) における創造的専門知識を表しています。さらに、ビデオ ゲーム学習 (StarCraft 2) (学習前後についての研究 2) のグループを 1 つ含めました。d SVMをトレーニングする前に、生のM / EEG信号を前処理し、正規化し、AAL脳パーセレーションを使用してソース空間に変換しました。ソース変換された信号から、すべての参加者の機能的結合マトリックスを計算しました。SVMのトレーニング時にデータ拡張を使用して、モデルの堅牢性と精度を高めました。トレーニング済みのSVMから、モデル予測と実際の年齢の差として、参加者の脳年齢ギャップ(BAG)を計算しました。BAG > 0は脳の老化の加速と解釈でき、BAG <0は脳の老化の遅延と解釈できます。図中の点とバイオリンプロットは模式的な例です。BioRenderで作成。Migeot, J. (2025) https://BioRender.com/99vpcts(EEGデバイスと脳の図)。

関連情報
NATURE NEWS
03 October 2025
Creative hobbies could slow brain ageing at the molecular level
To keep the mind young, dance the tango.
(和訳:創造的な趣味は分子レベルで脳の老化を遅らせる可能性がある
心を若く保つにはタンゴを踊りましょう)
By Gemma Conroy
タンゴの複雑さは、脳を若く保つのに特に効果的かもしれない。写真:Tempura/Getty

**以下、同記事の冒頭部分の和訳です**
複数の国のダンサー、ミュージシャン、アーティスト、ビデオゲームプレイヤーを対象にした研究によると、タンゴを踊る、ギターを弾くなど創造的な趣味に携わると、脳の老化を遅らせることができるという。

この分析では、脳時計(人の実年齢と脳の推定年齢の差を測定するモデル)を用いて、創造的な活動が神経学的若さを維持するのに役立つかどうかを評価しました。老化の影響を最も受けやすい脳領域において、創造的な活動を行うことで、脳の様々な領域とのつながりが強化されました。熟練者は経験の浅い人よりも「若い」脳を持っていましたが、創造的なスキルをゼロから学ぶことでさえ、脳の老化防止効果がありました。

この研究結果は10月3日にNature Communications誌に掲載された。

(4)熱波による老化の加速に対する長期的な影響
8月に公開されたものですが、今年の猛暑が厳しかったので、気になった論文です。
掲載誌;Nature Climate Change
公開日;Article Published: 25 August 2025
表題;Long-term impacts of heatwaves on accelerated ageing
(和訳:熱波による老化の加速に対する長期的な影響)
著者;Siyi Chen, Yufei Liu, Yuanyuan Yi, Yiling Zheng, Jun Yang, Tiantian Li, Ta-Chien Chan, Rui Duan, Shenjing He & Cui Guo

論文要旨
気候変動と人口高齢化は、ともに喫緊の世界的課題である。しかし、熱波への長期曝露と生物学的老化加速(BAA)との関連など、両者の相互作用は明らかではない。本研究では、台湾の縦断的コホート(2008~2022年)の成人24,922名のデータを分析し、線形混合モデルを用いて熱波が老化を加速することを示した。熱波は、相対的閾値と絶対的閾値の両方を用いて定義した。BAAは、生物学的年齢と暦年齢の差として算出した。熱波への累積曝露の四分位範囲の増加は、BAAの0.023~0.031歳の増加と関連していた。さらに、参加者は15年間にわたり熱波の影響に徐々に適応してきたことが示された。さらに、肉体労働者、農村住民、エアコンの少ない地域の参加者は、健康への影響をより受けやすかった。本研究は、適応能力を強化し、老化を遅らせ、健康的な老化を促進するための、的を絞った政策と介入の必要性を浮き彫りにしている。

Copilotに訊いてみた。
Q1;この論文の成果を要約してください。
A1;この論文「Long-term impacts of heatwaves on accelerated ageing」(Nature Climate Change, 2025年8月発表)は、熱波が生物学的老化を加速させる可能性を示した大規模な疫学的研究です。
🔍 研究の概要
• 対象:台湾の成人24,922人(2008〜2022年の15年間の縦断コホート)
• 方法:生物学的年齢(BA)と暦年齢(CA)の差を「年齢加速(BAA)」として定義し、熱波曝露との関連を分析
• 熱波の定義:相対的・絶対的な気温閾値に基づく
🌡️ 主な成果
• 熱波の累積曝露が四分位範囲ごとに増加するごとに、BAAが0.023〜0.031年増加1
• 肉体労働者、農村住民、エアコン普及率が低い地域の人々は、老化への影響を受けやすい
• 15年間で参加者はある程度の適応を示したが、健康への悪影響は完全には消えなかった
🧭 意義と提言
• 気候変動と人口高齢化という二つのグローバル課題が交差する領域に新たな知見を提供
• 脆弱な集団への保護政策や医療資源の配分が重要
• 今後は住宅環境や屋外活動時間などの変数も含めたさらなる検証が必要[2]
まるで、暑さが時間の流れを少しだけ早めてしまうような…そんな印象を受ける研究ですね。🌿 このテーマ、社会政策や都市設計にも深く関わってきそうですが、どの視点から掘り下げてみましょうか?

 

2-2)AIの応用事例4つとAIのリスクについての1つの話題
AIの活用はますます広がっていますが、AIの大規模言語モデルLLMのリスクも指摘されています。以下、最近のニュースです。
(1)人工知能副操縦士による脳コンピューターインターフェース制御
掲載誌:Nature Machine Intelligence (2025)
公開日:Published: 01 September 2025
表題:Brain–computer interface control with artificial intelligence copilots(和訳:人工知能副操縦士による脳コンピューターインターフェース制御)
著者:Johannes Y. Lee, Sangjoon Lee, Abhishek Mishra, Xu Yan, Brandon McMahan, Brent Gaisford, Charles Kobashigawa, Mike Qu, Chang Xie & Jonathan C. Kao

要旨(Chromeによる和訳)
運動脳コンピュータインターフェース(BCI)は、麻痺のある人の移動とコミュニケーションを支援するために神経信号をデコードします。過去20年間で重要な進歩があったにもかかわらず、BCIは臨床実現への大きな障害に直面しています。それは、BCIのパフォーマンスがコストとリスクを大幅に上回らなければならないということです。BCIのパフォーマンスを大幅に向上させるために、人工知能(AI)副操縦士がBCIユーザーと協力してタスク目標を達成する共有自律性を使用します。私たちは、脳波信号をデコードする非侵襲性BCIシステムでこのAI-BCIを実証します。まず、畳み込みニューラルネットワークとReFITのようなカルマンフィルターを使用したハイブリッド適応デコード手法を提供し、健常者と麻痺のある参加者が、デコードされた脳波信号を介してコンピューターのカーソルとロボットアームを制御できるようにします。次に、カーソル制御タスクとロボットアームのピックアンドプレースタスクでBCIユーザーを支援する2つのAI副操縦士を設計します。我々は、麻痺のある被験者がカーソル操作においてターゲットヒット率を3.9倍向上させ、ロボットアームを制御してランダムなブロックをランダムな場所に順次移動させるというタスクをAI-BCIによって実現できることを実証しました。これはAIコパイロットなしでは不可能なタスクです。AIコパイロットの性能向上に伴い、共有自律性を備えたBCIはより高い性能を発揮する可能性があります。

関連情報
掲載誌:NATURE NEWS
掲載日:02 September 2025
表題:AI-powered brain device allows paralysed man to control robotic arm ―
The human user and AI have shared autonomy and constantly interact to complete tasks.
(和訳:AI搭載の脳デバイスで麻痺の男性がロボットアームを制御 ―
人間のユーザーと AI は自律性を共有し、タスクを完了するために常に相互作用します。)
著者:By Rachel Fieldhouse
研究者が、同僚が着用している脳コンピューターインターフェースヘルメットの電極に導電性ジェルを塗布しています。非侵襲性脳デバイスの性能は、AIと組み合わせることで向上する可能性がある。写真:ジャン=ピエール・クラトット/AFP via Getty

部分麻痺の男性が、人工知能(AI)によって部分的に制御される非侵襲性の脳デバイスを使用することで、ロボットアームを操作することに成功したという研究報告。AI搭載デバイスを使用することで、男性は画面操作による作業において、デバイス単体で使用した場合よりも4倍の精度で作業を行うことができた。

(2)ジェネレーティブトランスフォーマーでヒト疾患の自然史を学ぶ
Nature article open access
Published: 17 September 2025
Learning the natural history of human disease with generative transformers(和訳:ジェネレーティブトランスフォーマーでヒト疾患の自然史を学ぶ)
Artem Shmatko, Alexander Wolfgang Jung, Kumar Gaurav, Søren Brunak, Laust Hvas Mortensen, Ewan Birney, Tom Fitzgerald & Moritz Gerstung

要旨(Chromeによる和訳、脚注番号削除)
ヘルスケアにおける意思決定は、患者の過去と現在の健康状態を理解し、将来の経過を予測し、最終的には変えることに依存しています。人工知能 (AI) 手法は、大規模な健康記録コーパスから病気の進行パターンを学習することにより、このタスクを支援することが期待されています。ただし、その可能性は大規模に十分に調査されていません。ここでは、GPT 6 (生成的事前学習済みトランスフォーマー) アーキテクチャを変更して、人間の病気の進行と競合する性質をモデル化します。このモデル Delphi-2M を 40 万人の英国バイオバンク参加者のデータで学習し、パラメーターを変更せずに 190 万人のデンマーク人からの外部データを使用して検証します。Delphi-2M は、各個人の過去の病歴を条件として、既存の単一疾患モデルに匹敵する精度で、1,000 を超える疾患の発生率を予測します。 Delphi-2Mの生成的な性質は、将来の健康状態を総合的に推定するサンプリングも可能にし、最大20年間の潜在的な疾病負担について有意義な推定値を提供し、実際のデータを見たことのないAIモデルのトレーニングを可能にします。説明可能なAI手法は、Delphi-2Mの予測に関する洞察を提供し、疾病の章内および章間における併存疾患のクラスターと、それらが将来の健康に及ぼす時間依存的な影響を明らかにするだけでなく、トレーニングデータから学習されたバイアスも明らかにします。要約すると、トランスフォーマーベースのモデルは、予測的および生成的な健康関連タスクに適しており、人口規模のデータセットに適用可能であり、疾病イベント間の時間的依存関係に関する洞察を提供し、個人別の健康リスクの理解を向上させ、精密医療アプローチに情報を提供できる可能性があります。

関連情報
掲載誌:NATURE NEWS
掲載日:17 September 2025
表題:Which diseases will you have in 20 years? This AI accurately predicts your risks
A modified large language model called Delphi-2M analyses a person’s medical records and lifestyle to provide risk estimates for more than 1,000 diseases.
(和訳:20年後、あなたはどんな病気にかかっているでしょうか?このAIはあなたのリスクを正確に予測します。
Delphi-2M と呼ばれる改良された大規模言語モデルは、個人の医療記録とライフスタイルを分析し、1,000 を超える病気のリスク推定値を提供します。)
著者:By Gemma Conroy
英国の40万人のデータで訓練された人工知能システムは、20年間でがんやその他の多くの病気を発症する可能性を推定できる。写真:ブルックス・クラフト/コービス/ゲッティ

新しい人工知能 (AI) ツールは、1,000 種類以上の病気の発症リスクを予測することができ、場合によっては数十年先の予測も提供します。

(3)ゲノム言語モデルを用いた新規バクテリオファージの生成設計
掲載誌:bioRxiv
公開日:Posted September 17, 2025.
表題:Generative design of novel bacteriophages with genome language models
(和訳:表題:ゲノム言語モデルを用いた新規バクテリオファージの生成設計)
著者:Samuel H. King、Claudia L. Driscoll、David B. Li、Daniel Guo、Aditi T. Merchant、 Garyk Brixi、 Max E. Wilkinson、 Brian L. Hie
doi: https://doi.org/10.1101/2025.09.12.675911

要旨(Chromeによる和訳)
多くの重要な生物学的機能は、単一の遺伝子からではなく、ゲノム全体にコード化された複雑な相互作用から生じる。ゲノム言語モデルは生物学的システムを設計するための有望な戦略として浮上してきたが、ゲノム全体のスケールで機能的な配列を生成する能力は未だ検証されていない。本稿では、生存可能なバクテリオファージゲノムの初めての生成設計を報告する。我々は最先端のゲノム言語モデルであるEvo 1およびEvo 2を活用し、溶解ファージΦX174を設計テンプレートとして用いて、現実的な遺伝子構造と望ましい宿主指向性を持つ全ゲノム配列を生成した。AI生成ゲノムの実験的試験により、進化的に大きな新規性を持つ16個の生存可能なファージが得られた。クライオ電子顕微鏡法によって、生成されたファージの1つが、そのカプシド内で進化的に遠いDNAパッケージングタンパク質を利用していることが明らかになった。複数のファージが、増殖競争および溶解速度論においてΦX174よりも高い適応度を示している。生成されたファージのカクテルは、3種類の大腸菌株におけるΦX174耐性を迅速に克服し、急速に進化する細菌病原体に対するファージ療法の設計における本アプローチの潜在的な有用性を実証しました。本研究は、多様な合成バクテリオファージの設計のための青写真を提供し、より広くは、ゲノムスケールにおける有用な生体システムの生成設計の基盤を築くものです。

関連情報
掲載誌:NATURE NEWS
掲載日:19 September 2025
表題:World’s first AI-designed viruses a step towards AI-generated life
Scientists used AI to write coherent viral genomes, using them to synthesize bacteriophages capable of killing resistant strains of bacteria.
(和訳:世界初のAI設計ウイルスはAI生成生命への一歩
科学者たちは AI を使って一貫性のあるウイルスゲノムを記述し、それを使って耐性菌株を殺すことができるバクテリオファージを合成しました。
著者:By Katie Kavanagh
T2 ファージに群がった大腸菌 B 細胞の断面を示す、色を強調した透過型電子顕微鏡写真。
AI設計のバクテリオファージは宿主の細菌に感染し、殺傷する能力を持っていた。クレジット:リー・D・サイモン/サイエンス・フォト・ライブラリー

(4)頭の中にAIを埋め込む「テレパシーに近い」デバイス
Xへの投稿(2025年9月8日)
alterego
@alterego_io (動画)https://x.com/alterego_io/status/1965113585299849535
Introducing Alterego: the world’s first near-telepathic wearable that enables silent communication at the speed of thought.
Alterego makes AI an extension of the human mind.
We’ve made several breakthroughs since our work started at MIT.
We’re announcing those today.

Alterego のご紹介: 思考のスピードで静かなコミュニケーションを可能にする、世界初のテレパシーに近いウェアラブルです。
Alterego は AI を人間の心の延長にします。
MIT で私たちの研究が始まって以来、私たちはいくつかの進歩を遂げてきました。
本日はそれらを発表します。

関連情報
掲載誌:NATURE NEWS
掲載日:18 September 2025
表題:The ‘near-telepathic’ device that puts AI in your head
AlterEgo’s neural-interface device is non-invasive and is being tested in people with multiple sclerosis and motor neuron disease.
(和訳:頭の中にAIを埋め込む「テレパシーに近い」デバイスー
AlterEgo の神経インターフェース デバイスは非侵襲性であり、多発性硬化症および運動ニューロン疾患の患者を対象にテストされています。)
著者:By Chris Simms
アルターエゴの最高経営責任者、アルナブ・カプール氏がウェアラブルデバイスのデモンストレーションを行っている。提供:アルターエゴ

ウェアラブルデバイスは、「アレクサ、今何時?」と声に出して言うことを過去のものにするかもしれない。人工知能(AI)ニューラルインターフェース「AlterEgo」は、ユーザーが心の中で言葉を発するだけで、静かにコミュニケーションをとれるようにする。耳に装着するこのデバイスは、インターネットとのリアルタイムコミュニケーションを通じて日常生活を便利にする。「共有したい考えに対してだけテレパシーの力を与えてくれます」と、マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置くAlterEgoのCEO、アーナブ・カプール氏は語る。カプール氏は9月8日にこのデバイスを発表した。

(5)嘘をつき、騙し、殺人を企てる AI モデル: LLM は実際どれほど危険なのか?
最後の話題は、大規模言語モデルLLMの危険性に関するものです。

掲載誌;NATURE NEWS FEATURE
掲載日;08 October 2025
表題;AI models that lie, cheat and plot murder: how dangerous are LLMs really?
(和訳:嘘をつき、騙し、殺人を企てる AI モデル: LLM は実際どれほど危険なのか?)
Tests of large language models reveal that they can behave in deceptive and potentially harmful ways. What does this mean for the future?
(和訳:大規模言語モデルのテストにより、それらが欺瞞的かつ潜在的に有害な動作をする可能性があることが明らかになりました。これは将来にどのような意味を持つのでしょうか?)
著者;Matthew Hutson
        イラスト: アナ・コヴァ

**以下、記事の初めの部分からの抜粋です**

AIは殺人を行うことができるのか?

これは、 AI企業アンスロピックが6月に発表した報告書を受けて、一部の人工知能(AI)専門家が検討してきた疑問です。チャットボットの頭脳である大規模言語モデル(LLM) 16種類をテストした研究チームは、最も人気のあるAIの一部が仮想環境において、明らかに殺人的な指示を出すことを発見しました。AIは、自分たちを交代させようとしていた架空の幹部を殺害するような行動をとったのです。

これは、法学修士(LLM)による悪質な行為の一例に過ぎません。他のいくつかの研究や事例では、AIが開発者やユーザーに対して「陰謀を企てる」、つまり自身の利益のために密かに戦略的に不正行為を行っていることが示されています。AIは指示に従っているふりをしたり、自己複製を試みたり、恐喝を脅迫したりすることさえあります。
(以下、続く)

 

2-3)岐阜大学医学部下畑先生の最新医学情報(2025年10月)
・レビー小体型認知症も検査だけで診断できる時代に入る!?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年10月4日のFB投稿です**
脳脊髄液αシヌクレイン・シーズ増幅アッセイ(αSAA)は,レビー小体型認知症(DLB)の診断における大きな転換点になるかもしれません.スペインの物忘れ外来に通院した640名(DLB 92例,アルツハイマー病;AD 337例など)を対象に,脳脊髄液αSAAの診断精度とADにおけるαシヌクレイン合併病理を評価しています.この結果,αSAAはDLBに対し感度95.7%,特異度93.2%,全体診断精度93.6%(!)という高い成績を示しました.図1は各診断におけるαSAA陽性率を示したものです.健常対照(CU)は0%,非神経変性認知障害(NNCI)は1%,前頭側頭葉変性症(FTLD)は5.1%,ADは9.5%,DLBは95.7%が陽性です.つまりDLBで高率に陽性となる一方,ADやFTLDでは少数にとどまることが理解できます.先日,ADのタウバイオマーカーによる診断の話題をご紹介しましたが(https://pkcdelta.hatenablog.com/entry/2025/08/27/052343),DLBも検査だけで診断できる時代に入りそうな様相です.
もう1点,気になったのはAD患者の9.5%にαシヌクレイン合併病理が示唆される点です.このような症例では幻視やREM睡眠行動異常症などDLB的な臨床症候の頻度が増え,かつAPOE ε4保有率の上昇,血漿p-tau217やGFAPの上昇といった特徴的なプロファイルを示すことも明らかにされました.気になったのは,なぜAPOE ε4保有率が上昇するのかですが,ε4を持つことは全身性かつ疾患非依存的な炎症状態をもたらす「免疫的背景因子」である可能性が指摘されており(https://pkcdelta.hatenablog.com/entry/2025/08/04/062124),複数のタンパクを巻き込んだco-pathologyを来すものと推測されます.
さて話題は戻ってDLBの検査による診断に関して,著者らは「検査だけでDLBを確定診断できるわけではない」と強調しています.その理由として,DLBでもαSAA陰性例が存在すること,本研究で病理解剖による確認がなされていないこと,共病理の存在によって臨床症状が純粋型からずれ,より多彩で複雑な臨床像になりうることを挙げています.やはり脳脊髄液αSAA(図2)の結果は,臨床所見や画像検査と総合して解釈する必要があります.とは言え,脳神経内科医が不足する地域などでは強力な診断補助ツールになるものと考えられます.
Esteller-Gauxax D, et al. α-Synuclein Seed Amplifications Assay in a Cohort With Cognitive Impairment. Neurology. 2025;105:e214040. doi.org/10.1212/WNL.0000000000214040
追記;DLB 92例のうち陰性はわずか4例(4.3%)で,その多くがCDR 0.5で軽症かつ発症早期であり,臨床症状も非典型(RBDが少ない)であったと記載されています.よって発症早期から高率に陽性となりますが,病理分布が限局している例では陰性になることもあるようです.

・筋萎縮性側索硬化症に潜む免疫の異常:原因遺伝子産物C9orf72が自己免疫の標的に!!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年10月6日のFB投稿です**
筋萎縮性側索硬化症(ALS)はこれまで神経細胞の変性や病因タンパクの蓄積に注目して研究されてきましたが,近年は「免疫系の関与」が新たな焦点となっています.最新のNature誌に,ALSにおける自己免疫反応の存在を初めて明確に示した重要な報告がなされています.
研究は,アメリカのLa Jolla Institute for Immunologyを中心とする国際共同チームによって行われました.ALS患者40名と健常対照28名の末梢血を解析し,ALSで遺伝子変異が報告されているTDP-43,SOD1,そしてC9orf72という3種類のタンパク質に対するT細胞応答を比較しました.その結果,ALS患者ではC9orf72に対してのみ著明な免疫応答がみられ,健常者の約4倍の反応を示しました(図1).これらの反応は主にCD4陽性T細胞によって引き起こされ,炎症を抑えるIL-5やIL-10といったサイトカインが多く放出されていました(図2). ALS群でIL-5およびIL-10の産生が優勢で,炎症性サイトカインであるIFNγの割合が減少していることが明確に示されています.
また,C9orf72遺伝子に変異(6塩基リピートの異常伸長)をもつ患者では,変異をもたない患者よりもC9orf72を認識するT細胞が強く活性化し,IL-10を多く分泌する(図3左).さらに,C9orf72を標的とするT細胞のIL-10応答が強いALS患者ほど,疾患の進行が緩やかで長く生きる傾向にあることが示されました(図3右).
研究チームは,C9orf72全体に複数のエピトープが存在することも突き止めました.特にアミノ酸41〜95,266〜295,361〜445の領域で免疫原性が高く,これらのペプチドは多くのHLAクラスII分子に結合できる「プロミスキュア(promiscuous)」=「多くのHLA分子に結合できる性質」をもつことが示されました.これは,多くの人でC9orf72が免疫の標的となり得ることを意味します.さらに,パーキンソン病やアルツハイマー病患者でもC9orf72に対する免疫反応は見られましたが,ALSとは異なり炎症性のIFNγ反応が優位でした.この違いは,疾患ごとに免疫系の反応の方向性が異なる可能性を示唆しています.
この研究は,ALSが単なる神経変性疾患ではなく,免疫系の異常を伴う自己免疫性疾患的な側面をもつことを初めて証明したものです.特に,抗炎症性IL-10応答が強い患者の予後が良好であったことから,炎症と制御のバランスがALSの進行速度を決定する鍵であることが示唆されます.将来的には,C9orf72に特異的な免疫反応を抑える抗原特異的Treg細胞療法など,免疫を標的とした新たなALS治療法の開発が期待されます.
つまりC9orf72に対する自己免疫反応は,ALSの中核的変化(C9orf72異常・タンパク蓄積)に対して二次的に起こり,その免疫反応の質(炎症性か制御性か)が,疾患の進行速度や予後を左右している可能性があると考えるのが妥当ではないかと思います.すなわち「発症を促す免疫」ではなく,「症候の進行に影響する免疫」と言えるのではないかと思います.
Michaelis T, et al. Autoimmune response to C9orf72 protein in amyotrophic lateral sclerosis. Nature. Published online 2025. doi.org/10.1038/s41586-025-09588-6

・アルツハイマー病発症前の低レベルのAβ蓄積はむしろ脳にとってむしろ良いこと!?―ヒト・コネクトーム・プロジェクト研究―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年10月9日のFB投稿です**
先日のNHKの番組内(https://pkcdelta.hatenablog.com/entry/2025/09/07/075304)で,アルツハイマー病(AD)の病因蛋白とされるアミロイドβ(Aβ)には善玉としての働き(ヘルペスウイルスに対する防御作用)があることが紹介されました.今回,Journal of Neurochemistry誌に米国ミネソタ大学から,Human Connectome Projectの一貫として,画像解析からもAβは善玉である可能性が報告されました.
60歳以上の認知機能が正常な35名を対象に,アミロイド PETによるアミロイドβ沈着量と詳細な認知機能検査,身体指標,および多面的なMRI指標との関連を解析した研究です.PETではAβ陽性が11例,陰性が24例でした.陽性例も蓄積は軽度で,AD患者に見られるような高度の蓄積ではありませんでした(図1左).
まず分かったことは,Aβ沈着はアミロイド前駆タンパク(APP)の転写パターンとの対応が見られず,正の相関を示したのは海馬傍回のみでした.つまりAβはどうも局所(蓄積した場所)で産生されるのではなく,他の領域から移動・拡散してきた可能性(!)が示唆されます.またAβ蓄積量は年齢や認知・体力指標と負の関係を示さず,むしろBMI・握力・認知機能の得点と弱い正の相関を示した!よって蓄積している方が良さそうということです.
さらにMRI指標との関連では,微細構造の健全性指標(FAやT1w/T2w比)や脳血流(CBF)はAβ量と正の相関を示し,Aβが多いほど組織構造は健全で,血流が多い増加という結果でした(図1右).逆に組織障害を示唆する拡散指標(MD, ODI, WVF)は負の相関を示しました.つまりAβが多い人ほど水の動きが制限され,組織構造がしっかりしているという傾向を認めました.以上より認知機能が正常な人ではAβが神経毒性を持たない可能性が示唆されました.「Aβ=神経毒」という定説を覆すもので,低レベルのAβ蓄積が脳にとって必ずしも悪いものではない,むしろ善玉である可能性を示しています.
そうなると,アミロイドβ抗体薬の効果を最大限に発揮させるために,発症前から治療を開始するというアイデアは,むしろ逆効果となる可能性があります.しかしこの点について,著者らは断定することはできないと言っています.つまりどこかのタイミング(もしくは閾値)で,Aβが病的に転じるか,あるいは防御的役割が破綻するという可能性があるためです(図2).今後はより大規模かつ長期の追跡研究やタウ測定を組み合わせた検証が必要と考えられます.いずれにせよ,発症前,より早期の抗アミロイドβ療法は慎重であるべきと考えられます.
Filip P, et al. Clinical and MRI Correlates of β-Amyloid Load Inconsistent With Its Presumed Neurotoxicity in Cognitively Healthy Ageing. Journal of Neurochemistry. 2025;169:e70241. https://doi.org/10.1111/jnc.70241

・知っておくべき睡眠医学の最前線@『BRAIN and NERVE』2025年10月号
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年10月11日のFB投稿です**
特集テーマとして「脳神経内科と睡眠医学」を企画いたしました(https://amzn.to/4nLZPXZ).現代の臨床現場では,睡眠の質が神経疾患の発症や経過に密接に関わることが明らかとなりつつあります.一方,日本では睡眠医学を専門的に扱う神経内科医がまだ少なく,診療や教育の両面で体系的な知識の共有が求められています.私は以前,頑張って日本睡眠学会総合専門医の資格を取ったのですが,睡眠医学の知識が役立つ臨床の場面はとても多いです.本特集では,睡眠の基礎神経科学から臨床応用までを幅広く取り上げ,脳神経内科医が日常診療で直面する課題に役立つ内容を目指しました.
巻頭の鼎談(写真)では,私が司会を担当し,アジア睡眠学会会長の井上雄一先生,日本神経学会睡眠セクション・チーフの鈴木圭輔先生とともに「睡眠医学の診療と教育」について議論しました(写真).睡眠医学の重要性と脳神経内科との関連,専門医の地域偏在・不足という問題点,社会・行政経も提言,若手医師へのメッセージなど,非常に勉強になり,かつ読み応えのある内容になっていますので,ぜひご一読いただければと思います.
続く総説では,櫻井武先生らによるレム睡眠制御神経回路の最新知見,酒井紀彰先生による「睡眠と脳脊髄液」の解説など,基礎研究と臨床の橋渡しとなるテーマを取り上げています.また,認知症・脳血管障害・自己免疫性脳炎・多系統萎縮症など,神経疾患と睡眠障害の関連を多角的に検討した論文を収録し,睡眠障害が神経疾患の病態や予後にいかに影響するかを明らかにしています.さらに,レム睡眠行動異常症やレストレスレッグス症候群,ナルコレプシーなど,神経内科医が見逃してはならない疾患群についても,第一線の専門家による最新の解説が並びます.
本特集を通じて,睡眠を「神経機能の重要な指標」として捉える視点が広がり,臨床神経学の新たな展開につながれば幸いです.ぜひ,多くの先生方にお読みいただければと思います!
収録原稿一覧
• 【鼎談】睡眠医学の診療と教育(井上雄一×鈴木圭輔×下畑享良)
• レム睡眠を制御する神経回路メカニズム(渡邉綾乃,櫻井 武)
• 睡眠と脳脊髄液(酒井紀彰)
• 知っておくべき睡眠関連疾患の評価法(小栗卓也)
• 認知症と睡眠──双方向的関係について(三島和夫)
• 自己免疫性脳炎と睡眠障害(大野陽哉,木村暁夫,下畑享良)
• 脳血管障害と閉塞性睡眠時無呼吸症候群(赤岩靖久,宮本智之)
• 多系統萎縮症と睡眠関連呼吸障害(中山秀章)
• 神経疾患と特発性レム睡眠行動異常症(西川典子)
• レム睡眠行動障害以外の睡眠時随伴症(野村哲志)
• レストレスレッグス症候群(坪井義夫)
• ナルコレプシーの病態機序(小野太輔,神林 崇)
• 神経疾患による症候性ナルコレプシー(鈴木圭輔,藤田裕明,高橋嶺馬,柏木誠史)
『BRAIN and NERVE』Vol.77 No.10(2025年10月号)
特集:脳神経内科と睡眠医学
https://amzn.to/4nLZPXZ
https://www.igaku-shoin.co.jp/journal/detail/41670

・お気に入りの「ハダカデバネズミ」の長寿の秘密,ついに解明!!ヒトの不老に道を開くか?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年10月12日のFB投稿です**
ハダカデバネズミという小さな地下げっ歯類は,生物学の常識を覆す不思議な生き物です.体重わずか数十グラムにもかかわらず,寿命は37年に達し,マウスの10倍以上です.しかも老化に伴う死亡率の上昇がほとんど見られず,自然発症のがんもほぼ存在しません.酸素が乏しい地下トンネルで暮らすために,低酸素でも代謝を保つ能力をもちます.私は脳卒中の基礎研究を行っていたので,低酸素状態に強いこのネズミに高い関心を持っていました(→2017年のブログ「ハダカデバネズミの特殊能力と脳梗塞治療」を参照).後輩の池田哲彦先生が誕生日プレゼントに贈ってくださったハダカデバネズミのぬいぐるみを今も大切に部屋に飾っています.

さてこの生物の長寿の秘密をめぐっては,これまでにさまざまな仮説が提唱されてきましたが,2025年10月のScience誌に掲載された中国・同済大学のJiangらの論文は,ついにその分子基盤の一端を明らかにしました.研究チームは,DNA損傷を感知する酵素cGAS(cyclic GMP–AMP synthase)に注目しました.
通常,ヒトやマウスのcGASは,細胞の外から入り込んだDNAを感知して免疫反応を起こす「センサー」として働きます.ところが,最近の研究で,この酵素の一部は核の中にも存在し,DNAの損傷修復にも関わっていることがわかってきました.しかし意外なことに,ヒトやマウスのcGASは修復を助けるのではなく,相同組換え修復という主要なDNA修復メカニズムを抑えてしまうのです.その結果,DNAの安定性が損なわれ,老化やがんの一因になると考えられています.つまり,ヒトを含む哺乳類では,cGASはDNA修復を妨げ老化を招く酵素として働いているのです.
これに対し,ハダカデバネズミでは,cGASのC末端にある4つのアミノ酸(S463,E511,Y527,T530)が進化の過程で置換されていました.このわずかな構造変化が,酵素の働きを根本から変えていたのです.ヒトやマウスでは,cGASはDNA損傷のあと一時的に核内に移動しますが,すぐにクロマチンから離れ,修復を妨げます.一方,ハダカデバネズミのcGASはDNA損傷後も長時間クロマチンにとどまり,DNA修復因子であるFANCIやRAD50を引き寄せて修復を促進する足場として働いていました.つまり,この4つのアミノ酸の置換によって,cGASは「DNA修復を妨げる酵素」から「DNA修復を助ける酵素」へと働きが逆転していたのです.
この分子レベルの変化は,ほかの生物にも明確な効果をもたらしました.果実ハエ(みばえ)にハダカデバネズミ型のcGASを導入すると寿命が延び,マウスにAAVベクターで導入すると,フレイル指数が低下し,白髪や臓器老化が軽減しました.血中の炎症マーカーであるIL-6やIgGも減少し,肝臓や腎臓では老化細胞が減少していました.これらの効果は,4つのアミノ酸をヒト型に戻すと消失したことから,進化的に獲得されたこの分子改変こそが長寿の鍵であることが示されました.
ハダカデバネズミは,上述したようにがん抵抗性,低酸素耐性,社会性行動,痛覚鈍麻など,多くの「異端の哺乳類的特徴」を併せ持ちます.今回の研究は,その生物学的異端性の根底に,DNA修復を最適化する分子進化があることを示した点で画期的だと思います.ヒトの不老研究においても,この小さなげっ歯類が大きなヒントを与えてくれるかもしれません.
Chen Y, et al. A cGAS-mediated mechanism in naked mole-rats potentiates DNA repair and delays aging. Science. 2025;390:eadp5056. doi.org/10.1126/science.adp5056

・頭痛は単なる血管拡張や筋緊張ではなく,神経・血管・脳内ネットワークが連鎖的に反応して生じる!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年10月15日のFB投稿です**
頭痛の背後にあるしくみはとても複雑であることが分かりつつあります.Brain誌に発表された総説は,片頭痛,群発頭痛,発作性片側頭痛(Paroxysmal hemicrania)・持続性片側頭痛(hemicrania continua),そして後頭神経痛について,「どのように痛みが生まれるのか」を分子レベルから脳のネットワークまで総合的に議論したまさに力作です.「なるほど!」と非常に勉強になりました.
総説では,まず頭痛の多くが「三叉神経・血管系」という共通の回路で説明できることを示しています.頭部や顔面の血管周囲に分布する三叉神経の終末が刺激されると,CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド),PACAP,VIP,サブスタンスPなどの神経ペプチドや,グルタミン酸,セロトニンといった神経伝達物質が放出され,血管を拡張します.その結果,周囲に炎症が起き,神経がさらに興奮して痛みの信号を強めてしまいます.これを「神経血管性炎症」と呼びます.この反応は一度始まると連鎖的に広がり,脳幹にある三叉神経尾側核(trigeminal nucleus caudalis;TNC=三叉神経脊髄路尾側亜核)から視床,大脳皮質へと痛みの情報が伝えられます.TNCは頭痛の病態の中枢構造であり,これらの神経ペプチドの働きを統合し,片頭痛や群発頭痛などさまざまな頭痛疾患をつなぐ共通の「中継ハブ」として機能しています.
また近年のMRI研究では,頭痛を「脳全体のネットワークの異常」として理解する動きが進んでいるようです.例えば片頭痛では,痛みを感じる帯状回,感情を処理する扁桃体,そして視覚をつかさどる後頭葉との結びつきが過剰になります.一方,群発頭痛では,体内時計を制御する視床下部の活動が異常化し,発作の周期性や季節性に関与しています.さらに頭痛患者では,脳が「休んでいるとき」に働くネットワークにも異常が見られます.たとえば,思考の背景活動を担うデフォルトモードネットワーク,刺激の重要性を判断するサリエンスネットワーク,そして体の感覚や運動を調整する感覚運動ネットワークが,それぞれ過剰に結びついたり,逆に連携が弱まったりしていることが報告されています.こうしたネットワークの異常は,痛みに対する過敏さだけでなく,注意の集中困難や倦怠感,気分の変化など,頭痛に伴う多様な全身症状の背景を説明する手がかりになります.
図は頭痛性疾患のメカニズムをまとめた模式図です.大きく5つの経路で構成されています.これらは互いに連動し,頭痛の痛み・自律神経症状・周期性・前兆などを生み出します.
1.三叉神経終末から三叉神経尾側核(TNC)への経路(ピンク)
頭部や硬膜の血管周囲に分布する三叉神経の末端(V1-3)が刺激されると,CGRPやPACAP,サブスタンスPなどの神経ペプチドが放出され,血管拡張と炎症を引き起こす.この刺激は三叉神経節(TG)を経てTNCに伝わり,頭痛の痛み信号の起点となる.
2.TNCから視床・皮質への上行経路(黄色~灰色)
TNC(二次ニューロン)が交叉して上行し,視床(thalamus)を介して一次体性感覚野(SI),二次体性感覚野(SII),島皮質(INS),前帯状皮質(ACC),および背外側前頭前野(dlPFC)に信号を送る.SIとSIIは痛みの感覚的側面を,INSとACCは情動的側面を処理し,dlPFCは痛みに対する注意・認知・抑制制御を担う.これらの領域が連動して活動することで,痛みが意識的に知覚され,中枢感作が形成される.
3.三叉神経・自律神経反射経路
TNCの活動が上唾液核(SSN)を介して翼口蓋神経節(SPG)に伝わり,涙腺や鼻腺が刺激される.これにより涙や鼻閉といった自律神経症状が起こり,特に群発頭痛や片側頭痛性疾患に特徴的である.
4.視床下部・概日リズム経路
視床下部の視交叉上核(SCN;図中になし)が網膜からの光刺激を受け取り,SSNやTNCの活動を調整する.この経路は発作の時間帯や季節性を決める体内時計の中枢として働き,群発頭痛の周期性を説明する.
5.皮質拡延性抑制(CSD)経路
視床からの入力や皮質の過興奮により,後頭葉を起点に神経脱分極の波が広がり,一過性の血流変化とともに前兆(アウラ)を引き起こす.CSDは三叉神経系を再刺激し,CGRP放出を促すことで痛みを増幅する.
疾患ごとに分子・ネットワークの視点から考えると,片頭痛では後頭葉で起こるCSDが前兆の原因となり,CGRPや一酸化窒素(NO)の放出が痛みを増幅します.群発頭痛では視床下部の異常活動がリズム的発作を引き起こし,PACAPやCGRPの変動を伴います.発作性片側頭痛・持続性片側頭痛では,これらの経路が慢性的に刺激されており,インドメタシンが有効なのは神経炎症の経路の抑制を介していると考えられます.後頭神経痛では末梢神経の圧迫や感作が痛み信号を三叉神経系に送り込み,中枢での感作とネットワーク異常を引き起こします.このように,すべての頭痛は共通の回路を持ちながらも,関与する分子・領域・ネットワークの組み合わせの違いで症状が異なるのです.
これらの研究の成果は,新しい治療法の開発にも直結しています.CGRP関連抗体はこの経路を直接標的にし,発作頻度を減らす効果が示されています.また迷走神経刺激(nVNS)や後頭神経刺激(ONS)といった神経刺激療法は,脳幹や視床を介して三叉神経系の過剰な興奮を抑制し,痛みネットワーク全体のバランスを整えることが目的です.これらの治療法は「末梢から中枢ネットワークを調整する」アプローチであり,神経活動の連鎖を再同期させることで過敏な状態をリセットする仕組みと考えられています.
以上のように,頭痛はもはや単なる血管拡張や筋緊張ではなく,神経・血管・脳内ネットワークが連鎖的に反応する「脳全体の過敏状態」としてとらえられる時代になったと言えるのだと思います.
Kollenburg L, et al. Bridging the gap: molecular mechanisms, regional activity, and connectivity in headache disorders. Brain. 2025; doi.org/10.1093/brain/awaf361

・パーキンソン病は地球規模の環境病である―三大原因としての農薬,トリクロロエチレン,PM2.5―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年10月18日のFB投稿です**
パーキンソン病(PD)の患者数は世界的に急増しており,いまやパンデミックと呼ぶべき状況にあります.その要因の多くは遺伝ではなく環境にあると考えられています.Lancet Neurology 誌最新号に掲載された米国ロチェスター大学のDorsey教授らによる総説は,PDの発症に関わる主要な環境毒性物質とその予防の可能性について論じています.とくに3つの環境要因が問題であると指摘しています.
第1は農薬です.パラコート,ロテノン,有機塩素系殺虫剤などであり,パラコート散布地域に住む人の発症リスクは2倍に上昇するそうです.ロテノンはミトコンドリア複合体Iを阻害してドパミン神経を選択的に障害します.胎児期や乳児期の曝露によるエピジェネティック変化が後年の神経変性を誘発する可能性も指摘されています.図1は,2000年から2020年にかけての世界の農薬使用量の変化を示しています.全体としてなんと約300%の増加がみられ,特に南米,アジア,アフリカで顕著です.日本も増加傾向にあり,欧州諸国のような削減政策は十分に進んでいません.
第2はトリクロロエチレン(TCE)およびパークロロエチレン(PCE)です.これらはドライクリーニングや脱脂剤として長年使用されてきた有機溶剤です.米海兵隊キャンプ・ルジューン基地では,これらの化学物質を含む汚染水への曝露歴をもつ兵士のPD発症率が70%高く,平均2年間の短期間曝露であっても,約34年の潜伏期間を経て発症したと報告されています.TCEはミトコンドリア障害やLRRK2キナーゼの異常活性化を引き起こし,吸入曝露では少量でも黒質ドパミン神経変性を生じます.
第3は大気汚染です.PM2.5への曝露とPDリスクの上昇は,カナダ,韓国,スイス,英国などの研究で確認されています.PM2.5は嗅神経経路から脳内に侵入し,酸化ストレスや炎症,αシヌクレインの線維化を誘発します(ブログ参照;https://pkcdelta.hatenablog.com/entry/2025/09/09/042758).図2は「2019年の世界PM2.5曝露マップ」で,50μg/m³を超える濃度の地域がアジアやアフリカを中心に広がっています.世界人口の99%がWHO基準(年平均5μg/m³未満)を超える空気を吸っており,日本の平均値は10〜15μg/m³と欧米(5μg/m³前後)より明らかに高く,「健康に悪い空気」を吸っている国の一つです.著者らは,この曝露こそがPDが最も急速に増加している神経疾患となった原因だと指摘しています.
これら2つの図は,「PDは地球規模の環境病である」という主張を明確に裏づけています.日本も例外ではなく,農薬使用量と大気汚染の両方が高い水準にあり,将来的な神経疾患増加リスクを抱えています.著者らは,吸入経路の重要性にも触れています.嗅球から病変が始まることが多い点は,吸入毒性物質の侵入経路と一致していますし,胎児期や乳児期の曝露,職業性曝露,遺伝的素因との相互作用などがリスクを増幅すると考えられます.
予防策はあるのでしょうか?防護具の使用,汚染の監視と是正,安全な代替物質の導入により,曝露を減らすことは可能です.また現状では,研究資金のほとんどが治療研究に偏り,予防研究への投資はわずか2%にとどまっているそうです.Dorsey教授らは,予防原則を政策に組み込み,パラコートやTCEなど明らかに有害な化学物質を段階的廃止すべきだと訴えています.つまりPDは「予防可能な疾患」であり,原因物質への曝露を減らすことができれば,つぎの世代をこの疾患から守ることができる――それが著者らの強いメッセージです.
Ray Dorsey E, et al. Environmental toxicants and Parkinson’s disease: recent evidence, risks, and prevention opportunities.Lancet Neurology 2025; 24: 976–986.https://www.thelancet.com/…/PIIS1474-4422(25…/fulltext

関連情報
10月30日のFB投稿(岐阜大学脳内抄読会 第99回)で、「歩行中のUターン速度はパーキンソン病発症の予測因子となる」という面白い論文を紹介されています。

・アデュカヌマブによるアミロイドβ除去は脳表近くに限られている!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年10月20日のFB投稿です**
アデュカヌマブは,アルツハイマー病に対してアミロイドβ(Aβ)を標的にした疾患修飾療法として開発されたモノクローナル抗体です.2015年にBiogen社とEisai社が共同で臨床試験を開始し,Aβプラークを大幅に減少させることがPETで確認されました.臨床的な認知機能改善効果は一貫しなかったものの,一部のサブグループで若干の改善効果が示されたことから,Biogen社は2021年に米国FDAへ承認申請を行い,同年6月に条件付きで迅速承認を受けました.ところが,その有効性に関して国内外で強い議論を呼び,副作用としてのARIAの頻度の高さも問題となり,最終的にBiogen社は2024年1月に販売を終了し,開発を打ち切りました.その後に登場したレカネマブやドナネマブは,より選択性が高く副作用の少ない抗体として設計されていますが,その基礎となったのがアデュカヌマブです.今回紹介するLancet Neurology誌に掲載された剖検研究は,アデュカヌマブを投与された5例と未治療12例の剖検脳を比較し,この抗体が実際に脳のどこでどのようにAβを除去していたのかを初めて詳細に示したものです.
治療群の全例がAPOE ε4を保有し,うち2例がPSEN1変異を有していました.PETでAβが6〜81%低下していたにもかかわらず,剖検ではAβ除去は脳表近くに限局していることが明らかになりました.図上では,最初の10例(治療群5例と未治療群5例)に対して汎Aβ抗体によるDAB染色が行われています.未治療群では大脳皮質全層にAβ沈着がみられますが,治療群では大脳皮質の最表層(第I層)でのみ著明なAβ減少が認められ,下層ではAβが依然として残存していることが分かります.
図下では,同一症例の中前頭回を対象にしたAβaa1–8抗体による多重蛍光免疫染色が示されています.この抗体はAβペプチドのN末端(1〜8番アミノ酸)を認識する最も一般的な「全Aβ量」を示すマーカーで,アデュカヌマブ自身もこの領域を標的にしているため,この抗体で染まるAβが実際に除去対象になっていると考えられます.右側のボックスプロットで分かるように,Aβaa1–8は第I層で有意に低下していますが(p<0.01),全層では減少がみられませんでした.Aβ42でも同様の有意な低下がみられ,ピログルタミル型AβおよびAβ40も表層で減少傾向を示しました.
この結果は,アデュカヌマブが分子量約150 kDaと大きく,血液脳関門をほとんど通過できない(脳実質内到達は血中の0.1%未満)ことと関係しています.そのため,主に軟膜や皮質表層の血管周囲からわずかに脳内へ浸透し,その届く範囲に作用が集中すると考えられます.今回の剖検研究は,まさにこの「表層優位」の作用分布を病理学的に裏づけた結果となりました.
この「表層偏重」の除去はPET画像との乖離を生みます.アミロイドPETでは,表層のAβが減少すると信号全体が低下し,Aβが広範に除去されたように見えます.しかし実際の病理では,深部皮質層に多くのAβが残っており,PETで減少が見えても全層の除去を意味するわけではないことが明らかになりました.著者らはこの点を強調し,「PETシグナルの減少は部分的除去を反映しているに過ぎない」と述べています.これはAβ抗体治療の効果判定におけるPET画像の限界を示す重要な知見です.
また,ARIAを呈した症例ではMRIで確認された部位に対応して,皮質表層や髄膜下血管周囲に鉄沈着を伴う微小梗塞,補体活性化(C5b–C9),マクロファージやミクログリアの浸潤(CD68陽性)がみられました.これらはアミロイド血管症関連炎症(CAAri)と共通する病理像であり,Aβ除去に伴う血管壁の炎症がARIA発生の要因であると考えられます.さらに,死亡までの期間が長い症例では再沈着を思わせるAβ再蓄積も認められ,治療後にも進行性変化が続くことが示唆されました.
この層特異的なAβ除去の現象は,アデュカヌマブに限らず,他のAβ抗体であるレカネマブやドナネマブでも生じている可能性があります.これらの抗体も血液脳関門を越えて広く脳内に拡散することが確認されていないためです.今後のAβ抗体療法では,血液脳関門を通過してより広く脳内に拡散できる抗体設計や投与法の改良が求められます.
Boon BDC, et al. Neuropathological changes and amyloid-related imaging abnormalities in Alzheimer’s disease treated with aducanumab versus untreated: a retrospective case–control study. Lancet Neurology. 2025;24:931–944. https://www.thelancet.com/…/PIIS1474-4422(25…/fulltext

・進行性核上性麻痺の典型例Richardson症候群は均一ではなく,臨床的・病理的に多様性をもつスペクトラムである
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年10月22日のFB投稿です**
進行性核上性麻痺(PSP)の典型型Richardson症候群(PSP-RS)は,2017年に策定されたMDS-PSP診断基準では均一な症候群として定義されていますが,米国Mayo Clinicのグループから実はそうではないのだとする報告がなされました.
著者らはMDS-PSP基準でprobable PSP-RSと診断した118例を対象に,認められた各症候の関連を可視化したネットワーク解析と,患者群を分類するクラスター解析を行い,PSP-RSが均質な集団かどうかを検証しました.その結果,まず16種類の症状は5つのクラスター(①光過敏,②認知・遂行機能障害,③振戦,④眼球運動障害,⑤無動・固縮・失行)に分類されました.興味深いのは,無動・固縮が強い患者ほど眼球運動は比較的保たれる一方で(図の赤い線=負の相関),認知機能障害とは負の相関を示しました.つまり無動・失行が重いほど認知機能が悪いということです.また,光過敏や振戦は他の症状と関連せず独立して存在し,眼球運動障害群では垂直方向の運動障害と水平方向の運動障害が密接に結びついていました.以上の結果から,PSP-RSの症候は無秩序の組み合わせで出現するのではなく,特定の組み合わせで出現するということが分かりました.
患者群を分類するクラスター解析では2群に分かれました.Cluster Iは症状が重く,典型的なPSP-RS像を示しました.一方,Cluster IIは症状が軽く,臨床的にはPSP-CBSやPSP-Pなど,他のPSP亜型と診断される割合が高い群でした.注目すべきは,Cluster IIでは剖検でPSP病理を伴わない例(具体的にはCBD,MSA,GGTなど)が有意に多かった点です(p=0.03).つまり,MDS-PSP基準でPSP-RSと診断されても,実際にはPSPではない異なる病理をもつ症例が一部含まれうるということになります.ただ個人的に関心がある自己免疫性脳炎は含まれておらず,典型例では考慮しなくて良いと言えるということだと思います.
この論文のメッセージは明確です.PSP-RSは単一の病型ではなく,臨床的にも病理的にも多様性をもつということです.昨今,診断基準を万能と考えてしまう傾向がありますが,例外があることを認識する必要があると思います.症候の組み合わせや経過,画像・バイオマーカーを通じて真のPSPを見抜く姿勢が求められるのだと思います.
Kumar M, et al. Evaluating the Homogeneity of the PSP-RS Syndrome beyond Core Features. Movement Disorders Clinical Practice. 2025;12(10):1560–1570. doi.org/10.1002/mdc3.70134

・「自己免疫性精神病」を独立した疾患単位とみなすべきではない!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年10月23日のFB投稿です**
Journal of Clinical Investigation誌の最新号に掲載された総説です.抗NMDA受容体脳炎の発見者であるJosep Dalmau教授らが,「自己免疫性精神病(autoimmune psychosis)」という概念を独立した疾患として扱うべきではないと明確に述べています.
著者らは,まず精神病という症候群が統合失調症に限らず,自己免疫性や炎症性疾患,さらには神経疾患の一部としても出現し得ることを示しています.中でも抗NMDA受容体脳炎では,幻覚,妄想,興奮,不眠などの精神症状で初発することが多く,統合失調症と誤診されることもあります.その病態は,抗NMDA受容体抗体が神経細胞表面の受容体を内在化させ,シナプス伝達を可逆的に障害することによるものです.つまり,炎症による破壊ではなく,免疫反応によって神経の情報伝達そのものが変化し,その結果として精神症状が生じるという新しい仕組みが明らかになったわけです.
図は「精神病の3つの神経化学的仮説」を示すものです.ドパミン過活動仮説,NMDA受容体機能低下(グルタミン酸)仮説,セロトニン仮説の3つを示し,抗NMDA受容体脳炎がグルタミン酸仮説に合致することを示しています.抗体が前頭皮質のGABA介在ニューロン上のNMDA受容体を内在化させると抑制性制御が失われ,興奮性ニューロンから中脳腹側被蓋野(VTA)への入力が過剰になります.その結果,報酬系である中脳辺縁系ドパミン経路が過活動となり,幻覚や妄想といった精神病症状が出現します.この回路異常は,ケタミンなどのNMDA受容体拮抗薬が誘発する幻覚モデルと同じ機序であり,抗体が精神症状を引き起こす病態機序を明確に示すものです.著者らは,このように免疫と神経伝達の関係を適切に理解することが,今後の精神医学研究の発展につながると強調しています.
一方で,「自己免疫性精神病」という名称の乱用には強い警鐘が鳴らしています.抗NMDA受容体脳炎やSLEなど既知の自己免疫疾患による精神症状をすべて包括してしまうと,診断が曖昧になりかねないということです.また,抗体の血清検査を無分別に精神疾患患者に行うと,非特異的な陽性反応を示す例が生じ,実際には自己免疫性脳炎でない患者にまで免疫治療が行われる危険があると指摘します.実際,これまでの研究では統合失調症や気分障害の患者におけるNMDAR抗体陽性率は約1%で健常者と差がありません.脳脊髄液で抗体陽性であった患者のほとんどは臨床的に抗NMDA受容体脳炎と診断可能ですが,血清のみ陽性の患者は非特異的反応である可能性が高く,診断的価値は低いとされています.
著者らは,「自己免疫性精神病」という言葉は一見わかりやすいものの,科学的定義があいまいで,既知の自己免疫性脳炎や全身性疾患を一括して扱うことで診断の特異性を損ね,臨床の混乱を招くおそれがあると述べています.精神病と免疫の関係を探ること自体は重要ですが,その第一歩は既知の自己免疫性脳炎を正確に診断し,精神症状との関連を検証することにあるとしています.また,初発精神病や抗精神病薬不耐例で異常行動や意識変容がみられる場合には,脳波,MRI,脳脊髄液検査を組み合わせて抗体性脳炎を除外することが推奨されています.結論として,自己免疫が関与する精神症状は確かに存在しますが,「自己免疫性精神病」という新しい疾患単位は現時点で存在しないということになります.
Cabrera-Maqueda JM, Planagumà J, Guasp M, Dalmau J. Autoimmune neuropsychiatric disorders manifesting with psychosis. J Clin Invest. 2025;135(20):e196507. https://doi.org/10.1172/JCI196507

・機能性運動障害に対するリハビリのコツ ―Physio4FMD試験から学ぶ―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年10月26日のFB投稿です**
先日,機能性神経障害(FND)の患者さんをご紹介いただき,とくにリハビリの進め方についてご相談を受けました.適切にご説明するため,2024年にLancet Neurology誌に報告されたPhysio4FMD試験をあらためて読み直しました.この研究は,FNDに対する「脳の予測モデル」に基づいた新しいリハビリの方向性を示した,非常に示唆に富むものです.
FNDは「体を動かしたいのに動かない」「勝手にふるえてしまう」などの症状を呈します.脳に器質的な異常はないものの,脳が体の動きを誤って予測してしまうことが原因と考えられています.私たちの脳は,常に「これから何が起こるか」を予測しながら運動や感覚を制御しています.つまり脳は日常生活の中で,「予測」と「実際の感覚入力」を比較しながら行動を調整しているのです.例えば,「右手を上げる」と予測したとき,実際に手が上がるという感覚が一致すれば,脳は「自分が動かした」と理解します.この仕組みを説明する理論が「ベイズ的予測モデル(Bayesian model)」です.しかしFNDではこの予測と感覚がずれてしまい,「動かそうとしても動かない」「勝手に動く」という誤作動が起こります.このずれ(予測誤差)を修正し,脳が正しい動作感覚を再び学び直すことがリハビリの目的になるということです.ですから通常のリハビリとは大きくアプローチが異なります.
論文のPhysio4FMD試験は,英国で行われた多施設ランダム化比較試験で,「確実なFMD」と診断された成人355例を対象としました.9回の専門的理学療法とフォローアップを行う群と,地域の一般的理学療法に紹介する群に無作為化され,主要評価項目は12か月後のSF-36身体機能スコアでした.最終的にコロナによる中断がなかった241例(専門群138,通常群103)が解析対象となりました.結果としては,身体機能スコアには有意な差はみられませんでしたが,自己評価による症状改善(CGI-I)では専門的理学療法群が一貫して良好な結果を示しました.6か月の時点で改善または著明改善と答えた人は専門群で大多数を占め(63%対28%,オッズ比4.7),12か月後でもその効果は持続していました(59%対39%,オッズ比2.3)(図).精神的健康スコアや診断に対する信用も専門群で向上し,重篤な副作用は報告されず,安全に実施できる治療であることが確認されました.
Physio4FMDで行われた専門的理学療法は,従来の筋力強化や動作矯正とは異なり,脳の誤作動を修正するように設計されています.リハビリは三つの柱から構成されていました.
① 症状の理解を助ける教育;体は壊れていないが脳の信号伝達が一時的に乱れていることを説明し,不安を軽減する.
② 注意の再方向づけ;「手を動かそう」と意識するほど動けなくなるため,音やリズム,視覚的目標など外的刺激に注意を向けながら,自動的な動作を誘発する.
③ 自己管理と再発予防;ワークブックを用いて,自宅での練習や再発時の対応を学ぶ.
理学療法士は全員が5日間の集中トレーニングと標準化マニュアルを修了し,患者の理解と自己効力感を高めるための関わりを重視しました.「動かそう」と強く意識すると,脳は過剰に予測を立ててしまい,感覚とのずれが拡大します.この逆転現象がFNDの特徴であり,リハビリでは「どう動かすか」ではなく「どう意識しないか」を練習することが重要となります.症状の改善は「自分の体を再び信じられるようになること」によりもたらされます.よってリハビリの目的は,まさにその「自己効力感の回復」にあります.体が壊れていないという理解を深めること,動作を意識しすぎずに外的な目的に集中すること,わずかな成功体験を大切にして脳に「できた」という感覚を刻むこと,症状が出たときは深呼吸して落ち着き,再発しても「前より早く戻れる」と信じること,これらがリハビリの実践的ポイントです.
以上をまとめると,リハビリの具体的な指針は次の通りです.
• 体が壊れているわけではないと理解し,安心して取り組むこと.
• 「動かそう」と意識せず,音やリズム,物体操作など外の目的に注意を向けること.
• 「手を動かす」ではなく,「ボールを投げる」「風船を打つ」と考えること.
• 少しでも動けたら「できた」と実感し,その成功体験を積み重ねること.
• 症状が出たときは焦らず深呼吸し,「また動けるようになる」と思い出すこと.
• 再発しても「以前より早く回復できる」と考え,落ち着いて対処すること.
Nielsen G, et al. Specialist physiotherapy for functional motor disorder in England and Scotland (Physio4FMD): a pragmatic, multicentre, phase 3 randomised controlled trial. Lancet Neurol. 2024 Jul;23(7):675-686. doi.org/10.1016/S1474-4422(24)00135-2

・胎児を守る抗てんかん薬の選択――フランスにおける10年の劇的な変化
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年10月28日のFB投稿です**
抗てんかん薬(antiseizure medications;ASM)は,てんかんのほか気分障害,慢性疼痛,片頭痛などにも広く用いられていますが,一部の薬剤は胎児に奇形や神経発達障害をもたらすことが知られています.フランスのEPI-PHARE研究チームは,全国母子レジストリ「EPI-MERES」を用い,2013〜2021年に終了した約870万件の妊娠を解析し,抗てんかん薬の胎児曝露の推移を明らかにしました.
この期間に少なくとも1種類の抗てんかん薬に曝露された妊娠は55,801件で,全妊娠の0.64%にあたりました.薬剤を安全性に基づいて分類すると,「最も安全」とされるラモトリギンとレベチラセタムへの曝露が約半数,「リスク不明群」(プレガバリン,ガバペンチン,エトスクシミド,ラコサミド,ペランパネル,ゾニサミドなど)が約3分の1,「リスク既知群」(バルプロ酸,バルプロミド,カルバマゼピン,トピラマート,フェニトイン,フェノバールなど)が約4分の1を占めていました.
図に示されるように,2013年から2021年の間で薬剤の構成は劇的に変化しました.バルプロ酸とバルプロミド(バルプロ酸のプロドラッグ)への曝露妊娠はそれぞれ−84%,−89%と急減し,リスク軽減策が効果を上げていることが明らかになりました.代わって,ラモトリギンとレベチラセタムといった安全性の高い薬剤が大きく増加し,それぞれ+22%,+64%の上昇を示しました.ラモトリギンはもともとてんかんに多く使用されていましたが,この10年間で気分障害に対しても用いられる割合が増加したようで,2013〜2015年の15%から2019〜2021年には23%へと拡大しました.これは,ラモトリギンが「胎児への安全性が比較的高い薬」として,精神科領域でも選択される傾向を反映しています.私も良く認識していなかったのですが,日本でもその適応に「双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制」があります.
一方,プレガバリンやガバペンチン,新規抗てんかん薬(ラコサミド,ゾニサミドなど)の使用は急増しました.とくにプレガバリンでは,妊娠全期間を通じての曝露が+171%に増加しており,胎児がより高用量・長期間曝露されていることが懸念されます.カルバマゼピンやトピラマートの使用も緩やかに減少したものの,依然として2019〜2021年の3年間だけでそれぞれ約600件の出産曝露がみられました.トピラマートは海外では片頭痛にも使用されています.
母体背景をみると,抗てんかん薬曝露妊娠の母親は非曝露群よりも高齢であり,また低所得層の割合が高い傾向にありました.とくにリスク既知薬および不明薬の使用群では,低所得層が約18%に達し,安全な薬剤群(約14%)よりも多く,社会的格差の影響が示唆されました.
著者らは,バルプロ酸曝露の劇的減少は,2015年以降に強化された欧州医薬品庁の妊娠回避プログラムの成果であるとしながらも,その一方で,安全性が十分に検証されていない薬剤の使用が拡大している現状を強調しています.特にプレガバリンや新規抗てんかん薬の使用増加は,今後のリスク評価が急務であると述べています.また,社会的に不利な立場にある女性ほどリスクの高い薬剤を使用している傾向があるため,妊娠前カウンセリング,避妊支援,医療アクセス改善の必要性が強調されています.日本においても同様の処方傾向が生じている可能性があります.妊娠可能年齢の女性への抗てんかん薬処方の在り方を見直す契機となる重要な論文です.
Shahriari P, et al. Trends in Prenatal Exposure to Antiseizure Medications Over the Past Decade: A Nationwide Study. Neurology. 2025;105:e213933. doi.org/10.1212/WNL.0000000000213933

(作成者)峯岸 瑛(みねぎし あきら)

カテゴリー
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2025年8月のニュース

「健康長寿を目指すのであれば、歩数(+中強度活動15~20分)の確保に加え、脳や免疫系の若さを保つこと!」
今月の関連学術ニュースは、歩数と健康リスク、臓器の老化と健康リスクについての最新の研究成果の紹介と岐阜大学医学部下畑先生からの最新医学情報です。

1.2025年8月の活動状況
田村 芙美子さんの投稿
8/1 今日から8月「葉月」。「葉落月(はおちづき)」が転じて「葉月」といわれるそう。 今朝はまさに葉が散る秋のように涼しく(朝だけ)、ネッククーラーは不要かとoffにしたまま首にかけて出掛けました(事件はコメ欄)。渋谷教室では、夕べのzoomのポールを持った場合、持たない場合の歩幅をチェックしてみました。皆さんに前回練習したローリング歩行(!)で歩いて貰いました。ポール有の方が全員歩幅広くなりました。平均4cmも!膝が人工関節の方もポールがあると安心して踏み出せるとの感想でした。ヨシ!

スマイルチームさんの投稿
スマイルチーム8月恒例 日本赤十字社 救急法短期講習  胸骨圧迫➕AEDセミナー 今年も多くの学びを得ることができました。 セミナーの目的 #人命を助ける #自分にできることは何か?を知ることができる #家族を守るためにできること #遭遇してしまった時にできるようにしておく 等々 訓練は本当に大事。 毎年受講してても毎年学びがある。 講師の先生ありがとうございました。 受講された皆さん *教科書を見直しておきましょう *AEDが家の近所のどこにあるか知っておきましょう *今いる場所を説明できる目印があることを常に気にしておきましょう(電信柱 目印になる建物等) *外出の際は身分がわかるものを必ず持ち歩きましょう お疲れ様でした。 また来年ね。 動画は改めて投稿します。 #スマイルチーム #健康普及活動 #日本赤十字社 #救急法短期講習 #胸骨圧迫 #AED #松田直樹を忘れない 松田直樹は2011サッカー練習中に倒れ8/4にその若い命は空へ。そこにはAEDがありませんでした。もしそこに AEDがあったなら、マツは今でもピッチの上を走り回っていたかもしれません。 #記録 #20250801

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 8/3PW駒場例会〜 8/1長野県の男女健康寿命No,1の発表も有り、暑さに負けず集まったP-Walkerの皆さん❗️ 公園〜牧場といつもの木陰や並木道の闊歩集団でした。 隣は熱を逃れての水浴び集団〜ww

田村 芙美子さんの投稿
8/6 朝8時15分 広島からの中継を観ました。小学生と県知事さんのお話は胸を打ちました。それにしても現地は暑かったでしょう。午前中の北鎌倉町内会公会堂はクラーで涼しく快適な運動空間でした。が、1歩外に出るとサウナ状態。異常なくらいの陽射しと気温にメンバー皆さんの往復道中が心配になりました。来週はお盆休み。

杉浦 伸郎さんの投稿
鶴岡八幡宮ぼんぼり祭り。 鎌倉にゆかりのある著名人の書画がぼんぼりに仕立てられ、参道に並びます。夕刻になると明かりが灯され幻想的な空間が広がります。 それにしても年々暑くなっていますね。この先が思いやられます。 皆さん、Stay cool!

田村 芙美子さんの投稿
8/8 立秋翌朝の秋の風に吹かれて湘南ライン(小金井行き)で渋谷まで。渋谷も思ったより爽やかな風で、スタジオの冷房は寒く感じるほどでした。 今日はフレイル予防の運動を中心にお盆休みにトレーニングして頂きたい2種のテーマを練習して解散。お昼から所用で三軒茶屋へ移動し夕方帰鎌しました。ネッククーラーのお陰かアマゾン熱を感じない1日でした。 数年手をつけなかったブロック塀をいよいよ解体の見積り2ヵ所依頼しました。塀は透け透けで中が見える方が安全?!地震等で倒壊すると通行人に危険ということで鎌倉市では以前から取り壊すようにとのお触れが出ています。

スマイルチームさんの投稿
スマイルリズムエクササイズ上鶴間 20250808 この日の最高齢は88歳🤩

校條 諭さんの投稿
真夏の気まポ(気ままにポール歩き) 午後6時に集合して、主に住宅地のコース(いつもより短い約4km)を2本のポールで歩きました。 集合時点の気温29度(たぶん)。もう少し風があってほしかったですが、快適に歩けました。 JR荻窪駅西口→すずらん通り→天祖神社・神明中学→杉並公会堂→衛生病院(東京衛生アドベンチスト病院)→教会通り→ダナン町 大半の人は後方押し出しスタイル(4点駆動)のノルディックウォーキング、足を痛めて“リハビリ”中の人は4点支持のポールウォーキング。 ベトナム中部料理の「ダナン町」でカンパイしました。

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
🎉 台灣健走杖運動推廣協會 🤝 志工服務隊 📅 2025年3月 正式成立! 我們熱愛健走杖 👣 我們相信健康與公益可以一起走 💪 現在,誠摯邀請你加入我們的行列, 一起用行動支持協會活動、推廣健走杖運動, 服務社區、幫助更多需要的人!🌿 📌 歡迎大家 一起來!

柳澤 光宏さんの投稿
昨日は佐久市の花火大会。雨降らずに良かった!この花火大会は真上に上がるので、河原に寝そべって見るぐらいです。間近に花火を体感できる田舎ならではの花火大会でお勧めです(⁠^⁠^⁠) 今日は送り盆を済ませ会社で一仕事。なかなか進まない。言語化って難しい(⁠T⁠T⁠) 長女も帰省してきて賑やかな夏休みでした。今年はゴルフに行かず、家族で一泊二日エクシブ蓼科へ!ホテルから誕生月とのことでサプライズ。お休みも終了ですね〜。

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 「虚空蔵山PW散策」 お盆休みの最終日は道の駅「ヘルシーテラス佐久南」駐車場をお借りし、見晴らし展望台を目指しての里山巡り❗️ 50名越えの参加者(遠くは飯綱町より参加)で熊🐻注意⚠️⚠️⚠️の看板横目にの闊歩でした‼️

佐藤珠美さんの投稿
8月19日一本柳ウォーキング倶楽部 今回から活動日が火曜日になりました。 佐久市の予想最高気温35℃🥵 そんな日は迷わず、県立武道館へ移動です🚗 会員さんと共に Japanese Walkingの言葉の意味を噛み締めました。

田村 芙美子さんの投稿
8/20 朝の鎌倉駅ホームは風が涼しく気持ち良く外出できました。北鎌倉まで1駅を歩かず熱中症を避け シニアは電車に乗ります。北鎌沿線の尾根岩盤前をポールウォーキングで市場公会堂へ。万博に行ってきたメンバーサンからお土産話!

遠藤 恵子さんの投稿
介護予防運動教室⇒今から加圧トレーニングセッション✨ 50代からの体づくりは “美しく・しなやかに”がテーマ!! 短時間・低負荷で効率的に、 筋力アップ・代謝UP・美姿勢へ!! 年齢を理由に諦めない! 今がいちばん輝く自分をつくりましょう🌸

田村 芙美子さんの投稿
8/22 明日は24節季の処暑、暑さの峠を越した頃といいますが まだまだ暫く峠の上に滞在しているようです。お盆休みを挟んで2週間ぶりに渋谷の皆さんと室内ポールウォーキング。今日は会館の非常階段を利用して 階段昇降とステップエクササイズを2種。階段室は冷房がないので南国🌴トレーニング状態でした☀️😵💦毎日続けると良い筋トレになりますね。いつまでも自分の脚で歩けるように。

遠藤 恵子さんの投稿
本日‼️ 【ポールウォーキングベーシックコーチ資格取得講座】開催です! #ポールウォーキング #ポールウォーキングベーシックコーチ #資格取得講座 #福岡県

佐藤珠美さんの投稿
8月23日午前中はインターバル速歩倶楽部の活動日。 写真を撮る余裕無し😢 以前、信州大学の能勢先生は書籍の中で 「インターバル速歩は長野県民だから成功した活動」と記しています。「長野県が長寿県になったのは1945年に佐久市の佐久病院に赴任した若月俊一医師が 予防は治療に勝る として農村医療を始めた事。減塩運動・集団検診などを推奨した結果、健康意識の高い県民性になった」 倶楽部の皆で、気持ちを新たに歩きました。 午後からは研修会。 講師 NPO法人CRファクトリー代表理事 呉 哲煥様 良い出会いがありました😊

田村 芙美子さんの投稿
8/26 北鎌倉の六国見山の里山再生の活動の記録。スタートは2011年。私達テラススタジオの初期メンバーはそれより5年位前から六国見山往復をポールウォーキングのコースにして来ました。初心者でも無理のないコースなので外部の方ともこれまでに数えきれないほど歩きました。一方でヤマアジサイやヤマザクラの植栽や手入れをしてくださる湧水ネットワークの方々の存在を知り感謝です。猛暑日が収まりましたらこの本を道しるべにして又ゆっくり春夏秋冬を楽しんで歩きます。

柳澤 光宏さんの投稿
昨日は県議会産業観光企業委員会の皆様が来社。1時間で説明&工場見学を。議会の正式活動とのことで、県職員の方々も随行で来られていて、ちょっと仰々しい感じでした(⁠^⁠^⁠) ご来社ありがとうございました!!

田村 芙美子さんの投稿
8/27 今日第4週はレッスンのあとはお楽しみ会。 椅子トレ~ふくらはぎストレッチ、7秒スクワット、マットで一連のコアエクササイズのあとは🔪🍴恒例のお楽しみランチ会。今日の主役は素麺!大鍋にお湯を沸かし素麺を茹でるまで時間がかかってお腹ペコペコ。冷たく冷やした素麺を熱い具だくさん汁につけて頂きました。初めて知った現地の茶道ならぬ「コーヒー道」の話!

田村 芙美子さんの投稿
8/28 お盆休み明け久しぶりの貯筋クラス。予報通り昨日より2~3℃低く気持ち涼しさを感じました。センター入り口のひまわりは皆東の方向を向いていました。まだ蕾もあり 夏は暫く続きそう。包括支援センターから毎月恒例の計測に来てくださり筋肉量や握力を測りました。先月と大きな違いはなくお宅筋トレ継続の成果かと思います。今日はPATROLベルトを使ってエクササイズ。効きましたね。

長谷川 弘道さんの投稿
皆さんはAIをどのくらい活用していますか? その活用の仕方が今社会問題にもなってきていますが、まずは相手(AI)が何者なのかを理解することが大事かと思います。 2年ほど前から私もちょこちょこと勉強していますが、とにかく触ってみることですね。 ほんと、習うより慣れろしかないです。 ということで、早速につい先日発表があったNotebookLMというAIに新しい機能がつきましたので、それを使ってみました。 それが貼り付けてあるものです。 私が今いちばん力を入れている運動プログラムをAIでまとめてみました。 一般の方にとってわかりやすい動画説明なんですが、とにかくすごい!資料や動画などの元データをこのAIに送れば、あとは自動的にというかAIが見事に生成してくれます。 少し言葉がおかしいところがありますがほぼ100点に近い出来栄えです! ぜひご覧ください。 そしてこの内容についてご質問があればいつでもコメントください。

Ruri Nissatoさんの投稿
体操ボランティアを3年以上続けている人20名が表彰されました。 定年後に始めて5年。 楽しみながら続けていこうと思います。

 

来月以降の開催
長岡智津子さんの投稿
写真1件

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
日本健走杖健走教練培訓報名表

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿(その①)
📣【2025健走杖 健康活力輕旅行】🌿 ✨第三屆・9月即將登場!✨ 準備好迎接一場結合 健走 × 旅行 × 健康活力 的精彩活動了嗎?🎒 Andy教練、媛玲教練、均萍教練、淑芬教練、淑鳳理事長 (依🎦影片出場順序)邀請大家👣 拿起你的健走杖,跟我們一起出發, 走進自然、呼吸新鮮空氣、動起來! ✔️ 健走路線精心規劃 ✔️ 教練全程帶領陪走 ✔️ 適合各年齡層的輕旅行行程 ✔️ 不只有健走,還有美景、美食與好心情🎑🍱 📅 活動預定於 9月展開,名額有限, 👉 歡迎大家踴躍報名,一起走出健康好生活!

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿(その②)
2025健走杖.健康活力輕旅行 – 腳ㄚ聚樂部

 

2.PW関連学術ニュース
2-1)健康リスクを抑えるためには一日何歩歩けば良いのか?歩数と健康リスクについての最新情報
**以下は、大阪大学の宮坂昌之先生の2025年8月2日のFB投稿です**
定期的な運動により全死亡率、がんによる死亡率などが低下することが分かっています。この点、ウオーキングがもっともやりやすい運動ですが、ではどのぐらい歩いたらいいのか、これまで諸説がありました。
この点に関して、オーストラリアの研究グループが過去10年間に発表された論文のメタ解析をして、最新号の専門誌Lancet Public Healthに論文を発表しています。
(https://www.thelancet.com/…/PIIS2468-2667(25…/fulltext)
それによると、全死亡率、心血管疾患発症率、認知症や転倒に関しては、1日あたり2,000歩を歩くと、リスクが低下し始め、約5,000~7,000歩あたりで変曲点を示す非線形の逆相関が認められるとのことです(言い換えると、1日2,000歩以上歩くのがよく、5,000~7,000歩以上歩けば、さらに上記リスクが下がる傾向がある、ということです)。
具体的なデータは次のようです。1日7,000歩では、1日2,000歩の場合と比較して、全死亡リスクは47%低下、心血管疾患発症リスクは25%低下、心血管疾患死亡リスクは47%低下、癌発症リスクは6%低下、癌死亡リスクは37%低下、2型糖尿病のリスクは14%低下、認知症のリスクは38%低下、うつ症状のリスクは22%低下、転倒リスクは28%低下していました。
つまり、高齢者は、まずは1日2,000歩を歩くこと、できれば1日7,000歩を目標にするとかなり良い結果が得られる可能性があるということです。1日2,000歩はそれほど難しくありませんよね。
論文
掲載誌;The Lancet Public Health、ArticlesVolume 10, Issue 8e668-e681August 2025
表題;Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis
著者;Prof Ding Ding, PhDa,b melody.ding@sydney.edu.au ∙ Binh Nguyen, PhDa,b ∙ Tracy Nau, BComLaw BNutScia,b ∙ Mengyun Luo, PhDa,b ∙ Borja del Pozo Cruz, PhDc ∙ Paddy C Dempsey, PhDd,e,f,g ∙ et al. Show more

📝 論文要約(Summary)の日本語訳(Copilotによる)
背景;この10年間で日常の歩数と健康との関連を示す証拠が急速に増加したが、既存のシステマティックレビューでは主に全死因死亡率のような限られたアウトカムに焦点が当てられている。本研究では、日々の歩数と、全死因死亡率、心血管疾患、がん、2型糖尿病、認知機能、メンタルヘルス、身体機能、転倒などの健康アウトカムとの前向きな用量反応関係を統合的に検討した。
方法;2014年1月1日から2025年2月14日までに発表された文献を対象に、PubMedとEBSCO CINAHLを用いて検索した。対象研究は、成人を対象にした、デバイスで測定された日々の歩数と健康アウトカムの関連を検討した前向き研究。二人一組で研究選定、データ抽出、バイアス評価を実施し、統計解析にはランダム効果モデルを使用した。エビデンスの確信度はGRADEシステムに基づいて評価された。
結果;35コホートから57件の研究がレビューに含まれ、うち31件がメタ解析に用いられた。全死因死亡率、心血管疾患の発症、認知症、転倒については、非線形の逆相関関係が見られ、5000〜7000歩/日付近に屈曲点があった。心血管疾患による死亡率、がんの罹患率・死亡率、2型糖尿病の発症、抑うつ症状については、線形の逆相関が見られた。例えば、7000歩/日は2000歩/日と比べて以下のようなリスク低下が見られた:
全死因死亡率:47%低下
心血管疾患の発症:25%低下
心血管疾患による死亡率:47%低下
がん死亡率:37%低下
認知症:38%低下
抑うつ症状:22%低下
転倒:28%低下 物理的機能に関する研究(メタ解析外)でも、同様の逆相関が見られた。
解釈;1日1万歩という目標も有効だが、7000歩/日は健康改善において臨床的に意味のある効果があり、より現実的かつ達成可能な目標かもしれない。ただし、研究数の少なさや年齢ごとの分析不足、個々の研究におけるバイアスなどの制限も踏まえて解釈すべきである。

関連情報;青柳先生の中之条研究との比較
**以下、Copilotとの問答です**
Q:この研究結果と青柳博士の中之条町の調査結果とを比較検討してください。
A:もちろんです、瑛さん。以下に、Lancet Public Health誌の国際メタ解析と、青栁幸利博士による中之条研究の主要な知見を比較検討した表をまとめました:
🔍 歩数と健康アウトカムに関する比較
(上段)Lancetメタ解析 (下段) 中之条研究
対象者;
世界各国の成人(35コホート)
群馬県中之条町の高齢者(約5,000人)
研究期間;
2014〜2025年の文献レビュー
2000年〜継続中(20年以上)
方法;
デバイス測定歩数+健康アウトカムの前向き研究
活動量計+詳細な生活習慣・疾患調査
推奨歩数;
約7,000歩/日で健康効果が顕著
8,000歩/日+中強度歩行20分が最適
中強度歩行の扱い;
一部研究で考慮されるが明示的ではない
明確に「速歩き20分」が必要とされる
予防できる疾患;
全死因死亡率、心疾患、がん、認知症、うつ病、転倒など
認知症、糖尿病、うつ病、高血圧、骨粗鬆症、脳卒中、がんなど
歩数と疾患予防の関係;
非線形または線形の逆相関(例:7,000歩で死亡率47%低下)
明確なカットオフ値(例:8,000歩で糖尿病・高血圧予防)
年齢層の分析;
年齢別の詳細分析は限定的
高齢者中心に詳細な生活習慣分析あり
研究の強み;
多国籍・多疾患にわたる包括的メタ解析
長期・地域密着型で生活実態に即した知見

🧠 考察ポイント
• 共通点:どちらも「歩数の増加が健康に良い」という点で一致。ただし、量だけでなく質(速歩き)が重要という点では中之条研究がより具体的。
• 違い:Lancetの研究はグローバルな傾向を示す一方、中之条研究は日本の高齢者の生活実態に即した「実践的な指標」を提供。
• 実用性:中之条研究の「8,000歩+速歩き20分」は、自治体や健康保険組合でも活用されており、政策的応用が進んでいる。
どちらの研究も補完的で、国際的なエビデンスと地域密着型の知見を組み合わせることで、より効果的な健康戦略が立てられると言えます。
もし、疾患別の予防効果や年齢層ごとの違いなど、さらに深掘りしたい項目があれば教えてください。データの裏側まで一緒に探ってみましょう。

(注)青柳先生の最近の論文です。
論文名;健康長寿を実現するための至適な身体活動: 中之条研究
著者;青栁 幸利
掲載誌;日本腎臓リハビリテーション学会誌2025 年 4 巻 1 号 p. 15-21
DOI; https://doi.org/10.60371/jjrr.4.1_15
抄録;現下の中之条研究データによると,高齢者の健康全般と寿命・死亡率は,日常身体活動の量(1 日の歩数の年平均)と質(1 日の中強度[一般的に安静時代謝量の3 倍以上6 倍未満]活動時間 の年平均)の両方と関係がある。男性では,健康の度合いには1 日の中強度活動時間のほうが1 日の歩数よりも密接に関連するが,対照的に女性では,歩数のほうが中強度活動時間よりも関係 は緊密である。腎臓病の原因となる糖尿病,高血圧症,脂質異常症などの生活習慣病がないこと など,より良好な健康状態に関連する身体活動閾値(歩数・中強度活動時間)は,男性では8,000 歩・20 分/日,女性では7,000 歩・15 分/日である。生活習慣病全般を予防し,ひいては健康長 寿を実現するためには,1 日の合計で少なくとも15~20 分の適度な(時速約5 km 相当での)活 動と,少なくとも45~60 分の軽度な活動が有効である。

 

2-2)臓器の老化と健康リスク;プロテオミクス(プロテオーム解析)による最新情報
1)脳や免疫系が(実年齢より)若い人は長寿である。
**大阪大学の宮坂昌之先生の2025年7月17日のFB投稿です**
図 1: UKB における血漿タンパク質由来の臓器年齢の推定。
最近、プロテオミクスという方法で、血液中に出現するさまざまな臓器由来のタンパク質を網羅的に調べることにより、それぞれの臓器の年令を個別に知ることができようになってきました。一方で、果たしてそれが病気になりやすさや将来の死亡率にどのぐらい影響するのかについてはよくわかっていませんでした。
今回、アメリカの研究グループが、英国バイオバンクに寄託された44,498人の血液検体から得られた血漿プロテオミクスデータ(2,916種類のタンパク質について調査)を用いて、11の臓器の生物学的年齢を推定しています。Nature Medicineに掲載された論文です。
それぞれの臓器の推定年齢は、生活習慣因子や薬剤の影響を強く受けていて、心不全、慢性閉塞性肺疾患、2型糖尿病、アルツハイマー病など、様々な疾患の将来の発症(17年間の追跡期間内)と関連していました。
特に興味深いのは、まず、脳の年令が特に高い人では、アルツハイマー病の最も強い遺伝的危険因子であるAPOE4遺伝子の特定のアレル(対立遺伝子)を1つ持つ場合と同等の高いアルツハイマー病リスクがあった、ということです(ハザード比(HR)=3.1;すなわち、APOE4の特定のアレルを持たない人に比べて3.1倍リスクが高い)。これに対して、脳の年令が特に若い人では、APOE遺伝子型に関わらず、APOE2のコピーを2つ持つ場合と同等の保護効果を示していました(HR=0.26;リスクが0.26倍と低くなっていた)。また、これは予想どおりですが、老化した臓器の数が増えるほど、死亡リスクが高くなっていました(老化臓器2~4個の場合、HR=2.3、老化臓器5~7個の場合、HR=4.5、老化臓器が8個以上の場合、HR=8.3)。
一方、若い脳と免疫系は明らかに長寿と関連していました(若い脳を持つ人の死亡リスク;HR=0.60、若い免疫系を持つ人の死亡リスク;HR=0.58、両方とも若い人の死亡リスク、HR=0.44)。以上まとめると、脳と免疫系を早く老化させないことが大事であり、脳と免疫系を若く保つことが長寿につながる、ということになります。
さあ、ではどうやったら脳と免疫系を若く保つことができるのでしょうか?私がかねてから「信州上田みらい塾」で受講生の方々に言っているのは、食生活に気を付けて体重を一定範囲内に維持すること、高血糖、高血圧、高脂血症などがあったら早いうちに対処すること、もう一つは定期的にそしてこまめに運動をすることです。以上のことは発作的に試みても効果は少なく、毎日毎日の積み重ねが大事です。

**大阪大学の宮坂昌之先生の2025年7月28日のFB投稿です**
約10日前のことですが、フェイスブックに「脳や免疫系が若い人は長寿である」という論文を紹介しました(https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid035jighbNuWPKzKbq6zcG7D59SLqoyQBmRCK8bUEmZQCfFEFikKeRjhugPhA4k3BwKl)。
この論文に対して世界中から大きな反響があったためだと思いますが、この論文の著者たちが、改めてこの論文のまとめを同じNature Medicineに書いています。その骨子を説明しましょう。
彼らは、まず、イギリスのバイオバンクに寄託されている数万人の血液サンプルを調べました。特に、血液中の多数のタンパク質を調べる方法であるプロテオミクスを用いて、実際のからだの年令がわかっている人たちについて、各臓器由来のタンパク質(数千個)を詳細に調べ、それぞれの臓器の年令を割り出しました。そして、実際年齢よりも各臓器の年令が著しく高い人たち(=老化が非常に進んでいる人たち)と各臓器年齢が著しく若い人たち(=老化の程度がきわめて軽い人たち)に分けて、時間経過を追って彼らの死亡リスクを割り出しました(最大観察期間は17年)。
結果は、1枚目の図に示すように、
1. 脳の老化が進んだ人は将来の死亡リスクが高く、アルツハイマー病を発症するリスクも3倍ぐらい高いこと。
2. いくつもの臓器で老化が進んでいる人は将来の死亡リスクが高いこと。
3. 脳や免疫系が若い人は死亡リスクが低いこと(脳が若い人はアルツハイマー病になるリスクが約75%低い)こと。
4. いくつもの臓器が若い人は死亡リスクが低めにはなるが、若い臓器数が増えても死亡リスクは必ずしも低くならないこと(理由は不明だが、若さの過信はかえっていけないということか?)
さらに、2枚目の図では、将来の生存リスクが一番高いのは、脳あるいは免疫系が若い人、二番目が普通に老化している人、三番目以降は老化臓器の数が多い人、という順番となっています。
以上、前に紹介したように、脳と免疫系の若さを保つことが大事です。そのためには、飲み過ぎ、食べすぎを避け、よく運動し、生活リズムを大事にして、よく休み、そして、よく寝ることが肝要です。

関連情報
(1)原論文
Article、Open access、Published: 09 July 2025
Plasma proteomics links brain and immune system aging with healthspan and longevity
Hamilton Se-Hwee Oh, Yann Le Guen, Nimrod Rappoport, Deniz Yagmur Urey, Amelia Farinas, Jarod Rutledge, Divya Channappa, Anthony D. Wagner, Elizabeth Mormino, Anne Brunet, Michael D. Greicius & Tony Wyss-Coray
記事、オープンアクセス、公開日:2025年7月9日
血漿プロテオミクスは脳と免疫系の老化と健康寿命および長寿を関連付けている
ハミルトン・セフイ・オヤン・ル・グエンニムロッド・ラポポートデニス・ヤグムール・ユーリーアメリア・ファリナスジャロッド・ラトレッジディヴィヤ・チャンナッパアンソニー・D・ワグナーエリザベス・モルミノアンヌ・ブルネット、マイケル・D・グレイシアス&トニー・ウィス・コレイ
(2)論文の要約
特定の臓器由来の血漿タンパク質は臓器年齢と死亡率を推定できるが、環境因子に対する感度や、臓器疾患および死亡率の発症予測における堅牢性については依然として不明である。このギャップを埋めるため、英国バイオバンクの44,498人から得られた血漿プロテオミクスデータ(2,916種類のタンパク質)を用いて、11の臓器の生物学的年齢を推定した。臓器年齢の推定値は、生活習慣因子や薬剤投与に敏感であり、心不全、慢性閉塞性肺疾患、2型糖尿病、アルツハイマー病など、様々な疾患の将来の発症(17年間の追跡期間内)と関連していた。注目すべきことに、特に老化した脳は、散発性アルツハイマー病の最も強い遺伝的危険因子であるAPOE4のコピーを 1 つ持つ場合と同等のアルツハイマー病のリスク (ハザード比 (HR) = 3.1) を及ぼしたのに対し、若い脳 (HR = 0.26) は、APOE遺伝子型とは無関係に、APOE2のコピーを 2 つ持つ場合と同等の保護を提供した。老化臓器の蓄積は次第に死亡リスクを増加させた (2~4 個の老化臓器、HR = 2.3、5~7 個の老化臓器、HR = 4.5、8 個以上の老化臓器、HR = 8.3)。一方、若い脳と免疫系は長寿と独自に関連していた (若い脳、死亡リスクの HR = 0.60、若い免疫系の HR = 0.58、両方が若い、HR = 0.44)。総合的に、これらの研究結果は、臓器の健康状態をモニタリングするために血漿タンパク質を使用することを支持するものであり、脳と免疫系が長寿介入の重要なターゲットであることを示しています。
(3)「血漿プロテオミクスデータ(2,916種類のタンパク質)を用いた、11の臓器の生物学的年齢の推定」について、Copilotに訊いてみた。
**以下、その解答です**
🧠 血漿タンパク質から臓器の生物学的年齢を推定する機械学習モデルの仕組み
この研究では、血漿中のタンパク質の発現パターンを使って、脳や免疫系など11の臓器の「生物学的年齢」を推定するために、機械学習モデルが用いられました。以下にその解析方法をわかりやすく説明します:
🧪 ステップ①:臓器特異的タンパク質の選定
• まず、Gene Tissue Expression Atlas(GTEx)などのデータベースを使って、各臓器に特異的に発現するタンパク質(organ-enriched proteins)を特定。
• 例えば、脳で特異的に発現するタンパク質は、他の臓器よりも4倍以上高い発現を示すものとして選定。
🤖 ステップ②:機械学習モデルの構築
• 各臓器ごとに、選定されたタンパク質を入力とし、年齢予測モデルを構築。
• 使用された手法は、10×10のネストされたクロスバリデーション(モデルの汎化性能を高めるための手法)。
• モデルには、性別などの共変量も含めて調整。
📊 ステップ③:生物学的年齢の推定
• モデルは、ある人の血漿タンパク質のプロファイルをもとに、各臓器の「予測年齢」を算出。
• その人の実年齢との差(Age Gap)を計算し、臓器が「若い」か「老化している」かを評価。
🧬 ステップ④:臨床的関連性の検証
• 推定された臓器年齢と、疾患リスク(心不全、糖尿病、アルツハイマー病など)や死亡率との関連を統計解析。
• 特に、脳と免疫系の若さが健康寿命や長寿と強く関連していることが判明。
💡 まとめ
この解析は、以下のような特徴を持ちます:
• 臓器ごとの老化速度を個別に評価できる。
• 非侵襲的(血液のみ)で、広範な健康状態をモニタリング可能。
• 予防医療や個別化医療への応用が期待される。
さらに詳しい技術的な図やモデル構造が見たい場合は、Nature Medicineの論文本文をご覧いただくと、図1や補足資料に詳細が記載されています。

2)50歳前後で老化の変曲点が見られ、血管は早期に老化が起こる。
**大阪大学の宮坂昌之先生の2025年7月28日のFB投稿です**
先に血液中に出現するさまざまな組織由来の蛋白質のプロテオーム解析によって、それぞれの臓器の年齢が推定できるということを2回にわたって紹介しましたが、中国の研究グループはさまざまな年齢(14-68歳)の人から種々の臓器サンプルを得て、プロテオーム解析を行い、ひとによってそれぞれの臓器の老化のスピードが実際に違うことを示しています。最近の専門誌Cellに出た論文です。
それによると、ひとでは一般に50歳前後で老化の変曲点が見られ、特に血管の老化が年齢とともに早く進行し、血管が老化の影響をもっとも受けやすい組織であることが分かりました。また、老化に伴って血液中に新たに出現する蛋白質を網羅的に調べたところ、血管や全身の老化を促進するいくつかの候補蛋白質が見つかってきました。
そうなると、このような「老化促進蛋白質」というものがどのようにして出来てくるのか、そしてどのようにして老化を促進するのか、さらには、これらの蛋白質の機能を人為的に制御できないだろうか、など、知りたいことが次々と出てきます。そのようなことを順番に明らかにしていくことによって、老化の人工的制御に必要なことが次第に分かってくる可能性があります。
最近はいわゆるアンチエイジング研究が大はやりですが、実際に論文を読んでみると、怪しげなものが多いのが実情です。一方で、老化に関する基礎的な研究は非常に大事であり、そのような研究がやがては老化のメカニズムの解明や老化の人工的制御につながる大事な情報を提供していくのかもしれません。期待しましょう。

関連情報
(1)論文
ArticleOnline nowJuly 25, 2025
Comprehensive human proteome profiles across a 50-year lifespan reveal aging trajectories and signatures
Yingjie Ding1,6,15 ∙ Yuesheng Zuo1,6,15 ∙ Bin Zhang2,6,15 ∙ … ∙ Jing Qu2,3,6,9,13,14 qujing@ioz.ac.cn ∙ Weiqi Zhang1,3,6,13,14 zhangwq@big.ac.cn ∙ Guang-Hui Liu2,3,6,10,13,14,17 ghliu@ioz.ac.cn … Show more
記事は2025年7月25日にオンライン公開されました
50年間の人生にわたる包括的なヒトプロテオームプロファイルは老化の軌跡と特徴を明らかにする
丁英傑1、 6、 15∙岳生 左1、 6、 15∙張斌 2、 6、 15∙ … ∙景 区2、 3、 6、 9、 13、 14 qujing@ioz.ac.cn∙張偉奇 1 , 3 , 6 , 13 , 14 zhangwq@big.ac.cn∙劉光輝 2 , 3 , 6 , 10 , 13 , 14 , 17 ghliu@ioz.ac.cn…もっと見る
(2)論文要旨
タンパク質は生命の礎です。しかし、ヒト組織全体における老化のプロテオーム的青写真は未解明のままです。本稿では、50年にわたる13のヒト組織から516のサンプルを解析した包括的なプロテオーム解析および組織学的解析を紹介します。この動的なアトラスは、アミロイド蓄積を特徴とする、広範なトランスクリプトーム-プロテオーム分離とタンパク質恒常性の低下を明らかにしています。老化に伴うタンパク質の変化に基づき、組織特異的なプロテオーム年齢時計を開発し、臓器レベルの老化の軌跡を特徴づけました。経時的な解析により、50歳前後で老化の変曲点が見られ、血管は早期に老化が起こり、老化の影響を著しく受けやすい組織であることが明らかになりました。さらに、組織の起源に一致する血漿プロテオームにおける老化のシグネチャーを定義し、血管および全身の老化を促進する候補となるGAS6などの老化タンパク質を同定しました。これらの知見を合わせると、タンパク質というレンズを通してヒトの老化をシステムレベルで理解するための基礎が築かれます。
(3)血管の老化予防対策については、2025年8月2日の日本経済新聞に「血管の若さ保つには 酸化・糖化を食い止めて」が掲載されています(オンライン記事は8月1日)。

2-3)岐阜大学医学部下畑先生からの最新医学情報(2025年8月)
・「非定型パーキンソニズム」という用語は使われなくなる!?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月2日のFB投稿です**
「非定型パーキンソニズム(atypical Parkinsonism)」という用語は,私たち脳神経内科医にとってお馴染みのもので,私も2019年に「非定型パーキンソニズム―基礎と臨床―(https://amzn.to/4lsqkjf)」という専門書を編集したことがあります.Parkinsonism Relat Disord誌に,この用語の見直しを強く提案する小論文が掲載されています.
著者らはまず,「パーキンソニズム」という言葉そのものが疾患名ではなく,動作緩慢や筋強剛,振戦といった臨床的な症候群を指す用語であることを強調しています.つまり,これは表現型(phenotype)であって病名(disease entity)ではないということです.にもかかわらず,私たちはこの用語を病名のように使っていることを問題視しています.さらに英語のatypical(非定型)という言葉には,「変わっている」「厄介だ」「治療が難しい」といったニュアンスが含まれているそうで,患者さんや家族に不安や絶望を与えかねないということもあるようです.日本語の「非定型」も若干,その傾向があるかもしれません.
このような背景を踏まえて,著者らは図のような新しい分類を提案しています.まずParkinsonismという用語は,あくまで症候群として使用し,複数形の“Parkinsonisms”や病名的な使い方は避けるべきだとしています.その代わりParkinsonian disordersという病名を使います.その上で,疾患分類としては以下の3群に整理しています.
①Primary Parkinsonian disorders:神経変性疾患で,パーキンソニズムを主要症候とする疾患(例:PD,MSA,PSPなど).
②Secondary Parkinsonian disorders:原因が明確な非神経変性疾患で,パーキンソニズムを呈するもの(例:脳血管性・薬剤性パーキンソニズム,iNPHなど).
さらに①はParkinson’s diseaseとそれ以外のParkinson-like disordersに分けられます.
つまり最も重要な提案が,atypical Parkinsonismという用語をParkinson-like disordersに置き換えることになります.「-like」という表現は,「ハンチントン病様(Huntington-like)」「ポリオ様(polio-like)」など神経学で使われてきた前例があります.またatypicalよりも中立的で,予後や治療可能性に関する先入観を与えない点が大きな利点とされています.
この提案の目的は患者さんとのコミュニケーションを改善し,診療や研究の効率を高めることだと思います.たしかにそういう視点は大切だと思いました.若干の問題は,Parkinson-like disordersをどう日本語訳するかです.直訳すると,「パーキンソン病様疾患(障害)」でしょうか.もしくは従来本邦で使われてきた「パーキンソン病類縁疾患」でも良いかもしれません.日本でも病名をこれに倣うかは分かりませんが,Golbe先生のような影響力の大きな先生の提案なので,少なくとも海外の論文ではParkinsonian disordersとかParkinson-like disordersが今後頻出することを知っておく必要があると思います.
Siddiqui JH, Golbe LI. Time to retire the term “atypical Parkinsonism”. Parkinsonism Relat Disord. 2025;137:107927.(doi.org/10.1016/j.parkreldis.2025.107927)

・APOE ε4はアルツハイマー病だけでなく多くの神経変性疾患と関連する
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月4日のFB投稿です**
APOE ε4は,アルツハイマー病の最大の遺伝的リスク因子として知られています.しかしNature Medicine誌に掲載された米国・カナダからの研究は,この遺伝子がアルツハイマー病にとどまらず,前頭側頭型認知症,パーキンソン病,パーキンソン病認知症,筋萎縮性側索硬化症といった他の神経変性疾患にも共通する「炎症的な体内環境」をもたらすことを明らかにしました.
研究では1万件以上の血漿および脳脊髄液サンプルのプロテオーム解析を実施し,SomaScanという高精度なタンパク質測定法と機械学習を用いて,APOE ε4キャリアに共通する分子署名(共通のタンパク質の増減パターン)を同定しました.図1では,APOE ε4の有無によって脳脊髄液中の229種類のタンパク質の発現パターンが明確に異なることが示されています.赤は発現上昇,青は低下を示しており,疾患の種類にかかわらず,ε4キャリアというだけでこのようなタンパク発現の偏りが起こることが分かります.この分子署名は血液でも再現されており,図2の血漿中でも同様に58種類のタンパク質がAPOE ε4の有無によって有意に変動していました.つまりAPOE ε4は,脳内だけでなく「全身にわたって慢性的な炎症状態を生み出している」可能性があります.
さらに死後脳サンプルを用いた質量分析でも同様の結果が得られました.図3では,ウイルス応答,アポトーシスの抑制,タンパク質フォールディングといった生物学的プロセスが,脳脊髄液・血漿・脳のすべてで共通して活性化していることを示しています.加えて EBウイルス感染,B型肝炎,病原性大腸菌感染,そしてNF-κBやIL-17,TNFといった炎症性経路が,すべての検体においてAPOE ε4キャリアで活性化していることが明らかにされています.つまり APOE ε4による炎症性分子署名は,神経変性疾患の発症前から存在し,疾患の種類を問わず共通して観察されることが分かります.そしてこの慢性的な炎症環境は,免疫細胞の動員とも関係していると考えられます.重要なのは,こうした変化が認知症やパーキンソン病を発症していない健常なAPOE ε4キャリアにもすでに存在している点であり,これはAPOE ε4が単なる疾患リスク遺伝子ではなく,神経変性疾患が成立しやすい「炎症的脆弱性」をもたらす免疫調節因子であることを示しています.
結論として,APOE ε4はアルツハイマー病だけに特異的な遺伝子ではなく,全身性かつ疾患非依存的な炎症状態をもたらす「免疫的背景因子」であると捉える必要があるようです.
Shvetcov A, et al. APOE ε4 carriers share immune-related proteomic changes across neurodegenerative diseases. Nature Medicine, 2025. https://doi.org/10.1038/s41591-025-03835-z

・髄膜は単なる保護膜ではなく,脳梗塞後の神経炎症の司令塔として機能する!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月5日のFB投稿です**
私は留学中より脳梗塞の基礎研究を行っていましたが,この領域からCell誌に論文が掲載されることはなかなかありませんでした.今回,米国ジョンズ・ホプキンス大学からそのCell誌に論文が掲載されましたが,たしかに従来全く考えもしなかった驚きの内容でした.まず著者らは脳卒中後に生じる過剰な免疫反応において,硬膜に存在する肥満細胞が重要な役割を果たしているという仮説を立てました.特に,この肥満細胞の活性化を誘導する受容体Mrgprb2(ヒトではMRGPRX2)が,免疫細胞の脳内への移行を制御する「ゲートキーパー」として機能している可能性に着目しました.この仮説は,髄膜が中枢神経系の免疫監視の最前線に位置し,そこに存在する肥満細胞が,神経由来のストレス信号(たとえば神経ペプチドsubstance P)をMrgprb2で感知して脱顆粒し,免疫応答(神経炎症)を開始するというアイデアに基づいています.
実験では,マウスの一過性中大脳動脈閉塞モデル(tMCAO)を用いて,Mrgprb2を欠損したマウス(Mrgprb2−/−)を評価しました.その結果,Mrgprb2欠損マウスでは,脳梗塞体積が顕著に減少し,神経学的スコアや運動機能も改善していました.また30日後の生存率も向上していました.つまり,この保護効果がMrgprb2の発現の有無に依存していることが示されました(図1).
つぎにそのメカニズムを検討しました.Mrgprb2を欠損したマウスでは,野生型(WT)マウスと比べて,梗塞側硬膜における肥満細胞の脱顆粒が顕著に抑制されており,その結果,炎症性サイトカイン(CCL2,CXCL2,TNF-α,IL-1βなど)の発現も減少し,好中球や単球の脳内浸潤も抑えられていました.特に注目されるのは,頭蓋骨骨髄からの好中球が,硬膜を経由して脳実質に移動する新たな経路が存在することを明らかにした点です.この経路では,化学反発因子セマフォリン3a(Sema3a)が通常,免疫細胞の脳内移動を阻止するバリアとして働いていますが,Mrgprb2を介した肥満細胞プロテアーゼの作用によってSema3aが分解され,バリア機能が解除されることで,好中球の脳内移動が促進されていました.この経路は,Sema3a阻害薬(Sema3a-I)を用いることで再現され,Mrgprb2欠損マウスでも脳炎症が誘導されることが確認されました
さらに,ヒトでも同様のメカニズムが存在することが分かりました.ヒトの硬膜にもMRGPRX2陽性の肥満細胞が存在し,脳卒中患者の硬膜では,健常者と比較して肥満細胞の脱顆粒が有意に亢進していました.この活性化にはsubstance Pが関与しており,これがMrgprb2/MRGPRX2のリガンドとして機能し,肥満細胞の活性化を誘導することが明らかとなりました.
こうしたメカニズムが治療標的になりうるかを検討するため,研究チームはMrgprb2を阻害する天然化合物Ostholeを用いた治療実験も行いました.Ostholeを投与したマウスでは,神経炎症が抑制され,梗塞体積の縮小と神経機能と生存率の改善が認められました(図2).この効果はMrgprb2を有するマウスに限られ,Mrgprb2欠損マウスには無効だったことから,Ostholeの作用はMrgprb2依存的であることが示されました.
この研究は,脳卒中後の神経炎症が「神経→硬膜肥満細胞→骨髄免疫細胞→脳実質」という新たな経路によって生じてるという,全く新しい視点を提示しました.そしてこの経路の起点にあるMrgprb2/MRGPRX2を標的とすることで,脳卒中後の神経炎症による障害を抑制する新たな治療戦略が開かれる可能性があります.血液脳関門の外に存在する硬膜肥満細胞を標的とすることで,薬物送達のハードルも低く,今後の臨床応用が期待されます.
なお図3は,この研究のサマリーですが,脳卒中により活性化された神経細胞からsubstance Pが放出され,それを感知した硬膜肥満細胞がMrgprb2を介して脱顆粒し,炎症性メディエーターを放出する様子が描かれています.その結果,好中球が頭蓋骨骨髄から硬膜へ移動し,さらにSema3aの阻害によって脳実質内へと侵入するという一連の流れが示されています.髄膜が単なる保護膜ではなく,神経炎症の司令塔として機能していることを象徴的に表現しています.
Kothari R, et al. A mast cell receptor mediates post-stroke brain inflammation via a dural-brain axis. Cell. 2025;188(17):1–17. https://doi.org/10.1016/j.cell.2025.06.045

・自己免疫性タウオパチーとしてのIgLON5抗体関連疾患:脳幹優位の萎縮パターンとその意義
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月7日のFB投稿です**
希少疾患であるため12か国が結集して取り組んだ国際共同研究で,日本からは私ども岐阜大学が参加し,Brain誌に掲載された論文です.IgLON5抗体関連疾患は,自己免疫性脳炎の一種であり,睡眠障害,運動異常症,球麻痺,認知機能障害などを呈する多彩な臨床像を特徴としています.免疫療法がある程度有効で,進行性核上性麻痺(PSP)や多系統萎縮症(MSA)などと類似する表現型をとることがあるため,神経内科専門医が知っておくべき重要な疾患です.また,病理学的には脳幹優位のタウ蓄積を伴う点で,自己免疫と神経変性の両側面を併せ持つユニークな疾患であり,自己免疫性タウオパチーと呼ばれることもあります.
本論文では127名の患者を対象に,頭部MRIと臨床情報を組み合わせて解析が行われました.その結果,本疾患では視床下部,脳幹,側坐核,基底核(被殻・尾状核・淡蒼球),海馬,視床といった特定の部位に限局した脳萎縮が認められました.なかでも脳幹は萎縮の中心であり,疾患の進行とともに「延髄→橋→中脳」の順で萎縮が進行する,すなわち尾側から頭側への萎縮勾配が確認されました.これは剖検例におけるタウ蓄積の分布と一致しており,MRI画像上でも病態の空間的進行が可視化された点が注目されます.
また,運動障害を呈する患者では基底核の萎縮が顕著であり,認知機能障害を呈する患者では視床や海馬の萎縮が強いという,臨床症状と脳萎縮パターンの一致も確認されました.このことは,将来的に頭部MRIによる局所萎縮の評価が,症状の予測や治療反応性の指標となる可能性を示唆しています.
患者群と対照群の脳体積を比較した解析では,視床下部で平均26.8%,側坐核で13.4%,脳幹全体で12.1%の体積減少が認められました.さらに延髄単独では20.9%という著明な萎縮が確認されており,この部位が最も病理学的に侵されやすいことが明らかとなりました.一方,全脳体積には有意な減少は見られず,あくまで局所的な萎縮である点が本疾患の特徴です.また,免疫療法が脳萎縮に与える影響についても検討されましたが,症例数の制限などから明確な結論には至りませんでした.
まとめの図が示しているように,IgLON5タンパクの発現部位,自己抗体の沈着部位,そしてタウ病理の分布が,驚くほど高い一致性をもって重なっている点が印象的です.IgLON5は延髄,橋,中脳などの脳幹部をはじめ,視床下部,視床,側坐核や基底核に豊富に発現しており,それと同じ部位に自己抗体の沈着が集中していることが剖検研究で示されています.さらに,タウの沈着もこれらの部位に重なっており,抗体の標的,神経変性の進行,タウの蓄積という3つの層が,空間的に一致していることが確認されました.
以上から,本疾患は「抗体出現 → IgLON5機能障害 → 神経機能障害・変性 → タウのリン酸化と蓄積 → タウによる二次的神経変性の進行」という一連の病態プロセスを来す疾患であることが裏づけられました.これは他の自己免疫性脳炎とは一線を画する特徴であり,免疫学的プロセスがタウのリン酸化という神経変性の引き金となりうることを示す,きわめて興味深い知見だと思います.
Yogeshwar SM, et al. Brain atrophy patterns in anti-IgLON5 disease. Brain. 2025. https://doi.org/10.1093/brain/awaf256

・CAR T細胞療法の神経毒性:病型と遅発性パーキンソニズムの機序を理解する必要がある
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月9日のFB投稿です**
日本神経免疫学会学術集会(村井弘之会長@千葉)に参加し,キメラ抗原受容体T細胞療法(Chimeric Antigen Receptor T cell therapy:CAR T細胞療法)の教育セミナーを拝聴しました.とくに大学病院では今後,その有害事象を診療する機会が増えるだろうと思います.CAR T細胞療法は,B細胞悪性腫瘍を中心に画期的な治療効果を示し,中枢神経腫瘍(膠芽腫など)や自己免疫疾患(SLE,強皮症,筋炎,血管炎,MG,NMOSD,MSなど)にも応用が拡大しています.しかし,この強力な免疫反応はしばしば全身性および神経系の有害事象を引き起こします.講演に刺激を受けたので,Nature Reviews Neurology誌8月号の総説を読んでみました.
【有害事象の時間経過】
以下に述べるCRS → TIAN → ICANS → MNTsという時間経過で出現することが多く,その発症タイミングと病態を把握することは早期発見・迅速対応に不可欠です.
①サイトカイン放出症候群(Cytokine Release Syndrome:CRS)
CAR T細胞投与後,最も早期に出現する.CRSは通常,投与後数日以内に発熱,低血圧,頻脈,呼吸不全,臓器障害などの全身性炎症症状として発症する.重症例では集中管理が必要となり,多くの場合その後に神経毒性が続発する.これは主にIL6により生じる.
②腫瘍炎症関連神経毒性(Tumor Inflammation-Associated Neurotoxicity:TIAN)
CRSとほぼ同時期か,やや後に出現する.これは中枢神経腫瘍に対するCAR T治療に特有で,腫瘍局所の炎症性浮腫によるmass effect(脳ヘルニア,水頭症)や局所神経機能障害がみられる.
③免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(Immune Effector Cell-Associated Neurotoxicity Syndrome:ICANS)
投与後おおむね10日以内に発症する.ICANSでは注意力低下,見当識障害,行動変化,発語障害から,重症例では意識障害や脳浮腫まで幅広い症状が出現する.血液脳関門の障害と全身性サイトカイン反応(IL1,GM-CSF)が主な病態と考えられている.治療はデキサメサゾンなどステロイドになる.
④運動・認知機能の治療関連有害事象(Movement and Neurocognitive Treatment-Emergent Adverse Events:MNTs)
最も遅れて投与後1〜2か月の時期に出現する.特にB細胞成熟抗原(B Cell Maturation Antigen:BCMA)標的CAR T細胞療法後にみられる遅発性パーキンソニズムが代表的であり,この時期の副作用は不可逆的となる可能性が高い.
【遅発性パーキンソニズムの特徴】
遅発性パーキンソニズムは,多発性骨髄腫に対するBCMA標的CAR T細胞療法の後に報告例が増加しています.発症は典型的にCAR T細胞投与後1〜2か月で,急性期のICANSが落ち着いた後に新たに出現するため,診療現場では見落とされやすい点が注意を要するそうです.症状は,動作緩慢,四肢の筋固縮,姿勢保持障害による転倒,静止時振戦といった典型的パーキンソニズムが主体であり,さらに注意力低下,思考の遅延といった認知機能低下を伴うことも少なくありません.
画像所見としては,頭部MRIで尾状核,被殻,淡蒼球といった線条体領域にT2-FLAIR高信号が認められます.さらにFDG-PETでは,これら基底核領域の低代謝を認めます.これらの所見は,BCMAが成人脳の線条体で発現しており,腫瘍細胞のみならず正常ニューロンやグリア細胞もCAR T細胞の標的となってしまう,いわゆる「on-target, off-tumor effect」によって障害される可能性を示唆します.症状が数週間から数か月の潜伏期間を経て出現する理由としては,免疫反応による初期の軽度障害が徐々に蓄積し,神経ネットワークの代償機構が限界を迎えた時点で臨床症状が顕在化する,あるいは持続的な免疫活性や慢性炎症によって遅発性の神経変性が進行する可能性が考えられます.
治療としては,ドパミン補充療法がまず行われますが,既報では明確な有効性は限定的です.免疫療法として,高用量ステロイド,IL-1受容体拮抗薬(アナキンラ),髄腔内メトトレキサート,シクロフォスファミドなどが報告されており,高用量シクロフォスファミドで循環CAR T細胞を減少させ,症状が可逆性に改善した症例も存在します.しかし,多くの患者では症状が持続・進行し,改善例はごく一部にとどまります.遅発性パーキンソニズムは急性期毒性とは異なり不可逆的である可能性が高く,早期の診断と介入が極めて重要です.今後はリスク予測モデルの確立が,予防と治療の鍵になると考えられます.
Karschnia P, Dietrich J. Neurological complications of CAR T cell therapy for cancers. Nat Rev Neurol. 2025;21:422-431. doi.org/10.1038/s41582-025-01112-8

関連情報
CAR T細胞療法に係る最新情報は、前号ニュース(2025年7月のニュース)に掲載しています。

・コンタクト・スポーツによる反復的な頭部衝撃はアストロサイトのタウ沈着をもたらす ―棘状アストロサイトという新しいキーワード―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月11日のFB投稿です**
「頭部外傷」の予防は,認知症の14の予防因子の一つです.外傷性脳損傷や,ラグビーやサッカーなどのコンタクト・スポーツによる反復的な頭部衝撃が,慢性外傷性脳症(CTE)やアルツハイマー病のリスクを高めるという数多くの報告があります.今回,Brain誌にこの原因として「アストロサイトにおけるタウ病理」,具体的には棘状アストロサイト(thorn-shaped astrocytes;TSA)に焦点を当てた大規模病理研究が報告されました.聞き慣れない用語ですが,これは高齢者の脳にも見られる加齢関連タウアストログリオパチー(aging-related tau astrogliopathy;ARTAG)で認める構造物です.アストロサイトにリン酸化タウが沈着し,細胞突起が棘(とげ)のように見える特徴的な形態をとります.もともと加齢に伴って出現することが知られていましたが,CTEの病変部や外傷後脳にも認められることが知られていました.著者らはTSAを詳細に評価することで,「加齢や他の神経変性疾患に伴うTSA」と「外傷やスポーツ歴に関連するTSA」を区別できるか,またその分布や特徴が異なるかを明らかにしようとしました.
対象はなんと556人の剖検脳で,外傷性脳損傷歴あり群(中等度~重度;TBI),コンタクト・スポーツ歴あり群(Sports),神経変性疾患対照群(NDD),および非神経変性対照群(Control)の4群を比較しました.リン酸化タウを検出するPHF-1抗体を用いて,脳内複数部位におけるTSAの出現頻度を評価しました.
さて結果ですが,TSAはコンタクト・スポーツ歴群で75.6%,外傷性脳損傷群で32.5%に認められ,これは神経変性疾患対照群(32.5%)や非神経変性群(8.1%)と比較して有意に高い頻度でした.とくにコンタクト・スポーツ群では,皮質溝の深部(sulcal depths)にあるsubpial TSAの出現率が42.2%と極めて高く,他群ではきわめて稀でした.図Aでは,このsubpial TSAの頻度がコンタクト・スポーツ群で有意に高いことが示されています.また図BとCは,前頭葉皮質溝の底部において,CTEの神経病理学的所見がなくても,subpial TSAが単独で存在している様子を示しており,TSAがCTEとは独立に生じる可能性を示唆しています.
本研究の意義は,TSAという病理学的所見が,加齢に伴う変化とされてきた従来の理解を超えて,外傷性脳損傷や反復的な頭部衝撃によって誘導される可能性を明確に示した点にあります.これは,グリア細胞のタウ病理が,単なる老化の産物ではなく,外傷性イベントの病的なマーカーとなることを意味します.また,従来のCTE診断基準には含まれないTSAの広範な分布や局在パターンが,独自の外傷関連病態を構成している可能性も示されています.ちなみに本研究ではアミロイドβ(Aβ)についての評価は行われておらず,TSAとの関係や,Aβ沈着との連関については今後の課題とされています.
まとめると,この研究は外傷が神経細胞ではなくアストロサイトにおけるタウ病理を誘導するという新たな知見を提示し,タウ病理の原因に外傷が加えられたということになります.今後,TSAの臨床的意義がさらに議論され,外傷に伴う認知機能障害に,タウがバイオマーカーとして応用されるものと思われます.
Arena JD, et al. Traumatic brain injury or head impacts from contact sports are associated with tau astrogliopathy. Brain. 2025;148(8):2671–2683. https://doi.org/10.1093/brain/awaf073

・医療AIで医師に「デスキリング(deskilling)」が起きる!:AIツール導入後わずか数か月で熟練内視鏡医の技能が低下する
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月16日のFB投稿です**
近年,AIを用いた医療用ツールはさまざまな分野に導入されています.先駆的な例として大腸内視鏡検査があり,AI支援によって腺腫検出率(adenoma detection rate:ADR)が向上することが多くのランダム化比較試験で示されています.一方,AIの使用が医師自身の技能にどのような影響を及ぼすのかは不明でした.消化器領域の報告ですが,今後,他の領域にも同様のことが生じる可能性があるためご紹介したいと思います.
ポーランドの4つの大腸内視鏡センターで行われた観察研究です.調査期間は2021年9月から2022年3月までで,2021年末にAI支援システムが導入されました.AI導入後は,大腸内視鏡検査をAI支援ありとAI支援なしのいずれかでランダムに実施しました.対象は熟練内視鏡医19名が行った検査です.AI支援なしで行われた検査は1443件であり,うちAI導入前が795件,AI導入後が648件でした.またAI支援ありで行われた検査は734件でした.主要評価項目は腺腫検出率(adenoma detection rate, ADR)で,AI導入前後におけるAI支援なしのADRを比較しました.
さて結果ですが,なんとADR は「AI導入前の28.4%から導入後は22.4%へ」と有意に低下しました(絶対差–6.0%,p=0.0089)(図1).相対的に約20%も低下してしまいました.図2は,各内視鏡医ごとのADRの変化量を示していますが,わずかに改善した医師もいますが,大多数で低下が見られ,なかには20〜30%以上の大幅な減少例も存在します(図2).一方,AI支援下で実施された734件の腺腫検出率は25.3%でした.
本研究は,AI支援の常用化が,熟練内視鏡医のAI非支援下での腺腫検出能力を低下させる可能性を初めて示したものです.著者らはこの現象を「デスキリング(deskilling)」と呼んでいます.この用語は,もともとは技術革新や業務の自動化により,労働者が持っていた熟練技能(スキル)が失われる現象を指します.医療では,AIの導入により,医療者が従来自ら行っていた判断や操作を機械に依存することで,「技能」が衰えることを意味します.ナビに頼りすぎて地図が読めなくなる「Googleマップ効果」に似ています.
脳神経内科領域では,今後,MRI読影,脳波解析,神経診察動画解析などにAI導入が進むと予想されます.検査だけでなく,脳神経内科特有の問診・診察から病変部位を考え,文献を確認しながら鑑別診断から診断にたどり着き,最適な治療を選択するというプロセスの一部もAIが肩代わりする可能性があります.それに慣れてしまうと異常所見を自ら見抜く力や,個々の所見を総合して診断を組み立てる能力が弱まるリスクがあります.恐ろしいのは,文献を批判的に読めなくなり,AIの出した答えが正しいのか誤っているのかも判断がつかないということが起きるように思います.とくに基本的な能力がまだ身についていない若い先生がたへの影響が懸念されます.意識してAIを使用せずに症例を評価するトレーニングや,技能維持を目的とした教育プログラムの整備が必要になるのかもしれません.いずれにせよ,AIが一部の医療技術を向上させる一方で,「デスキリング」によって基本的技能が静かに侵食される危険性を認識する必要があると思いました.
Budzyn K, et al. Continuous exposure to artificial intelligence in colonoscopy and its impact on non-AI-assisted adenoma detection rate: a multicentre observational study. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2025 Aug 12. https://www.thelancet.com/…/PIIS2468-1253(25…/abstract

・脳内のリチウム欠乏がアルツハイマー病を引き起こす!?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月18日のFB投稿です**
アルツハイマー病(AD)の病態において,リチウム(Li)が重要な役割を果たしている可能性が報告され話題になっています.これまでLiは気分安定薬として双極性障害の治療に用いられてきましたが,今回紹介するハーバード大学からの研究では,AD脳におけるLiの局在と濃度が詳細に解析されました.
まず軽度認知障害(MCI)およびAD患者の前頭前皮質において27種類の金属を解析した結果,MCIおよびADで有意に低下していたのはLiのみでした(図1左).驚いたことに,アミロイドβ(Aβ)斑にLiが濃縮して存在することが明らかになりました.図1右では,白い円が老人斑(Aβ斑),黄色の円が非Aβ斑領域を示しています.Li(赤)は老人斑に捕捉(sequestration)され,非Aβ斑領域では低下して利用困難な状態になっていることが示されています.
つぎにマウスモデルの検討で,食餌からLiを除去すると,脳内Liが約50%低下しました.その結果,Aβ沈着とタウリン酸化の増加,ミクログリアの炎症性活性化,シナプス・軸索・髄鞘の喪失,そして記憶障害が進行しました.シングルセルRNA解析では,Li欠乏によるトランスクリプトーム変化がADの患者脳と重なることが示されました
さらに注目すべきは,Liの欠乏がGSK3β(glycogen synthase kinase 3β)の活性化を引き起こし,その結果としてタウリン酸化を促進する可能性が示唆された点です.GSK3βは神経変性疾患の治療標的として以前から有名で,タウの異常リン酸化に直接関与することが知られています.つまり「Li欠乏 → GSK3β活性化 → タウリン酸化」という一連の流れがADで生じている可能性が浮上したということです.
となると補充療法ができる可能性がありますが,従来の炭酸Li(LiC)ではなく,アミロイドに捕捉されにくいLiオロチン酸(LiO)が有効であることが示されました.LiOを投与したADモデルマウスでは,アミロイド沈着やリン酸化タウの形成がほぼ完全に抑制され,既存の病理も改善されました.さらに,ミクログリアの炎症反応が抑制され,アミロイドのクリアランス能が改善し,シナプスと髄鞘の保持も確認されました.特筆すべきは,老化マウスにおいてLiOが記憶機能を若齢マウス並みに回復させた点であり,Liが加齢性認知機能低下に対しても保護的に作用することが示されたことです.
図2はLiがアミロイド斑にどのように関与しているかを示しています.図2aでは,脳内のAβ斑(青色の塊)が負に帯電し,周囲に存在する正に帯電したLiイオン(黄色)が引き寄せられて斑の中に捕捉されてしまう様子が描かれています.その結果,本来はニューロン,アストロサイト,ミクログリアなどの細胞に広く分布して機能しているはずのLiが奪われ,非Aβ斑領域での機能が低下し,神経変性につながります.
一方,図2bはLiO(赤)を投与した場合を示しています.これはAβ斑に捕捉されにくく,神経細胞に効果的に取り込まれます.GSK3β活性化はミクログリアの異常炎症応答による神経炎症を起こしますが,LiOにより機能回復したミクログリアはAβを効率的に除去できるようになり,シナプスや軸索,髄鞘の喪失を防ぎます.動物モデルでは,LiO投与によりアミロイド沈着やタウリン酸化の増加が抑えられ,認知機能の低下も改善されました.
Eric Topol先生がブログで指摘しているように,過去の小規模ランダム化試験,双極性障害患者コホート,さらには飲料水中Li曝露研究からも,Liの認知症予防効果は示唆されてきました.しかし,高用量炭酸Liの副作用が臨床応用を制限してきたことも事実です.今回の研究は,低用量Liオロチン酸という新しい選択肢を提示し,安全性への懸念を最小化しつつ予防的効果を期待できる可能性を示しました.
★ただし,ここで提示された結果はあくまで動物モデルに基づく研究であり,ヒトにそのまま適用できるものではありません.特にリチウムは治療域と中毒域が非常に近い薬剤であり,血中濃度の厳密な管理が不可欠です.そのため,サプリメントや市販薬として安易にリチウムを摂取することは極めて危険であり,厳に慎むべきであることを強調したいと思います.
Aron L, et al. Lithium deficiency and the onset of Alzheimer’s disease. Nature. 2025. https://doi.org/10.1038/s41586-025-09335-x
Topol E. Lithium and Its Potential Protection from Alzheimer’s Disease. Ground Truths, Aug 10, 2025.

・COVID-19は女性の血管を老化させる ―国際共同大規模研究CARTESIAN研究
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月20日のFB投稿です**
COVID-19の後遺症は心血管系の障害によっても生じます.その背景として血管内皮障害や炎症に伴う血管老化が推測されてきました.CARTESIAN研究は,COVID-19に伴うこの血管老化を検証しました.
18か国,38施設の2390人を対象とした国際共同前向きコホート研究で,COVID-19陰性対照群391人,陽性非入院群828人,入院群729人,ICU群146人の4群に分類されます.主要評価項目は,感染から平均6か月後の頸動脈―大腿動脈脈波伝播速度(Pulse Wave Velocity;PWV)としました.これは動脈硬化や血管老化を反映する確立された指標です.
さて結果ですが,COVID-19既往の3群はいずれも対照群に比べて有意にPWVが高値を示し,0.37〜0.41 m/sの上昇を認めました.ただし重症度が高いほどPWVが高いという直線的な関係は認めませんでした.しかし注目すべきは性差で,女性では全てのCOVID-19群でPWVが上昇し,特にICU群では1.09 m/sと最大の上昇を示しました.一方,男性ではCOVID-19の有無による差が認められませんでした.図1が分かりやすいですが,通常,男性は女性よりPWVが高い傾向があり,対照群(COVID-)では男性の方が女性よりPWVが速いことが分かりますが,興味深いのは,男性ではCOVID-19既往群では対照群と大差がないのに対し,女性では対照群との差が明確に大きいという点です(図1).そしてICU群では早期血管老化(early vascular aging)が顕著で,10年の血管加齢に相当します!また女性で持続症状を有した群ではPWVがさらに高値であり,症状の長期化と血管老化の関連を認めました.ただし12か月後の追跡では,COVID-19群のPWVは低下傾向を示し,血管老化が部分的に可逆的である可能性も示されました.
この論文に対するeditorialを読むと,PWV上昇の程度は比較的軽度であり,その臨床的意義についてはさらなる研究が必要と指摘しています.また図2にて,COVID-19による血管老化の仕組みを解説しています.感染により,IL-1やIL-6などのサイトカインが増加します.加えて凝固異常や好中球細胞外トラップが生じ,動脈のリモデリングを来たし,血管が硬くなります(stiff artery). この血管老化が女性に強く現れる理由として,性ホルモンや社会的要因,あるいは急性期に重症となった男性が死亡してしまい,生存者には影響が残りにくいというサバイバーバイアスなどを推測しています.
この血管老化は,ブレインフォグや頭痛,認知障害などlong COVIDに特徴的な神経症状にも関与している可能性があります.今後は血管老化を防止する治療や,リスクの高い群を早期に見極めるためのバイオマーカー探索が重要となるとなると思われます.
Bruno RM, et al. Accelerated vascular ageing after COVID-19 infection: the CARTESIAN study. Eur Heart J. 2025;00:1–14. (doi.org/10.1093/eurheartj/ehaf430)
Bukhari S, et al. COVID-19 and vascular ageing: an accelerated yet partially reversible clock? Eur Heart J. 2025;00:1–3. (doi.org/10.1093/eurheartj/ehaf590)

・患者と目を合わせない医者たち(新潮新書)
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月23日のFB投稿です**
昨日のカンファレンスで教室のみんなに紹介した里見清一先生(本名,國頭英夫先生)の新刊です(https://amzn.to/462rblW).里見先生は呼吸器内科とくに肺癌の診療を専門とするドクターです.10年ほど前ですが,日本臨床倫理学会で,会場大爆笑,でも一番考えさせられるご講演をされておられたのが里見先生でした.その時は「自己決定」といって,なんでも患者さんに決めてもらう風潮について問題提起をされていました.すっかりファンになった私は,お願いして前任地の新潟までお越しいただき,『 終末期の医者の仕事 』というご講演をしていただきました.先生は『偽善の医療(https://amzn.to/4fPOMJO)』や『衆愚の病理(https://amzn.to/3JtWwp1)』(いずれも新潮新書)など多くの本を執筆されておられます.今回の本も,下記にメモしましたが,印象に残る文章がいくつもありました.読んでいろいろなご意見は出てくるかと思いますが,若いドクターには医療や人の命について深く考えるきっかけになるのではないかと思います. オススメです.
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◆現在の医学教育は,人は必ず死ぬこと,そしてその前に治療を諦める時が必ず来ることを教えていない.
◆私の周りの誰に聞いても,寝たきりで生かされた状態で延命治療などしてほしくないと答える.おそらく読者もそうだろう.
◆クーパー先生らは,AIによって医学生が教育されるようになると,そこから質的に違う医者が出てくるのではないかと懸念している.そもそもChatGPTによって最初からすぐに正解が提示されるのなら,医者が勉強する意味はあるのか.また,倫理的なジレンマに悩む代わりに,ブラックボックスから出てくるAIの決定を医者はそのまま受け入れるようになるのだろうか.
◆エビデンスやガイドラインは大切だが,そればかりを墨守する人間は「エビデンス屋」と呼ばれ,軽蔑される.我々はその重要性も限界も認識すべきである.
◆(不必要な検査について)この無駄は必ずしも医者の問題だけではなく,患者側も「何も検査してくれない」と不平を鳴らすのである.医者にとって最も知識や経験を必要とするのは,病歴と身体診察から「大丈夫,何ともない」と結論することである.
◆ミシガン大学のシュナイダー教授も,「良い人になるのは無理でも,良い人だと思わせるようにせよ」と学生に教えているそうだ.
◆チーム医療だの働き方改革だのは,必ずしも患者側のメリットを考えて出たものではないことは忘れない方がよい.
◆そう,俺たちの頃は辛かった.近頃の若い者がそれを追体験する必要なんかないのだろう.だが,だからといって別に俺たちはやり直したいなどとは思わない.それはどうしてだろうか.
◆喜び(ジョイ)は快楽(プレジャー)と同じではない.喜びには困難や無念や試練も含まれる.喜びを定義することはできない.ただ,我々がそれを経験したときに初めて「これがそうなのか」とわかるのだ.

・p-tau217r:アルツハイマー病の進行を血液検査で知る時代に突入 ― 真の利益のために何が必要か?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月27日のFB投稿です**
アルツハイマー病(AD)において,脳内の病理変化の進行を正確に把握することは治療方針の決定や予後の予測に重要と考えられています.アミロイドPETやタウPETがその役割を担うと考えられてきましたが,これらは高額,かつ専門的な施設を必要とするため,広く普及させることは容易ではありません.またADの患者数の多さと日本の医療経済の状況を考えても現実的ではありません.このような背景のもと,実際に認知機能障害の出現と密接な関係がある種々のタウ蛋白を血液で測定し,ADの病期(ステージ)を分類できるかどうかが大きな研究テーマとなってきました(ちなみにアミロイドβは発症約20年前から生じる引き金で,タウ蛋白は認知症発症前に急激に変化が生じる実行蛋白と考えられつつあります).
今回,Nature Aging に発表されたスウェーデンとカナダの共同研究は,まさにこの課題に取り組んだものです.スウェーデンの549例とカナダの140例,合計689例が対象です.研究では,リン酸化タウ(p-tau181, 199, 202, 205, 217, 231)と非リン酸化タウ(tau195-209, tau212-221, 0N-tauなど)の12種類のタウペプチドを,血液を用いて質量分析で同時に測定しました.特に重要となったのは p-tau217r(p-tau217 ÷ tau212-221),p-tau205r(p-tau205 ÷ tau195-209),そして0N-tauです.ここで「r」は ratio(比)を意味し,リン酸化ペプチドを対応する非リン酸化ペプチドで割ることで,腎機能などによる総タウ量の変動を補正し,病気特異的な変化をとらえやすくしています.
さて結果ですが,3つの指標(p-tau217r,p-tau205r,0N-tau)を組み合わせることで,患者を血液ステージ0〜3の4段階に分類できることが分かりました.
ステージ0:3つの指標すべてが正常. AβやタウPETも陰性が多く,認知機能も保たれる段階.
ステージ1:p-tau217rが異常となる. AβPETが陽性化するが,臨床的には無症候が多い段階.
ステージ2:p-tau205rが異常となる.タウPETが陽性化して,軽度認知障害が目立ち始める.
ステージ3:0N-tauが異常となる.タウの広範な蓄積と脳萎縮が進んだ,認知症を呈する段階.
つまりこの血液ステージは,PET所見や認知機能低下の進行とよく対応しています.ステージ0から1でAβ蓄積が進み,ステージ1から2でタウ沈着と軽度認知障害が出現し,ステージ2から3で急速に進行して認知症に至るという流れが明確に示されました.図1では,血液ステージが進むにつれて,まずアミロイドPETでAβ蓄積が検出され,次にタウPETで内側側頭葉や新皮質におけるタウ沈着が明らかになり,その後皮質厚の減少が認められ,最終的に認知機能指標(MMSEやmPACCなど)が低下することが示されています. 図2は血液ステージごとの主要なバイオマーカー・認知機能の変化を示しています.
本研究の臨床への貢献は,第1に,血液検査のみでADの病期を推定できることで,PETが利用できない施設でも診療に活用できる可能性を示したことです.第2に,アミロイドβ抗体や将来のタウ療法など,新規治療薬の効果は病期に依存するため,血液ステージを用いることでより適切な患者選択が可能となることです.治験においてもPET検査数を大幅に減らし,効率的に対象者を絞り込むことができると思われます.さらに,最新のJAMA Neurology誌に掲載された研究では,血漿p-tau217が前臨床期のアルツハイマー病において将来の認知機能低下を予測する有力な指標であることも示されています(文献2).
素晴らしい医学の進歩で,ここまできたかと感嘆しますが,個人的には複雑な気分です.これが臨床で使用されるようになると,ADの診断が気軽にできてしまいます.今までであれば十分な問診,診察,認知機能や周辺機能の評価,日常生活の状況,家族関係など多面的に調べられたものが,血液診断ひとつで済まされてしまう恐れがあります.果たしてそれでよいのかなと思います.早期診断が患者さんや家族に過度の心理的負担を与えたり,就労や保険加入に影響を及ぼす可能性,あるいは告知のタイミングや方法をめぐる新たな課題を生じさせることも考えられます.「できること」と「すべきこと」は必ずしもイコールではありません.「できるからやってしまう」という姿勢は,医療においては慎重であるべきです.
一方で,こうした血液バイオマーカーは,上述したように,PETが利用できない現場で診断や治療方針決定を助け,また新しい治療法を必要とする患者に早くつなげる可能性を秘めています.重要なのは,技術をそのまま導入するのではなく,臨床現場での使い方や倫理的配慮を含めて慎重に議論し,患者に真に利益をもたらす形で活用していくことだと思います.
1. Montoliu-Gaya L, Salvadó G, Therriault J, et al. Plasma tau biomarkers for biological staging of Alzheimer’s disease. Nature Aging. 2025. (doi.org/10.1038/s43587-025-00951-w)
2. Insel PS, Mattsson-Carlgren N, Sperling RA, et al. p-Tau217, Tau PET, and Cognition in Preclinical Alzheimer Disease. JAMA Neurol. Published online August 25, 2025. (doi.org/10.1001/jamaneurol.2025.2974)

・NHK「知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?(びっくりはてな)」に出演します!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月28日のFB投稿です**
標題の新番組の第2回放送「認知症 克服のカギ」に出演させていただきます.昨年からチーフディレクターの方々にレクチャーする機会をいただき,番組制作のお手伝いに関わってきましたが,正直どのような番組になるのか分からないまま進めていました.まさか自分が出演しタモリさんに直接お目にかかれるとは,まったく想像していなかったので,大変驚きました.
番組の内容は「認知症 克服のカギ」をテーマに,認知症に関する国内外の研究成果が次々と紹介される,まさに最先端の情報のオンパレードです.私自身も知らなかった新しい知見にも触れることができました.専門医でさえも驚かされる話題もあるように思います.また,さすがNHKという感じで,VTRによる研究紹介の迫力には圧倒されました.世界の第一線で活躍する研究者や,実際に病と向き合う患者さん・ご家族への直接取材から得られた言葉には,深い重みがありました.
認知症は確かに大変な病気ですが,その研究は確実に前進していることが伝わると思います.番組の終盤では「認知症を克服するとはどういうことなのか?」というところまで議論は深まります.私たちがこれから認知症にどのように向き合い,支え合っていくべきかを考えるきっかけになる番組だと思います.ぜひご覧ください.放送は9月6日(土)19:30~20:48(78分)です.
出演者インタビューをこちらからご覧いただけます:
認知症は克服できる!?タモリ、山中伸弥らが研究の最前線を深掘り&認知症関連番組も
https://www.nhk.jp/…/blog/bl/pB4Egql2A5/bp/pDERAG6rZp/

・ChatGPT時代の医師教育 :学びを支えるか,奪うかの境目は?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月31日のFB投稿です**
ChatGPTのような大規模言語モデル(AI)が,医療の現場にどんどん入ってきています.とても便利ですが,いいことばかりではありません.私自身,「若い先生の方がAIの影響を強く受けるのではないか」と漠然とした懸念を持っていましたが,先日読んだ New England Journal of Medicine の総説で,その疑問が整理されました.
まずAIのデメリットとして,教育の現場では次の3つが特に問題になります.
• Never-skilling:必要な力を身につけられない
• Mis-skilling:AIの誤りをそのまま覚えてしまう
• Deskilling:せっかく身につけた技能が失われる
医師はトレーニングを重ねることで,ある時点で「自動的なルーティンの実践」から「柔軟で創造的な実践」へと成長することができます(図1の①).このあとAIをうまく批判的に活用すれば,さらに成長が加速していきます(図の②).ただベテラン医師でも「自動的なルーティンの実践」のままの人もいますし(③),AIを安易に使うとDeskillingやMis-skillingが起きてしまいます(④).
注意すべきは,学習曲線のスタート地点が3本あることです.これは学習者の経験の違いを表しています.
• ベテラン医師(A)は,すでに高い技能を持っているため,AIを参考にしても「どこが正しく,どこが間違っているか」を判断しやすく,補助手段として有効に使えます.
• 中堅医師(B)は,AIをうまく使えば大きく成長できますが,依存すると逆に自分の推論力を磨く機会を失ってしまいます(⑤).
• 医学生や研修医などの初学者(C)は,AIの答えをみな「正解」と思い込んでしまう危険があり,成長が伴わず,低いレベルでとどまってしまう恐れがあります(⑥).ただし教育者が「なぜこの診断が出たのか,自分の言葉で説明してみよう」と検証的・批判的に問いかければ,AIを学びの出発点に変えることができます(⑦).
つまり,同じAIでも,誰がどう使うかによって,学びの行方は大きく変わるということです.また基盤を伴わない初学者ではAIへの対処の影響が大きいということです.教育者は,学習者の段階に応じてAIの「検証的・批判的な使い方」を指導していく必要があります.
具体的には著者らは「DEFT-AI」という指導法を提案しています(図2).診断の振り返り(Diagnosis),証拠の吟味(Evidence),フィードバック(Feedback),教育的な指導(Teaching),そしてAI活用の推奨(AI recommendation)の5つを柱に,AIを使う場面を教育の機会に変えようというものです.
さらに,人とAIの協働には二つのスタイルを提示しています.「ケンタウロス型」では役割を分担し,危険度の高い判断は人間が担います.一方「サイボーグ型」では人とAIが一体化し,出力を一緒に練り上げていきます.診断のような場面ではケンタウロス型,メール文案のような低リスクの作業ではサイボーグ型が向いていると書かれています.
著者の結論はシンプルです.著者らは「verify and trust(検証してから信頼する)」を強調しています.AIの答えを鵜呑みにせず,自分の知識や証拠と照らし合わせた上で活用することが大切なのです.これからの医学教育は,AIを避けるのでも過信するのでもなく,賢く付き合うことが求められる時代に入ったのだと思います.ただし,この議論は現時点のAIが「不完全であること」を前提にしています.もし将来,AIの精度が飛躍的に高まり,人間の判断に匹敵する水準に達した場合,教育や臨床現場での位置づけそのものが変わる可能性があります.
Abdulnour R-E, Gin B, Boscardin CK. Educational Strategies for Clinical Supervision of Artificial Intelligence Use. N Engl J Med. 2025;393:786-97. (doi.org/10.1056/NEJMra2503232)

(作成者)峯岸 瑛(みねぎし あきら)