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2025年12月のニュース

ポールウォーキングは、上肢・体幹・下肢を連動させる全身運動なので脳の運動中枢にとっても良い刺激となり、リハビリにも取り入れられますが、脳のトポロジーは変化させるのでしょうか?
脳のトポロジーにおける4つの重要な転換点(9歳:子ども期から思春期への移行、32歳:成人期の始まり、66歳:初期老化期の始まり、83歳:後期老化期の始まり)を明らかにした論文、定期的な運動のがん抑制メカニズムを明らかにした論文、岐阜大学医学部の下畑先生からの最新医学情報等を、お届けします。

1.2025年12月の活動状況
長谷川 弘道さんの投稿
ohana ポールウォーキング in モリコロパーク

遠藤 恵子さんの投稿
真冬の冷たい空気❄️ 本日の運動教室では手が冷たい方が多く霜焼けできている方もおられたので運動に加えてハンドケアも実施しました✨ セラピストとしての学びが活かせています🍀🫶 日頃から指の動きが悪かった男性から「おや?指が動くようになったばい!これは家でも続けた方がいいね」と嬉しい声もいただきました❤︎ お役に立てれて嬉しかったです♡

スマイルチームさんの投稿
ポールウォーキング

田村 芙美子さんの投稿
午前中 渋谷区元気すこやか事業 のポールウォーキング教室 今日は計測日。 午後から 近くの代々木公園でノルディックウォーキングプライベートレッスン。 2種のポール持参でした。

中村 理さんの投稿
一年振りのメンバーと一年振りの中山道PW〜 佐久/岩村田〜望月宿迄 二日に掛け約14kmのPWで。 久々のロングで充実の日々❗️ 来年は残り 望月宿〜茂田井宿〜立科/芦田宿PWを約束ww

校條 諭さんの投稿
屋上農園でカブを収穫 神田錦町の5階建てビルの屋上でカブの種を植えたのは9月18日でした。ちよだプラットフォームスクウェアの「ちよぷらアグリ」の活動です。 本日(12月6日)無事収穫。プランターによっては虫に食われたところもありましたが、私のは幸運にも無事でした。 ミニトマト、春菊、トウモロコシ、バジルなどを植えてきましたが、春菊、バジルと同様うまくいきました。

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【春待月定例会2】   2025/12/6 #船橋ウォーキングソサイエティ #2本のポールを使うウォーキング   #海老川土曜コース     定着した   #インターバルウォーキング   2分を5セット 20分  初冬にいい汗をかきます♬ #ノルディックウォーキング #ノルディックウオーク #ポールウォーク #ポールウォーキング #インターバル速歩

スマイルチームさんの投稿
2025.12.2〜7 活動記録 ☺︎中屋敷CH体操 19名 ☺︎公民館抽選確認 ☺︎HP活動日更新 ☺︎舞台小道具作成 ☺︎スマイルPW 14名 ☺︎スマイルチーム上溝自主練 16名 ☺︎スマイルリズムエクササイズ 19名 ☺︎活き活き中屋敷PW 14名 ☺︎上鶴間公民館年末大掃除 ☺︎上鶴間公民館まつり実行委員会① ☺︎上鶴間公民館まつり発表部門調整会議①

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 今年度の外歩き仕舞いの 駒場例会でした。 前回の皆勤賞授与の欠席者表彰から始まり〜 先日の初雪も無くなった公園と牧場を、ゴミ拾いしながらの無事歩けた感謝を込めたポールwalk〜❗️ 残るは1月2月の「室内ポールウォーク」/フレイル予防の体育館迄お出掛けしての有酸素運動です‼️ お待ちしています。

田村 芙美子さんの投稿
神奈川健生クラブの活動イベントの1つ 地域グループ三浦ネットが企画担当のハイキングコースを今日はPWの例会と兼ねて歩きました。寿福寺スタート~源氏山~葛原岡神社~銭洗弁財天宇賀福神社~佐助稲荷神社~鎌倉歴史文化交流館(今日は休み) ポールがあれば山道も階段も楽々ですが本番は一般の参加者で少々しんどいかしら。 交流館手前で皆と別れ、人生初の甘味茶房雲母(キララ)

北陸ポールウオーキング倶楽部の中嶋  佳奈恵さんの投稿
今日から始める未病予防教室 | ポールウォーキング石川

長岡智津子さんの投稿
どっ鯉ポールウォーキング

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
新北林口站|活動花絮回顧 林口今天好熱鬧! 大家一早精神滿滿集合,先練習暖身, 接著一路健走、一路聊天,步伐越走越一致。😄✨ 走進民視大樓後,更是全場驚呼連連, 大家第一次站上主播台、第一次走進攝影棚、 第一次看到密密麻麻的燈架與場景, 每個人都像回到學生時代的郊遊般興奮。📸🎬 有的人拍照拍到捨不得離開、 有的人默默觀察機器設備、 也有人邊走邊說「原來平常節目是這樣錄的喔!」 今天的健走不只是運動, 更像是一場「走進電視世界的冒險」。 謝謝大家一路的笑聲, 下一站我們繼續一起走得更開心、更自在。 #2025健走杖輕旅行 #雙杖在手健康跟著走 #台灣健走杖運動推廣協會

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【春待月の定例会3】 2025/12/11 #2本のポールを使うウォーキング #船橋ウォーキングソサイエティ #行田公園 今日もしっかり頑張りました〜  #ストレッチと筋トレ #インターバルウォーキング  会員考案「ポールホルダー」を  スタッフが仕上げました。 日常生活で是非活用して欲しい です。

田村 芙美子さんの投稿
【紅葉狩り】 北鎌倉のメンバー有志と行ってきました。朝10時に鎌倉駅を出発して・・・下山したのは16時前。ゆっくりさんに歩調をあわせてのんびり歩きました。横浜方面からの50名のグループ始め大勢のハイカーとすれ違いました。去年より一週間遅かったけれど山の中の自然の織り成す紅葉や楓は美しく、思わず見とれてしまいました。マスクをしていたのは寒さ防止。

校條 諭さんの投稿
紅葉残る初冬の光が丘公園をポール歩き 2本のポールで歩くと、歩きなのに全身運動になり、負担感少なく有酸素運動効果が得られます。 12月の気まポ(気ままにポール歩き)は、練馬区にある都立光が丘公園の、広々としていろんな顔を持つコースを楽しみました。 曇りの予報だったのに、むしろ快晴で、暖かい日差しが心地よい感じでした。 今回、いつものメンバー以外に、3年近く前までやっていた杉並ポール歩きの会(杉ポ)の講師陣のひとりだった長井さんが片道2時間かけて来てくださいました。 都営大江戸線光が丘駅のすぐ近くにあるショッピングビルIMA(イマ)の中にあるイタリアンで乾杯、ピザやパスタをいただきながら歓談しました。 ※写真は、メンバーの田村君(高校同期)、石井さんからもいただきました。

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【春待月定例会④】 2025/12/15 #船橋ウォーキングソサイエティ  #シニアポールウォーキング  「楽しかった〜 ♬  この日は外せないわ」 そんな言葉を帰り際に頂けます #コグニサイズで頭ぐしゃぐしゃ #ハードルで転倒予防 #すべらないインソール型マットで #バランス力と脚力アップ 椅子があるから  疲れたら自由にひと休み 「頑張らないけど頑張る」   シニア長続きの秘訣は     ここでしょうか〜

田村 芙美子さんの投稿
鎌倉腰越ポールウォーキング火曜サークル 今年最終活動日。センターで計測を済ませ広町緑地までPW移動 。 ストレッチ・筋トレ・ポールゲームを楽しんで来春は新年会から始まります。

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
台中水湳站|活動花絮回顧 水湳今天的風景,美得讓人忍不住放慢腳步。 🌤️✨ 走入水湳生態公園時, 寬闊的滯洪池、水光反射、綠意成片, 大家的步伐也自然變得輕盈。 接著我們一路走進二分埔公園, 綠色廊道開得很美,大家並肩而行的畫面好溫柔。 活動最後的收操伸展, 大家圍著棚架下慢慢放鬆, 看得出來,每一位都走得剛剛好、舒服到位。 台中水湳,用最自然的方式, 陪我們完成今天美好又平靜的健走旅程。💚 #2025健走杖輕旅行 #雙杖在手健康跟著走 #台灣健走杖運動推廣協會

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【春待月定例会6】  2025/12/20 #船橋ウォーキングソサイエティ #土曜海老川定例会  #2本のボールを使うウォーキング  1年振りの #サーキットトレーニング 中盤で予報よりも早い雨降りになりました。ポールを傘に持ちかえたり フードをかぶり予定の3クールを 実施。年納めをしっかり運動で締めくくりました。

田村 芙美子さんの投稿
きのこ頭の愉快な集まり

片山昇さんの投稿
大野と鹿沼公園2つのクラブ、今日はクリスマスウォーク 1年間皆さん頑張りました。

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 先日イブの日 コラボ先の佐久大学看護学部実習報告会へ参加して来ました。 一年生実習内容/〜ウォーキングイベントを通じて「地域住民の疾病予防・健康づくりについて考える〜 4年生は/〜健康教室「ポールを使った体操と筋トレ」の企画・実践〜 の結果の素晴らしい報告でした。 お疲れ様でした。

大内 克泰さんの投稿
クリスマスイヴは藤沢市の介護予防事業の講師を拝命いただき、長距離ドライブを楽しみつつレッスンを実施して来ました。 地方や関東圏隔てなく、こうした行政が実施する「運動教室」は、やはり圧倒的に女性の参加が多く、高齢男性の参加率向上の難しさは同じなんだと実感しました。 拠点を福島に移しても、最も長く住んだ地域にご縁をいただける事は有り難いですね😌

田村 芙美子さんの投稿
鎌倉市地域包括支援センターテレジア1・2   この圏内には、ポールウォーキングによる介護予防ストレッチ&筋トレクラスが4か所あります。 今年の活動は今日の貯筋クラスで終了しました。来年は6日腰越同好会からスタートです。クラスは月イチ体組成計測で始まります。ご自宅では毎日2分×4種のお好きな中強度運動をして専用カレンダーに✅☑️✅☑️を入れることを生活習慣にしています。鎌倉市民でしたらどなたも参加できます。介護認定2のかたもいらっしゃいます。が、どのサークルも明るく楽しいかたばかり。無理はせず、運動とコミュニケーションの通いの場として長く続けられれれば良いと思います。来年も宜しくお願い申し上げます。

佐藤 ヒロ子さんの投稿
【春待月 定例会7】 2025/12/25 #船橋ウォーキングソサイエティ の2025年の締めくくりは #2本のポールを使うウォーキング #行田公園木曜日コース です。 今年も一年間お世話になりました。 有難うございました。 イベント広場の円形を利用して #サーキットトレーニング 暑い夏も越え、寒い冬にも備え 皆で元気にやり切りました。    最幸な一年でした。

 

来月以降の開催
みんなの元気学校さんの投稿
志木いろはウォークフェスタ 第10回ノルディックウォーキング・ポールウォーキング全国大会を開催します! – ずっと住み続けたいまち 志木

みんなの元気学校さんの投稿
2026年のLINKくにたち「ポールdeウォーク」 5月10日(日曜日)に開催決定 ※歩行者天国を使用できる時間:14時15分~15時45分 国立駅前から一橋大学方面に伸びる大学通り約600メートルが歩行者天国となってノルディックウォーキング・ポールウォーキング専用に 「各団体・サークルが垣根を越えて一緒に集まれる場となればと願っています」(企画者の芝田竜文さん) ※写真は2023年

 

2.PW関連学術ニュース
2-1)脳は0歳から90歳までの間に4つの劇的な変化期を経験する
ヒトの脳内ネットワークの発達・変化についての大変興味深い論文がNature誌に掲載されたので、紹介します。

原論文:Nature Article (Open access)
公開日:Published: 25 November 2025
表題:Topological turning points across the human lifespan
(和訳:人間の生涯にわたる位相的転換点)
著者:Alexa Mousley, Richard A. I. Bethlehem, Fang-Cheng Yeh & Duncan E. Astle
掲載誌:Nature Communications volume 16, Article number: 10055 (2025)

要旨
構造的トポロジーは生涯を通じて非線形に発達し、認知軌跡と強く関連している。我々は、0歳から90歳までの集合的な年齢範囲のデータ・セット(N  = 4,216)から拡散イメージングを収集した。我々は、組織化の12のグラフ理論メトリクスが加齢とともにどのように変化するかを分析し、均一多様体射影および近似を用いてこれらのデータを多様体空間に射影した。これらの多様体を用いて、我々は生涯を通じて4つの主要なトポロジー転換点(9歳、32歳、66歳、83歳頃)を特定した。これらの年齢は、それぞれが明確に加齢に伴うトポロジーの変化を伴った、トポロジー発達の5つの主要なエポックを定義した。これらの生涯エポックはそれぞれ、明確に異なる位相発達の方向と、年齢とトポロジーの関係を推進する組織特性の特定の変化を伴っている。本研究は、多変量、生涯、集団レベルの視点でのみ明らかにすることができる、トポロジー成熟の独特な段階を伴う、人間の発達の複雑で非線形な性質を強調している。

図 1: データセットの人口統計、方法の概略、およびネットワーク接続。
a各データセットの年齢の分布(dHCP = 開発中のヒトコネクトームプロジェクト、BCP = 乳児コネクトームプロジェクト、CALM = 注意学習記憶センター、RED = 教育と発達におけるレジリエンス、ACE = 教育における注意と認知、HCPd = ヒトコネクトームプロジェクト開発、HCPya = ヒトコネクトームプロジェクト若年成人、camCAN = ケンブリッジ老化・神経科学センター、HCPa = ヒトコネクトームプロジェクト老化)。bサンプル全体の年齢にわたる性別の分布のヒストグラムと密度プロット。c方法の概略図では、年齢相応の AAL90 アトラスに登録されたすべての参加者に対して繊維追跡が実行され、その後、アトラスとデータセット全体で ComBat アルゴリズム37を使用して調和が図られました。次に、可変密度と密度制御の 2 つのしきい値分析が行われました。密度制御分析では、総接続性の違いによる偏りのない直接的なトポロジ比較を可能にするために、すべてのネットワークが正確に 10% の密度91に閾値設定されました。

関連情報
1)同論文の紹介記事(Nature誌)です。
表題:Your brain undergoes four dramatic periods of change from age 0 to 90
Our brain wiring seems to undergo four major turning points at ages 9, 32, 66 and 83, which could influence our capacity to learn and our risk of certain conditions
(和訳:脳は0歳から90歳までの間に4つの劇的な変化期を経験する
私たちの脳の配線は、9歳、32歳、66歳、83歳で4つの大きな転換期を迎えるようで、それが学習能力や特定の病気のリスクに影響を与える可能性がある。)
著者:Carissa Won
掲載日:25 November 2025私たちのニューロンの配線は、数十年を経て変化する
アレクサ・マウズリー、ケンブリッジ大学

**以下は、解説記事の冒頭部分の和訳です**
私たちの脳機能は生涯を通じて決して静止した状態ではありません。学習能力や認知機能低下のリスクは、新生児から90代まで変化することが既に知られています。そして今、科学者たちは、なぜこのような変化が起こるのか、その潜在的な理由を明らかにしたかもしれません。それは、脳の神経回路が9歳、32歳、66歳、そして83歳という4つの大きな転換期を迎えるからなのです。

2)同論文について、Copilotと会話してみました(2025年12月3日)。
Q1:次の論文の要旨を教えてください。
A1:この論文「Topological turning points across the human lifespan」は、人間の脳の構造的トポロジー(神経接続のパターン)が人生を通じてどのように変化するかを調べた研究です[1]。
研究チームは0歳から90歳までの4,000人以上の拡散MRIデータを用いて、脳ネットワークの12のグラフ理論指標を分析しました。その結果、脳のトポロジーにおける4つの重要な転換点が明らかになりました:
• 9歳:子ども期から思春期への移行
• 32歳:成人期の始まり
• 66歳:初期老化期の始まり
• 83歳:後期老化期の始まり
これらの転換点により、人生を5つの「トポロジー的時代」に分けることができ、それぞれの時代で脳のネットワーク構造が異なる方向に変化していることが示されました[2]。
この研究は、脳の発達と老化が単純な直線的変化ではなく、非線形で段階的な再構成を伴うことを示しており、認知機能や精神的健康との関連性を理解するうえで重要な知見を提供しています[3]。
もしご希望であれば、各時代の特徴や使われた指標の詳細もお伝えできますよ。

Q2:お願いします。
A2:お待たせしました!この研究では、人生を通じて脳のネットワーク構造がどのように変化するかを、12のグラフ理論指標(例:効率性、モジュラリティ、ハブ中心性など)を用いて解析しています[1]。その結果、脳のトポロジー的発達は5つの「時代(エポック)」に分かれることが明らかになりました。それぞれの時代には、特徴的な構造変化と機能的意味があるんです。
🧠 脳の5つのトポロジー的時代と特徴
この研究の面白いところは、脳の発達や老化が直線的ではなく、段階的な「再構成」を伴うという点です。特に、32歳まで脳の再編が続くという発見は、教育やキャリア形成、さらには精神疾患や認知症の予防にも新しい視点を与えてくれます[2][3]。もっと深く掘り下げて、各指標がどのように変化していたかも見てみますか?それとも、応用的な視点(教育、医療、資産設計など)での活用に興味がありますか?

Q3:各指標がどのように変化しているのですか?教えてください。
A3:お待たせしました!この研究では、12種類のグラフ理論指標を用いて、脳のネットワーク構造が年齢とともにどのように変化するかを詳細に解析しています[1][2]。以下に、各指標の分類とその変化の傾向をまとめてみました:
🧠 使用されたグラフ理論指標とその変化
これらの指標の変化は、非線形かつ段階的であり、特に9歳・32歳・66歳・83歳の4つの転換点で大きな構造的変化が観察されました[1]。たとえば、グローバル効率性が29歳でピークを迎えるというのは、脳の情報処理能力がこの時期に最も高まることを示唆しています。
このような知見は、発達障害や認知症の早期発見、教育・介入の最適化、さらには高齢期の資産設計や生活支援のタイミングを考えるうえでも非常に有用です。
もっと深掘りして、特定の指標と認知機能や精神疾患との関連を見てみますか?それとも、これらの知見をどう応用できるかを一緒に考えてみましょうか?🍄
[1]: Nature Communications 論文PDF [2]: News-Medical.net 解説記事

Q4:まずは、認知機能との関連、次に、教育・介入の最適化との関連について解説して下さい。
A4:ではまず、認知機能との関連から見ていきましょう。
🧠 脳のトポロジーと認知機能の関連
この研究では、脳のネットワーク構造(トポロジー)と認知機能・行動・精神的健康との関連が明確に示されています[1][2]。特に以下のような関係が注目されています:
• 幼少期(〜9歳):この時期は「ネットワーク統合性」が急速に高まる時期で、言語、注意、記憶の基盤が形成されます。トポロジーの変化が学習能力や発達障害のリスクと密接に関係しています。
• 思春期〜若年成人期(9〜32歳):脳の効率性と統合性がピークに達する時期で、抽象的思考、自己制御、社会的判断力が発達します。精神疾患(例:統合失調症、うつ病)の発症リスクもこの時期に集中するため、トポロジーの変化が予測因子となる可能性があります[3]。
• 成人期(32〜66歳):脳の構造が最も安定し、認知的柔軟性や意思決定能力が成熟します。個人差が大きく、トポロジーの違いが知的能力や創造性の個人差と関連していると考えられています。
• 高齢期(66歳以降):ネットワークの統合性が低下し、記憶力や処理速度の低下が見られます。特に83歳以降は、認知症や軽度認知障害(MCI)との関連が強まるとされています。

🎓 教育・介入の最適化との関連
この研究のもう一つの大きな意義は、教育や医療的介入のタイミングを科学的に導く手がかりになることです:
• 9歳前後の転換点:この時期は学習支援や発達支援の「ゴールデンタイム」。ネットワークの再構成が始まるため、読み書きや社会性の介入が最も効果的とされます。
• 思春期(10代後半〜20代):精神的ストレスや社会的プレッシャーが増す時期。メンタルヘルス教育やレジリエンス強化の介入が、脳のトポロジー的安定性を高める可能性があります。
• 30代前半(32歳):脳の効率性がピークを迎える時期。成人教育やキャリア形成支援が、脳の構造的成熟と一致するため、学び直しやスキル習得に適した時期といえます。
• 66歳以降の高齢期:ネットワークの統合性が低下し始めるため、認知トレーニングや社会的活動の維持が、老化の進行を緩やかにする可能性があります。
このように、脳のトポロジー的転換点を軸にしたライフステージ別の介入設計は、教育政策や医療戦略に新たな視点を提供してくれます。
次は、これらの知見をどう資産設計や家族戦略に応用できるか、一緒に考えてみましょうか?それとも、特定の時期に焦点を当ててさらに深掘りしてみますか?🍄
[1]: Nature Communications 論文PDF [2]: Cambridge University 解説記事 [3]: News-Medical.net 解説記事

 

2-2)がんの予防と治療に関する最新の話題2つ:大阪大学宮坂先生のFB投稿より
2-2-1)定期的な運動が、がん細胞の増殖を抑制し、がんの予後を改善するメカニズム
**以下は、大阪大学の宮坂昌之先生の2025年12月4日のFB投稿です**
われわれの身体では、たとえがんが存在していても、定期的に運動をすることによりがん細胞の増殖が抑えられ、がんの予後が改善すると言われています。しかし、どのようなメカニズムでそうなるのか、はっきりとはわかっていませんでした。アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループが、マウスの実験モデルを用いて、この点について明らかにし、その論文が専門誌PNASの12月1日号に掲載されています(https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2508707122)。
この研究では、マウスを回転するホイールの上を自発的に走らせるという「ホイールランニング」をさせています。すると、自発的な運動によって、からだの組織でグルコースの取り込みと酸化(=グルコースをエネルギーとして利用するのに必要な過程)が高まる一方、がん組織ではグルコースの取り込みと酸化が逆に減っていて、これとともにがん細胞の増え方が抑えられていました。そして、運動をしたマウスのがんでは、mTORという特定のシグナル経路(=細胞の増殖、成長、代謝を制御する経路)の働きが抑えられていました。
面白いのは、肥満マウスに運動をさせると、からだでのグルコース代謝が高まり、脂肪組織以外の体重はあまり変わらないものの脂肪は減少し、その後に腫瘍を移植した時には、非運動マウスに比べて、腫瘍細胞増殖が明らかに抑えられていて、たとえまだがんが出来ていない状態であっても運動をすれば、がん細胞が増えにくくなる状態が生まれてくることが観察されています、つまり、運動をがん治療後のリハビリテーションとして使うだけでなく、がん治療前のプレハビリテーション(=手術前や化学療法前に、前もって運動や栄養サポート、精神的ケアを行い、心身のコンディションを整えること;貯金ならぬ貯筋というプロセスがこれに相当)としても使える可能性が示されています。
以上、少なくともマウスにおいては、有酸素運動によって正常組織とがん細胞の間でグルコースの一種の代謝拮抗が見られ、そのためにがん細胞のエネルギー消費が抑えられ、増殖が抑えられる、というシナリオがはっきりとしてきました。しかも、運動ががんのリハビリテーションとしてだけでなく、プレハビリテーション(上記参照)としても有効である可能性が示されています。
ヒトでも「運動ががんの予後を改善する」と言われてきましたが、今回の話はなるほど、と思います。「ヒトでも実験によって確認しないと…」という(正論を)言う人が居るかもしれませんが、我こそは実験に参加したいという奇特なボランティアが出てこない限り、それはちょっと難しいでしょうね。

関連情報
原論文
表題:Precancer exercise capacity and metabolism during tumor development coordinate the skeletal muscle–tumor metabolic competition
(和訳:腫瘍発達中の前癌運動能力と代謝は骨格筋と腫瘍の代謝競合を調整する)
著者:Brooks P. Leitner, Andin E. Fosam, Won D. Lee, +7 , and Rachel J. Perry
掲載誌:PNAS December 1, 2025
doi:https://doi.org/10.1073/pnas.2508707122

要旨
運動能力の向上と定期的な運動トレーニングは、がんのあらゆるステージにおいて予後を改善する。しかし、腫瘍と宿主の相互作用を媒介する有酸素運動トレーニングに対する代謝適応については十分に解明されていない。本研究では、マウスにおいて、自発的なホイールランニングが腫瘍の成長を抑制し、ブドウ糖の取り込みと酸化を骨格筋と心筋に再分配し、乳がんおよび悪性黒色腫の腫瘍から遠ざけることを実証する。さらに、プレハビリテーションは肥満マウスにおいてブドウ糖代謝の再分配を誘導する。骨格筋と心筋におけるブドウ糖の取り込みと酸化は促進され、腫瘍におけるブドウ糖代謝は減少する。これらの筋肉におけるブドウ糖代謝の増加と腫瘍におけるブドウ糖代謝の減少は、腫瘍の進行遅延と相関している。[U- 13 C 6 ]ブドウ糖注入を用いて、運動は筋肉における酸化代謝へのブドウ糖の寄与を増加させる一方で、腫瘍における寄与を減少させることを示した。これは、有酸素運動が全身のブドウ糖代謝を腫瘍微小環境から代謝活性組織へと移行させることを示唆している。転写解析により、運動マウスの腫瘍におけるmTORシグナル伝達のダウンレギュレーションが明らかになった。これらの知見を総合すると、自発的な運動は宿主組織のグルコース酸化を促進し、腫瘍におけるグルコースの利用可能性を制限することで腫瘍の進行を抑制する可能性が示唆され、運動誘発性の代謝競合が腫瘍のエネルギー動態を抑制するというモデルを支持するものとなった。

2-2-2)大腸がんに対する新しい治療法開発の試み
**大阪大学の宮坂先生の2025年12月2日のFB投稿です**
大腸がんに対する新しい治療法開発の試みに関するお話です。ちょっと複雑な話です。DNAとか、遺伝子変異とか、がんのネオ抗原とかについてある程度の知識をお持ちの方々向けに書いています。
大腸がんには、最近はやりの免疫チェックポイント療法(免疫細胞のブレーキを外してがんを攻撃させる治療法)が良く効くものと、そうでないものがあります。良く効くものは、最初の図に示すように、マイクロサテライト不安定性の腫瘍、あまり効かないのはマイクロサテライト安定性の腫瘍、ということがわかっています。
マイクロサテライト不安定性のものでは、変異によって出来た異常DNAを修復する機構に欠損があるために、マイクロサテライトと呼ばれる配列の繰り返し部分でミスの蓄積が見られます(このためにマイクロサテライト不安定性という名前が付いています)。この場合には、異常DNAの修復機構が欠けているために遺伝子変異が高い頻度で起こります。その結果できたがん細胞では、(正常組織には無くて)がん細胞だけに存在するいわゆるネオ抗原が多種類作られることになります。すると、がん細胞に対する免疫反応が起こりやすくなり、がんを攻撃するキラーT細胞がうまく作られる傾向があります。この細胞がうまくがん組織の中に入ると、いわゆるホットな腫瘍(免疫細胞を多く含む腫瘍)となり、がん細胞を攻撃して、がん細胞が死滅しやすくなります。この時にさらに免疫細胞のブレーキを外すチェックポイント療法を使うと、がん細胞がさらに効率よく殺されるようになります。つまり、大腸がんの中で免疫チェックポイント療法が一番良く効くのは、このタイプのものです。
一方、免疫チェックポイント療法が効かないのは、いわゆるコールドな腫瘍で、がん組織の中に免疫細胞が非常に少ないタイプのものです。

最近、大腸がんの分類法として国際的コンセンサス分類(CMS分類)が用いられています。それを示したのが2枚目の図です。CMS分類の中でも、CMS1サブタイプが上記のマイクロサテライト不安定でホットな腫瘍を作るタイプのものに相当し、免疫チェックポイント療法が非常に良く効きます。一方、CMS2はコールドな腫瘍ですが、標準的な化学療法や分子標的薬が良く効き、幸い、予後が良いがんです。CMS3, 4はいずれもコールドな腫瘍で、特にCMS4は免疫細胞排除型ともよばれ、がん組織の中に免疫細胞を入れないようにしているように見えるタイプのもので、予後が悪く、免疫チェックポイント療法があまり効きません。
前置きが長くなりましたが、京大消化器内科の研究グループが、マウスの実験モデルを用いて、新しい大腸がんの治療法の開発を試み、CMS4タイプのがんに対する新しい治療法を見つけました。専門誌Nature Communicationsの最新号にその論文が掲載されています(https://www.nature.com/articles/s41467-025-66485-2#citeas)(非常に良く書けた論文で、私としては感心して読みました)。

彼らは、CMS4タイプの大腸がんでは、がん組織のすぐ外側までキラーT細胞が来ているものの組織の中に入れないためにがん細胞が攻撃できないのかもしれないと考えました。そこで、このタイプのがんでは免疫細胞をがん組織の中に入れないようにしている仕組みがあると考え、がん組織に存在する線維芽細胞に注目して調べたところ、トロンボスポンジン-2(THBS2)という分子が沢山発現していることを見つけました。
THBS2は以前から発現が高いと予後が悪いことがわかっている分子で、彼らはこの分子が免疫細胞のがん組織への侵入を妨げていると考えました。そこで、マウスの実験モデルでTHBS2の発現を止めると、免疫チェックポイント療法が途端に良く効くようになり、キラーT細胞ががんの組織内に浸潤して、がん細胞の破壊が始まり、さらに、キラーT細胞を惹きつけるケモカインであるCXCL9/10ががん組織の中で強く発現するようになり、そのためにキラーT細胞がさらにがん組織に入りやすくなり、がんの治療効果が高まるようになりました。
すなわち、大腸がんの組織でTHBS2の働きを止めると、難治性であるはずのコールドな腫瘍がホットな腫瘍に変わり、がん組織への免疫細胞の浸潤が高まり、がんの免疫療法の効果が大いに高まるということがわかったのです。まだマウスの実験モデルの段階ですので、今後はヒトでの応用の可能性が探られることとなります。
出来てしまったがん細胞を免疫の力で排除するというのが、がん免疫療法です。その際にTHBS2という分子の働きをうまく止められると、特定のタイプのがんでは、免疫療法の効果がぐんと高まるのかもしれません。医学は日進月歩の世界です。さらなる研究の発展が期待されます。

関連情報
原論文
掲載誌:Nature Communications Article(Open access)
公開日:Published: 23 November 2025
表題:Targeting fibroblast derived thrombospondin 2 disrupts an immune-exclusionary environment at the tumor front in colorectal cancer
(和訳:線維芽細胞由来トロンボスポンジン2を標的とすることで、大腸癌の腫瘍前線における免疫排除環境を破壊する)
著者:Kosuke Iwane, Yuki Nakanishi, Yu Muta, Jiayu Chen, Kento Yasumura, Mayuki Omatsu, Naoki Aoyama, Munehiro Ikeda, Yoko Masui, Liyang Cai, Go Yamakawa, Kensuke Hamada, Kenta Mizukoshi, Munenori Kawai, Kei Iimori, Shinnosuke Nakayama, Nobukazu Agatsuma, Takahiro Utsumi, Munemasa Nagao, Takahisa Maruno, Yukiko Hiramatsu, Nobuyuki Kakiuchi, Masahiro M. Nakagawa, Yasuhiro Fukui, …Hiroshi Seno Show authors

要約
線維性大腸癌(CRC)は、マイクロサテライト安定性が大部分を占め、免疫浸潤が乏しい線維形成性間質を呈する。本研究では、線維性CRCにおける免疫排除性表現型の重要な制御因子としてトロンボスポンジン2(THBS2)を同定した。THBS2は、腫瘍先端部のマトリックス癌関連線維芽細胞で高度に発現している。線維形成性腫瘍オルガノイドを用いた同所性モデルにおいて、Thbs2の全体的または線維芽細胞特異的な欠失は、排除バリアを破壊し、腫瘍内CD8 T細胞を増加させる。機構的には、THBS2は樹状細胞およびマクロファージ由来のCXCL9/10を抑制することでCXCR3 + CD8 T細胞の動員を制限する。これらの骨髄細胞の枯渇、またはCXCL9/10-CXCR3シグナル伝達の阻害は、増強されたCD8 T細胞流入と抗腫瘍効果を無効にする。空間プロファイリングにより、THBS2の欠損はCD8 T細胞と骨髄細胞の近接を誘導し、ケモカインの発現を上昇させることが示された。浸潤が増加するにもかかわらず、CD8 T細胞は疲弊状態を示し、腫瘍は免疫チェックポイント阻害に対する感受性が非常に高くなる。したがって、THBS2は線維性大腸癌における免疫排除を克服するための、CAF特異的な標的として扱いやすいと考えられる。

 

2-3)岐阜大学医学部の下畑先生からの最新医学情報(2025年12月)
・患者数 倍増のパーキンソン病を予防する25の提案!―話題の書『The Parkinson’s Plan』より―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月3日のFB投稿です**
2018年のJAMA Neurology誌にパーキンソン病(PD)患者が世界的に急増し,パンデミック状態にあることが報告されました(JAMA Neurol.2018;75:9-10.).メタ解析の結果から,全世界の患者数が2015年の690万人から,2040年では2倍以上の1420万人に急増するという推定に基づくものです.PDは加齢と遺伝が主因と思われがちですが,近年,「環境毒による神経障害」が原因かもしれないという疫学研究や基礎研究が相次いで報告されています.例えば,大気汚染のPM2.5はαシヌクレインの構造を変化させて,凝集が速く,分解されにくく,かつ強い神経毒性を示すフィブリルに変えてしまいます(Science. 2025;389(6716):eadu4132).このため「生活や環境の調整が予防や進行抑制につながるのではないか」という見方が広がっています.これを詳しく解説した本が,米国の脳神経内科医 Ray Dorsey 教授と Michael Okun 教授が執筆した『The Parkinson’s Plan(https://amzn.to/4iyOBnF)』 です.PLANの意味は,「予防 (Prevent)」「学習 (Learn)」「増幅 (Amplify)」「ナビゲート (Navigate)」の頭文字で,この4つのセクションで構成されています.
この本では,PDを増加させる「環境毒」として以下のものを紹介しています.これらは急性中毒ではなく,微量の長期蓄積がドパミン神経に負担を与えます.
◆農薬:パラコート,クロルピリホス,有機塩素系,ピレスロイド
◆工業用溶剤:TCE(トリクロロエチレン),PCE(パークロロエチレン)
◆大気汚染:PM2.5・交通・工場由来排気ガス
◆地下水や食品を介する化学物質
◆除草剤が散布される校庭・公園・ゴルフ場 など
本書は「完璧ではなくていいから,できることを少しずつ行っていこう」という姿勢で,生活の中で実践できる25の行動(Parkinson’s 25) を紹介しています.25項目を領域ごとに並び替えたものを以下に示します.
【食事・食材・農薬】
1.野菜・果物は有機でも必ずよく洗う(残留農薬を洗い流す)
2.和食ベース+野菜・魚中心の食生活(動物性脂肪は控えめに)
3.においが強いクリーニング工場が近いスーパーは避ける(ドライクリーニングでパークロロエチレンが使用されるため)
4.お酒は飲むなら少量,可能なら農薬の少ないものを選ぶ(ワインのぶどうの農薬残留が少ないもの)
5.糖尿病をつくらない・悪化させない(食事・体重管理・運動)
【生活習慣・からだの健康】
6.コーヒーやお茶を適量楽しむ(カフェインを摂取できる人)
21.週に150分以上の有酸素運動(散歩・自転車・体操など)
22.睡眠の質を高める(睡眠リズム・いびき・レム睡眠行動障害にも注意)
23.頭部外傷を防ぐ(シートベルト・ヘルメット・転倒予防)
【農作業・園芸】
7.農薬を使うときは防護具(手袋・マスク・ゴーグル)を使用する
17.園芸では素手で薬剤に触れず,必要最小限の散布にする
18.ゴルフ場では散布直後のプレーを避ける
19.学校・運動場での除草剤・農薬について確認してみる
【水と空気の安全】
8.井戸水を飲む地域では定期検査を行う
9.浄水器を使う場合はフィルター交換を守る
10.空気清浄機(HEPA+活性炭)を寝室・居間に設置する
16.渋滞・トンネルでは窓を閉じて「内気循環」(車の外気を取り込まず,車内の空気を循環させる設定にすることで,大気汚染物質の吸入を減らす)
【室内環境】
11.家庭用殺虫剤は必要最小限・換気を徹底する
12.住む地域の土壌・工場跡地情報も参考にする(過去に化学物質で汚染されていないか調べる)
13.クリーニング品はビニールを外して風通しの良い場所で保管する
14.集合住宅の1階がクリーニング店の場合は注意する
15.保育園・学童の近くにドライクリーニング工場がないか確認する
【職業と化学物質】
20.農業・造園・清掃・工場作業などでは防護具を使用する
25.軍務経験者・化学物質曝露歴がある方は相談先を確認(社会として支援する)
【コミュニティ】
24.公園・道路・学校などで農薬使用量を減らす活動に参加する
大変な時代になってきました.環境毒はPDのみならず,アルツハイマー病などの認知症,神経変性疾患にも関わる可能性があります.この本では取り上げられていませんが,ヒトの疫学研究はまだであるものの,基礎研究で報告され始めたものがマイクロ・ナノプラスチックです(Sci Adv. 2023 Nov 15;9(46):eadi8716. doi.org/10.1126/sciadv.adi8716). これもαシヌクレインを凝集させ,伝播を促進し,かつリソソーム機能を抑制します.マイクロ・ナノプラスチックと神経疾患については,明日の日本臨床麻酔学会第45回大会の招請講演で発表いたしますし,1月10日発売の「医学のあゆみ」誌でも特集「全身疾患の新たな危険因子としてのマイクロ・ナノプラスチック」を企画させていただきました.このような環境に対する取り組みや政策が疾患予防に重要となることを多くの人に啓発していく必要があります.
Dorsey R, Okun MS. The Parkinson’s Plan: A New Path to Prevention and Treatment. New York: PublicAffairs; 2025. https://amzn.to/4iyOBnF

・アルツハイマー病「ApoE4でも救える」可能性が見えてきた:酸化リン脂質とフェロトーシスを標的とした次世代治療戦略
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月4日のFB投稿です**
アルツハイマー病の発症リスクを大きく左右するアポリポタンパクE(ApoE)は,脳における脂質輸送と神経活動の維持に中心的な役割を担っています.ApoE4はアルツハイマー病の最大の遺伝的リスク因子として知られていますが,ApoE2およびApoE3Christchurch(ApoE3Ch)は一転して神経を強力に保護することが明らかになっています.このメカニズムの一端を解明したのが,今回紹介するNeuron誌に掲載された国際共同研究です.
本研究で重要となるのが,脂質過酸化(lipid peroxidation;LPO)と酸化リン脂質の蓄積です.LPOとは,細胞膜の多価不飽和脂肪酸が酸化される現象で,その結果生じる酸化リン脂質は強い毒性を持ちます.ApoE2とApoE3Chは,ABCA7トランスポーターを介して酸化リン脂質をニューロン外へ排出することができ,排出された酸化リン脂質はグリア細胞内で脂肪滴として蓄えられ無害化されます(図上).こうして酸化リン脂質の蓄積とLPOの連鎖が抑えられることで,リソソーム機能が維持され,膜脂質のさらなる過酸化を防ぎ,フェロトーシスを回避できます.ちなみにフェロトーシスとは,細胞膜の脂質が過剰に酸化されることで起こる特殊な細胞死です.鉄(フェロ=Fe)が関与するためこの名前がついています.
対照的にApoE4では,酸化リン脂質排出が阻害されることでLPOが継続的に進行し,ニューロン内に酸化リン脂質が蓄積します.これによりリソソームが障害され,膜脂質の過酸化がさらに進み,最終的にフェロトーシスに至ります(図下).この模式図の対比は,ApoEの違いが神経保護的か神経毒性的かを分ける根幹に脂質代謝があることを示しており,非常に印象的です.
さらに研究チームは,ApoE4を発現させたヒトiPSC由来ニューロンを用いたin vitro実験で,グルタミン酸刺激により興奮毒性ストレスを与えて神経活動を低下させた後に,ApoE2またはApoE3Chタンパク質をリン脂質と組み合わせて人工的にHDLのような粒子にしたものを培地に加えると,ニューロンに蓄積していた酸化リン脂質は有意に減少し,リソソームのpHと分解活性は回復し,カルシウムイメージングおよび多電極アレイによって評価された神経活動も改善しました.すなわち,ApoE2/ApoE3Chはダメージ前の予防因子にとどまらず,ダメージ後の介入によっても神経機能を救済できる可能性を持つということが示されました.言い換えるとこの結果は,ApoE4による神経毒性が不可逆的,決定的なものではなく,脂質排出の経路を操作することで回復可能であることを意味しており,ApoE4キャリアに対する新たな治療戦略の可能性を示しています.
アミロイドβやタウが長らく研究の中心を占めてきましたが,そう単純なものではないのだと思います.「酸化リン脂質を外に出せるニューロンは生き残り,出せないニューロンは死に向かう」という明確な結論は,従来のアルツハイマー病観に,脂質代謝とフェロトーシスという新たな視点を加えるものと言えます.
Ralhan I, et al.Protective ApoE variants support neuronal function by effluxing oxidized phospholipids.Neuron.Article Online now December 02,2025.doi.org/10.1016/j.neuron.2025.10.040.

・見えない毒性因子―マイクロ・ナノプラスチックがもたらす脳・血管への脅威―@日本臨床麻酔学会第45回大会
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月5日のFB投稿です**
昨日,標題の学会で招請講演の機会をいただきました.日本ではまだ議論が本格化していませんが,個人的には今年もっともインパクトのあったトピックスの一つでした.
マイクロ・ナノプラスチック(MNPs)は,飲料水や食品包装だけでなく医療機器を介しても体内に侵入し,血液脳関門を通過して脳に蓄積します.臓器別では脳に最も多く蓄積することが示されており,なんとクレヨン1本分の重さ(10 g)になります.さらに頸動脈プラークや脳梗塞の血栓からも検出され,心血管イベントや脳卒中の重症度と関連することが報告されています.認知症患者の脳や脳脊髄液でも濃度上昇が確認され,神経炎症や神経変性を助長する可能性が指摘されています.加えて,αシヌクレインやアミロイドβがMNPsの存在下で凝集しやすくなり,毒性が増し,パーキンソン病や認知症の病態につながるという報告も今年相次いでいます.
麻酔科領域でも,手術室という特異な環境にも目を向ける必要があります.手術室は最もプラスチック密度の高い空間の一つであり,輸液ラインや麻酔回路などから発生したMNPsが血中に直接入り得ます.POCD(術後認知機能障害)は多因子的な病態ですが,プラスチック曝露がその一因となり得る可能性があり,今後の検証が必要です.
欧州や米国では対策が先行している一方,日本ではまだ認識が十分とは言えません.生活から完全にプラスチックを排除することは困難ですが,プラスチックが神経機能に影響しうるという知識を共有し,できるところから減らす意識を持つことは,個人レベルでも社会レベルでも意味があると感じています.以下よりスライドをダウンロードいただけます.
https://www.docswell.com/…/800…/5DW1JG-2025-12-05-104421
【内容】
1.マイクロ・ナノプラスチック総論(定義・発生源・検出技術)
2.曝露経路と体内動態・臓器蓄積(とくに脳への高蓄積と細胞毒性)
3.脳血管・心血管系への影響(頸動脈プラーク,血栓,脳卒中リスク)
4.認知機能障害と神経変性疾患への関与
― 認知症・アルツハイマー病・パーキンソン病・プラスタミネーション
5.大気汚染PM2.5と神経変性:MNPsとの共通機序と相乗効果の可能性
6.手術室環境と術後認知機能障害(POCD)におけるマイクロ・ナノプラスチック曝露
7.欧州と日本の対策状況の比較と,個人・社会レベルでの曝露低減策
8.今後の研究課題と海外で始まりつつある治療的アプローチ

関連情報
マイクロプラスチックについては、2025年6月のニュース2025年3月のニュース2025年2月のニュース2024年4月のニュースでも取り上げています。

・特発性正常圧水頭症は「脳が硬いスポンジ」のようになり流れが滞るが,治療で再び動き出す
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月8日のFB投稿です**
特発性正常圧水頭症(iNPH)は,歩行障害,尿失禁,認知機能低下を三徴とする疾患(図左)で,高齢者における治療可能な認知症の代表とされています.NEJM誌に素晴らしい総説が掲載されています.著者らはまず,iNPHが単なる脳室拡大による機械的圧迫の結果ではないと述べています.従来,拡大した側脳室が周囲の白質を圧迫し,歩行や注意機能を司る前頭葉深部の線維路や脳梁が障害されることが本症の病態と考えられてきました.しかし,脳脊髄液を除去すると症状は速やかに改善する一方で,脳室そのものはほとんど縮小しないという臨床的事実から,単なる圧迫だけでは症状を説明できないと現在は考えられています.
本論文が強調しているのは,脳血流・脳脊髄液・代謝老廃物のクリアランスを含む循環ネットワークが破綻しているということです.頭蓋内圧の波形解析では,1拍ごとの脈動に伴う圧変動が増大しており,脳のコンプライアンス(容積変化に対する柔らかさ)が低下していることが示唆されます.すなわちスポンジが固くなったような状況です.このため,心拍に同期した微小な圧力波が脳実質内に伝わりにくくなり,血管周囲の流体運動が滞ることを意味します.さらに,大脳白質では微小虚血を思わせるT2高信号がみられ,慢性的な血流低下や血管反応性の障害が報告されています.血管の拍動が脳脊髄液の流れを駆動していることを考えると,この血管反応性の低下は,脳脊髄液循環の低下と密接に関係しています.
また,神経活動のネットワークレベルでの異常も指摘されています.iNPH患者では,前頭葉と皮質下構造の機能的結合が低下し,これが歩行障害や注意機能の低下に関係していることが,fMRIや脳波研究から示されています.脳脊髄液除去後に一部のネットワーク結合が回復することから,脳内圧・流体環境の変化が神経活動に可逆的な影響を及ぼしていると考えられます.
さらに注目されるのが,グリンファティック経路の障害です.この経路は,脳脊髄液が動脈周囲から脳実質に入り,老廃物を洗い流しながら静脈周囲へと流れる排出システムであり,脳のリンパ系に相当します.iNPHではこの流れが遅延し,老廃物が除去されにくくなっていることが動物モデルやMRI研究で報告されています.血管周囲やくも膜下腔での脳脊髄液循環の停滞は,アミロイドβやリン酸化タウなどの蓄積を促進する可能性があり,iNPHが加齢性変化と神経変性疾患をつなぐ病態であるという仮説も浮上しています.しばしば併存が認められるPSPとの関連も関心があるところです.
図右では,iNPH患者のMRI画像として,Evans比の上昇と側脳室拡大に加えて,脳梁角の減少,頂部脳溝の圧排,Sylvian裂の拡大といった典型的なDESH(disproportionately enlarged subarachnoid-space hydrocephalus)所見が描かれています.これらの画像は,脳脊髄液が頭頂部のくも膜下腔から排出されにくくなり,側頭部に再分布することで局所的な圧勾配と流体停滞が生じていることを示唆しています.すなわち,脳全体の「流れの不均衡」が,歩行や認知に関わる領域の機能障害を引き起こしているものと考えられます.
著者らは,このような流体循環異常の背景に遺伝的素因も存在すると指摘しています.線毛の運動に関与するCFAP43遺伝子や,GPIアンカー型タンパク質の修飾に関わるCWH43遺伝子の変異が,家族性iNPHの原因として報告されており,線毛の異常が脳脊髄液流動障害をもたらすことが動物モデルで確認されています.これらの発見は,iNPHが単なる「老化の結果」ではなく,分子レベルの機能異常を基盤とする疾患であることを裏付けています.
では,なぜ脳脊髄液をシャントすると症状が改善するのでしょうか.iNPHでは,脳のコンプライアンス(柔らかさ)が低下して圧力波が広がりにくくなり,血流や髄液の循環,老廃物の排出が滞っています.シャントで脳脊髄液を逃がすと,コンプライアンスが回復し,血管の脈動に合わせて脳脊髄液が再びスムーズに流れるようになり,グリンファティック系による老廃物排出も改善します.その結果,歩行や認知機能が回復するため,脳室が縮まらなくても症状が改善すると考えれば良いようです.
つまりiNPHは脳循環ネットワークの可逆的破綻によって発症する疾患であり,その病態の解明がより早期の精度の高い診断と最適な治療法開発につながるものと期待されます.
Johnson MD, Williams MA. Idiopathic Normal-Pressure Hydrocephalus. N Engl J Med. 2025;393:2243–2253. doi.org/10.1056/NEJMra2306506.

・ロバート・ワルテンベルグ ──医の倫理の岐路に立ったセミオロジストの光と影@Brain Nerve誌12月号
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月9日のFB投稿です**
Brain Nerve誌12月号はクリスマス企画号ですが,今年は「神経学の巨人──先駆者たちの遺したもの」がテーマになりました(https://amzn.to/4s1PPwj).若い頃の私は医学史に関心がありませんでしたが,私たちが日々あたり前に行っている神経学の診療・研究の根幹は,過去の偉大な先駆者の思索と努力の積み重ねの上に成り立っていることをだんだん認識できるようになり,「もっと早く神経学の歴史を学んでおくべきだった」と思うようになりました.この1冊をお読みいただけば,神経学がさらに面白くなるという特集号を作りたいと思いました.
さて本書では以下に示すように「神経学の巨人」と呼ぶにふさわしい人物が,錚々たる執筆者により幅広く紹介されています.私はロバート・ワルテンベルグ(1887–1956)について執筆しました(図2).彼の名を冠した反射は神経症候学を学んだことのある方なら知らない人はいないと思います(https://www.med.gifu-u.ac.jp/…/observation/20220310.html).私も彼の執筆した本をいまもときどき参照します(図3).彼は神経診察を精緻化し,多数の徴候を体系化したセミオロジストであり,鋭い観察力と教育への情熱によって神経学の発展に大きな足跡を残しました.ドイツからの亡命後はUCSFで神経症候学を確立し,米国神経学会(AAN)の設立や『Neurology』誌の創刊にも助言するなど,中核的役割を果たしました.
一方で,1953年の国際学会においてナチス協力者であったユリウス・ハラーフォルデン(現在のPKAN;パントテン酸キナーゼ関連神経変性症の発見者)の登壇を擁護したことで強い倫理的批判を受けました.「科学的功績と政治的行為を切り離すべき」とする彼の判断は,冷戦期の政治背景も絡んで現在まで議論の対象となっています(いわゆるハラーフォルデン事件).AAN年次総会で最も権威あるセッションである「ロバート・ワルテンベルグ記念講演」も,2024年に発表されたこの倫理的問題を再検証するZeidmanの論文を契機として名称変更が発表されました.科学と倫理のあり方を深く考えさせられる事件でした.歴史を知ることは,過去を追体験するだけでなく,未来の神経学を形づくるための羅針盤になる──そのことを改めて感じさせてくれる特集号だと思います.
追伸:佐伯千寿先生による素晴らしい表紙のイラストは今回が最終回になりました.毎号とても楽しみにしておりましたが,毎号の制作は大変だったと思います.お疲れさまでした!
Amazonで予約が始まりました(https://amzn.to/4s1PPwj).
【目次と著者】
◆神経学の先駆け デュシェンヌ・ド・ブローニュ 小長谷正明
◆ポール・ブローカ ──言語脳科学の源流 酒井邦嘉
◆ジョン・ヒューリングス・ジャクソン ──局在論と全体論を超えて 虫明 元
◆ローマの神経学者 エットーレ・マルキアファーヴァとマルキアファーヴァ・ビニャミ病(MBD) 河村 満
◆サンチアゴ・ラモニ・カハール ──神経解剖学の礎を描く 神田 隆
◆臨床神経学とジョセフ・ババンスキー 廣瀬源二郎
◆日本神経学の祖 川原 汎 ──名古屋神経学の源流 亀山 隆
◆ヘンリー・ヘッドと「母指探し試験」の系譜 福武敏夫
◆神経病理学の父 ジョセフ・ゴッドウィン・グリーンフィールド 髙尾昌樹
◆ロバート・ワルテンベルグ ──医の倫理の岐路に立ったセミオロジストの光と影 下畑享良
◆ワイルダー・ペンフィールド ──ホムンクルスの構築とモントリオール手術法の開発 渡辺英寿
◆アレクサンドル・ルリヤの失語分類 ──その理論的背景 鹿島晴雄
◆オリヴァー・サックス ──神経学と文学の融合 山脇健盛

・フランス医学史学会誌に三浦・シャルコー研究論文が紹介されました!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月10日のFB投稿です**
フランス医学史学会(SFHM)が,ジャン=マルタン・シャルコー生誕200周年を記念した特別号を公開しました.2025年にパリ・サルペトリエールで開催された国際シンポジウムの講演内容をまとめたもので,内容としては
4–19頁 シャルコーの生涯と業績の総説(Olivier Walusinski)
20–42頁 「シャルコーの現代的意義と遺産」41演題の総括
43–46頁 生誕200周年記念イベントの写真アーカイブ
という構成になっています.
このなかで,私が発表した「Kinnosuke Miura and Jean-Martin Charcot: A Master-Disciple Legacy in Modern Japanese Neurology」についても以下のように紹介していただきました.
三浦謹之助(1864–1950)はシャルコーの弟子であり,日本近代神経学の草創期を支えた人物です.わずか8ヶ月という短いサルペトリエール滞在であったにもかかわらず,三浦は生涯にわたりシャルコーを精神的師として敬愛し,回想録には「患者を細部まで観察し,観察を非常に重視するが,まったく尊大ではない人物であった」という証言が残されています.また,三浦はシャルコーに2通の手紙を送り,2通目(1893年初頭)では「東京大学に神経疾患の専門部門を作りたい」という志を記していました.この構想が実現するのは,実に70年後の1964年であったことが指摘されています.
下図のように三浦謹之助先生の肖像がに加え,三浦の弟子の佐藤恒丸先生の訳された「火曜講義」に掲載されたヒステリー発作の図版も収録されています.さらに拙著Shimohata T & Iwata M : Kinnosuke Miura and Jean-Martin Charcot: A master–disciple legacy in modern Japanese neurology, Journal of the History of the Neurosciences, 2025(doi.org/10.1080/0964704X.2025.2581565)も引用して紹介していただきました.
この歴史的イベントの記録に加えていただけたことは大変光栄なことでした.PDFはフランス語になりますが,無料公開されていますので,ご興味のある方はぜひご覧ください.
https://walusinski.com/data/charcot_esfhm.pdf

・COVID-19は他の呼吸器感染症よりも「機能性神経障害」を新たに発症させる強い誘因となる!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月14日のFB投稿です**
機能性神経障害(FND)は歴史的にヒステリー,心因性疾患,解離性障害,転換性障害,身体表現性障害,心気症,詐病などと呼ばれてきた疾患です.私がこの疾患に取り組んだきっかけはCOVID-19後遺症やワクチン副反応として紹介されてきた患者のなかに多くのFNDが含まれていたことでした.また私がシャルコー先生について勉強したのも,COVID-19と同様に大きな精神的ストレスとなった普仏戦争後に増加したヒステリー患者への彼の取り組みが参考になると考えたためです.つまりCOVID-19後のFND増加は実感としては理解していたのですが,客観的データがありませんでした.
今回,国際的大規模電子カルテデータベースを用いて,COVID-19後のFND発症リスクを体系的に検討した研究が報告されました.この研究ではTriNetXという国際電子カルテネットワークを用い,約274万人のCOVID-19患者を解析対象としています.COVID-19罹患後2週から6か月の間に新たにFNDと診断された症例は1846例であり,その頻度を他の呼吸器感染症後のFND発症と比較しました.その結果,COVID-19後のFND発症率は,他の呼吸器感染症後より一貫して高いことが示されました(図). COVID-19患者全体では,他の呼吸器感染症と比べてFND発症のオッズ比は1.3〜1.6と有意に高く,COVID-19がFNDの誘因となりやすいことが示されています.
さらにCOVID-19の重症度との関係も示されています.入院を要したCOVID-19患者では,外来患者と比べてFND発症のオッズ比が約2.2と高く,救急外来(Accident & Emergency;A&E)を受診した外来患者でもオッズ比は約1.4に上昇していました.つまり,COVID-19の重症度が高いほどFNDを発症しやすい傾向があり,単なる偶然ではなく量反応関係を示唆する結果といえます.一方で,入院を要さない比較的軽症のCOVID-19症例に限定しても,他の呼吸器感染症よりFNDリスクが高いことが示されており,重症度だけでは説明できないおそらく個人の背景要因の存在も示唆されました.
また,パンデミック初期(2020–2021年)と後期(2022–2023年)を比較した解析も行われています.社会的混乱や不安が強かった初期にのみFNDが増えたのであれば,社会心理的要因が主因と考えられますが,図が示すように,時期を分けて厳密に調整した解析ではFND発症リスクに大きな差はありませんでした.この結果は,COVID-19後のFND増加が,一過性の社会不安だけでは説明できず,感染症そのものと個人の背景要因が重要であることを示しています.
さらに著者らは,COVID-19後に新たにFNDと診断された患者と,新たに片頭痛と診断された患者を比較しています.その結果,FND患者では,てんかんや運動障害などの神経疾患,気分障害や不安障害などの精神疾患,さらには心血管疾患や代謝疾患といった身体合併症が有意に多いことが明らかになりました.このことから,FNDは「誰にでも突然起こる」わけではなく,もともと神経学的・精神医学的・身体的な脆弱性を抱えた人に,COVID-19という強い身体的・心理的ストレスが加わることで発症しやすいと考えられました.個人の経験からも非常に納得のいく解釈です.
以上より,COVID-19は他の呼吸器感染症と比べて,FNDを新たに発症させる「強い誘因」となりうることが初めて明確に示されました.COVID-19は今後も続く感染症ですので,罹患後に出現する多彩な神経症状の原因の1つとしてFNDを想起し,早期に診断の説明と介入につなげることが重要と思われます.
★図がすぐに理解しにくいので,私のサマリーとともにGeminiに読み込ませたらあっという間に下図になりました.驚きですね!
Berlot R, et al. Functional Neurological Disorder Following COVID-19: Results From a Large International Electronic Health Record Database. Eur J Neurol. 2025 Dec;32(12):e70459. doi.org/10.1111/ene.70459.

・アルツハイマー病はひとつの疾患ではなく,少なくとも「タウ主導型」と「血管主導型」に分かれる!!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月16日のFB投稿です**
アルツハイマー病(AD)はこれまで,アミロイドβ沈着に始まり,タウ病理を介して神経変性に至る疾患と考えられてきました.しかし近年,微小血管病変の存在が,この理解を大きく揺さぶりつつあります.今回,韓国からNeurology誌に,脳微小出血(CMB)がその病態に大きな影響を与えていることを示す研究が報告されました.
対象は軽度認知障害およびAD患者116例と健常者85例の計201例で,アミロイドPET,タウPET,MRIを組み合わせ,約2年間の縦断的追跡を行いました.さて結果ですが,脳微小出血を認めない群では,ベースラインのタウPET蓄積が,その後の認知機能低下および皮質萎縮の進行と強く関連していました.これはタウ蓄積がADの認知機能に重要であるという近年の考え方に合致します.一方,脳微小出血を有する群では,認知機能低下や皮質萎縮自体は,脳微小出血なし群よりより,広範かつ顕著に進行しているにもかかわらず,それらがタウPETの蓄積量とはほとんど相関しませんでした(図).
図の見方ですが,緑色の部分はタウ蓄積と脳萎縮の関連が強い部位です.脳微小出血を認めない群では,タウ蓄積が高いほど側頭葉,前頭葉,頭頂葉に広範な皮質菲薄化が進行し緑色の部分が多いですが,脳微小出血を認める群では,皮質萎縮は進行しているにもかかわらず,タウ蓄積との関連は限定的で,ほとんど緑色の部分がありません.すなわち,脳微小出血が存在すると,認知症の進行は「タウ主導」では説明できなくなることが明確に示されたわけです.
この結果は,アミロイドβの役割を再考させます.脳実質に沈着するアミロイドβは,長い時間を要しますが恐らくタウ病理を誘導し,典型的なADの進行に関与します.一方,脳血管壁に沈着するアミロイドβ,すなわち脳アミロイド血管症では,血管の脆弱化,慢性虚血,微小出血や微小梗塞を介して,タウとは独立した経路で認知機能低下を進行させます.脳微小出血は,この血管型アミロイドβ病理が前景化していることを示すサインと考えられます.
では,アミロイドβ抗体療法をどのように考えるべきでしょうか.アミロイドβ抗体は,主に脳実質に沈着したアミロイドβを除去し,その結果としてタウ病理の進行を抑制することを目的とした治療です.したがって,脳微小出血を伴わず,タウ病理が病態の中心にある症例では,理論的にも臨床的にも一定の妥当性があります.しかし,脳微小出血や脳アミロイド血管症が前景に立つ症例では,認知機能低下の主因は血管障害であり,タウ病理の寄与は相対的に小さくなります.このような症例では,アミロイドβ抗体による臨床効果は限定的である可能性が高く,むしろ血圧管理のような血管性認知症の対策が有効と考えられます.つまりアミロイドβ抗体療法の是非は「アミロイドβがあるかどうか」ではなく,「どこに沈着し,どの病態経路が主導しているか」で判断すべきだということです.
以上のようにADは一つの疾患ではなく,少なくとも「タウ主導型」と「血管主導型」という異なる進行様式を含んでいそうです.ADの脳血管病としての側面を意識する必要があります.
★先日,ご紹介したこちらの記事もご参照ください(アルツハイマー病は「脳血管病」の性質をもつ:血液脳関門破綻,低灌流,血小板から見える新しい姿)https://pkcdelta.hatenablog.com/entry/2025/11/22/065353
Jung YH, et al. Impact of Cerebral Microbleeds on Tau-Associated Cognitive and Structural Decline. Neurology. 2026 Jan 13;106(1):e214453. doi.org/10.1212/WNL.0000000000214453.

・整形外科医が知っておくべき脳神経内科疾患(整形・災害外科 12月号)
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月17日のFB投稿です**
腰痛,歩行障害,姿勢異常,しびれ,筋力低下など,整形外科の日常診療で遭遇する症候の多くは,脳神経内科疾患でも生じます.このたび,『整形・災害外科』(金原出版)12月号(https://amzn.to/3MK8mgc)において,特集「整形外科医が知っておくべき脳神経内科疾患」を企画させていただきました.本特集では,「どのようなときに脳神経内科疾患を疑うべきか」「どの時点で脳神経内科医につなぐべきか」という診療の分岐点を整理することを主眼としています.
具体的な疾患としては,パーキンソン病,ALS,多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害(MS・NMOSD),慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)に加え,近年,注目の疾患として特発性正常圧水頭症,アミロイドーシス,免疫チェックポイント阻害薬による神経系免疫関連有害事象(irAE)や機能性神経障害など,整形外科との境界で問題となりやすい疾患を取り上げています.第一線で活躍するエキスパートが,最新の知見を踏まえて実践的に解説してくださいました.整形外科と脳神経内科の連携を深め,日常診療に役立つ現場志向の特集だと思います.最後に素晴らしい原稿をご執筆くださった先生方に感謝申し上げます.
Amazonページ https://amzn.to/3MK8mgc
ホームページ  https://www.kanehara-shuppan.co.jp/magazines/detail.html…
【項目】
整形外科医のためのパーキンソン病診療ガイド;梶山 裕太,三原 雅史
多発性硬化症と視神経脊髄炎スペクトラム障害;松下 拓也
筋萎縮性側索硬化症;熱田 直樹
慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー;国分 則人
特発性正常圧水頭症;山原 直紀,下畑 享良
脊髄サルコイドーシス;古賀 道明
アミロイドーシス;植田 光晴
免疫チェックポイント阻害薬における免疫関連有害事象(irAE);角南 陽子,鈴木 重明
Sjogren症候群の神経系合併症;桑原 宏哉
機能性神経障害―概念から診断・治療まで;関口 兼司

・血液タウで診断したアルツハイマー病は加齢で激増するが,症状の程度はタウだけでは決まらない――tau-clinical mismatchという新しい考え方
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月20日のFB投稿です**
アルツハイマー病(AD)の診療は,血液バイオマーカーの登場によって大きな転換点を迎えています.とくにリン酸化タウ217(pTau217)は,採血で済むという侵襲性の低さと高い診断精度から,AD病理を反映する指標として急速に普及するものと思われます.では①実際にpTau217陽性の患者(?)の有病率はどの程度なのか?,また②タウが高ければ重症と考えてよいのか?が分かりません.今回紹介する2つの研究はきわめて示唆に富んでいます.
まず,Nature誌に掲載されたノルウェーの大規模地域住民研究であるHUNT研究を基盤とした論文では,血液中リン酸化タウ217(pTau217)を用いて,アルツハイマー病(AD)病理が地域社会にどの程度存在するのかが検討されています.本研究は,58歳以上の一般住民11,486人を対象とした大規模研究です.重要なのは図1です.年齢階級ごとにAD病理陽性(pTau217 ≥0.63 pg/mL)と推定される割合が示されています.その結果,58~69歳ではAD病理陽性者は8%未満にとどまる一方,70~74歳では約18%,75~79歳では約28%,80~84歳では約44%,85~89歳では約58%と,年齢とともに段階的に増加し,90歳以上では65.2%に達していました.すなわち,AD病理は高齢になるほど急速に頻度が増し,超高齢期には「例外的な病態」ではなく,「一般的な現象」に近づくことが,人口レベルで明確に示されたわけです.
さらに重要なのは,このAD病理の広がりが,必ずしも臨床症状と一致しない点です.70歳以上の集団を対象とした解析では,AD病理は認知症患者の60.0%に認められましたが,軽度認知障害(MCI)でも32.6%,認知機能が保たれている集団においても23.5%に存在していました.言い換えれば,70歳以上では,認知症でなくても約4人に1人がAD病理を有していることになります.これらの結果が示しているのは,タウを中心とするAD病理は「症状出現前に,すでに相当数の人に存在し得るもの」であるという事実です.
しかし,ここで次の疑問が生じます.もしタウ病理がすでに存在している場合,症状の出方や進行速度に個人差がないのだろうかということです.この問いに取り組んだのが,米国ペンシルベニア大学等からのJAMA Neurology誌に掲載された研究です.ADNIなどの縦断データを用い,アミロイドβ陽性例におけるタウ病理と臨床症状の関係を詳細に解析しました.図2では,タウPETあるいは血漿pTau217と,CDR-SBの関係が散布図として示されています.全体としてはタウ量と症状重症度に正の相関が認められるものの,同じタウ量であっても症状が軽い例と重い例が明確に存在しています.著者らはこの乖離を「tau-clinical mismatch」と名付けました.そして回帰モデルからの残差として定量化し,タウ量と症状が概ね一致するcanonical群,タウ量の割に症状が軽いresilient群,タウ量の割に症状が重いvulnerable群という3群に分類しました.そしてvulnerable群ではCDR-SBの上昇やMMSE低下が有意に速く,次の臨床ステージへの移行リスクも高いことが示されました.一方,resilient群ではその逆で,同じタウ病理を持ちながら全く異なる臨床経過をたどることも明らかになりました.
では,このtau-clinical mismatchは何によって生じるのでしょうか.本研究で最も説得力をもって示されたのは,vulnerable群ではTDP-43関連MRI指標の異常やαシヌクレインseed amplification assay陽性率が高く,共存病理の存在が臨床的脆弱性を規定しているという点です.一方,resilient群では共存病理が少ないだけでは説明しきれず,認知予備能やレジリエンスといった防御的要因の関与が考えられます.教育歴や知的活動,遺伝因子,免疫反応,血管因子などが,症状発現を抑制している可能性があります.
この2つの研究を合わせて考えると,AD病理を有する人は加齢で激増するが,タウ単独では決まらず,共存病理による加速と,レジリエンスによる防御という2方向の力のバランスによって規定されているということのようです.防御には恐らくグリンファティックシステムなどが関わるものと考えられます.結論として血液バイオマーカー時代のADは,「タウの有無」を問う段階から,「タウ × 共存病理× レジリエンス要因 × クリアランス(グリンファティック)」というものになっていきそうです.アミロイドβを脳脊髄液やPETで評価している現在とはかなり違ったものになりそうです.
Aarsland D, Sunde AL, Tovar-Rios DA, et al. Prevalence of Alzheimer’s disease pathology in the community. Nature. 2025. doi.org/10.1038/s41586-025-09841-y
Brown CA, Mundada NS, Cousins KAQ, et al. Copathology and clinical trajectories in individuals with tau-clinical mismatch. JAMA Neurology. 2025. doi.org/10.1001/jamaneurol.2025.4974

・知っていただきたい「機能性神経障害」 ―診療に潜む倫理的課題と私たちができること―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月25日のFB投稿です**
機能性神経障害(functional neurological disorder,FND)をめぐる臨床倫理的問題について総説としてまとめました.FNDは筋力低下,けいれん発作,不随意運動,感覚障害など多彩な症候を呈する頻度の高いコモンディジーズです.かつては「ヒステリー」「心因性」「転換性」「詐病」などと呼ばれてきましたが,近年は神経学的に診断可能で,治療可能な疾患単位として再構築されつつあります.しかし診療の現場には,いまなお誤解や偏見,制度的な不備が残されており,患者さんが不必要な苦痛を被っている現実を実感しています.状況を改善する必要性を強く感じ,この総説を執筆しました.
本総説では,2015年以降の文献を検討し,FNDをめぐる臨床倫理的問題を四つの領域に整理しました.それは「スティグマ」「誤診と医原性の害」「患者と医療者の病態理解の乖離と患者体験の軽視」,そして「ジェンダーと歴史的偏見」です.とくにスティグマは,患者さんが「症状を作っている」「怠けている」と疑われ,信じてもらえない経験を重ねることから生じます.このような経験は患者さんの尊厳を損ない,生活の質を低下させ,医療への信頼を失わせます.また,一度FNDと診断されるとその後に生じた新たな器質疾患が見逃されやすくなる「診断の影の効果」もあり,誤診や過剰治療,不必要な侵襲的処置が医原性の害として患者さんを苦しめる場合があります.
さらに,医療者と患者さんの間には,症状の随意性や意味づけに関する理解の乖離があります.医療者は「随意とも不随意とも解釈できる」と捉えがちですが,患者さんは「自分の意思ではどうにもならない」と感じています.このずれが診断の受容を妨げ,信頼関係の構築を困難にします.またFNDは歴史的に「ヒステリー」として女性に帰属されてきた経緯があり,ジェンダーバイアスや社会的偏見が現在の診療にも影を落としています.虐待や暴力といったライフイベントが発症や持続に関与する場合も少なくありませんが,これらへの配慮は十分とは言えません.
本総説の提案は,これらの問題を「臨床倫理の四原則」という枠組みで整理し,日常診療の具体的な行動に結びつけることでした.表(英語)では,自律尊重,善行,無危害,公正の四原則ごとに,現状の課題と望ましい対応を対比的に示しています.①自律尊重の観点からは,陽性徴候を示して疾患の実在性を保証し,患者さんの語りに耳を傾けることの重要性を示しました.②善行の観点からは,スティグマを軽減する医療者教育と心理社会的支援の充実を挙げました.③無危害の観点からは,除外診断ではなく陽性診断を行い,不必要な検査や治療を避ける姿勢の必要性を示しました.④公正の観点からは,ジェンダーや社会的弱者に対する不公平を是正し,公平な医療アクセスと資源配分を確保する必要性を示しました.
FNDでは,患者さんをどう理解し,どう関わるかという姿勢そのものが治療の一部になります.患者さんを信じて尊重し,害を最小化し,公平性を確保するという原則を意識的に実践し教育していくことが重要であると考えます.
下畑享良.機能性神経障害における臨床倫理的問題―患者尊重と医療者教育の必要性―.臨床神経(早期公開)https://doi.org/10.5692/clinicalneurol.cn-002182
無料でダウンロードできます.またスライドを以下からご覧いただけます.
https://www.docswell.com/…/800…/KG2PW4-2025-11-09-070636

・予防神経学がひらくこれからの健康社会 ― 脳神経内科医の新しい役割―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月28日のFB投稿です**
Neurology誌の総説「An Ounce of Prevention: The Growing Need for Preventive Neurologists」を興味深く読みました.米国神経学会ポッドキャストでも取り上げられた注目の論文です.脳神経内科医の役割を「発症後の治療」から「発症前の予防」へと転換する必要性を論じています.医療の進歩によってがんなどによる死亡が減少し,多くの人が脳卒中や認知症などの神経疾患とともに長く生きる時代になり,その結果,神経疾患は世界最大の障害負荷の原因となっています.2021年には世界人口の約43%にあたる34億人が何らかの神経疾患を有していたとされ,神経疾患は障害調整生命年の最大の原因であり,死亡原因としても第2位を占めています.とくに認知症は2050年までに3倍に増加すると予測され,医療費と介護負担の爆発的増加が懸念されています.
この論文のメッセージは,神経疾患の多くは「避けられない運命」ではなく,相当部分が予防可能であるという点です. INTERSTROKE研究では,高血圧,喫煙,腹部肥満,運動不足,不適切な食事,糖尿病,過剰飲酒,心理社会的ストレスやうつ,心疾患,脂質異常症という10の修正可能な危険因子で,脳卒中リスクの約90%が説明可能であることが示されています.そして生活習慣と危険因子管理により最大80%の脳卒中が予防可能とされています.
またLancet委員会は,教育歴,難聴,高血圧,喫煙,肥満,うつ,運動不足,糖尿病,社会的孤立,過剰飲酒,頭部外傷,大気汚染,視力障害,高LDLコレステロールという14因子を通じて,認知症の40%以上が予防または発症遅延可能であると報告しています.さらにFINGER試験やSPRINT-MIND試験といった前向き介入研究により,実際に介入することで認知機能低下を抑えうることも示されています.具体的にはFINGER試験は,認知症リスクを有する高齢者を対象に,食事指導,運動療法,認知トレーニング,血管危険因子管理を組み合わせた多領域介入を2年間行い,介入群では記憶や実行機能などの認知機能が有意に改善しました.SPRINT-MIND試験は,高血圧患者を対象に,収縮期血圧120mmHg未満を目標とする厳格な降圧治療が,軽度認知障害の発症および軽度認知障害または認知症の複合エンドポイントを有意に減少させることを示しました.これらの研究は,認知症は不可避な老化現象ではなく,危険因子への介入によってその進行を遅らせたり,発症を防いだりできる可能性があることを実証するものです.
論文の中で最も印象的なのが下図で,脳神経内科医の役割をピラミッドで示しています.最下層には個々の患者の診療があり,その上に家族への教育,医療チーム内での専門的助言,研修医・学生への教育が積み重なり,さらに上層では地域への啓発活動や社会・政策への提言が位置づけられています.これは,脳神経内科医は診療室の中だけで完結する存在ではなく,個人,家族,医療システム,社会という複数のレベルで脳の健康を支える「脳の健康推進者(brain health advocate)」として機能すべきであるという著者のビジョンを視覚的に表現したものです.予防神経学とは,個人医療と公衆衛生を橋渡しする新しい専門性であるとも言えます.この考え方は非常に納得できるものです.
論文タイトルに使われている「An Ounce of Prevention」は,英語の格言「An ounce of prevention is worth a pound of cure(わずかな予防は大きな治療にまさる)」に由来しています.つまり「ほんの少しの予防的努力が,将来の膨大な治療や苦痛を防ぐ」という意味が込められています.脳神経内科医は,病気を治す専門家であると同時に,病気を生まない社会をつくる専門家であるべきだというメッセージがこの一語に凝縮されています.
Sabayan B, Boden-Albala B, Rost NS. An Ounce of Prevention: The Growing Need for Preventive Neurologists. Neurology. 2025;105:e213785. https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000213785

・抗ウイルス薬はアルツハイマー病に効くのか?VALAD試験が示した予想外の結論
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月29日のFB投稿です**
近年,単純ヘルペスウイルス1型や2型(HSV1,2)がアルツハイマー病(AD)の病態に関与している可能性が指摘されています.HSVは三叉神経節などに生涯潜伏感染し,免疫状態の変化により繰り返し再活性化する性質を持つため,この慢性的な炎症刺激が神経変性の引き金になるのではないかという可能性が提唱されてきました.このため『抗ウイルス薬であるバラシクロビル(バルトレックス®)がその進行を抑制できるのではないか』という仮説が考えられるようになりました.この仮説を検証するために,米国で行われた多施設共同第2相二重盲検プラセボ対照試験(VALAD試験)がJAMA誌に掲載されました.なお,本研究でHSVが対象とされたのは,剖検脳でHSV DNAがアミロイド斑内に検出されていることや,実験モデルでHSV感染がアミロイド産生やタウリン酸化を誘導すること,疫学的にもHSV抗体陽性者でADリスクが高いと報告されてきたことなど,病理学的,実験的,疫学的根拠がこのウイルスに最も多く蓄積していたためです.
対象は,早期症候性ADまたはADバイオマーカー陽性の軽度認知障害(MCI)で,かつ血清HSV抗体陽性の成人120名で,平均年齢は71.4歳,女性66名でした.被験者は無作為にバラシクロビル群60名とプラセボ群60名に割り付けられ,バラシクロビルは2 g/日から開始して4週間で4 g/日まで漸増され,その後78週間まで維持されました.主要評価項目はADAS-Cog 11項目版の変化量でした.
結果はなんと仮説と逆でした.78週時点でのADAS-Cogの変化量は,バラシクロビル群で10.86点悪化し,プラセボ群では6.92点の悪化にとどまり,群間差は3.93点で統計学的にも有意でした.この差は臨床的に意味のある最小差である3点を上回っており,認知機能の低下はバラシクロビル群の方がむしろ強いことが示されました!!(図1)経時的にも,時間とともに両群の曲線が離れ,バラシクロビル群が一貫してより大きな悪化を示していく様子が分かります.
一方で,副次評価項目である日常生活動作スケール,アミロイドPET,タウPET,MRIによる海馬萎縮や皮質菲薄化などの指標では,いずれも群間差は認められませんでした.すなわち,バラシクロビルは認知機能のみならず,AD病理や神経変性にも影響を与えなかったことになります.安全性の面では,重篤な有害事象は両群で大きな差はありませんでしたが,バラシクロビル群では血清クレアチニン上昇や下痢,悪心,混乱などの軽度副作用がやや多く認められました.著者らは,高用量かつ長期のバラシクロビル投与が,軽微な神経毒性を通じて認知機能悪化として検出された可能性も否定できないと議論しています.
本研究の結論は明確であり,バラシクロビルは早期症候性ADに対して有効ではなく,むしろ認知機能悪化と関連した可能性があるため,治療として推奨されないということです.ただし,この結果は感染症仮説そのものや発症前予防の可能性を否定するものではありません.ADの病理は臨床症状の10年以上前から始まることが知られており,もしウイルス感染やその再活性化が初期トリガーとして関与しているのであれば,発症後の治療ではなく,発症前の段階での介入こそが意味を持つ可能性があります.実際に,帯状疱疹ワクチン接種と認知症リスク低下との関連を示す疫学研究も報告されており,免疫環境の長期的修飾という観点からは,抗ウイルス薬よりもワクチンや予防的介入の方が理論的に適している可能性も考えられます.本試験は,発症後治療の限界を示すと同時に,予防という視点の重要性をあらためて浮き彫りにした研究であるともいえます.
Devanand DP, et al.Valacyclovir Treatment of Early Symptomatic Alzheimer Disease.The VALAD Randomized Clinical Trial.JAMA.Published online December 17, 2025. PMID: 41405855
★FBの規則改訂で,1ヶ月のリンク付き投稿数が制限されるようになってしまいました(2個まで).このためMeta認証に有料加入したのですが,それでも月4個までなので,リンクを貼らず,PMIDを記載することにしました.

・アルツハイマー病病理はウイルスに対する2段階の防御反応?タウはリン酸化されて初めて抗ウイルス蛋白として機能し,伝播は感染防御のための準備反応である
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月30日のFB投稿です**
近年,アルツハイマー病(AD)とウイルス感染との関連が注目されており,とくに単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が病態に関与する可能性が議論されています.2024年末にCell Reports誌に掲載されたHydeらの研究は,この関係を分子レベルで明確に示した重要な報告でした(ブログ;2025年1月15日).この研究では,HSV-1感染によりcGAS-STING-TBK1経路が活性化され,その下流でタウがリン酸化されること,そしてリン酸化タウがHSV-1タンパク質の発現を抑制し,神経細胞の生存を保護することが示されています.すなわちタウのリン酸化は病的変化ではなく,HSV-1感染に対する自然免疫応答として神経保護的に機能している可能性が示されたわけです.
ADの代表的な病理所見である神経原線維変化は,リン酸化されたタウ蛋白の凝集によって形成されます.このリン酸化タウは長らく神経細胞にとって有害な異常産物とみなされてきましたが,今回,Nature Neuroscience誌に掲載されたマサチューセッツ総合病院のWilliam A. Eimer博士らの論文は,この常識に根本的な再考を迫る内容です.この研究の最大の発見は,リン酸化タウがヒト神経細胞においてHSV-1に対して抗ウイルス活性を示したという点です.培養神経細胞にリン酸化タウを前処理すると,ウイルスに感染する細胞の数が減少し,形成されるウイルスプラークの数や大きさも有意に低下しました.一方で,リン酸化されていない通常のタウではこの効果は認められませんでした.すなわちタウはリン酸化されて初めて抗ウイルス蛋白として機能することが示されました.
とくに印象的なのが電子顕微鏡で示された所見です(図1).精製したHSV-1カプシドとリン酸化タウを共培養すると,リン酸化タウがウイルス粒子の表面に直接結合し,そこを足場として自己凝集し,線維状構造を形成していく様子が観察されました.aおよびbでは,ウイルスカプシド(矢印)の表面からリン酸化タウの線維が伸び,不定形の凝集体(矢頭)や線維状構造(★)が形成され,複数のウイルス粒子を絡め取っている様子が示されています.これはウイルス粒子がタウ凝集の核となり,防御構造としての線維形成が誘導されていることを意味します.さらにcおよびdでは,HSV-1に感染した三次元培養神経細胞の超薄切片において,抗リン酸化タウ抗体に金ナノ粒子を結合させた標識により,神経細胞核内のウイルスカプシド表面にリン酸化タウが実際に結合している様子が確認されています.すなわちこの現象は試験管内だけでなく,感染した神経細胞内でも実際に起きていることが示されたのです.
またウイルス感染により神経細胞内でリン酸化タウが増加し,それが細胞外にも放出されて周囲の未感染細胞に影響を及ぼすことが示されました.図2では,感染細胞と未感染細胞を細い通路でのみ連結した特殊な培養装置を用いることで,ウイルスそのものは移動できないが,タンパク質などの情報は伝わる状況が作られています.その条件下で,感染していない細胞の中にもリン酸化タウが増えている様子が観察されました.これはリン酸化タウが感染した細胞だけでなく,周囲の細胞を事前に守る役割も担っていることを示唆しています.いわゆるタウの伝播は,感染防御のための準備反応であるということになります.
さらにリン酸化タウとウイルスの複合体はミクログリアに貪食されることも示され,免疫細胞による病原体除去にも関与している可能性が示唆されました.これらの結果を総合すると,アミロイドβが細胞外でウイルスを捕捉するという既存の防御仮説(これはNHKタモリさんの番組でもご紹介しました)に加えて,本研究はリン酸化タウが細胞内でウイルスの輸送や増殖を妨げる役割を担う可能性を示し,脳内に2段階の自然免疫機構が存在するという新しい統合モデルを提示しています.
つまり,ADの主要な病理とされるアミロイドβ沈着,リン酸化タウ沈着,神経炎症はいずれも,感染防御と深く関係する生体反応であり,それらが慢性的に持続あるいは過剰化することで病理として現れている可能性を示しています.神経変性はこの防御機構が過剰化あるいは慢性化した結果であるかもしれません.アミロイドβに加え,タウも単なる「悪者」として排除するのではなく,なぜそれが生じたのかという進化的,免疫学的文脈の中で再評価する必要があることを,本研究は強く示唆しているように思われます.
Eimer WA, et al.Phosphorylated tau exhibits antimicrobial activity capable of neutralizing herpes simplex virus 1 infectivity in human neurons. Nature Neuroscience.2025. PMID: 41408481.

・アリと人間のパズル対決から学ぶ大切なこと ― チームの質は「対話の質」で決まる―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年12月31日のFB投稿です**
1年の締めくくりに,示唆に富む論文をご紹介します.たまたまウェブ上の動画で知った研究ですが,そのオリジナルは今年1月に PNAS に掲載された論文です.この研究では,アリと人間にまったく同じ幾何学パズルを解かせています.T字型の物体を,2つの狭いスリットを通して出口へ運ぶという課題です.アリ用の物体には餌の匂いをつけ,巣に持ち帰る対象としています.サイズだけをアリと人間に合わせてスケールし,1人(1匹),小集団,大集団での成績を比較しました.さらに人間では,「話してよいグループ」と「話してはいけないグループ」に分けています.
結果は意外でした.アリは集団になるほど成績が良くなりました.壁に沿って動き続けるなどの行動が自然に生じ,結果として効率よく正解に到達します.個体にはない「集合的な記憶」が生まれていると解釈されています.逆に人間は,1人のときが最も効率的でした.話せるグループは1人と同程度の成績でしたが,話せないグループは,なんと1人よりも成績が悪くなりました.出口に対して遠回りすべき場面でも,直感的で誤った方向を選びやすい傾向が見られました.これは心理学でいう groupthink(集団浅慮)に近い現象です.「みんなと同じでいること」が目的になりすぎて,「正しく考えること」をやめてしまう集団心理です.つまり,アリは単純な個体ですが,集まると賢くなる.それに対して人間は,賢い個体であっても,話し合えない集団では賢さを失う・・・その対照的な特徴が浮かび上がりました.
この論文の教訓は極めてシンプルです.人間のチームの質は,個々のメンバーの賢さではなく,ひとえに「対話の質」によって決まる.バラバラな考えをつなぎ合わせ,一つの方向へと導くための最も大切な手段こそが対話なのだと,この研究は教えてくれます.当たり前のようでいて,これほど重要なことはありません.来年も教室やカンファレンスで,よく話し合っていきたいと思います.そして,この対話の力を社会や世界があらためて認識し,争いのない平和な未来へとつながることを,心から願っています.
本年も1年,ありがとうございました.どうぞ良いお年をお迎えください.
Dreyer T, et al. Comparing cooperative geometric puzzle solving in ants versus humans. Proc Natl Acad Sci U S A. 2025 Jan 7;122(1):e2414274121. PMID: 39715438(動画はフリーでDL可)

 

(作成者)峯岸 瑛(みねぎし あきら)

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2025年8月のニュース

「健康長寿を目指すのであれば、歩数(+中強度活動15~20分)の確保に加え、脳や免疫系の若さを保つこと!」
今月の関連学術ニュースは、歩数と健康リスク、臓器の老化と健康リスクについての最新の研究成果の紹介と岐阜大学医学部下畑先生からの最新医学情報です。

1.2025年8月の活動状況
田村 芙美子さんの投稿
8/1 今日から8月「葉月」。「葉落月(はおちづき)」が転じて「葉月」といわれるそう。 今朝はまさに葉が散る秋のように涼しく(朝だけ)、ネッククーラーは不要かとoffにしたまま首にかけて出掛けました(事件はコメ欄)。渋谷教室では、夕べのzoomのポールを持った場合、持たない場合の歩幅をチェックしてみました。皆さんに前回練習したローリング歩行(!)で歩いて貰いました。ポール有の方が全員歩幅広くなりました。平均4cmも!膝が人工関節の方もポールがあると安心して踏み出せるとの感想でした。ヨシ!

スマイルチームさんの投稿
スマイルチーム8月恒例 日本赤十字社 救急法短期講習  胸骨圧迫➕AEDセミナー 今年も多くの学びを得ることができました。 セミナーの目的 #人命を助ける #自分にできることは何か?を知ることができる #家族を守るためにできること #遭遇してしまった時にできるようにしておく 等々 訓練は本当に大事。 毎年受講してても毎年学びがある。 講師の先生ありがとうございました。 受講された皆さん *教科書を見直しておきましょう *AEDが家の近所のどこにあるか知っておきましょう *今いる場所を説明できる目印があることを常に気にしておきましょう(電信柱 目印になる建物等) *外出の際は身分がわかるものを必ず持ち歩きましょう お疲れ様でした。 また来年ね。 動画は改めて投稿します。 #スマイルチーム #健康普及活動 #日本赤十字社 #救急法短期講習 #胸骨圧迫 #AED #松田直樹を忘れない 松田直樹は2011サッカー練習中に倒れ8/4にその若い命は空へ。そこにはAEDがありませんでした。もしそこに AEDがあったなら、マツは今でもピッチの上を走り回っていたかもしれません。 #記録 #20250801

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 8/3PW駒場例会〜 8/1長野県の男女健康寿命No,1の発表も有り、暑さに負けず集まったP-Walkerの皆さん❗️ 公園〜牧場といつもの木陰や並木道の闊歩集団でした。 隣は熱を逃れての水浴び集団〜ww

田村 芙美子さんの投稿
8/6 朝8時15分 広島からの中継を観ました。小学生と県知事さんのお話は胸を打ちました。それにしても現地は暑かったでしょう。午前中の北鎌倉町内会公会堂はクラーで涼しく快適な運動空間でした。が、1歩外に出るとサウナ状態。異常なくらいの陽射しと気温にメンバー皆さんの往復道中が心配になりました。来週はお盆休み。

杉浦 伸郎さんの投稿
鶴岡八幡宮ぼんぼり祭り。 鎌倉にゆかりのある著名人の書画がぼんぼりに仕立てられ、参道に並びます。夕刻になると明かりが灯され幻想的な空間が広がります。 それにしても年々暑くなっていますね。この先が思いやられます。 皆さん、Stay cool!

田村 芙美子さんの投稿
8/8 立秋翌朝の秋の風に吹かれて湘南ライン(小金井行き)で渋谷まで。渋谷も思ったより爽やかな風で、スタジオの冷房は寒く感じるほどでした。 今日はフレイル予防の運動を中心にお盆休みにトレーニングして頂きたい2種のテーマを練習して解散。お昼から所用で三軒茶屋へ移動し夕方帰鎌しました。ネッククーラーのお陰かアマゾン熱を感じない1日でした。 数年手をつけなかったブロック塀をいよいよ解体の見積り2ヵ所依頼しました。塀は透け透けで中が見える方が安全?!地震等で倒壊すると通行人に危険ということで鎌倉市では以前から取り壊すようにとのお触れが出ています。

スマイルチームさんの投稿
スマイルリズムエクササイズ上鶴間 20250808 この日の最高齢は88歳🤩

校條 諭さんの投稿
真夏の気まポ(気ままにポール歩き) 午後6時に集合して、主に住宅地のコース(いつもより短い約4km)を2本のポールで歩きました。 集合時点の気温29度(たぶん)。もう少し風があってほしかったですが、快適に歩けました。 JR荻窪駅西口→すずらん通り→天祖神社・神明中学→杉並公会堂→衛生病院(東京衛生アドベンチスト病院)→教会通り→ダナン町 大半の人は後方押し出しスタイル(4点駆動)のノルディックウォーキング、足を痛めて“リハビリ”中の人は4点支持のポールウォーキング。 ベトナム中部料理の「ダナン町」でカンパイしました。

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
🎉 台灣健走杖運動推廣協會 🤝 志工服務隊 📅 2025年3月 正式成立! 我們熱愛健走杖 👣 我們相信健康與公益可以一起走 💪 現在,誠摯邀請你加入我們的行列, 一起用行動支持協會活動、推廣健走杖運動, 服務社區、幫助更多需要的人!🌿 📌 歡迎大家 一起來!

柳澤 光宏さんの投稿
昨日は佐久市の花火大会。雨降らずに良かった!この花火大会は真上に上がるので、河原に寝そべって見るぐらいです。間近に花火を体感できる田舎ならではの花火大会でお勧めです(⁠^⁠^⁠) 今日は送り盆を済ませ会社で一仕事。なかなか進まない。言語化って難しい(⁠T⁠T⁠) 長女も帰省してきて賑やかな夏休みでした。今年はゴルフに行かず、家族で一泊二日エクシブ蓼科へ!ホテルから誕生月とのことでサプライズ。お休みも終了ですね〜。

中村 理さんの投稿
佐久ポールウォーキング協会より 「虚空蔵山PW散策」 お盆休みの最終日は道の駅「ヘルシーテラス佐久南」駐車場をお借りし、見晴らし展望台を目指しての里山巡り❗️ 50名越えの参加者(遠くは飯綱町より参加)で熊🐻注意⚠️⚠️⚠️の看板横目にの闊歩でした‼️

佐藤珠美さんの投稿
8月19日一本柳ウォーキング倶楽部 今回から活動日が火曜日になりました。 佐久市の予想最高気温35℃🥵 そんな日は迷わず、県立武道館へ移動です🚗 会員さんと共に Japanese Walkingの言葉の意味を噛み締めました。

田村 芙美子さんの投稿
8/20 朝の鎌倉駅ホームは風が涼しく気持ち良く外出できました。北鎌倉まで1駅を歩かず熱中症を避け シニアは電車に乗ります。北鎌沿線の尾根岩盤前をポールウォーキングで市場公会堂へ。万博に行ってきたメンバーサンからお土産話!

遠藤 恵子さんの投稿
介護予防運動教室⇒今から加圧トレーニングセッション✨ 50代からの体づくりは “美しく・しなやかに”がテーマ!! 短時間・低負荷で効率的に、 筋力アップ・代謝UP・美姿勢へ!! 年齢を理由に諦めない! 今がいちばん輝く自分をつくりましょう🌸

田村 芙美子さんの投稿
8/22 明日は24節季の処暑、暑さの峠を越した頃といいますが まだまだ暫く峠の上に滞在しているようです。お盆休みを挟んで2週間ぶりに渋谷の皆さんと室内ポールウォーキング。今日は会館の非常階段を利用して 階段昇降とステップエクササイズを2種。階段室は冷房がないので南国🌴トレーニング状態でした☀️😵💦毎日続けると良い筋トレになりますね。いつまでも自分の脚で歩けるように。

遠藤 恵子さんの投稿
本日‼️ 【ポールウォーキングベーシックコーチ資格取得講座】開催です! #ポールウォーキング #ポールウォーキングベーシックコーチ #資格取得講座 #福岡県

佐藤珠美さんの投稿
8月23日午前中はインターバル速歩倶楽部の活動日。 写真を撮る余裕無し😢 以前、信州大学の能勢先生は書籍の中で 「インターバル速歩は長野県民だから成功した活動」と記しています。「長野県が長寿県になったのは1945年に佐久市の佐久病院に赴任した若月俊一医師が 予防は治療に勝る として農村医療を始めた事。減塩運動・集団検診などを推奨した結果、健康意識の高い県民性になった」 倶楽部の皆で、気持ちを新たに歩きました。 午後からは研修会。 講師 NPO法人CRファクトリー代表理事 呉 哲煥様 良い出会いがありました😊

田村 芙美子さんの投稿
8/26 北鎌倉の六国見山の里山再生の活動の記録。スタートは2011年。私達テラススタジオの初期メンバーはそれより5年位前から六国見山往復をポールウォーキングのコースにして来ました。初心者でも無理のないコースなので外部の方ともこれまでに数えきれないほど歩きました。一方でヤマアジサイやヤマザクラの植栽や手入れをしてくださる湧水ネットワークの方々の存在を知り感謝です。猛暑日が収まりましたらこの本を道しるべにして又ゆっくり春夏秋冬を楽しんで歩きます。

柳澤 光宏さんの投稿
昨日は県議会産業観光企業委員会の皆様が来社。1時間で説明&工場見学を。議会の正式活動とのことで、県職員の方々も随行で来られていて、ちょっと仰々しい感じでした(⁠^⁠^⁠) ご来社ありがとうございました!!

田村 芙美子さんの投稿
8/27 今日第4週はレッスンのあとはお楽しみ会。 椅子トレ~ふくらはぎストレッチ、7秒スクワット、マットで一連のコアエクササイズのあとは🔪🍴恒例のお楽しみランチ会。今日の主役は素麺!大鍋にお湯を沸かし素麺を茹でるまで時間がかかってお腹ペコペコ。冷たく冷やした素麺を熱い具だくさん汁につけて頂きました。初めて知った現地の茶道ならぬ「コーヒー道」の話!

田村 芙美子さんの投稿
8/28 お盆休み明け久しぶりの貯筋クラス。予報通り昨日より2~3℃低く気持ち涼しさを感じました。センター入り口のひまわりは皆東の方向を向いていました。まだ蕾もあり 夏は暫く続きそう。包括支援センターから毎月恒例の計測に来てくださり筋肉量や握力を測りました。先月と大きな違いはなくお宅筋トレ継続の成果かと思います。今日はPATROLベルトを使ってエクササイズ。効きましたね。

長谷川 弘道さんの投稿
皆さんはAIをどのくらい活用していますか? その活用の仕方が今社会問題にもなってきていますが、まずは相手(AI)が何者なのかを理解することが大事かと思います。 2年ほど前から私もちょこちょこと勉強していますが、とにかく触ってみることですね。 ほんと、習うより慣れろしかないです。 ということで、早速につい先日発表があったNotebookLMというAIに新しい機能がつきましたので、それを使ってみました。 それが貼り付けてあるものです。 私が今いちばん力を入れている運動プログラムをAIでまとめてみました。 一般の方にとってわかりやすい動画説明なんですが、とにかくすごい!資料や動画などの元データをこのAIに送れば、あとは自動的にというかAIが見事に生成してくれます。 少し言葉がおかしいところがありますがほぼ100点に近い出来栄えです! ぜひご覧ください。 そしてこの内容についてご質問があればいつでもコメントください。

Ruri Nissatoさんの投稿
体操ボランティアを3年以上続けている人20名が表彰されました。 定年後に始めて5年。 楽しみながら続けていこうと思います。

 

来月以降の開催
長岡智津子さんの投稿
写真1件

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿
日本健走杖健走教練培訓報名表

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿(その①)
📣【2025健走杖 健康活力輕旅行】🌿 ✨第三屆・9月即將登場!✨ 準備好迎接一場結合 健走 × 旅行 × 健康活力 的精彩活動了嗎?🎒 Andy教練、媛玲教練、均萍教練、淑芬教練、淑鳳理事長 (依🎦影片出場順序)邀請大家👣 拿起你的健走杖,跟我們一起出發, 走進自然、呼吸新鮮空氣、動起來! ✔️ 健走路線精心規劃 ✔️ 教練全程帶領陪走 ✔️ 適合各年齡層的輕旅行行程 ✔️ 不只有健走,還有美景、美食與好心情🎑🍱 📅 活動預定於 9月展開,名額有限, 👉 歡迎大家踴躍報名,一起走出健康好生活!

台灣健走杖運動推廣協會さんの投稿(その②)
2025健走杖.健康活力輕旅行 – 腳ㄚ聚樂部

 

2.PW関連学術ニュース
2-1)健康リスクを抑えるためには一日何歩歩けば良いのか?歩数と健康リスクについての最新情報
**以下は、大阪大学の宮坂昌之先生の2025年8月2日のFB投稿です**
定期的な運動により全死亡率、がんによる死亡率などが低下することが分かっています。この点、ウオーキングがもっともやりやすい運動ですが、ではどのぐらい歩いたらいいのか、これまで諸説がありました。
この点に関して、オーストラリアの研究グループが過去10年間に発表された論文のメタ解析をして、最新号の専門誌Lancet Public Healthに論文を発表しています。
(https://www.thelancet.com/…/PIIS2468-2667(25…/fulltext)
それによると、全死亡率、心血管疾患発症率、認知症や転倒に関しては、1日あたり2,000歩を歩くと、リスクが低下し始め、約5,000~7,000歩あたりで変曲点を示す非線形の逆相関が認められるとのことです(言い換えると、1日2,000歩以上歩くのがよく、5,000~7,000歩以上歩けば、さらに上記リスクが下がる傾向がある、ということです)。
具体的なデータは次のようです。1日7,000歩では、1日2,000歩の場合と比較して、全死亡リスクは47%低下、心血管疾患発症リスクは25%低下、心血管疾患死亡リスクは47%低下、癌発症リスクは6%低下、癌死亡リスクは37%低下、2型糖尿病のリスクは14%低下、認知症のリスクは38%低下、うつ症状のリスクは22%低下、転倒リスクは28%低下していました。
つまり、高齢者は、まずは1日2,000歩を歩くこと、できれば1日7,000歩を目標にするとかなり良い結果が得られる可能性があるということです。1日2,000歩はそれほど難しくありませんよね。
論文
掲載誌;The Lancet Public Health、ArticlesVolume 10, Issue 8e668-e681August 2025
表題;Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis
著者;Prof Ding Ding, PhDa,b melody.ding@sydney.edu.au ∙ Binh Nguyen, PhDa,b ∙ Tracy Nau, BComLaw BNutScia,b ∙ Mengyun Luo, PhDa,b ∙ Borja del Pozo Cruz, PhDc ∙ Paddy C Dempsey, PhDd,e,f,g ∙ et al. Show more

📝 論文要約(Summary)の日本語訳(Copilotによる)
背景;この10年間で日常の歩数と健康との関連を示す証拠が急速に増加したが、既存のシステマティックレビューでは主に全死因死亡率のような限られたアウトカムに焦点が当てられている。本研究では、日々の歩数と、全死因死亡率、心血管疾患、がん、2型糖尿病、認知機能、メンタルヘルス、身体機能、転倒などの健康アウトカムとの前向きな用量反応関係を統合的に検討した。
方法;2014年1月1日から2025年2月14日までに発表された文献を対象に、PubMedとEBSCO CINAHLを用いて検索した。対象研究は、成人を対象にした、デバイスで測定された日々の歩数と健康アウトカムの関連を検討した前向き研究。二人一組で研究選定、データ抽出、バイアス評価を実施し、統計解析にはランダム効果モデルを使用した。エビデンスの確信度はGRADEシステムに基づいて評価された。
結果;35コホートから57件の研究がレビューに含まれ、うち31件がメタ解析に用いられた。全死因死亡率、心血管疾患の発症、認知症、転倒については、非線形の逆相関関係が見られ、5000〜7000歩/日付近に屈曲点があった。心血管疾患による死亡率、がんの罹患率・死亡率、2型糖尿病の発症、抑うつ症状については、線形の逆相関が見られた。例えば、7000歩/日は2000歩/日と比べて以下のようなリスク低下が見られた:
全死因死亡率:47%低下
心血管疾患の発症:25%低下
心血管疾患による死亡率:47%低下
がん死亡率:37%低下
認知症:38%低下
抑うつ症状:22%低下
転倒:28%低下 物理的機能に関する研究(メタ解析外)でも、同様の逆相関が見られた。
解釈;1日1万歩という目標も有効だが、7000歩/日は健康改善において臨床的に意味のある効果があり、より現実的かつ達成可能な目標かもしれない。ただし、研究数の少なさや年齢ごとの分析不足、個々の研究におけるバイアスなどの制限も踏まえて解釈すべきである。

関連情報;青柳先生の中之条研究との比較
**以下、Copilotとの問答です**
Q:この研究結果と青柳博士の中之条町の調査結果とを比較検討してください。
A:もちろんです、瑛さん。以下に、Lancet Public Health誌の国際メタ解析と、青栁幸利博士による中之条研究の主要な知見を比較検討した表をまとめました:
🔍 歩数と健康アウトカムに関する比較
(上段)Lancetメタ解析 (下段) 中之条研究
対象者;
世界各国の成人(35コホート)
群馬県中之条町の高齢者(約5,000人)
研究期間;
2014〜2025年の文献レビュー
2000年〜継続中(20年以上)
方法;
デバイス測定歩数+健康アウトカムの前向き研究
活動量計+詳細な生活習慣・疾患調査
推奨歩数;
約7,000歩/日で健康効果が顕著
8,000歩/日+中強度歩行20分が最適
中強度歩行の扱い;
一部研究で考慮されるが明示的ではない
明確に「速歩き20分」が必要とされる
予防できる疾患;
全死因死亡率、心疾患、がん、認知症、うつ病、転倒など
認知症、糖尿病、うつ病、高血圧、骨粗鬆症、脳卒中、がんなど
歩数と疾患予防の関係;
非線形または線形の逆相関(例:7,000歩で死亡率47%低下)
明確なカットオフ値(例:8,000歩で糖尿病・高血圧予防)
年齢層の分析;
年齢別の詳細分析は限定的
高齢者中心に詳細な生活習慣分析あり
研究の強み;
多国籍・多疾患にわたる包括的メタ解析
長期・地域密着型で生活実態に即した知見

🧠 考察ポイント
• 共通点:どちらも「歩数の増加が健康に良い」という点で一致。ただし、量だけでなく質(速歩き)が重要という点では中之条研究がより具体的。
• 違い:Lancetの研究はグローバルな傾向を示す一方、中之条研究は日本の高齢者の生活実態に即した「実践的な指標」を提供。
• 実用性:中之条研究の「8,000歩+速歩き20分」は、自治体や健康保険組合でも活用されており、政策的応用が進んでいる。
どちらの研究も補完的で、国際的なエビデンスと地域密着型の知見を組み合わせることで、より効果的な健康戦略が立てられると言えます。
もし、疾患別の予防効果や年齢層ごとの違いなど、さらに深掘りしたい項目があれば教えてください。データの裏側まで一緒に探ってみましょう。

(注)青柳先生の最近の論文です。
論文名;健康長寿を実現するための至適な身体活動: 中之条研究
著者;青栁 幸利
掲載誌;日本腎臓リハビリテーション学会誌2025 年 4 巻 1 号 p. 15-21
DOI; https://doi.org/10.60371/jjrr.4.1_15
抄録;現下の中之条研究データによると,高齢者の健康全般と寿命・死亡率は,日常身体活動の量(1 日の歩数の年平均)と質(1 日の中強度[一般的に安静時代謝量の3 倍以上6 倍未満]活動時間 の年平均)の両方と関係がある。男性では,健康の度合いには1 日の中強度活動時間のほうが1 日の歩数よりも密接に関連するが,対照的に女性では,歩数のほうが中強度活動時間よりも関係 は緊密である。腎臓病の原因となる糖尿病,高血圧症,脂質異常症などの生活習慣病がないこと など,より良好な健康状態に関連する身体活動閾値(歩数・中強度活動時間)は,男性では8,000 歩・20 分/日,女性では7,000 歩・15 分/日である。生活習慣病全般を予防し,ひいては健康長 寿を実現するためには,1 日の合計で少なくとも15~20 分の適度な(時速約5 km 相当での)活 動と,少なくとも45~60 分の軽度な活動が有効である。

 

2-2)臓器の老化と健康リスク;プロテオミクス(プロテオーム解析)による最新情報
1)脳や免疫系が(実年齢より)若い人は長寿である。
**大阪大学の宮坂昌之先生の2025年7月17日のFB投稿です**
図 1: UKB における血漿タンパク質由来の臓器年齢の推定。
最近、プロテオミクスという方法で、血液中に出現するさまざまな臓器由来のタンパク質を網羅的に調べることにより、それぞれの臓器の年令を個別に知ることができようになってきました。一方で、果たしてそれが病気になりやすさや将来の死亡率にどのぐらい影響するのかについてはよくわかっていませんでした。
今回、アメリカの研究グループが、英国バイオバンクに寄託された44,498人の血液検体から得られた血漿プロテオミクスデータ(2,916種類のタンパク質について調査)を用いて、11の臓器の生物学的年齢を推定しています。Nature Medicineに掲載された論文です。
それぞれの臓器の推定年齢は、生活習慣因子や薬剤の影響を強く受けていて、心不全、慢性閉塞性肺疾患、2型糖尿病、アルツハイマー病など、様々な疾患の将来の発症(17年間の追跡期間内)と関連していました。
特に興味深いのは、まず、脳の年令が特に高い人では、アルツハイマー病の最も強い遺伝的危険因子であるAPOE4遺伝子の特定のアレル(対立遺伝子)を1つ持つ場合と同等の高いアルツハイマー病リスクがあった、ということです(ハザード比(HR)=3.1;すなわち、APOE4の特定のアレルを持たない人に比べて3.1倍リスクが高い)。これに対して、脳の年令が特に若い人では、APOE遺伝子型に関わらず、APOE2のコピーを2つ持つ場合と同等の保護効果を示していました(HR=0.26;リスクが0.26倍と低くなっていた)。また、これは予想どおりですが、老化した臓器の数が増えるほど、死亡リスクが高くなっていました(老化臓器2~4個の場合、HR=2.3、老化臓器5~7個の場合、HR=4.5、老化臓器が8個以上の場合、HR=8.3)。
一方、若い脳と免疫系は明らかに長寿と関連していました(若い脳を持つ人の死亡リスク;HR=0.60、若い免疫系を持つ人の死亡リスク;HR=0.58、両方とも若い人の死亡リスク、HR=0.44)。以上まとめると、脳と免疫系を早く老化させないことが大事であり、脳と免疫系を若く保つことが長寿につながる、ということになります。
さあ、ではどうやったら脳と免疫系を若く保つことができるのでしょうか?私がかねてから「信州上田みらい塾」で受講生の方々に言っているのは、食生活に気を付けて体重を一定範囲内に維持すること、高血糖、高血圧、高脂血症などがあったら早いうちに対処すること、もう一つは定期的にそしてこまめに運動をすることです。以上のことは発作的に試みても効果は少なく、毎日毎日の積み重ねが大事です。

**大阪大学の宮坂昌之先生の2025年7月28日のFB投稿です**
約10日前のことですが、フェイスブックに「脳や免疫系が若い人は長寿である」という論文を紹介しました(https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/pfbid035jighbNuWPKzKbq6zcG7D59SLqoyQBmRCK8bUEmZQCfFEFikKeRjhugPhA4k3BwKl)。
この論文に対して世界中から大きな反響があったためだと思いますが、この論文の著者たちが、改めてこの論文のまとめを同じNature Medicineに書いています。その骨子を説明しましょう。
彼らは、まず、イギリスのバイオバンクに寄託されている数万人の血液サンプルを調べました。特に、血液中の多数のタンパク質を調べる方法であるプロテオミクスを用いて、実際のからだの年令がわかっている人たちについて、各臓器由来のタンパク質(数千個)を詳細に調べ、それぞれの臓器の年令を割り出しました。そして、実際年齢よりも各臓器の年令が著しく高い人たち(=老化が非常に進んでいる人たち)と各臓器年齢が著しく若い人たち(=老化の程度がきわめて軽い人たち)に分けて、時間経過を追って彼らの死亡リスクを割り出しました(最大観察期間は17年)。
結果は、1枚目の図に示すように、
1. 脳の老化が進んだ人は将来の死亡リスクが高く、アルツハイマー病を発症するリスクも3倍ぐらい高いこと。
2. いくつもの臓器で老化が進んでいる人は将来の死亡リスクが高いこと。
3. 脳や免疫系が若い人は死亡リスクが低いこと(脳が若い人はアルツハイマー病になるリスクが約75%低い)こと。
4. いくつもの臓器が若い人は死亡リスクが低めにはなるが、若い臓器数が増えても死亡リスクは必ずしも低くならないこと(理由は不明だが、若さの過信はかえっていけないということか?)
さらに、2枚目の図では、将来の生存リスクが一番高いのは、脳あるいは免疫系が若い人、二番目が普通に老化している人、三番目以降は老化臓器の数が多い人、という順番となっています。
以上、前に紹介したように、脳と免疫系の若さを保つことが大事です。そのためには、飲み過ぎ、食べすぎを避け、よく運動し、生活リズムを大事にして、よく休み、そして、よく寝ることが肝要です。

関連情報
(1)原論文
Article、Open access、Published: 09 July 2025
Plasma proteomics links brain and immune system aging with healthspan and longevity
Hamilton Se-Hwee Oh, Yann Le Guen, Nimrod Rappoport, Deniz Yagmur Urey, Amelia Farinas, Jarod Rutledge, Divya Channappa, Anthony D. Wagner, Elizabeth Mormino, Anne Brunet, Michael D. Greicius & Tony Wyss-Coray
記事、オープンアクセス、公開日:2025年7月9日
血漿プロテオミクスは脳と免疫系の老化と健康寿命および長寿を関連付けている
ハミルトン・セフイ・オヤン・ル・グエンニムロッド・ラポポートデニス・ヤグムール・ユーリーアメリア・ファリナスジャロッド・ラトレッジディヴィヤ・チャンナッパアンソニー・D・ワグナーエリザベス・モルミノアンヌ・ブルネット、マイケル・D・グレイシアス&トニー・ウィス・コレイ
(2)論文の要約
特定の臓器由来の血漿タンパク質は臓器年齢と死亡率を推定できるが、環境因子に対する感度や、臓器疾患および死亡率の発症予測における堅牢性については依然として不明である。このギャップを埋めるため、英国バイオバンクの44,498人から得られた血漿プロテオミクスデータ(2,916種類のタンパク質)を用いて、11の臓器の生物学的年齢を推定した。臓器年齢の推定値は、生活習慣因子や薬剤投与に敏感であり、心不全、慢性閉塞性肺疾患、2型糖尿病、アルツハイマー病など、様々な疾患の将来の発症(17年間の追跡期間内)と関連していた。注目すべきことに、特に老化した脳は、散発性アルツハイマー病の最も強い遺伝的危険因子であるAPOE4のコピーを 1 つ持つ場合と同等のアルツハイマー病のリスク (ハザード比 (HR) = 3.1) を及ぼしたのに対し、若い脳 (HR = 0.26) は、APOE遺伝子型とは無関係に、APOE2のコピーを 2 つ持つ場合と同等の保護を提供した。老化臓器の蓄積は次第に死亡リスクを増加させた (2~4 個の老化臓器、HR = 2.3、5~7 個の老化臓器、HR = 4.5、8 個以上の老化臓器、HR = 8.3)。一方、若い脳と免疫系は長寿と独自に関連していた (若い脳、死亡リスクの HR = 0.60、若い免疫系の HR = 0.58、両方が若い、HR = 0.44)。総合的に、これらの研究結果は、臓器の健康状態をモニタリングするために血漿タンパク質を使用することを支持するものであり、脳と免疫系が長寿介入の重要なターゲットであることを示しています。
(3)「血漿プロテオミクスデータ(2,916種類のタンパク質)を用いた、11の臓器の生物学的年齢の推定」について、Copilotに訊いてみた。
**以下、その解答です**
🧠 血漿タンパク質から臓器の生物学的年齢を推定する機械学習モデルの仕組み
この研究では、血漿中のタンパク質の発現パターンを使って、脳や免疫系など11の臓器の「生物学的年齢」を推定するために、機械学習モデルが用いられました。以下にその解析方法をわかりやすく説明します:
🧪 ステップ①:臓器特異的タンパク質の選定
• まず、Gene Tissue Expression Atlas(GTEx)などのデータベースを使って、各臓器に特異的に発現するタンパク質(organ-enriched proteins)を特定。
• 例えば、脳で特異的に発現するタンパク質は、他の臓器よりも4倍以上高い発現を示すものとして選定。
🤖 ステップ②:機械学習モデルの構築
• 各臓器ごとに、選定されたタンパク質を入力とし、年齢予測モデルを構築。
• 使用された手法は、10×10のネストされたクロスバリデーション(モデルの汎化性能を高めるための手法)。
• モデルには、性別などの共変量も含めて調整。
📊 ステップ③:生物学的年齢の推定
• モデルは、ある人の血漿タンパク質のプロファイルをもとに、各臓器の「予測年齢」を算出。
• その人の実年齢との差(Age Gap)を計算し、臓器が「若い」か「老化している」かを評価。
🧬 ステップ④:臨床的関連性の検証
• 推定された臓器年齢と、疾患リスク(心不全、糖尿病、アルツハイマー病など)や死亡率との関連を統計解析。
• 特に、脳と免疫系の若さが健康寿命や長寿と強く関連していることが判明。
💡 まとめ
この解析は、以下のような特徴を持ちます:
• 臓器ごとの老化速度を個別に評価できる。
• 非侵襲的(血液のみ)で、広範な健康状態をモニタリング可能。
• 予防医療や個別化医療への応用が期待される。
さらに詳しい技術的な図やモデル構造が見たい場合は、Nature Medicineの論文本文をご覧いただくと、図1や補足資料に詳細が記載されています。

2)50歳前後で老化の変曲点が見られ、血管は早期に老化が起こる。
**大阪大学の宮坂昌之先生の2025年7月28日のFB投稿です**
先に血液中に出現するさまざまな組織由来の蛋白質のプロテオーム解析によって、それぞれの臓器の年齢が推定できるということを2回にわたって紹介しましたが、中国の研究グループはさまざまな年齢(14-68歳)の人から種々の臓器サンプルを得て、プロテオーム解析を行い、ひとによってそれぞれの臓器の老化のスピードが実際に違うことを示しています。最近の専門誌Cellに出た論文です。
それによると、ひとでは一般に50歳前後で老化の変曲点が見られ、特に血管の老化が年齢とともに早く進行し、血管が老化の影響をもっとも受けやすい組織であることが分かりました。また、老化に伴って血液中に新たに出現する蛋白質を網羅的に調べたところ、血管や全身の老化を促進するいくつかの候補蛋白質が見つかってきました。
そうなると、このような「老化促進蛋白質」というものがどのようにして出来てくるのか、そしてどのようにして老化を促進するのか、さらには、これらの蛋白質の機能を人為的に制御できないだろうか、など、知りたいことが次々と出てきます。そのようなことを順番に明らかにしていくことによって、老化の人工的制御に必要なことが次第に分かってくる可能性があります。
最近はいわゆるアンチエイジング研究が大はやりですが、実際に論文を読んでみると、怪しげなものが多いのが実情です。一方で、老化に関する基礎的な研究は非常に大事であり、そのような研究がやがては老化のメカニズムの解明や老化の人工的制御につながる大事な情報を提供していくのかもしれません。期待しましょう。

関連情報
(1)論文
ArticleOnline nowJuly 25, 2025
Comprehensive human proteome profiles across a 50-year lifespan reveal aging trajectories and signatures
Yingjie Ding1,6,15 ∙ Yuesheng Zuo1,6,15 ∙ Bin Zhang2,6,15 ∙ … ∙ Jing Qu2,3,6,9,13,14 qujing@ioz.ac.cn ∙ Weiqi Zhang1,3,6,13,14 zhangwq@big.ac.cn ∙ Guang-Hui Liu2,3,6,10,13,14,17 ghliu@ioz.ac.cn … Show more
記事は2025年7月25日にオンライン公開されました
50年間の人生にわたる包括的なヒトプロテオームプロファイルは老化の軌跡と特徴を明らかにする
丁英傑1、 6、 15∙岳生 左1、 6、 15∙張斌 2、 6、 15∙ … ∙景 区2、 3、 6、 9、 13、 14 qujing@ioz.ac.cn∙張偉奇 1 , 3 , 6 , 13 , 14 zhangwq@big.ac.cn∙劉光輝 2 , 3 , 6 , 10 , 13 , 14 , 17 ghliu@ioz.ac.cn…もっと見る
(2)論文要旨
タンパク質は生命の礎です。しかし、ヒト組織全体における老化のプロテオーム的青写真は未解明のままです。本稿では、50年にわたる13のヒト組織から516のサンプルを解析した包括的なプロテオーム解析および組織学的解析を紹介します。この動的なアトラスは、アミロイド蓄積を特徴とする、広範なトランスクリプトーム-プロテオーム分離とタンパク質恒常性の低下を明らかにしています。老化に伴うタンパク質の変化に基づき、組織特異的なプロテオーム年齢時計を開発し、臓器レベルの老化の軌跡を特徴づけました。経時的な解析により、50歳前後で老化の変曲点が見られ、血管は早期に老化が起こり、老化の影響を著しく受けやすい組織であることが明らかになりました。さらに、組織の起源に一致する血漿プロテオームにおける老化のシグネチャーを定義し、血管および全身の老化を促進する候補となるGAS6などの老化タンパク質を同定しました。これらの知見を合わせると、タンパク質というレンズを通してヒトの老化をシステムレベルで理解するための基礎が築かれます。
(3)血管の老化予防対策については、2025年8月2日の日本経済新聞に「血管の若さ保つには 酸化・糖化を食い止めて」が掲載されています(オンライン記事は8月1日)。

2-3)岐阜大学医学部下畑先生からの最新医学情報(2025年8月)
・「非定型パーキンソニズム」という用語は使われなくなる!?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月2日のFB投稿です**
「非定型パーキンソニズム(atypical Parkinsonism)」という用語は,私たち脳神経内科医にとってお馴染みのもので,私も2019年に「非定型パーキンソニズム―基礎と臨床―(https://amzn.to/4lsqkjf)」という専門書を編集したことがあります.Parkinsonism Relat Disord誌に,この用語の見直しを強く提案する小論文が掲載されています.
著者らはまず,「パーキンソニズム」という言葉そのものが疾患名ではなく,動作緩慢や筋強剛,振戦といった臨床的な症候群を指す用語であることを強調しています.つまり,これは表現型(phenotype)であって病名(disease entity)ではないということです.にもかかわらず,私たちはこの用語を病名のように使っていることを問題視しています.さらに英語のatypical(非定型)という言葉には,「変わっている」「厄介だ」「治療が難しい」といったニュアンスが含まれているそうで,患者さんや家族に不安や絶望を与えかねないということもあるようです.日本語の「非定型」も若干,その傾向があるかもしれません.
このような背景を踏まえて,著者らは図のような新しい分類を提案しています.まずParkinsonismという用語は,あくまで症候群として使用し,複数形の“Parkinsonisms”や病名的な使い方は避けるべきだとしています.その代わりParkinsonian disordersという病名を使います.その上で,疾患分類としては以下の3群に整理しています.
①Primary Parkinsonian disorders:神経変性疾患で,パーキンソニズムを主要症候とする疾患(例:PD,MSA,PSPなど).
②Secondary Parkinsonian disorders:原因が明確な非神経変性疾患で,パーキンソニズムを呈するもの(例:脳血管性・薬剤性パーキンソニズム,iNPHなど).
さらに①はParkinson’s diseaseとそれ以外のParkinson-like disordersに分けられます.
つまり最も重要な提案が,atypical Parkinsonismという用語をParkinson-like disordersに置き換えることになります.「-like」という表現は,「ハンチントン病様(Huntington-like)」「ポリオ様(polio-like)」など神経学で使われてきた前例があります.またatypicalよりも中立的で,予後や治療可能性に関する先入観を与えない点が大きな利点とされています.
この提案の目的は患者さんとのコミュニケーションを改善し,診療や研究の効率を高めることだと思います.たしかにそういう視点は大切だと思いました.若干の問題は,Parkinson-like disordersをどう日本語訳するかです.直訳すると,「パーキンソン病様疾患(障害)」でしょうか.もしくは従来本邦で使われてきた「パーキンソン病類縁疾患」でも良いかもしれません.日本でも病名をこれに倣うかは分かりませんが,Golbe先生のような影響力の大きな先生の提案なので,少なくとも海外の論文ではParkinsonian disordersとかParkinson-like disordersが今後頻出することを知っておく必要があると思います.
Siddiqui JH, Golbe LI. Time to retire the term “atypical Parkinsonism”. Parkinsonism Relat Disord. 2025;137:107927.(doi.org/10.1016/j.parkreldis.2025.107927)

・APOE ε4はアルツハイマー病だけでなく多くの神経変性疾患と関連する
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月4日のFB投稿です**
APOE ε4は,アルツハイマー病の最大の遺伝的リスク因子として知られています.しかしNature Medicine誌に掲載された米国・カナダからの研究は,この遺伝子がアルツハイマー病にとどまらず,前頭側頭型認知症,パーキンソン病,パーキンソン病認知症,筋萎縮性側索硬化症といった他の神経変性疾患にも共通する「炎症的な体内環境」をもたらすことを明らかにしました.
研究では1万件以上の血漿および脳脊髄液サンプルのプロテオーム解析を実施し,SomaScanという高精度なタンパク質測定法と機械学習を用いて,APOE ε4キャリアに共通する分子署名(共通のタンパク質の増減パターン)を同定しました.図1では,APOE ε4の有無によって脳脊髄液中の229種類のタンパク質の発現パターンが明確に異なることが示されています.赤は発現上昇,青は低下を示しており,疾患の種類にかかわらず,ε4キャリアというだけでこのようなタンパク発現の偏りが起こることが分かります.この分子署名は血液でも再現されており,図2の血漿中でも同様に58種類のタンパク質がAPOE ε4の有無によって有意に変動していました.つまりAPOE ε4は,脳内だけでなく「全身にわたって慢性的な炎症状態を生み出している」可能性があります.
さらに死後脳サンプルを用いた質量分析でも同様の結果が得られました.図3では,ウイルス応答,アポトーシスの抑制,タンパク質フォールディングといった生物学的プロセスが,脳脊髄液・血漿・脳のすべてで共通して活性化していることを示しています.加えて EBウイルス感染,B型肝炎,病原性大腸菌感染,そしてNF-κBやIL-17,TNFといった炎症性経路が,すべての検体においてAPOE ε4キャリアで活性化していることが明らかにされています.つまり APOE ε4による炎症性分子署名は,神経変性疾患の発症前から存在し,疾患の種類を問わず共通して観察されることが分かります.そしてこの慢性的な炎症環境は,免疫細胞の動員とも関係していると考えられます.重要なのは,こうした変化が認知症やパーキンソン病を発症していない健常なAPOE ε4キャリアにもすでに存在している点であり,これはAPOE ε4が単なる疾患リスク遺伝子ではなく,神経変性疾患が成立しやすい「炎症的脆弱性」をもたらす免疫調節因子であることを示しています.
結論として,APOE ε4はアルツハイマー病だけに特異的な遺伝子ではなく,全身性かつ疾患非依存的な炎症状態をもたらす「免疫的背景因子」であると捉える必要があるようです.
Shvetcov A, et al. APOE ε4 carriers share immune-related proteomic changes across neurodegenerative diseases. Nature Medicine, 2025. https://doi.org/10.1038/s41591-025-03835-z

・髄膜は単なる保護膜ではなく,脳梗塞後の神経炎症の司令塔として機能する!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月5日のFB投稿です**
私は留学中より脳梗塞の基礎研究を行っていましたが,この領域からCell誌に論文が掲載されることはなかなかありませんでした.今回,米国ジョンズ・ホプキンス大学からそのCell誌に論文が掲載されましたが,たしかに従来全く考えもしなかった驚きの内容でした.まず著者らは脳卒中後に生じる過剰な免疫反応において,硬膜に存在する肥満細胞が重要な役割を果たしているという仮説を立てました.特に,この肥満細胞の活性化を誘導する受容体Mrgprb2(ヒトではMRGPRX2)が,免疫細胞の脳内への移行を制御する「ゲートキーパー」として機能している可能性に着目しました.この仮説は,髄膜が中枢神経系の免疫監視の最前線に位置し,そこに存在する肥満細胞が,神経由来のストレス信号(たとえば神経ペプチドsubstance P)をMrgprb2で感知して脱顆粒し,免疫応答(神経炎症)を開始するというアイデアに基づいています.
実験では,マウスの一過性中大脳動脈閉塞モデル(tMCAO)を用いて,Mrgprb2を欠損したマウス(Mrgprb2−/−)を評価しました.その結果,Mrgprb2欠損マウスでは,脳梗塞体積が顕著に減少し,神経学的スコアや運動機能も改善していました.また30日後の生存率も向上していました.つまり,この保護効果がMrgprb2の発現の有無に依存していることが示されました(図1).
つぎにそのメカニズムを検討しました.Mrgprb2を欠損したマウスでは,野生型(WT)マウスと比べて,梗塞側硬膜における肥満細胞の脱顆粒が顕著に抑制されており,その結果,炎症性サイトカイン(CCL2,CXCL2,TNF-α,IL-1βなど)の発現も減少し,好中球や単球の脳内浸潤も抑えられていました.特に注目されるのは,頭蓋骨骨髄からの好中球が,硬膜を経由して脳実質に移動する新たな経路が存在することを明らかにした点です.この経路では,化学反発因子セマフォリン3a(Sema3a)が通常,免疫細胞の脳内移動を阻止するバリアとして働いていますが,Mrgprb2を介した肥満細胞プロテアーゼの作用によってSema3aが分解され,バリア機能が解除されることで,好中球の脳内移動が促進されていました.この経路は,Sema3a阻害薬(Sema3a-I)を用いることで再現され,Mrgprb2欠損マウスでも脳炎症が誘導されることが確認されました
さらに,ヒトでも同様のメカニズムが存在することが分かりました.ヒトの硬膜にもMRGPRX2陽性の肥満細胞が存在し,脳卒中患者の硬膜では,健常者と比較して肥満細胞の脱顆粒が有意に亢進していました.この活性化にはsubstance Pが関与しており,これがMrgprb2/MRGPRX2のリガンドとして機能し,肥満細胞の活性化を誘導することが明らかとなりました.
こうしたメカニズムが治療標的になりうるかを検討するため,研究チームはMrgprb2を阻害する天然化合物Ostholeを用いた治療実験も行いました.Ostholeを投与したマウスでは,神経炎症が抑制され,梗塞体積の縮小と神経機能と生存率の改善が認められました(図2).この効果はMrgprb2を有するマウスに限られ,Mrgprb2欠損マウスには無効だったことから,Ostholeの作用はMrgprb2依存的であることが示されました.
この研究は,脳卒中後の神経炎症が「神経→硬膜肥満細胞→骨髄免疫細胞→脳実質」という新たな経路によって生じてるという,全く新しい視点を提示しました.そしてこの経路の起点にあるMrgprb2/MRGPRX2を標的とすることで,脳卒中後の神経炎症による障害を抑制する新たな治療戦略が開かれる可能性があります.血液脳関門の外に存在する硬膜肥満細胞を標的とすることで,薬物送達のハードルも低く,今後の臨床応用が期待されます.
なお図3は,この研究のサマリーですが,脳卒中により活性化された神経細胞からsubstance Pが放出され,それを感知した硬膜肥満細胞がMrgprb2を介して脱顆粒し,炎症性メディエーターを放出する様子が描かれています.その結果,好中球が頭蓋骨骨髄から硬膜へ移動し,さらにSema3aの阻害によって脳実質内へと侵入するという一連の流れが示されています.髄膜が単なる保護膜ではなく,神経炎症の司令塔として機能していることを象徴的に表現しています.
Kothari R, et al. A mast cell receptor mediates post-stroke brain inflammation via a dural-brain axis. Cell. 2025;188(17):1–17. https://doi.org/10.1016/j.cell.2025.06.045

・自己免疫性タウオパチーとしてのIgLON5抗体関連疾患:脳幹優位の萎縮パターンとその意義
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月7日のFB投稿です**
希少疾患であるため12か国が結集して取り組んだ国際共同研究で,日本からは私ども岐阜大学が参加し,Brain誌に掲載された論文です.IgLON5抗体関連疾患は,自己免疫性脳炎の一種であり,睡眠障害,運動異常症,球麻痺,認知機能障害などを呈する多彩な臨床像を特徴としています.免疫療法がある程度有効で,進行性核上性麻痺(PSP)や多系統萎縮症(MSA)などと類似する表現型をとることがあるため,神経内科専門医が知っておくべき重要な疾患です.また,病理学的には脳幹優位のタウ蓄積を伴う点で,自己免疫と神経変性の両側面を併せ持つユニークな疾患であり,自己免疫性タウオパチーと呼ばれることもあります.
本論文では127名の患者を対象に,頭部MRIと臨床情報を組み合わせて解析が行われました.その結果,本疾患では視床下部,脳幹,側坐核,基底核(被殻・尾状核・淡蒼球),海馬,視床といった特定の部位に限局した脳萎縮が認められました.なかでも脳幹は萎縮の中心であり,疾患の進行とともに「延髄→橋→中脳」の順で萎縮が進行する,すなわち尾側から頭側への萎縮勾配が確認されました.これは剖検例におけるタウ蓄積の分布と一致しており,MRI画像上でも病態の空間的進行が可視化された点が注目されます.
また,運動障害を呈する患者では基底核の萎縮が顕著であり,認知機能障害を呈する患者では視床や海馬の萎縮が強いという,臨床症状と脳萎縮パターンの一致も確認されました.このことは,将来的に頭部MRIによる局所萎縮の評価が,症状の予測や治療反応性の指標となる可能性を示唆しています.
患者群と対照群の脳体積を比較した解析では,視床下部で平均26.8%,側坐核で13.4%,脳幹全体で12.1%の体積減少が認められました.さらに延髄単独では20.9%という著明な萎縮が確認されており,この部位が最も病理学的に侵されやすいことが明らかとなりました.一方,全脳体積には有意な減少は見られず,あくまで局所的な萎縮である点が本疾患の特徴です.また,免疫療法が脳萎縮に与える影響についても検討されましたが,症例数の制限などから明確な結論には至りませんでした.
まとめの図が示しているように,IgLON5タンパクの発現部位,自己抗体の沈着部位,そしてタウ病理の分布が,驚くほど高い一致性をもって重なっている点が印象的です.IgLON5は延髄,橋,中脳などの脳幹部をはじめ,視床下部,視床,側坐核や基底核に豊富に発現しており,それと同じ部位に自己抗体の沈着が集中していることが剖検研究で示されています.さらに,タウの沈着もこれらの部位に重なっており,抗体の標的,神経変性の進行,タウの蓄積という3つの層が,空間的に一致していることが確認されました.
以上から,本疾患は「抗体出現 → IgLON5機能障害 → 神経機能障害・変性 → タウのリン酸化と蓄積 → タウによる二次的神経変性の進行」という一連の病態プロセスを来す疾患であることが裏づけられました.これは他の自己免疫性脳炎とは一線を画する特徴であり,免疫学的プロセスがタウのリン酸化という神経変性の引き金となりうることを示す,きわめて興味深い知見だと思います.
Yogeshwar SM, et al. Brain atrophy patterns in anti-IgLON5 disease. Brain. 2025. https://doi.org/10.1093/brain/awaf256

・CAR T細胞療法の神経毒性:病型と遅発性パーキンソニズムの機序を理解する必要がある
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月9日のFB投稿です**
日本神経免疫学会学術集会(村井弘之会長@千葉)に参加し,キメラ抗原受容体T細胞療法(Chimeric Antigen Receptor T cell therapy:CAR T細胞療法)の教育セミナーを拝聴しました.とくに大学病院では今後,その有害事象を診療する機会が増えるだろうと思います.CAR T細胞療法は,B細胞悪性腫瘍を中心に画期的な治療効果を示し,中枢神経腫瘍(膠芽腫など)や自己免疫疾患(SLE,強皮症,筋炎,血管炎,MG,NMOSD,MSなど)にも応用が拡大しています.しかし,この強力な免疫反応はしばしば全身性および神経系の有害事象を引き起こします.講演に刺激を受けたので,Nature Reviews Neurology誌8月号の総説を読んでみました.
【有害事象の時間経過】
以下に述べるCRS → TIAN → ICANS → MNTsという時間経過で出現することが多く,その発症タイミングと病態を把握することは早期発見・迅速対応に不可欠です.
①サイトカイン放出症候群(Cytokine Release Syndrome:CRS)
CAR T細胞投与後,最も早期に出現する.CRSは通常,投与後数日以内に発熱,低血圧,頻脈,呼吸不全,臓器障害などの全身性炎症症状として発症する.重症例では集中管理が必要となり,多くの場合その後に神経毒性が続発する.これは主にIL6により生じる.
②腫瘍炎症関連神経毒性(Tumor Inflammation-Associated Neurotoxicity:TIAN)
CRSとほぼ同時期か,やや後に出現する.これは中枢神経腫瘍に対するCAR T治療に特有で,腫瘍局所の炎症性浮腫によるmass effect(脳ヘルニア,水頭症)や局所神経機能障害がみられる.
③免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(Immune Effector Cell-Associated Neurotoxicity Syndrome:ICANS)
投与後おおむね10日以内に発症する.ICANSでは注意力低下,見当識障害,行動変化,発語障害から,重症例では意識障害や脳浮腫まで幅広い症状が出現する.血液脳関門の障害と全身性サイトカイン反応(IL1,GM-CSF)が主な病態と考えられている.治療はデキサメサゾンなどステロイドになる.
④運動・認知機能の治療関連有害事象(Movement and Neurocognitive Treatment-Emergent Adverse Events:MNTs)
最も遅れて投与後1〜2か月の時期に出現する.特にB細胞成熟抗原(B Cell Maturation Antigen:BCMA)標的CAR T細胞療法後にみられる遅発性パーキンソニズムが代表的であり,この時期の副作用は不可逆的となる可能性が高い.
【遅発性パーキンソニズムの特徴】
遅発性パーキンソニズムは,多発性骨髄腫に対するBCMA標的CAR T細胞療法の後に報告例が増加しています.発症は典型的にCAR T細胞投与後1〜2か月で,急性期のICANSが落ち着いた後に新たに出現するため,診療現場では見落とされやすい点が注意を要するそうです.症状は,動作緩慢,四肢の筋固縮,姿勢保持障害による転倒,静止時振戦といった典型的パーキンソニズムが主体であり,さらに注意力低下,思考の遅延といった認知機能低下を伴うことも少なくありません.
画像所見としては,頭部MRIで尾状核,被殻,淡蒼球といった線条体領域にT2-FLAIR高信号が認められます.さらにFDG-PETでは,これら基底核領域の低代謝を認めます.これらの所見は,BCMAが成人脳の線条体で発現しており,腫瘍細胞のみならず正常ニューロンやグリア細胞もCAR T細胞の標的となってしまう,いわゆる「on-target, off-tumor effect」によって障害される可能性を示唆します.症状が数週間から数か月の潜伏期間を経て出現する理由としては,免疫反応による初期の軽度障害が徐々に蓄積し,神経ネットワークの代償機構が限界を迎えた時点で臨床症状が顕在化する,あるいは持続的な免疫活性や慢性炎症によって遅発性の神経変性が進行する可能性が考えられます.
治療としては,ドパミン補充療法がまず行われますが,既報では明確な有効性は限定的です.免疫療法として,高用量ステロイド,IL-1受容体拮抗薬(アナキンラ),髄腔内メトトレキサート,シクロフォスファミドなどが報告されており,高用量シクロフォスファミドで循環CAR T細胞を減少させ,症状が可逆性に改善した症例も存在します.しかし,多くの患者では症状が持続・進行し,改善例はごく一部にとどまります.遅発性パーキンソニズムは急性期毒性とは異なり不可逆的である可能性が高く,早期の診断と介入が極めて重要です.今後はリスク予測モデルの確立が,予防と治療の鍵になると考えられます.
Karschnia P, Dietrich J. Neurological complications of CAR T cell therapy for cancers. Nat Rev Neurol. 2025;21:422-431. doi.org/10.1038/s41582-025-01112-8

関連情報
CAR T細胞療法に係る最新情報は、前号ニュース(2025年7月のニュース)に掲載しています。

・コンタクト・スポーツによる反復的な頭部衝撃はアストロサイトのタウ沈着をもたらす ―棘状アストロサイトという新しいキーワード―
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月11日のFB投稿です**
「頭部外傷」の予防は,認知症の14の予防因子の一つです.外傷性脳損傷や,ラグビーやサッカーなどのコンタクト・スポーツによる反復的な頭部衝撃が,慢性外傷性脳症(CTE)やアルツハイマー病のリスクを高めるという数多くの報告があります.今回,Brain誌にこの原因として「アストロサイトにおけるタウ病理」,具体的には棘状アストロサイト(thorn-shaped astrocytes;TSA)に焦点を当てた大規模病理研究が報告されました.聞き慣れない用語ですが,これは高齢者の脳にも見られる加齢関連タウアストログリオパチー(aging-related tau astrogliopathy;ARTAG)で認める構造物です.アストロサイトにリン酸化タウが沈着し,細胞突起が棘(とげ)のように見える特徴的な形態をとります.もともと加齢に伴って出現することが知られていましたが,CTEの病変部や外傷後脳にも認められることが知られていました.著者らはTSAを詳細に評価することで,「加齢や他の神経変性疾患に伴うTSA」と「外傷やスポーツ歴に関連するTSA」を区別できるか,またその分布や特徴が異なるかを明らかにしようとしました.
対象はなんと556人の剖検脳で,外傷性脳損傷歴あり群(中等度~重度;TBI),コンタクト・スポーツ歴あり群(Sports),神経変性疾患対照群(NDD),および非神経変性対照群(Control)の4群を比較しました.リン酸化タウを検出するPHF-1抗体を用いて,脳内複数部位におけるTSAの出現頻度を評価しました.
さて結果ですが,TSAはコンタクト・スポーツ歴群で75.6%,外傷性脳損傷群で32.5%に認められ,これは神経変性疾患対照群(32.5%)や非神経変性群(8.1%)と比較して有意に高い頻度でした.とくにコンタクト・スポーツ群では,皮質溝の深部(sulcal depths)にあるsubpial TSAの出現率が42.2%と極めて高く,他群ではきわめて稀でした.図Aでは,このsubpial TSAの頻度がコンタクト・スポーツ群で有意に高いことが示されています.また図BとCは,前頭葉皮質溝の底部において,CTEの神経病理学的所見がなくても,subpial TSAが単独で存在している様子を示しており,TSAがCTEとは独立に生じる可能性を示唆しています.
本研究の意義は,TSAという病理学的所見が,加齢に伴う変化とされてきた従来の理解を超えて,外傷性脳損傷や反復的な頭部衝撃によって誘導される可能性を明確に示した点にあります.これは,グリア細胞のタウ病理が,単なる老化の産物ではなく,外傷性イベントの病的なマーカーとなることを意味します.また,従来のCTE診断基準には含まれないTSAの広範な分布や局在パターンが,独自の外傷関連病態を構成している可能性も示されています.ちなみに本研究ではアミロイドβ(Aβ)についての評価は行われておらず,TSAとの関係や,Aβ沈着との連関については今後の課題とされています.
まとめると,この研究は外傷が神経細胞ではなくアストロサイトにおけるタウ病理を誘導するという新たな知見を提示し,タウ病理の原因に外傷が加えられたということになります.今後,TSAの臨床的意義がさらに議論され,外傷に伴う認知機能障害に,タウがバイオマーカーとして応用されるものと思われます.
Arena JD, et al. Traumatic brain injury or head impacts from contact sports are associated with tau astrogliopathy. Brain. 2025;148(8):2671–2683. https://doi.org/10.1093/brain/awaf073

・医療AIで医師に「デスキリング(deskilling)」が起きる!:AIツール導入後わずか数か月で熟練内視鏡医の技能が低下する
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月16日のFB投稿です**
近年,AIを用いた医療用ツールはさまざまな分野に導入されています.先駆的な例として大腸内視鏡検査があり,AI支援によって腺腫検出率(adenoma detection rate:ADR)が向上することが多くのランダム化比較試験で示されています.一方,AIの使用が医師自身の技能にどのような影響を及ぼすのかは不明でした.消化器領域の報告ですが,今後,他の領域にも同様のことが生じる可能性があるためご紹介したいと思います.
ポーランドの4つの大腸内視鏡センターで行われた観察研究です.調査期間は2021年9月から2022年3月までで,2021年末にAI支援システムが導入されました.AI導入後は,大腸内視鏡検査をAI支援ありとAI支援なしのいずれかでランダムに実施しました.対象は熟練内視鏡医19名が行った検査です.AI支援なしで行われた検査は1443件であり,うちAI導入前が795件,AI導入後が648件でした.またAI支援ありで行われた検査は734件でした.主要評価項目は腺腫検出率(adenoma detection rate, ADR)で,AI導入前後におけるAI支援なしのADRを比較しました.
さて結果ですが,なんとADR は「AI導入前の28.4%から導入後は22.4%へ」と有意に低下しました(絶対差–6.0%,p=0.0089)(図1).相対的に約20%も低下してしまいました.図2は,各内視鏡医ごとのADRの変化量を示していますが,わずかに改善した医師もいますが,大多数で低下が見られ,なかには20〜30%以上の大幅な減少例も存在します(図2).一方,AI支援下で実施された734件の腺腫検出率は25.3%でした.
本研究は,AI支援の常用化が,熟練内視鏡医のAI非支援下での腺腫検出能力を低下させる可能性を初めて示したものです.著者らはこの現象を「デスキリング(deskilling)」と呼んでいます.この用語は,もともとは技術革新や業務の自動化により,労働者が持っていた熟練技能(スキル)が失われる現象を指します.医療では,AIの導入により,医療者が従来自ら行っていた判断や操作を機械に依存することで,「技能」が衰えることを意味します.ナビに頼りすぎて地図が読めなくなる「Googleマップ効果」に似ています.
脳神経内科領域では,今後,MRI読影,脳波解析,神経診察動画解析などにAI導入が進むと予想されます.検査だけでなく,脳神経内科特有の問診・診察から病変部位を考え,文献を確認しながら鑑別診断から診断にたどり着き,最適な治療を選択するというプロセスの一部もAIが肩代わりする可能性があります.それに慣れてしまうと異常所見を自ら見抜く力や,個々の所見を総合して診断を組み立てる能力が弱まるリスクがあります.恐ろしいのは,文献を批判的に読めなくなり,AIの出した答えが正しいのか誤っているのかも判断がつかないということが起きるように思います.とくに基本的な能力がまだ身についていない若い先生がたへの影響が懸念されます.意識してAIを使用せずに症例を評価するトレーニングや,技能維持を目的とした教育プログラムの整備が必要になるのかもしれません.いずれにせよ,AIが一部の医療技術を向上させる一方で,「デスキリング」によって基本的技能が静かに侵食される危険性を認識する必要があると思いました.
Budzyn K, et al. Continuous exposure to artificial intelligence in colonoscopy and its impact on non-AI-assisted adenoma detection rate: a multicentre observational study. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2025 Aug 12. https://www.thelancet.com/…/PIIS2468-1253(25…/abstract

・脳内のリチウム欠乏がアルツハイマー病を引き起こす!?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月18日のFB投稿です**
アルツハイマー病(AD)の病態において,リチウム(Li)が重要な役割を果たしている可能性が報告され話題になっています.これまでLiは気分安定薬として双極性障害の治療に用いられてきましたが,今回紹介するハーバード大学からの研究では,AD脳におけるLiの局在と濃度が詳細に解析されました.
まず軽度認知障害(MCI)およびAD患者の前頭前皮質において27種類の金属を解析した結果,MCIおよびADで有意に低下していたのはLiのみでした(図1左).驚いたことに,アミロイドβ(Aβ)斑にLiが濃縮して存在することが明らかになりました.図1右では,白い円が老人斑(Aβ斑),黄色の円が非Aβ斑領域を示しています.Li(赤)は老人斑に捕捉(sequestration)され,非Aβ斑領域では低下して利用困難な状態になっていることが示されています.
つぎにマウスモデルの検討で,食餌からLiを除去すると,脳内Liが約50%低下しました.その結果,Aβ沈着とタウリン酸化の増加,ミクログリアの炎症性活性化,シナプス・軸索・髄鞘の喪失,そして記憶障害が進行しました.シングルセルRNA解析では,Li欠乏によるトランスクリプトーム変化がADの患者脳と重なることが示されました
さらに注目すべきは,Liの欠乏がGSK3β(glycogen synthase kinase 3β)の活性化を引き起こし,その結果としてタウリン酸化を促進する可能性が示唆された点です.GSK3βは神経変性疾患の治療標的として以前から有名で,タウの異常リン酸化に直接関与することが知られています.つまり「Li欠乏 → GSK3β活性化 → タウリン酸化」という一連の流れがADで生じている可能性が浮上したということです.
となると補充療法ができる可能性がありますが,従来の炭酸Li(LiC)ではなく,アミロイドに捕捉されにくいLiオロチン酸(LiO)が有効であることが示されました.LiOを投与したADモデルマウスでは,アミロイド沈着やリン酸化タウの形成がほぼ完全に抑制され,既存の病理も改善されました.さらに,ミクログリアの炎症反応が抑制され,アミロイドのクリアランス能が改善し,シナプスと髄鞘の保持も確認されました.特筆すべきは,老化マウスにおいてLiOが記憶機能を若齢マウス並みに回復させた点であり,Liが加齢性認知機能低下に対しても保護的に作用することが示されたことです.
図2はLiがアミロイド斑にどのように関与しているかを示しています.図2aでは,脳内のAβ斑(青色の塊)が負に帯電し,周囲に存在する正に帯電したLiイオン(黄色)が引き寄せられて斑の中に捕捉されてしまう様子が描かれています.その結果,本来はニューロン,アストロサイト,ミクログリアなどの細胞に広く分布して機能しているはずのLiが奪われ,非Aβ斑領域での機能が低下し,神経変性につながります.
一方,図2bはLiO(赤)を投与した場合を示しています.これはAβ斑に捕捉されにくく,神経細胞に効果的に取り込まれます.GSK3β活性化はミクログリアの異常炎症応答による神経炎症を起こしますが,LiOにより機能回復したミクログリアはAβを効率的に除去できるようになり,シナプスや軸索,髄鞘の喪失を防ぎます.動物モデルでは,LiO投与によりアミロイド沈着やタウリン酸化の増加が抑えられ,認知機能の低下も改善されました.
Eric Topol先生がブログで指摘しているように,過去の小規模ランダム化試験,双極性障害患者コホート,さらには飲料水中Li曝露研究からも,Liの認知症予防効果は示唆されてきました.しかし,高用量炭酸Liの副作用が臨床応用を制限してきたことも事実です.今回の研究は,低用量Liオロチン酸という新しい選択肢を提示し,安全性への懸念を最小化しつつ予防的効果を期待できる可能性を示しました.
★ただし,ここで提示された結果はあくまで動物モデルに基づく研究であり,ヒトにそのまま適用できるものではありません.特にリチウムは治療域と中毒域が非常に近い薬剤であり,血中濃度の厳密な管理が不可欠です.そのため,サプリメントや市販薬として安易にリチウムを摂取することは極めて危険であり,厳に慎むべきであることを強調したいと思います.
Aron L, et al. Lithium deficiency and the onset of Alzheimer’s disease. Nature. 2025. https://doi.org/10.1038/s41586-025-09335-x
Topol E. Lithium and Its Potential Protection from Alzheimer’s Disease. Ground Truths, Aug 10, 2025.

・COVID-19は女性の血管を老化させる ―国際共同大規模研究CARTESIAN研究
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月20日のFB投稿です**
COVID-19の後遺症は心血管系の障害によっても生じます.その背景として血管内皮障害や炎症に伴う血管老化が推測されてきました.CARTESIAN研究は,COVID-19に伴うこの血管老化を検証しました.
18か国,38施設の2390人を対象とした国際共同前向きコホート研究で,COVID-19陰性対照群391人,陽性非入院群828人,入院群729人,ICU群146人の4群に分類されます.主要評価項目は,感染から平均6か月後の頸動脈―大腿動脈脈波伝播速度(Pulse Wave Velocity;PWV)としました.これは動脈硬化や血管老化を反映する確立された指標です.
さて結果ですが,COVID-19既往の3群はいずれも対照群に比べて有意にPWVが高値を示し,0.37〜0.41 m/sの上昇を認めました.ただし重症度が高いほどPWVが高いという直線的な関係は認めませんでした.しかし注目すべきは性差で,女性では全てのCOVID-19群でPWVが上昇し,特にICU群では1.09 m/sと最大の上昇を示しました.一方,男性ではCOVID-19の有無による差が認められませんでした.図1が分かりやすいですが,通常,男性は女性よりPWVが高い傾向があり,対照群(COVID-)では男性の方が女性よりPWVが速いことが分かりますが,興味深いのは,男性ではCOVID-19既往群では対照群と大差がないのに対し,女性では対照群との差が明確に大きいという点です(図1).そしてICU群では早期血管老化(early vascular aging)が顕著で,10年の血管加齢に相当します!また女性で持続症状を有した群ではPWVがさらに高値であり,症状の長期化と血管老化の関連を認めました.ただし12か月後の追跡では,COVID-19群のPWVは低下傾向を示し,血管老化が部分的に可逆的である可能性も示されました.
この論文に対するeditorialを読むと,PWV上昇の程度は比較的軽度であり,その臨床的意義についてはさらなる研究が必要と指摘しています.また図2にて,COVID-19による血管老化の仕組みを解説しています.感染により,IL-1やIL-6などのサイトカインが増加します.加えて凝固異常や好中球細胞外トラップが生じ,動脈のリモデリングを来たし,血管が硬くなります(stiff artery). この血管老化が女性に強く現れる理由として,性ホルモンや社会的要因,あるいは急性期に重症となった男性が死亡してしまい,生存者には影響が残りにくいというサバイバーバイアスなどを推測しています.
この血管老化は,ブレインフォグや頭痛,認知障害などlong COVIDに特徴的な神経症状にも関与している可能性があります.今後は血管老化を防止する治療や,リスクの高い群を早期に見極めるためのバイオマーカー探索が重要となるとなると思われます.
Bruno RM, et al. Accelerated vascular ageing after COVID-19 infection: the CARTESIAN study. Eur Heart J. 2025;00:1–14. (doi.org/10.1093/eurheartj/ehaf430)
Bukhari S, et al. COVID-19 and vascular ageing: an accelerated yet partially reversible clock? Eur Heart J. 2025;00:1–3. (doi.org/10.1093/eurheartj/ehaf590)

・患者と目を合わせない医者たち(新潮新書)
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月23日のFB投稿です**
昨日のカンファレンスで教室のみんなに紹介した里見清一先生(本名,國頭英夫先生)の新刊です(https://amzn.to/462rblW).里見先生は呼吸器内科とくに肺癌の診療を専門とするドクターです.10年ほど前ですが,日本臨床倫理学会で,会場大爆笑,でも一番考えさせられるご講演をされておられたのが里見先生でした.その時は「自己決定」といって,なんでも患者さんに決めてもらう風潮について問題提起をされていました.すっかりファンになった私は,お願いして前任地の新潟までお越しいただき,『 終末期の医者の仕事 』というご講演をしていただきました.先生は『偽善の医療(https://amzn.to/4fPOMJO)』や『衆愚の病理(https://amzn.to/3JtWwp1)』(いずれも新潮新書)など多くの本を執筆されておられます.今回の本も,下記にメモしましたが,印象に残る文章がいくつもありました.読んでいろいろなご意見は出てくるかと思いますが,若いドクターには医療や人の命について深く考えるきっかけになるのではないかと思います. オススメです.
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◆現在の医学教育は,人は必ず死ぬこと,そしてその前に治療を諦める時が必ず来ることを教えていない.
◆私の周りの誰に聞いても,寝たきりで生かされた状態で延命治療などしてほしくないと答える.おそらく読者もそうだろう.
◆クーパー先生らは,AIによって医学生が教育されるようになると,そこから質的に違う医者が出てくるのではないかと懸念している.そもそもChatGPTによって最初からすぐに正解が提示されるのなら,医者が勉強する意味はあるのか.また,倫理的なジレンマに悩む代わりに,ブラックボックスから出てくるAIの決定を医者はそのまま受け入れるようになるのだろうか.
◆エビデンスやガイドラインは大切だが,そればかりを墨守する人間は「エビデンス屋」と呼ばれ,軽蔑される.我々はその重要性も限界も認識すべきである.
◆(不必要な検査について)この無駄は必ずしも医者の問題だけではなく,患者側も「何も検査してくれない」と不平を鳴らすのである.医者にとって最も知識や経験を必要とするのは,病歴と身体診察から「大丈夫,何ともない」と結論することである.
◆ミシガン大学のシュナイダー教授も,「良い人になるのは無理でも,良い人だと思わせるようにせよ」と学生に教えているそうだ.
◆チーム医療だの働き方改革だのは,必ずしも患者側のメリットを考えて出たものではないことは忘れない方がよい.
◆そう,俺たちの頃は辛かった.近頃の若い者がそれを追体験する必要なんかないのだろう.だが,だからといって別に俺たちはやり直したいなどとは思わない.それはどうしてだろうか.
◆喜び(ジョイ)は快楽(プレジャー)と同じではない.喜びには困難や無念や試練も含まれる.喜びを定義することはできない.ただ,我々がそれを経験したときに初めて「これがそうなのか」とわかるのだ.

・p-tau217r:アルツハイマー病の進行を血液検査で知る時代に突入 ― 真の利益のために何が必要か?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月27日のFB投稿です**
アルツハイマー病(AD)において,脳内の病理変化の進行を正確に把握することは治療方針の決定や予後の予測に重要と考えられています.アミロイドPETやタウPETがその役割を担うと考えられてきましたが,これらは高額,かつ専門的な施設を必要とするため,広く普及させることは容易ではありません.またADの患者数の多さと日本の医療経済の状況を考えても現実的ではありません.このような背景のもと,実際に認知機能障害の出現と密接な関係がある種々のタウ蛋白を血液で測定し,ADの病期(ステージ)を分類できるかどうかが大きな研究テーマとなってきました(ちなみにアミロイドβは発症約20年前から生じる引き金で,タウ蛋白は認知症発症前に急激に変化が生じる実行蛋白と考えられつつあります).
今回,Nature Aging に発表されたスウェーデンとカナダの共同研究は,まさにこの課題に取り組んだものです.スウェーデンの549例とカナダの140例,合計689例が対象です.研究では,リン酸化タウ(p-tau181, 199, 202, 205, 217, 231)と非リン酸化タウ(tau195-209, tau212-221, 0N-tauなど)の12種類のタウペプチドを,血液を用いて質量分析で同時に測定しました.特に重要となったのは p-tau217r(p-tau217 ÷ tau212-221),p-tau205r(p-tau205 ÷ tau195-209),そして0N-tauです.ここで「r」は ratio(比)を意味し,リン酸化ペプチドを対応する非リン酸化ペプチドで割ることで,腎機能などによる総タウ量の変動を補正し,病気特異的な変化をとらえやすくしています.
さて結果ですが,3つの指標(p-tau217r,p-tau205r,0N-tau)を組み合わせることで,患者を血液ステージ0〜3の4段階に分類できることが分かりました.
ステージ0:3つの指標すべてが正常. AβやタウPETも陰性が多く,認知機能も保たれる段階.
ステージ1:p-tau217rが異常となる. AβPETが陽性化するが,臨床的には無症候が多い段階.
ステージ2:p-tau205rが異常となる.タウPETが陽性化して,軽度認知障害が目立ち始める.
ステージ3:0N-tauが異常となる.タウの広範な蓄積と脳萎縮が進んだ,認知症を呈する段階.
つまりこの血液ステージは,PET所見や認知機能低下の進行とよく対応しています.ステージ0から1でAβ蓄積が進み,ステージ1から2でタウ沈着と軽度認知障害が出現し,ステージ2から3で急速に進行して認知症に至るという流れが明確に示されました.図1では,血液ステージが進むにつれて,まずアミロイドPETでAβ蓄積が検出され,次にタウPETで内側側頭葉や新皮質におけるタウ沈着が明らかになり,その後皮質厚の減少が認められ,最終的に認知機能指標(MMSEやmPACCなど)が低下することが示されています. 図2は血液ステージごとの主要なバイオマーカー・認知機能の変化を示しています.
本研究の臨床への貢献は,第1に,血液検査のみでADの病期を推定できることで,PETが利用できない施設でも診療に活用できる可能性を示したことです.第2に,アミロイドβ抗体や将来のタウ療法など,新規治療薬の効果は病期に依存するため,血液ステージを用いることでより適切な患者選択が可能となることです.治験においてもPET検査数を大幅に減らし,効率的に対象者を絞り込むことができると思われます.さらに,最新のJAMA Neurology誌に掲載された研究では,血漿p-tau217が前臨床期のアルツハイマー病において将来の認知機能低下を予測する有力な指標であることも示されています(文献2).
素晴らしい医学の進歩で,ここまできたかと感嘆しますが,個人的には複雑な気分です.これが臨床で使用されるようになると,ADの診断が気軽にできてしまいます.今までであれば十分な問診,診察,認知機能や周辺機能の評価,日常生活の状況,家族関係など多面的に調べられたものが,血液診断ひとつで済まされてしまう恐れがあります.果たしてそれでよいのかなと思います.早期診断が患者さんや家族に過度の心理的負担を与えたり,就労や保険加入に影響を及ぼす可能性,あるいは告知のタイミングや方法をめぐる新たな課題を生じさせることも考えられます.「できること」と「すべきこと」は必ずしもイコールではありません.「できるからやってしまう」という姿勢は,医療においては慎重であるべきです.
一方で,こうした血液バイオマーカーは,上述したように,PETが利用できない現場で診断や治療方針決定を助け,また新しい治療法を必要とする患者に早くつなげる可能性を秘めています.重要なのは,技術をそのまま導入するのではなく,臨床現場での使い方や倫理的配慮を含めて慎重に議論し,患者に真に利益をもたらす形で活用していくことだと思います.
1. Montoliu-Gaya L, Salvadó G, Therriault J, et al. Plasma tau biomarkers for biological staging of Alzheimer’s disease. Nature Aging. 2025. (doi.org/10.1038/s43587-025-00951-w)
2. Insel PS, Mattsson-Carlgren N, Sperling RA, et al. p-Tau217, Tau PET, and Cognition in Preclinical Alzheimer Disease. JAMA Neurol. Published online August 25, 2025. (doi.org/10.1001/jamaneurol.2025.2974)

・NHK「知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?(びっくりはてな)」に出演します!
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月28日のFB投稿です**
標題の新番組の第2回放送「認知症 克服のカギ」に出演させていただきます.昨年からチーフディレクターの方々にレクチャーする機会をいただき,番組制作のお手伝いに関わってきましたが,正直どのような番組になるのか分からないまま進めていました.まさか自分が出演しタモリさんに直接お目にかかれるとは,まったく想像していなかったので,大変驚きました.
番組の内容は「認知症 克服のカギ」をテーマに,認知症に関する国内外の研究成果が次々と紹介される,まさに最先端の情報のオンパレードです.私自身も知らなかった新しい知見にも触れることができました.専門医でさえも驚かされる話題もあるように思います.また,さすがNHKという感じで,VTRによる研究紹介の迫力には圧倒されました.世界の第一線で活躍する研究者や,実際に病と向き合う患者さん・ご家族への直接取材から得られた言葉には,深い重みがありました.
認知症は確かに大変な病気ですが,その研究は確実に前進していることが伝わると思います.番組の終盤では「認知症を克服するとはどういうことなのか?」というところまで議論は深まります.私たちがこれから認知症にどのように向き合い,支え合っていくべきかを考えるきっかけになる番組だと思います.ぜひご覧ください.放送は9月6日(土)19:30~20:48(78分)です.
出演者インタビューをこちらからご覧いただけます:
認知症は克服できる!?タモリ、山中伸弥らが研究の最前線を深掘り&認知症関連番組も
https://www.nhk.jp/…/blog/bl/pB4Egql2A5/bp/pDERAG6rZp/

・ChatGPT時代の医師教育 :学びを支えるか,奪うかの境目は?
**岐阜大学医学部下畑先生の2025年8月31日のFB投稿です**
ChatGPTのような大規模言語モデル(AI)が,医療の現場にどんどん入ってきています.とても便利ですが,いいことばかりではありません.私自身,「若い先生の方がAIの影響を強く受けるのではないか」と漠然とした懸念を持っていましたが,先日読んだ New England Journal of Medicine の総説で,その疑問が整理されました.
まずAIのデメリットとして,教育の現場では次の3つが特に問題になります.
• Never-skilling:必要な力を身につけられない
• Mis-skilling:AIの誤りをそのまま覚えてしまう
• Deskilling:せっかく身につけた技能が失われる
医師はトレーニングを重ねることで,ある時点で「自動的なルーティンの実践」から「柔軟で創造的な実践」へと成長することができます(図1の①).このあとAIをうまく批判的に活用すれば,さらに成長が加速していきます(図の②).ただベテラン医師でも「自動的なルーティンの実践」のままの人もいますし(③),AIを安易に使うとDeskillingやMis-skillingが起きてしまいます(④).
注意すべきは,学習曲線のスタート地点が3本あることです.これは学習者の経験の違いを表しています.
• ベテラン医師(A)は,すでに高い技能を持っているため,AIを参考にしても「どこが正しく,どこが間違っているか」を判断しやすく,補助手段として有効に使えます.
• 中堅医師(B)は,AIをうまく使えば大きく成長できますが,依存すると逆に自分の推論力を磨く機会を失ってしまいます(⑤).
• 医学生や研修医などの初学者(C)は,AIの答えをみな「正解」と思い込んでしまう危険があり,成長が伴わず,低いレベルでとどまってしまう恐れがあります(⑥).ただし教育者が「なぜこの診断が出たのか,自分の言葉で説明してみよう」と検証的・批判的に問いかければ,AIを学びの出発点に変えることができます(⑦).
つまり,同じAIでも,誰がどう使うかによって,学びの行方は大きく変わるということです.また基盤を伴わない初学者ではAIへの対処の影響が大きいということです.教育者は,学習者の段階に応じてAIの「検証的・批判的な使い方」を指導していく必要があります.
具体的には著者らは「DEFT-AI」という指導法を提案しています(図2).診断の振り返り(Diagnosis),証拠の吟味(Evidence),フィードバック(Feedback),教育的な指導(Teaching),そしてAI活用の推奨(AI recommendation)の5つを柱に,AIを使う場面を教育の機会に変えようというものです.
さらに,人とAIの協働には二つのスタイルを提示しています.「ケンタウロス型」では役割を分担し,危険度の高い判断は人間が担います.一方「サイボーグ型」では人とAIが一体化し,出力を一緒に練り上げていきます.診断のような場面ではケンタウロス型,メール文案のような低リスクの作業ではサイボーグ型が向いていると書かれています.
著者の結論はシンプルです.著者らは「verify and trust(検証してから信頼する)」を強調しています.AIの答えを鵜呑みにせず,自分の知識や証拠と照らし合わせた上で活用することが大切なのです.これからの医学教育は,AIを避けるのでも過信するのでもなく,賢く付き合うことが求められる時代に入ったのだと思います.ただし,この議論は現時点のAIが「不完全であること」を前提にしています.もし将来,AIの精度が飛躍的に高まり,人間の判断に匹敵する水準に達した場合,教育や臨床現場での位置づけそのものが変わる可能性があります.
Abdulnour R-E, Gin B, Boscardin CK. Educational Strategies for Clinical Supervision of Artificial Intelligence Use. N Engl J Med. 2025;393:786-97. (doi.org/10.1056/NEJMra2503232)

(作成者)峯岸 瑛(みねぎし あきら)